JP5549253B2 - エン・チオール硬化物及びその製造方法 - Google Patents
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例えばポリチオールとポリイソシアネートとの反応により得られるチオウレタン樹脂で屈折率1.67のものが、ポリエピスルフィド化合物の開環重合により得られるポリチオエーテルで屈折率1.7を超えるものが知られている。しかし何れも熱硬化であるため、成形に時間がかかるだけでなく、低温での成形も困難である等の問題点があった。
また特許文献1には、3,3’−チオビス(プロパン−1,2−ジチオール)と1種以上のエン化合物、光ラジカル重合開始剤を含有する組成物を光硬化させることにより高屈折率な硬化物が製造される事が記載されており、その屈折率は1.598〜1.663であった。更に特許文献1には、高屈折率樹脂を得る方法としてエン化合物とチオール化合物の組み合わせ硫黄含量を上げる方法が提案されているが、屈折率を高めるために単純に硫黄含量を上げると得られる樹脂はゴム状になり十分な硬さが得られない。
即ち、本発明の課題は、一般式(1)
A(SH)p (2)
本発明において、環式構造とは、脂環構造、芳香環構造、複素環構造等を含むものである。
前記アリーレン基、複数のこれらアリーレン基が直接又はヘテロ原子或いは炭素数1〜10の炭化水素基(環式構造や分岐構造も含み、更に炭化水素基の中にヘテロ原子を含むものであってもよい。)としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,2−キシリレン基、1,3−キシリレン基、1,4−キシリレン基、1,4−ナフチレン基、4,4’−ビフェニレン基、4,4’−ビフェニルエーテル基、4,4’−ビフェニルチオエーテル基、4,4’−ビフェニルスルホニル基等である。前記の置換基としては特に限定はされないが、例えば、炭素原子数1〜10個(特に炭素原子数1〜5個)である直鎖状または分岐状のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基(異性体を含む)、ブチル基(異性体を含む)、ペンチル基(異性体を含む)、ヘキシル基(異性体を含む)、ヘプチル基(異性体を含む)、オクチル基(異性体を含む)、ノニル基(異性体を含む)、デシル基(異性体を含む)等を挙げることができ、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基(異性体を含む)、ブチル基(異性体を含む)、ペンチル基(異性体を含む)、ヘキシル基(異性体を含む)、ヘプチル基(異性体を含む)、オクチル基(異性体を含む)であり、特に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基(異性体を含む)、ブチル基(異性体を含む)、ペンチル基(異性体を含む)が挙げられる。
また、一般式(1)で表されるジチオカルバメート化合物中のn及びmは独立に1又は2の整数を表す。
上記のポリチオールの中でも、取り扱いの容易性の観点から、1,2,3−トリメルカプトプロパン又は2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンが好ましい。
ポリチオール及びジチオカルバメート化合物は、それぞれ複数の異なるポリチオール化合物とジチオカルバメート化合物が混合されていてもよい。
前記不飽和結合のモル数/チオール基のモル数が、小さすぎると、悪臭元となるチオールが残留する場合があり、大きすぎると硬化しない場合がある。
前記硬化剤の添加量としては、ポリチオールに対して0.001〜10重量部、好ましくは0.005〜5重量部が好ましい。
前記硬化剤の添加量が少なすぎると、硬化性組成物の硬化が十分でない場合があり、多すぎると、硬化物が変色する場合がある。
前記光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、2,2−ジエトキンアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンジル、メチルベンゾイルホルメート、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、1,4−ジベンゾイルベンゼン、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルジフェニル、4−ベンゾイルジフェニルエーテル、キサントン、チオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、エチルアントラキノン、10−ブチル−2−クロロアクリドン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
屈折率:ATAGO社製、多波長アッベ屈折計を用いて、
25℃での589(D)nmを測定した。
UV硬化装置:SEN Light社製 UV coring Processor HM15001C-4
ジアリルアミン(3.69g、40mmol)に二硫化炭素(5.05g、66.3mmol)を10℃以下で加え、これに更に同温度でp−キシリレンジクロライド(1.76g、10mmol)を加えた後、25℃で10時間攪拌した。得られた反応混合物に水10mlと酢酸エチル20mlを加え、分離した有機層に1mol/l−塩酸10mlを加えた。再び分離した有機層を減圧濃縮して、薄黄色油状物4.20gを得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;n−ヘキサン/酢酸エチル=10/1(容量比))で精製し、無色粉末として、1,4−ビス(ジアリルアミノチオカルボニルスルファニルメチル)ベンゼン(3.10g、6.9mmol)を得た(p−キシリレンジクロライド基準の単離収率;69%)。また、1H−NMRにより構造の確認をした。
ジアリルアミン(3.69g、40mmol)に二硫化炭素(5.05g、66.3mmol)を10℃以下で加え、これに更に同温度で4,4'-ビス(クロロメチル)ビフェニル(2.52g、10mmol)を加えた後、25℃で2.5時間攪拌した。得られた反応混合物に水10mlと酢酸エチル20mlを加え、分離した有機層に1mol/l−塩酸10mlを加えた。再び分離した有機層を減圧濃縮して、薄黄色固体4.77gを得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;n−ヘキサン/酢酸エチル=10/1(容量比))で精製し、無色粉末として、1,4−ビス(ジアリルアミノチオカルボニルスルファニルメチル)ビフェニル(3.33g、6.4mmol)を得た(4,4'-ビス(クロロメチル)ビフェニル基準の単離収率;64%)。
N−ベンジルアリルアミン(3.69g、25mmol)に二硫化炭素(1.91g、25mmol)をTHF2mlで希釈した溶液を10℃以下で加えたものを25℃で1.5時間攪拌した。これに同温度でp−キシリレンジクロライド(1.76g、10mmol)をTHF8mlに溶解させた溶液を加えた後、25℃で50時間攪拌した。得られた反応混合物を減圧濃縮し、残渣に酢酸エチル60mlと水10mlを加え、分離した有機層を減圧濃縮して、薄黄色の液体と無色針状物の混合物4.5gを得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;n−ヘキサン/酢酸エチル=40/1〜20/1(容量比))で精製し、無色粘性物として、下記構造式の1,4−ビス(N−ベンジルアリルアミノチオカルボニルスルファニルメチル)ベンゼン(2.1g、3.8mmol)を得た(p−キシリレンジクロライド基準の単離収率;38%)。また、1H−NMRにより構造の確認をした。
合成例1と同様の方法で合成した1,4−ビス(ジアリルアミノチオカルボニルスルファニルメチル)ベンゼン(336mg、0.75mmol)と1,2,3−トリメルカプトプロパン0.14mg、1mmol)、及び2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(1.1mg)を混合したものを、80℃で1分間加温して均一溶液としたものを、2枚の石英ガラス板とシリコンラバーから構成される厚さ0.4mmの隙間に注入した。これを1500W(7000J/cm2)のメタルハライドランプ光の光源から10cmの距離で25秒照射し、これを3回行って硬化させた。得られた薄黄色フィルム状の硬化物を取り出し、この屈折率を測定した。前記フィルム状の硬化物の23℃、湿度50%における屈折率(nD)は、1.72であった。
合成例2と同様の方法で合成した1,4−ビス(ジアリルアミノチオカルボニルスルファニルメチル)ビフェニル(394mg、0.75mmol)、1,2,3−トリメルカプトプロパン(0.14mg、1mmol)及び2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オ(1.1mg)を混合したものを、80℃で1分間加温して均一溶液としたものを、2枚の石英ガラス板とシリコンラバーから構成される厚さ0.4mmの隙間に注入した。これを1500W(7000J/cm2)のメタルハライドランプ光の光源から10cmの距離で25秒照射し、これを3回行って硬化させた。得られた薄黄色フィルム状の硬化物を取り出し、この屈折率を測定した。前記フィルム状の硬化物の23℃、湿度50%における屈折率(nD)は、1.72であった。
合成例2と同様の方法で合成した1,4−ビス(ジアリルアミノチオカルボニルスルファニルメチル)ビフェニル(315mg)と2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン(255mg、1.2mmol)、及び2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(0.88mg)を混合したものを、80℃で1分間加温して均一溶液としたものを、2枚の石英ガラス板とシリコンラバーから構成される厚さ0.4mmの隙間に注入した。これを1500W(7000J/cm2)のメタルハライドランプ光の光源から10cmの距離で25秒照射し、これを3回行って硬化させた。得られた薄黄色フィルム状の硬化物を取り出し、この屈折率(nD)を測定した。前記フィルム状の硬化物の23℃、湿度50%における屈折率(nD)は、1.72であった。
Claims (6)
- 少なくとも一般式(1)で表されるジチオカルバメート化合物と、一般式(2)で表されるポリチオールと硬化剤とを含有する硬化性組成物。
- 前記一般式(2)で表されるポリチオールが1,2,3−トリメルカプトプロパン又は2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンである、請求項1記載の硬化性組成物。
- 硬化剤がラジカル重合開始剤である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
- ポリチオール中のチオール基のモル数に対するジチオカルバメート化合物中の不飽和結合のモル数の比が1〜5である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性組成物を硬化して得られるエン・チオール硬化物。
- 光重合により硬化させる、請求項5に記載のエン・チオール硬化物の製造方法。
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