JP5546341B2 - 着色透明被膜、熱線吸収用透明被膜及びその製造方法 - Google Patents

着色透明被膜、熱線吸収用透明被膜及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属やガラスの表面に塗布し、高温で焼成することにより、金属やガラスの意匠性を変えたり、特定波長の光を吸収あるいは透過させたり、反射させる耐熱性に優れた機能性透明膜に関する。
従来、機能性透明膜を得るには、有機系樹脂に染料の添加や有機顔料を添加する方法が取られている。しかし、これらの方法で得られた機能性透明膜は耐熱性や耐光性に劣るという問題がある。
ゾルーゲル法などにより得られたシリコーン化合物の重合物にナノサイズの無機顔料分散液を添加し、この液を塗布後、焼成するという方法が取られている。この場合、まず、無機顔料をナノサイズに粉砕し、分級するか、気相法でナノサイズの無機顔料を得るかしなければならない。これらの方法で得られた無機顔料の1次粒子はナノサイズであるが、凝集しやすいので、2次粒子はナノサイズでなくなり、このものを単に分散し、ゾルーゲル法などにより得られたシリコーン化合物の重合物に添加しても不透明な膜となり、透明膜は得られない。そのため、無機顔料を分散剤でナノ分散機を用いて有機溶媒中にナノサイズで分散させなければならない。ナノ分散された無機顔料粒子は分散液中で凝集するという問題や、シリコーン化合物と混合した時の凝集や増粘という問題が少ない場合でも、経時的に凝集や増粘してくるので、この分散液のポットライフやシェルフライフが短いという問題がある。また、分散剤の使用が不可欠なので、膜形成成分であるシリコーン化合物との相溶性が悪いと不透明な膜になるという問題もある。無機顔料をナノサイズに粉砕し、分級するか、気相法でナノサイズの無機顔料を得る方法は収率が低く、経済的ではない。
蒸着により機能性透明膜を得ることも可能であるが、形状が限定され、被塗装物をセットする作業に手間を要する。また、真空蒸着装置などは高価であり、経済的ではない。
本発明に於いては、有機溶剤に可溶な有機金属化合物を有機溶剤に溶解させ、ゾルーゲル法などにより得られたシリコーン化合物の重合物の有機溶剤に溶解させた溶液と混合し、金属やガラスあるいはセラミックの表面に塗布し、高温で焼成することにより、金属やガラスの意匠性を変えたり、特定波長の光を吸収あるいは透過させたり、反射させる機能性透明膜を提供することを目的とする。
上記の課題を解決すべく、鋭意研究した結果、無機顔料を必要とせず、無機顔料を粉砕や気相法でナノサイズにする手間や分散させる手間を無くし、耐熱性に優れた機能性透明膜を提供すべく、有機金属化合物とシリコーン化合物を有機溶剤に溶解させて、金属やガラスあるいはセラミックの表面に塗布し、高温で焼成することにより、シリコーン化合物の重合物に溶解あるいは微分散された金属酸化物が得られるためか、耐熱性に優れた機能性透明膜が得られることがわかり、本目的を達成できることを確認した。また、有機金属化合物とシリコーン化合物を有機溶剤に溶解させた液は長時間の保存に耐えることも確認した。
有機金属化合物とシリコーン化合物の有機溶剤溶液を金属やガラスの表面に塗布し、高温で焼成することにより耐熱性に優れた機能性透明膜が得られることを確認した。
すなわち、本発明は、脂肪酸の金属塩、金属アルコキサイド、金属キレートから選ばれる1種又は2種以上である有機金属化合物と、アルコキシシランモノマー、又はポリマーあるいはこれらの混合物であるシリコーン化合物を溶剤に溶解し、基材上に塗布後、250℃以上の温度で焼成する工程を複数回繰り返して成る着色透明被膜である。
また本発明の着色透明被膜では、基材をガラスとすることができる。
さらに本発明の着色透明被膜では、脂肪酸の金属塩、金属アルコキサイド、金属キレートの金属が、チタン、タンタル、ビスマス、バナジウム、セシウム、ジルコニウム、アルミニウム、金、銀、銅、白金、鉄、クロム、ニッケル、コバルト、パラジウム、ロジウム、インジウム、セリウム、アンチモン、スズ、ルテニウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、タングステン、マンガンから選ばれる1種又は2種以上である金属とすることができる。
さらに本発明の着色透明被膜では、脂肪酸の金属塩を、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、オクチル酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸やリノレン酸を2量化して得られたダイマー酸、ナフテン酸から選ばれる1種又は2種以上の脂肪酸の金属塩とすることができる。
また本発明においては、シリコーン化合物を、アルコキシシランモノマーを酸触媒下で、室温〜100℃で反応させて得られる反応混合物とすることができる。また、膜の硬度や屈折率を調整することを目的として、アルコキシ基やアセチルアセトナート基などを有するチタニウム、ジルコニウム、アルミニウムなどのカップリング剤を必要に応じて併用して、反応させても良い。また、これらのカップリング剤をシリコーン化合物に混合して、使用しても良い。本発明ではこれらの樹脂を総称して、シリコーン化合物と言う。
また、本発明の着色透明被膜においては、有機金属化合物の金属を、チタン、タンタル、ビスマス、バナジウム、セシウム、ジルコニウム、アルミニウム、金、銀、銅、白金、鉄、クロム、ニッケル、コバルト、パラジウム、ロジウム、インジウム、セリウム、アンチモン、スズ、ルテニウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、タングステン、マンガンから選ばれる2種以上の異なる金属とすることができる。
さらに本発明の着色透明被膜では有機金属化合物の金属を2種類以上使用することにより、鮮やかな色合いの機能性膜を容易に得ることができる。例えば、コバルトとアルミニウムを併用するとコバルトブルーカラーの透明着色膜が得られ、ビスマスとバナジウムを併用するとレモンイエローカラーの透明着色膜が得られ、セリウム、ジルコニウムとビスマスの3種類の有機金属化合物を使用するとイエローカラーの透明着色膜が得られ、アンチモンあるいはインジウムとスズを併用すると透明な導電性膜や透明な熱線吸収膜が容易に得られる。
さらに本発明の着色透明被膜では、金属キレートとしてアセチルアセトン又はアセト酢酸エステルなどのキレートが挙げられる。
また本発明の着色透明被膜では、焼成温度を500℃以上とすることが望ましい。
さらに本発明は、脂肪酸の金属塩、金属アルコキサイド、金属キレートから選ばれる1種又は2種以上である有機金属化合物と、アルコキシシランモノマー、又はポリマーあるいはこれらの混合物であるシリコーン化合物を溶剤に溶解し、金属若しくはガラスに塗布後、250℃以上の温度で焼成してなる工程を複数回繰り返す着色透明被膜の製造方法である。
また本発明の着色透明被膜の製造方法においては、シリコーン化合物を、アルコキシシランモノマーを酸触媒下で、室温〜100℃で反応させて得られる反応混合物とすることができる。また、膜の硬度や屈折率を調整することを目的として、アルコキシ基やアセチルアセトナート基などを有するチタニウム、ジルコニウム、アルミニウムなどのカップリング剤を必要に応じて併用して、反応させても良い。また、これらのカップリング剤をシリコーン化合物に混合して、使用しても良い。本発明ではこれらの樹脂を総称して、シリコーン化合物と言う。
さらに、本発明は、以上述べた着色透明被膜を用いた熱線吸収用透明膜である。
本発明の機能性透明膜は、無機顔料を用いることなく機能性透明膜を得ることができるので、無機顔料を必要とせず、無機顔料を粉砕や気相法でナノサイズにする手間や分級させる手間を無くし、分級による収率のロスを無くし、ナノサイズに分級された無機顔料を分散させる手間を無くし、耐熱性に優れた機能性透明膜を提供することが出来る。
本発明で用いる有機金属化合物は脂肪酸の金属塩か金属アルコキサイドあるいは金属キレートの1種又は2種以上を用いることが出来る。
有機金属化合物は有機溶剤に可溶であることが必要であり、脂肪酸の金属塩の場合、使用する脂肪酸としては飽和、不飽和、直鎖、分岐、環状のものが使用できる。具体的には、炭素数3以上の脂肪酸が好ましく、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、オクチル酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸のような飽和、不飽和、直鎖、分岐脂肪酸、オレイン酸、リノール酸やリノレン酸を2量化して得られたダイマー酸、ロジンに代表される樹脂酸、塗料の乾燥剤に用いられるナフテン酸などが使用できる。
金属アルコキサイドはメトキサイド、エトキサイド、プロポキサイド、イソプロポキサイド、ブトキサイドなどが使用でき、金属キレートではアセチルアセトンやアセト酢酸エステルなどのキレートが使用できる。
有機金属化合物、金属アルコキサイド、金属キレートの金属としては、チタン、タンタル、ビスマス、バナジウム、セシウム、ジルコニウム、アルミニウム、金、銀、銅、白金、鉄、クロム、ニッケル、コバルト、パラジウム、ロジウム、インジウム、セリウム、アンチモン、スズ、ルテニウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、タングステン、マンガンなどを使用することが出来る。
また、脂肪酸の金属塩か金属アルコキサイドあるいは金属キレートを2種以上をシリコーン系樹脂と均一に溶解させ、塗布後、焼成することにより、複合酸化物が得られるためか、鮮やかな色の透明膜を得ることもできる。また、インジウムとスズあるいはアンチモンとスズのような2種以上の金属を併用することにより、導電性や熱線吸収といったような機能を有する膜を得ることもできる。
脂肪酸の金属塩か金属アルコキサイドあるいは金属キレートはシリコーン系樹脂や有機溶剤に溶解していなければならない。
有機溶剤としては、シクロヘキサン、デカン、ケロシン、ミネラルスピリット、テルペン等の脂肪族系溶剤やトルエン、キシレン、ニトロベンゼン等の芳香族系溶剤、エチルアルコール、プロピルアルコールのようなアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン系溶剤、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルのようなエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル系溶剤等を単独あるいは併用して用いることができる。
本発明において用いるシリコーン化合物(シリコーン系樹脂)は、アルキル基、アルコキシル基、エポキシ基、フェニル基、ビニル基、メタクリロキシ基、スチリル基、アクリロキシ基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアネート基、アミノ基を有するアルコキシシラン類及びその縮合反応物である。また、本発明において用いるシリコーン化合物(シリコーン系樹脂)はアルコキシチタン、アルコキシジルコニウム、アルコキシアルミニウムのようなアルコキシ化合物を併用して用いることもできる。
また、これらのシリコーン化合物を塩酸触媒等で重合させたゾルーゲル液をシリコーン化合物(ポリマー)として使用することができ、さらに、モノマーとポリマーの混合物を用いることもできる。
さらにまた、本発明においてはこのようなシリコーン化合物とチタンやジルコニウムやアルミニウムのアルコキシ化合物並びにチタンやアルミニウムのアセチルアセトナートのようなキレート化合物を同時にゾルーゲル反応させたものも使用することができる。
ゾルーゲル反応の触媒は塩酸に限らず、硫酸、硝酸、燐酸のような無機酸、酢酸、プロピオン酸のような有機酸、3フッ化ホウ素のようなルイス酸などが使用できる。また、ゾルーゲル反応物に残存するアルコキシ基の一部を水で加水分解したものをシリコーン系樹脂として使用しても良い。
反応温度はとくに制限は無いが通常室温〜100℃で行い、反応時間もとくに制限は無いが通常0.5時間から24時間程度行うのが好ましい。反応は室温以下でも進行するが、室温以上で反応させた方が経済的である。
シリコーン化合物の作用としては膜としての機能のみならず、有機金属化合物は脂肪酸の金属塩か金属アルコキサイドあるいは金属キレートを溶解させる作用も有している。
本発明において、有機溶剤に可溶な有機金属化合物を有機溶剤に溶解させ、ゾルーゲル法などにより得られたシリコーン系樹脂の有機溶剤に溶解させた溶液との混合物を金属やガラスの表面に塗布する方法としては浸漬塗装方法(ディッピングコート法)、ハケやローラによる塗装、エアガンやエアゾルによるスプレー塗装方法、スピンコート法などがあげられる。
機能性を向上させるために、薄膜を塗り重ねることもできる。
本発明で用いる基材は、何でも良いが典型的にはガラス、陶器、セラミック、金属のような耐熱性に優れた基材である。基材の形状は、板状でも、電球のような曲面状でも、中空シリカのような球状でも良く、不定形であっても良い。
また、本発明においてはアンチモンースズ複合酸化物やインジウムースズ複合酸化物などの機能性を付与した基材の上に塗布しても良い。
また、本発明で用いる基材は、透明であることが好ましい。このような透明基材としては、ソーダガラス、鉛クリスタルガラス、石英ガラス、硼珪酸ガラス(耐熱ガラス)等の各種のガラス、透明な陶磁器を用いることができる。しかし、本発明による機能性膜の用途は透明な基材に限定されるものではなく、セラミック基材への導電性付与などにも用いることができる。
本発明においては、高温で焼成することにより機能性がより発現できる。焼成する温度はシリコーン樹脂や金属アルコキサイド、有機金属塩、有機金属キレートなどの有機化合物を分解させる温度が好ましく、さらに、金属を2種以上併用している場合などでは、複合酸化物を形成させる温度であることが好ましい。従って、焼成温度は250℃以上が必要であり、500℃以上がより好ましい。
本発明においては、基材への密着性向上を目的として、湿潤分散剤を添加しても支障はなく、レベリング剤やレオロジーコントロール剤を併用することもできる。
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
(合成例1シリコーン化合物の合成)
500mlPP製三角フラスコに攪拌子を入れ、そこにテトラエトキシシラン(TEOS)62.4g(0.3モル)、メチルトリメトキシシラン(MTMS)54.4g(0.4モル)、ジメチルジエトキシシラン(DMDES)44.4g(0.3モル)、イソプロピルアルコール160gを加えた。
3N−塩酸水溶液10gをスポイドで徐々に添加した。3N−塩酸水溶液を室温で滴下したが、3N−塩酸水溶液の滴下に伴い、温度は50℃まで上昇した。加温せず、8時間攪拌した。その後、塩酸を除去するために、イオン交換樹脂を加え、ろ過した。ろ液を浴温50℃のロータリーエバポレーターで濃縮後、イソプロピルアルコールを加え、不揮発分45%の液を318g得た。
(合成例2シリコーン化合物の合成)
500mlPP製三角フラスコに攪拌子を入れ、そこにテトラメトキシシラン(TMOS)45.6g(0.3モル)、メチルトリメトキシシラン(MTMS)68.1g(0.5モル)、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)23.6g(0.1モル)、チタニウムテトラアセチルアセトナート(TTAA)44.4g(0.1モル)、イソプロピルアルコール160gを加えた。3N−塩酸水溶液6gをスポイドで徐々に添加した。60℃で、3時間反応させた。その後、塩酸を除去するために、イオン交換樹脂を加え、ろ過した。ろ液を浴温50℃のロータリーエバポレーターで濃縮後、イソプロピルアルコールを加え、不揮発分45%の液を315g得た。
薄青色透明膜の作成
オクチル酸コバルトのキシレン溶液(Co含有率:8%)30gと合成例1で得たシリコーン化合物20gを混合し、石英ガラスに浸漬法により塗布した。
室温で乾燥後、530℃で10分間焼成した。この操作を6回繰り返し、薄い青色の透明膜を得た。
青色透明膜の作成
ヘキサン酸コバルトのキシレン溶液(Co含有率:12%)27.4g(0.056モル)、アルミニウムアセチルアセトナート80%溶液45.2g(0.112モル)と合成例1で得たシリコーン化合物20gを混合し、石英ガラスに浸漬法により塗布した。室温で乾燥後、530℃で10分間焼成した。この操作を3回繰り返し、青色の透明膜を得た。
黄色透明膜の作成
トリイソプロポキシセリウム2.54g(0.008モル)、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート3.66g(0.08モル)、トリエトキシビスマス1.38g(0.004モル)を合成例1で得たシリコーン化合物10gに溶解させ、石英ガラスに浸漬法により塗布した。室温で乾燥後、530℃で10分間焼成した。この操作を3回繰り返し、黄色の透明膜を得た。
レモンイエロー色透明膜の作成
トリイソプロポキシバナジウム2.44g(0.01モル)、トリエトキシビスマス3.44g(0.01モル)を合成例1で得たシリコーン化合物10gに溶解させ、石英ガラスに浸漬法により塗布した。室温で乾燥後、450℃で30分間焼成した。この操作を3回繰り返し、レモンイエロー色の透明膜を得た。
(参考例)
熱線吸収透明膜の作成
トリイソプロポキシインジウム5.84g(0.02モル)、ジブチルスズジマレエート3.47g(0.01モル)を合成例1で得たシリコーン化合物20gに溶解させ、30cm×30cmの石英ガラスにスプレー法により塗布した。室温で乾燥後、530℃で10分間焼成した。この操作を5回繰り返し、無色の透明膜を得た。このガラスを横20cm×縦30cm×高さ20cmのダンボール箱の上に置き、ガラスの上から赤外線ランプで赤外線を照射した。その箱の中に手を入れたが暖かさを感じなかった。
実施例5)
青色透明膜の作成
ヘキサン酸コバルトのキシレン溶液(Co含有率:12%)27.4g(0.056モル)、アルミニウムアセチルアセトナート80%溶液45.2g(0.112モル)と合成例2で得たシリコーン化合物10gを混合し、5cm×6cmのステンレス板に浸漬法により塗布した。室温で乾燥後、800℃で60分間焼成し、青色の透明膜を得た。
実施例6
青色熱線吸収透明膜の作成
ヘキサン酸コバルトのキシレン溶液(Co含有率:12%)27.4g(0.056モル)、アルミニウムアセチルアセトナート80%溶液45.2g(0.112モル)と合成例2で得たシリコーン化合物10gを混合し、30cm×30cmのアンチモンースズ複合酸化物の透明膜を付した石英ガラスにスプレー法により塗布した。室温で乾燥後、530℃で10分間焼成した。この操作を5回繰り返し、青色の透明膜を得た。このガラスを横20cm×縦30cm×高さ20cmのダンボール箱の上に置き、ガラスの上から赤外線ランプで赤外線を照射した。その箱の中に手を入れたが暖かさを感じなかった。
比較例1
ヘキサン酸コバルトのキシレン溶液(Co含有率:12%)27.4g(0.056モル)、アルミニウムアセチルアセトナート80%溶液45.2g(0.112モル)を混合し、石英ガラスに浸漬法により塗布した。室温で乾燥後、530℃で10分間焼成した。この操作を3回繰り返し、青色の塊状物を得た。膜にはならず、脆い塊であった。
比較例2
トリイソプロポキシセリウム2.54g(0.008モル)、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート3.66g(0.08モル)、トリエトキシビスマス1.38g(0.004モル)とイソプロピルアルコールを混合したが、溶解しなかった。
比較例3
合成例1で得たシリコーン化合物を30cm×30cmの石英ガラスにスプレー法により塗布した。室温で乾燥後、530℃で10分間焼成した。この操作を5回繰り返し、無色の透明膜を得た。このガラスを横20cm×縦30cm×高さ20cmのダンボール箱の上に置き、ガラスの上から赤外線ランプで赤外線を照射した。その箱の中に手を入れたところ暖かさを感じた。
本発明の着色透明被膜は、建築用窓ガラス、自動車用窓ガラス、照明灯用のランプ、装飾用ランプ、家具用ガラス、導電性セラミック、金属の装飾等の多くの分野で使用することができ、産業上極めて有用である。

Claims (10)

  1. 脂肪酸の金属塩、金属アルコキサイド、金属キレートから選ばれる1種又は2種以上である有機金属化合物と、アルコキシシランモノマー、又はポリマーあるいはこれらの混合物であるシリコーン化合物を溶剤に溶解し、基材上に塗布後、250℃以上の温度で焼成する工程を複数回繰り返して成る着色透明被膜。
  2. 基材が、ガラスである請求項1記載の着色透明被膜。
  3. 脂肪酸の金属塩、金属アルコキサイド、金属キレートの金属が、チタン、タンタル、ビスマス、バナジウム、セシウム、ジルコニウム、アルミニウム、金、銀、銅、白金、鉄、クロム、ニッケル、コバルト、パラジウム、ロジウム、インジウム、セリウム、アンチモン、スズ、ルテニウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、タングステン、マンガンから選ばれる1種又は2種以上である金属である請求項1又は請求項2に記載の着色透明被膜。
  4. 有機金属化合物の金属が、チタン、タンタル、ビスマス、バナジウム、セシウム、ジルコニウム、アルミニウム、金、銀、銅、白金、鉄、クロム、ニッケル、コバルト、パラジウム、ロジウム、インジウム、セリウム、アンチモン、スズ、ルテニウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、タングステン、マンガンから選ばれる2種以上の異なる金属であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の着色透明被膜。
  5. 脂肪酸の金属塩が、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、オクチル酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸やリノレン酸を2量化して得られたダイマー酸、ナフテン酸から選ばれる1種又は2種以上である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の着色透明被膜。
  6. 金属アルコキサイドが、メトキサイド、エトキサイド、プロポキサイド、イソプロポキサイド、ブトキサイドから選ばれる1種であり、金属キレートが、アセチルアセトンやアセト酢酸エステルである請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の着色透明被膜。
  7. 焼成温度が500℃以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかひとつに記載の着色透明被膜。
  8. 脂肪酸の金属塩、金属アルコキサイド、金属キレートから選ばれる1種又は2種以上である有機金属化合物と、アルコキシシランモノマー、又はポリマーあるいはこれらの混合物であるシリコーン化合物を溶剤に溶解し、金属若しくはガラスに塗布後、250℃以上の温度で焼成してなる工程を複数回繰り返す着色透明被膜の製造方法。
  9. シリコーン化合物が、アルコキシシランモノマーを酸触媒下で、室温〜100℃で反応させて得られる反応混合物である請求項8記載の着色透明被膜の製造方法。
  10. 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の着色透明被膜を用いた熱線吸収用透明被膜
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