JP5545532B2 - 磁気メモリ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気メモリ及びその製造方法に関し、特に、垂直磁気異方性を有する磁壁移動層を有し、該磁壁移動層に電流誘起磁壁移動を利用して書き込みを行うメモリセルを有する磁気メモリ及びその製造方法に関する。
磁気メモリ、特に磁気ランダムアクセスメモリ(Magnetic Random Access Memory; MRAM)は、高速動作および無限回の書き換えが可能な不揮発性メモリである。このことから、MRAMの実用化は一部で始まっており、また、より汎用性を高めるための開発が行われている。MRAMは、記憶素子として磁性体を用い、その磁性体の磁化の向きに対応させてデータを記憶する。記憶素子に所望のデータを書き込むためには、磁性体の磁化をそのデータに対応した向きにスイッチさせる。この磁化方向のスイッチング方法としていくつかの方式が提案されているが、いずれも電流(以下、「書き込み電流」と参照される)を使う点では共通している。MRAMを実用化する上では、この書き込み電流をどれだけ小さくできるかが非常に重要である。
非特許文献1(N.Sakimura
et al.,“MRAM Cell Technology for Over 500-MHz SoC”,IEEE JOURNAL OF SOLID-STATE
CIRCUITS,VOL.42,NO.4,pp.830-838,2007.)によれば、書き込み電流を0.5mA以下へ低減することでセル面積が既存の混載SRAMと同等になることが示されている。
MRAMへのデータ書き込み方法のうちで最も一般的なのは、磁性記憶素子の周辺に書き込みのための配線を配置し、この配線に書き込み電流を流すことで磁場を発生させ、その磁場によって磁性記憶素子の磁化方向をスイッチングさせる方法である。この方法によれば、原理的には1ナノ秒以下での書き込みが可能であり、高速MRAMを実現する上では好適である。しかしながら、熱安定性及び外乱磁場耐性が確保された磁性体の磁化をスイッチングするための磁場は、一般的には数10Oe(エールステッド)程度であり、このような磁場を発生させるためには数mA程度の書き込み電流が必要となる。この場合、チップ面積が大きくならざるを得ず、また書き込みに要する消費電力も増大するため、他のランダムアクセスメモリと比べて競争力で劣る。これに加えて、素子が微細化されると、書き込み電流はさらに増大してしまい、スケーリング性の点でも好ましくない。
近年、このような問題を解決する手段として、以下の2つの方法が提案されている。
1つ目は、スピン注入磁化反転(Spin Torque Transfer)方式である。スピン注入磁化反転方式によれば、反転可能な磁化を有する第1の磁性層と、それに電気的に接続され、磁化方向が固定された第2の磁性層から構成された積層膜において、第2の磁性層と第1の磁性層の間で書き込み電流が流される。このとき、スピン偏極した伝導電子と第1の磁性層中の局在電子との間の相互作用により、第1の磁性層の磁化を反転させることができる。読み出しの際には、第1の磁性層と第2の磁性層との間で発現する磁気抵抗効果が利用される。従って、スピン注入磁化反転を用いた磁性記憶素子は、2端子の素子となる。スピン注入磁化反転はある電流密度以上のときに起こるため、素子サイズが小さくなれば、書き込みに要する電流は低減される。すなわち、スピン注入磁化反転方式はスケーリング性に優れていると言うことができる。しかしながら、一般的に第1の磁性層と第2の磁性層の間には絶縁層が設けられ、書き込みの際には比較的大きな書き込み電流をこの絶縁層を貫通して流さなければならず、書き換え耐性や信頼性が課題となる。また、書き込み電流経路と読み出し電流経路が同じになることから、読み出しの際の誤書き込みも懸念される。このように、スピン注入磁化反転はスケーリング性には優れているものの、実用化にはいくつかの障壁がある。
2つ目は、電流誘起磁壁移動(Current Driven Domain Wall Motion)方式である。電流誘起磁壁移動を利用したMRAMは、例えば特許文献1(特開2005−191032号公報)に開示されている。一般的な電流誘起磁壁移動型のMRAMでは、反転可能な磁化を有する磁性層(データを記憶する磁壁移動層)が設けられ、その磁壁移動層の両端部の磁化が互いに略反平行となるように固定される。このような磁化配置により、磁壁移動層内に磁壁が導入される。ここで、非特許文献2(A.Yamaguchi et al.,“Real-Space Observation of Current-Driven Domain
Wall Motion in Submicron Magnetic Wires”,PHYSICAL REVIEW
LETTERS,VOL.92,NO.7,077205,2004.)で報告されているように、磁壁を貫通する方向に電流を流したとき、その磁壁は伝導電子の方向に移動する。従って、磁壁移動層に面内方向の書き込み電流を流すことにより、その電流方向に応じた向きに磁壁を移動させ、所望のデータを書き込むことが可能となる。読み出しの際には、磁壁が移動する領域を含む磁気トンネル接合が用いられ、磁気抵抗効果に基づいて読み出しが行われる。従って、電流誘起磁壁移動を利用した磁性記憶素子は、3端子の素子となる。また、スピン注入磁化反転と同様に、電流誘起磁壁移動もある電流密度以上のときに起こる。従って、電流誘起磁壁移動方式もスケーリング性に優れていると言える。それに加えて、電流誘起磁壁移動方式の場合、書き込み電流が絶縁層を流れることはなく、また、書き込み電流経路と読み出し電流経路とは別となる。従って、スピン注入磁化反転の場合の上述の問題点が解決される。
尚、上述の非特許文献2では、電流誘起磁壁移動に必要な電流密度として1×10[A/cm]程度が報告されている。
非特許文献3(S.Fukami
et al.,“Micromagnetic analysis of current driven domain wall motion in
nanostrips with perpendicular magnetic anisotropy”,JOURNAL OF APPLIED
PHYSICS,VOL.103,07E718,2008.)には、電流誘起磁壁移動方式における垂直磁気異方性材料の有用性が述べられている。具体的には、磁壁移動が起こる磁壁移動層が垂直磁気異方性を有している場合に書き込み電流を十分小さく低減できることが、マイクロマグネティックシミュレーションを通して判明している。
特許文献2(国際公開WO/2009/001706号)には、垂直磁気異方性を有する磁性体を用いた磁気抵抗効果素子、及びそれをメモリセルとして備えたMRAMが開示されている。図1は、特許文献2に開示された磁気抵抗効果素子を模式的に示す断面図である。磁気抵抗効果素子170は、磁壁移動層110と、スペーサ層120と、参照層130とを具備している。
磁壁移動層110は、垂直磁気異方性を有する強磁性体で形成されている。磁壁移動層110は、第1磁化固定領域111a、第2磁化固定領域111b、及び磁化自由領域113を有している。磁化固定領域111a、111bは磁化自由領域113の両側に配置されている。磁化固定領域111a、111bの磁化は互いに逆方向(反平行)に固定されている。例えば図1に示されるように、第1磁化固定領域111aの磁化方向は+z方向に固定され、第2磁化固定領域111bの磁化方向は−z方向に固定されている。一方、磁化自由領域113の磁化方向は、磁化固定領域111a、111bの一方から他方へ流れる書込み電流により反転可能であり、+z方向あるいは−z方向となる。従って、磁化自由領域113の磁化方向に応じて、磁壁移動層110内には磁壁112a又は磁壁112bが形成される。データは、磁化自由領域113の磁化の向きとして記憶される。磁壁112の位置(112a又は112b)として記憶されると見ることもできる。磁化方向が固定された強磁性体である参照層130、非磁性層(絶縁層)のスペーサ層120及び磁化自由領域113は磁気トンネル接合(MTJ)を形成している。データは、MTJの抵抗値の大小として読み出される。
この特許文献2には、磁壁移動層110が垂直磁気異方性を有する場合、書き込み電流を低減することが可能であることが開示されている。
同様の技術が、特許文献3(特開2009−252909号公報)に開示されている。この公報は、磁壁が移動する強磁性層の材料について言及しており、該強磁性層が、Co/Pd、Co/Pt,Co/Ni、Fe/Auの積層膜であることが開示されている。
垂直磁気異方性を持つ磁性層を形成する場合、下地層を設けることがある。例えば、特許文献4(特開2008−135676号公報)は、CoFeSiBとPtとで構成される積層構造を有し垂直磁気異方性を持つ磁性層の下地層として、Ta層と、その上に形成されたPt層とを用いることを開示している。また、GMR素子に2層の下地層を用いる技術が、特許文献5(特開平11−87802号公報)に開示されている。
特開2005−191032号公報 国際公開WO2009/001706号パンフレット 特開2009−252909号公報 特開2008−135676号公報 特開平11−87802号公報
N.Sakimuraet al.,"MRAM Cell Technology for Over 500-MHz SoC",IEEE JOURNAL OF SOLID-STATECIRCUITS,VOL.42,NO.4,pp.830-838,(2007). A.Yamaguchiet al.,"Real-Space Observation of Current-Driven Domain Wall Motion inSubmicron Magnetic Wires",PHYSICAL REVIEW LETTERS,VOL.92,NO.7,077205,(2004). S.Fukamiet al.,"Micromagnetic analysis of current driven domain wall motion innanostrips with perpendicular magnetic anisotropy",JOURNAL OF APPLIEDPHYSICS,VOL.103,07E718,(2008). A.Thiaville et al., "Domain wall motion by spin-polarized current: amicromagnetic study", JOURNAL OF APPLIED PHYSICS, VOL. 95, NO. 11,pp.7049-7051, (2004). G.H.O.Daalderopet al.,"Prediction and Confirmation of Perpendicular Magnetic Anisotropy inCo/Ni Multilayers",PHYSICAL REVIEW LETTERS,VOL.68,NO.5,pp.682-685,(1992). T.Suzukiet al.,"Evaluation of Scalability for Current-Driven Domain Wall Motion in aCo/Ni Multilayer Strip for Memory Applications",IEEE TRANS ACTIONS ONMAGNETICS,VOL.45,NO.10,pp.3776-3779,(2009).
上述の非特許文献3や特許文献2、3などに開示されているように、磁壁移動層(磁壁移動層)が垂直磁気異方性を有している場合、その磁壁移動層において、他の方法と比較してより小さな書き込み電流により磁壁移動を起こすことが可能である。
ここで、発明者は、今回次の点を検討した。垂直磁気異方性を有する強磁性体で磁壁移動層を形成した場合、磁壁移動層のスピン分極率を更に大きくすることができれば、書き込み電流を更に小さくすることが可能であると考えた。強磁性体におけるスピン分極率と垂直磁気異方性(異方性磁界)との関係を明らかにして、磁壁移動層に最適な垂直磁気異方性(異方性磁界)を持たせることによりスピン分極率を更に大きくすることで、書き込み電流を更により小さくすることができると考えられる。
本発明の1つの目的は、垂直磁気異方性を有する磁壁移動層を有し、該磁壁移動層に電流誘起磁壁移動を利用して書き込みを行うメモリセルを有する磁気メモリを、より低い書き込み電流で書き込み可能にするための技術を提供することにある。
本発明の一の観点では、磁気メモリがメモリセルを具備する。メモリセルは、Ti、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wのいずれか、又はこれらの群から選択される2以上の材料からなる第1下地層と、第1下地層と接触するように第1下地層上に形成された、Cu、Rh、Pd、Ag、Ir、Pt、Auのいずれか、又はこれらの群から選択される2以上の材料からなる第2下地層と、第2下地層と接触するように第2下地層の上に形成された、垂直磁気異方性を有する磁壁移動層とを備えている。磁壁移動層は、磁化方向が反転可能な磁化自由領域を有しており、磁化自由領域の磁化方向は、書き込み電流を磁化自由領域に流すことによって電流誘起磁壁移動によって反転される。第2下地層の膜厚は、0.9nm以下である。
本発明の他の観点では、磁気メモリの製造方法が、Ti、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wのいずれか、又はこれらの群から選択される2以上の材料からなる第1下地層を形成する工程と、第1下地層の上に、Cu、Rh、Pd、Ag、Ir、Pt、Auのいずれか、又はこれらの群から選択される2以上の材料からなる第2下地層を形成する工程と、第2下地層の上に、磁化方向が反転可能な磁化自由領域を有し、且つ、垂直磁気異方性を有する磁壁移動層を形成する工程と、磁化自由領域の磁化方向を電流誘起磁壁移動によって反転する書き込み電流を磁化自由領域に流すための電極を設ける工程とを具備する。第2下地層の膜厚は、0.9nm以下である。
本発明によれば、電流誘起磁壁移動を利用して書き込みを行うメモリセルを有する磁気メモリにおいて、より低い書き込み電流で書き込み可能にするための技術を提供することができる。
図1は、従来の磁気抵抗効果素子を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る磁気抵抗効果素子の構成を示す概略断面図である。 図3は、図2の磁気抵抗効果素子の構成を示す平面図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る1ビット分のメモリセルの構成例を示す模式回路図である。 図5は、本発明の一実施形態に係る磁気メモリの構成例を示すブロック図である。 図6は、本発明の実施例1における、書き込みに必要な書き込み電流とPt膜厚の関係を示すグラフである。 図7は、本発明の実施例2における、書き込みに必要な書き込み電流とPt膜厚の関係を示すグラフである。 図8は、本発明の実施例3における、必要な書き込み電流と第2下地層の膜厚の関係を示すグラフである。 図9は、本発明の実施例3における、垂直磁気異方性定数と第2下地層の膜厚の関係を示すグラフである。 図10は、本発明の実施例4における、垂直磁気異方性定数とアニール温度の関係を示すグラフである。
添付図面を参照して、本発明の一実施形態の磁気メモリについて説明する。
図2は、本発明の一実施形態の磁気メモリのメモリセルに使用される磁気抵抗効果素子70の構成を示す概略断面図である。各メモリセルは、磁気抵抗効果素子70を備えている。その磁気抵抗効果素子70は、磁壁移動層10と、スペーサ層20と、参照層30とを具備している。
磁壁移動層10は、垂直磁気異方性を有する強磁性体で形成されている。磁壁移動層10は、磁化方向が反転可能な領域を含んでおり、その磁化状態に応じてデータを記憶する。より詳細には、磁壁移動層10は、第1磁化固定領域11a、第2磁化固定領域11b、及び磁化自由領域13を有している。
磁化固定領域11a、11bは磁化自由領域13にそれぞれ隣接して設けられている。
磁化固定領域11a、11bの磁化は互いに逆方向(反平行)に固定されている。図2の例では、第1磁化固定領域11aの磁化方向は+z方向に固定され、第2磁化固定領域11bの磁化方向は−z方向に固定されている。磁化固定方法としては、例えば、磁化固定領域11a、11bのそれぞれに隣接して+z/−z方向に磁化が固定されたハード層(図示されず)を設ける方法が考えられる。
磁化自由領域13の磁化方向は反転可能であり、+z方向及び−z方向のいずれかになり得る。従って、磁化自由領域13の磁化方向に応じて、磁壁移動層10内には磁壁12(12a又は12b)が形成される。図2の例では、磁化自由領域13の磁化方向が+z方向の場合、磁化自由領域13と第2磁化固定領域11bとの間に磁壁12bが形成される。一方、磁化自由領域13の磁化方向が−z方向の場合、磁化自由領域13と第1磁化固定領域11aとの間に磁壁12aが形成される。すなわち、磁壁移動層10は少なくとも一つの磁壁12(12a又は12b)を有し、その磁壁12の位置は磁化自由領域13の磁化方向に対応している。
図3は、磁壁移動層10の構造を示す平面図である。図3に図示されているように、磁化固定領域11a、11bは、磁化自由領域13よりもその幅が大きくなるように形成されている。ここで、磁化固定領域11a、11b、磁化自由領域13の「幅」とは、第1磁化固定領域11a、磁化自由領域13、第2磁化固定領域11bが並ぶ方向(図3では、x軸方向)に垂直な方向(y軸方向)において定義されることに留意されたい。後述のように、磁化固定領域11a、11bの幅が、磁化自由領域13の幅よりも大きいことは、磁壁の移動を磁化自由領域13と磁化固定領域11a又は11bの境界付近で停止させるという意味を持つ。
図2に戻り、スペーサ層20は、磁壁移動層10に隣接して設けられている。特に、スペーサ層20は、少なくとも磁壁移動層10の磁化自由領域13に隣接するように設けられている。このスペーサ層20は非磁性体で形成されている。より好適には絶縁体で形成される。
参照層30は、スペーサ層20に隣接して、磁壁移動層10とは反対側に設けられている。つまり、参照層30は、スペーサ層20を介して磁壁移動層10(磁化自由領域13)に接続されている。この参照層30は強磁性体で形成され、その磁化方向は一方向に固定されている。好適には、磁壁移動層10と同様に、参照層30も垂直磁気異方性を有する強磁性体で形成される。この場合、参照層30の磁化方向は、+z方向あるいは−z方向に固定される。図2の例では、参照層30の磁化方向は、+z方向に固定されている。
以上に説明された磁壁移動層10(磁化自由領域13)、スペーサ層20、及び参照層30は、磁気トンネル接合(Magnetic Tunnel Junction: MTJ)を形成している。すなわち、磁壁移動層10(磁化自由領域13)、スペーサ層20、及び参照層30は、MTJにおけるフリー層、バリア層、及びピン層に相当する。
なお、電極層(図示されず)が磁壁移動層10の両端にそれぞれ電気的に接続されている。特に、磁化固定領域11a、11bのそれぞれに接続されるように、2つの電極層(図示されず)が設けられている。これらの電極層は、磁壁移動層10に書き込み電流を導入するために用いられる。これら電極層は、上述したハード層を介して磁壁移動層10の両端に接続することができる。また、他の電極層(図示されず)が参照層30に電気的に接続されている。
加えて、下地層40が、磁壁移動層10の基板側に設けられている。磁壁移動層10は、下地層40を下地として用いることによって、下地層40の上に形成される。本実施形態の磁気メモリの一つの特徴は、下地層40が、良好なfcc(111)配向で磁壁移動層10を成長させ、所望の垂直磁気異方性が実現されるように構成される点にある。下地層40の構造及び機能については、後に詳細に説明する。
次に、本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子のデータの記憶状態について説明する。
ここでは、図2の例を用いて説明する。ただし、磁壁移動層10の磁化固定領域11a、11bの磁化方向はそれぞれ+z方向及び−z方向に固定され、参照層30の磁化方向は+z方向に固定されているとする。
図2の例において、磁壁移動層10の磁化自由領域13の磁化方向が+z方向の場合、磁化自由領域13と第2磁化自由領域11bとの境界に、磁壁12bが形成される。また、磁化自由領域13の磁化方向と参照層30の磁化方向は、互いに平行である。従って、MTJの抵抗値は比較的小さくなる。このような磁化状態は、例えばデータ“0”の記憶状態に対応付けられる。
一方、図2において、磁壁移動層10の磁化自由領域13の磁化方向が−z方向の場合、磁化自由領域13と第1磁化自由領域11aとの境界に、磁壁12aが形成される。また、磁化自由領域13の磁化方向と参照層30の磁化方向は、互いに反平行である。従って、MTJの抵抗値は比較的大きくなる。このような磁化状態は、例えばデータ“1”の記憶状態に対応付けられる。
このように、磁壁移動層10の磁化状態、すなわち、第1磁壁移動層10中の磁壁位置に対応して、2つの記憶状態が実現される。但し、上記の説明で定義された磁化状態と2つの記憶状態との間の対応関係は任意である。すなわち、磁壁移動層10は少なくとも一つの磁壁12(12a又は12b)を有し、その磁壁12の位置は磁化自由領域13の磁化方向に対応している。従って、磁壁移動層10は、その磁壁12の位置に対応してデータを記憶している。
更に続いて、本実施形態におけるメモリセルへのデータ書き込み方法について図2Aを参照して説明する。
磁壁移動層10がデータ“0”の状態(磁化自由領域13の磁化方向と参照層30の磁化方向が互いに平行な状態)にある場合において、データ“1”を書き込む場合について説明する。この場合、第1磁化自由領域11aから磁化自由領域13を経由して第2磁化自由領域11bへ書き込み電流を流す。伝導電子は、第2磁化固定領域11bから磁化自由領域13を経由して第1磁化固定領域11aへと流れる。このとき、第2磁化固定領域11bと磁化自由領域13の境界近傍に位置している磁壁12bにはスピントランスファートルク(Spin Transfer Torque; STT)が働き、磁壁12bは、第1磁化固定領域11aに向けて移動する。すなわち、電流誘起磁壁移動が起こる。ここで、第1磁化固定領域11aの幅が磁化自由領域13の幅より大きいため、書き込み電流(密度)は、第1磁化固定領域11aと磁化自由領域13との境界よりも第1磁化固定領域11a側で減少し、従って、磁壁12の移動はその境界近傍で停止する。このようにして、磁壁12bが第1磁化固定領域11aと磁化自由領域13の境界近傍に移動し、データ“1”の書き込みが実現される。
次に、磁壁移動層10がデータ“1”の状態(磁化自由領域13の磁化方向と参照層30の磁化方向が互いに反平行の状態)にある場合において、データ“0”を書き込む場合について説明する。その場合、第2磁化固定領域11bから磁化自由領域13を経由して第1磁化固定領域11aへ書き込み電流を流す。伝導電子は、第1磁化固定領域11aから磁化自由領域13を経由して第2磁化固定領域11bへと流れる。このとき、第1磁化固定領域11aと磁化自由領域13の境界近傍に位置している磁壁12aにはスピントランスファートルクが働き、磁壁12aは、第2磁化固定領域11bに向けて移動する。すなわち、電流誘起磁壁移動が起こる。ここで、第2磁化固定領域11bの幅が磁化自由領域13の幅より大きいため、書き込み電流(密度)は、第2磁化固定領域11bと磁化自由領域13との境界よりも第2磁化固定領域11b側で減少し、従って、磁壁12の移動はその境界近傍で停止する。このようにして、磁壁12aが第2磁化固定領域11bと磁化自由領域13の境界近傍に移動し、データ“0”の書き込みが実現される。
なお、データ“0”状態におけるデータ“0”書き込み、及びデータ“1”状態におけるデータ“1”書き込みを行った場合には状態変化は起こらない。すなわちオーバーライトが可能である。
一方、本実施形態のメモリセルでは、下記の手順によってデータ読み出しが行われる。
本実施形態では、トンネル磁気抵抗効果(Tunneling Magnetoresistive effect; TMR effect)を利用することにより、データ読み出しが行われる。そのために、MTJ(磁壁移動層10の磁化自由領域13、スペーサ層20、参照層30)を貫通する方向に、読み出し電流が流される。なお、読み出し電流の方向は任意である。このとき、磁気抵抗効果素子70がデータ“0”状態の場合、MTJの抵抗値は比較的小さくなる。データ”1”状態の場合、MTJの抵抗値は比較的大きくなる。従って、この抵抗値の値を検出することで、データを読み出すことができる。
次に、本実施形態に係る磁気抵抗効果素子70を有する磁気メモリセルについて説明する。
図4は、本発明の実施形態に係る1ビット分の磁気メモリセル80の構成例を示す模式回路図である。磁気メモリセル80は、磁気メモリ素子70と2つのトランジスタTRa、TRbを含む2T−1MTJ(2 Transistors-1 Magnetic Tunnel Junction)構成を有している。磁気抵抗効果素子70は、3端子の素子であり、ワード線WL、グラウンド線GL、及びビット線対BLa、BLbに接続されている。例えば、参照層30につながる端子は、グラウンド線GLに接続されている。磁壁移動層10の第1磁化固定領域11aにつながる端子は、トランジスタTRaを介してビット線BLaに接続されている。磁壁移動層10の第2磁化固定領域11bにつながる端子は、トランジスタTRbを介してビット線BLbに接続されている。トランジスタTRa、TRbのゲートは、共通のワード線WLに接続されている。
書き込み動作時、ワード線WLはHighレベルに設定され、トランジスタTRa、TRbがONされる。また、ビット線対BLa、BLbのいずれか一方がHighレベルに設定され、他方がLowレベル(グラウンドレベル)に設定される。その結果、トランジスタTRa、TRb、磁壁移動層10を経由して、ビット線BLaとビット線BLbとの間で書き込み電流が流れる。
読み出し動作時、ワード線WLはHighレベルに設定され、トランジスタTRa、TRbがONされる。また、ビット線BLaはオープン状態に設定され、ビット線BLbはHighレベルに設定される。その結果、読み出し電流Ireadが、ビット線BLbから磁気抵抗効果素子70のMTJを貫通してグラウンド線GLへ流れる。
次に、本発実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリ90の回路構成について説明する。図5は、本実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリ90の構成例を示すブロック図である。磁気ランダムアクセスメモリ90は、メモリセルアレイ91、Xドライバ92、Yドライバ93、及びコントローラ94を備えている。メモリセルアレイ91は、アレイ状に配置された複数の磁気メモリセル80から構成されている。既出の図3で示されたように、各磁気メモリセル80は、ワード線WL、グラウンド線GL、及びビット線対BLa、BLbに接続されている。Xドライバ92は、複数のワード線WLに接続されており、それら複数のワード線WLのうちアクセス対象の磁気メモリセル80につながる選択ワード線を駆動する。Yドライバ93は、複数のビット線対BLa、BLbに接続されており、各ビット線を書き込み動作あるいは読み出し動作に応じた状態に設定する。コントローラ94は、書き込み動作あるいは読み出し動作に応じて、Xドライバ92とYドライバ93のそれぞれを制御する。
次に、本実施形態における磁気抵抗効果素子70の磁壁移動層10の材料及び構成について説明する。上述の非特許文献3や特許文献3などに開示されているように、磁壁移動層が垂直磁気異方性を有している場合、その磁壁移動層において、他の方法と比較してより小さな書き込み電流により磁壁移動を起こすことが可能である。非特許文献4(A.Thiaville et al.,“Domain wall motion by spin-polarized current: a
micromagnetic study”,JOURNAL OF APPLIED PHYSICS,VOL.95,NO.11,pp.7049-7051,2004.)によれば、電流誘起磁壁移動は、パラメータ:gμBP/2eMsが大きいほど起こり易い。ここで、gはランデのg因子、μBはボーア磁子、Pはスピン分極率、eは電子の素電荷、Msは飽和磁化である。g、μB、eは物理定数であるので、書き込み電流を低減するためには、磁壁移動層10のスピン分極率Pを大きく、飽和磁化Msを小さくすることが有効であることが分かる。
飽和磁化の観点からは、Co/Ni、Co/Pt、Co/Pd、CoFe/Ni、CoFe/Pt、CoFe/Pdなどの遷移金属系の交互積層膜が、磁壁移動層10として有望である。これらの材料の飽和磁化は比較的小さいことが知られている。このような遷移金属系の積層膜をより一般化すると、第1磁壁移動層10は、第1の層と第2の層が積層された積層構造を有する。第1の層は、Fe、Co、Niのいずれか、又はこれらの群から選択される複数の材料からなる合金を含有する。第2の層は、Pt、Pd、Au、Ag、Ni、Cuのいずれか、又はこれらの群から選択される複数の材料からなる合金を
含有する。
また、上記積層膜の中でも特にCo/Niはスピン分極率が高い。従って、磁壁移動層10としてはCo/Ni積層膜が特に好適であると言える。実際に、発明者は、Co/Niを用いることにより制御性の高い磁壁移動が実現されることを、実験を通して確認した。
ところで、上述のような磁壁移動層10の磁性材料は、fcc構造を有し、且つ、(111)面配向を有する。即ち、磁壁移動層10の(111)面は、基板垂直方向に向けられている。また、非特許文献5(G.H.O.Daalderop et al., “Prediction and Confirmation of
Perpendicular Magnetic Anisotropy in Co/Ni Multilayers”,PHYSICAL REVIEW
LETTERS, VOL.68, NO.5, pp.682-685,1992.)によれば、上述のような積層膜の垂直磁気異方性は、それら膜の界面における界面磁気異方性によって発現する。従って、磁壁移動層10において良好な垂直磁気異方性を実現するためには、上述の磁性材料が良好なfcc(111)配向で成長できるような「下地層」を設けることが好ましい。
本実施形態においては、下地層40が、磁壁移動層10が良好なfcc(111)配向で成長でき、良好な垂直磁気異方性が実現されるように構成される。以下では、下地層40について詳細に説明する。
下地層40は、二層構造を有する、即ち、第1下地層41と第2下地層42とを備えている。第1下地層41の上に第2下地層42が形成され、その第2下地層42の上に磁壁移動層10が形成される。第1下地層41は、第4〜第6族元素を含有する。つまり、第1下地層41は、Ti、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W等の第4〜第6族金属のいずれか、又はこれらの群から選択される複数の材料からなる合金を含有する。一方、第2下地層42は、第9〜第11族元素を含有する。つまり、第2下地層42は、Cu、Rh、Pd、Ag、Ir、Pt、Au等のfcc構造を有する第9〜第11族金属のいずれか、又はこれらの群から選択される複数の材料からなる合金を含有する。尚、第1下地層41及び第2下地層42は、上に例示された材料の単体金属から構成される必要はなく、これらの間で形成される合金でも構わない。さらには、上記の材料、合金を主材料とし、適当な範囲でこれ以外の材料が含まれていても、本発明を実施することが可能である。適当な材料を添加することによって、より所望の特性が得られるように調整することも可能である。
このような第1下地層41と第2下地層42の組み合わせが好ましい理由は、次の通りである。まず、第1下地層41として用いられる第4〜第6族金属は、膜厚が薄い領域ではアモルファス状に成長し、その表面エネルギーが大きくなる。従って、そのような第1下地層41は、その上に成長する結晶の最稠密面(最低表面エネルギー面)配向を生み出すことができる。すなわち、第1下地層41の上に第2下地層42としてfcc構造を有する第9〜第11族金属が成長するとき、最稠密面である(111)面配向が実現される。そのような第2下地層が、磁壁移動層10の結晶配向のテンプレートとして働く。結果として、磁壁移動層10においても良好なfcc(111)配向が実現される。
特に、飽和磁化が小さくスピン分極率が高いCo/Ni積層膜に着目した場合、好適な下地層40が、上記の材料で形成された第1下地層41と第2下地層42の積層構造を有するとき、Co/Ni積層膜に関して好適な特性が得られることが見出された。
ここで、発明者は、今回次の点を更に検討した。すなわち、発明者は、垂直磁気異方性を有する強磁性体で磁壁移動層を形成した場合、磁壁移動層のスピン分極率を更に大きくすることができれば、書き込み電流を更に小さくすることが可能である。強磁性体におけるスピン分極率と垂直磁気異方性(ここでは以下、磁気異方性定数;Kuをパラメータとする)との関係を明らかにして、磁壁移動層に最適な垂直磁気異方性を持たせることによりスピン分極率を更に大きくすることで、書き込み電流を更により小さくすることができると考えられる。
その検討の結果、磁壁移動を起こすための書き込み電流(磁壁移動電流)をより低くするためには、垂直磁気異方性を少なくともある範囲にすることが好ましいことが判明した。垂直磁気異方性を磁壁移動層10の磁気異方性定数で表した場合、その範囲の上限及び下限は次のようになる:上限は、磁壁移動層10の強磁性体本来の磁気異方性定数より小さく、下限は、磁壁移動層10が垂直磁気異方性を保つために最低限必要な磁気異方性定数である。
上限としての、磁壁移動層10の磁気異方性定数は、磁壁移動層の強磁性体の材料本来の値より小さい。ここで、材料本来の磁気異方性定数とは、材料の固有の物理的な性質(物性値)から理論的に予測される値である。例えば、遷移金属系税量の交互積層膜を磁壁移動層10として用いる場合、遷移金属系材料に固有の物理的な性質や積層構造の構成や理想的な垂直磁気異方性などを考慮して行う理論計算(シミュレーション)により理論的に予測される値である。磁壁移動層10の磁気異方性定数が材料本来の値より小さい値となると、スピン分極率が相対的に高くなると考えられる。それは、以下の理由による。
垂直磁気異方性の起源としては、結晶磁気異方性や界面磁気異方性などがある。界面磁気異方性では、異方的な電子軌道を持つd電子のスピン起動相互作用が重要な役割を果たしている場合がある。ここで、垂直磁気異方性を強くすることは、このd電子のエネルギー準位を下げることに相当する。一方、磁壁移動電流(書き込み電流)は、伝導に寄与するフェルミエネルギー付近のd電子の正負スピンの数の差、すなわち、スピン分極率に支配される。従って、垂直磁気異方性が強い材料においては、d電子の軌道エネルギーが低下して、フェルミエネルギーを下回り、伝導に寄与するd電子が減少する。そのため、正負スピンの数の差が小さくなり、結果としてスピン分極率が低減してしまうと考えられる
。以上のことから、このような場合には垂直磁気異方性を適度に弱くして、d電子のエネルギー準位を上げて、フェルミエネルギー付近のd電子を増加させることにより、より高いスピン分極率を実現することができると考えられる。
一方、下限としての磁壁移動層10の磁気異方性定数は、磁壁移動層10が垂直磁気異方性を保ち得る最小の値より大きい。すなわち、磁壁移動層10の異方性磁界は反磁界に打ち勝って、磁化を垂直方向に向けるのに十分大きい必要がある。ここで、垂直磁気異方性を保ち得る最小の磁気異方性定数の値とは、磁壁移動層10が垂直磁気異方性を有している状態と有していない状態との境界近傍における、垂直磁気異方性を有している状態側にいるときの磁気異方性定数の値である。また、垂直磁気異方性を有する状態とは、磁壁移動層10の磁化方向が概ね±z方向に向いていることである。具体的には、磁壁移動層10の磁化方向の±z方向成分が、少なくとも±x方向成分及び±y方向成分(いずれも基板表面に平行な方向の成分)よりも大きいことである。磁壁移動層10の磁気異方性定数がそのような値を取ることは、電流誘起磁壁移動型の磁壁移動層10が垂直磁気異方性を有することを意味していると考えられる。その場合、特許文献3や非特許文献3に記載されているように、書き込み電流を小さくすることができる。
また発明者は、上述した磁壁移動層10の垂直磁気異方性は、真空成膜装置などを用いて下地層及び磁壁移動層を順次この順に成膜しただけの状態(成膜直後)と、成膜後に適度な温度でアニール(加熱処理)した場合で、垂直磁気異方性の大きさが異なることを実験において確認した。成膜直後にすでに磁壁移動層10の異方性磁界が反磁界に打ち勝って、磁化を垂直方向に揃えた垂直磁気異方性の強い磁壁移動層は、上述したアニール処理によって、より垂直磁気異方性を強め、材料の固有の物理的な性質(物性値)から理論的に予測される垂直磁気異方性に近づこうとする。一方、成膜直後には磁壁移動層10の異方性磁界が反磁界より小さく、面内に磁化が向いているような磁壁移動層10は、アニール処理により異方性磁界が増大し、反磁界に打ち勝つことで、垂直磁気異方性が付与される。このように、成膜直後の垂直磁気異方性がアニール処理により増大する現象を、ここでは実験的に磁壁移動層10の垂直磁気異方性定数を観測することで確認した。以下に、上述したアニール処理により、磁壁移動層10の垂直磁気異方性が強まる現象の要因を推定する。成膜直後の下地層及びその影響を受けて成長した磁壁移動層10は、膜面内全てが本来のfcc(111)配向になっておらず、部分的には異なる方位に配向して膜が成長している。ここで、成膜後に適度な温度で熱処理を行うことで、個々の構成元素がエネルギー的に安定な格子位置に再配置することで、より理想的なfcc(111)配向に近い状態に近づくため、より垂直磁気異方性が増すため、結果として垂直磁気異方性定数が増加するものと考えられる。
以上のような検討内容は、以下に示す実施例の実験結果により確認された。以下に、各々の実施例について説明する。
実施例1では、図2に図示された、下地層が適用された磁気抵抗効果素子70の構成において、下地層40として、第1下地層41と第2下地層42が、順次、この順に形成され、第1下地層41として膜厚3nmのTa膜、第2下地層42としてPt膜を用いた。また磁壁移動層10としては、膜厚0.3nmのCo膜と膜厚0.6nmのNi膜を交互に5回積層したCo/Ni積層膜を用いた。上述した構成において、第2下地層42として用いられるPt膜の膜厚を0nm〜2nmの範囲で変化させて磁気抵抗効果素子70を作製した。なお、磁気抵抗効果素子70の幅は100nmである。また、この素子は、下地層40及び磁壁移動層10を形成後に、真空中で300℃、2時間のアニール処理を行っている。
この磁気抵抗効果素子を用いて、磁壁移動が起きる電流値を計測した。この電流値は、磁壁移動層10で磁壁移動を起こすために必要な書き込み電流の最小値を示している。なお、実験方法の詳細については、非特許文献6(T.Suzuki et al.,“Evaluation of Scalability for Current-Driven Domain
Wall Motion in a Co/Ni Multilayer Strip for Memory Applications”,IEEE
TRANSACTIONS ON MAGNETICS, VOL.45, No.10, pp.3776-3779,(2009).)に記載されている。
図6は、第2下地層42として用いられるPt膜の膜厚を変化させた場合の磁壁移動を起こす電流値及び垂直磁気異方性定数のPt膜厚依存性を示す。図6より、第2下地層42として用いられるPt膜の膜厚の増加に伴い、垂直磁気異方性定数Kuは増加し、書き込みに必要な電流値も増加していることが判る。書き込み電流値が0.5mA以下で動作させるためには、第2下地層Pt膜厚は1nm以下が望ましく、このときの垂直磁気異方性定数Kuの値は、3.7×10(erg/cc)以上6.43×10(erg/cc)以下の範囲にある。
以上に示した結果より、第2下地層42として用いられるPt膜の膜厚が厚くなると書き込み電流値が増加し、磁壁移動層10の磁気特性としては、垂直磁気異方性定数Kuが比較的大きくなっていることがわかる。これは、Pt膜厚が厚くなるとPt膜の(111)配向性が高まり、その結果、磁壁移動層10の(111)配向性が良好となり、その結果磁壁移動層10の垂直磁気異方性が高まった結果、垂直磁気異方性定数Kuが大きくなっているものと考えられる。
従って、書き込み電流値を0.5mA程度と比較的低く抑えるためには、第2下地層42の膜厚を調整し、磁壁移動層10の垂直磁気異方性をある値以下に制御することが好ましいことが判る。
実施例2では、図2に示した、下地層が適用された磁気抵抗効果素子70の構成において、下地層40として、第1下地層41と第2下地層42が順次この順に形成され、第1下地層41として膜厚5nmのTa膜、第2下地層42としてPt膜を用いた。また磁壁移動層10としては、膜厚0.3nmのCo膜と膜厚0.6nmのNi膜を交互に5回積層したCo/Ni積層膜を用いた。上述した構成において、第2下地層42として用いたPt膜の膜厚を0nm〜2nmの範囲で変化させて磁気抵抗効果素子70を作製した。なお、磁気抵抗効果素子70の幅は100nmである。また、この素子は、下地層40及び磁壁移動層10を形成後に、真空中で300℃2時間のアニール処理を行っている。
この磁気抵抗効果素子を用いて、磁壁移動が起きる電流値を計測した。
図7に、第2下地層42として用いられるPt膜の膜厚を変化させた場合の磁壁移動を起こす電流値及び垂直磁気異方性定数のPt膜厚依存性を示す。図7に図示されているように、Pt膜厚の増加に伴い、垂直磁気異方性定数Kuは増加し、書き込みに必要な電流値も増加していることが判る。書き込み電流値が0.5mA以下で動作させるためには、第2下地層42として用いられるPt膜の膜厚は0.9nm以下が望ましく、このときの垂直磁気異方性定数Kuの値は、3.8×10(erg/cc)以上5.6×10(erg/cc)以下の範囲にある。
実施例3では、図2に示した、下地層40が適用された磁気抵抗効果素子70の構成において、基板の上に、Ti、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wのいずれか、又はこれらの群から選択される2以上の材料の合金で構成された第1下地層41を用い、その上に、Cu、Rh、Pd、Ag、Ir、Pt、Auのいずれか、又はこれらの群から選択される2以上の材料の合金からなる第2下地層42を形成し、さらに磁壁移動層10を積層した磁気抵抗効果素子70を作製した。ここで、第2下地層42の膜厚は、0nm〜2nmの範囲で変化させた。上述した磁気抵抗効果素子を用いて、磁壁移動が起きる電流値を計測し、第2下地層の膜厚と電流値の関係を図8に示す。図中には、各々の第1下地層41及び第2下地層42の組み合わせで得られた下地層40が適用されたを用いた磁気抵抗効果素子70の書き込み電流の最大値、最小値及びそれらの平均値をあわせてプロットした。
図8において、第2下地層の膜厚が0.9nm以下の場合では、上述したいずれの第1下地層41及び第2下地層42を用いた場合でも、書き込み電流値の最大値が0.5mAを超えることなく、磁壁移動動作が行うことができることが判る。
図9には、図8で電流値を測定した素子の垂直磁気異方性定数と第2下地層42の膜厚の関係をプロットした図を示す。図9より、第2下地層42の膜厚が0.9nm以下の場合には、垂直磁気異方性定数は、3×10(erg/cc)≦Ku≦7×10(erg/cc)の範囲にあることが判る。従って、上述した範囲にある垂直磁気異方性定数を有する磁壁移動層10を用いることによって、磁壁移動のための書き込み電流値が0.5mAを超えない範囲で磁壁移動動作を行うことができる。
以上に述べた各々の実施例では、下地層40及び磁壁移動層10を形成したあとで、真空中で300℃のアニールを行った場合の結果である。前述したように、アニールを施すことで、第2下地層42及びその上に積層された、例えばCo/Ni積層膜の配向性が高まり、垂直磁気異方性を付与される。アニールを施す前のCo/Ni積層膜を成膜しただけの状態では、Co/Ni積層膜は垂直磁気異方性を有さず、面内磁気異方性を有している。
実施例4として、磁壁移動層10の垂直磁気異方性定数Kuとアニール温度の関係について述べる。図10に、第1下地層41として膜厚5nmのTa膜、第2下地層42としてPt膜を用い、Pt膜厚が0.9nmと0nm(Pt膜がない場合)とした場合の磁壁移動層10の垂直磁気異方性定数Kuのアニール温度依存性を示す。ここでは、磁壁移動層10としては、膜厚0.3nmのCo膜と膜厚0.6nmのNi膜を交互に5回積層したCo/Ni積層膜を用いた。ここで、垂直磁気異方性定数Kuは、上述した磁壁移動層10の磁化を考慮すると、2.8×10(erg/cc)以上で、磁壁移動層10が垂直磁化膜となる。図10より、Pt膜厚が0.9nmの場合には、アニール温度が200℃〜350℃の範囲で垂直磁化膜となることが判る。従って、アニール温度としては、250℃〜350℃の範囲がより好適である。
以上に述べた各々の実施例では、第1下地層41としてTa膜、第2下地層42としてPt膜、磁壁移動層としてCo/Ni積層膜を主に引用して記述したが、なんらこれらの材料に限定されることはない。第1下地層41としては、Ti、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wのいずれか、又はこれらの群から選択される2以上から構成された合金を薄膜材料として用いることで同様の効果が得られることを確認している。また、第2下地層42としては、Cu、Rh、Pd、Ag、Ir、Pt、Auのいずれか、又はこれらの群から選択される2以上から構成された合金を薄膜材料として用いることで同様の効果が得られることを確認している。また、磁壁移動層10としては、第1の層と第2の層が交互に積層された積層構造を有し、前記第1の層は、Fe,Co、Niのいずれか、又はこれらの群から選択される2以上の材料からなる合金を含有し、前記第2の層は、Pt、Pd、Au、Ag、Ni,Cuのいずれか、又はこれらの群から選択される2以上の材料からなる合金を含有した積層膜を用いて、同様の効果を確認している。
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態や実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)
メモリセルを具備し、
前記メモリセルが、
Ti、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wのいずれか、又はこれらの群から選択される2以上の材料からなる第1下地層と、
前記第1下地層と接触するように前記第1下地層の上に形成された、Cu、Rh、Pd、Ag、Ir、Pt、Auのいずれか、又はこれらの群から選択される2以上の材料からなる第2下地層と、
前記第2下地層と接触するように前記第2下地層の上に形成された、垂直磁気異方性を有する磁壁移動層
とを備え、
前記磁壁移動層は、磁化方向が反転可能な磁化自由領域を有し、
前記磁化自由領域の磁化方向は、書き込み電流を前記磁化自由領域に流すことによって電流誘起磁壁移動によって反転され、
前記第2下地層の膜厚が、0.9nm以下である
磁気メモリ。
(付記2)
付記1に記載の磁気メモリであって、
前記磁壁移動層が、fcc構造を有し、且つ、(111)面配向を有する
磁気メモリ。
(付記3)
付記1又は2記載の磁気メモリであって、
前記磁壁移動層は、第1の層と第2の層が交互に積層された積層構造を有し、
前記第1の層は、Fe,Co、Niのいずれか、又はこれらの群から選択される1種類以上の材料からなる合金を含有し、
前記第2の層は、Pt、Pd、Au、Ag、Ni,Cuのいずれか、又はこれらの群から選択される1種類以上の材料からなる合金を含有する
磁気メモリ。
(付記4)
付記1乃至3のいずれか1項に記載の磁気メモリであって、
前記磁壁移動層の垂直磁気異方性定数が、3×10(erg/cc)以上、7×10(erg/cc)以下である
磁気メモリ。
(付記5)
Ti、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wのいずれか、又はこれらの群から選択される2以上の材料からなる第1下地層を形成する工程と、
前記第1下地層の上に、Cu、Rh、Pd、Ag、Ir、Pt、Auのいずれか、又はこれらの群から選択される2以上の材料からなる第2下地層を形成する工程と、
前記第2下地層の上に、磁化方向が反転可能な磁化自由領域を有し、且つ、垂直磁気異方性を有する磁壁移動層を形成する工程と、
前記磁化自由領域の磁化方向を電流誘起磁壁移動によって反転する書き込み電流を前記磁化自由領域に流すための電極を設ける工程
とを具備し、
前記第2下地層の膜厚が、0.9nm以下である
磁気メモリの製造方法。
(付記6)
付記5に記載の製造方法であって、
前記磁壁移動層が、fcc構造を有し、且つ、(111)面配向を有するように形成される
磁気メモリの製造方法。
(付記7)
付記5又は6記載の製造方法であって、
前記磁壁移動層を形成する工程は、
形成直後では面内磁気異方性を有する強磁性層を形成する工程と、
アニール工程により、前記強磁性層に垂直磁気異方性を付与する工程
とを備える
磁気メモリの製造方法。
(付記8)
付記7に記載の製造方法であって、
前記アニール工程におけるアニール温度は、250℃〜350℃の範囲にある
磁気メモリの製造方法。
(付記9)
付記5乃至8のいずれか1項に記載の製造方法であって、
前記アニール工程によって垂直磁気異方性が付与された前記磁壁移動層の垂直磁気異方性定数が、3×10(erg/cc)以上、7×10(erg/cc)以下の範囲にある
磁気メモリの製造方法。
10、110:磁壁移動層
11a、111a:第1磁化固定領域
11b、111b:第2磁化固定領域
12、12a、12b、112、112a、112b:磁壁
13、113:磁化自由領域
20、120:スペーサ層
30、130:参照層
40:下地層
41:第1下地層
42:第2下地層
70:磁気抵抗効果素子
80:磁気メモリセル
90:磁気ランダムアクセスメモリ
91:メモリセルアレイ
92:Xドライバ
93:Yドライバ
94:コントローラ

Claims (6)

  1. メモリセルを具備し、
    前記メモリセルが、
    Ti、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wのいずれか、又はこれらの群から選択される2以上の材料からなる、アモルファス状に成長された第1下地層と、
    前記第1下地層と接触するように前記第1下地層の上に形成された、Cu、Rh、Pd、Ag、Ir、Pt、Auのいずれか、又はこれらの群から選択される2以上の材料からなる第2下地層と、
    前記第2下地層と接触するように前記第2下地層の上に形成された、形成直後では面内磁気異方性を有する強磁性層として形成され、アニール工程によって前記強磁性層に垂直磁気異方性が付与されることで形成された磁壁移動層
    とを備え、
    前記磁壁移動層は、fcc構造を有すると共に(111)面配向を有しており、
    前記磁壁移動層は、磁化方向が反転可能な磁化自由領域を有し、
    前記磁化自由領域の磁化方向は、書き込み電流を前記磁化自由領域に流すことによって電流誘起磁壁移動によって反転され、
    前記第2下地層の膜厚が、0.9nm以下である
    磁気メモリ。
  2. 請求項1記載の磁気メモリであって、
    前記磁壁移動層は、第1の層と第2の層が交互に積層された積層構造を有し、
    前記第1の層は、FeCo、Niのいずれか、又はこれらの群から選択される1種類以上の材料からなる合金を含有し、
    前記第2の層は、Pt、Pd、Au、Ag、NiCuのいずれか、又はこれらの群から選択される1種類以上の材料からなる合金を含有する
    磁気メモリ。
  3. 請求項1又は2に記載の磁気メモリであって、
    前記磁壁移動層の垂直磁気異方性定数が、3×10(erg/cc)以上、7×10(erg/cc)以下である
    磁気メモリ。
  4. Ti、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wのいずれか、又はこれらの群から選択される2以上の材料からなり、アモルファス状に成長された第1下地層を形成する工程と、
    前記第1下地層の上に、Cu、Rh、Pd、Ag、Ir、Pt、Auのいずれか、又はこれらの群から選択される2以上の材料からなる第2下地層を形成する工程と、
    前記第2下地層の上に、磁化方向が反転可能な磁化自由領域を有し、且つ、垂直磁気異方性を有する磁壁移動層を形成する工程と、
    前記磁化自由領域の磁化方向を電流誘起磁壁移動によって反転する書き込み電流を前記磁化自由領域に流すための電極を設ける工程
    とを具備し、
    前記磁壁移動層が、fcc構造を有し、且つ、(111)面配向を有するように形成され、
    前記第2下地層の膜厚が、0.9nm以下であり、
    前記磁壁移動層を形成する工程は、
    形成直後では面内磁気異方性を有する強磁性層を形成する工程と、
    アニール工程により、前記強磁性層に垂直磁気異方性を付与して前記磁壁移動層を形成する工程
    とを備える
    磁気メモリの製造方法。
  5. 請求項に記載の製造方法であって、
    前記アニール工程におけるアニール温度は、250℃〜350℃の範囲にある
    磁気メモリの製造方法。
  6. 請求項4又は5に記載の製造方法において、
    前記アニール工程によって垂直磁気異方性が付与された前記磁壁移動層の垂直磁気異方性定数が、3×10(erg/cc)以上、7×10(erg/cc)以下の範囲にある
    磁気メモリの製造方法。
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