JP5545205B2 - 積層シートの製造装置および製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層シートの製造装置および製造方法に関する。
フィルムの低コスト化や高機能化の方法として近年著しく発展している技術が、複数種類のシート材料を積層した積層フィルムである。この積層フィルムは物性の異なるシート材料を積層することで、各々のシート材料単体にはなかった新たな機能を付加することなどが可能である。
一般的な積層シートの製造装置および製造方法としては、複数種類(とくに2種類)のシート材料(典型的には溶融樹脂など)を複数のスリットを経て、積層シートの積層方向(以下、積層方向と称する)に積層することで、複数の層をもつ積層体を形成し、この積層体を積層シートの幅方向(以下、幅方向と称する)に延びるスリット間隙を有する口金から吐出し、積層シートを形成する方法が知られている。そして、口金から吐出された積層シートは固化され、そのまま、あるいは、延伸等の後処理が施され、積層フィルムとなる。(積層シートを固化したものを以下、積層フィルムという。)
ここで、積層フィルムは物性の異なるシート材料を積層するために、単層では見られなかった積層独自の不良現象が発生することがある。その代表的な不良現象の一つに、界面不安定現象がある。この現象は、積層されたシート材料の界面に波状の凹凸が発生し、外観不良と厚み斑を生じるというものである。図12は、界面不安定現象が発生した場合のフィルム表面の外観を表す概念図である。この現象の形態は様々で、図12に示すようにフィルム全体に発生するものから一部にしか発生しないものまであり、またその強弱によって、フィルムに厚み斑を引き起こすものから引き起こさないものまである。ここで、この現象を不良と判断する範囲は各フィルムの要求機能に応じて異なるため、どの程度の外観、厚み斑ならば不良であると一概に言うことは出来ない。この現象の主な原因として、積層体の界面にかかる法線応力が知られている。これまでにも、この界面不安定現象を抑制する方法がいくつか提案されている。
たとえば、特許文献1には、合流部に向かってスリットを拡幅し、界面不安定現象を抑制する方法が開示されている。図1は、特許文献1のフィードブロックにおける合流部付近の断面図である。特許文献1のフィードブロックの基本構成は、図1に示すように、樹脂材料A、Bが流れるスリット91、92、スリット91を合流部94に向かって徐々に拡幅する拡幅部93、スリット91、92と接続して樹脂材料A、Bを積層した積層体を形成する合流部94からなる。特許文献1の技術は、各樹脂材料の流量、粘度に応じて合流部94でのスリット91を拡幅部93で拡幅し、積層体の界面にかかる法線応力が減り、界面不安定現象が抑制できるというものである。定常状態、つまり合流部よりも十分に下流での積層体の界面位置は主に各樹脂材料の流量、粘度によって決まる。そのため、この定常状態での積層体の界面位置と合流部の位置が異なると、合流後に一方の樹脂材料がもう一方の樹脂材料を押しながら界面位置を移動することになる。特許文献1では、この法線応力が積層体の界面にかかることによって、界面不安定現象が発生するとしている。しかし、本発明者らの知見によれば、この法線応力は合流部の位置が適切であれば、必ずしもスリットが拡幅部を有する必要はない。さらに、積層体の界面にかかる応力はこれだけではない。シート材料は拡幅されることで伸長歪みが生じ、法線応力が発生する。特許文献1の技術では、スリットが合流部まで拡幅しているので、合流直後の積層体の界面にこの法線応力がかかることになる。また、シート材料は粘弾性によって剪断されることで法線応力が蓄積される。特許文献1の技術では、スリット内での剪断によって蓄積された法線応力が合流と同時に解放されるため、積層体の界面にこの法線応力がかかることになる。これらの法線応力も、界面間の応力の不釣合いを生じ、界面不安定現象を引き起こす。ゆえに、本発明者らの知見によれば、特許文献1の技術では、拡幅による伸長歪みで発生する法線応力や、粘弾性によって蓄積される法線応力が考慮されておらず、これらの法線応力による界面不安定現象を抑制することはできない場合がある。
特開2006−142714号公報
本発明の目的は、スリットを合流部より上流で拡幅し、かつ、合流部より上流で拡幅を完了させて、蓄積された応力を解放することにより、複雑な制御装置を必要とせず、界面不安定現象を抑制し、高品質な積層シートを安定して製造することが可能な積層シートの製造装置および製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明によれば、複数種類のシート材料を下流へと導く前記種類の数以上の複数のスリットと、前記複数のスリットと接続して前記シート材料を積層方向に積層した積層体を形成する合流部と、前記合流部と接続して前記積層体を下流へと導く流路と、前記流路と接続して前記積層体をシート状に成形する口金とを有する積層シートの製造装置であって、前記複数のスリットの少なくとも一つのスリットが前記合流部より上流で積層方向に拡幅し、かつ、前記合流部より上流で拡幅が完了している拡幅部を有することを特徴とする積層シートの製造装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記拡幅部の拡幅開始点での前記スリットの積層方向寸法をT1、拡幅完了点での前記スリットの積層方向寸法をT2とすると、T2/T1が1.5以上10.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層シートの製造装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記拡幅部の拡幅開始点での前記スリットの積層方向寸法をT1、拡幅完了点での前記スリットの積層方向寸法をT2、前記拡幅開始点と前記拡幅完了点との流路方向距離をE1とすると、(T2−T1)/E1が0.5以上4.0以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層シートの製造装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記拡幅部の拡幅完了点での前記スリットの積層方向寸法をT2、前記拡幅完了点と前記合流部との流路方向距離をE2とすると、E2/T2が0.5以上20.0以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の積層シートの製造装置が提供される。
また、本発明の別の形態によれば、複数種類のシート材料を前記種類の数以上の複数のスリットにより下流へと導き、前記複数のスリットと接続している合流部により前記シート材料を積層方向に積層して積層体を形成し、前記合流部と接続している流路により前記積層体を下流へと導き、前記流路と接続している口金により前記積層体をシート状に成形する積層シートの製造方法であって、前記合流部より上流で前記複数のスリットのいずれか一つのスリットが積層方向に拡幅する拡幅部を有する前記スリットを用いることを特徴とする積層シートの製造方法が提供される。
本発明において、「シート材料」とは、積層体を構成する材料をいう。シート材料としては、たとえば、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレフタレート・ポリプロピレンテレフタレート・ポリブチルサクシネート・ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂・3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂・4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体・フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂、などを溶媒に溶かすか溶融するなどして流動化したものを用いることができる。またこれらの熱可塑性樹脂としてはホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上のブレンドであってもよい。また、各熱可塑性樹脂中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。また、積層体を構成するシート材料としては、上記のうちから2〜10種類を選んで用いるのが好ましい。
また、本発明において、「積層体」とは、押出し機から押出されてから、口金から吐出されるまでの間で、複数種類のシート材料を複数の層として積層方向に積層したシート材料をいう。
また、本発明において、「積層シート」とは幅と厚みが調整され、口金から吐出された積層体をいう。
また、本発明において、「流路方向」とは、流路内における積層体、またはスリット内におけるシート材料の主な流れ方向をいう。
また、本発明において、「積層方向」とは、シート材料が積層される主な方向と一致し、かつ流路方向に対して垂直な方向をいう。
また、本発明において、「幅方向」とは、流路内における積層体が積層シートに成形されたときに、積層シートの幅方向と一致する方向をいう。ここで、積層方向と幅方向は垂直である必要はない。
また、本発明において、流路方向、積層方向、および幅方向は、積層体が流れている流路形状によって変化する。
また、本発明において、「合流部」とは、積層装置にて積層体が流れる流路と接続し、シート材料が流れる各スリットが隣接するスリットと合流する点をいう。
また、本発明において、「拡幅部」とは、スリットが積層方向に拡幅する部分をいう。ここで、拡幅とは、流路方向の単位長さに対してスリットの積層方向寸法が0.3以上増加することをいう。例えば、流路方向1mmに対してスリットの積層方向寸法が0.3mm以上増加したとき、拡幅という。
また、本発明において、「拡幅開始点」とは、スリットの拡幅が始まる点、つまり拡幅部の最上流点をいい、また、「拡幅完了点」とは、スリットの拡幅が終わる点、つまり拡幅部の最下流点をいう。
また、本発明において、「T1」とは、拡幅開始点でのスリットの積層方向寸法をいい、「T2」とは、拡幅完了点でのスリットの積層方向寸法をいう。また、T2/T1とは、スリットの積層方向に拡幅する拡幅比を意味する。
また、本発明において、「E1」とは、拡幅開始点と拡幅完了点との流路方向距離をいい、「E2」とは、拡幅完了点と合流部との流路方向距離をいう。また、(T2−T1)/E1とは、拡幅開始点と拡幅完了点との流路方向距離E1で正規化した拡幅部前後でのスリットの積層方向寸法の差(T2−T1)を、E2/T2とは、T2で正規化したE2を意味する。
本発明に係る積層シートの製造装置および製造方法では、スリットを合流部より上流で拡幅し、かつ、合流部より上流で拡幅を完了させて、蓄積された応力を解放することにより、複雑な制御装置を必要とせず、界面不安定現象を抑制し、高品質な積層シートを安定して製造することが出来る。
特許文献1のフィードブロックにおける合流部付近の断面図。 本実施形態の積層シートの製造装置および製造工程を説明するための斜視図。 本実施形態の積層シートの製造装置において用いられる積層装置のシート材料等が通り得る内部空間のみを表示したものの斜視図。 本実施形態の積層シートの製造装置において用いられる積層装置の合流部付近の流路方向と積層方向に沿った断面図。 従来のスリットが拡幅部を有しない積層装置の合流部付近の流路方向と積層方向に沿った断面での応力状態を表す概念図 本実施形態のスリットが拡幅部を有する積層装置の合流部付近の流路方向と積層方向に沿った断面での応力状態を表す概念図 本実施形態の積層シートの製造装置において用いられる積層装置の合流部付近の流路方向と積層方向に沿った断面図。 本実施形態の積層シートの製造装置において用いられる積層装置の合流部付近の流路方向と積層方向に沿った断面図。 本実施形態の積層シートの製造装置において用いられる積層装置の合流部付近の流路方向と積層方向に沿った断面図。 本実施形態の積層シートの製造装置において用いられる積層装置のシート材料等が通り得る内部空間のみを表示したものの流路方向と積層方向に沿った断面図。 本実施形態の積層シートの製造装置において用いられる積層装置のシート材料等が通り得る内部空間のみを表示したものの流路方向と積層方向に沿った断面図。 界面不安定現象が発生した場合のフィルム表面の外観を表す概念図。
以下に本実施形態について詳細に述べるが、本発明は以下の実施例を含む実施形態に限定されるものではない。
図2〜図4および図6〜11は本実施形態の積層シートの製造装置に関する図である。なお、各図において、従来の技術と同じ用途および機能を有している部材については、同じ符号を有している場合がある。
本実施形態では、複数種類(とくに2種類)のシート材料(典型的には溶融樹脂など)を複数のスリットを経て、積層シートの積層方向(以下、積層方向と称する)に積層することで、複数の層をもつ積層体を形成し、この積層体を積層シートの幅方向(以下、幅方向と称する)に延びるスリット間隙を有する口金から吐出し、積層シートを形成する。
次に、この本実施形態の積層シートの製造装置の基本構成を説明する。図2は、本実施形態の積層シートの製造装置の概略斜視図である。本実施形態の積層シートの製造装置は、図2に示すように、シート材料A、Bを供給するシート材料導入管1、2、シート材料導入管1、2により供給されたシート材料A、Bを積層した積層体を形成する積層装置3、積層体を下流側に導く流路4、流路4からの積層体の幅と厚みを所定の値に調整し、調整された積層体を吐出し、積層シートを形成する口金5、および口金5から吐出された積層シート6を冷却し固化させるキャスティングドラム7からなる。キャスティングドラム7で固化した積層シートは、通常、矢印NSで示すように、延伸工程(図示せず)に送られ、一方向あるいは二方向に延伸され、積層フィルムとなる。
また、本実施形態の積層シートの製造装置において用いられる積層装置3の基本構成を説明する。図3は、本実施形態の積層シートの製造装置において用いられる積層装置のシート材料等が通り得る内部空間のみを表示したものの斜視図である。また、図4は、本実施形態の積層シートの製造装置において用いられる積層装置の合流部付近の流路方向と積層方向に沿った断面図である。積層装置3は、図3に示すように、シート材料A、Bを供給するシート材料導入管1、2に接続する流路101、102、流路101、102に接続するスリット11、12、スリット11、12に接続してシート材料A、Bを積層した積層体を形成する合流部13、合流部13に接続して形成された積層体を下流へと導き流路4に接続する流路14からなる。また、図4に示すように、拡幅開始点でのスリット12の積層方向寸法がT1、拡幅完了点でのスリット12の積層方向寸法がT2、拡幅開始点と拡幅完了点との流路方向距離がE1、拡幅完了点と合流部13との流路方向距離がE2である。
そこで、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、スリット11、12の少なくとも一つのスリットが合流部13より上流で積層方向に拡幅し、かつ、合流部13より上流で拡幅が完了している拡幅部を有することにより、界面不安定現象を抑制し、高品質な積層シートを安定して得られることを見出した。
ここで、本実施形態の技術的意味を以下に説明する。まず、従来のスリットに拡幅部を有しない、つまりT2/T1=1の場合について、合流時のシート材料の状態を説明する。図5は、従来のスリットが拡幅部を有しない積層装置の合流部付近の流路方向と積層方向に沿った断面での応力状態を表す概念図であり、点線は積層体の界面、四角はシート材料Bの一部、矢印は四角で表したシート材料Bにかかる法線応力を表す。図5に示すように、粘弾性の性質からスリット12の剪断流動によって、シート材料Bは圧縮される向きに法線応力がかかり、蓄積される。そして、蓄積された応力が合流と同時に解放され、積層体の界面に法線応力がかかり、界面不安定現象を引き起こす場合がある。ここで、スリット12を流れるシート材料Bに蓄積された応力の方がスリット11を流れるシート材料Aよりも大きい場合、図5に示すように、シート材料Bがシート材料Aを押すように積層体の界面に法線応力がかかる。このように界面不安定現象が発生した積層フィルムは、外観はもちろんフィルム厚みにも波状のムラが生じ、不良品となる。
これに対し、スリットに拡幅部を有する本実施形態、つまりT2/T1>1かつE2/T2>0の場合について、合流時のシート材料の状態を説明する。図6は、本実施形態のスリットが拡幅部を有する積層装置の合流部付近の流路方向と積層方向に沿った断面での応力状態を表す概念図であり、点線は積層体の界面、四角はシート材料Bの一部、矢印は四角で表したシート材料Bにかかる法線応力を表す。図6に示すように、粘弾性の性質からスリット12の剪断流動によって、シート材料Bは圧縮される向きに法線応力がかかり、蓄積される。しかし、拡幅部で伸長歪みが生じるため、シート材料は積層方向に伸長される向きに法線応力がかかり、蓄積された応力が解放される。この応力が解放された状態で合流するため、積層体の界面に法線応力がかからず、界面不安定現象を抑制することができる。ここで、拡幅部が合流部まで及ぶ、つまりE2/T2=0の場合だと、合流時にこの伸長歪みによる法線応力自身が積層体の界面にかかってしまうので、拡幅部は合流部より上流で完了している必要がある。このように、本実施形態の積層シートの製造装置、すなわち、スリット11、12の少なくとも一つのスリットが合流部13より上流で積層方向に拡幅し、かつ、合流部13より上流で拡幅が完了している拡幅部を有するような積層シートの製造装置からは、界面不安定現象が抑制され、高品質な積層シートを安定して得られる。
次に、上記範囲に含まれるよう構成できるスリットの拡幅部の例を説明する。
図7は、後述の実施例などと同様に、本実施形態の積層シートの製造装置において用いられる積層装置の合流部付近の流路方向と積層方向に沿った断面図である。このスリット12の拡幅部はすべて曲線で形成されている。
図8は、後述の実施例などと同様に、本実施形態の積層シートの製造装置において用いられる積層装置の合流部付近の流路方向と積層方向に沿った断面図である。このスリット12の拡幅部はスリット12の両壁面が拡幅している。
図9は、後述の実施例などと同様に、本実施形態の積層シートの製造装置において用いられる積層装置の合流部付近の流路方向と積層方向に沿った断面図である。このスリット12は、拡幅部より下流で縮小している。
図10は、後述の実施例などと同様に、本実施形態の積層シートの製造装置において用いられる積層装置の合流部付近の流路方向と積層方向に沿った断面図である。このスリット11と12は、ともに拡幅部を有している。
図11は、後述の実施例などと同様に、本実施形態の積層シートの製造装置において用いられる積層装置の合流部付近の流路方向と積層方向に沿った断面図である。スリット12、22はともにシート材料Bを供給するシート材料導入管2に接続しており、合流部23はスリット11、22に接続している。このスリット12、22は、ともに拡幅部を有している。
また、本実施形態の積層シートの製造装置のスリットの拡幅部は、最長緩和時間が0.001s以上のシート材料を導くスリットが有することが好ましい。最長緩和時間が0.001s未満の場合、蓄積される応力が小さく、スリットに拡幅部を有する必要性が低い。より好ましくは、最長緩和時間が0.01s以上である。
また、本実施形態の積層シートの製造装置のスリットの拡幅部は、スリットの積層方向に拡幅する拡幅比T2/T1が1.5以上10.0以下の範囲にすることが好ましい。T2/T1が10.0より大きい場合、拡幅が急になるため、拡幅部の角に滞留部が生じる場合がある。T2/T1が1.5未満の場合、拡幅が緩やかになるため、発生する伸長歪みが小さく、応力があまり解放されない場合がある。より好ましくは、T2/T1が2.0以上5.0以下である。
また、本実施形態の積層シートの製造装置のスリットの拡幅部は、拡幅開始点と拡幅完了点との流路方向距離E1で正規化した拡幅部前後でのスリットの積層方向寸法の差(T2−T1)/E1が0.5以上4.0以下の範囲にすることが好ましい。(T2−T1)/E1が0.5未満の場合、拡幅が緩やかになるため、発生する伸長歪みが小さく、応力があまり解放されない場合がある。(T2−T1)/E1が4.0より大きい場合、拡幅が急になるため、拡幅部の角に滞留部が生じる場合がある。より好ましくは、(T2−T1)/E1が1.0以上2.0以下である。
また、本実施形態の積層シートの製造装置のスリットの拡幅部は、T2で正規化した拡幅完了点と合流部との流路方向距離E2/T2が0.5以上20.0以下の範囲にすることが好ましい。E2/T2が20.0より大きい場合、拡幅後に再び応力が蓄積されるため、合流時に応力の解放が生じる場合がある。E2/T2が0.5未満の場合、拡幅による流動変動が安定しないまま合流するために、不安定になる場合がある。より好ましくは、E2/T2が1.0以上10.0以下である。
また、本実施形態におけるシート材料は、総流量が50kg/h以上にすることが好ましい。総流量が50kg/h未満の場合、蓄積される応力が小さく、スリットに拡幅部を有する必要性が低い。より好ましくは、総流量が100kg/h以上である。
また、本発明における拡幅部を有するスリットに流れるシート材料は、最長緩和時間が0.001s以上にすることが好ましい。最長緩和時間が0.001s未満の場合、蓄積される応力が小さく、またすぐに緩和されるため、スリットに拡幅部を有する必要性が低い。より好ましくは、最長緩和時間が0.01s以上である。ここで、最長緩和時間とは、回転式レオメーターにより角速度(rad/s)と粘度の関係をもとめ、ニュートン領域と非ニュートン領域の変曲点での角速度の逆数とした。
[実施例1]
本実施形態、すなわち図2に示す積層シートの製造装置および図3、4に示す積層装置3を用いて、実際に多層フィルムを製造し積層精度を評価した結果を説明する。本実施形態における具体的な多層フィルムの製造方法は以下の通りである。
(1)シート材料:シート材料A;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂(東レ(株)製熱可塑性樹脂F20S)、シート材料B;シクロヘキサンジメタノール共重合PET(イーストマン社製熱可塑性樹脂PETG6763)
(2)仕込み:各シート材料およびエッジ材料を乾燥後、押出機に供給。押出機は280℃に設定し、ギヤポンプ、フィルターを介した後、各シート材料を積層装置に供給し積層、またエッジ材料をエッジ部付加装置に供給し付加させた。
(3)積層装置:スリット幅100mm、図4に示すスリットの拡幅部の各寸法は表1に示した通りに設定し、スリットから上記樹脂を吐出させ、シート材料Aの流量が100kg/h、シート材料Bの流量が20kg/hで、目標積層比はA:B=5:1となるようにした。
(4)吐出:導管を経た積層体をTダイに供給しシート状に押出した後、静電印加(直流電圧8kV)にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、成形した。
(5)表面処理:成形した未延伸フィルムをロールで搬送し、コーティング装置において、未延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、濡れ張力を55mN/mとし、その処理面にガラス転移温度Tg18℃のポリエステル樹脂/Tg82℃のポリエステル樹脂/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜を塗布し、透明、易滑、易接着層を形成した。
(6)熱処理:続いて逐次二軸延伸機に導き、95℃の熱風で予熱後、縦方向(フィルム長手方向)および横方向(フィルム幅方向)にそれぞれ3.5倍に延伸した。さらに230℃の熱風にて熱処理を行うと同時に縦方向に5%の弛緩処理を行い、引き続き横方向にも5%の弛緩処理を行って、室温まで除冷後巻き取った。
(7)外観評価:得られた積層フィルムの外観を目視で確認し、界面不安定現象の有無を調べた。認識できない場合は○、わずかに確認できる場合は△、明確に認識できる場合は×とし、結果を表1に示す。
(8)厚み斑評価:界面不安定現象が顕著な場合、その影響でフィルムに厚み斑が生じる。そこで、フィルムの幅方向にほぼ等分に10区分する点におけるフィルム厚みの最大値から最小値を引いて平均値で割った値を厚み斑とし、界面不安定現象の評価基準として結果を表1に示す。ここで、同設備を用いて製造した単層フィルムでの厚み斑は10%である。
[実施例2]
図4の各寸法を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを製造した。結果を表1に示す。このスリット拡幅部は請求項2の条件を満足する。
[実施例3]
図4の各寸法を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを製造した。結果を表1に示す。このスリット拡幅部は請求項3の条件を満足する。
[実施例4]
図4の各寸法を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを製造した。結果を表1に示す。このスリット拡幅部は請求項4の条件を満足する。
[比較例1]
図4の各寸法を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを製造した。
[比較例2]
図4の各寸法を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを製造した。
Figure 0005545205
これらの実施例の結果、表1から、比較例1、2は外観評価が×と界面不安定現象を目視にて明確に認識できる状態で、かつ厚み斑が50%以上と単層フィルムの厚み斑に比べて明らかに大きく、顕著な界面不安定現象が発生している。それに対し、実施例1、2、3、4、つまりスリットの少なくとも一つのスリットが合流部より上流で積層方向に拡幅し、かつ、合流部より上流で拡幅が完了している拡幅部を有する場合は、厚み斑が10%程度と単層フィルムの厚み斑と同程度であり、界面不安定現象を抑制し、高品質な積層シートを安定して得られる。その上、実施例1は界面不安定現象を目視にてわずかに確認できたために外観評価が△だったのに対し、実施例2、3、4、つまり請求項2から4の条件を満足するスリット拡幅部である場合は、外観評価が○と界面不安定現象を目視でも認識できない状態であり、より界面不安定現象を抑制し、高品質な積層シートを安定して得られる。
本発明により製造される積層シートは、スリットを合流部より上流で拡幅し、かつ、合流部より上流で拡幅を完了させることで、蓄積された応力を解放してから複数種類のシート材料を積層したものである。本発明によれば、複雑な制御装置を必要とせず、界面不安定現象を抑制し、高品質な積層シートを安定して製造することが出来る。
1、2:シート材料A、Bが供給されるシート材料導入管
3:多層積層装置
4:導管
5:口金
6:積層シート
7:キャスティングドラム
11、12、22、91、92:スリット
13、94:合流部
14:流路
93:拡幅部
101、102:シート材料A、Bが供給される流路

Claims (5)

  1. 複数種類のシート材料を下流へと導く前記種類の数以上の複数のスリットと、前記複数のスリットと接続して前記シート材料を積層方向に積層した積層体を形成する合流部と、前記合流部と接続して前記積層体を下流へと導く流路と、前記流路と接続して前記積層体をシート状に成形する口金とを有する積層シートの製造装置であって、前記複数のスリットの少なくとも一つのスリットが前記合流部より上流で積層方向に拡幅し、かつ、前記合流部より上流で拡幅が完了している拡幅部を有することを特徴とする積層シートの製造装置。
  2. 前記拡幅部の拡幅開始点での前記スリットの積層方向寸法をT1、拡幅完了点での前記スリットの積層方向寸法をT2とすると、T2/T1が1.5以上10.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層シートの製造装置。
  3. 前記拡幅部の拡幅開始点での前記スリットの積層方向寸法をT1、拡幅完了点での前記スリットの積層方向寸法をT2、前記拡幅開始点と前記拡幅完了点との流路方向距離をE1とすると、(T2−T1)/E1が0.5以上4.0以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層シートの製造装置。
  4. 前記拡幅部の拡幅完了点での前記スリットの積層方向寸法をT2、前記拡幅完了点と前記合流部との流路方向距離をE2とすると、E2/T2が0.5以上20.0以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の積層シートの製造装置。
  5. 複数種類のシート材料を前記種類の数以上の複数のスリットにより下流へと導き、前記複数のスリットと接続している合流部により前記シート材料を積層方向に積層して積層体を形成し、前記合流部と接続している流路により前記積層体を下流へと導き、前記流路と接続している口金により前記積層体をシート状に成形する積層シートの製造方法であって、記複数のスリットのいずれか一つのスリットが、前記合流部より上流で積層方向に拡幅し、かつ、前記合流部より上流で拡幅が完了している拡幅部を有する前記スリットを用いることを特徴とする積層シートの製造方法。
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