JP6098183B2 - シート成形口金およびシート成形方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シート成形口金およびシート成形方法に関する。
一般的なシート成形口金としては、押出機などで溶融されたシート材料(典型的には溶融樹脂など)を、供給管を経てシート成形口金に供給し、マニホールドでシート幅方向(以下、幅方向と称する)に拡幅し、縮小部でシート厚み方向(以下、厚み方向と称する)に圧縮し、スリットで下方へと導いて吐出し、シートを成形する方法が知られている。そして、吐出されたシートは固化され、そのまま、あるいは、延伸等の後処理が施され、フィルムとなる。
フィルムの高機能化によって、近年、その原料に様々な物性のシート材料が使用されている。これらのシート材料には、溶融状態でも、流体としての粘性の性質だけではなく、固体としての弾性の性質も併せ持つ粘弾性を有するものもある。この粘弾性によって、製膜工程上問題となる不良現象が発生することがある。その不良現象の一つに、バラス効果がある。この現象は、スリットから吐出されたシート材料がスリット間隙よりも厚くなり、製膜が不安定になるというものである。この現象は、粘性のシート材料でも生じるが、スウェル比(スリット間隙に対するシートの厚み)は1.13程度と小さく、製膜工程上問題とはならない。しかし、粘弾性のシート材料の場合は、スウェル比が2倍以上になることもあり、製膜工程上問題となる。この現象は、主に、シート材料がマニホールドからスリットへ流れる際に厚み方向に圧縮されることで発生する応力が吐出後に解放されることにより発生する。この応力はスリットを流れている間に徐々に緩和されるため、スリット長さを長くしてバラス効果を抑制する方法がある。また、この応力は厚み方向に圧縮される速度(伸長速度)に比例して大きくなるため、縮小部をシート材料の流動方向に長くすることで、マニホールドからスリットへ緩やかに圧縮させ、発生する伸長速度、応力を小さくして、バラス効果を抑制する方法もある。しかし、どちらの方法も、シート成形口金が流動方向に大きくなり、圧力上昇や口金の変形などの問題が生じる。
ところで、本発明の好ましい形態と一見すると似ているように見える技術として、特許文献1に開示されているシート成形口金がある。
特許文献1には、上流で積層された流動性の異なるシート材料をマニホールドで幅方向に拡幅する際、どちらのシート材料も全幅で積層されるようにする目的で、マニホールドの流動性の良いシート材料側に膨出部を有するシート成形口金が開示されている。図1は特許文献1シート成形口金の厚み方向と流動方向に沿った断面図である。図1に示すように、上流で積層されたシート材料を幅方向に拡幅するマニホールド102、マニホールド102に連通してシート材料を下流へと導くスリット104、マニホールド102内に有する膨出部105からなる。流動性の異なるシート材料が積層されていた場合、マニホールド102でシート材料が幅方向に拡幅される際に、流動性の良いシート材料は端部まで流れるが、流動性の悪いシート材料は端部まで流れず、どちらのシート材料も全幅で積層することが困難なことがある。そこで、マニホールドの流動性の良いシート材料側に膨出部105を設置することによって、流動性の良いシート材料の流れを妨害し、流動性の悪いシート材料と同じように端部まで流れるようにして、どちらのシート材料を全幅で積層することができるというものである。
しかし、本発明者らの知見によると、特許文献1のような従来のシート成形口金では、シート材料の積層精度の改善はなしえても、バラス効果を改善し、製膜安定性を向上させるものではない。
特許第4714390号公報
本発明の目的は、縮小部を長くすることなく、特定の断面形状にすることで、発生する伸長速度、応力を小さくし、複雑な制御装置を必要とせず、バラス効果を抑制し、高品質なシートを安定して製造することが可能なシート成形口金を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明によれば、シート材料を幅方向に拡幅するマニホールドと、前記マニホールドと連通して前記シート材料を厚み方向に圧縮する縮小部と、前記縮小部と連通して前記シート材料を下方へと導くスリットとを有するシート成形口金であって、前記縮小部の流動方向寸法をL、前記縮小部の上流からの流動方向位置をLで除した値をx、前記スリットの厚み方向寸法をβ、xにおける前記縮小部の厚み方向寸法をβで除した値をαとすると、x=1/4、2/4、3/4における|dα/dx|が前記流動方向の下流ほど小さいことを特徴とするシート成形口金が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、|dα/dx|/α <10であることを特徴とする請求項1に記載のシート成形口金が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、|dα/dx|/α が平均値の±10%以下の範囲内であることを特徴とする請求項2に記載のシート成形口金が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、αの最大値が5以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のシート成形口金が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記シート材料が前記スリット内を流れる平均滞留時間が100s以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のシート成形口金が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、5β≦L≦100βであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のシート成形口金が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記シート材料の最長緩和時間が0.01s以上であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のシート成形口金が提供される。
また、本発明の別の形態によれば、シート材料をマニホールドにより幅方向に拡幅し、前記マニホールドと連通している縮小部により前記シート材料を厚み方向に圧縮し、前記縮小部と連通しているスリットにより前記シート材料を下方へと導くシート成形方法であって、前記縮小部の流動方向寸法をL、前記縮小部の上流からの流動方向位置をLで除した値をx、前記スリットの厚み方向寸法をβ、xにおける前記縮小部の厚み方向寸法をβで除した値をαとすると、x=1/4、2/4、3/4における|dα/dx|が前記流動方向の下流ほど小さいこと前記縮小部を用いることを特徴とするシート成形方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記シート材料が前記スリット内を流れる平均滞留時間が100s以下であることを特徴とする請求項8に記載のシート成形方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記シート材料の最長緩和時間が0.01s以上であることを特徴とする請求項8または9に記載のシート成形方法が提供される。
本発明において、「シート材料」とは、シートを構成する材料をいう。シート材料としては、たとえば、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレフタレート・ポリプロピレンテレフタレート・ポリブチルサクシネート・ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂・3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂・4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体・フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂、などを溶媒に溶かすか溶融するなどして流動化したものを用いることができる。またこれらの熱可塑性樹脂としてはホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上のブレンドであってもよい。また、各熱可塑性樹脂中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。
また、本発明において、「幅方向」とは、シート材料が口金から吐出されてシートに成形されたときに、シートの幅方向と一致する方向をいう。
また、本発明において、「流動方向」とは、スリット内におけるシート材料の主な流れ方向をいう。
また、本発明において、「下方」とは、流動方向が鉛直方向成分を有する方向をいう。
また、本発明において、「厚み方向」とは、幅方向と流路方向に対して垂直な方向をいう。
また、本発明において、「L」とは、縮小部の流動方向寸法をいい、「x」とは、縮小部の上流からの流動方向位置をLで除した値をいう。ここで、マニホールドとの連通部がx=0で、スリットとの連通部がx=1である。
また本発明において、「β」とは、スリットの厚み方向寸法をいい、「α」とは、xにおける縮小部の厚み方向寸法をβで除した値をいう。ここで、マニホールドとの連通部ではα>1で、スリットに近づくほどαは1に近づく。
また本発明において、|dα/dx|とは、流動方向に対する縮小部の変化量の絶対値を意味し、値が大きいほど縮小部は急激に縮小している。
また本発明において、|dα/dx|/α とは、縮小部での伸長速度に影響する縮小部の形状因子を意味し、値が大きいほど伸長速度も大きくなる。
また、本発明において、「マニホールド」とは、シート成形口金内においてシート材料を幅方向に拡幅する部分をいい、その形状は幅方向で異なる場合もある。
また、本発明において、「縮小部」とは、マニホールドと連通して、シート材料を厚み方向に圧縮する部分をいう。ここで、|dα/dx|>0.1である。
また、本発明において、「スリット」とは、縮小部と連通して、シート材料を下流へと導く部分をいう。ここで、スリットの下流に新たなマニホールドが連通する場合もある。
また、本発明において、「最長緩和時間」とは、JIS K7117−2の方法でせん断速度(1/s)とせん断粘度(Pa・s)の関係をもとめ、ニュートン領域と非ニュートン領域の変曲点でのせん断速度の逆数である。ここで、変曲点とは、せん断粘度の常用対数をせん断速度の常用対数で微分した値が−0.05以下になる点である。
本発明に係るシート成形口金では、縮小部を長くすることなく、特定の断面形状にすることで、発生する伸長速度、応力を小さくし、複雑な制御装置を必要とせず、バラス効果を抑制し、高品質なシートを安定して製造することが出来る。
特許文献1のシート成形口金の厚み方向と流動方向に沿った断面図。 本実施形態のシート成形口金の概要を説明するための斜視図。 本実施形態のシート成形口金のシート材料が通り得る内部空間のみを表示したものの斜視図。 従来のシート成形口金の厚み方向と流動方向に沿った断面図。 本実施形態のシート成形口金の厚み方向と流動方向に沿った断面図。 従来と本実施形態のシート成形口金における縮小部での流動方向に対する|dα/dx|を表すグラフ。 縮小時のシート材料の状態を表すシート成形口金の厚み方向と流動方向に沿った断面図。 従来と本実施形態のシート成形口金における縮小部での流動方向に対する伸長速度を表すグラフ。 本実施形態のシート成形口金の厚み方向と流動方向に沿った断面図。 本実施形態のシート成形口金の厚み方向と流動方向に沿った断面図。
以下に本実施形態について詳細に述べるが、本発明は以下の実施例を含む実施形態に限定されるものではない。
図2、3、5、9、10は本実施形態のシート成形口金に関する図である。なお、各において、従来の技術と同じ用途および機能を有している部材については、同じ符号を有している場合がある。
本実施形態では、押出機などで溶融されたシート材料(典型的には溶融樹脂など)を、供給管を経てシート成形口金に供給し、マニホールドでシート幅方向(以下、幅方向と称する)に拡幅し、縮小部でシート厚み方向(以下、厚み方向と称する)に圧縮し、スリットで下方へと導いて吐出し、シートを成形する。
次に、この本実施形態のシート成形口金の基本構成を説明する。図2は、本実施形態のシート成形口金の概略斜視図である。本実施形態のシート成形口金は、図2に示すように、シート材料を供給する供給管1、供給管1により供給されたシート材料の幅と厚みを所定の値に調整し、調整されたシート材料を吐出し、シート3を成形するシート成形口金2、および口金2から吐出されたシート3を冷却し固化させるキャスティングドラム4からなる。キャスティングドラム4で固化したシートは、通常、矢印NSで示すように、延伸工程(示せず)に送られ、一方向あるいは二方向に延伸され、積層フィルムとなる。
また、本実施形態のシート成形口金2の内部構成を説明する。図3は、本実施形態のシート成形口金のシート材料等が通り得る内部空間のみを表示したものの斜視図である。シート成形口金2は、図3に示すように、シート材料を供給する供給管1に連通する流路11、流路11に連通してシート材料を幅方向に拡幅するマニホールド12、マニホールド12に連通してシート材料を厚み方向に縮小する縮小部13、縮小部13に連通してシート材料を下方へと導くスリット14からなる。
また、図4、5は、従来と本実施形態のシート成形口金の厚み方向と流動方向に沿った断面図である。図4、5に示すように、縮小部13の流動方向寸法がL、縮小部13の上流からの流動方向位置をLで除した値がx、スリット14の厚み方向寸法がβ、xにおける縮小部13の厚み方向寸法をβで除した値がαである。ここで、xは0から1であり、αはxに沿って徐々に小さくなって、最終的には1となる。また、図6は、従来と本実施形態のシート成形口金における縮小部での流動方向に対する|dα/dx|を表すグラフである。図6に示すように、x=1/4、2/4、3/4において、従来のシート成形口金は|dα/dx|が一定であるのに対し、本実施形態のシート成形口金は|dα/dx|が流動方向の下流ほど小さくなっている。
そこで、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、図6に示すように、x=1/4、2/4、3/4における|dα/dx|が流動方向の下流ほど小さくすることにより、発生する伸長速度、応力を小さくし、バラス効果を抑制し、高品質なシートを安定して得られることを見出した。
ここで、本実施形態の技術的意味を以下に説明する。まず、縮小時のシート材料の状態を説明する。図7は、シート成形口金の厚み方向と流動方向に沿った断面図である。図7に示すように、マニホールド12の厚み方向寸法よりもスリット14の厚み方向寸法が小さいためにシート材料は縮小部13にて厚み方向に縮小される。このとき、シート材料は圧縮される向きに法線応力がかかり、その応力は蓄積される。この蓄積された応力はスリット14内を流れる間に徐々に緩和されるが、緩和されなかった応力が一気に吐出時に解放されて、シートの厚みが厚くなる。このシート材料を圧縮する法線応力は厚み方向に圧縮される速度(伸長速度)に比例して大きくなる。
次に、従来と本実施形態のシート成形口金での伸長速度について説明する。図8は、従来と本実施形態のシート成形口金における縮小部での流動方向に対する伸長速度を表すグラフであり、点線は従来、実線は本実施形態のシート成形口金での伸長速度を表す。伸長速度はポリマーの流速を流動方向に微分した値であり、L、x、β、αを用いて、|dα/dx|/α ×Q/βLと表すことができる。ここで、Qは単位幅方向寸法あたりにおけるポリマーの体積流量であり、Q/βLは製膜条件、口金の大きさによって決まる項であり、|dα/dx|/α は縮小部13の形状で決まる項である。また、|dα/dx|/α 、Q、βが同じ場合、Lが小さくなると伸長速度は大きくなる。
図8に示すように、従来のシート成形口金の場合、αが流動方向の下流ほど小さくなるのに対し、|dα/dx|が一定のため、伸長速度はαの2乗に反比例して急激に増加する。これに対し、本実施形態のシート成形口金の場合、αが流動方向の下流ほど小さくなるのに合わせて、|dα/dx|を小さくすることにより、伸長速度の増加を抑制できる。このように、本実施形態のシート成形口金からは、伸長速度を小さくすることで、シート材料を圧縮する法線応力も小さくなり、バラス効果が抑制され、高品質なシートを安定して得られる。
ここで、本実施形態のシート成形口金による効果は縮小部の巨視的な形状で決定されるため、一部で縮小部が|dα/dx|が流動方向の下流ほど小さくなっていない部分を有していてもその効果に影響は少ない。そのため、本実施形態では、巨視的な形状を表現するために、x=1/4、2/4、3/4における|dα/dx|だけに着目する。さらに、前記の式を満たしていれば、縮小部は幅方向において同じ形状である必要はなく、滑らかに変化しても良い。例えば、流動方向寸法Lが幅方向の端部に向かって大きくなっていても、厚み方向寸法βが幅方向の端部に向かって小さくなっていても良い。
次に、上記範囲に含まれるよう構成できる縮小部の例を説明する。
図9は、本実施形態のシート成形口金の厚み方向と流動方向に沿った断面図である。この縮小部13のαはすべて直線的に変化している。
図10は、本実施形態のシート成形口金の厚み方向と流動方向に沿った断面図である。この縮小部13の|dα/dx|は一部、流動方向の下流ほど大きくなっている部分があるが、x=1/4、2/4、3/4における|dα/dx|は流動方向の下流ほど小さい。
また、本実施形態のシート成形口金の縮小部は、|dα/dx|/α が10以下の範囲にすることが好ましい。|dα/dx|/α が10以下の場合、バラス効果を抑制する効果がより高まる。より好ましくは、|dα/dx|/α が1以下である。ここで、|dα/dx|/α は、縮小部を流動方向に20等分した各点における|dα/dx|/α の最大値である。
また、本実施形態のシート成形口金の縮小部は、|dα/dx|/α が平均値の10%以下の範囲にすることが好ましい。|dα/dx|/α が平均値の10%以下の場合、バラス効果を抑制する効果がより高まる。より好ましくは、|dα/dx|/α が平均値の5%以下である。ここで、平均値は、縮小部を流動方向に20分割した各点における|dα/dx|/α を平均した値である。
また、本実施形態のシート成形口金の縮小部は、αの最大値が5以上の範囲にすることが好ましい。αの最大値が5より小さい場合、発生する伸長速度が小さく、バラス効果も小さいため、|dα/dx|を規定する必要性が低い。より好ましくは、αの最大値が10以上である。
また、本実施形態のシート成形口金の縮小部は、スリット内を流れる平均滞留時間が100s以下の範囲にすることが好ましい。スリット内を流れる平均滞留時間が100s以下の場合、縮小部で発生した法線応力があまり緩和しないため、本実施形態による効果がより明確に現れる。より好ましくは、スリット内を流れる平均滞留時間が50s以下である。ここで、スリット内を流れる平均滞留時間は、スリットの容積をシート材料の体積流量で除したものである。
また、本実施形態のシート成形口金は、5β≦L≦100βであることが好ましい。
L≧5βの場合、急な縮小流れで生じる渦が減り、αとポリマー流れとの関係が安定するため、|dα/dx|を規定することによるバラス効果抑制が顕著になる。L≦100βの場合、厚み方向寸法の小さい、つまり高せん断流れ領域が減り、伸長流れ支配となるため、|dα/dx|を規定することによるバラス効果抑制が顕著になる。より好ましくは、10≦L/β≦50である。
また、本実施形態におけるシート材料は、最長緩和時間を0.01s以上にすることが好ましい。最長緩和時間が0.01s未満の場合でも本発明の効果が得られるが、最長緩和時間を0.01s以上にすることで蓄積される応力が大きくなり、本発明の効果が顕著となる。より好ましくは、最長緩和時間が0.1s以上である。
また、本実施形態におけるシート材料は、総流量が50kg/h以上にすることが好ましい。総流量が50kg/h未満の場合、蓄積される応力が小さく、|dα/dx|を規定する必要性が低い。より好ましくは、総流量が100kg/h以上である。
また、本実施形態におけるシート材料は、粘度が10Pa・s以上にすることが好ましい。粘度が10Pa・s未満の場合、蓄積される応力が小さく、|dα/dx|を規定する必要性が低い。より好ましくは、粘度が100Pa・s以上である。
また、本実施形態における下方は、鉛直方向に対して75°未満にすることが好ましい。下方が鉛直方向に対して75°以上の場合、重力の影響によって吐出されたシート材料の挙動が不安定になる。より好ましくは、下方が鉛直方向に対して45°未満である。
[実施例1]
本実施形態、すなわち図5に示すシート成形口金を用いて、実際にフィルムを製造しバラス効果を評価した結果を説明する。本実施形態における具体的なフィルムの製造方法は以下の通りである。
(1)シート材料:高密度ポリエチレン(HDPE)、粘度1000Pa・s。ここで、粘度は、せん断速度100/s、温度200℃の条件で、JIS K7117−2の方法で測定した。
(2)仕込み:シート材料を乾燥後、押出機に供給。押出機は200℃に設定し、ギヤポンプ、フィルターを介した後、シート成形口金に供給した。
(3)シート成形口金:スリット幅100mm、図5に示す縮小部の各寸法は表1に示した通りに設定し、上記樹脂を流量100kg/hで吐出させた。ここで、今回は、縮小部が幅方向に同じ形状のシート成形口金を使用している。
(4)吐出:シート成形口金からシート状に押出した後、冷水で急冷固化し、成形した。
(5)バラス効果の評価:冷却固化したシートにおいて、シートの幅方向にほぼ等分に10区分する点におけるシート厚みを電子マイクロメータ「PK−1012CPX」(ミツトヨ製)で測定し、その最大値を、シート成形口金のスリット間隙で除して、スウェル比を算出した。結果を表1に示す。
[実施例2]
図5の各寸法を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルムを製造した。結果を表1に示す。この縮小部は請求項2の条件を満足する。
[実施例3]
図5の各寸法を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルムを製造した。結果を表1に示す。この縮小部は請求項3の条件を満足する。
[実施例4]
図5の各寸法を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルムを製造した。結果を表1に示す。
[比較例1]
図5の各寸法を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルムを製造した。
[比較例2]
図5の各寸法を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルムを製造した。
これらの実施例の結果、表1から、比較例1、2、3は、スウェル比が2.0以上と大きく、顕著なバラス効果が発生している。それに対し、請求項1の条件を満足する実施例1、2、3、4は、スウェル比が2.0未満と小さく、バラス効果を抑制し、高品質なシートを安定して得られる。その上、実施例1はスウェル比1.52だったのに対し、実施例2、3、つまり請求項2、3の条件を満足する縮小部である場合は、スウェル比が1.3以下と小さく、よりバラス効果を抑制し、高品質なシートを安定して得られる。
また、実施例1と実施例4、比較例1と比較例3はそれぞれ同じαだが、請求項6の条件を満足する実施例1は比較例1よりスウェル比が約30%低減、それに対して実施例4は比較例3よりスウェル比が約20%低減と、請求項6の条件を満足する口金である場合は、よりバラス効果を抑制できる。
本発明により製造されるシートは、縮小部を長くすることなく、特定の断面形状にすることで、発生する伸長速度、応力を小さくたものである。本発明によれば、複雑な制御装置を必要とせず、バラス効果を抑制し、高品質なシートを安定して製造することが出来る。
1:シート材料を供給する供給管
2:シート成形口金
3:シート
4:キャスティングドラム
11:流路
12:マニホールド
13:縮小部
14:スリット

Claims (7)

  1. シート材料を幅方向に拡幅するマニホールドと、前記マニホールドと連通して前記シート材料を厚み方向に圧縮する縮小部と、前記縮小部と連通して前記シート材料を下方へと導くスリットとを有するシート成形口金であって、
    前記縮小部の流動方向寸法をL、前記縮小部の上流からの流動方向位置をLで除した値をx、前記スリットの厚み方向寸法をβ、xにおける前記縮小部の厚み方向寸法をβで除した値をαとすると、x=1/4、2/4、3/4における|dα/dx|が前記流動方向の下流ほど小さく、|dα /dx|/α ≦10であることを特徴とするシート成形口金。
  2. |dα/dx|/α が平均値の±10%以下の範囲内であることを特徴とする請求項に記載のシート成形口金。
  3. αの最大値が5以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のシート成形口金。
  4. 5β≦L≦100βであることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のシート成形口金。
  5. シート材料をマニホールドにより幅方向に拡幅し、前記マニホールドと連通している縮小部により前記シート材料を厚み方向に圧縮し、前記縮小部と連通しているスリットにより前記シート材料を下方へと導くシート成形方法であって、
    前記縮小部の流動方向寸法をL、前記縮小部の上流からの流動方向位置をLで除した値をx、前記スリットの厚み方向寸法をβ、xにおける前記縮小部の厚み方向寸法をβで除した値をαとすると、x=1/4、2/4、3/4における|dα/dx|が前記流動方向の下流ほど小さく、|dα /dx|/α ≦10である前記縮小部を用いることを特徴とするシート成形方法。
  6. 前記シート材料が前記スリット内を流れる平均滞留時間が100s以下であることを特徴とする請求項に記載のシート成形方法。
  7. 前記シート材料の最長緩和時間が0.01s以上であることを特徴とする請求項またはに記載のシート成形方法。
JP2013008994A 2012-01-31 2013-01-22 シート成形口金およびシート成形方法 Expired - Fee Related JP6098183B2 (ja)

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