JP5543893B2 - 免震構造体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
このような鉛代替プラグを用いた免震構造体は、通常、図5に示すように、プラグ105の両端に装着された円盤状の封止部材108を備えており、封止部材108によって、中空部に圧入されたプラグ105を加圧する。このように、プラグが加圧力によって圧接されている為、震動時のプラグの塑性変形の際、より大きな摩擦力が発生して震動のエネルギーを吸収し、水平地震力が大きく減衰される。
また、封止部材の螺子込みの際に、プラグ自体に捩れを生じさせるおそれがあり、その結果、プラグ材にひび割れが発生し、減衰能の低下や繰り返し入力時の性能低下が懸念されることも、問題であった。
剛性板と弾性板とを交互に積層し、これらの板を貫通して積層方向に延びる中空部を形成した積層体と、前記中空部に圧入されたプラグとを、前記積層方向の両側からフランジ板にて挟持してなる免震構造体であって、
前記フランジ板の少なくとも一方の側において、前記プラグの端面を覆う内蓋を設け、該内蓋と当接しかつ前記フランジ板から該内蓋に向かって前記積層方向に進退する螺子を少なくとも一本設け、前記螺子は複数本であって、同一円周上において等間隔に配置されることを特徴とする免震構造体である。
剛性板と弾性板とを交互に積層し、これらの板を貫通して積層方向に延びる中空部を形成した積層体と、
前記中空部に圧入されたプラグと、
前記プラグの少なくとも一端面を覆う内蓋と、
これら積層体、プラグ及び内蓋を積層方向の両側から挟持するフランジ板とを有する免震構造体を製造するに当たり、
前記フランジ板の少なくとも一方の側に、該フランジ板から前記内蓋に向かって進退する螺子を少なくとも一本配置し、該螺子を内蓋に向けて回転移動させて該内蓋を介して前記プラグに押圧力を付与し、前記螺子を複数本、同一円周上において等間隔に配置することを特徴とする免震構造体の製造方法である。
また、本発明の免震構造体を構成する積層体4は、外周面が積層体被覆材8で覆われており、積層体4への外部からの雨や光を遮断し、酸素や、オゾン、紫外線による積層体4の劣化を防止することができる。被覆材8としては、例えば、弾性板3と同一の材料である加硫ゴム等を使用することができる。なお、積層体4は、必ずしも積層体被覆材8で覆われていなくてもよい。
なお、図1に示すこの例では、第1のフランジ板6へ外蓋11を固定することでフランジ板全体を形成する例を示したが、外蓋11を別体として固定させることなく、フランジ板のみで全体を形成することも可能である。
そして本発明は、この押圧力調整螺子13の螺子込み量を調整することで、内蓋10の積層方向位置を決定し、内蓋10によるプラグ5への押圧力、すなわちプラグ5への加圧力を調整することができる。
図示例において、押圧力調整螺子13は、フランジ板の一部を構成する外蓋11の積層方向長さよりも大きな軸長を有している。そして、外蓋11に螺合された押圧力調整螺子13を更に螺子込んで、押圧力調整螺子13の先端部を内蓋10に当接させ、外蓋11から内蓋10までの間隔(以下、「間隔L」と言う)を変化させることによって、内蓋10をプラグ側へ押圧する。つまり、押圧力調整螺子13によって押圧される内蓋10は、外蓋11とプラグ5との間を積層方向に自在に進退可動であり、この内蓋10の積層方向位置を変化させて間隔Lを調整することによって、プラグ5への加圧力が調整される。
従って、間隔LがL1の図2(a)の状態から、押圧力調整螺子13を積層方向下側(図の矢印方向)へ螺子込んで、間隔LがL2である図2(b)の状態にした場合、内蓋10は距離Δ(L2−L1)分だけ積層方向下側に押付けられ、この間隔Lの変化に伴って
、プラグ5も距離Δ(L2−L1)分だけ積層方向下側に押圧されることになる。
かかる構成とすれば、内蓋に当接する押圧力調整螺子のみを螺子込むことによって、プラグに対して加圧力を付与することができる。また、複数の螺子を少しずつ螺子込むことにより、プラグへの加圧力を微調整することも可能となる。更に、封止部材全体を螺子込むことなく、押圧力調整螺子を当接した内蓋を介してプラグを押圧するため、プラグに捩れが生じることが無い。
更に、上記構成とすれば、積層方向に可動な内蓋によってプラグを積層方向に加圧するため、プラグが捩れることが無い。従って、プラグの捩れによる性能低下が回避されるため、良好な減衰性能を有する免震プラグを提供することが可能となる。
更に、例えば地震が発生した後や長時間経過後であっても、螺子(押圧力調整螺子)の螺子込み量を調整することによって、プラグへの加圧力を再調整することが可能となる。
但し、上記構成は必ずしもフランジ板の両側に形成する必要は無く、一方のフランジ板側のみに形成してもよい。
例えば図3には、外蓋11上に、押圧力調整螺子13が5本配置される例を示している。この例では、まず、外蓋11の中心に1つの押圧力調整螺子13aが配置されている。そして、外蓋11の同心の円周上には、4つの押圧力調整螺子13b〜13eが、隣接する押圧力調整螺子の中心間距離を等しくして配置される。
また、図4には、外蓋11上に、押圧力調整螺子13が9本配置される例を示している。この例では、まず、外蓋11の同心の比較的小さい円周上に、2つの押圧力調整螺子13f及び13gが、等間隔に(点対称に)配置されている。そして、外蓋11の同心の比較的大きい円周上に、7つの押圧力調整螺子13h〜13nが、隣接するこれら押圧力調整螺子の中心間距離を等しくして配置される。
鉛の代替材料として上記の粉体材料を用いることにより、環境負荷の問題を解決することができると共に、十分な減衰性能、変位追従性等を有する免震プラグを提供することができるからである。
なお、塑性流動材と硬質充填材のそれぞれについて選定される材料の組成、含有率、組み合わせ等は、免震プラグに所望される性能に応じて適宜変更することができる。また、粉体材料は、塑性流動材及び硬質充填材からなる構成に限定されるものではなく、その他の種々の粉体材料を適用することも可能である。
例えば、上述の実施形態では、積層体を構成する剛性板及び弾性板はドーナツ形状としたが、ドーナツ形状の外円は、四角形状、三角形状、多角形状等の任意の形状であってもよい。また、中空部を形成するドーナツ形状の内円も、四角形状、三角形状、多角形状等の任意の形状とすることができる。
すなわち、免震構造体の基本構造は従来例と発明例とは表1に示す同じ仕様とし、封止部材の構造を対比するようにした。従来例の封止部材および発明例の内、外蓋の仕様を、図5および図6に示す。なお、発明例における、すりわり付き止めねじ(いもねじ)13を介しての内蓋の押し込み量Lは、従来例における押し込み量(蓋下面からの突出代):13.6mmと図6におけるaが同じになるように、11.6mmに調整した。ちなみに、この際の各螺子13の導入トルクは、45.0N・m程度であった。
2 剛性板
3 弾性板
4 積層体
5 プラグ
6 第1のフランジ板
7 第2のフランジ板
8 被覆材
10 内蓋
11 外蓋(フランジ板)
12 取付ボルト
13 螺子(押圧力調整螺子)
Claims (4)
- 剛性板と弾性板とを交互に積層し、これらの板を貫通して積層方向に延びる中空部を形成した積層体と、前記中空部に圧入されたプラグとを、前記積層方向の両側からフランジ板にて挟持してなる免震構造体であって、
前記フランジ板の少なくとも一方の側において、前記プラグの端面を覆う内蓋を設け、該内蓋と当接しかつ前記フランジ板から該内蓋に向かって前記積層方向に進退する螺子を少なくとも一本設け、
前記螺子は複数本であって、同一円周上において等間隔に配置されることを特徴とする免震構造体。 - 前記プラグは、塑性流動材及び硬質充填材からなることを特徴とする請求項1に記載の免震構造体。
- 剛性板と弾性板とを交互に積層し、これらの板を貫通して積層方向に延びる中空部を形成した積層体と、
前記中空部に圧入されたプラグと、
前記プラグの少なくとも一端面を覆う内蓋と、
これら積層体、プラグ及び内蓋を積層方向の両側から挟持するフランジ板とを有する免震構造体を製造するに当たり、
前記フランジ板の少なくとも一方の側に、該フランジ板から前記内蓋に向かって進退する螺子を少なくとも一本配置し、該螺子を内蓋に向けて回転移動させて該内蓋を介して前記プラグに押圧力を付与し、
前記螺子を複数本、同一円周上において等間隔に配置することを特徴とする免震構造体の製造方法。 - 前記プラグは、塑性流動材及び硬質充填材であることを特徴とする請求項3に記載の免震構造体の製造方法。
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