JP5543000B1 - Lpg用低圧調整器 - Google Patents

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Abstract

【課題】過大な力を必要とせずに、低圧調整器の着脱を容易に行うことができ、また、操作レバー部の破断を防止し、長期に亘ってガス漏れを生じさせず、しかも、低圧調整器の着脱を安全に行うことのできるLPG用低圧調整器を提供する。
【解決手段】容器35の鍔部37に係止する係止爪14aを左右一対に配し、一対の回転軸11に設けたカム部材13によって、係止爪14aを備えた係止部材14を上下動させる。操作アーム部10を回動操作することにより、一対の回転軸11を回転させることができる。操作アーム部10とは別体に構成した操作レバー部が構成され、操作レバー部の回動軸16を回動させることで、押圧操作ロッド23を上下方向に移動させる。押圧操作ロッド23の移動により、容器35の自閉弁を開閉させる弁ロッド38を操作する。
【選択図】図2

Description

本発明は、LPG(Liquefied Petroleum Gas)が充填された容器から、気化した気相部を外部に供給する低圧調整器に関する。
LPGが充填された容器(以下、単に容器という。)は、消費先に設置された状態で、容器の供給口に低圧調整器が装着される。そして、容器内のガスは、低圧調整器を介してガス燃焼機器等に供給される。低圧調整器は、ガスの圧力を所定圧の状態に調整して、ガス燃焼機器等に供給する。
低圧調整器を容器の供給口に装着する構成としては、ネジ込み式に螺合させる構成やワンタッチ式に着脱自在できる構成が用いられている。ワンタッチ式の低圧調整器は、特に、東南アジア等の国々で常用されており、その代表的な構成例を図12に示す(非特許文献1の11/12頁参照)。
図12に示す低圧調整器50には、図示せぬ容器の供給口に密接挿入される筒状のガス導入口51が設けられており、ガス導入口51の内面側には、摺動自在なスピンドルバルブ58が設けられている。ガス導入口51の外周面には、図示せぬ容器の供給口との間をシールするシール部材59が設けられている。また、ガス導入口51の外面側には、低圧調整器50を容器の供給口に装着したとき、装着状態を保持して、シール部材59における密着状態を維持する係止爪57が配設されている。
係止爪57は、供給口の外周面に形成した図示せぬ鍔部に係止する。そして、スピンドルバルブ58を上下動させる操作レバー部54の操作によって、係止爪57が移動する。操作レバー部54を操作することで、係止爪57と鍔部とは、係止状態と非係止状態とに切り換わる。操作レバー部54の回動軸55には、軸方向に沿って二つのカム片である、第1カム片56aと第2カム片56bとが形成されている。操作レバー部54を回動操作すると、回動軸55が回動して、第1カム片56aと第2カム片56bとが回動する。
第1カム片56が回動すると、スピンドルバルブ58を上下方向に移動させる。また、第2カム片56bが回動すると、係止爪57を上下方向に移動させる。このとき、回動軸55の回動によって、スピンドルバルブ58の移動方向と係止爪57の移動方向とは、逆向きの方向になる。
スピンドルバルブ58が下方向に移動すると、供給口内に設けた図示せぬ自閉弁の弁体を押圧して、自閉弁を開状態にする。これによって、容器内のガスは、ガス導入口51から低圧調整器50内に導入される。スピンドルバルブ58が下方向に移動すると同時に、係止爪57は上方向に移動する。そして、係止爪57が供給口の鍔部に係止して、供給口とガス導入口との密着状態が維持される。
ガス導入口51から導入されたガスは、圧力調整室53を通って排出口52からガス燃焼機器等に供給される。圧力調整室53内には、排出口52から流出するガスの圧力を調整する圧力調整部60が設けられている。
低圧調整器50と容器の供給口とを装着させた状態において、ガスが外部に漏れ出ないようにするため、供給口とガス導入口51との隙間を確実にシールしておくことが必要である。そのための構成として、係止爪57による係止状態が強固な係止状態となるように、係止爪は強い係止力で上方に引っ張られている。
Standar Nasional Indonesia、SNI7369:2008、Regulator tekanan rendah untuk tabung baja LPG、11 dari 12のLampiran A、(和訳:インドネシア国立規格、SNI7369:2008、LPG鋼管用低圧レギュレータ、11/12の図A)(URL: http://xa.yimg.com/kq/groups/1051902/1579526688/name/SNI )
非特許文献1に記載された低圧調整器50では、操作レバー部54の回動操作だけで、スピンドルバルブ58と係止爪57とを連動させて一度に操作することができる。しかし、係止爪57は、鍔部に対して周方向における一か所の部位でのみ係止している。そのため、係止爪57が鍔部に係止している状態では、容器の供給口に対して低圧調整器50を傾かせる力が、係止爪57と鍔部との係止部において生じることになる。
即ち、図12を用いて説明すると、係止爪57を鍔部に係止させることによって、低圧調整器50に対して、図12の時計回り方向に回転させる回転モーメントが作用することになる。その結果、係止爪57側に面しているシール部材59の上端側の部位と、この反対側である排出口側に面しているシール部材59の下端側の部位とは、供給口に対して強く押し付けられた状態になる。
言い換えると、シール部材59においては、係止爪57側に面しているシール部材59の下端側の部位と、排出口側に面しているシール部材59の上端側の部位とは、供給口に対して強く押し付けられていない。そのため、シール部材59は、傾いた状態で供給口とガス導入口51との間をシールすることになる。
上述したように、供給口とガス導入口51との隙間からガスが外部に漏れ出ないようにするため、シール部材59は強く圧接変形させられている。そのため、係止爪57による係止状態は、強い係止力で強固に係止されている。そして、係止爪57を鍔部に係止させるためには、強い力を作用させなければならず、結果として、シール部材59は強い力で傾けられた状態のまま、供給口とガス導入口51との間をシールすることになる。
シール部材59が傾いた状態のままシールを行っていると、シール部材59のシール性が低下してしまうことになる。特に、定期的に脱着が行われる低圧調整器50において、長期に亘ってシール性を確保しておくことが難しくなる。また、上述したように、係止爪57を鍔部との係止位置まで移動させ、係止状態を維持するためには、操作レバー部54を回動操作するのに過大な力を必要とする。
しかも、操作レバー部54を回動操作して、係止爪57を鍔部に係止させる係止操作とスピンドルバルブ58の自閉弁に対する押圧操作とを、同時に行わなければならない。そのため、操作レバー部54を回動させる操作力としては、非常に大きな力を必要とする。非力な人が操作レバー部54を回動操作する場合には、特別な工具を必要としたり、例えば、操作レバー部54をレンチで挟んで回転トルクを高めた状態で回したりしなければならず、操作レバー部54に対する操作性が悪かった。このようなことから、容器の供給口に対する低圧調整器50の着脱作業を簡単に行うことができなかった。
そして、操作レバー部54の操作部や回動軸55が破断してしまうことやシール破損が頻繁に生じていた。
本発明は、従来における上述した問題を解決し、過大な力を必要とせずに、低圧調整器の着脱を容易に行うことができ、また、操作レバー部の破断を防止して、長期に亘ってガス漏れを生じさせず、しかも、低圧調整器の着脱を安全に行うことのできるLPG用低圧調整器の提供を目的にしている。
本発明の課題は、請求項1又は2に記載された各発明により達成することができる。
即ち、本発明に係るLPG用低圧調整器は、ガスが充填された容器の供給口に着脱自在に装着されるLPG用低圧調整器であって、前記供給口内に挿入して密着される筒状のガス導入口と、前記ガス導入口の外面側における左右に配され、係止爪を有する一対の係止部材と、前記ガス導入口の内面側に配された押圧操作ロッドと、前記押圧操作ロッドを操作する操作レバー部と、前記一対の係止部材を操作する操作アーム部と、前記ガス導入口から前記LPG用低圧調整器内に導入したガスを外部に流出するガス排出口と、前記ガス導入口と前記ガス排出口との間に設けられた圧力調整部と、を備え、
前記操作アーム部は、同軸上に配された一対の回転軸と、前記各回転軸に回転を与える連結アームと、を有し、前記各回転軸の一端には、カム部材が形成され、前記各回転軸の他端部間は、前記連結アームによって連結され、前記各係止部材の前記係止爪は、前記各カム部材の回転により、前記供給口の外周面に形成された鍔部との係止位置と非係止位置との間を移動し、前記係止位置において、前記ガス導入口と前記供給口とが密着してなり、
前記押圧操作ロッドは、前記操作レバー部の操作部を回動させることにより上下動して、前記供給口に設けた自閉弁の開閉を行い、前記操作部は、前記連結アームの回動範囲内に配され、前記自閉弁が開状態となる前記操作部の回動位置において、前記連結アームは前記操作部に当接してその回動が規制され、前記自閉弁が閉状態となる前記操作部の回動位置において、前記連結アームは前記操作部に当接せずにその回動が許容されることを最も主要な特徴としている。
また、本発明に係るLPG用調整器では、前記操作部は、前記操作部の長手方向の中央部に凹状の切欠き部が形成され、前記連結アームの中央部における内側に突出部が形成され、前記自閉弁が開状態となる前記操作部の回動位置において、前記突出部が前記操作部に当接して前記連結アームの回動を規制し、前記自閉弁が閉状態となる前記操作部の回動位置において、前記凹状の切欠き部は、前記連結アームの回動に伴う前記突出部の通り抜けを許容する位置に配されることを主要な特徴としている。
本発明では、連結アームを操作することで、同軸上に配した左右一対の回転軸に対して同時に回転動を与えることができる。そして、各回転軸に設けたカム部材と各係止部材との間には、各係止部材を移動させるカム機構を構成しておくことができる。また、各係止部材の係止爪は、容器の供給口に形成されている鍔部を、平面視において鍔部の両側から係止することができる。
このよう構成されているので、本発明に係るLPG用低圧調整器のガス導入口を容器の供給口に挿入した状態から、係止爪を鍔部との係止位置に移動させても、一対の係止爪はバランス良く鍔部に係止される。そして、LPG用低圧調整器は、供給口に対して傾くことがなく供給口の軸方向に対して真直ぐな状態で装着される。このように、LPG用低圧調整器を容器の供給口に装着した状態において、供給口とガス導入口との間に設けたシール部材は、傾くことがなく、真直ぐな配置状態になる。
そして、供給口とガス導入口との間に設けたシール部材が、傾いた状態のままでシール状態となってしまうのを防止できる。また、定期的にLPG用低圧調整器の容器への着脱が繰り返されても、常にシール部材のシール性が確保される。そのため、長期に亘ってシール部材のシール性を維持できる。
また、容器に設けた自閉弁の開閉を行う押圧操作ロッドの操作は、係止爪を操作する操作アーム部とは別体に構成した操作レバー部によって個別に行うことができる。操作アーム部の回動操作と操作レバー部の回動操作とは、それぞれ個別に行うことができるので、過大な力を用いなくてもそれぞれを操作できる。そのため、操作レバー部及び操作アーム部を破断させることなく、長期にわたって安定した状態で操作することができる。
操作アーム部の回動操作と操作レバー部の回動操作とは、それぞれ個別に行うことができるといっても、容器の自閉弁を開状態にする操作レバー部の回動位置で、操作アーム部が操作されると、不用意に容器のガスが外部に漏れ出てしまう危険性が生じる。そこで、本発明では、自閉弁が開状態となる操作部の回動位置において、連結アームは操作部に当接してその回動が規制され、自閉弁が閉状態となる操作部の回動位置において、連結アームは操作部に当接せずにその回動が許容される構成になっている
このように構成しておくことにより、自閉弁が開状態となる操作部の回動位置では、操作アーム部を操作して係止部材の係止爪を鍔部に係止させたり、鍔部に係止している係止爪の係止状態を解除したりする操作がそれぞれ行えないように規制できる。これによって、不用意に容器のガスが外部に漏れ出てしまうのを確実に防止する。
また、本発明では、操作レバー部を回動させる操作部に形成した凹状の切欠き部と、操作アーム部の連結アームに形成した突出部とによって、自閉弁が開状態となる操作部の回動位置においては、突出部が操作部に当接して操作アーム部の回動を規制する。また、自閉弁が閉状態となる操作部の回動位置においては、突出部が凹状の切欠き部を通り抜けることができるので、操作アーム部とともに突出部の回動が許容される。
このように構成しておくことによって、自閉弁を開状態にする操作部の回動位置では、LPG用低圧調整器を容器の供給口に装着させている係止爪の係止状態を解除することができない。また、操作部がこの回動位置にあるときに、LPG用低圧調整器を容器の供給口に装着しようとしても、係止爪を供給口の鍔部との係止位置まで移動させることができない。
このように、自閉弁を開状態にする操作部の回動位置では、LPG用低圧調整器を容器の供給口に着脱させることができず、不用意に容器内のガスが外部に漏れ出るのを防止できる。
(a)は、LPG用低圧調整器の平面図であり、(b)は、図1(a)のA−A断面図である。(実施例1) (a)は、図1(b)のB−B断面図であって、図の左側が係止爪の非係止状態を示し、右側が係止爪の係合状態を示している。(b)は図2(a)のC−C断面図である。(実施例1) (a)は、操作アーム部の平面図であり、(b)は、図3(a)のD−D断面図である。(実施例1) (a)は、係止部材の側面図であり、(b)は、係止部材の正面図である。(実施例1) (a)は、係止爪の非係止位置における係止部材とカム部材との配置関係を示す要部断面図であり、(b)は、係止爪が係止位置となったときにおける係止部材とカム部材との配置関係を示す要部断面図である。(c)は、係止爪と鍔部との圧接係止状態における係止部材とカム部材との配置関係を示す要部断面図である。(実施例1) (a)は、係止爪の係止状態を示す要部拡大図であり、(b)は、係止爪の非係止状態を示す要部拡大図である。(実施例1) (a)は、操作部を装着した操作レバー部の縦断面図であり、(b)は、操作部を装着した操作レバー部の側面図である。(c)は、操作レバー部の縦断面図である。(実施例1) (a)は、操作アーム部の平面図であり、(b)は、回転軸とカム部材を示す側面図であり、(c)は回転軸と連結アームとの嵌合状態を示す側面図である。(実施例2) (a)は、回転軸の端部面形状であり、(b)は、係止部材の平面形状である。(c)〜(e)は、係止部材の作動状態を示す図である。(実施例2) LPG用低圧調整器の縦断面図であって、係止爪の係止状態を示している。(実施例3) (a)は、係止部材の正面図であり、(b)は、係止部材の断面図である。(実施例3) 低圧調整器の断面図である。(従来例)
本発明に係るLPG用低圧調整器の実施形態について、図1乃至図11に基づいて具体的に説明する。本発明に係わるLPG用低圧調整器としては、以下で説明する実施形態の構成に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、置換、変更等を行うことができる。そして、そのようにして構成した発明も本発明に包含されている。そのため、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではなく、多様な変更が可能である。
以下における各実施例の説明において、LPガスを充填した容器を立てた状態で使用する場合を例にして、説明を行っている。そのため、係止部材、押圧操作ロッド、弁ロッドの移動方向を上下方向として説明を行っている。LPガスを充填した容器を横に寝かした状態で使用する場合や、容器の供給口が水平方向を向いている場合、あるいは容器を斜めに傾けた状態で使用する場合には、本発明における上下方向を水平方向や斜め方向に読み替えることで、本発明の構成を得ることができる。
実施例の図示において、断面にはハッチングを施すことが必要であるが、全ての断面にハッチングを施すと、図面が分かり難くなるので、必要な断面にのみハッチングを施している。
図1乃至図7を用いて、本発明に係るLPG用低圧調整器の実施例1について説明する。図1(a)、(b)に示すように、LPG用低圧調整器1は、本体部2、蓋部3、操作アーム部10と操作レバー部15とを備えた構成になっている。本体部2は、LPガスが充填された容器35の供給口36からガスを導入するガス導入口4と、導入したガスを燃焼器等に供給する排出口5とが形成されている。尚、容器35としては、供給口36側の一部部位のみ図示している。
図1(b)に示すように、本体部2と蓋部3とで囲まれた領域は、ガス導入口4から導入したガスの圧力を調整する調整領域になっており、調整領域は、ダイヤフラム27によって二室に画成されている。
一方の室は、圧力調整室6として形成されており、ガス導入口4と排出口5との連通路の一部として構成されている。他方の室は、大気室7として形成されており、蓋部3に形成した連通孔7aを介して外気に連通している。
ダイヤフラム27には、面板27aが設けられており、ダイヤフラム27の周縁部側を残した領域が面板27aによって覆われている。面板27aと蓋部3との間には、面板27aを圧力調整室6側に押圧するスプリング28が配設されている。また、面板27a及びダイヤフラム27の中央部には貫通孔が形成されており、貫通孔内には作動杆29が挿通されている。
圧力調整室6内における作動杆29の部位には、フランジ部29aが形成されており、圧力調整室6内における作動杆29の部位には、雄ネジ部が形成されている。雄ネジ部にナット30を螺合させることで、作動杆29は面板27a及びダイヤフラム27に固定される。そして、フランジ部29aによって面板27a及びダイヤフラム27の中央部に形成した貫通孔を塞いで、大気室7と圧力調整室6との間を気密状態にシールする。
作動杆29の他端部には、作動レバー31の一端部を挿入して揺動自在に支持する挿通孔が形成されている。作動レバー31の他端側には支軸31aが形成されている。ダイヤフラム27が変形して作動杆29を上下動させることで、作動レバー31は支軸31aを中心として揺動することになる。そして、後述する連通路26の開閉を行うことができる。連通路26の開口端を閉状態に維持するため、作動レバー31の他端には弁体32が形成されている。
ダイヤフラム27、作動杆29、作動レバー31によって、ガス導入口4から圧力調整室6に供給されたガスの圧力を調整する圧力調整部が構成されている。圧力調整室6に供給されたガスの圧力が、所定圧よりも高くなった場合、即ち、大気圧にスプリング28の付勢力を加えた圧力以上になった場合には、ダイヤフラム27が大気室7側に変位して、作動レバー31の弁体32を連通路26の端部に圧接する。そして、弁体32によって連通路26を閉じることができる。
これにより、圧力調整室6内の圧力を下げることができる。圧力調整室6内の圧力が所定圧まで下がったときには、ダイヤフラム27は圧力調整室6側に復帰して、弁体32が連通路26から離間させる。そして、容器35内のガスは、圧力調整室6内に導入される。
図1(b)に示すように、ガス導入口4には、筒状の筒体部24が形成されており、LPガスを充填した容器35の供給口36内にガス導入口4を挿入することができる。このとき、供給口36の内面に配したシール部材39によって、筒体部24との間はシールされる。筒体部24の途中に形成した環状の角部である当接部24aをシール部材39に当接させることにより、気密性を高めることができる。
尚、シール部材39を供給口36側に設けた構成を説明したが、シール部材39をガス導入口4における筒体部24の外周面に配した構成にしておくこともできる。
次に、後述する係止爪14a(図2(a)参照)を作動させる操作アーム部10の構成について、図1乃至図4を用いて説明する。操作アーム部10は、同軸状に配した一対の回転軸11と、一対の回転軸11を連動させて一体的な回動を行わせる連結アーム12と、を備えた構成になっている。一対の回転軸11は、平面視においてガス導入口5の中心を通る左右両側に配されており、本体部2によって回転自在に軸支されている。
各回転軸11の一端部には、カム部材13が形成されており、他端部はそれぞれ連結アーム12の端部にそれぞれ固定されている。連結アーム12は、連結アーム12の回動時に本体部2や蓋部3に当接しない形状に構成されており、例えば、両端部から外側に膨らみを持った湾曲状に形成されている。図1(a)、図4に示した図示例では、平面視で逆向きのコ字状に形成されている。図1(b)に示すように、操作アーム部10は、開放位置とロック位置との間を回動する。
各回転軸11と連結アーム12の両端部との固定構成としては、各回転軸11と連結アーム12とを別体に構成しておくことができる。そして、例えば、実施例2における図8に示すように、各回動軸11の他端部に、断面形状が矩形状の嵌合軸11aを形成しておくことができる。また、連結アーム12の両端部には、嵌合軸11aを嵌入させる嵌入穴を形成しておくことができる。嵌合軸11aを連結アーム12の嵌入穴に嵌合させることで、各回転軸11と連結アーム12とを一体的に固定することができる。
あるいは、例えば、連結アーム12の中央部の部位をクランク状に切断して、連結アーム12を二分割できる構成にしておくことができる。そして、二分割した連結アーム12にそれぞれ回転軸11を一体的に構成しておくこともできる。そして、回転軸11を本体部2にそれぞれ軸支した後に、二分割した部位の間を固定することによって、一体的な構成になった操作アーム部10が構成される。
二分割する構成としては、回転軸11をLPG用低圧調整器1の本体部2内に軸支したのち、二分割した連結アーム12を一体的に固定することができる構成であれば、適宜の構成を採用することができる。このようにして、一対の回転軸11と連結アーム12とを、相対的な回転が不能な状態に構成しておくことができる。
連結アーム12の中央部には、内側に向いて突出した突出部12aが形成されている。突出部12aは、後述する操作レバー部15の回動軸16に設けた操作部20に形成した凹状の切欠き部20aとの間で、操作アーム部10の回動を許容したり、あるいは、操作部20と突出部12aとが当接することで、操作アーム部10の回動を規制したりする。
即ち、図1(b)を用いて説明すると、操作アーム部10を開放位置からロック位置に回動させるとき、あるいは、ロック位置から開放位置に回動させるとき、操作部20が、図1(b)の位置にあった場合には、突起部12aの回動軌跡内に操作部20が位置することになる。
そして、操作アーム部10を開放位置からロック位置に回動させるときには、回動の途中で突出部12aが操作部20に当接することになり、操作アーム部10のロック位置では突出部12aが操作部20に当接した状態になっている。
即ち、操作アーム部10を開放位置からロック位置側に回動させたときには、一点鎖線で示した当接位置において、突出部12aが操作部20に当接して、操作アーム部10のそれ以上の回動を規制する。
このように、操作アーム部10の回動を規制することによって、操作レバー部15の回動位置が、容器の自閉弁を開状態にする位置では、LPG用低圧調整器1を容器35の供給口36に装着させることが規制される。また、容器35の供給口36に装着されているLPG用低圧調整器1を供給口36からの取り外しが規制される。
操作部20が、図1(b)に示す状態から90度回転した状態にあるときには、操作アーム部10の突出部12aは、操作部20の切欠き部20aを通り抜ける。即ち突起部12aの回動軌跡内に切欠き部20aが、位置することになる。これによって、操作アーム部10を開放位置からロック位置、あるいは、ロック位置から開放位置に回動させることができる。
次に、図2、図4乃至図6を用いて、一対の回転軸11の一端部に設けたカム部材13及びカム部材13によって移動される係止部材14の構成について説明する。
尚、図2では、左右の中心から左半分が、係止爪14aの非係止状態を示し、右半分が、係止爪14aの係止状態を示している。しかし、操作アーム部10の図示としては、係止爪14aが非係止状態のときの状態で図示を行っている。
カム部材13は、図3(a)、(b)に示すように、回転軸11の端面から、回転軸11の軸方向に沿って突出した半円柱状の形状に形成されている。係止部材14は、図4(a)、(b)に示すように、正面視で略四角形状に形成されており、一端部側に係止爪14aが形成され、他端側寄りの中央部にはカム孔14bが形成されている。カム孔14bの平面視形状における形状としては、長円形状において一端側に形成した円弧の両端と、他端側に形成した弦の両端とを平行な直線で結んだ形状に構成されている。
即ち、カム孔14bの長円形状における円弧の凸部側が、係止部材14の一端側である係止爪14a側に向かって配され、カム孔14bにおける弦側が、係止部材14の他端側に向かって配された構成になっている。
そして、カム部材13をカム孔14b内に挿入することで、回転軸11の回転によって係止部材14を上下方向に移動させるカム機構が構成されている。
図5(a)に示すように、カム部材13の平面部が、カム孔14bの弦に当たる部位に当接した状態では、図6()に示すように、係止爪14aが容器35の供給口36に形成した環状の鍔部37から離れた非係止状態に位置する。
図5(b)に示すように、回転軸11が回転してカム部材13における平面部が、傾斜しながらカム孔14bの弦に当たる部位に当接していくことで、係止部材14は上方に移動させられる。このとき、図6()に示す位置まで回転軸11が回転すると、即ち、カム部材13の円弧面がカム孔14bの弦に当たる部位に当接すると、係止爪14aは鍔部37に係止して、LPG用低圧調整器1は容器35の供給口36に装着した係止状態になる。
図5(c)に示すように、回転軸11が更に回転すると、円弧状のカム面とカム孔14bの弦に当たる部位との当接状態が強固なものになる。そして、図6()に示すように、係止爪14aと鍔部37との係止状態を強固にできる。
カム部材13におけるカム面を円弧状のカム面とした構成について説明を行ったが、図5(a)から図5(c)に示すように、回転軸11を時計回り方向に回転させるのに伴って、回転軸11の中心軸からカム面までの距離が徐々に長くなるカム面形状に形成しておくこともできる。
即ち、カム面の半径が周方向に沿って漸増又は漸減する構成にしておくことができる。このように構成しておくことにより、図5(c)の状態にした際には、カム部材13のカム面とカム孔14bの弦に当たる部位との間において、より強い圧接状態が構成される。
次に、図7(a)〜(c)を用いて、操作レバー部15の構成について説明する。操作レバー部15は、回動軸16と回動軸16の他端部に設けられた操作部20とから構成されている。回動軸16は、本体部2に形成した軸穴8内で回動自在に支持されている。軸穴8を介してガスが操作部20側の外部に漏れ出ないようにするため、回動軸16の外周面にはシール用のOリング21が設けられている。
回動軸16の一端部には、カム面を有するカム部材17が形成されている。カム部材17におけるカム面形状としては、半円弧状のカム面として形成しておくことも、カム面の半径が周方向に沿って漸増又は漸減する形状に構成しておくこともできる。カム部材17の平面部側と、回動軸16の一端部側における外表面に形成した環状の溝16aと、の間にはガスを流すガス流路16bが構成されている。
図7(c)では、ガス流路16bが、回動軸16内に形成したガス穴16d、ガス穴16dに連通したキリ穴16cを介して環状の溝16aに連通した構成になっている。環状の溝16aは、圧力調整室6に連通する連通孔7aに接続している。
図7(c)に示す回動軸16の構成では、ガス穴16dやキリ穴16cを形成した構成について説明を行ったが、ガス穴16dやキリ穴16cを設ける代わりに、回動軸16の外表面や軸穴8(図1(b)参照)の内面にガス導入口4からのガスを連通孔7aに導くガス流路を形成しておくこともできる。
図1(b)に示すように、回動軸16に設けたカム部材17は、ガス導入口4内に配した押圧操作ロッド23を押圧して、容器35内に配した図示せぬ自閉弁の開閉を行う弁ロッド38の移動を行わせる。押圧操作ロッド23は、通常では自由落下状態でガス導入口4の筒体部24内に収納されている。そして、LPG用低圧調整器1を容器35の供給口36に被せることにより、押圧操作ロッド23は自閉弁の弁ロッド38に当接して、上方に持ち上げられる。
この状態から、押圧操作ロッド23をカム部材17のカム面で押圧することにより、押圧操作ロッド23を強制的に降下させることができ、押圧操作ロッド23の端面に当接している自閉弁の弁ロッド38を降下させる。これによって、自閉弁は開状態になる。
カム部材17のカム面で押圧操作ロッド23を押圧し、自閉弁を開状態にしたときには、容器35から供給されたガスは、軸穴8とカム部材17のカム面との隙間から、ガス流路16b内に流れ込む。
このようにLPG用低圧調整器1が構成されているので、操作レバー部15が容器35の自閉弁を開状態にする回動位置では、操作部20は操作アーム部10の突出部12aの回動軌跡上の位置にある。そのため、操作アーム部10を回動させようとした場合には、操作アーム部10に設けた突出部12aが操作部20に当接して、操作アーム部10の回動が規制される。
また、自閉弁が閉状態となる操作レバー部15の回動位置においては、切欠き部20aが突出部12aの回動軌跡上に位置するので、突出部12aは凹状の切欠き部20aの間を通り抜ける。そして、操作アーム部10とともに突出部12aの回動が許容される。これによって、係止爪14aを供給口36の鍔部37との係止位置まで移動させたり、係止位置から離間させることができる。
しかも、係止部材14を移動させるのは、操作アーム部10を操作して、一対の回転軸11を回転させることによって行える。即ち、回転軸11の回転は、一対の回転軸11に連結した連結アーム12を操作することによって行える。このように構成されているので、「てこの原理」を利用することができ、過大な力を要せずに操作アーム部10や操作レバー部15を簡単に操作することができる。
また、一対の係止爪14aが鍔部37に係止することで、LPG用低圧調整器1は容器35の供給口36に装着されるので、各係止爪14aに作用させる係止力は、従来例のように係止爪が一つの場合に比べて、約半分の力で行うことができる。このため、一対の係止爪14aを作動させるために操作アーム部10を操作するときの操作力も小さくなる。しかも、長期にわたって安定した状態で、確実にLPG用低圧調整器1を容器35の供給口36に対して着脱させることができる。
図8乃至図9を用いて、本発明に係るLPG用低圧調整器の実施例2の構成について説明する。実施例1では、回転軸11の一端部に設けたカム部材13の構成として、半円筒状の形状を備えた構成について説明を行った。実施例2では、カム部材13が、回転軸11の一端面から突出した偏心ピン45によって構成されている。他の構成は、実施例1における構成と同様の構成になっており、実施例1における構成と同様の構成については、実施例1で用いた部材符号を用いることで、その部材に関する重複する説明は省略する。
図8(a)〜(c)には、実施例2に係る操作アーム部10の構成を示している。回転軸11は、一端に偏心ピン45が形成され、他端には、操作アーム部10の連結アーム12の端部に形成した嵌合孔に嵌合する嵌合軸11aが形成されている。嵌合孔及び嵌合軸11aは、相対的な回転が不能になるように、例えば、矩形状の断面形状に形成されている。図9(b)に示すように、係止部材42は、下端部に係止爪42aが形成され、上端部側には、偏心ピン45を回動自在に支持する支持孔46が形成されている。
支持孔46に挿入された回転軸10の偏心ピン45は、回転軸10の回転に伴って、図9(c)〜(e)に示すように、係止部材42を左右方向に揺動させながら上下方向に移動させる。係止部材42の揺動時には、回動軸10の軸と直交する方向に係止部材42は揺動することになる。係止部材42の左右方向における揺動量を規制するため、係止部材42を収納したLPG用低圧調整器1の本体部2には、揺動規制面44が形成されている。
図9(c)で示す状態が、係止部材42が最も上に持ち上げられた状態を示しており、この状態では、係止爪42aが容器35の鍔部37に係止された状態になっている。そして、係止爪42aは、鍔部37の下面側と略平行な配置関係になり、係止爪42aと鍔部37との係止状態は、強固な係止状態になる。
図9(d)に示すように、係止爪42aと鍔部37との係止状態が解除される方向に回転軸11が回転すると、係止爪42aは、鍔部37に対して傾きながら鍔部37から離間する方向に移動する。このように、係止爪42aと鍔部37との係止状態が解除されるときには、係止爪42aは鍔部37の下面と平行な状態から傾きながら離間していくことになる。
逆に、図9(d)に示す状態は、係止爪42aが鍔部37に係止される少し前の状態として見ることもできる。この場合には、係止爪42aは傾いた状態から、鍔部37の下面と平行な状態に変形しながら鍔部37に係止されることになる。
このように、係止爪42aが鍔部37から離間する場合も、鍔部37に係止される場合も、係止部材42は傾きながら行うことができるので、係止部材42を移動させるときに要する操作力としては、過大な力を用いなくても容易に行うことができる。これによって、LPG用低圧調整器1の着脱操作を容易に行うことができる。
図10、図11を用いて、本発明に係るLPG用低圧調整器の実施例3の構成について説明する。実施例2では、回転軸11の端部に形成した偏心ピン45を係止部材42に形成した支持孔46に挿入した構成について説明した。実施例3では、係止部材42に支持孔46を形成する代わりに、係止部材42の上端部に偏心ピン45を回転自在に把持するピン支持部47を設けた構成になっている。
他の構成は、実施例2における構成と同様の構成になっており、実施例1及び実施例2における構成と同様の構成については、実施例1及び実施例2で用いた部材符号を用いることで、その部材に関する重複する説明は省略する。
図11(a)に示すように、係止部材42の正面図において、下端部側に係止爪42aを形成し、上端部にピン支持部47を形成している。ピン支持部47は、円環の一部を切り欠いた形状に構成されており、ピン支持部47において偏心ピン45を把持した状態で偏心ピンの回動を許容する。
そして、図10で示すように、回転軸11の回転による偏心ピン45の回動によって、偏心ピン45を軸支している係止係止部材42は上下方向に移動する。そして、係止爪42aを鍔部37に係止させたり、係止状態を解除させたりすることができる。
尚、図10では、図1(b)における開放位置、即ち、操作アーム部10がLPG用低圧調整器1の上方に回動した位置が、LPG用低圧調整器1のロック位置として示している。これは、LPG用低圧調整器1のロック位置において、操作アーム部10の構成を分かり易く図示するために行ったものであり、実施例3においても実施例1の場合と同様に、操作アーム部10がLPG用低圧調整器1の上方に回動した位置を開放位置として構成しておくこともできる。
この構成の場合でも、係止部材42は左右方向に揺動しながら上下方向に移動する。そのため、係止部材42における左右方向の揺動量を規制するため、実施例2の場合と同様に、揺動規制面44を構成しておくことができる。
このように構成しておくことにより、偏心ピン45を係止部材42に組み付けるときの組み付け作業を容易に行うことができ、組み付け作業を短時間で確実に行うことができる。
1…LPG用低圧調整器、4…ガス導入口、5…排出口、6…圧力調整室、7…大気室、10…操作アーム部、11…回転軸、12…連結アーム、12a…突出部、13…カム部材、14…係止部材、14a…係止爪、15…操作レバー部、16…回動軸、17…カム部材、20…操作部、20a…切欠き部、23…押圧操作ロッド、24…筒体部、35…容器、36…供給口、37…鍔部、38…弁ロッド、39…シール部材、42…係止部材、42a…係止爪、43…支持孔、45…偏心ピン、46…支持孔、47…ピン支持部、50…低圧調整器、51…ガス導入口、52…排出口、53…圧力調整室、54…操作レバー部、55…回動軸、56a…第1カム片、56b…第2カム片、57…係止爪、58…スピンドルバルブ、59…シール部材。

Claims (2)

  1. ガスが充填された容器の供給口に着脱自在に装着されるLPG用低圧調整器であって、
    前記LPG用低圧調整器は、前記供給口内に挿入して密着される筒状のガス導入口と、前記ガス導入口の外面側における左右に配され、係止爪を有する一対の係止部材と、前記ガス導入口の内面側に配された押圧操作ロッドと、前記押圧操作ロッドを操作する操作レバー部と、前記一対の係止部材を操作する操作アーム部と、前記ガス導入口から前記LPG用低圧調整器内に導入したガスを外部に流出するガス排出口と、前記ガス導入口と前記ガス排出口との間に設けられた圧力調整部と、を備え、
    前記操作アーム部は、同軸上に配された一対の回転軸と、前記各回転軸に回転を与える連結アームと、を有し、
    前記各回転軸の一端には、カム部材が形成され、前記各回転軸の他端部間は、前記連結アームによって連結され、
    前記各係止部材の前記係止爪は、前記各カム部材の回転により、前記供給口の外周面に形成された鍔部との係止位置と非係止位置との間を移動し、前記係止位置において、前記ガス導入口と前記供給口とが密着してなり、
    前記押圧操作ロッドは、前記操作レバー部の操作部を回動させることにより上下動して、前記供給口に設けた自閉弁の開閉を行い、
    前記操作部は、前記連結アームの回動範囲内に配され、
    前記自閉弁が開状態となる前記操作部の回動位置において、前記連結アームは前記操作部に当接してその回動が規制され、
    前記自閉弁が閉状態となる前記操作部の回動位置において、前記連結アームは前記操作部に当接せずにその回動が許容されることを特徴とするLPG用低圧調整器。
  2. 前記操作部は、前記操作部の長手方向の中央部に凹状の切欠き部が形成され、前記連結アームの中央部における内側に突出部が形成され、
    前記自閉弁が開状態となる前記操作部の回動位置において、前記突出部が前記操作部に当接して前記連結アームの回動を規制し、前記自閉弁が閉状態となる前記操作部の回動位置において、前記凹状の切欠き部は、前記連結アームの回動に伴う前記突出部の通り抜けを許容する位置に配されることを特徴とする請求項1に記載のLPG用低圧調整器。
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