図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
[実施の形態1]
(全体構成)
図1および図2は、本発明を適用した磁気素子を用いた磁気パターン検出装置の要部を示す説明図、およびそのブロック図である。図3は、本発明を適用した磁気パターン検出装置の原理を示す説明図である。
(全体構成)
図1および図2は、本発明を適用した磁気パターン検出装置の要部を示す説明図、およびそのブロック図である。図3は、本発明を適用した磁気パターン検出装置の原理を示す説明図である。
図1に示す磁気パターン検出装置100は、銀行券、有価証券等の媒体1から磁気を検知して真偽判別や種類の判別を行なう装置であり、ローラやガイド(図示せず)等によってシート状の媒体1を搬送する搬送装置10と、この搬送装置10による媒体搬送経路の途中位置で媒体1から磁気を検出するセンサ部20と、図2を参照して後述する信号処理部60とを有している。本形態において、ローラやガイドは、アルミニウム等といった非磁性材料から構成されている。センサ部20は、媒体搬送経路の上方に配置されているが、媒体搬送経路の下方に配置されることもある。いずれの場合も、センサ部20は、検出面を媒体搬送経路に向けるように配置される。
本形態において、媒体1には、残留磁束密度Brおよび透磁率μが異なる複数種類の磁気パターン2が形成されている。例えば、媒体1には、ハード材を含む磁気インキにより印刷された第1の磁気パターンと、ソフト材を含む磁気インキにより印刷された第2の磁気パターンとが形成されている。ここで、ハード材を含む磁気インキは、図3(b1)にヒステリシスループによって、残留磁束密度Brや透磁率μ等を示すように、磁界を印加したときの残留磁束密度Brのレベルは高いが、透磁率μは低い。これに対して、ソフト材を含む磁気インキは、図3(c1)にそのヒステリシスループを示すように、磁界を印加したときの残留磁束密度Brのレベルは低いが、透磁率μは高い。
そこで、本形態において、センサ部20は、媒体1における磁気パターン2毎の有無を残留磁束密度レベルおよび透磁率レベルの双方に基づいて検出する。但し、本形態では、かかる2種類の磁気パターン2の検出を行なうためのセンサ部20は共通である。
このため、図2に示す信号処理部60は、センサ部20から出力される信号から、残留磁束密度レベルに対応する第1信号S1、および透磁率レベルに対応する第2信号S2を抽出し、かかる信号の抽出結果と、媒体1とセンサ部20との相対位置情報に基づいて、媒体1における複数種類の磁気パターンの有無および形成位置を検出する。より具体的には、信号処理部60は、センサ部20から出力された信号を増幅するアンプ61と、このアンプ61から出力された信号のピーク値およびボトム値を保持するピークホールド回路62およびボトムホールド回路63と、ピーク値とボトム値とを加算して第1信号S1を抽出する加算回路64と、ピーク値とボトム値とを減算して第2信号S2を抽出する減算回路65とを備えている。さらに、信号処理部60は、加算回路64および減算回路65から出力された各信号をセンサ部20と媒体1との相対位置情報に関係づけて、記録部661に予め記録されている比較パターンとの照合を行って媒体1の真偽を判定する判定部66も備えている。かかる判定部66は、マイクロコンピュータ等により構成されており、ROMあるいはRAM等といった記録部(図示せず)に予め記録されているプログラムに基づいて所定の処理を行い、媒体1の真偽を判定する。
再び図1において、センサ部20は、媒体1の搬送方向と交差する方向に複数配置されており、かかる複数のセンサ部20は、個別あるいは共通のカバー28内に配置されている。センサ部20は、媒体1に磁界を印加する磁界印加部30と、磁界を印加した後の媒体1にバイアス磁界を印加した状態における磁束を検出する磁束検出部70とを備えてい
る。
磁界印加部30は、フェライトやネオジウム磁石等の永久磁石から構成されており、カバー28の下面に保持されている。磁束検出部70は薄板状の磁気センサ素子45(磁気素子)を備えており、媒体1の搬送方向に厚さ方向を向けて配置されている。磁気センサ素子45は、両面がセラミック等からなる厚さ0.3mm〜1mm程度の薄板状の非磁性部材450により覆われ、この状態で、磁気シールドケース21に収納されている。磁気シールドケース21は、媒体搬送経路が位置する下方が開口しており、磁気センサ素子45は、媒体搬送経路に向けて露出した状態にある。磁気シールドケース21は、回路基板22の支持体としても利用されており、磁気シールドケース21の側面には回路基板22が配置されている。また、カバー28内には、他に複数の回路基板23、24が保持されている。回路基板22、23、24は互いに配線接続されており、かかる回路基板23、24上に、図2に示す信号処理部60が構成されている。
(センサ部20の詳細構成)
図4(a)、(b)、(c)、(d)は、本発明を適用した磁気パターン検出装置100において磁束検出部を構成する磁気センサ素子45の正面図、この磁気センサ素子45に対する励磁波形の説明図、磁気センサ素子45からの出力信号の説明図、および別の磁気センサ素子45の正面図である。図5は、本発明を適用した磁気パターン検出装置100において種類の異なる磁気パターン2が形成された媒体1から磁気パターン2の有無を検出する原理を示す説明図である。なお、図4(a)では、図面に対して垂直な方向で媒体1が移動する状態を示してある。
図4(a)に示すように、センサ部20において、磁束検出部70に用いた磁気センサ素子45は、アモルファスやパーマロイ等の磁性体からなる薄板状のセンサコア41を備えたコア体40、このコア体40に巻回されたバイアス磁界発生用励磁コイル43、およびコア体40に巻回された検出コイル42を備えている。さらに、磁気センサ素子45は、コア体40にバイアス磁界発生用励磁コイル43とは逆方向に巻回された差動用磁界発生用励磁コイル44を備えている。
図2に示すように、バイアス磁界発生用励磁コイル43と差動用磁界発生用励磁コイル44とは直列に接続され、その中点がグランド電位に保持されている。また、バイアス磁界発生用励磁コイル43および差動用磁界発生用励磁コイル44は、励磁回路50から同一位相の交番電流(図4(b)参照)が定電流で印加される。このため、図4(a)に示すように、センサコア41の周りには、バイアス磁界と、このバイアス磁界に対して逆向きの差動用磁界が形成され、検出コイル42からは、図4(c)に示す検出波形の信号が出力されることになる。ここで、図4(c)に示す検出波形は、バイアス磁界および時間に対する微分的な信号であり、かつ、差動用磁界発生用励磁コイル44によって形成された差動用磁界との磁気的な差動に基づく信号である。
再び図4(a)において、センサコア41は、検出コイル42が巻回された胴部410と、胴部410の下端部の中央部分から媒体1が位置する下方に突出した第1突部411と、第1突部411とは反対側で胴部410の上端部の中央部分から上方に突出した第2突部412とを備えている。検出コイル42は、センサコア41の胴部410に巻回され、バイアス磁界発生用励磁コイル43は第1突部411に巻回され、差動用磁界発生用励磁コイル44は、第2突部412に巻回されている。ここで、第1突部411および第2突部412の断面積は、胴部410の断面積に比して小さい。このため、検出コイル42は、バイアス磁界発生用励磁コイル43および差動用磁界発生用励磁コイル44より断面積が大きい構成になっている。
センサコア41においては、図4(d)に示すように、胴部410の上下両端の両側に、第1突部411および第2突部412を各々挟むように計4つの第3突部413が形成されている構成を採用してもよい。このように構成すると、閉磁路になる分、透磁率の低い空気中を通る磁束が減るので、感度を向上することができる。
(検出原理)
本形態の磁気パターン検出装置100において、センサ部20では、磁界印加部30を媒体1が通過する際、磁界印加部30から磁界が印加され、磁界が印加された後の媒体1は、磁束検出部70を通過する。それまでの間、検出コイル42からは、図3(a3)に示すように、図3(a2)に示すセンサコア41のB−Hカーブに対応する信号が出力される。従って、図2に示す加算回路64および減算回路65から出力される信号は各々、図3(a4)に示す通りである。
ここで、フェライト粉等のハード材を含む磁気インキにより第1の磁気パターンが媒体1に形成されていると、かかる第1の磁気パターンは、図3(b1)に示すように、高レベルの残留磁束密度Brを有する。このため、図5(a1)に示すように、磁界印加部30を媒体1が通過した際、第1の磁気パターンは、磁界印加部30からの磁界により、マグネットとなる。このため、検出コイル42から出力される信号は、図3(b2)に示すように、第1の磁気パターンから直流的なバイアスを受けて、図3(b3)および図5(a2)に示す波形に変化する。すなわち、信号S0のピーク電圧およびボトム電圧が矢印A1、A2で示すように、同一の方向にシフトするとともに、ピーク電圧のシフト量とボトム電圧のシフト量が相違する。しかも、かかる信号S0は、媒体1の移動に伴って変化する。従って、図2に示す加算回路64から出力される第1信号S1は、図3(b4)に示す通りであり、磁束検出部70を媒体1の第1の磁気パターンが通過するたびに変動する。ここで、ハード材を含む磁気インクにより形成された第1の磁気パターンは、透磁率μが低いため、信号S0のピーク電圧およびボトム電圧のシフトに影響しているのは、第1の磁気パターンの残留磁束密度Brだけと見做すことができる。それ故、図2に示す減算回路65から出力される第2信号S2は、磁束検出部70を媒体1の第1の磁気パターンが通過しても変動せず、図3(b4)に示す信号と同様である。
これに対して、軟磁性ステンレス紛等のソフト材を含む磁気インキにより第2の磁気パターンが媒体1に形成されていると、かかる第2の磁気パターンのヒステリシスループは、図3(c1)に示すように、図3(b1)に示すハード材を含む磁気インクによる第1の磁気パターンのヒステリシスカーブの内側を通り、残留磁束密度Brのレベルが低い。このため、磁界印加部30を媒体1が通過した後も、第2の磁気パターンは、残留磁束密度Brのレベルが低い。但し、第2の磁気パターンは透磁率μが高いため、磁性体として機能する。このため、検出コイル42から出力される信号は、図3(c2)に示すように、第2の磁気パターンの存在によって透磁率μが高くなっている分、図3(c3)および図5(b2)に示す波形に変化する。すなわち、信号S0のピーク電圧は矢印A3で示すように高い方にシフトする一方、ボトム電圧は、矢印A4で示すように低い方にシフトする。その際、ピーク電圧のシフト量とボトム電圧のシフト量は絶対値が略等しい。しかも、かかる信号S0は、媒体1の移動に伴って変化する。従って、図2に示す減算回路65から出力される第2信号S2は、図3(c4)に示す通りであり、磁束検出部70を媒体1の第2の磁気パターンが通過するたびに変動する。ここで、ソフト材を含む磁気インクにより形成された第2の磁気パターンは、残留磁束密度Brが低いため、信号のピーク電圧およびボトム電圧のシフトに影響しているのは、第2の磁気パターンの透磁率μだけと見做すことができる。それ故、図2に示す加算回路64から出力される第1信号S1は、磁束検出部70を媒体1の第2の磁気パターンが通過しても変動せず、図3(c4)に示す信号と同様である。
(媒体1の検出例)
図6は、本発明を適用した磁気パターン検出装置100を用いて、種類の異なる媒体1から磁気パターンを検出した結果を示す説明図である。
本形態の磁気パターン検出装置100では、加算回路64において磁気センサ素子45から出力される信号のピーク値とボトム値とを加算した第1信号S1は、磁気パターン2の残留磁束密度レベルに対応する信号であり、かかる第1信号S1を監視すれば、ハード材を含む磁気インキにより形成された第1の磁気パターンの有無および形成位置を検出することができる。また、減算回路65において磁気センサ素子45から出力される信号のピーク値とボトム値とを減算した第2信号S2は、磁気パターン2の透磁率μに対応する信号であり、かかる第2信号S2を監視すれば、ソフト材を含む磁気インキにより形成された第2の磁気パターンの有無および形成位置を検出することができる。それ故、磁界を印加したときの残留磁束密度Brおよび透磁率μが異なる複数種類の磁気パターンの媒体1における磁気パターン2毎の有無および形成位置を残留磁束密度レベルおよび透磁率レベルの双方に基づいて識別することができる。
それ故、ハード材を含む磁気インキにより第1の磁気パターンが形成されている媒体1、およびソフト材を含む磁気インキにより第2の磁気パターンが形成されている媒体1を検査すると、図6(a)、(b)に示す結果を得ることができ、かかる信号パターンを照合すれば、磁気パターン2の有無、種別、形成位置、さらには濃淡を検出することができ、媒体1の真偽を判定することができる。また、第1の磁気パターンおよび第2の磁気パターンの双方が形成されている2つの媒体1を検査すると、図6(c)に示す結果を得ることができ、かかる信号パターンを照合すれば、磁気パターン2の有無、種別、形成位置、さらには濃淡を検出することができ、かかる媒体1についても真偽を判定することができる。
[磁気素子の詳細構成]
図7は、本発明を適用した磁気センサ素子45のコア体40の説明図であり、図7(a)、(b)、(c)は各々、コア体の斜視図、平面図、および断面図である。なお、磁気センサ素子45としては、図4(a)、(d)に示す2つのタイプを挙げることができるが、以下の説明では、図4(d)に示すタイプのものを例示する。
図4(d)および図7に示す磁気センサ素子45のコア体40は、非磁性の第1基板46の一方面46a側に磁性材料層からなるセンサコア41が設けられた構造になっている。本形態において、センサコア41は、後述するように、第1基板46の一方面46aに第1接着層48より貼着されたアモルファス(非晶質)金属の磁性材料からなる薄板状のアモルファス金属箔41s(金属箔)からなる。かかるアモルファス金属箔41sは、ロールによる圧延によって形成されたものであり、コバルト系としては、Co−Fe−Ni−Mo−B−Si、Co−Fe−Ni−B−Si等のアモルファス合金、鉄系としては、Fe−B−Si、Fe−B−Si−C、Fe−B−Si−Cr、Fe−Co−B−Si、Fe−Ni−Mo−B等のアモルファス合金を例示することができる。
また、第1基板46の一方面46a側には、第2接着層49によって、第1基板46との間にセンサコア41を間に挟むように非磁性の第2基板47が接着されている。第1基板46と第2基板47は、同一形状を有しており、コア体40の外形形状を規定している。本形態において、第1基板46および第2基板47に用いられる非磁性の基板としては、アルミナ基板等のセラミック基板や、ガラス基板等を例示でき、十分な剛性を得られるのであれば、プラスチック基板を用いてもよい。第1基板46および第2基板47のうちの少なくとも一方は、ガラス基板等の透光性基板である。本形態では、第2基板47が透光性基板であり、第1基板46は非透光性基板である。
また、第1接着層48および第2接着層49はいずれも、樹脂材料が固化してなる層であり、本形態において、第1接着層48および第2接着層49では、樹脂材料として熱硬化性樹脂が用いられている。かかる第1接着層48および第2接着層49を形成するにあたって、本形態では、エポキシ樹脂系の熱硬化性樹脂を半硬化状態とした接着シートが用いられる。
ここで、センサコア41は、検出コイル42が巻回された胴部410と、胴部410の下端部の中央部分から媒体1が位置する下方に突出した第1突部411と、第1突部411とは反対側で胴部410の上端部の中央部分から上方に突出した第2突部412とを備えている。また、センサコア41は、胴部410の上下両端の両側に、第1突部411および第2突部412を各々挟むように計4つの第3突部413が形成されている。従って、コア体40も、センサコア41と同様、検出コイル42が巻回された胴部400と、胴部400の下端部の中央部分から媒体1が位置する下方に突出した第1突部401と、第1突部401とは反対側で胴部400の上端部の中央部分から上方に突出した第2突部402とを備えている。また、コア体40は、胴部400の上下両端の両側に、第1突部401および第2突部402を各々挟むように計4つの第3突部403を備えている。また、コア体40は、胴部400の上下方向の中央部分は、わずかに凹んだ凹部400aになっており、かかる凹部400aによって検出コイル42の巻回部が構成されている。
コア体40において、センサコア41は、第1基板46および第2基板47の外周縁よりもわずかに内側に位置しており、コア体40の外周縁(第1基板46および第2基板47の外周縁)とセンサコア41の外周縁との間は封止部40aになっている。すなわち、図7(c)に示すように、第1接着層48は、第1基板46の一方面46aの全面に形成されており、かかる第1接着層48の上層には、第1基板46および第1接着層48の外周縁より内側領域にセンサコア41が形成されている。また、第2接着層49は、センサコア41と重なる領域、およびセンサコア41の周りでセンサコア41から第1接着層48が露出している領域に形成されており、センサコア41の周りで第1接着層48と第2接着層49とは直接、接している。このため、センサコア41の側端面は、コア体40の外周縁(第1基板46および第2基板47の外周縁)とセンサコア41の外周縁との間に位置する第2接着層49によって覆われており、第2接着層49においてセンサコア41の側端面を覆う部分によって封止部40aが構成されている。このため、コア体40においては、センサコア41が露出していない。
本形態において、第1基板46の厚さと第1接着層48の厚さの和と、第2接着層49においてセンサコア41と重なる部分の厚さと第2基板47の厚さとの和とは、等しい。このため、第1基板46においてセンサコア41が位置する側とは反対側に位置する外面46bからセンサコア41までの距離(第1基板46の厚さと第1接着層48の厚さの和)d1と、第2基板47においてセンサコア41が位置する側とは反対側に位置する外面47bからセンサコア41までの距離(第2接着層49においてセンサコア41と重なる部分の厚さと第2基板47の厚さとの和)d2とは等しい。
(磁気センサ素子45の製造方法)
次に、本発明を適用した磁気センサ素子45の製造方法を説明しながら、磁気センサ素子45の構成をさらに詳述する。図8は、本発明を適用した磁気センサ素子45の製造方法を示す工程断面図であり、図8には、コア体40を形成するまでの工程を表してある。なお、本形態では、第1基板46および第2基板47として磁気センサ素子45を多数取りできる大型基板を用いてセンサコア41等を形成した後、大型基板を単品サイズの大きさに切断する方法を採用する。但し、以下の説明では、サイズの大小にかからわらず、第1基板46および第2基板47として説明する。
本形態の磁気センサ素子45を製造するには、まず、図8(a)に示すように、磁気センサ素子45を多数取りできるアルミナ基板等、非磁性の大型の第1基板46を準備する。
次に、図8(b)に示す金属箔貼着工程において、第1基板46の一方面46aにエポキシ樹脂系の熱硬化性樹脂からなる第1接着シート48aを載置した後、その上にアモルファス金属箔41sを重ね、この状態で熱を加えるとともに加圧して第1接着シート48aを硬化させ、第1基板46とアモルファス金属箔41sとの熱圧着を行なう(磁性材料箔貼着工程)。その結果、第1接着シート48aによって第1接着層48が形成され、第1基板46の一方面46aとアモルファス金属箔41sとは、第1接着層48によって貼着される。アモルファス金属箔41sの厚みは、0.05mm以下であることが好ましい。これは、厚みが0.1mm程度のアモルファス金属箔41sは、機械的な強度が高く、可撓性が低いため、テンションを掛けての貼り付けが難しく、また、貼り付けの際に空気が抜け難くいため、凹凸が発生しやすいからである。第1接着シート48aは、エポキシ系樹脂材料からなるシートであり、厚さは0.2mm以下である。また、熱圧着温度は、約200℃に設定するのが好ましい。その理由は、200℃という温度は、アモルファス金属箔41sを構成するコバルト系、鉄系の各アモルファス合金が強磁性から常磁性に磁気相転移する温度(キュリー温度)以下であり、かつ、エポキシ樹脂系の第1接着シート48aが十分な接着強度を発揮する温度以上だからである。
次に、図8(c)に示す金属箔パターニング工程では、アモルファス金属箔41sの上面のうち、センサコア41として残したい領域にエッチングマスク41xを形成する。かかるエッチングマスク41xを形成するには、例えば、アモルファス金属箔41sの上から光硬化性のドライフィルムを貼着した後、遮光部および透光部を備えたターンフィルムをドライフィルムの上に貼着する。その際、アモルファス金属箔41sとドライフィルムとの密着性を高めるため、アモルファス金属箔41sを研磨しておくことが好ましい。次に、パターンフィルムを介してドライフィルムを露光した後、現像し、エッチングマスク41xを形成する。なお、ドライフィルムに代えて、感光性樹脂層を形成してもよく、ドライフィルムや感光性樹脂層についてはポジタイプおよびネガタイプのいずれを用いてもよい。
次に、図8(d)に示すように、エッチングマスク41xの開孔部を介してアモルファス金属箔41sをエッチングし、所定のパターン形状を備えたセンサコア41を形成する。ここで用いられるエッチング液としては、塩化第二鉄系エッチング液を例示することができる。しかる後に、図8(e)に示すように、エッチングマスク41xを除去する。かかるエッチングの際、第1基板46は、セラミック等、高い剛性を有する基板である。このため、大型の第1基板46に撓み等が発生しにくいため、エッチングマスク41xを精度かつ高い密着性をもって形成することができる。それ故、オーバーエッチング等に起因するパターンニング不良が発生しない。
次に、図8(f)に示す第2基板接着工程では、第1基板46の一方面46a側にエポキシ樹脂系の熱硬化性樹脂からなる第2接着シート49aを載置した後、その上に大型の第2基板47を重ね、この状態で熱を加えるとともに加圧して第2接着シート49aを硬化させ、第1基板46の一方面46aと第2基板47との熱圧着を行なう。その結果、第2接着シート49aによって第2接着層49が形成され、第1基板46の一方面46a側と第2基板47とは、第2接着層49によって接着される。第2接着シート49aは、第1接着シート48aと同様のシートであり、厚さは0.2mm以下である。この時の熱圧着温度も、金属箔貼着工程と同様、約200℃に設定するのが好ましい。
次に、図8(f)に示す基板切断工程では、第1基板46および第2基板47を切断し、単品サイズのコア体40を得る。その結果、図7に示すコア体40を得ることができる。
しかる後には、図4に示すように、コア体40に対して、検出コイル42、バイアス磁界発生用励磁コイル43、および差動用磁界発生用励磁コイル44を巻回すると、磁気センサ素子45が完成する。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の磁気センサ素子45(磁気素子)において、センサコア41(磁性材料層)は、第1基板46の一方面46aに第1接着層48より貼着されたアモルファス金属箔からなり、蒸着法やスパッタ法等の方法で成膜された層ではない。このため、高価な装置等を用いなくても、第1基板46の一方面46aにセンサコア41を形成することができる。また、第1基板46の一方面46aに第1接着層48よりアモルファス金属箔を貼着する方法であれば、蒸着法やスパッタ法等により磁性材料層を成膜する場合と違って、長い成膜時間を必要としないので、生産効率が高い。それ故、磁気センサ素子45を安価に提供することができる。さらに、蒸着法やスパッタ法の場合、第1基板46が完全な平面でないと、成膜ムラが生じてしまうが、本形態に係る製造方法は、アモルファス金属箔41sを大型の第1基板46に貼着する方法であるため、大型の第1基板46に多少の撓みがあっても、大型の第1基板46上のいずれの箇所でも、磁性材料層(アモルファス金属箔41s)の厚さが均一である。
また、本形態では、センサコア41を形成するにあたって、アモルファス金属箔41sを第1基板46に貼着した後、パターニングする。このため、予め、所定形状に切断したアモルファス金属箔41aを貼着する方法と比較して、量産性に優れている。
また、第2基板47は透光性基板であるため、第1基板46に対して第2基板47を接着する際、第2基板47を介してセンサコア41の位置を確認することができる。従って、センサコア41の位置を確認しながら、大型の第1基板46上の所定位置に大型の第2基板47を接着することができる。また、基板切断工程を行なう際、第2基板47を介してセンサコア41の位置を確認しながら切断を行なうことができる。
さらに、本形態において、第1基板46の厚さと第1接着層48の厚さの和と、第2接着層49においてセンサコア41と重なる部分の厚さと第2基板47の厚さとの和とは、等しい。このため、第1基板46においてセンサコア41が位置する側とは反対側に位置する外面46bからセンサコア41までの距離d1と、第2基板47においてセンサコア41が位置する側とは反対側に位置する外面47bからセンサコア41までの距離d2とは等しいので、センサコア41と検出コイル42、バイアス磁界発生用励磁コイル43、およびバイアス磁界発生用励磁コイル43との間隔がコア体40の両面で等しい。このため、磁気センサ素子45の感度や精度が高いなど、磁気センサ素子45の磁気特性が優れている。
また、第1接着層48および第2接着層49では、樹脂材料として熱硬化性樹脂が用いられているため、熱圧着により貼着や接着を行なっている間に樹脂材料を硬化させることができる。また、熱圧着によって、第1接着層48および第2接着層49の厚さを最適条件に設定することができる。
また、センサコア41は第1接着層48および第2接着層49によって両面が覆われている。また。センサコア41の側端面は、第2接着層49によって覆われている。このため、コア体40においてセンサコア41が露出していないので、センサコア41が外気中の水分や酸素と触れて酸化する等の劣化を確実に防止することができる。また、図1に示すように磁気センサ素子45を使用した際、センサコア体41の端部が媒体1と直接、接触することがないので、センサコア41が磨耗するなどの問題が発生しない。
さらに、本形態では、アモルファス金属箔41sを熱硬化性樹脂を半硬化状態とした第1接着シート48aを用いて貼着する。このため、通常の液体接着剤を使用した場合と違って、アモルファス金属箔41sに皺や浮き上がり等が発生しにくい。また、熱硬化性樹脂からなる接着シートであれば、アモルファス金属箔41sが縮まず、常にテンションが掛かった状態とすることができるので、皺や浮き上がりに起因する磁気特性の変化を防止することができる。
(製造方法の改良例1)
図9は、本発明を適用した磁気センサ素子45の製造方法の改良例1を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、上記実施の形態と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの詳細な説明を省略する。
図1〜図8を参照して説明した磁気センサ素子45を製造するにあたって、本形態では、図9(a)に示すように、磁気センサ素子45を多数取りできる非磁性の大型の第1基板46を準備する。その際、大型の第1基板46においてセンサコア41を形成すべき領域の外側に穴(基準穴)46pが形成された基板を用いる。本形態において、穴46pは貫通穴である。
次に、図8(b)を参照して説明した金属箔貼着工程では、図9(b)、(c)に示すように、穴46pにピン46rを立て、かかるピン46rを指標として、第1接着シート48aおよびアモルファス金属箔41sを重ねる。ここで、穴46pは、センサコア41を形成すべき領域の両側、すなわち、第1基板46において四隅近傍に位置する箇所に形成されている。従って、ロール状に巻回されたアモルファス金属箔41sにおいて、その幅方向の両端41tをピン46rに位置合わせする。かかるアモルファス金属箔41sでは、矢印Rで示す長さ方向が圧延方向である。その際、図9(c)に示すように、シリコンゴム等といった弾性を備えたシート111上に大型の第1基板46を載置するとともに、アモルファス金属箔41sの上にシリコンゴム等といった弾性を備えたシート112を重ね、この状態で第1基板46とアモルファス金属箔41sとの熱圧着を行なう(磁性材料箔貼着工程)。
次に、図8(c)を参照して説明した金属箔パターニング工程を行い、図9(d)に示すように、所定のパターン形状を備えたセンサコア41を形成する。
次に、図8(f)を参照して説明した第2基板接着工程を行ない、第1基板46の一方
面46a側と第2基板47とを第2接着層49によって接着する。ここで、第2基板47は透光性基板であるため、第1基板46に対して第2基板47を接着する際、図9(e)に示すように、第2基板47を介してセンサコア41および穴46pの位置を確認することができる。従って、センサコア41および穴46pの位置を確認し、センサコア41および穴46pを指標にして、大型の第1基板46上の所定位置に大型の第2基板47を接着することができる。また、図8(g)を参照して説明した基板切断工程を行なう際、図9(f)に示すように、第2基板47を介してセンサコア41および穴46pの位置を確認し、センサコア41および穴46pを指標にして、大型の第1基板46および大型の第2基板47の切断を行なうことができる。
(製造方法の改良例2)
図10は、本発明を適用した磁気センサ素子45の製造方法の改良例2を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、上記実施の形態と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの詳細な説明を省略する。
図1〜図8を参照して説明した磁気センサ素子45を製造するにあたって、本形態では、図10(a)に示すように、磁気センサ素子45を多数取りできる非磁性の大型の第1基板46を準備した後、図8(b)を参照して説明した金属箔貼着工程では、図10(b)に示すように、第1基板46とアモルファス金属箔41sとを第1接着層48を介して貼着する(磁性材料箔貼着工程)。その際、図10(c)に示すように、シリコンゴム等といった弾性を備えたシート111上に大型の第1基板46を載置するとともに、アモルファス金属箔41sの上にシリコンゴム等といった弾性を備えたシート112を重ね、この状態で第1基板46とアモルファス金属箔41sとの熱圧着を行なうことが好ましい。
次に、図8(c)を参照して説明した金属箔パターニング工程を行い、図10(d)に示すように、所定のパターン形状を備えたセンサコア41を形成する。その際、センサコア41が形成されている領域の外側にアモルファス金属箔41sの一部をマーク41mとして残す。
次に、図8(f)を参照して説明した第2基板接着工程を行ない、第1基板46の一方面46a側と第2基板47とを第2接着層49によって接着する。ここで、第2基板47は透光性基板であるため、第1基板46に対して第2基板47を接着する際、図10(e)に示すように、第2基板47を介してセンサコア41およびマーク41mの位置を確認することができる。従って、センサコア41およびマーク41mの位置を確認し、センサコア41およびマーク41mを指標にして、大型の第1基板46上の所定位置に大型の第2基板47を接着することができる。また、図8(g)を参照して説明した基板切断工程を行なう際、図10(f)に示すように、第2基板47を介してセンサコア41およびマーク41mの位置を確認し、センサコア41およびマーク41mを指標にして、大型の第1基板46および大型の第2基板47の切断を行なうことができる。
(製造方法の改良例3)
図11は本発明を適用した磁気センサ素子45の製造方法の改良例3の基板パターニング工程および接着シートパターニング工程を示す説明図であり、図12は本発明を適用した磁気センサ素子45の製造方法の改良例3の金属箔貼着工程以降の工程を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、上記実施の形態と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの詳細な説明を省略する。
図1〜図8を参照して説明した磁気センサ素子45を製造するにあたって、本形態では、磁気センサ素子45を多数取りできる非磁性の大型の第1基板46を準備する。また、第1基板46と対応する形状の大型の第2基板47を準備する。また、第1基板46および第2基板47と対応する形状の第1接着シート48aおよび第2接着シート49aを準備する。
そして、まず、図11(a)に示すように、これら第1基板46および第2基板47をそれぞれパターニングする(第1基板パターニング工程、第2基板パターニング工程)。パターニングは、図8(f)に示す基板切断工程において、図11(a)中に点線で示すように第1基板46および第2基板47を直交する2方向に複数回切断したときに、単品サイズのコア体40として、図7(a)に示すように、胴部400と、第1突部401、第2突部402、および4つの第3突部403を備える形状のものが得られるように、第1基板46および第2基板47のそれぞれに開口部80を形成するものである。
第1基板46および第2基板47のパターニングは、グリーンシート打ち抜き金型を用いた打ち抜き、或いは、エッチングによって行なうことができる。なお、エッチングによりパターニングを行なう場合には、開口部80の形状を精度よく規定するために、RIEなど異方性エッチングを用いることが望ましい。またエッチングにより開口部80や切り欠き部を形成するためには、基板として、アルミナ、ジルコニア、シリコンの酸化物、ガラス、感光性ガラスなどを用いることが好ましい。
また、図11(b)に示すように、第1接着シート48aおよび第2接着シート49aをパターニングする(第1接着シートパターニング工程、第2接着シートパターニング工程)。第1接着シート48aおよび第2接着シート49aのパターニングは、第1基板46および第2基板47のそれぞれに形成した開口部80と対応する開口部81を第1接着シート48aおよび第2接着シート49aに形成するものであり、例えば、打ち抜き金型を用いた打ち抜きにより、行なうことができる。
その後、図8(b)を参照して説明した金属箔貼着工程を行う。すなわち、図12(a)に示すように、第1基板46の一方面46aに第1接着シート48aを載置して、第1基板46および第1接着シート48aに形成されている開口部80を一致させた状態とする。その上にアモルファス金属箔41sを重ね、この状態で熱を加えるとともに加圧して第1接着シート48aを硬化させ、第1基板46とアモルファス金属箔41sとの熱圧着を行なう。
そして、図8(c)を参照して説明した金属箔パターニング工程を行い、図12(b)に示すように、所定のパターン形状を備えたセンサコア41を形成する。
次に、図8(f)に示す第2基板接着工程を行う。すなわち、図12(c)に示すように、第1基板46の一方面46a側に第2接着シート49aを載置して、第1基板46および第2接着シート49aに形成されている開口部80を一致させた状態とする。その上に大型の第2基板47を重ね、第1基板46、第2接着シート49aおよび第2基板47に形成されている開口部80を一致させた状態とする。そして、この状態で熱を加えるとともに加圧して第2接着シート49aを硬化させ、第1基板46の一方面46aと第2基板47との熱圧着を行なう。
しかる後に、図8(g)を参照して説明した基板切断工程を行なう。本形態では、予め第1基板46および第2基板47がパターニング、すなわち、開口部80が形成されているので、基板切断工程において、図12(d)に点線で示すように、第1基板46および第2基板47を直交する2方向に複数回切断すると、単品サイズのコア体40として、図12(e)に示す、所定の形状のものを得ることができる。
ここで、予め第1基板46および第2基板47をパターニングしておく第1基板パターニング工程および第2基板パターニング工程を有していない場合には、基板切断工程において、第1基板46および第2基板47を直交する2方向に複数回切断すると、平面形状が矩形のチップが得られる。従って、基板切断工程では、この矩形のチップを、更に、ダイサーで切断して形状を整え、これにより所望の形状を備えたコア体40とする必要である。また、第1基板46および第2基板47の2枚の基板が張り合わされた小さなチップを切断する作業は煩雑であり、作業性が低い。これに対して、本形態では第1基板パターニング工程および第2基板パターニング工程において、第1基板46および第2基板47のそれぞれに予め開口部80を形成してあるので、第1基板46および第2基板47を直交する2方向に複数回切断することにより単品サイズのコア体40として所定の形状のものが得られる。この結果、基板切断工程における切断作業が簡易なものとなるので、コア体40の量産性に優れる。
なお、本形態において、第1接着層48を形成する第1接着シート48aおよび第2接着層49を形成する第1接着シート49aをパターニングせずに、第1基板46および第2基板47と対応する矩形のままで用いることもできる。この場合には、基板切断工程において、第1基板46および第2基板47を直交する2方向に複数回切断しただけでは、得られるコア体40の第1突部401とその両側の第3突部403との間、および、第2突部402とその両側の第3突部403との間に、第1接着シート48aおよび第2接着シート49aがはみ出した状態で残ってしまう。しかし、残った第1接着シート48aおよび第2接着シート49aは、薄く柔らかいので、これらを切除する作業は、第1基板46および第2基板47の2枚の基板が張り合わされた小さなチップを切断する作業よりも容易である。従って、基板切断工程における切断作業は簡易なものとなり、コア体40の量産性に優れる。
また、本形態において、第1基板46をパターニングする第1基板パターニング工程において、パターニングによって第1基板46に製造方法の改良例1の図9に示す穴(基準穴)46pを形成してもよい。
このようにすれば、製造方法の改良例1と同様に、穴46pにピン46rを立て、かかるピン46rを、金属箔貼着工程の際にアモルファス金属箔41sの貼着位置を示す指標、および、基板切断工程における第1基板46および第2基板47の切断位置を示す指標として用いることができる。また、かかるピン46rを、金属箔貼着工程における第1基板46に第1接着シート48aを載置する位置を示す指標、および、第2基板接着工程における第1基板46に第2接着シート49aを載置する位置を示す指標としても利用することができる。
(別の磁気素子への適用例)
上記実施の形態では、磁気素子としてコア体40にコイルが巻回された磁気センサ素子45を例に説明したが、図13に示す磁気検出素子(磁気素子)に本発明を適用してもよい。
図13は、本発明を適用した別の磁気素子(磁気検出素子)の説明図であり、図13(a)、(b)は、当該磁気検出素子の斜視図、および断面図である。図13に示す磁気検出素子140は、非磁性の第1基板46上にアモルファスの磁性材料からなる薄い磁性材料層200が形成されており、かかる磁性材料層200は、第1基板46の一方面46a
に第1接着層48(第1接着シート)によって貼着されたアモルファス金属箔41s(金属箔)からなる。
磁性材料層200は、検出対象物の動きに伴う外部磁界の変化を検出するための感磁部204が形成されている。感磁部204は、直線を複数回平行に折り返した細長いつづら折り形状に形成された部分を有し、第1感磁部20aと第2感磁部20bとが直列に接続されることで構成されている。このつづら折り形状に形成された部分が、外部磁界の変化を検出するための磁気検出部205に相当する。また、感磁部204は、磁気検出部205から延設された端子部206を有する。端子部206は、インピーダンスメーター(またはインピーダンス測定回路)が接続される感磁部204の一端201(第1感磁部20a側)および他端202(第2感磁部20b側)と、差動を取るために使用されるコモン端子であって第1感磁部20aと第2感磁部20bの接続点である中点部203とから構成される。
磁性材料層200(アモルファス金属箔41s)は、ロールによる圧延によって形成されたものであり、コバルト系、もしくは鉄系アモルファス合金により形成される。具体的には、コバルト系としては、Co−Fe−Ni−Mo−B−Si、Co−Fe−Ni−B−Si等のアモルファス合金、鉄系としては、Fe−B−Si、Fe−B−Si−C、Fe−B−Si−Cr、Fe−Co−B−Si、Fe−Ni−Mo−B等のアモルファス合金が例示できる。また、アモルファス金属箔41sの厚みは、0.05mm以下であることが好ましい。これは、厚みが0.1mm程度のアモルファス箔は、機械的な強度が高く、可撓性が低いため、テンションを掛けての貼り付けが難しく、また、貼り付けの際に空気が抜け難く貼り付けに凹凸ができるからである。また、通常、ウエットエッチングによる作成可能なパターンの幅は、エッチングされる箔の厚さの2〜3倍程度であることを考慮すれば、パターンの幅を0.1mm程度にするためには、アモルファス金属箔41sの厚みを0.05mm以下にすることが望ましいからである。
また、第1基板46の一方面46a側には、第2接着層49によって、第1基板46との間に磁性材料層200を間に挟むように非磁性の第2基板47が接着されている。第1基板46と第2基板47は、同一形状を有しており、磁気検出素子140の外形形状を規定している。本形態において、第1基板46および第2基板47に用いられる非磁性の基板としては、アルミナ基板等のセラミック基板や、ガラス基板等を例示でき、十分な剛性を得られるのであれば、プラスチック基板を用いてもよい。本形態において、第1基板46および第2基板47のうちの少なくとも一方は、ガラス基板等の透光性基板である。本形態では、第2基板47が透光性基板である。
また、第1接着層48および第2接着層49はいずれも、樹脂材料が固化してなる層であり、本形態において、第1接着層48および第2接着層49では、樹脂材料として熱硬化性樹脂が用いられている。
かかる磁気検出素子140において、磁性材料層200は、第1基板46および第2基板47の外周縁よりもわずかに内側に位置しており、磁気検出素子140の外周縁(第1基板46および第2基板47の外周縁)とセンサコア41の外周縁との間は封止部140aになっている。すなわち、第1接着層48は、第1基板46の一方面46aの全面に形成されており、かかる第1接着層48の上層には、第1基板46および第1接着層48の外周縁より内側領域に磁性材料層200が形成されている。また、第2接着層49は、磁性材料層200と重なる領域、および磁性材料層200の周りで磁性材料層200から第1接着層48が露出している領域に形成されており、磁性材料層200の周りで第1接着層48と第2接着層49とは直接、接している。このため、磁性材料層200の側端面は、磁気検出素子140の外周縁(第1基板46および第2基板47の外周縁)と磁性材料
層200の外周縁との間に位置する第2接着層49によって覆われており、第2接着層49においてセンサコア41の側端面を覆う部分によって封止部40aが構成されている。また、第2接着層49は、磁性材料層200で挟まれた領域も形成されており、磁性材料層200は、第1接着層48と第2接着層49とによって完全に封止されている。
本形態において、第1基板46の厚さと第1接着層48の厚さの和と、第2接着層49において磁性材料層200と重なる部分の厚さと第2基板47の厚さとの和とは、等しい。このため、第1基板46において磁性材料層200が位置する側とは反対側に位置する外面46bから磁性材料層200までの距離d1と、第2基板47において磁性材料層200が位置する側とは反対側に位置する外面47bから磁性材料層200までの距離d2とは等しい。
かかる磁気検出素子140(磁気素子)についても、図1〜図8を参照して説明した磁気センサ素子45と同様な方法によって製造される。
このように構成した磁気検出素子140(磁気素子)においても、図1〜図8を参照して説明した磁気センサ素子45と同様、磁性材料層200は、第1基板46の一方面46aに第1接着層48より貼着されたアモルファス金属箔からなり、蒸着法やスパッタ法等の方法で成膜された層ではない。このため、高価な装置等を用いなくても、第1基板46の一方面46aに磁性材料層200を形成することができる。また、第1基板46の一方面46aに第1接着層48よりアモルファス金属箔を貼着する方法であれば、蒸着法やスパッタ法等により磁性材料層を成膜する場合と違って、長い成膜時間を必要としないので、生産効率が高い。それ故、磁気検出素子140を安価に提供することができる等、図1〜図8を参照して説明した磁気センサ素子45と同様の効果を奏する。
(他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、上記実施形態に係る磁気検出素子および磁気センサ用コアの形状はあくまでも例示であって、適宜変更可能である。
本実施形態では、磁性材料箔としてアモルファス金属を使用することを説明したが、その他の磁性材料、例えばパーマロイやケイ素鋼等を使用する場合にも本発明の技術的思想は適用可能である。
上記実施形態では、第1接着層48および第2接着層49を形成するにあたって、エポキシ樹脂系の熱硬化性樹脂を半硬化状態とした第1接着シート48a、第2接着シート49aが用いられているが、接着シートとしては、フェノール樹脂系、ポリエステル樹脂系などの熱硬化性樹脂を半硬化状態のシート状としたものを用いることができる。また、接着シートとしては、ガラスクロス、炭素繊維、アラミド繊維等の繊維補強材に含浸したエポキシ樹脂系やフェノール樹脂系、ポリエステル樹脂系などの熱硬化性樹脂を半硬化状態としたプリプレグを用いてもよい。なお、繊維補強材としては、織布以外にも不織布を用いることもできる。
第1接着シート48aおよび第2接着シート49aとして、繊維補強材を備えるプリプレグを用いた場合には、センサコア41は、繊維補強材によって補強されるので、磁気センサ素子45には撓みが発生しにくい。従って、磁気センサ素子45の特性を安定化させることができる。また、第1接着層48および第2接着層49は、内部に繊維補強材を備えているため、熱圧着時に第1接着層48および第2接着層49の過剰な変形を防止することができる。従って、第1接着層48および第2接着層49の厚さを制御でき、第1基板46の外面46bからセンサコア41までの距離d1と、第2基板47の外面47bからセンサコア41までの距離d2とを確実に等しくすることができる。
上記実施形態では、第1基板46および第2基板47のうち、第2基板47に透光性基板を用いたが、第1基板46に透光性基板を用いてもよい。また、第1基板46および第2基板47の双方に透光性基板を用いてもよい。
上記実施形態に係る磁気センサ素子45は、コア体40の第1突部401および第2突部402に、バイアス磁界発生用励磁コイル43および差動用磁界発生用励磁コイル44が直接巻き回されているが、第1突部401および第2突部402のそれぞれにコイルボビンを挿入し、各コイルボビンを介してバイアス磁界発生用励磁コイル43および差動用磁界発生用励磁コイル44を巻き回してもよい。
また、上記実施形態に係る磁気センサ素子45では、コア体40に、検出コイル42、バイアス磁界発生用励磁コイル43、および差動用磁界発生用励磁コイル44が巻回されていたが、これらのコイルがコア体40に印刷によって形成される構成としてもよい。