JP5542268B2 - 樹脂積層チューブ - Google Patents

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本発明は、樹脂チューブに関するものである。より詳しくは、耐圧の高さと曲がり易さを兼ね備えることを特徴とする積層樹脂チューブに関する。さらに、本発明の一実施形態は難燃性をも兼ね備えることを特徴とする積層樹脂チューブに関する。
従来より、さまざまな特徴を有する樹脂を原料とした樹脂チューブが実用に供されている。例えば、高い耐圧が必要な場合は、樹脂チューブにかかる高い円周応力に耐えるため、破断応力が大きい高硬度の樹脂を選択する設計として耐圧の高い樹脂チューブが実現されている。高い耐圧を有する樹脂チューブは、気体・液体の搬送に都合がよく、食品や医療分野はもちろんのこと、エアシリンダに高圧空気を導入する配管部品等としておおよそあらゆる産業で大量に使用されるものである。
しかし、高硬度の樹脂によって樹脂チューブを製造すると、樹脂チューブを如何に小さい曲げ半径で曲げることができるかという性質(柔軟屈曲性)が損なわれる。柔軟屈曲性に劣る樹脂チューブは、曲率を大きくすることができないために省スペースで施行することが困難である他、無理に曲げようとすると樹脂チューブの主用途である気体・液体の搬送にとって致命的な座屈(樹脂チューブ内部空間が閉じてしまうように折れ曲がってしまう状態になること)を引き起こしてしまう。比較的自由に曲げることが可能で、省スペースで施行可能であることは樹脂チューブの大きな利点であるので、柔軟屈曲性の不足は樹脂チューブの利便性を大きく損なってしまう。従って、高い耐圧を実現するとともに良好な柔軟屈曲性を兼ね備える樹脂チューブが求められていた。
前記課題を解決できる可能性を示唆する技術情報として、特開2007−119519公開特許公報には、ナイロン11とナイロン12とが8:2乃至2:8の重量比で配合されたことを特徴とする、ナイロン樹脂組成物が提案されている。
同公報の0008段落から0015段落及び、0048段落乃至0050段落の記載によると、ナイロン11とナイロン12をこのような重量比で配合したナイロン樹脂組成物では柔軟性が向上し、透明性も損なわれず、しかも破断応力や降伏応力についてはもともとの単一樹脂の時とほぼ同等のレベルを維持していることが開示されている。これは、樹脂チューブに応用した際に高い耐圧と良好な柔軟屈曲性を両立できる可能性があることを示唆しているものである。
樹脂原料を配合して製品を製造するという方策は大量生産を行う場合は効率が高い。しかし、さまざまな配合割合の樹脂を原料とする製品を多品種少量生産することは容易ではない。つまり、耐圧と柔軟屈曲性が完全に両立することがもっとも好ましいことは言うまでもないものの、現実的には多少柔軟屈曲性が劣っても高い耐圧を有することに特徴がある品種や、その逆の特徴を持つ品種がどうしても必要な場合がある。このため、単一品種の大量生産は必ずしも経済的に容易ではなく、ある程度の種類の品種を製造することが必要である。
ところで、チューブ等の製造は安定した品質の製品を安価に製造できるといった特徴を有することから押し出し成形によって行われることが多い。この場合、製造する樹脂チューブの品種を変える、つまり原料の種類を変える場合には成形機内に滞留する樹脂を破棄せざるを得ないために多くの無駄が生じてしまう等の事情があり、生産性を低下させてしまう。また、異なる種類の原料樹脂を使用するには、成形温度等の条件の再設定を要するという事情もあり、さまざまな耐圧・柔軟屈曲性の製品を生産することを困難にする。
目的の耐圧と柔軟屈曲性を有するチューブを実現する別の発明として、特開平10−286897公開特許公報には、共押し出し成形により、内層チューブをPVdF−HFP共重合樹脂で構成し、外層チューブをポリウレタン樹脂またはポリウレタン系エラストマーで構成した積層樹脂チューブが記載されている。
同公報の0002段落及び0004段落の記載によると、樹脂チューブを少なくとも内層と外層の2層からなる積層チューブとし、内層に硬度の比較的高いPVdF樹脂と外層にポリウレタン樹脂等を採用した過去の技術では柔軟屈曲性に難があったところ、内層に硬度の小さいPVdF−HFP共重合樹脂を採用することで柔軟屈曲性を改善した発明が開示されている。
ただし、内層・外層とも硬度の比較的小さい樹脂を使用することで、高い耐圧を得ることが難しくなってしまう問題がある。そのため、同公報の0005段落乃至0006段落には外層のさらに外側に筒状の補強用部材を介しまたは介することなく共押し出し成形によって軟質合成樹脂からなる第3層チューブを積層することで、耐圧の高い積層樹脂チューブが得られる旨の記載がある。
しかし、積層数を増やすと、押し出し成形機が大型化・複雑化し、また共押し出し成形に使用する成形ダイに特殊なものが必要となる。また、使用する樹脂の種類が増えることは前記と同様の理由により多品種少量生産を困難にしてしまうという課題がある。
また、樹脂チューブの主用途は気体・液体の搬送であるので、しばしば空気や可燃性液体の搬送に使用される。従って、如何に樹脂チューブ自体が燃えにくいか(難燃性)は大きな関心事であるが、高い圧力に耐える樹脂チューブを製造可能な破断応力が大きい樹脂材料は、しばしば難燃性の付与が困難な場合がある。例えば、ポリアミド樹脂は破断応力が大きい優れた材料であるが、特に非ハロゲン系難燃剤では十分な難燃性を付与することが困難である。しかし、破棄時の環境への影響等を小さくするために、樹脂チューブにもハロゲン元素を含まないものが社会的に求められている。
特開2007−119519公開特許公報 特開平10−286897公開特許公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、高い耐圧と柔軟屈曲性を兼ね備え、しかも生産性に優れた積層樹脂チューブを提供することである。さらに、本発明は高い難燃性を備えつつもハロゲン元素を含まない積層樹脂チューブを提供することをも解決しようとする課題としている。
(1)上記課題を解決するため、本発明は、少なくとも内層チューブと外層チューブの2層からなる積層樹脂チューブにおいて、内層チューブを柔軟屈曲性に優れた樹脂によって構成し、外層チューブを破断応力が高い性能を有する樹脂によって構成したことを特徴とする、積層樹脂チューブとしている。
内層チューブを柔軟屈曲性に優れた樹脂、外層チューブを破断応力が高い性能を有する樹脂とする組み合わせは、前記説明した従来の積層樹脂チューブとちょうど反対の組み合わせ方法であるが、本願発明の発明者の研究によればこのような組み合わせ方法とすることで意外にも優れた特徴を有する積層樹脂チューブが得られることが判明している。
すなわち、柔軟屈曲性に優れた樹脂と破断応力が高い性能を有する樹脂を積層して積層樹脂チューブを構成する場合、通常は柔軟屈曲性に優れた樹脂層の厚みを厚く、破断応力が高い性能を有する樹脂層の厚みを薄くした設計としなければならない。破断応力が高い性能を有する樹脂層が厚すぎると、積層樹脂チューブが全体として硬くなり、柔軟屈曲性が失われるからである。この際、内層チューブが破断応力が高い性能を有する樹脂層からなると、積層樹脂チューブを強く曲げた場合に内層チューブが座屈してしまう恐れが高くなる。外層チューブが柔軟屈曲性に優れた樹脂からなるため、強靭な内層チューブを確実に支持することは期待できないからである(もっとも、外層チューブが設けられていない場合と比較すると座屈に対して改善しているがその効果は十分ではない)。また、内層チューブと外層チューブの剥離強度が小さい場合は、積層樹脂チューブを強く曲げた場合に内層チューブと外層チューブが剥離して、内層チューブが座屈する状態に陥りやすい。従って、内層チューブを構成する樹脂と外層チューブを構成する樹脂の選択は剥離強度が非常に高くなるような組み合わせに限られたものとなり、ざまざまな積層樹脂チューブを設計する余地が小さくなってしまう。
一方、外層チューブを破断応力が高い性能を有する樹脂とすると、積層樹脂チューブを強く曲げたとしても内層チューブは柔軟屈曲性に優れているために座屈を生じにくい。また、外層チューブが座屈しようとしても、座屈が発生するためには強靭な外層チューブで周囲を覆われた内層チューブを押しつぶさなければならないため、これは容易には発生しない。また、外層チューブが座屈しようとしている場合は外層チューブで内層チューブを押し付ける状態となり、引き剥がす状態ではないため、これらの界面での剥離はきわめて発生しにくい。つまり、内層チューブと外層チューブの間で必要な剥離強度が比較的小さくてすむため、内層チューブを構成する樹脂と外層チューブを構成する樹脂に選択可能な種類が増え、ざまざまな積層樹脂チューブを設計することができるようになる。
さらに、破断応力が高い性能を有する樹脂は一般的に大きい曲率で曲げを加えるといわゆる白化を生じてピンホール発生の危険が増すといわれる。そして、チューブの層厚みが厚いほど、より小さな曲率の曲げでも白化を生じやすい。つまり、薄ければ薄いほど大きく曲げることが可能なのであり、この意味で破断応力が高い性能を有する樹脂チューブの厚みは薄いほうが好ましい。
ところが、積層チューブの内層チューブを破断応力が高い樹脂による薄いチューブとすると、積層チューブにかかる圧力を径の小さい内層チューブで支えることになってしまう。破断応力が高い樹脂といえども、厚みの薄い樹脂チューブでは支えられる圧力に限度があり、結果として積層チューブの耐圧が低くなってしまう。これを回避するために、破断応力が高い樹脂による内層チューブの厚みを厚くすると柔軟屈曲性に難が生じるという関係に陥るのである。
逆に、本発明の構成である、積層チューブの外層チューブを破断応力が高い樹脂による薄いチューブとする構成とすると、積層チューブにかかる圧力は、柔軟屈曲性の高い樹脂による内層チューブで分散されて径の大きい外層チューブで支えられることになる。つまり、同じ厚みであれば外周チューブにかかる応力が小さくなるので、より高い耐圧の積層チューブが得られることになる。また、同じ耐圧であれば破断応力が高い樹脂による外層チューブを薄くできるために、柔軟屈曲性も良好とできる。つまり、高い耐圧と良好な柔軟屈曲性を両立した積層樹脂チューブを実現できるのである。
なお、本発明を構成する樹脂材料として、外層チューブと内層チューブをそれぞれ結晶性樹脂、非晶性樹脂から選択することが好ましい。一般的に、結晶性樹脂は高剛性、高硬度といった特徴を有し、非晶性樹脂は優れた柔軟性に特徴を有するため、これらはそれぞれ本発明の外層チューブと内層チューブに適した性質であるからである。
また、前記内層チューブを構成する樹脂及び前記外層チューブを構成する樹脂はいずれも熱可塑性樹脂とすることが好ましい。熱可塑性樹脂とすることで、内層チューブと外層チューブ間に特別な接着処理を行うまでもなく、共押し出し成形によって積層樹脂チューブを製造することができるからである。もちろん、本発明はこれに限られるものではない。例えば熱硬化性樹脂によってあらかじめ製造した内層チューブの周囲に熱可塑性樹脂をコートして外層チューブを形成することも可能である。しかし、共押し出し成型の生産性の高さは樹脂チューブの生産コスト低減に大きな効果がある。また、熱可塑性樹脂を用いた共押し出し成型では層間に強固な接着を得ることも可能となるので、前記の通り内層チューブ及び外層チューブの双方が熱可塑性樹脂で構成されることがより好ましいのである。
また、共押し出し成型ダイを交換するのみで、内層チューブと外層チューブのそれぞれの厚みや積層チューブ自体の直径を自由に変化させることができることも本発明の利点の一つである。当然ながら、これらを変化させることで積層チューブの耐圧と柔軟屈曲性を所望の仕様に調整することができる。なお、原料樹脂を変更すると、成形温度条件等の調整が必要となり、生産開始までに長期間を要することが多いが、本発明では原料樹脂を変更せずにさまざまな仕様の製品を作り分けられる為、ますます多品種少量生産に適した発明となっている。
本発明を構成する樹脂材料の組み合わせの具体例として、例えば内層チューブに難燃性熱可塑性ポリウレタン、外層チューブに難燃性ポリアミドを選択できる。このような選択では、優れた難燃性を確保しつつ、良好な柔軟屈曲性が得られる。あるいは、内層チューブにポリ塩化ビニル、外層チューブに熱可塑性ポリウレタンを選択すれば、外層チューブによって耐摩耗性を確保しつつ、内層チューブによって良好な柔軟屈曲性を得るとともにコストダウンを図れるといった効果が得られる。
(2)本発明は、前記内層チューブの厚みを1.0mm乃至3.0mm、前記外層チューブの厚みを0.01mm乃至1.5mmとしたことを特徴とする、積層樹脂チューブとすることが好ましい。
このような内層チューブと外層チューブの厚み範囲とすることで、さまざまな気体・液体搬送に適した積層樹脂チューブを得ることができる。すなわち、需要の多い、直径約80mm以下程度、0.6MPa以下程度の耐圧、最小曲げ半径が20mm程度といった仕様の積層チューブを提供することができるので特に都合が良い。
また、前記内層チューブの厚みと外層チューブの厚みの関係の中でも、外層チューブの厚みが内層チューブの厚みの2分の1未満であることが好ましい。このように外層チューブを内層チューブよりも薄くすることで、すでに説明したとおり、耐圧が高く柔軟屈曲性に優れた積層樹脂チューブが得られるからである。
(3)本発明は、前記外層チューブをポリアミド樹脂としたことを特徴とする、積層樹脂チューブとすることが好ましい。
ポリアミド樹脂は、結晶性が高く破断応力が大きいため、これを外層チューブの材料とすることで高い耐圧の積層樹脂チューブが得られる。また、対磨耗性も優れているため、積層樹脂チューブの外部に傷なども発生しにくくなるといった効果が得られる。しかも、ポリアミド樹脂は熱可塑性樹脂であり、容易に共押し出し成型によってチューブに成型することが可能である。
また、ポリアミド樹脂は成形時の寸法安定性が高いという特徴を有しており、積層樹脂チューブの外層チューブの材料としてこの点でも非常に優れている。そもそもチューブの主用途は気体・液体の搬送であり、継ぎ手などによってチューブ同士またはチューブと機器の接続を行うために使用されることが多い。ここで、チューブと継ぎ手の継ぎ目で気体や液体の漏れが生じることは許されないため、ここで確実なシールを実現する必要がある。シールはしばしばチューブの外周で行われるため、高い外形寸法精度が求められる。そこで、成型時の寸法安定が高いポリアミド樹脂によって外層チューブを構成することにより、高い外形寸法精度を実現出来るのである。
(4)本発明は、前記内層チューブをポリウレタン樹脂としたことを特徴とする、積層樹脂チューブとすることが好ましい。
ポリウレタン樹脂は柔軟性及びゴム弾性にすぐれ、柔軟屈曲性という点ではきわめて優れた性質を有している。また、比較的耐油性にもすぐれている。従って、積層樹脂チューブの内層チューブにきわめて適した材料である。
また、ポリウレタン樹脂とポリアミド樹脂を共押し出し成型すると、これらはきわめて強固に接合する。従って上述したように、外層樹脂をポリアミドで構成することとし、内層樹脂をポリウレタン樹脂で構成することとし、これらを共押し出し成型して積層樹脂チューブを製造すると内層チューブと外層チューブの界面は極めて強固に接着する。これにより、内層チューブと外層チューブの界面でのはがれ等の不具合が生じることも無く、信頼性が高いものとなる。
以上説明したように、本発明によれば、高い耐圧と柔軟屈曲性を併せ持つ優れた積層樹脂チューブが得られる。
(5)本発明は、前記内層チューブ及び前記外層チューブに難燃剤を含むことを特徴とする、積層樹脂チューブとすることが好ましい。
樹脂チューブは、その主用途が気体・液体の搬送であり、これらはしばしば空気や可燃性液体である以上、如何に樹脂チューブ自体が燃えにくいか(難燃性)は大きな関心事である。従って、本発明にかかる積層樹脂チューブについても、その内層チューブ・外層チューブを構成する樹脂材料に難燃剤を添加して、難燃性の積層樹脂チューブとすることが好ましい。
なお、難燃剤としては、マラシアヌレート系難燃剤を含む有機系難燃剤や、無機系難燃剤、臭素系難燃剤や塩素系難燃剤、有機リン酸エステル系を含むリン系難燃剤など、さまざまな添加型難燃剤を使用できる。また、水素基含有系難燃剤やカルボン酸含有系難燃剤のような反応型難燃剤を使用することも可能である。
(6)本発明は、前記難燃剤は、非ハロゲン系難燃剤であることを特徴とする、積層樹脂チューブとすることが好ましい。
破棄時の環境への影響等を小さくするため、樹脂を材料とする製品でも塩素等のいわゆるハロゲン元素を含まない製品が求められており、難燃剤を非ハロゲン系のものを使用することで本発明もこのような社会的要請に応えた製品とすることができる。
ところで、すでに説明したとおりポリアミド樹脂は、破断応力や成形安定性などにすぐれているが難燃性の付与が比較的困難な樹脂であり、特に非ハロゲン系の難燃剤では垂直燃焼試験グレードで94V−1以上の難燃性を得ることは容易ではない。ところが、本願発明の発明者は、積層樹脂チューブの難燃性は外層チューブの難燃性が多少低くとも、内層チューブの難燃性を高くすれば、全体としてはほぼ内層チューブの難燃性を示すことを見出した。そこで、内層チューブに比較的容易に垂直燃焼試験グレードで94V−0の難燃性を得られるポリウレタン樹脂を使用することで、非ハロゲン系の難燃剤を使用したポリアミド樹脂による外層チューブを備えているにも関わらず、全体として垂直燃焼試験グレードで94V−0という高い難燃性を有する積層樹脂チューブの発明を完成したのである。
すでに説明したとおり、この構成は高い耐圧と良好な柔軟屈曲性を両立し、さらにハロゲン元素を含まないにも関わらず高い難燃性を供えた積層樹脂チューブを提供するものである。
以上説明したとおり、本発明では、高い耐圧と柔軟屈曲性を併せ持つとともに、これら特性を用途に応じて容易に調整可能で、かつ生産性に優れた積層樹脂チューブを提供できるという効果が得られる。加えて、ハロゲン元素を含まないにも関わらず高い難燃性を備えた積層樹脂チューブを提供できるという効果をも得られる。
以下、本発明に係る積層樹脂チューブを図面をもとに詳細に説明する。
図1は、本発明に係る積層樹脂チューブの一実施例である。積層樹脂チューブ(1)は、ポリウレタン樹脂からなる内層チューブ(2)とポリアミド樹脂からなる外層チューブ(3)を積層した構造の説明図である。
この積層樹脂チューブ(1)は外形8mm、内径4mmのチューブであるが、この一実施例として、内層チューブ(2)は内径4mm、厚み1.3mmであり、その外部に位置する外層チューブ(3)は厚み0.7mmとしている。この構成とすることで、耐圧6.5MPa、最小曲げ半径18mmが得られた。
また、同じく外形8mm、内径4mmであるが、別の実施例として、内層チューブ(2)は内径4mm、厚み1.7mmとし、その外部に位置する外層チューブ(3)は厚み0.3mmとした積層樹脂チューブも試作した。この構成では、耐圧4.5MPa、最小曲げ半径15mmが得られた。
このように、内層チューブ(2)と外層チューブ(3)の厚みを調整することで、きわめて容易に耐圧と柔軟屈曲性を調整できることが証明された。
なお、本発明に係る積層樹脂チューブ(1)は、共押し出し成型によって製造した。ポリウレタン樹脂とポリアミド樹脂は共押し出し成型をした際の接着性が良く、内層チューブ(2)と外層チューブ(3)の界面の剥離強度はきわめて大きい。従って、通常の使用条件下で内層チューブ(2)と外層チューブ(3)が剥離することは考えられない。
また、外層チューブ(3)を成型形状安定性の高いポリアミド樹脂で構成しているため、積層樹脂チューブ(1)の外形精度はきわめて高い。このため、図2に示すように積層樹脂チューブ(1)を継ぎ手(4)に挿入した場合、外周シール部(5)が積層樹脂チューブ(1)の外周に隙間なく密着し、確実なシールが得られる。つまり、積層樹脂チューブ(1)の外形が正確に円形であり、凸凹等がほとんどないため、継ぎ手に接続した際に搬送する気体・液体に漏れが生じることがない。
さらに、内層チューブ(2)と外層チューブ(3)の材料樹脂にはそれぞれ非ハロゲン系の難燃剤を添加している。ポリウレタン樹脂からなる内層チューブ(2)は、単体でも垂直燃焼試験グレードで94V−0の難燃性を備えるが、ポリアミド樹脂からなる外層チューブ(3)は単体では非ハロゲン系の難燃剤では垂直燃焼試験グレードで94V−1の難燃性しか確保できなかった。ところが、これらの組み合わせである積層樹脂チューブ(1)全体としては、垂直燃焼試験グレードはおおむね内層チューブ(2)の難燃性と等しい94V−0の難燃性を得た。つまり、ハロゲン元素を含まないにも関らず、高い難燃性を備える積層樹脂チューブを実現することができたのである。
以上のように、本発明は高い耐圧と柔軟屈曲性の両方を必要とする積層樹脂チューブに広く適用できる。さらに、前記に加え高い難燃性を兼ね備えた積層樹脂チューブを提供することも可能であり、産業上の利用価値はきわめて高い。
本発明に係る積層樹脂チューブの実施方法を示した説明図である。 本発明に係る積層樹脂チューブを継ぎ手に接続した状態を示した説明図である。
符号の説明
1 積層樹脂チューブ
2 内層チューブ
3 外層チューブ
4 継ぎ手
5 外周シール部

Claims (1)

  1. 内層チューブと外層チューブの2層からなる積層樹脂チューブにおいて、
    該内層チューブを厚みが1.0mm乃至3.0mmのポリウレタン樹脂によって構成し、
    該外層チューブを厚みが0.01mm乃至1.5mmのポリアミド樹脂によって構成し、
    該内層チューブ及び該外層チューブに非ハロゲン系難燃剤を含む
    ことを特徴とする、積層樹脂チューブ。
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