JP6790329B2 - ガス用可撓性ホース - Google Patents

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Description

本発明は、内面に特定の凹凸形状を有するガス用可撓性ホースに関する。本発明のガス用可撓性ホースは流体の圧力損失が小さいので、流体の流量低下が少ない特徴を有する。即ち、本発明のガス用可撓性ホースを、例えば、ポンプやブロアー等に接続して使用する場合には、発生元圧を上げたり、ポンプ自体の能力を上げる等のエネルギーやコストを無駄に掛ける必要がない利点がある。
特に、ガス用ホースにおける要求性能は、耐油性、気体不透過性(ガスバリヤ性)といった性能が求められる。これらの性能を達成する技術は従来から検討されており、例えば、流体と接する内周面に耐油性を有するポリオレフィン系樹脂材料等を用い、さらに、その上層にガスバリヤ性を有する樹脂組成物等を積層させるホースやチューブが一般的である。
加えて、気体を吸圧送するポンプ等の設備機器の小型化や省エネルギー化に伴い、気体に対するホースの低圧力損失化が強く求められる。
耐油性、ガスバリヤ性を有するホースやチューブに関する技術は、例えば特許文献1〜4があげられる。
特許文献1は、ホースの最外層にエチレン−ビニルアルコール共重合体を用い、最内面層にポリオレフィン系樹脂を用い、接着層に変性ポリオレフィン樹脂を用いた3層からなる積層状ホースの製法に関する技術であるが、特許文献1のホースは構成する各樹脂層の接着性を向上させることを目的としており、エチレン−ビニルアルコール共重合体層に起因するガスバリヤ性や、ホース内周面に凹凸形状を付与することによる低圧力損失化を目的としたものではない。
また、特許文献2〜4は、何れも、積層状チューブの少なくとも1層にエチレン−ビニルアルコール共重合体等からなるガスバリヤ層を設けた、ガスバリヤ性に優れた積層状チューブに関する技術であるが、当該ホースをポンプ等に接続して使用した場合に流体の圧力損失の観点で満足できるものではない。
さらに、特許文献5は、主に空調用のダクトホースに関するものであり、管内に凹凸状態が存在することは圧力損失の観点からは好ましくない要素であるとし、管内に凹凸状態が殆ど存在していない可撓性管材の技術を開示している。
しかしながら、この管内がほぼフラットで、管内に凹凸状態が殆ど存在していない空調用のダクトホースの技術をガス用ホースに適応させても、上記ガス用ホースの要求性能であるガスバリヤ性等を満足できないこと、加えて、そのホースをポンプ等に接続して使用した場合に、流体の圧力損失の観点で満足できるものでもなく、改善の余地がある。
特許第5044744号公報 特許第5360803号公報 特許第4634325号公報 特許第2824111号公報 特開2014−129838号広報
本発明の目的は、ガス用ホースが本来有している優れた特性、特に、耐油性、ガスバリヤ性を失わずに、効果的に流体の圧力損失を小さくしたガス用可撓性ホースを提供することである。
本発明者等は上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、ホース内周面より順に、第1樹脂層(A1)/第2樹脂層(A2)/外面層(B)/補強硬質芯材(C)からなり、特定の構造を満たすガス用可撓性ホースが流体の圧力損失を小さくできることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、ホース内周面より順に、第1樹脂層(A1)/第2樹脂層(A2)/外面層(B)/補強硬質芯材(C)からなり、以下(1)、(2)の条件を全て満たすガス用可撓性ホース。
(1)ホースの長さ方向に展開した際、内周面の凸部頂点の繰り返し単位をX(mm)とした時、5mm≦X≦25mmであること、
(2)ホース内周面の凸部間の窪みの深度をZ(mm)とし、ホース内径をID(mm)とした時、0.003≦Z/ID≦0.05であること。
そして本発明は、第1樹脂層(A1)または、第2樹脂層(A2)が、好ましくは次の1)〜3)のいずれかの樹脂組成物からなることを特徴とする上記のガス用可撓性ホースである。
1)第1樹脂層(A1)が熱可塑性ポリウレタンの単一層からなり、第2樹脂層(A2)がエチレン含有率20〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体からなること、2)第1樹脂層(A1)がエチレン−ビニルアルコール共重合体と熱可塑性ポリウレタンが混合された樹脂組成物からなる単一層であること、3)第1樹脂層(A1)が内周面から順にポリオレフィン系樹脂/変性ポリオレフィン系樹脂となるよう、共押出成形された2層の積層体からなり、第2樹脂層(A2)がエチレン含有率20〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体であること。
さらに本発明は、補強硬質芯材(C)が硬質塩化ビニル樹脂または、硬質ポリオレフィン系樹脂からなる上記のガス用可撓性ホースを好ましい形態として含む。
さらに好ましくは補強硬質芯材(C)間の長さをY(mm)とした時、上記した内周面の凸部頂点の繰り返し単位X(mm)との関係が0.90≦X/Y≦1.10を満足する上記に記載のガス用可撓性ホースである。
本発明のガス用可撓性ホースは、ホース内周面に特定の凹凸形状を有するため、流体の圧力損失が小さくなり、流体の流量低下が少なくすることができるので、例えば、ポンプに接続して使用する場合には、ポンプの発生元圧を上げたり、ポンプ自体の能力を上げる等のエネルギーやコストを無駄に掛ける必要をなくすことが可能となる。同時に、従来のガス用ホースで一般的である耐油性、ガスバリヤ性を両立することが可能となる。
図1に本発明の一実施態様例を表すガス用可撓性ホースの全体図と一部断面模式図を示す。図1(拡大断面図2)に示すように本発明のガス用可撓性ホースは、内周面より順に第1樹脂層(A1)/第2樹脂層(A2)/外面層(B)/補強硬質芯材(C)からなる積層成形体である。以下に第1樹脂層(A1)〜補強硬質芯材(C)およびホース内周面の凹凸形状について詳細に説明する。
[ホース内周面の凹凸形状]
本発明のガス用可撓性ホースは、長さ方向に展開した際、以下の(1)および(2)の条件を満たすものである。
(1)ホースの長さ方向に展開した際、内周面の凸部頂点の繰り返し単位をX(mm)とした時、5mm≦X≦25mmである。
(2)ホース内周面の凸部間の窪みの深度をZ(mm)とし、ホース内径をID(mm)とした時、0.003≦Z/ID≦0.05である。
内周面の凸部頂点の繰り返し単位X(mm)は、5mm≦X≦25mmの等間隔で構成されていることが重要である。そして、内周面の凸部頂点の繰り返し単位X(mm)は、ホース内径ID(mm)の大きさによって上記した範囲で適切な値をとることができる。例えば、ホース内径ID(mm)が25mmの時には繰り返し単位X(mm)は5〜8mmの範囲が好適であり、50mmの時には繰り返し単位X(mm)は9〜12mmの範囲が好適であり、75mmならば繰り返し単位X(mm)は11〜14mmの範囲が好適であり、100mmならば繰り返し単位X(mm)は14〜18mmが好適であり、200mmならば繰り返し単位X(mm)は22〜25mmが好適である。
また、内周面の凸部頂点の繰り返し単位X(mm)が5mm未満であるか、または、25mmを超える場合は、流体の圧力損失が大きくなる。
内周面の凸部頂点の繰り返し単位X(mm)は、長さ方向に展開したホースの断面形状を拡大倍率が8倍以上のマイクロスコープまたは目盛付きルーペで観察し、その凸部頂点間の距離を測定する方法で求めることができる。
次に、ホース内周面の凸部間の窪みの深度Z(mm)は、ホース内径をID(mm)とした時、0.003≦Z/ID≦0.05の範囲にある。
ホース内周面の凸部間の窪みの深度Z(mm)がこの範囲にあるガス用可撓性ホースは、流体の圧力損失が小さくなる。
しかし、窪みの深度Z(mm)とホース内径ID(mm)との関係Z/IDが0.003未満となる場合は、管内を指先で触れて観察しても内周面がほぼフラットで、凹凸状態が殆ど存在していないことが分かると共に、流体の圧力損失が大きくなり、流体を流す際の抵抗が増えるため適切でない。また、窪みの深度Z(mm)とホース内径ID(mm)との関係Z/IDが0.05を超える場合には、流体の圧力損失が大きくなり、流体を流す際の抵抗が増えるため適切でない。
窪みの深度Z(mm)とホース内径ID(mm)との関係Z/IDは、0.003から0.03の範囲であることが好適であり、さらに、0.005から0.03にあることがより好適である。
ホース内周面の凸部間の窪みの深度Z(mm)は、長さ方向に展開したホースの断面形状を拡大倍率が10倍のマイクロスコープで観察し、3つ以上の凸部の頂点を結んだ線と2つ以上の凹部の最も深い点を結んだ線との間の距離を測定する方法で求めることができる。
また、ホース内径ID(mm)は、最小目盛り0.1mmのテーパーゲージをホース内部に挿入して測定した値(ホース内面で向かい合う凸部間の距離)に、上記で求めた窪みの深度Z(mm)の2倍の値を加えることで求めることができる。
[第1樹脂層(A1)]
本発明の第1樹脂層(A1)は、流体と接する点から、耐油性に優れるよう、1)第1樹脂層(A1)が熱可塑性ポリウレタンの単一層からなり、第2樹脂層(A2)がエチレン含有率20〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体からなること、2)第1樹脂層(A1)がエチレン−ビニルアルコール共重合体と熱可塑性ポリウレタンが混合された樹脂組成物からなる単一層であること、3)第1樹脂層(A1)が内周面から順にポリオレフィン系樹脂/変性ポリオレフィン系樹脂となるよう、共押出成形された2層の積層体からなり、第2樹脂層(A2)がエチレン含有率20〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる積層体であることのいずれかであることが好ましく、これらの中でも、1)第1樹脂層(A1)が熱可塑性ポリウレタンの単一層からなり、第2樹脂層(A2)がエチレン含有率20〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体からなること、が可撓性ホースの製造設備の簡略化やホース成形体の耐久性の観点でより好ましい。第1樹脂層(A1)が1)熱可塑性ポリウレタンの単一層および、3)内周面から順にポリオレフィン系樹脂/変性ポリオレフィン系樹脂となるよう、共押出成形された2層の積層体からなる場合は、第1樹脂層(A1)単体ではホース構造体としてガスバリヤ性を満足することができないため、後述する第2樹脂層(A2)にエチレン含有率20〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体を用い、ホース構造体としてガスバリヤ性を確保する。
本発明に用いられる熱可塑性ポリウレタンとは、溶融可能であり、通常高分子ジオールおよび有機ジイソシアネート、および/または低分子ジオールなどの成分よりなる。高分子ジオールは、重縮合、付加重合(例えば、開環重合)または重付加などによって得られる高分子化合物のジオールであり、代表的なものとしてはポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールまたはこれらの共縮合物(例えば、ポリエステル・エーテルジオール)が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
ポリエステルジオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチルプロパンジオールなどの炭素数2〜10のアルカンのジオールまたはこれらの混合物とグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の炭素数4〜12の脂肪族もしくは芳香族ジカルボン酸またはこれらの混合物とから得られる飽和ポリエステルジオール、あるいはポリカプロラクトングリコール、ポリプロピオラクトングリコール、ポリバレロラクトングリコールなどのポリラクトンジオールが好ましく使用される。
また、ポリエーテルジオールとしてはポリエチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコールなどのポリアルキレンエーテルジオールが好ましく使用される。
さらに、ポリカーボネートジオールとしては1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオールなどの炭素数2〜12の脂肪族もしくは脂環式ジオールまたはこれらの混合物に炭酸ジフエニルもしくはホスゲンを作用させて縮重合して得られるポリカーボネートジオールが好ましく使用される。これらの高分子ジオールの平均分子量は500〜3,000、好ましくは500〜2,500の範囲内にあるのが望ましい。平均分子量が過小であると有機ジイソシアネートとの相溶性が良過ぎて生成ポリウレタンの弾性が乏しくなり、一方、平均分子量が過大であると有機ジイソシアネートとの相溶性が悪くなり重合過程での混合にて、ゲル状物の塊が生じる等、安定したポリウレタンが得られない。
第2の原料である低分子ジオールとしては、分子量が500未満の低分子ジオール、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタングリコール、3−メチルペンタングリコー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ピスヒドロキシエチルベンゼンなどの脂肪族、脂環族または芳香族ジオールが挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上組合せて使用してもよい。
本発明で使用される有機ジイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン、1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの芳香族、脂環族または脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。これらの有機ジイソシアネートは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
熱可塑性ポリウレタンを製造する場合、必要に応じて有機ジイソシアネートとジオールとの反応を促進する適当な触媒を用いてもよい。
上記熱可塑性ポリウレタンには、目的に応じて、着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤を本発明の効果が阻害されない範囲で添加する事は任意である。
第1樹脂層(A1)は、ガスバリヤ性をより向上させる点から、2)エチレン−ビニルアルコール共重合体と熱可塑性ポリウレタンが混合された樹脂組成物からなる単一層であってもよい。
本発明におけるエチレン−ビニルアルコール共重合体と熱可塑性ポリウレタンの重量比は95/5〜30/70であることが好ましい。エチレン−ビニルアルコール共重合体の重量比率が95%を超えると、ホースの偏心による金具の取り付け不良および、外部応力によるクラック、ピンホールが発生する可能性が高まるため、好ましくない。一方、30%未満では、ガスバリヤ性が不足する。好適には85/15〜40/60である。
エチレン−ビニルアルコール共重合体と熱可塑性ポリウレタンを混合(ブレンド)する方法は、特に限定されるものではなく、ドライブレンドした樹脂を直接使用することや、より好適には、ドライブレンドした樹脂をバンバリーミキサー、一軸押出機、二軸押出し機に投入し、ペレット化したものを用いる。 ペレット化あるいは押出成形に際しては、製品の着色、ゲルによるピンホール、クラックの発生を最小限にとどめるため、押出温度は可能な限り低くし、ホッパー口をN2シールする事が望ましい。また、ペレット化あるいは押出成形時、ドライブレンド樹脂中に可塑剤、熱安定剤、着色剤、フィラー等を、本発明を阻外しない範囲内で添加する事は任意である。
本発明のエチレン−ビニルアルコール共重合体とは、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物であり、エチレン含有率が20〜60モル%のものである。エチレン含有率が20モル%未満では溶融成形性が悪く、一方、60モル%を超えると、ガスバリヤ性が不足する。また、酢酸ビニル成分のけん化度は90モル%以上であることが好ましく、それ未満では、ガスバリヤ性が不足する。また、けん化度が90モル%未満ではガスバリヤ性、及び熱安定性が悪くなる。また、当該エチレン−ビニルアルコール共重合体は、本発明の効果を阻外しない範囲内でブチレン、プロピレン、ビニルシラン系化合物、ビニルピロリドン系化合物を共重合することおよび、可塑剤、熱安定性、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー等をブレンドする事は任意である。
第1樹脂層(A1)は、3)内周面から順にポリオレフィン系樹脂/変性ポリオレフィン系樹脂となるよう、共押出成形された2層からなる積層体であることも好ましい形態として含む。これは、ホース内の流体が植物油などの極性を有する油や、アルコール系、弱酸性を有するなどの場合は、上で述べた条件1)、2)より耐薬品性の点から有効となるため好ましい。それらを構成するポリオレフィン系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂について記載する。
第1樹脂層(A1)に使用するポリオレフィン系樹脂としては、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン(LDPE)などのポリエチレン樹脂や、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンなどのポリプロピレン樹脂などがあげられるが、後述する第2樹脂層(A2)との熱融着性、押出加工性、汎用性や、特にホース構造体としての曲げやすさの点から、高密度ポリエチレンが好適である。
変性オレフィン系樹脂を構成するオレフィン系単量体としては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセンなどのα−オレフィンが例示できる。これらのα−オレフィンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのα−オレフィンのうち、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどのC2−6オレフィン(特にC2−4α−オレフィン)が好ましい。
変性オレフィン系樹脂は、通常、酸又はエポキシ変性オレフィン系樹脂であり、例えば、共重合、末端や側鎖の変性などにより、酸又はエポキシ基を導入した変性体であってもよい。更に、変性オレフィン系樹脂は、ビニルエステル系単量体との共重合体又はそのケン化物であってもよい。
酸変性体の場合には、変性剤となる共重合性単量体としては、カルボキシル基を有する単量体(例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの脂肪族モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸などの脂肪族ジカルボン酸など)、酸無水物基を有する単量体(例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの脂肪族ジカルボン酸無水物、無水フタル酸などの芳香族ジカルボン酸無水物など)などが挙げられる。これらの単量体はアルキルエステル(メチル、エチルなどのC1−4アルキルエステルなど)であってもよい。
エポキシ変性体の場合には、変性剤となる共重合性単量体としては、例えば、グリシジル基を有する単量体(グリシジル(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなど)などが挙げられる。
ビニルエステル系単量体との共重合体の場合には、共重合性単量体としては、酢酸ビニルやプロピオン酸ビニルなどの脂肪族カルボン酸ビニルなどが挙げられる。
これらの共重合性単量体(変性剤)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの共重合性単量体のうち、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸などの(無水)不飽和カルボン酸が好ましい。本発明では、特に、オレフィン系樹脂は、このような不飽和カルボン酸又はその誘導体で、グラフト共重合などにより変性されていてもよい。
変性剤(共重合性単量体)の割合は、樹脂中50重量%以下の範囲から選択でき、例えば、0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%、更に好ましくは1〜25重量%(特に、3〜20重量%程度)である。
変性オレフィン系樹脂のうち、酸変性オレフィン系樹脂の具体例としては、例えば、エチレンと不飽和カルボン酸又はそのエステルとの共重合体[例えば、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−無水マレイン酸共重合体など]、(無水)不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン[例えば、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンなど]、アイオノマーなどが挙げられる。エポキシ変性オレフィン系樹脂の具体例としては、例えば、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−スチレン共重合体などが挙げられる。ビニルエステル系
単量体との共重合体としては、例えば、エチレン含有量が50モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。これらの変性オレフィン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの変性オレフィン系樹脂のうち、不飽和カルボン酸変性オレフィン系樹脂(例えば、無水マレイン酸でグラフト変性されたポリプロピレンなど)が好ましい。
これらポリオレフィン系樹脂および、変性ポリオレフィン系樹脂をテープ状に共押出成形し、可撓性ホースを成形する場合は、特許文献1で記載されている可撓性ホースの製造方法と同様の手法をとること、または、ポリオレフィン系樹脂および、変性ポリオレフィン系樹脂が上下2層に重なった状態でテープ状に共押出成形し、この共押出成形物を後述するホース成形機に捲回することで第1樹脂層(A1)を成形することができる。成形方法はこれらに限定されるものではないが、共押出成形時の金型の構造が簡易である点から、後述する方法がより好ましい。
[第2樹脂層(A2)] 本発明の第2樹脂層(A2)は、第1樹脂層(A1)および、外面層(B)との熱融着性に優れるため類似した極性を有し、かつ/またはガスバリヤ性に優れるよう、第1樹脂層(A1)の項目で述べた変性ポリオレフィン系樹脂または、エチレン含有率20〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体からなることが好ましい。これは、ホースが積層構造であるため、各樹脂層の接着強度をより強固にするためである。接着が弱い場合は樹脂層間で剥離現象が発生し、流路を塞ぐ可能性があるため不適である。また、第1樹脂層(A1)が上で述べた条件2)の場合といった、単一でガスバリヤ性に優れる樹脂組成物であり、かつ、外面層(B)と熱融着性に優れる場合は、第2樹脂層(A2)を必ずしも設ける必要が無い。
第1樹脂層(A1)と第2樹脂層(A2)のそれぞれの厚み比は、(A1):(A2)=0.5:9.5〜10:0の範囲にあることが好ましい。(A1)層の厚みが上記の範囲を下回る場合は、ホースの耐久性が損なわる傾向にある。
[外面層(B)]
本発明の外面層(B)を構成する熱可塑性樹脂は、前記した第1樹脂層(A1)または、第2樹脂層(A2)との接着性または熱融着性に優れる点から、第1樹脂層(A1)または、第2樹脂層(A2)と類似した極性を有する軟質ポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂や、上で述べた、熱可塑性ポリウレタン、変性ポリオレフィン系樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー等であることが好ましく、中でも、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、熱可塑性ポリウレタン、変性ポリオレフィン系樹脂がより好ましい。オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系樹脂のマトリックス中にエチレンープロピレンゴム(EPDMやEPMなど)を微分散させた一般的なオレフィン系熱可塑性エラストマーを挙げることができ、またスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレンーブタジエンブロック共重合体、スチレンーイソプレンブロック共重合体またはそれらの水素添加物などが好適であるが、これらに特に限定されるものではない。例えば、第1樹脂層(A1)が熱可塑性ポリウレタンの単一層からなり、第2樹脂層(A2)がエチレン含有率20〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる場合は、外面層(B)は第2樹脂層(A2)との熱融着性に優れる熱可塑性ポリウレタンであることが好ましく、第1樹脂層(A1)がエチレン−ビニルアルコール共重合体および、熱可塑性ポリウレタンが混合された樹脂組成物からなる場合は、外面層(B)は軟質ポリ塩化ビニルであることが好ましく、3)第1樹脂層(A1)が内周面から順にポリオレフィン系樹脂/変性ポリオレフィン系樹脂となるよう、共押出成形された2層の積層体からなり、第2樹脂層(A2)がエチレン含有率20〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる積層体である場合は、変性ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
本発明の外面層(B)の厚みは、ホースが軽量で耐久性を有する観点から、ホース軟質部全体の肉厚[第1樹脂層(A1)と第2樹脂層(A2)、外面層(B)の厚みの和]の30〜90%であることが好ましく、40〜67%であることがより好ましい。外面層(B)の厚みがホース軟質部全体の肉厚に対して30%未満であるまたは、90%より大きい場合は、ホースの耐久性が損われる問題があるため好ましくない。
[補強硬質芯材(C)]
本発明における補強硬質芯材(C)を構成する樹脂は、前記した外面層(B)との共押出成形性に優れ、かつ、接着性または熱融着性に優れる点から、硬質塩化ビニル樹脂または硬質のオレフィン系樹脂が好適である。補強硬質芯材(C)は、外面層(B)に内蔵または、外面層(B)の外側に露出させるように螺旋状に捲回して成形するが、ホースの操作性、曲がり性などの点から、外面層(B)の外側に露出していることが好ましい。また、外面層(B)と熱融着、共押出性にも優れる必要があり、例えば、外面層(B)が軟質塩化ビニル樹脂ならば、補強硬質芯材(C)は硬質塩化ビニル樹脂が好適であり、外面層(B)が変性ポリオレフィン系樹脂である場合は、硬質のオレフィン系樹脂が好適である。
硬質のオレフィン系樹脂としては特に限定されないが、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン(LDPE)などのポリエチレン樹脂やホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンなどのポリプロピレン樹脂などを挙げられるが、前記した外面層(B)との熱融着性、破断強度、押出加工性、汎用性などの点から、ブロックポリプロピレンが好適である。
内周面の凸部頂点の繰り返し単位X(mm)と補強硬質芯材(C)間の長さY(mm)の関係は、0.90≦X/Y≦1.10の範囲にあることが好ましい。このX/Yの値は、ホースの可撓性、径方向の強度、耐圧性能などの観点から0.93〜1.07の範囲であることがより好ましく、0.95〜1.05の範囲であることが最も好ましい。そして、このX/Yの値が0.90未満である場合、または1.10を超える場合には、流体の圧力損失が大きくなり、流体を流す際の抵抗が増えるため適切でない。 補強硬質芯材(C)間の長さY(mm)は、ホース外面で連続する補強硬質芯材(C)または、ホースを長さ方向に展開したときの補強硬質芯材(C)の断面10個分の長さを最小目盛り0.05mmのノギスで測定し、その値を芯材の個数10で除することで求めることができる。
本発明品は、ホース構造体としての耐圧性が求められる場合に、必要により補強繊維層を設けることができる。この補強繊維層は、第1樹脂層(A1)/第2樹脂層(A2)/外面層(B)の間に任意に編組することができる。補強繊維層はホース構造体の耐久性の点から、第2樹脂層(A2)と外面層(B)の間に編組することがより好適である。
この補強繊維層に用いる補強繊維は、モノフィラメントまたはマルチフィラメントを網状に編組した補強繊維と、モノフィラメントまたはマルチフィラメントを補強硬質芯材(C)に沿って螺旋状に捲回した補強繊維の2種類からなることが好ましいがこれに限られるものではなく、どちらか一方のみを用いてもよい。これら補強繊維としては、例えば全芳香族ポリエステルなどの熱可塑性液晶ポリマーからなるポリアリレート繊維やポリアラミド繊維のモノフィラメントまたはマルチフィラメント、あるいはポリエステル繊維のモノフィラメントまたはマルチフィラメント、ポリビニルアルコール繊維のモノフィラメントまたはマルチフィラメントなどが挙げられるが、ポリアリレート繊維やポリアラミド繊維が高強度、低伸度の点で好適である。
網状に編組された補強繊維は編み角度(ホースの長さ方向に引いた水平線と補強繊維とがなす角度)が25〜80度であることが望ましく、耐圧性能の点からは30〜60度であることがより好ましい。
網状に編組された補強繊維は、8〜96本編むことが望ましいが、ホースに要求される耐圧性能や内径の大きさによって編み数を適宜設定すればよく、例えば、内径ID(mm)が38mmの編み数は48本程度が好適である。
補強硬質芯材(C)に沿って螺旋状に編み組んだ補強繊維は、1本の糸をホースの補強硬質芯材(C)に沿うように、5〜40mmの範囲の中で一定間隔に捲回されるが、補強硬質芯材(C)間の長さによって補強繊維の間隔を適宜設定すればよく、例えば内径ID(mm)が38mmのガス用可撓性ホースの間隔は9〜10mm程度が好適である。
[ガス用可撓性ホースの製造方法]
本発明のガス用可撓性ホースの製造方法としては、例えば円筒状の管と当該管表面に沿って当該管長方向に対して傾斜して位置するスプリング状の回転棒からなる製管機上で行う下記成形方法が挙げられるが、特に限定されるものではない。
工程(1):第1樹脂層(A1)を構成する熱可塑性樹脂を薄いテープ状に押出成形し、製管機上に螺旋状に捲回し、その隣接する側縁同士を融着すること第1樹脂層(A1)の管状成形物を形成する。
工程(2):さらに第1樹脂層(A1)に加えて、第2樹脂層(A2)を構成する場合は、第2樹脂層(A2)を構成する熱可塑性樹脂を工程(1)と同様にテープ状に押出成形し、前記第1樹脂層(A1)を被覆するように捲回することで第1樹脂層(A1)の外側に第2樹脂層(A2)が積層された管状成形物を成形する。第1樹脂層(A1)および第2樹脂層(A2)は、外面層(B)が捲回される直前での表面温度が80℃〜150℃となるよう、製管機内部および外部からのエアー冷却等による冷却処理を行う。
工程(3):工程(1)、工程(2)と同じ製管機上において、必要に応じて補強繊維を前記第1樹脂層(A1)または、第2樹脂層(A2)上に網状に編組し、さらに管状成形物の繰り返し単位長と等しい一定の間隔で補強繊維を螺旋状に捲回し、補強繊維層を形成する。
工程(4):第1樹脂層(A1)かつ/または、第2樹脂層(A2)を編組した直後[場合によっては補強繊維層を編み組んだ直後]に、外面層(B)を構成する熱可塑性樹脂および、補強硬質芯材(C)を外面層(B)から露出または、被覆するようにテープ状に共押出し、第1樹脂層(A1)かつ/または、第2樹脂層(A2)[場合によっては補強繊維層]を被覆するように捲回することでホース状成形体を形成する。
これらの工程で、押出機から押し出されて製管機上で冷却される第1樹脂層(A1)、第2樹脂層(A2)、外面層(B)および、補強硬質芯材(C)の冷却速度を制御することによって、ホース状成形体の内面の凹凸形状を制御し、形成することができる。例えば、上記の工程(4)における外面層(B)および補強硬質芯材(C)を製管機に捲回する際、ホース状成形体を冷却するための外部からの冷却水の温度、流量、冷却時間等の因子で、前記したホース内周面の凸部間の窪みの深度Z(mm)とホース内径ID(mm)の関係を表すZ/IDの値を好ましい範囲に制御することができる。具体的には、外面層(B)および補強硬質芯材(C)が捲回された後のホース状成形品の冷却後の温度が、製管機上で70〜100℃の範囲にあることが好ましい。
本発明のガス用可撓性ホースは、流体の圧力損失が小さいのみならず、従来のガス用ホースが有する耐油性、耐久性にも優れるので、例えば、土木工事、建築工事、農業などの分野で、ガスのみならず、揮発性の高いガソリンなどの液体やその他オイルまたは、粉体の混合した揮発性のある有機溶剤等の輸送用として使用することができる。
以下に、本発明について実施例などを挙げてより具体的に説明するが、本発明はそれらの記載によって何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例において、各種物性の測定および評価は次のようにして行った。
<圧力損失;直管時摩擦損失係数(λ)の測定>
(1)長さ3mのホースを直管状に設置し、その片方の端末に送排風機((株)スイデン製「SJF−250−2」)を取り付けると共に、ホースの両端部から0.5m内側の箇所にφ8mmの穴をあけて差圧計を取り付ける。次に、送排風機から発生する風量を段階的に変化させ、その際の圧力差△P(Pa)と相当流速V(m/秒)を測定する。
(2)上記(1)の方法で測定した相当流速V(m/秒)とホースの断面積A(m)の値を用いて通気量Q(m/時間)の値を式(1)に従って算出する。
式(1) 通気量Q=3,600×V×A
(3)上記(2)で算出された通気量Q(m/時間)の値と圧力差△P(Pa)の値から通気率a(m/時間/Pa1/2)の値を式(2)に従って算出する。
式(2) 通気率a=△P1/2/Q
(4)上記(3)で算出された通気率a(m/時間/Pa1/2)の値を用いて圧力損失係数ζを式(3)に従って算出する。
式(3) 圧力損失係数ζ=2/[ρ(a/3,600)]
なお、ρは空気密度(kg/m)を表す。
(5)上記(4)で算出された圧力損失係数ζを用いて直管時の摩擦損失係数λを式 (4)に従って算出する。
式(4) 摩擦損失係数λ=(ID×ζ)/L
なお、IDはホース内径(m)で、Lはホース長(m)を表す。
(6)直管時の摩擦損失係数λは、以下の基準によって評価した。
◎:0.020<λ≦0.045(流体と内管面との摩擦が小さく、流体の圧力損失は殆どない)
○:0.045<λ≦0.060(流体と内管面との摩擦は多少あるが、ホースを使用する際に流体の圧力損失は問題ない)
△:0.060<λ≦0.080(流体と内管面との摩擦があり、ホースを使用する際に流体の圧力損失による流量低下が認められる)
×:0.080<λ(流体と内管面との摩擦が大きいので、ホースを使用する際に流体の圧力損失も大きくなり、ホースの使用に適さない)
<ガスバリヤ性の測定>
300mm長の多層ホースまたはチューブの両端部をSUS製M−1金具(タケノコニップル形状)とアルミ製の外筒で厳重に加締め、加締め部をプラスチックパラフィンフィルムで覆うように捲回する。片方はシールテープ(ポリテトラフルオロエチレン製)で厳重に栓をし、他方は、コックと金属コネクタを有する金具で同じく厳重に栓をする。この金属コネクタを通し、ホース内部にシリンジで脱気した水を一杯に充填し、500時間23℃で放置後、封入する前後の脱気水のガス(空気)濃度をガスクロマトグラフィ(島津製作所製AOC−20I,GC−2010,J)で測定し、その増加量(ppm)を測定し、以下の基準で評価した。
○:ガス濃度増加量が10ppm以下
×:ガス濃度増加量が10ppmを超える。
<耐油性の測定>
本発明においては、ガソリンに対する耐性を評価した。評価は以下の手順で実施した。
(1)第1樹脂層(A1)の2mm厚みプレスシートから、JIS3号ダンベル状に打ち抜いた試料を数点作製する。
(2)ガソリン(オクタン価89.0以上)を十分な容積のネジ蓋付SUS製容器に100mL入れ、試料とともに23℃環境下で24h以上温度調整する。
(3)温調後の試料(N=3)をガソリン内に投入し、23℃条件下で12時間浸漬する。同時に、ガソリンに浸漬しない試料(N=3)も23℃条件下で用意しておく。この時、過度(形状が保てない等)に膨潤・ゲル化する場合、耐油性は×と判定する。
(4)浸漬後および、未浸漬の試料を、表面をウェスで軽く拭き取ったのち、JIS K6251に準拠した500mm/minの引張速度で破断強度(MPa)を測定する。
(5) 式:[浸漬後の破断強度(MPa)/未浸漬の破断強度(MPa)×100]を用いて、破断強度保持率%を算出する。
○:破断強度保持率%が90%以上かつ、膨潤・ゲル化なし
×:破断強度保持率%が90%より小さいかつ/または、膨潤・ゲル化あり
実施例および比較例で使用した熱可塑性樹脂等の材料に関する略号および内容を以下に示す。
≪第1樹脂層(A1)、第2樹脂層(A2)、外面層(B)を構成した熱可塑性樹脂≫
(1)A−1:
・熱可塑性ポリウレタン[大日精化工業(株)製「PX−1−02481」、エステル系熱可塑性ポリウレタン、ショアA硬度=85]
(2)A−2:
・エチレン−ビニルアルコール共重合体[(株)クラレ製「H171B」(エチレン含有率38(mol%)、ロックウェル表面硬度M=2]
(3)A−3:
・高密度ポリエチレン[日本ポリエチレン(株)製「ノバテックHD HY−540、Rスケール硬度=70」
(4)A−4:
・変性ポリオレフィン樹脂[三菱化学(株)製「モディックAP F534A」(不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン)]
(5)A−5:
・軟質塩化ビニル樹脂[昭和化成工業(株)製「TC2190−4」(ショアA硬度=66)]
≪補強硬質芯材(C)に用いた樹脂≫
・C−1:硬質塩化ビニル樹脂[プラス・テク(株)製「GB439 Y−1」(Rスケール硬度=90)]
・C−2:ブロックポリプロピレン[日本ポリプロ(株)製「ノバテックPP EA9HD」(Rスケール硬度=100)]
<実施例1>
(1)熱可塑性ポリウレタンA−1を単軸押出機(40mmφ、シリンダー温度=160〜180℃、ダイス温度=200℃)を用いて30mm幅のテープ状に押出成形し、外径が50mmの製管機上に螺旋状に捲回し、その隣接する側縁同士を180℃の温度で熱融着することで、厚み0.8mmの第1樹脂層(A1)である管状成形物を形成した。
(2)続けて、エチレン−ビニルアルコール共重合体A−2を、単軸押出機(45mmφ、シリンダー温度=180〜190℃、ダイス温度=230℃)を用いて、30mm幅のテープ状に押出成形し、第1樹脂層(A1)を被覆するよう、厚み0.3mmの第2樹脂層(A2)を形成した。
(3)そして、上記第2樹脂層(A2)を形成した後に、同製管機上にて、上面より外面層(B)をなす熱可塑性ポリウレタンA−1および、補強硬質芯材(C)をなす樹脂C−1を、断面形状が直径5mmの円状で、外面層(B)をなす熱可塑性ポリウレタンA−1から露出するようにクロスダイで接合された2つの単軸押出機(熱可塑性ポリウレタンA−1用;65mmφ、シリンダー温度=180〜190℃、ダイス温度=230℃、樹脂C−1用;65mmφ、シリンダー温度=200〜220℃、ダイス温度=230℃)を用いてテープ状に共押出し、捲回することで、内径IDが50mm、補強硬質芯材(C)間の長さYが10mm、軟質部の総肉厚が2.3mmの寸法を有するホース状成形品を得た。
(4)このホース状成形品を得る工程において、外面層(B)を捲回する直前の、エチレン−ビニルアルコール共重合体A−2からなる第2樹脂層(A2)の表面温度が100℃になるように製管機内部および、外部から12℃の冷風をあてた。また、製管機外部から7℃のチラー水を当てて製管機上のホース状成形品を80℃に急冷した後に、製管機から外して更に冷却することで、内周面の凸部頂点の繰り返し単位X(mm)が10mmで、ホースの内周面の凸部間の窪み深度Z(mm)とホース内径ID(mm)との関係Z/IDを0.026に調節した。
性能評価を表1に示す。
<実施例2>
(1)熱可塑性ポリウレタンA−1および、エチレン−ビニルアルコール共重合体A−2を、その混合比が20:80となるようにミキシングタンブラーにてドライブレンドする。上記ドライブレンド後の樹脂混合物を実施例1と同様の工程を経て厚み0.8mmの第1樹脂層(A1)である管状成形物を形成した。
(2)上記第1樹脂層(A1)を形成した後に、同製管機上にて、上面より外面層(B)をなす軟質塩化ビニル樹脂A−5および、補強硬質芯材(C)をなす硬質塩化ビニル樹脂C−1を、断面形状が直径5mmの円状で、外面層(B)をなす軟質塩化ビニル樹脂A−5に内包されるようにクロスダイで接合された2つの単軸押出機を用いてテープ状に共押出し、捲回することで、内径IDが50mm、補強硬質芯材(C)間の長さYが10mm、軟質部の総肉厚が6.8mmの寸法を有するホース状成形品を得た。
(3)このホース状成形品を得る工程において、外面層(B)を捲回する直前の、熱可塑性ポリウレタンA−1および、エチレン−ビニルアルコール共重合体A−2からなる第1樹脂層(A1)の表面温度が80℃になるように製管機内部および、外部から12℃の冷風をあてた。また、製管機外部から7℃のチラー水を当てて製管機上のホース状成形品を60℃に急冷した後に、製管機から外して更に7℃のチラー水によって冷却することで、内周面の凸部頂点の繰り返し単位X(mm)が10mmで、ホースの内周面の凸部間の窪み深度Z(mm)とホース内径ID(mm)との関係Z/IDを0.008に調節した。
性能評価を表1に示す。
<実施例3>
(1)内周面が高密度ポリエチレンA−3であり、その上面を覆うように変性ポリオレフィン樹脂A−4を、クロスダイで接合された2つの単軸押出機を用いて30mm幅のテープ状に共押出し、捲回することで、厚み0.6mm(A−3層:0.3mm、A−4層0.3mm)の第1樹脂層(A1)である管状成形物を形成した。
(2)続けて、エチレン−ビニルアルコール共重合体A−2を、単軸押出機を用いて、30mm幅のテープ状に押出成形し、第1樹脂層(A1)を被覆するよう、厚み0.3mmの第2樹脂層(A2)を形成した。
(3)上記第2樹脂層(A2)を形成した後に、同製管機上にて、上面より外面層(B)をなす変性ポリオレフィン樹脂A−4および、補強硬質芯材(C)をなす樹脂C−2を、断面形状が直径5mmの円状で、外面層(B)をなす変性ポリオレフィン樹脂A−4から露出されるようにクロスダイで接合された2つの単軸押出機を用いてテープ状に共押出し、捲回することで、内径IDが50mm、補強硬質芯材(C)間の長さYが10mm、軟質部の総肉厚が2.3mmの寸法を有するホース状成形品を得た。
(4)このホース状成形品を得る工程において、外面層(B)を捲回する直前の、第2樹脂層(A2)の表面温度が110℃になるように製管機内部および、外部から12℃の冷風をあてた。また、製管機外部から7℃のチラー水を当てて製管機上のホース状成形品を80℃にした後に、製管機から外して更に7℃のチラー水によって冷却することで、内周面の凸部頂点の繰り返し単位X(mm)が10mmで、ホースの内周面の凸部間の窪み深度Z(mm)とホース内径ID(mm)との関係Z/IDを0.050に調節した。
性能評価を表1に示す。
<比較例1>
(1)〜(2)実施例1と同様の工程を経て管状成形物を成形する。
(3)第2樹脂層(A2)を形成した後に、同製管機上にて、上面より外面層(B)をなす熱可塑性ポリウレタンA−1を30mm幅のテープ状に共押出し、捲回することで、内径IDが50mm、軟質部の総肉厚が4.5mmの寸法を有するホース状成形品を得た。
(4)このホース状成形品を得る工程において、<実施例1>で行ったような特別な冷却工程は行わず、室温(23℃)環境下にて管状成形物を成形した。また、外面層(B)を捲回した後は、21℃の工場用水を用い、徐冷した。結果、ホースの内周面は、指先で触れて観察しても凹凸状態が殆ど存在していないことが分かり、さらに、部間の窪み深度Z(mm)とホース内径ID(mm)との関係Z/IDは0.001より小さい管状成形体を得た。
<比較例2>
(1)〜(3)実施例3と同様の工程を経て管状成形物を成形する。
(4)このホース状成形品を得る工程において、実施例3のような特別な冷却工程は行わず、室温(23℃)環境下にて管状成形物を成形し、外面層(B)を捲回する直前の第2樹脂層(A2)の表面温度は140℃であった。また、製管機外部からは21℃の工場用水を当てて製管機上のホース状成形品を110℃近辺までに徐冷した後に、製管機から外して同様に冷却することで、内周面の凸部頂点の繰り返し単位X(mm)が10mmで、ホースの内周面の凸部間の窪み深度Z(mm)とホース内径ID(mm)との関係Z/IDを0.070に調節した。
性能評価を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、比較例1、2の内周面における、凸部間の窪みの深度Z(mm)と、ホース内径ID(mm)との関係Z/IDが、Z/ID<0.003または0.05<Z/IDであるガス用可撓性ホースは、直管時摩擦損失係数λが0.060<λであり、圧力損失が大きくなるため不可となる。
本発明のガス用可撓性ホースは、流体の圧力損失が小さく、かつガスバリヤ性、耐油性に優れる可撓性ホースであるので、例えば、ガソリンといった揮発性の高いオイルの吸排気用途のみならず、粉体または粉体の混合した気体の輸送用として有益に使用できる。
本発明のガス用可撓性ホースの一例を表す、補強硬質芯材(C)が外面層(B)から露出している構造の全体図と一部断面の模式図。 図1の断面を拡大した模式図。 本発明のガス用可撓性ホースの一例を表す、補強硬質芯材(C)が外面層(B)に埋め込まれている構造の全体図と一部断面の模式図。 図4の断面を拡大した模式図。 ガス用可撓性ホースの、第1樹脂層(A1)が、内周面から順にポリオレフィン系樹脂/変性ポリオレフィン系樹脂となるよう、共押出成形された2層の積層体からなる断面を拡大した模式図。
A1 第1樹脂層
A2 第2樹脂層
B 外面層
C 補強硬質芯材
X ホース内側の凸部頂点の繰り返し単位(mm)
Y 補強硬質芯材(D)間の長さ(mm)
Z ホース内側の凸部間の窪みの深度(mm)
ID ホース内径(mm)
PO ポリオレフィン系樹脂
変性PO 変性ポリオレフィン系樹脂

Claims (6)

  1. ホース内周面より順に、第1樹脂層(A1)/第2樹脂層(A2)/外面層(B)/補強硬質芯材(C)からなり、以下(1)、(2)の条件を全て満たすガス用可撓性ホース。
    (1)ホースの長さ方向に展開した際、内周面の凸部頂点の繰り返し単位をX(mm)とした時、5mm≦X≦25mmであること、
    (2)ホース内周面の凸部間の窪みの深度をZ(mm)とし、ホース内径をID(mm)とした時、0.003≦Z/ID≦0.05であること。
  2. 第1樹脂層(A1)が、熱可塑性ポリウレタンの単一層からなり、第2樹脂層(A2)がエチレン含有率20〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる請求項1に記載のガス用可撓性ホース。
  3. 第1樹脂層(A1)が、エチレン−ビニルアルコール共重合体と熱可塑性ポリウレタンが混合された樹脂組成物からなる単一層である請求項1に記載のガス用可撓性ホース。
  4. 第1樹脂層(A1)が、内周面から順にポリオレフィン系樹脂/変性ポリオレフィン系樹脂となるよう、共押出成形された2層の積層体からなり、第2樹脂層(A2)がエチレン含有率20〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体である請求項1に記載のガス用可撓性ホース。
  5. 補強硬質芯材(C)が硬質塩化ビニル樹脂または硬質ポリオレフィン系樹脂からなる請求項1〜4に記載のガス用可撓性ホース。
  6. 補強硬質芯材(C)間の長さをY(mm)とした時、上記した内周面の凸部頂点の繰り返し単位X(mm)との関係が0.90≦X/Y≦1.10を満足する請求項1〜5のいずれかに記載のガス用可撓性ホース。
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