JP5541513B2 - 表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、入力手段としてタッチパネル(タッチスクリーン)を備え、例えば交通機関等における自動券売機、書店や図書館等における検索システム、カーナビゲーションシステム、携帯端末、ゲーム機、さらには種々の電化製品などに好適に用いられる表示装置に関するものである。
近年、電子手帳、携帯電話等の携帯端末や、交通機関の券売機などには、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイや液晶ディスプレイなどの画面上に、指やペン状の指示具を用いた押圧によって選択情報の入力を行うタッチパネルを備えた表示装置が広く普及している。
このようなタッチパネルの一般的な構造例としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。
この特許文献1には、バックライトの光量を増すことなく視認性を向上させるため、タッチパネルの光の透過率を高めるべく、表面側に反射防止層を備えた光透過性フィルム基材の裏面側に第2の反射防止層を形成することが記載されている。
特開2003−136625号公報
しかし、これら反射防止層は、それぞれの屈折率と膜厚が所定の関係となるように成膜することで、反射波が干渉によって互いに打消し合うことを利用したものであって、層の数に比例して反射率が下がるという効果が得られる。しかし一方で、反射防止層を構成する総数が多くなることで透過率が低下してしまうという問題がある。
本発明は、タッチパネルを備えた従来の表示装置における上記課題を解決すべくなされたものであって、その目的とするところは、光の反射防止機能と光透過性に優れ、ディスプレイ画面の視認性に優れた表示装置を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、錐状微細凹凸による反射防止構造を備えた第1の透明樹脂層をタッチパネルの最表面に適用する一方、タッチパネルとディスプレイパネルの間に第2の透明樹脂層を設けることによって、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は上記知見に基づくものであって、本発明の表示装置は、ディスプレイパネル上に、タッチパネルを積層して成り、タッチパネルの表面に可視光の波長以下のピッチで二次元的に配置された複数の錐状微細凸部及び/又は錐状微細凹部を備えた第1の透明樹脂層を設けると共に、上記タッチパネルとディスプレイパネルとの間に、第2の透明樹脂層を設け、上記タッチパネルと第1の透明樹脂層との間に、スモーク粘着剤層及び直線偏光層の少なくとも一方を設けたことを特徴とする。
本発明によれば、可視光の波長以下のピッチで周期配列された微細な錐状の凸部や凹部を備えた第1の透明樹脂層によってタッチパネル表面での反射が抑えられ、表面への外景や太陽光、照明の映り込みが少なくなる。これに加えて、タッチパネルとディスプレイパネルとの間に第2の透明樹脂層を設けたため、表示装置の内部反射が抑制されてディスプレイ画面からの光の透過率が増し、ディスプレイの視認性を向上させることができる。
また、タッチパネルと第1の透明樹脂層との間に、スモーク粘着剤層及び直線偏光層の少なくとも一方を設けることにより、ディスプレイパネルからの発光が第2の透明樹脂層、タッチパネルを透過してきたところでくるので第1の透明樹脂層を透過する前に光量を調節することが可能となってディスプレイ画面の視認性を調節することができ、第1の透明樹脂層への入射光がその下の層に入射する光量を調節することができるので、ディスプレイ画面の視認性を調節することと両立できる。
(a)〜(d)は本発明の表示装置の実施形態をそれぞれ示す断面図である。 本発明の表示装置の最表面に適用する第1の透明樹脂層の形状例を示す断面図である。 (a)〜(d)は本発明の実施例1〜4による表示装置の構造をそれぞれ示す概略断面図である。 (a)〜(k)は比較例1〜11による表示装置の構造をそれぞれ示す概略断面図である。
以下、本発明の表示装置について、図面に基づいて、さらに詳細に説明する。
図1は、本発明の表示装置の種々の実施形態を示すものであって、例えば、図1(a)に示す表示装置1は、表示手段である液晶ディスプレイ2の上に、入力手段としてのタッチパネル3を積層した構造を有している。
そして、タッチパネル3の表面には、上記のように、可視光の波長以下のピッチで二次元的に周期配列された複数の錐状微細凸部及び/又は錐状微細凹部、すなわち反射防止微細凹凸構造を備えた第1の透明樹脂層4が設けてある。したがって、後述するように、可視光の屈折率が透明樹脂層4の表面から内部に向けて連続的に変化することから、タッチパネル表面の反射率を効果的に低減することができる。
さらに、タッチパネル3とディスプレイパネル2との間には第2の透明樹脂層5が設けてあり、当該樹脂層5によってタッチパネル3とディスプレイパネル2が互いに封止(接着)されている。これによって、ディスプレイパネル2とタッチパネル3の間における屈折率変化が小さくなり、タッチパネル3の裏面反射とディスプレイパネル2の表面反射を同時に低減することができ、当該装置の内部反射が少なくなり、ディスプレイ画面からの光の透過率が高まる。
このように、表面反射率低減による外光の映り込み防止と内部反射の低減とが相俟って、ディスプレイ画面の視認性が向上することになる。
本発明の表示装置においては、図1(b)や(c)に示すように、上記タッチパネル3と第1の透明樹脂層4の間にスモーク粘着層6や直線偏光層7を設けることができる。これによって、これら層から下に入射する光量を調節することができ、ディスプレイ画面の視認性を調節することができる。
なお、図1(d)に示すように、タッチパネル3と第1の透明樹脂層4の間に、スモーク粘着層6と直線偏光層7の両方を設けることもできる。このとき、これらスモーク粘着層6と直線偏光層7とは、どちらが表面側(図中上側)であっても支障はない。
次に、本発明の表示装置を構成する上記各層について、その構造や材料、製造方法などについて、さらに具体的に説明する。
〔ディスプレイパネル〕
本発明の表示装置に用いるディスプレイパネル2としては、特に限定はなく、有機ELディスプレイ(ELD)や液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、CRTディスプレイなど、従来からこのような表示装置に用いられているものを適用することができる。
また、これらディスプレイパネルの具体的な用途としては自動車用ナビゲーションシステム用ディスプレイがあり、オーディオディスプレイ、バックビューモニター用ディスプレイ、アラウンドビューモニター用ディスプレイなどがあり、例えばオープンカーなどにおいても視認性に優れた自動車用ディスプレイを提供できる。
〔タッチパネル〕
タッチパネル3としても、とくに限定されず、抵抗式(抵抗膜式)、静電容量方式、赤外線方式、超音波方式、インセル方式など種々の方式のものを用いることができる。
〔第1の透明樹脂層〕
図2は、本発明の表示装置に用いる第1の透明樹脂層の形状例を示す拡大断面図であって、図に示す第1の透明樹脂層4は、その表面側に、互いに略合同な錐状(この図では錐台状)をなす無数の微細な凸部4aを二次元的に周期配列させて成る構造を有する。
隣接する微細凸部4a間の距離、すなわちピッチPは、反射防止機能を確保する観点から可視光の波長(380nm)以下とする必要がある。また、当然のことながら、微細凸部4aの底面寸法Dbについても、可視光の波長以下であることが必要となる。
第1の透明樹脂層4においては、可視光の波長以下の底面寸法Dbを有し、可視光の波長以下のピッチPで配置された無数の錐状微細凹部4aを備えているので、当該透明樹脂層4の表面から厚み方向に、素材樹脂の占有面積率が連続的に変化(増加)するようになる。これによって、当該樹脂層4の光の屈折率がその表面から厚み方向に素材樹脂の屈折率まで連続的に増加することから、入射した光がほとんど回折や反射がおこることなくほぼ直進することになって、入射表面における光の反射率を効果的に低減することができる。
またこの第1の透明樹脂層4は、微細凸部4aを設けた表面とは反対側(裏面)からの入射光に対し、その入射光の透過量を低減することがない、もしくはほとんど低減せずに維持する性質がある。すなわち、第1の透明樹脂層4が上述の可視光の波長以下の底面寸法Dbと、可視光の波長以下のピッチPで配置された無数の錐状微細凹部4aを具えることにより、当該透明樹脂層4の裏面から厚み方向に、素材樹脂の占有面積率が連続的に変化(低減)するようになる。
これによって、当該樹脂層4の光の屈折率がその裏面表面から厚み方向に素材樹脂の屈折率が連続的に減少することから、裏面側から入射した光がほとんど回折や反射がおこることなくほぼ直進することになって、第1の透明樹脂層4では裏面側からの入射光の透過量をほぼ減少させることなく透過させることができる。
微細凸部4aを設けた表面側からの入射光と、その反対側(裏面)からの入射光と、に対して第1の透明樹脂層4において上記の作用が発生するのは、屈折率差がある界面で反射が起きるためである。スネルの法則から、屈折率が異なるものどうしの界面の反射率は入射光がどちら側からであっても同じ作用で同じ値になるためである。よって第1の透明樹脂層4はディスプレイパネル2の発光を妨げずに透過させ、その視認性を向上させるという効果も併せ持つものである。
上記錐状微細凸部4aの形状は、基端側から先端に向けて断面積が徐々に減少するような先細り形状である限り、特に限定はない。すなわち、本発明において「錐状」とは、先細り形状を意味し、正確な意味での円錐や角錐のみならず、先細りとなっている限り、母線や稜線形状が曲線をなし、釣り鐘形や椎の実形、半紡錘形のものや、側面が曲面を有する角錐状のものであってもよい。
また、成形性や耐破損性を考慮して、図2に示したように、先端部を平坦にしたり(錐台状)、丸みをつけたりすることも可能であって、工業的な製造方法においては、先端や先端面の周縁、基端周縁の立ち上がり部分などの丸み(R部)を避けることの方がむしろ難しいことになる。
図2に示したように、凸部4aが錐台状をなす場合、先端面寸法Dtが大きいほど凸部4aが折れ難くなり、耐擦傷性が向上することになるが、大きすぎると反射防止効果が損なわれることから、30nm以下であることが望ましい。構造の先端が大きいと、屈折率が大きくなるため、先端部と空気の界面で反射が起き、30nm以上になるとこの影響が顕著になる。また、ピッチPの0.4倍以下、すなわちDt≦0.4Pであることが、反射率低減の観点から望ましい。
なお、底面寸法Db、先端面寸法Dtについては、底面や先端面の形状が円形(円錐、円錐台)の場合には、その直径、多角形(角錐、角錐台)の場合は、当該多角形に外接する円の直径を意味するものとする。
また、凸部4aの周期的配列としては、正方配列や六方配列が採用されるが、正方配列のように、方向によってピッチPが相違するような場合には、大きい方の値をピッチPと定義する。
第1の透明樹脂層4の表面に形成する凹凸構造、すなわち反射防止微細凹凸構造については、上記した凸部4aに換えて、このような凸部を反転させることによって得られる漏斗状や擂り鉢状の凹部から成るものとすることができる。
また、このような錐状微細凹部と上記したような錐状微細凸部とが周期的に配置されたものにすることも可能である。さらに、例えば正弦波形状のような曲面が三次元的に連続するような微細凹凸面とすることもできる。
第1の透明樹脂層4の材料樹脂としては、特に限定はなく、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリノルボルネン樹脂、さらには、これらの樹脂を含むポリマーアロイ等を挙げることができる。
これらの樹脂中には、耐衝撃性向上のためのゴム、耐候性改良のための紫外線吸収剤、その他の改質用に酸化防止剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤等の各種添加剤が含まれていても構わない。
なお、光透過性の観点からは、上記した樹脂のうち、特にアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリノルボルネン樹脂を用いることがより好ましい。
反射防止微細凹凸構造を備えた第1の透明樹脂層4の作製方法については、特に限定するものではないが、例えば、一般的な微細凹凸構造の作製方法として、次のような方法を採用することができる。
まず、電子ビームによるリソグラフィーにより、所望の構造を反転させた微細凹凸を備えたシリコン製又はアルミニウム合金製の金型を作成する。次に、ナノインプリントとして、離型剤を塗布した金型上に、光硬化性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を基板を介して、任意の圧力で所定時間押し当て、金型の微細凹凸構造を樹脂に転写する。
この際、光硬化性樹脂を用いる場合は、基板に石英板等のUV透過性を有するものを用い、UVを樹脂に照射することにより硬化させる。また、熱硬化性樹脂を用いる場合は、熱伝導性のよい金属性基板を用いて、加熱することによって硬化させる。
なお、金型や基板については、必ずしも平板状のものに限らず、例えばロール状にすることによって、連続性を向上させたものや、大面積に対応したものを作製することができるようになる。
この第1の透明樹脂層4の厚さとしては、5〜500μm程度とすることが望ましい。
〔第2の透明樹脂層〕
第2の透明樹脂層5は、ディスプレイパネル2とタッチパネル3の間に空気層が介在することを防止(ディスプレイパネル2とタッチパネル3の間を封止)するボンディング層として機能し、空気層による反射を防止するために用いるものである。
これによってディスプレイパネル2の発光は、空気層による反射で低減されることがない、もしくはほとんどないまま第2の透明樹脂層5、タッチパネル3を透過できることになる。また上述の様に、第1の透明樹脂層4はその裏面からの入射光を妨げることなく透過させるものである。すなわち第2の透明樹脂層5を設けることで、ディスプレイパネル2の発光は第2の透明樹脂層5、タッチパネル3を反射の影響で妨げられることなく透過し、さらに第1の透明樹脂層4においても反射の影響で妨げられることなく透過することになる。このように第1の透明樹脂層4、第2の透明樹脂層5の両方を備えることで視認性を一層向上させるものである。
第2の透明樹脂層5を構成する樹脂材料としては、透明で封止できるものである限り、特に限定はないが、ディスプレイパネル2及びタッチパネル3を構成する材料との屈折率の差が小さいものであることが好ましい。
具体的には、後硬化型の透明樹脂として、例えばUV硬化型アクリル樹脂、UV硬化型ウレタン樹脂、熱硬化型アクリル樹脂、熱硬化型ウレタン樹脂、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。これらの後硬化型の透明樹脂を用いた場合には、硬化前の透明樹脂をディスプレイパネル2とタッチパネル3のどちらか又は両方の合わさる面に塗布し、必要に応じて加圧し、熱または紫外線など樹脂を硬化させるためのエネルギーを与えて硬化させて密着させることができる。この場合には空気層の形成を低減でき、本発明の表示装置の視認性を向上させることができる。
また、透明粘着剤として、例えばアクリル系粘着剤、エポキシ系粘着剤、シリコンゴム系粘着剤や、これらの混合物を用いることができる。さらに、透明両面テープを適用することもでき、例えばアクリル系両面テープ、エポキシ系両面テープ、シリコンゴム系両面テープなどが挙げられる。
なお、当該透明樹脂層5の厚さとしては、概ね10〜50μmの範囲とすることが好ましい。
〔スモーク粘着剤層〕
スモーク粘着剤層6は、視認性の改善を目的として、全波長の光を対象に表示装置内部に入光する光量を低減するために、必要に応じて用いられるものであって、種々のフィルムの貼着に用いられるアクリル系やエポキシ系、シリコンゴム系などの粘着剤に染料を添加して着色したものを適用することができる。
なお、スモーク粘着剤層6の厚さとしては、10〜50μm程度であればよい。
〔直線偏光層〕
直線偏光層7も表示装置内部に入光する光量を低減する機能を有する。直線偏光層は、あらゆる方向に振動している光からある特定の方向の光(直線偏光)だけを透過する機能を持っている。LCDの光は偏光しているため、直線偏光層をディスプレイのLCD側からの偏光を透過させる配置にすることで、画面の明るさを落とすことなく、外界からの入光成分の一部をカットする。
この層は視認性をさらに改善するために必要に応じて用いられるものであって、直線偏光フィルムから構成される層である。なお、直線偏光層7の厚さとしては、25〜200μm程度とすることが好ましい。
ここで、直線偏光フィルムとは、PVA(ポリビニルアルコール)から成る基材フィルムをヨウ素や有機系染料で染色した後、2〜3倍程度に一軸延伸することによって染料分子を規則的に並べ、吸収二色性を持たせたもので、色合いを変えることなく、光の透過率を減らす機能を発揮する。
なお、同様の機能を有するフィルムとしては、上記した直線偏光フィルムの他に、透過する光の位相を1/4ずらす機能を備えた1/4位相差フィルム(1/4波長板)や、上記直線偏光フィルムに1/4位相差フィルムを貼り合わせた円偏向フィルム等がある。しかし、本発明の表示装置においては、汎用品を用いて安価に実施できることから、直線偏光フィルムを直線偏光層7として用いることが好ましい。
これらスモーク粘着剤層6、直線偏光層7はそれぞれその目的に応じて適宜設置すればよいが、第1の透明樹脂層4とタッチパネル3の間に設置するのが好ましい。そのように配置することでディスプレイパネル2からの発光が第2の透明樹脂層5、タッチパネル3を透過してきたところでくるので第1の透明樹脂層4を透過する前に光量を調節することが可能となってディスプレイ画面の視認性を調節することができる。もちろん上述した様に第1の透明樹脂層4への入射光がその下の層に入射する光量を調節することができるので、ディスプレイ画面の視認性を調節することと両立できる。
なお、上述したように図1(d)に示すように、タッチパネル3と第1の透明樹脂層4の間に、スモーク粘着層6と直線偏光層7の両方を設けることもできる。
本発明の表示装置の製造に際して、上記した各層は、例えばローラーによるフィルム張り合わせ、インサート成形、真空成形、インジェクションプレス成形、スプレー塗布、蒸着、スパッタ、ディッピング、グラビアコートなどの貼り付け方法や、層形成方法から選択される方法を用いて積層することができる。また、構造が簡便なので部品点数が低減され、また製造する上で成膜工程も簡略化されるので安価に製造できることとなる。
以下に、本発明を実施例に基づいて、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
(実施例1)
先ず、UV硬化型アクリル樹脂(東亞合成(株)製PAK01)を用い、ナノインプリント法によって、底面径Db=100nm、先端面径Dt=30nm、高さH=200nmの円錐台状凸部4aがピッチP=100nmで六方配列された反射防止構造を表面に備えた第1の透明樹脂層4を110μmの厚さに作製した。
次に、上記第1の透明樹脂層4の裏面側に、直線偏光フィルム((株)美舘イメージング製MLPH40S)をゴムローラーを用いて、アクリル系透明粘着剤(巴川製)により貼り合わせて直線偏光層7とし、カーナビ用7インチディスプレイのサイズにカットした。
このようにカットした積層体における直線偏光層7の裏面側粘着面に、タッチパネル3として、(株)翔栄製カーナビ用7インチの抵抗膜式タッチパネルの表面をゴムローラーで空気を抜きながらタッチパネル3と直線偏光層7とを直接貼り合わせ、3層の積層体を得た。なお、ここで空気を抜く作業は片方の端を固定して、エアーを外側に押出しながら、一方向にローラーを進めることで可能となる。また直接貼り合わせる状態とは、直線偏光層7の裏面側粘着剤とタッチパネルを向かい合わせ、端部の位置合わせが終った状態のことであって、後はローラーを進めるだけで貼付けが出来る状態のことを言い、またその貼り合わせる作業中および貼り合わせが完了した状態も含む。
そして、ディスプレイパネル2としてのカーナビ用7インチ液晶ディスプレイ(クラリオン製)の表示画面側に、第2の透明樹脂層5として、UV硬化アクリル系ボンディング材(フォアサイト製KCPF3001)を塗布し、この上に上記積層体のタッチパネル側が接するように載置した。 この状態で、硬化後の透明樹脂層5の厚みが0.5mmとなるように周辺部を加圧した状態で、UV照射してボンディング材樹脂を硬化させ、図1(a)に示すような実施例1の表示装置を得た。
(実施例2)
直線偏光層7を貼り付けることなく、上記第1の透明樹脂層4の裏面側にタッチパネル3を直接貼り付け、これ以外は上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、図1(b)に示すような実施例2の表示装置を得た。
(実施例3)
上記第1の透明樹脂層4の裏面側のアクリル系透明粘着剤を全光線透過率40%のスモークアクリル粘着剤に変更して、スモーク粘着剤層6としたこと以外は、上記実施例2と同様の操作を繰り返すことによって、図1(c)に示すような実施例3の表示装置を得た。
(実施例4)
上記第1の透明樹脂層4の裏面側のアクリル系透明粘着剤を全光線透過率40%のスモークアクリル粘着剤に変更して、スモーク粘着剤層6としたこと以外は、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、図1(d)に示すような実施例4の表示装置を得た。
(実施例5)
タッチパネル3として、抵抗膜式タッチパネルに換えて、翔栄製の静電容量型タッチパネルを使用したこと以外は、上記実施例2と同様の操作を繰り返すことによって、実施例5の表示装置を得た(図3(b)参照)。
(実施例6)
上記第1の透明樹脂層4の裏面側のアクリル系透明粘着剤を全光線透過率30%のスモークアクリル粘着剤に変更して、スモーク粘着剤層6としたこと以外は、上記実施例5と同様の操作を繰り返すことによって、実施例6の表示装置を得た(図3(c)参照)。
(実施例7)
上記第1の透明樹脂層4の裏面側のアクリル系透明粘着剤を全光線透過率35%のスモークアクリル粘着剤に変更して、スモーク粘着剤層6としたこと以外は、上記実施例5と同様の操作を繰り返すことによって、実施例7の表示装置を得た(図3(c)参照)。
(実施例8)
上記第1の透明樹脂層4の裏面側のアクリル系透明粘着剤を全光線透過率40%のスモークアクリル粘着剤に変更して、スモーク粘着剤層6としたこと以外は、上記実施例5と同様の操作を繰り返すことによって、実施例8の表示装置を得た(図3(c)参照)。
(比較例1)
AGフィルム11を表面に備えた直線偏光フィルム7(日東電工(株)製AG150)の粘着剤が位相差フィルム12((株)翔栄製)の側に接するようにゴムローラーを用いて積層し、これを7インチにカットし、その粘着層に抵抗膜式のタッチパネル3の表面が接するようにゴムローラーを用いて積層した。この積層体のタッチパネルの裏面側に、さらに位相差フィルム12の表面が接するように積層し、その裏面側の位相差フィルム12の粘着剤面と多層ARフィルム13(3層ARフィルム(株)美舘イメージング製MFAR−Roll)の粘着剤面が接するようにゴムローラーを用いて積層した。
そして、AGフィルム11を備えたカーナビ用7インチ液晶ディスプレイ(LCD)2の画面上に、上記積層体の多層ARフィルム13が対向するように設置し、図4(a)に示すような比較例1の表示装置を得た。
(比較例2)
AGフィルム11を備えた直線偏光フィルム7を7インチにカットし、その粘着層と抵抗膜式のタッチパネル3の表面が接するようにゴムローラーを用いて積層した。
そして、AGフィルム11付の液晶ディスプレイ2の画面上に、上記積層体のタッチパネル3が対向するように設置し、もって図4(b)に示すような比較例2の表示装置を得た。
(比較例3)
第1の透明樹脂層4を設けることなく、表面にAGフィルム11を備えた直線偏光フィルムを直線偏光層7として使用したこと以外は、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、図4(c)に示すような比較例3の表示装置を得た。
(比較例4)
抵抗膜式のタッチパネル3と液晶ディスプレイ2の間に第2の透明樹脂層5を配置することなく、表面にAGフィルム11を備えた液晶ディスプレイ2を使用したこと以外は、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、図4(d)に示すような比較例4の表示装置を得た。
(比較例5)
ゴムローラーを用いて、7インチにカットした直線偏光フィルム7の粘着剤面に静電容量型のタッチパネル3を積層し、このタッチパネルの図中下面に、アクリル系透明粘着剤を用いて多層ARフィルム13を貼り合わせて積層体を作成した。これを、液晶ディスプレイ2の画面上に配置することによって、図4(e)に示すような比較例5の表示装置を得た。
(比較例6)
直線偏光フィルム7を用いることなく、AGフィルム11のみを静電容量型のタッチパネル3上に積層したこと以外は、上記比較例3と同様の操作を繰り返すことによって、図4(f)に示すような比較例6の表示装置を得た。
(比較例7)
AGフィルム11を多層ARフィルム13に替えたこと以外は、上記比較例6と同様の操作を繰り返すことによって、図4(g)に示すような比較例7の表示装置を得た。
(比較例8)
液晶ディスプレイ2の画面上に、静電容量型のタッチパネル3を配置することによって、図4(h)に示すような比較例8の表示装置を得た。
(比較例9)
静電容量型のタッチパネル3と液晶ディスプレイ2の間に第2の透明樹脂層5を配置しないこと以外は、上記実施例5と同様の操作を繰り返すことによって、図4(i)に示すような比較例9の表示装置を得た。
(比較例10)
静電容量型のタッチパネル3の表面に第1の透明樹脂層4を配置しないこと以外は、上記実施例5と同様の操作を繰り返すことによって、図4(j)に示すような比較例10の表示装置を得た。
(比較例11)
抵抗膜式のタッチパネルを静電容量型のタッチパネル3に変更し、液晶ディスプレイ2の表面にAGフィルム11を配置しなかったこと以外は、上記比較例4と同様の操作を繰り返すことによって、図4(k)に示すような比較例11の表示装置を得た。
このようにして得られた表示装置について、反射率及び直射入光時の表示画面の視認性について下記要領により調査した。これらの結果を表1に示す。
〔反射率〕
島津製作所製SS3700を用い、試料面の垂直軸に対して23°の入射角度による正反射の値を測定した。測定波長域380〜780nm、比視感度補正あり、硫酸バリウムに対する相対反射、550nmでゼロ補正の条件で測定を行った。
〔視認性〕
試験場所:光環境実験室
照度:人工空照度 5000lx強
直射光照度33400lx(画面中心から面直方向)
57100lx(画面中心から光源方向)
光源方向:上方20°、車両左後方60°
車両条件:実車内のセンターコンソールに、
下方30°、面角度35°、視距離約700mmで取り付けた。
ディスプレイ画面:カーナビのメニュー画面を表示
明るさ、コントラストはデフォルト設定
評価基準:4名の評価者により、下記の基準に基づいて評価した。
◎:標示物の詳細まで判別できる
○:標示物のうち、大きな文字(メニュー)が辛うじて認識できる
△:標示物が全く判別できない
×:標示物が全く判別できない上に、眩しくて長時間直視できない
Figure 0005541513
表1に示した結果から明らかなように、タッチパネルに抵抗膜式、静電容量型を含むいずれの構成においても、第の1の透明樹脂層と第2の透明樹脂層の両方を持つ構造体の視認性評価結果が優れ、片方の層のみではもう片方の層での反射を抑制できないために、両方の層の導入が必要であることが確認された。
1 表示装置
2 ディスプレイパネル
3 タッチパネル
4 第1の透明樹脂層
4a 錐状微細凸部
5 第2の透明樹脂層

Claims (6)

  1. ディスプレイパネル上に、タッチパネルを積層した表示装置において、
    タッチパネルの表面に可視光の波長以下のピッチで二次元的に配置された複数の錐状微細凸部及び/又は錐状微細凹部を備えた第1の透明樹脂層を設けると共に、
    上記タッチパネルとディスプレイパネルとの間に、第2の透明樹脂層を設け
    上記タッチパネルと第1の透明樹脂層との間に、スモーク粘着剤層及び直線偏光層の少なくとも一方を設けたことを特徴とする表示装置。
  2. 第2の透明樹脂層は後硬化型透明樹脂材料を用いることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
  3. 上記後硬化型透明樹脂材料はUV硬化型アクリル樹脂、UV硬化型ウレタン樹脂、熱硬化型アクリル樹脂、熱硬化型ウレタン樹脂、あるいはこれらの混合物から選ばれることを特徴とする請求項2記載の表示装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の表示装置を用いた自動車用ナビゲーションシステム。
  5. 第1の透明樹脂層裏面にタッチパネルを貼り合わせて積層体を作成し、
    一方でディスプレイ表面に第2の透明樹脂層を形成させ、
    次いで第2の透明樹脂層上に上記積層体を設置することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の表示装置の形成方法。
  6. 第1の透明樹脂層裏面にタッチパネルを貼り合わせて積層体を作成し、
    ディスプレイ表面に第2の透明樹脂層として後硬化型の樹脂材料を塗布し、
    次いで第2の透明樹脂層上に上記積層体を設置した後で第2の透明樹脂層を硬化させることを特徴とする請求項2又は3に記載の表示装置の形成方法。
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