以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
本実施形態は、図1に示すように、本発明に係る心拍検出装置(15)を備えた空調制御システム(1)である。この空調制御システム(1)は、寝室(5)内に設置された空調機(10)の空調能力の制御を行う。空調機(10)は、寝室(5)内の空気を調和する空調手段を構成している。
上記空調機(10)は、例えば壁掛け式のエアコンにより構成されている。空調機(10)は、冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路を備えており、熱交換器(図示省略)内の冷媒により冷却または加熱した空気を寝室(5)内へ供給する。つまり、空調機(10)は、冷房運転と暖房運転とを切り換えて行うように構成されている。
また、上記空調機(10)は、寝室(5)内の温度を検出する温度センサ(図示省略)を有している。また、空調機(10)は、ユーザー等が希望する寝室(5)内の温度を設定温度として入力する温度設定部(図示省略)を有している。空調機(10)の運転時には、この設定温度が空調機(10)の制御目標の温度となる。つまり、空調機(10)の運転時には、温度センサで検出される室内温度が、設定温度としての制御目標温度に近づくように空調能力が制御される。
図1および図2に示すように、上記空調制御システム(1)は、感圧ユニット(20)と本体ユニット(30)とを備えている。本体ユニット(30)には、図3に示す回路ユニット(40)が設けられている。回路ユニット(40)には、心拍検出部(25)と心拍周期検出部(26)と判定部(45)と空調制御部(49)とが設けられている。本実施形態では、感圧ユニット(20)と後述する受圧部(33)と心拍検出部(25)と心拍周期検出部(26)とにより、心拍検出装置(15)が構成されている。尚、本実施形態の心拍検出装置(15)は、本発明の心拍検出装置(15)の一例である。
上記感圧ユニット(20)は、被験者となる就寝者から生起する体動を本体ユニット(30)へ伝達するためのものである。感圧ユニット(20)は、感圧部(21)と圧力伝達部(22)とを備えている。
上記感圧部(21)は、一端が閉塞して他端に開口部(23)を有する細長で中空状のチューブにより構成されている。感圧部(21)は、寝室(5)のベッド等の寝具(6)内に敷設されている。
上記圧力伝達部(22)は、両端が開口する細長で中空状のチューブにより構成されている。圧力伝達部(22)は、感圧部(21)よりも小径となっている。圧力伝達部(22)は、一端が感圧部(21)の開口部(23)に接続され、他端が本体ユニット(30)に接続されている。
上記本体ユニット(30)は、ケーシング(31)と取付部(32)と受圧部(33)とを有している。
上記ケーシング(31)は、扁平な箱状に形成されており、例えば寝室(5)内の床面に設置される。ケーシング(31)の内部には、上述の回路ユニット(40)が内蔵されている。
上記取付部(32)は、ケーシング(31)の側面に形成されている。取付部(32)は、内方に向かって凹んだ略円環状の凹部(32a)と、該凹部(32a)内から外方へ突出する凸部(32b)とを有している。凸部(32b)には、その軸方向に貫通穴(32c)が形成されている。そして、凸部(32b)には、圧力伝達部(22)の他端部が外嵌する。これにより、感圧部(21)の内部と貫通穴(32c)が、圧力伝達部(22)を介して連通する。
上記受圧部(33)は、貫通穴(32c)に設けられている。受圧部(33)は、マイクロフォンにより構成されている。尚、受圧部(33)は、圧力センサにより構成してもよい。寝具(6)上の就寝者から体動が生起すると、この体動が感圧部(21)に作用する。すなわち、感圧部(21)の内圧は、圧力伝達部(22)および貫通穴(32c)を介して受圧部(33)に作用する。受圧部(33)は、この内圧を電気的な信号(以下、「体動信号」という。)に変換し、図3に示す回路ユニット(40)へ出力する。
本実施形態では、感圧ユニット(20)および受圧部(33)が、就寝者の体動に伴う体動信号を出力する体動検出部(24)を構成している。なお、体動信号には、就寝者の心拍に伴う体動に起因する信号と、就寝者の呼吸に伴う体動に起因する信号と、就寝者の寝返り等の粗体動に起因する信号などが含まれている。したがって、体動信号には、就寝者の心拍数の実測値が含まれていることになる。
図3に示すように、上記心拍検出部(25)は、体動信号の時系列データから就寝者の心拍数を検出するものである。心拍検出部(25)は、信号処理部(61)とスペクトル算出部(62)と第1のピーク抽出部(63)と第2のピーク抽出部(64)と第1の心拍判断部(65)と第2の心拍判断部(66)と心拍決定部(67)とを備えている。
上記信号処理部(61)は、受圧部(33)から出力された体動信号を所定の周波数帯域の体動信号に変調して出力するように構成されている。信号処理部(61)の出力信号は、スペクトル算出部(62)と第1及び第2ピーク抽出部(63,64)と判定部(45)とに入力される。
上記スペクトル算出部(62)は、体動信号の時系列データ上の時間における所定の時間間隔で、体動信号の時系列データから体動信号の周波数スペクトルを算出するものである。つまり、スペクトル算出部(62)は、体動信号の時系列データ上において所定の時間間隔の抽出時刻毎に周波数スペクトルを算出している。
具体的に、上記スペクトル算出部(62)は、信号処理部(61)から出力された体動信号を包絡線検波し、包絡線検波後の体動信号を高速フーリエ変換(FFT)する。スペクトル算出部(62)では、図6〜図10に示すように、測定開始から1分間隔の抽出時刻毎に、体動信号の周波数スペクトルが作成される。体動信号の周波数スペクトルは、抽出時刻の直前1分間の体動信号の時系列データにより作成される。尚、本発明及び本実施形態での、「周波数」とは、被験者の1分間あたりの心拍を意味しており、心拍数[毎分]で表される。
上記第1のピーク抽出部(63)は、スペクトル算出部(62)で算出された抽出時刻毎の周波数スペクトルからスペクトル強度(スペクトラム強度)が最大となる第1ピークに対応する第1ピーク周波数と、第1ピークの次にスペクトル強度が大きい第2ピークに対応する第2ピーク周波数を抽出するものである。
具体的に、第1のピーク抽出部(63)は、抽出時刻毎に、該抽出時刻の直前1分間の体動信号により作成された体動信号の周波数スペクトルにおいて、スペクトル強度が最大となる第1ピークに対応する第1ピーク周波数をまず抽出する。
次に、周波数スペクトルから第1ピーク周波数を含んだ所定範囲をピーク領域として抽出する。このピーク領域は、高速フーリエ変換の対象となる時間によって決まるスペクトル分解能と、該対象時間内でのノイズ等の測定誤差で決まるスペクトルピーク幅とで決定されるものであって、第1ピーク周波数の±3(心拍数[毎分])から±10(心拍数[毎分])の間で決定されればよい。本実施形態では、第1ピーク周波数の±3(心拍数[毎分])の領域をピーク領域としている。そして、第1のピーク抽出部(63)は、周波数スペクトルのうち、ピーク領域を除いた範囲において、スペクトル強度が最大となる第2ピークに対応する第2ピーク周波数を抽出する。第1ピーク周波数と第2ピーク周波数は、心拍数の実測値として第1の心拍判断部(65)と心拍決定部(67)へ入力される。
上記第1の心拍判断部(65)は、第1ピーク周波数の確度(確からしさ)を判断するためのものである。尚、本実施形態における第1ピーク周波数の確度とは、第1ピーク周波数の被験者の心拍数の実測値としての確からしさを表す度合いをいう。
具体的に、第1の心拍判断部(65)は、第1のピーク抽出部(63)で抽出された第1ピーク周波数と第2ピーク周波数とのスペクトル強度を比較し、且つ第1ピーク周波数が所定の基準値から所定の偏差内であるか否かを比較する。そして、第1の心拍判断部(65)は、両ピーク周波数のスペクトル強度の比率が所定の比率よりも大きく、且つ第1ピーク周波数が基準値から所定の偏差内であれば、第1ピーク周波数の確度が、本発明に係る第1の確度よりも大きい、すなわち第1ピーク周波数の確度が高いと判断する。本実施形態では、例示として、上記所定比率を3と設定し、上記所定の基準値を60(心拍数[毎分])とし、所定の偏差を基準値から±20(心拍数[毎分])としている。すなわち、本実施形態では、第1ピーク周波数のスペクトル強度が第2ピーク周波数のスペクトル強度に対して3倍より大きく、且つ第1ピーク周波数が、40(心拍数[毎分])から80(心拍数[毎分])の範囲内であれば、第1ピーク周波数の確度が高いと判断される。
上記基準値は、心拍検出部(25)が被験者の心拍数の検出対象日の前日に該心拍検出部(25)が検出した心拍数の決定値の平均値である。尚、この基準値は、例示であって、例えば年代別の一般的な睡眠時の心拍数等を基準値として用いることができる。
上記第2のピーク抽出部(64)は、スペクトル算出部(62)で算出された抽出時刻毎の周波数スペクトルのうち、基準値を基準とした所定の範囲において、スペクトル強度(スペクトラム強度)が最大となる第3のピークに対応する第3ピーク周波数と、該第3ピーク周波数の次にスペクトル強度が大きい第4のピークに対応する第4ピーク周波数を抽出するものである。
具体的に、第2のピーク抽出部(64)は、抽出時刻毎に、該抽出時刻の直前1分間の体動信号により作成された体動信号の周波数スペクトルのうち、基準値である60(心拍数[毎分])を基準とし、そこから±20(心拍数[毎分])の範囲内(すなわち、40〜80(心拍数[毎分])の間)において、スペクトル強度が最大となる第3ピークに対応する第3ピーク周波数をまず抽出する。
次に、周波数スペクトルから第3ピーク周波数から±3(心拍数[毎分])の領域をピーク領域として抽出する。そして、第2のピーク抽出部(64)は、周波数スペクトルの40〜80(心拍数[毎分])の間からピーク領域を除いた範囲において、スペクトル強度が最大となる第4ピークに対応する第4ピーク周波数を抽出する。第3ピーク周波数と第4ピーク周波数は、心拍数の実測値として第2の心拍判断部(66)と心拍決定部(67)へ入力される。
上記第2の心拍判断部(66)は、第3ピーク周波数の確度(確からしさ)を判断するためのものである。尚、本実施形態における第3ピーク周波数の確度とは、第3ピーク周波数の被験者の心拍数の実測値としての確からしさを表す度合いをいう。
具体的に、第2の心拍判断部(66)は、第2のピーク抽出部(64)で抽出された第3ピーク周波数と第4ピーク周波数とのスペクトル強度を比較する。そして、第2の心拍判断部(66)は、両ピーク周波数のスペクトル強度の比率が所定の比率よりも大きければ、第3ピーク周波数の確度が、本発明に係る第2の確度より大きい、すなわち第3ピーク周波数の確度が高いと判断する。尚、本実施形態では、例示として、上記所定比率を1.5と設定している。すなわち、第3ピーク周波数のスペクトル強度が第4ピーク周波数のスペクトル強度に対して1.5倍より大きければ、第3ピーク周波数の確度が高いと判断される。
上記心拍決定部(67)は、第1の心拍判断部(65)で第1ピーク周波数の確度が高いと判断された場合に第1ピーク周波数に基づき、第1ピーク周波数、又は第1ピーク周波数に近い値を被験者の心拍数の決定値として決定する一方、第1ピーク周波数の確度が低いと判断された場合に基準値に基づいて被験者の心拍数を決定するものである。
具体的に、心拍決定部(67)は、第1の心拍判断部(65)で第1ピーク周波数の確度が高いと判断された場合、第1ピーク周波数、又は第1ピーク周波数に近い値を被験者の心拍数の決定値として決定する。
また、心拍決定部(67)は、第1の心拍判断部(65)で第1ピーク周波数の確度が低いと判断され、且つ第2の心拍判断部(66)で第3ピーク周波数の確度が高いと判断されれば、第3ピーク周波数と基準値との間の値を被験者の心拍数の決定値として決定する。尚、このとき、第3ピーク周波数の確度に応じた時定数を定めておき、この時定数に基づいて決定値が設定されるようにしてもよい。
一方、心拍決定部(67)は、第1の心拍判断部(65)で第1ピーク周波数の確度が低いと判断され、且つ第3ピーク周波数の確度が低いと判断されれば、第4ピーク周波数と基準値との間の値を被験者の心拍数の決定値として決定する。尚、このとき、第4ピーク周波数が基準値から所定の範囲内にあれば、第4ピーク周波数、又は第4ピーク周波数に近い値を被験者の心拍数の決定値としてもよい。また、第4ピーク周波数の基準値からの偏差に応じた時定数を定めておき、この時定数に基づいて決定値が設定されるようにしてもよい。
そして、心拍決定部(67)は、時系列データ上の抽出時刻毎の決定値を心拍周期検出部(26)へ出力する。
上記心拍周期検出部(26)は、心拍決定部(67)から出力される決定値の時系列データから、就寝者の心拍数の変動周期として、ウルトラディアンリズムに対応した周期成分(以下、「ウルトラディアンリズム周期」という。)を抽出するように構成されている。この心拍周期検出部(26)は、決定値の時系列データから周期的に検出される信号を、ゼロ位相フィルタによってウルトラディアンリズム周期として抽出する。
尚、ウルトラディアンリズムとは、睡眠中のレム期とノンレム期のサイクルに代表される人体の生体リズムである。人体では、心拍数がウルトラディアンリズムに同期して変化する。ウルトラディアンリズムは、一般的に約90分周期であるが、個人差がある。
上記判定部(45)は、信号処理部(61)で変調された体動信号に基づいて、就寝者が入眠したか否かを判定する。具体的に、判定部(45)は、在床判定部(46)と睡眠判定部(47)とを備えている。
上記在床判定部(46)は、就寝者が寝具(6)に在床しているか、寝具(6)から離床しているかを判定するものである。この在床判定部(46)による判定は、信号処理部(61)で変調した体動信号と、予め設定された判定閾値(在床判定閾値)との大小比較によって行われる。具体的には、在床判定部(46)では、体動信号が在床判定閾値を下回る場合、就寝者から体動が生起していないとみなされるので、この場合には「離床」と判定される。一方、在床判定部(46)では、体動信号が所定時間以上継続して在床判定閾値を上回る場合、就寝者から体動が生起しているとみなされるので、この場合には「在床」と判定される。
上記睡眠判定部(47)は、在床判定部(46)により「在床」と判定された後、就寝者が入眠したか否かを判定するものである。この睡眠判定部(47)による判定は、信号処理部(61)で変調した体動信号と、予め設定された判定閾値(睡眠判定閾値)との大小比較によって行われる。具体的には、睡眠判定部(47)では、初めて体動信号が所定時間以上継続して睡眠判定閾値を下回る場合、在床中の就寝者から体動がさほど生起していないとみなされるので、この場合には「入眠」と判定される。また、睡眠判定部(47)では、「入眠」と判定された後において、体動信号が所定時間以上継続して睡眠判定閾値を上回る場合、就寝者から体動が生起しているとみなされるので、「覚醒」と判定される。
上記空調制御部(49)は、空調機(10)と有線または無線を介して、信号の入出力が可能に構成されている。そして、空調制御部(49)は、睡眠判定部(47)により「入眠」と判定されてから所定時間(本実施形態では、90分)が経過した後に、心拍周期検出部(26)で検出されたウルトラディアンリズム周期に応じて空調機(10)の設定温度Test(=ベース温度Tbase+ΔT)を増減制御するものである。この空調制御部(49)は、演算部(50)と温度変更部(51)を備えている。
上記演算部(50)は、心拍周期検出部(26)により検出されたウルトラディアンリズム周期の微分値を導出するように構成されている。つまり、演算部(50)は、ウルトラディアンリズム周期の正方向変化の勾配および負方向変化の勾配を導出する。
上記温度変更部(51)は、演算部(50)により導出されたウルトラディアンリズム周期の微分値が極大となるときに、空調機(10)の設定温度Testを増加させるように構成されている。即ち、温度変更部(51)は、ウルトラディアンリズム周期の正方向変化の勾配が最大となるときに、空調機(10)の設定温度Testを所定量だけ増加させる。具体的には、例えばΔT=1℃とし、設定温度Testを1℃だけ増加させる。つまり、設定温度Testがベース温度Tbaseよりも1℃だけ高くなる。
また、温度変更部(51)は、演算部(50)により導出されたウルトラディアンリズム周期の微分値が極小となるときに、空調機(10)の設定温度Testを減少させるように構成されている。即ち、温度変更部(51)は、ウルトラディアンリズム周期の負方向変化の勾配が最小となるときに、空調機(10)の設定温度Testを所定量だけ減少させる。具体的には、例えばΔT=0℃とし、設定温度Testをベース温度Tbaseそのものにする。つまり、上記の微分値が極大となるときの設定温度Testよりも1℃だけ低くなる。
−空調制御システムの動作−
上記空調制御システム(1)による空調機(10)の制御動作について説明する。
空調機(10)では、コントローラ等によって「冷房運転」と「暖房運転」とが選択可能となっている。また、空調機(10)では、コントローラ等によってユーザーが設定可能な温度(ベース温度Tbase)が入力可能となっている。通常の冷房運転や暖房運転では、ユーザーが設定したベース温度TbaseにΔTを加えた温度(ベース温度Tbase+ΔT)を設定温度Testとして空調機(10)の空調能力が制御される。
本実施形態の空調制御システム(1)では、就寝者の安眠を促すための空調機(10)の運転モードとして「おやすみ制御」の運転が可能となっている。
先ず、感圧ユニット(20)によって就寝者の体動が測定され、その体動信号が回路ユニット(40)の信号処理部(61)に出力される。信号処理部(61)は、体動信号を所定の周波数帯域に変調してスペクトル算出部(62)と判定部(45)とに出力する。
スペクトル算出部(62)と、第1及び第2のピーク抽出部(64)では、測定開始から1分毎に、信号処理部(61)の出力信号から、就寝者の心拍数の実測値を抽出する。続いて、心拍決定部(67)が、第1及び第2のピーク抽出部(64)で心拍数の実測値が抽出される度に、就寝者の心拍数の決定値を決定する。心拍決定部(67)では、1分間毎に心拍数の決定値が導出される。尚、心拍数の決定方法については後述する。
次に、在床判定部(46)によって就寝者の在床/離床判定が行われ、「在床」と判定されると、睡眠判定部(47)によって就寝者の入眠判定が行われ、「入眠」と判定されると、判定部(45)において中途覚醒フラグが連続して3分間ONしているか否かが判定される。具体的には、睡眠判定部(47)で「覚醒」と判定されると中途覚醒フラグがONされる。そして、中途覚醒フラグが連続して3分間ONされていないと、心拍周期検出部(26)が、心拍決定部(67)から出力された決定値の時系列データを用いて、ゼロ位相フィルタ(本実施形態では、逆フーリエフィルタ)によりフィルタ処理をして、ウルトラディアンリズム周期を抽出する。このウルトラディアンリズム周期は、一般的な周期である90分周期で抽出されている。なお、ウルトラディアンリズム周期は、個人差があり30分から120分の周期で現れる場合もある。
次に、空調制御部(49)において、睡眠判定部(47)により「入眠」と判定されてから所定時間(90分)が経過したか否かが判定される。そして所定時間が経過していると、演算部(50)が心拍周期検出部(26)のウルトラディアンリズム周期の微分値を導出していく。つまり、演算部(50)は、制御対象区間のウルトラディアンリズム周期を対象として微分値を導出していく。そして、温度変更部(51)が演算部(50)の導出した微分値が極大であるか極小であるかを検出し、微分値の極大を検出すると、ΔTを1℃に設定する。これにより、空調機(10)の設定温度Testがベース温度Tbaseよりも1℃高い値に設定される。そうすると、冷房運転の場合は冷房能力が低下し、暖房運転の場合は暖房能力が増大し、寝室(5)の温度が上昇する。
また、温度変更部(51)がウルトラディアンリズム周期の微分値の極小を検出すると、温度変更部(51)はΔTを0℃に設定する。これにより、空調機(10)の設定温度Testがベース温度Tbaseと同じとなる。この設定温度Testが、空調機(10)へ信号出力されると、冷房運転の場合は冷房能力が増大し、暖房運転の場合は暖房能力が低下し、寝室(5)の温度が低下する。
−心拍数の決定手段−
次に、図4に示すように、被験者の心拍数を決定するための決定手段についてST1〜ST10に基づいて説明する。
先ず、感圧ユニット(20)によって就寝者の体動が測定され、その体動信号が回路ユニット(40)の信号処理部(61)に出力される。信号処理部(61)は、体動信号を所定の周波数帯域に変調してスペクトル算出部(62)に出力する(ST1)。
スペクトル算出部(62)は、信号処理部(61)から出力された体動信号を包絡線検波し、包絡線検波後の体動信号を高速フーリエ変換(FFT)し、周波数スペクトルが作成される(ST2)。
第1のピーク抽出部(63)は、抽出時刻毎に、該抽出時刻の直前1分間の体動信号により作成された体動信号の周波数スペクトルにおいて、スペクトル強度が最大となる第1ピークに対応する第1ピーク周波数を抽出し、続いて、スペクトル強度が第1ピークの次に大きい第2ピークに対応する第2ピーク周波数を抽出する(ST3)。尚、ピーク抽出方法については後述する。
第1の心拍判断部(65)は、第1のピーク抽出部(63)で抽出された第1ピーク周波数と第2ピーク周波数とのスペクトル強度を比較する(ST4)。また、第1の心拍判断部(65)は、第1ピーク周波数の基準値(60(心拍数[毎分]))からの偏差を求める。第1の心拍判断部(65)は、第1ピーク周波数のスペクトル強度が第2ピーク周波数のスペクトル強度の3倍よりも大きく、且つ第1ピーク周波数が基準値(60(心拍数[毎分]))から±20(心拍数[毎分])であると、第1ピーク周波数の確度が高いと判断する(ST4〜ST5)。尚、上記確度判断における強度比の条件、及びピーク周波数の基準値からの偏差については例示であり、これに限られない。
第1ピーク周波数の確度が高いと判断されると(ST4〜ST5)、心拍決定部(67)は、第1ピーク周波数、又は第1ピーク周波数に近い値を被験者の心拍数の決定値として決定する(ST5)。一方、第1ピーク周波数の確度が低いと判断されると(ST4〜ST5)、第2のピーク抽出部(64)は、抽出時刻毎に、該抽出時刻の直前1分間の体動信号により作成された周波数スペクトルのうち、基準値である60(心拍数[毎分])を基準とし、そこから±20(心拍数[毎分])の範囲内(すなわち、40〜80(心拍数[毎分])の間)において、スペクトル強度が最大となる第3ピークに対応する第3ピーク周波数を抽出し、同じく40〜80(心拍数[毎分])の間からスペクトル強度が第3ピークの次に大きい第4ピークに対応する第4ピーク周波数を抽出する(ST6)。第3ピーク周波数と第4ピーク周波数は、心拍数の実測値として第2の心拍判断部(66)と心拍決定部(67)へ入力される(ST7)。
第2の心拍判断部(66)は、第2のピーク抽出部(64)で抽出された第3ピーク周波数と第4ピーク周波数とのスペクトル強度を比較する(ST7)。そして、第3ピーク周波数のスペクトル強度が第4ピーク周波数のスペクトル強度に対して1.5倍より大きければ、第2の心拍判断部(66)は、第3ピーク周波数の確度が高いと判断する(ST7〜ST8)。
心拍決定部(67)は、第2の心拍判断部(66)で第3ピーク周波数の確度を判断し、第3ピーク周波数の確度が高ければ、第3ピーク周波数と基準値(60(心拍数[毎分]))との間で被験者の心拍数の決定値を決定する(ST8)。一方、第3ピーク周波数の確度が低ければ、第4ピーク周波数と基準値(60心拍数[毎分])との間で被験者の心拍数の決定値として決定する(ST9)。
そして、心拍決定部(67)は、時系列データ上の抽出時刻毎の決定値を心拍周期検出部(26)へ出力する(ST10)。
−ピーク抽出手段−
次に、図5に示すように、スペクトル算出部(62)が作成した周波数スペクトルから第1及び第2ピーク周波数を抽出する手段について説明する。尚、第3ピーク及び第4ピーク周波数の抽出手段については、同様であるため説明を省略する。
まず、第1のピーク抽出部(63)は、抽出時刻毎に、該抽出時刻の直前1分間の体動信号により作成された周波数スペクトルにおいて、スペクトル強度が最大と思われるピークに対応する周波数を抽出し、抽出した周波数のスペクトル強度が最大であるか否かを判定する(ST1)。そして、抽出した周波数のスペクトル強度が最大であれば、このピークに対応する周波数(ピーク周波数)を第1ピーク周波数として更新し(ST2)、第1ピーク周波数の抽出は終了する(ST3)。一方、抽出した周波数のスペクトル強度が最大でなければ、第1ピーク周波数の抽出を終了せず(ST3)、もう一度、スペクトル強度が最大と思われるピークに対応する周波数を抽出してスペクトル強度が最大であるか否かを判定する(ST1)。
次に、周波数スペクトルから第1ピーク周波数を含んだピーク領域(第1ピーク周波数の±3(心拍数[毎分])の領域)を抽出する。そして、第1のピーク抽出部(63)は、周波数スペクトルからピーク領域を除いた範囲において、スペクトル強度が最大と思われるピークに対応する周波数を抽出し、該周波数がピーク領域内であるか否かを判定する(ST4)。抽出した周波数が周波数スペクトルのうち、ピーク領域を除いた範囲内である場合、抽出した周波数のスペクトル強度が周波数スペクトルのうち、ピーク領域を除いた範囲において最大であるか否かを判定する(ST5)。抽出した周波数が周波数スペクトルのうち、ピーク領域内である場合、第2ピーク周波数の抽出を終了せず(ST7)、再び、周波数スペクトルからピーク領域を除いた範囲において、スペクトル強度が最大と思われるピークに対応する周波数を抽出する(ST4)。
そして、抽出したピークのスペクトル強度が最大であれば(ST5)、このピーク周波数を第2ピーク周波数として更新し(ST6)、第2ピーク周波数の抽出は終了する(ST7)。一方、抽出したピークのスペクトル強度が最大でなければ、第2ピーク周波数の抽出を終了せず(ST7)、再び、周波数スペクトルからピーク領域を除いた範囲において、スペクトル強度が最大と思われるピークに対応する周波数を抽出する(ST4)。
−実施形態の適用例−
次に、本実施形態に係る心拍数の決定手段及びピーク抽出手段を適用した例について説明する。適用例に係る図面(図6〜図10)は、被験者の様々な状態の体動信号の時系列データ上において1分間の周波数スペクトルを算出したものである。尚、基準値は、すべて60(心拍数[毎分])とする。また、周波数スペクトルにおいて、心拍数[毎分]の値が40より小さければ、測定の対象外としている。
まず、図6に示す第1例は、周波数のピークが顕著に表れている例である。第1のピーク抽出部(63)は、第1ピーク周波数を56(心拍数[毎分])でスペクトル強度を75として抽出し、第2ピーク周波数を100(心拍[毎分])でスペクトル強度を20として抽出する。そして、第1ピーク周波数のスペクトル強度が第2ピーク周波数のスペクトル強度の3倍よりも大きく、且つ第1ピーク周波数が基準値から±20(心拍数[毎分])であるため、第1の心拍判断部(65)は、第1ピーク周波数の確度が高いと判断し、心拍決定部(67)は、56、又はこれに近い値を被験者の心拍数の決定値とする。
次に、図7に示す第2例は、被験者の身体を振動が伝搬することで反射・共振が生じ、これにより、高調波側にピークが検出されている例である。第1のピーク抽出部(63)は、第1ピーク周波数を105(心拍数[毎分])でスペクトル強度を48として抽出し、第2ピーク周波数を52(心拍[毎分])でスペクトル強度を35として抽出する。
そして、第1ピーク周波数のスペクトル強度が第2ピーク周波数のスペクトル強度の3倍以下なので、第1の心拍判断部(65)は、第1ピーク周波数の確度が低いと判断する。第2のピーク抽出部(64)は、基準値から±20(心拍数[毎分])の範囲内(すなわち、40〜80(心拍数[毎分])の間)において、第3ピーク周波数を52(心拍数[毎分])でスペクトル強度を35として抽出し、第4ピーク周波数を62(心拍数[毎分])でスペクトル強度を26として抽出する。そして、第3ピーク周波数のスペクトル強度が第4ピーク周波数のスペクトル強度に対して1.5倍以下であるため、第2の心拍判断部(66)は、第3ピーク周波数の確度が低いと判断する。そして、心拍決定部(67)は、第4ピーク周波数(=62(心拍数[毎分]))と基準値(=60(心拍数[毎分]))との間である61を被験者の心拍数の決定値とする。
次に、図8に示す第3例は、被験者の睡眠姿勢の変化によるノイズに起因して低周波側にピークが検出されている例である。第1のピーク抽出部(63)は、第1ピーク周波数を40(心拍数[毎分])でスペクトル強度を103として抽出し、第2ピーク周波数を55(心拍[毎分])でスペクトル強度を85として抽出する。
そして、第1ピーク周波数のスペクトル強度が第2ピーク周波数のスペクトル強度の3倍以下なので、第1の心拍判断部(65)は、第1ピーク周波数の確度が低いと判断する。第2のピーク抽出部(64)は、基準値から±20(心拍数[毎分])の範囲内(すなわち、40〜80(心拍数[毎分])の間)において、第3ピーク周波数を40(心拍数[毎分])でスペクトル強度を103として抽出し、第4ピーク周波数を55(心拍数[毎分])でスペクトル強度を85として抽出する。そして、第3ピーク周波数のスペクトル強度が第4ピーク周波数のスペクトル強度に対して1.5倍以下であるため、第2の心拍判断部(66)は、第3ピーク周波数の確度が低いと判断する。そして、心拍決定部(67)は、第4ピーク周波数(=55(心拍数[毎分]))と基準値(=60(心拍数[毎分]))との間である58を被験者の心拍数の決定値とする。
次に、図9に示す第4例は、明瞭な心拍成分が検出できない場合の例である。第1のピーク抽出部(63)は、第1ピーク周波数を80(心拍数[毎分])でスペクトル強度を19として抽出し、第2ピーク周波数を53(心拍[毎分])でスペクトル強度を18として抽出する。
そして、第1ピーク周波数のスペクトル強度が第2ピーク周波数のスペクトル強度の3倍以下なので、第1の心拍判断部(65)は、第1ピーク周波数の確度が低いと判断する。第2のピーク抽出部(64)は、基準値から±20(心拍数[毎分])の範囲内(すなわち、40〜80(心拍数[毎分])の間)において、第3ピーク周波数を53(心拍数[毎分])でスペクトル強度を18として抽出し、第4ピーク周波数を64(心拍数[毎分])でスペクトル強度を17として抽出する。そして、第3ピーク周波数のスペクトル強度が第4ピーク周波数のスペクトル強度に対して1.5倍以下であるため、第2の心拍判断部(66)は、第3ピーク周波数の確度が低いと判断する。そして、心拍決定部(67)は、第4ピーク周波数(=64(心拍数[毎分]))と基準値(=60(心拍数[毎分]))との間である62を被験者の心拍数の決定値とする。
次に、図10に示す第5例は、急激な心拍数の変化と不明瞭な心拍成分を検出した場合の例である。第1のピーク抽出部(63)は、第1ピーク周波数を42(心拍数[毎分])でスペクトル強度を30として抽出し、第2ピーク周波数を67(心拍[毎分])でスペクトル強度を25として抽出する。
そして、第1ピーク周波数のスペクトル強度が第2ピーク周波数のスペクトル強度の3倍以下なので、第1の心拍判断部(65)は、第1ピーク周波数の確度が低いと判断する。第2のピーク抽出部(64)は、基準値から±20(心拍数[毎分])の範囲内(すなわち、40〜80(心拍数[毎分])の間)において、第3ピーク周波数を42(心拍数[毎分])でスペクトル強度を30として抽出し、第4ピーク周波数を67(心拍数[毎分])でスペクトル強度を25として抽出する。そして、第3ピーク周波数のスペクトル強度が第4ピーク周波数のスペクトル強度に対して1.5倍以下であるため、第2の心拍判断部(66)は、第3ピーク周波数の確度が低いと判断する。そして、心拍決定部(67)は、第4ピーク周波数(=53(心拍数[毎分]))と基準値(=60(心拍数[毎分])との間である63を被験者の心拍数の決定値とする。
−実施形態の効果−
上記実施形態によれば、第1ピーク周波数の確度が高ければ、第1ピーク周波数、又は第1ピーク周波数に近い値を被験者の心拍数として検出するようにした。また、第1ピーク周波数の確度が低ければ、基準値に基づいて被験者の心拍数を検出するようにした。つまり、第1ピーク周波数が心拍数の実測値として、被験者の実際の心拍数とはかけ離れた値になっているおそれがある場合には、第1ピーク周波数が、心拍数の実測値、又は心拍数の実測値に近い値とならないようにしている。これにより、被験者の心拍数として検出される決定値が被験者の実際の心拍数と、かけ離れた値になることを抑制することができる。特に、被験者の身体の振動が伝搬し、この振動が反射・共振することで、高調波側に周波数のピークが表れる周波数スペクトルを算出したような場合に、第1ピーク周波数が心拍数の実測値として決定されるのを防止することができる。
また、第1ピーク周波数と第2ピーク周波数との比率が3よりも高ければ第1ピーク周波数の確度が高いと判断するようにした。
ここで、被験者の身体の振動が伝搬し、この振動が反射・共振することで、体動信号から周波数スペクトルを算出した場合に高調波側に周波数のピークが表れることがある。しかしながら、第1ピーク周波数のスペクトル強度が第2ピーク周波数のスペクトル強度よりも十分に大きいと、第1ピーク周波数の確度が高いと判断するようにしたため、第1ピーク周波数が心拍数の実測値として、被験者の実際の心拍数とはかけ離れた値になっているおそれがある場合には、第1ピーク周波数が、心拍数の実測値、又は心拍数の実測値に近い値にならないようにしている。これにより、被験者の心拍数として検出される決定値が被験者の実際の心拍数と、かけ離れた値になることを抑制することができる。
さらに、第1ピーク周波数の周辺範囲をピーク領域としたため、ピーク領域を除いた範囲から第2ピーク周波数を抽出することができる。これにより、第1ピーク周波数のスペクトル強度の次に大きい第2ピーク周波数を確実に抽出することができる。
そして、第1ピーク周波数が基準値から±20(心拍数[毎分])内であれば第1ピーク周波数の確度が高いと判断するようにした。つまり、第1ピーク周波数が基準値に近ければ、第1ピーク周波数の確度が高いと判断するようにしたため、第1ピーク周波数が心拍数の実測値として、被験者の実際の心拍数と、かけ離れた値になっているおそれがある場合には、第1ピーク周波数が、心拍数の実測値、又は心拍数の実測値に近い値とならないようにしている。従って、被験者の心拍数として検出される決定値が被験者の実際の心拍数と、かけ離れた値になることを抑制することができる。
続いて、第3ピーク周波数の確度が高ければ、第3ピーク周波数と基準値(=60(心拍数[毎分]))との間の値を心拍数の決定値として検出するようにした。また、第3ピーク周波数の確度が低ければ、第4ピーク周波数と基準値との間の値を心拍数の決定値として検出するようにした。つまり、より確度の高いピーク周波数と基準値との間の値を心拍数の決定値とした。これにより、被験者の心拍数として検出される決定値が被験者の実際の心拍数と、かけ離れた値になることを抑制することができる。
最後に、基準値に基づいて被験者の心拍数の決定値を決定したため、被験者の心拍数として検出される決定値が被験者の実際の心拍数と、かけ離れた値になることを抑制することができる。
−実施形態の変形例−
次に、本実施形態の変形例について説明する。本変形例は、第1ピーク周波数の確度を判断するピーク確度判断手段が上記実施形態と異なっている。
具体的には、図11に示すように、第1の心拍判断部(65)は、第1ピーク周波数の確度を判断する際、第1のピーク抽出部(63)で抽出された第1ピーク周波数と第2ピーク周波数とのスペクトル強度を比較する(ST1)。
そして、第1ピーク周波数と第2ピーク周波数のスペクトル強度比が既定値1より大きければ、第1の心拍判断部(65)は、第1ピーク周波数の確度が高いと判断する(ST2)。尚、本変形例では、例示として既定値1を3としている。したがって、第1ピーク周波数のスペクトル強度が第2ピーク周波数のスペクトル強度に対して3倍以上であれば、第1の心拍判断部(65)は、第1ピーク周波数の確度が高いと判断する(ST2)。一方、第1ピーク周波数のスペクトル強度が第2ピーク周波数のスペクトル強度に対して3倍より小さければ、第1の心拍判断部(65)は、再度、第1ピーク周波数の確度を判断する(ST3)。
ST1において、第1ピーク周波数の確度が低いと判断されると、第1の心拍判断部(65)は、第1のピーク抽出部(63)で抽出された第1ピーク周波数と第2ピーク周波数とのスペクトル強度を比較する(ST3)。また、第1の心拍判断部(65)は、第1ピーク周波数の基準値(=60(心拍数[毎分]))からの偏差を求める。
そして、第1ピーク周波数と第2ピーク周波数のスペクトル強度比が既定値2より大きく、且つ第1ピーク周波数が基準値から既定値3の範囲内である場合、第1の心拍判断部(65)は、第1ピーク周波数の確度が高いと判断する(ST4)。尚、本変形例では、例示として既定値2を1.5とし、既定値3を基準値から±10(心拍数[毎分])の範囲としている。一方、上記条件を満たしていなければ、第1の心拍判断部(65)は、再度、第1ピーク周波数の確度を判断する(ST5)。
ST3において、第1ピーク周波数の確度が低いと判断されると、第1の心拍判断部(65)は、第1のピーク抽出部(63)で抽出された第1ピーク周波数と第2ピーク周波数とのスペクトル強度を比較する(ST5)。また、第1の心拍判断部(65)は、第1ピーク周波数の基準値からの偏差を求める。
そして、第1ピーク周波数と第2ピーク周波数のスペクトル強度比が既定値4より大きく、且つ第1ピーク周波数が基準値から既定値5の範囲内である場合、第1の心拍判断部(65)は、第1ピーク周波数の確度が高いと判断する(ST6)。尚、本変形例では、例示として既定値4を1.25とし、既定値5を基準値から±5(心拍数[毎分])の範囲としている。一方、上記条件を満たしていなければ、第1の心拍判断部(65)は、第1ピーク周波数の確度が低いと判断する。尚、上記確度判断における強度比の条件、及びピーク周波数の基準値からの偏差については例示であり、これに限られない。また、第3ピーク周波数の確度判断方法についても同様に行うことができる。その他の構成、作用・効果については実施形態と同様である。
〈その他の実施形態〉
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態では、体動信号の周波数スペクトルは、抽出時刻の直前1分間の体動信号の連続した時系列データにより作成されるようにしたが、本発明はこれに限られず、例えば1分間の中での数点の代表するデータに基づいて周波数スペクトルを作成してもよい。
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。