JP5540590B2 - 液晶装置、および電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶装置、およびこの液晶装置を備えた電子機器に関する。
対向する一対のガラス基板で液晶層を挟み、一方のガラス基板面において、画素ごとに形成した画素電極と、画素電極に対して絶縁層を挟んで形成され、画素電極の領域に対して、長手方向が互いにほぼ平行な複数のスリット状開口部が平面的に重なるように設けられた共通電極との間に所定の電圧を印加して、ガラス基板の面内方向に沿った横電界を発生させ、液晶層における液晶分子の配向方向を回転制御して画像等を表示するFFS(Fringe-Field Switching)方式の液晶装置(以降「FFSパネル」と呼ぶ)がある。FFSパネルは、液晶分子が基板に対して平行な方向に回転するため、斜めから見たとき液晶分子による偏光については方向が回転しないことから、コントラストの低下が少なく視野角の広い表示品質の良い液晶表示装置として、広く用いられるようになっている。
また近年、表示する画像の高解像化に応えるべく、画素間を狭くしてFFSパネルを高精細化することが行われている。例えば、特許文献1には、画素間を跨いで共通電極を配置することにより、画素開口率を落とすことなく高精細化する技術が開示されている。
特開2007−226199号公報
しかしながら、FFSパネルでは、高精細化によって画素間が狭くなるのに伴って、隣接する画素の横電界の影響による液晶配向の乱れが大きくなる。例えば、黒を表示している画素に隣接する画素が白を表示している場合、白を表示するための横電界の影響によって黒を表示する画素の液晶配向が乱される。この結果、黒を表示している画素の領域において一部光抜け(「黒浮き」とも呼ぶ)が生じ、表示品質の低下を招く。特に、画素間に通常設けられる遮光部の幅が例えば5μmを下回るような高精細なFFSパネルでは、光抜けの度合いが大きくなり、表示品質の一層の低下を招いてしまう。
さらに、このような高精細なFFSパネルを、例えばプロジェクターの光変調素子(ライトバルブ)として用いる場合は、スリット状開口部の長手方向を、略矩形形状の画素の領域端の一辺に対して傾けて形成することが行われる。これは、説明は省略するが、例えばプロジェクターにおける光学系設計の都合上、ライトバルブに入射する光の偏光方向を、通常矩形形状を呈する投射画面の一辺と沿う方向とするからである。すなわち、FFSパネルにおいて、略矩形形状を有する画素の配列方向を投射画面の一辺と沿う方向とした場合、液晶の初期的な配向方向は画素領域の端辺の方向となる。そこで、液晶分子がリバースツイストしないよう一定方向に回転させるため、スリット状開口部の長手方向を、画素領域の端辺に対して傾けて形成する必要があるからである。
しかしながら、このようにスリット状開口部を傾けると、特に画素領域の端部において明るさが低下する問題が生ずる。これは、高精細化によって近接する画素電極の影響により、画素領域の端部において、液晶分子が本来回転すべき方向と逆の方向に回転するリバースツイストが生じやすくなり、液晶の配向乱れが生じてパネルの透過率が低下するためと考えられる。この結果、所定の輝度が得られず、表示品質が低下してしまうという課題が生ずる。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]一定の方向に配列された複数の画素を有し、前記複数の画素に対応して配置される複数の画素電極と、前記画素電極との間に絶縁層を挟んで形成され、前記複数の画素電極に跨って配置されるとともに、前記画素電極の領域に対して、長手方向が互いにほぼ平行な複数のスリット状開口部が平面的に重なるように設けられた共通電極とを備え、前記画素電極と前記共通電極との間に発生する電界によって、前記画素毎に液晶分子の配向を制御する液晶装置であって、前記スリット状開口部の長手方向は、前記画素が配列された前記一定の方向に対して傾いており、前記画素電極は、前記画素が配列された前記一定の方向に対して、前記スリット状開口部の長手方向が傾いている方向と同じ方向に傾いている端辺を有することを特徴とする。
この構成によれば、共通電極に設けられたスリット状開口部の長手方向と、画素電極の端辺とが、凡そ同じ方向となることから、画素電極の端辺において発生する電界方向を、リバースツイストが生じにくい電界方向とすることができる。この結果、高精細化された液晶装置において、隣接する画素電極の影響によるリバースツイストの発生が抑制されるので、画素毎に液晶分子の配向を正しく制御することができる。
[適用例2]上記液晶装置であって、前記画素電極の端辺は、前記スリット状開口部の長手方向の傾き角度よりも大きな角度で傾いていることを特徴とする。
この構成によれば、隣接する画素電極に最も近い位置における電界の発生方向を、リバースツイストの発生を抑制する方向に制御することができる。したがって、共通電極と画素電極との間に印加された電圧によって発生する電界が、隣接する画素電極に対して及ぼす影響を抑制することができる。したがって、画素毎に液晶分子の配向を正しく制御することができる。
[適用例3]上記液晶装置であって、前記画素電極の端辺は、前記画素電極に対応して設けられた前記複数のスリット状開口部のうち、最も外側に位置するスリット状開口部内に位置するように形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、画素電極の領域を、隣接する画素電極に対して離れるように配置することができる。したがって、共通電極と画素電極との間に印加された電圧によって発生する電界が、隣接する画素電極に対して及ぼす影響を抑制することができるので、リバースツイストが生じることなく画素毎に液晶分子の配向を正しく制御することができる。
[適用例4]上記液晶装置であって、前記画素電極の端辺は、前記最も外側に位置するスリット状開口部の長手方向に沿う開口辺と交差しないように形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、画素電極の端辺において、共通電極との間に印加された電圧によって発生する電界の方向を、さらにリバースツイストが生じにくい方向とすることができる。この結果、画素毎に液晶分子の配向を正しく制御できる確率を高くすることができる。
[適用例5]上記液晶装置であって、前記最も外側に位置するスリット状開口部の幅は、他の前記スリット状開口部の幅よりも狭いことを特徴とする。
この構成によれば、隣接する画素電極に最も近い位置スリット状開口部の幅を狭くすることによって、共通電極と画素電極との間に印加された電圧によって発生する電界が、隣接する画素電極に対して及ぼす影響を抑制することができる。したがって、画素毎に液晶分子の配向を正しく制御することができる。
[適用例6]上記液晶装置であって、前記複数のスリット状開口部は、隣り合う前記画素電極間において前記スリット状開口部の長手方向が揃うように設けられ、前記スリット状開口部間に形成される各帯状の共通電極のうち、前記隣り合う画素電極の領域間において形成される前記帯状の共通電極の幅が、それぞれの前記画素電極の領域内において形成される前記帯状の共通電極の幅よりも広いことを特徴とする。
この構成によれば、隣り合う画素電極間に形成される帯状の共通電極の幅を広くするので、共通電極と画素電極との間に印加された電圧によって発生する電界が、隣接する画素電極に対して及ぼす影響をさらに抑制することができる。従って、画素毎に液晶分子の配向をリバースツイストが生じることなく正しく制御することができる。
[適用例7]上記液晶装置であって、前記スリット状開口部間に形成される各帯状の共通電極の中心線間の距離が同じであることを特徴とする。
この構成によれば、画素密度を低くすることなく、共通電極と画素電極との間に発生する電界が、隣接する画素電極に対して及ぼす影響を抑制することができる。
[適用例8]上記液晶装置を備えた電子機器。
上記液晶装置は、明るさの減少が少ない表示品質の低下を抑制した液晶装置であることから、この液晶装置を搭載した電子機器であれば、リバースツイストが発生すること、および隣接する画素電極間において相互に表示が影響されることが抑制され、画素毎に液晶分子の配向が正しく制御される表示品質の良い電子機器を提供することができる。
本発明の一実施形態となる液晶装置を備えたプロジェクターの概略構成図。 液晶装置の構成を模式的に示した説明図。 液晶装置の各画素に形成された配線の様子を示した模式平面図。 液晶装置についての部分断面を示す模式図。 従来のスリット状開口部の場合の隣接画素間での表示状態を説明する図で、(a)は電極配置を示す平面図、(b)画素における表示状態を示す説明図。 第1実施例の共通電極および画素電極の形状を示す図で、(a)は平面図、(b)は電極の各寸法関係を示す説明図。 第1実施例の画素における表示状態を、それぞれ半画素分示した図で、(a)は透過率の状態を示した説明図、(b)は画素の表示状態を示した説明図。 第2実施例の共通電極および画素電極の形状を示す図で、(a)は平面図、(b)は電極の各寸法関係を示す説明図。 第2実施例の画素における表示状態を、それぞれ半画素分示した図で、(a)は透過率の状態を示した説明図、(b)は画素の表示状態を示した説明図。 第3実施例の共通電極および画素電極の形状を示す平面図。 第3実施例の画素における表示状態を、それぞれ半画素分示した図で、(a)は透過率の状態を示した説明図、(b)は画素の表示状態を示した説明図。 第1変形例の共通電極および画素電極の形状を示す図で、(a)は平面図、(b)は電極の各寸法関係を示す説明図。 第2変形例で、共通電極に設けられたスリット状開口部を示した平面図。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、以降の実施例の説明において用いる図面は、説明の都合上構成要素等を誇張して図示している場合もあり、必ずしも実際の大きさや長さを示すものでないことは言うまでもない。
図1は、本発明を具現化した一実施形態となる液晶装置100を光変調素子(ライトバルブ)として用い、電子機器としてのプロジェクター1に備えた場合の概略構成を示した構成図である。このプロジェクター1は、光源101から照射された照射光を、偏光ビームスプリッター102によって所定の偏光光に揃える。そして、所定の偏光光に揃えられた照射光を液晶装置100に入射し、液晶装置100に設けられた各画素を透過する際に光変調する。そして画素毎に光変調した照射光を所定の距離を隔てて設置されたスクリーン(不図示)上に投射レンズ103によって投射する。このようにして、液晶装置100に表示された画像が投射される。もとより、プロジェクター1は、液晶装置100を複数(例えば3枚)備え、複数の液晶装置100に応じた光学系(例えばミラーやクロスプリズムなど)を形成したものであってもよい。
さて、本実施形態のプロジェクター1では、前述したように液晶装置100が有する画素の配列方向を、矩形形状を呈する投射画面の一辺(縦方向あるいは横方向)に沿った方向とする。したがって、液晶装置100における画素の配列方向は、投射画面の一辺である横方向(これを「行方向」とする)と、これと直交する一辺である縦方向(これを「列方向」とする)の一定の方向にそれぞれ配列されているものとして説明する。
さらに、プロジェクターでは、スクリーンに何も投射されない状態では黒の表示状態であることが使用上好ましい。従って、本実施形態のプロジェクター1では、液晶装置100における各画素において、後述する画素電極と共通電極間に電圧が印加されない初期状態では、黒を表示するノーマリーブラック表示を行うものとする。もとより、画素電極と共通電極間に電圧が印加されない初期状態で白を表示するノーマリーホワイト表示を行うものとしても差し支えない。
次に、液晶装置100について説明する。図2は、画像を表示する複数の画素Gを有する液晶装置100の構成を模式的に示した説明図である。液晶装置100は、基板10と基板30とが、図示しない液晶層(後述する)を封止状態で挟んで重ね合わされた構造を有している。なお、図2では、図面横方向を行方向、図面縦方向を列方向として図示している。従って画素Gは、それぞれ図面横方向(行方向)と図面縦方向(列方向)に配列形成されている。
基板10は、その外周部分に、走査線駆動回路120とデータ線駆動回路110、および共通端子130とが、ガラスや石英あるいは樹脂などの透明基板上(図面表面側)に形成されたものである。走査線駆動回路120からは行方向に走査線121が、データ線駆動回路110からは列方向にデータ線111が、図2に示したようにそれぞれ出力配線されている。また、走査線121とデータ線111の交点付近には、各画素Gに対応して図示しない薄膜トランジスター(後述する)が形成されている。各薄膜トランジスターは、走査線121によって供給される電圧によってオン・オフが制御され、オン時において、データ線111によって供給される電圧が、画素電極(後述する)に印加されるように構成されている。
共通端子130は、各画素Gに跨って形成された共通電極131と電気的に接続され、共通電極131に対して共通な電圧(例えば接地電位)を供給する。従って、各画素Gにおいて、薄膜トランジスターのオンによってデータ線111から供給される電圧と、共通電極131によって供給される電圧(本実施形態では接地電位の電圧)との差分電圧が、画素Gに対応する液晶層に印加されるように構成されている。
基板30は、画素Gに対応する領域部分を開口領域(光透過領域)とし、その他の領域部分が遮光領域となるように金属膜などの所定の遮光層が、ガラスや石英または樹脂などの透明基板上(図面裏側)に形成されたものである。従って、画素Gの領域間においては、行方向および列方向にはそれぞれ遮光領域BMが形成される。すなわち、遮光領域BMは、基板30を基板10に重ね合わせたとき、画素Gを区画形成するとともに、アルミニウムなど光透過性を有しない金属材料で形成されたデータ線111、走査線121と、薄膜トランジスターとを平面的に覆うように形成されている。
次に、本実施形態における液晶装置100において、各画素Gに対応して配置形成された画素電極と、各画素Gに跨って形成された共通電極131の様子を、図3および図4を用いて説明する。図3は、図2において液晶装置100の左上部分に例示した4つの画素Gについて、各画素Gに形成された配線の様子を示した模式平面図であり、液晶装置100を、基板30側から、基板30を透視状態で見た状態で示している。また、図4は、図3においてB−B線に沿った液晶装置100の部分断面を示す模式図である。なお、本実施形態の液晶装置100が備える共通電極131の形状(後述の第1実施例、第2実施例、および第3実施例)が奏する効果に対する理解を容易にするために、図3および図4における共通電極131の形状は従来の形状で図示している。
基板10には、図3に示したように、データ線111が列方向に、走査線121が行方向に、それぞれ形成されている。そして、この両配線の交点付近には、薄膜トランジスター(以降、単に「トランジスター」)20が形成されている。すなわち、データ線111の配線が延伸して形成されたソース電極20sと、チャネル領域が形成された半導体層20aと、走査線121が兼ねるゲート電極20gと、ドレイン電極20dと、からなるトランジスター20が形成されている。そして、ドレイン電極20dは、コンタクトホールCH1を介して、画素電極11と電気的に接続されている。従って、走査線121すなわちゲート電極20gに供給される電圧によって、トランジスター20がオンすると、データ線111に供給された電圧が、ドレイン電極20dを介して画素電極11に印加されるように構成されている。
画素電極11は各画素Gに対応して配置され、本実施形態では各辺が行方向および列方向に沿った矩形形状を有して形成されている。そして、画素電極11との間に絶縁層を挟んで形成され、複数の画素Gに跨って配置された共通電極131は、各画素電極11の領域に対して、長手方向が互いに平行な複数のスリット状開口部SLが平面的に重なるように設けられている。
本実施形態のプロジェクター1では、前述するように液晶装置100に入射する照射光の偏光方向を、矩形形状を呈する投射画面の一辺と沿う方向としている。従って、各画素Gに対して配置された画素電極11のそれぞれに対して、長手方向が画素Gの配列方向、例えばデータ線111の延在方向(すなわち列方向)に対して時計方向にα度傾いた方向であり、互いに略平行な4つのスリット状開口部SLが設けられている。この結果、共通電極131には、設けられたスリット状開口部SLによって、隣接する2つの画素G間に1本の帯状の共通電極(以降、単に「帯状電極」)13gが、また画素Gの領域内に3本の帯状の共通電極(以降、単に「帯状電極」)13が、それぞれ形成される。
なお、以降の説明の都合上、各画素電極11の領域に対して設けられた4つのスリット状開口部SLのうち最も外側、つまり帯状電極13gの両側に位置するスリット状開口部SLをスリット状開口部SL2と表記し、他のスリット状開口部SLをスリット状開口部SL1と表記する。もとより、これらを区別しない場合はスリット状開口部SLと呼称することとする。
このように、本実施形態では、液晶分子の初期配向は、データ線111の延在方向つまり列方向であることから、液晶分子が本来の回転方向と逆の方向に回転するリバースツイストを抑制するために、スリット状開口部SLは、列方向に対してα度(例えば5度〜20度程度)時計方向(図3では右回転方向)に傾いた方向で形成されている。もとより、初期配向は、α度(例えば5度〜20度)反時計方向(図3では左回転方向)に傾いて形成されるものとしてもよい。また、スリット状開口部SLは、画素電極11のそれぞれの領域に対して3つ以上形成されていればよい。
このようにスリット状開口部SLが設けられることによって共通電極131に形成された帯状電極13,13gと、画素電極11との間に、データ線111からの電圧が印加されることによって、液晶層に対して基板10に沿う方向の横電界が発生する。この結果、前述したようにFFS方式による液晶分子の配向制御が各画素Gにおいて行われる。なお、画素電極11および共通電極131は、導電性を有する透光性の材料(例えばITO)で形成されている。もとより、画素Gを透過する照射光の光量減少が実用上影響しない場合は、画素電極11あるいは共通電極131は金属材料(アルミニウムなど)で形成されることとしてもよい。
次に、液晶装置100の断面構成について、図4を用いて説明する。図4は、図3におけるB−B線に沿った断面を示した模式図である。図示するように、液晶装置100は、基板10と基板30とによって液晶層40を挟持した構成を有している。そして基板30の液晶層40と反対側には偏光板44が、また基板10の液晶層40と反対側には偏光板45が、それぞれ所定の偏光軸方向を呈するように貼り付けられている。なお、本実施形態では、液晶層40は、分極方向が配向方向と同方向であるポジ型の液晶分子によって形成されているものとする。もとより、分極方向が配向方向と直交しているネガ型の液晶分子によって形成されていることとしてもよい。
基板30は、平板としての基材31に対して、液晶層40側の基板面に、遮光領域BMを形成する遮光層32、配向膜39が順次形成されたものである。遮光層32は金属膜(例えばクロム)や樹脂からなる。配向膜39は、例えばポリイミド樹脂からなり、遮光領域BMおよび画素Gの領域を覆うように形成されている。なお、基板30において、配向膜39と遮光層32との間に、配向膜39を平坦化するための平坦化層やオーバーコート層が形成されることとしてもよい。また、基板30において、基材31と配向膜39との間に、少なくとも画素Gの領域に相当する光透過領域に、所定の色を透過するカラーフィルター層が形成されることとしてもよい。
基板10は、平板としての基材14に対して、液晶層40側の基板面に、走査線121(ゲート電極20g)と、ゲート絶縁層15、半導体層20a、データ線111(ソース電極20s)とドレイン電極20d、層間絶縁層16、平坦化層17、画素電極11、絶縁層18、共通電極131、配向膜19が順次形成されたものである。
走査線121(ゲート電極20g)、データ線111(ソース電極20s)、およびドレイン電極20dは、金属材料(例えばアルミニウム)によって形成されている。半導体層20aは、アモルファスシリコンやポリシリコン等の半導体が用いられる。また、ゲート絶縁層15は例えば酸化シリコンが、層間絶縁層16は例えば酸化シリコンや窒化シリコンが、平坦化層17は樹脂材料が、絶縁層18は例えば酸化シリコンや窒化シリコンが、それぞれ用いられ、いずれも透光性を有する層として形成される。配向膜19は、例えばポリイミド樹脂からなり、共通電極131の液晶層40に接する側であって、少なくともすべての画素Gの領域を覆うように形成されている。
本実施形態では、液晶装置100は前述するように、ノーマリーブラック表示を行うように構成されている。また、液晶層がポジ型の液晶分子で形成され、液晶分子の初期的な配向方向が列方向となるように、配向膜19および配向膜39がラビング処理などによって配向処理されている。また、配向膜39および配向膜19は、互いに液晶分子のプレチルト角が反対向きになるように反平行の状態に配向処理が施されている。
また、偏光板44は初期的な配向方向に透過軸を呈し、偏光板45は透過軸が偏光板44の透過軸と直交する方向を呈するクロスニコル配置となるように貼り付けられている。もとより、基板30に入射する照射光が、ほぼ液晶分子の初期配向の方向に振動する偏光光である場合は、照射光の入射側となる偏光板44は無くても差し支えない。
さて、このように構成された液晶装置100における画素電極11と共通電極131(帯状電極13,13g)の従来形状は、図4下部に拡大して示したように、それぞれの寸法で形成されている。すなわち、従来形状では、共通電極131に形成された帯状電極13の幅と帯状電極13gの幅とは、同じ寸法d1である。また、スリット状開口部SL2の幅とスリット状開口部SL1の幅とは同じ寸法s1である。従って、帯状電極13,13gの中心線間の距離はすべて同じ寸法p1である。また、隣接する画素電極11は、それぞれの画素電極11の列方向に沿った端辺が、行方向に隣接する画素G間の中心線、つまり帯状電極13gの中心線から、それぞれ寸法g1離れるように形成されている。なお、画素電極11の行方向に沿った端辺は、図3に示したように、共通電極131と平面的に重なるように形成されている。
このように帯状電極13,13gと画素電極11とが従来形状で形成された画素Gの表示状態を、図5を用いて説明する。図5は、行方向において隣り合う2つの画素Gにおいて、一方(図面左側)を黒表示、他方(図面右側)を白表示とした場合における表示状態を示したものである。なお、図5(a)は、行方向に隣り合う画素G間の中心を基準(0)として、行方向の両側に位置する画素についての画素電極11と共通電極131とを、それぞれ半画素分図示した模式図である。また、図5(b)は、それぞれの画素Gが黒表示および白表示を行ったときの表示状態を示した説明図である。
本実施形態の液晶装置100では、図5(a)に示したように、黒表示を行う画素Gに対応する画素電極11には電圧「0V」が、白表示を行う画素Gに対応する画素電極11には電圧「5V」が、また共通電極131には接地電圧「0V」がそれぞれ印加される。また、従来形状の具体的な寸法として、d1=1μm、s1=1.5μm、p1=2.5μm、g1=1.0μmとした場合を示している。なお、遮光領域BMの幅は2μmであり、従って画素Gの領域は8×8μm、画素ピッチは行列方向ともに10μmである。
このような寸法を有する従来形状では、図5(b)に示したように、黒表示を行う画素Gにおいて、白表示を行う画素に近い領域R1において光抜け(黒浮き)が生じている。また、白表示を行う画素Gにおいて、横電界の発生状態が変化し、黒表示を行う画素Gに近い領域R2において液晶分子のリバースツイストに起因する配向不良領域(ドメイン)が生じている。このため透過率の低下を引き起こす状態となってしまう。
以上説明したように、帯状電極13,13gと画素電極11とが従来形状で形成された画素Gの表示状態について、黒表示においては黒浮きが生じ、また白表示においては透過率の低下を引き起こす不具合が生じるため、表示品質の低下を招くことになる。
そこで、本実施形態における液晶装置100は、このような画素Gの領域において黒浮きや、透過率低下を引き起こすリバースツイストの発生を抑制できるように、画素電極11の形状、あるいは共通電極131における帯状電極13,13g(つまりスリット状開口部SL)の形状を、従来の形状に対して変更するものである。以下、画素電極11の形状変更、あるいはスリット状開口部SLの形状変更について3つの実施例を挙げ、これらを、図6〜図11を用いて順次説明する。
(第1実施例)
まず第1実施例について図を参照して説明する。図6は、本実施形態の液晶装置100に設けられた画素Gにおいて、変更された本実施例の画素電極11の形状を示す模式図である。なお、図6(a)は、行方向に配列された2つの隣接画素Gについて、従来のスリット状開口部SL1,SL2が形成された共通電極131と、形状変更された画素電極11を平面的に示した模式図である。図6(b)は、図6(a)におけるC−C線に沿った断面を示した模式図であり、各スリット状開口部SL1,SL2によって形成された帯状電極13,13gと、画素電極11との寸法関係を示した説明図である。
本実施例は、図6(a)に示すように、列方向に沿って形成された従来例の画素電極11の端辺を、スリット状開口部SL2の長手方向に沿った方向に傾けるものである。こうすれば、画素電極11の端辺と帯状電極13g(または帯状電極13)との間で生ずる横電界の方向が、傾いた画素電極11の端辺と直交する方向に揃うことから、凡そリバースツイストが生じにくい電界方向とすることができる。
このように電極の端辺が傾くように形状変更された画素電極11は、図6(b)に示したようにそれぞれの寸法で形成されている。すなわち、共通電極131に形成された帯状電極13と帯状電極13gの行方向の幅は、同じ寸法d1である。また、スリット状開口部SL2の行方向の幅とスリット状開口部SL1の行方向の幅とは同じ寸法s1である。従って、帯状電極13,13gの行方向の中心線間の距離はすべて同じ寸法p1である。これに対して、スリット状開口部SL2の長手方向に沿って傾いているそれぞれの画素電極11の端辺は、帯状電極13gの中心から行方向にそれぞれ寸法g2離れるように形成されている。
本実施例では、寸法g2は、画素電極11の端辺がスリット状開口部SL2内に平面的に位置するように設定されている。つまり、寸法g2は、寸法d1の1/2より大きく、寸法d1の1/2と寸法s1の合計よりも小さい範囲内の値を有する。ちなみに、図6(a)では、寸法g2は、寸法d1と寸法s1の合計の1/2の値を有するように設定されている。もとより、隣接する画素G間において、実質的に表示が互いに影響を受けない状態であれば、寸法g2は例えば寸法d1の1/2よりも小さい値など、必ずしもこの範囲内の値を有する必要がないことはいうまでもない。なお、画素電極11の行方向に沿った端辺は、図6(a)に示したように、共通電極131と平面的に重なるように形成されている。
このように画素電極11が形成された画素Gの表示状態を、図7を用いて説明する。図7は、行方向において隣り合う2つの画素Gにおいて、一方(図面左側)を黒表示、他方(図面右側)を白表示とした場合における表示状態を示したものである。具体的には、図6(a)に示したように、行方向に隣り合う画素G間の中心を基準(0)として、行方向の両側に位置する画素における表示状態を、それぞれ半画素分(−Xμmから+Xμm)図示したものである。なお、図7(a)は、図6(a)におけるC−C断面に相当する位置における画素Gの透過率の状態を示した説明図であり、図7(b)は、隣接する2つの画素Gの表示状態を示した説明図である。
ここで、本実施例では、画素電極11の従来の形状(以降、「従来例」とも呼ぶ)との比較のため、具体的な寸法として、d1=1μm、s1=1.5μm、p1=2.5μm、g2=1.25μmとした場合を示している。もとより、遮光領域BMの幅は2μmであり、画素Gの領域は8×8μm、画素ピッチは行列方向ともに10μmである。また、黒表示を行う画素G(図面左側)に対応する画素電極11には電圧「0V」が、白表示を行う画素G(図面右側)に対応する画素電極11には電圧「5V」が、また共通電極131には接地電圧「0V」がそれぞれ印加される。
第1実施例の画素電極11の形状によれば、図7(a)に示したように、従来例に対して黒表示の画素Gにおける透過率が画素領域の端部において低下している。つまり、隣接する白表示の画素Gにおける液晶分子の配向制御に対する電界(横電界)の黒表示画素への影響が抑制され、光抜けが抑制されていることがわかる。一方、白表示の画素Gにおける透過率は画素領域の端部において従来例より上昇している。従って、画素全体の白透過率は従来例よりも改善されていることがわかる。この結果、図7(b)に示したように、画素Gの領域全体での表示状態では、従来例において黒を表示する画素Gに生じた領域R1(図5(b)参照)における光抜け(黒浮き)が抑制されるとともに、白を表示する画素Gに生じた領域R2における透過率の低下が抑制される。
なお、本実施例では、画素電極11の端辺をスリット状開口部SL2の長手方向に沿った方向に傾ける場合において、この長手方向に沿った方向は、必ずしも同一方向を意味するものでないことは勿論である。画素電極11やスリット状開口部SL2の製造上のバラツキなどに応じて生ずる傾き角の差異(例えば±2度など)を含んだ方向である。
以上説明したように、本実施例によれば、共通電極に設けられたスリット状開口部SLの長手方向と、画素電極11の端辺とが、凡そ同じ方向となることから、画素電極11の端辺において発生する電界方向を、リバースツイストが生じにくい電界方向とすることができる。この結果、高精細化された液晶装置において、隣接する画素電極の影響によるリバースツイストの発生が抑制されるので、画素毎に液晶分子の配向を正しく制御することができる。
(第2実施例)
次に第2実施例について図を参照して説明する。図8は、本実施形態の液晶装置100に設けられた画素Gにおいて、変更形成された本実施例の画素電極11と共通電極131の形状を示す模式図である。なお、図8(a)は、行方向に配列された2つの隣接画素Gについて、画素電極11と共通電極131に形成されたスリット状開口部SL1,SL2を平面的に示した模式図である。図8(b)は、図8(a)におけるD−D線に沿った断面を示した模式図であり、各スリット状開口部SL1,SL2によって形成された共通電極131の帯状電極13,13gと、画素電極11との配置上の寸法関係を示した説明図である。
図8に示すように、本実施例は、上記第1実施例において行った画素電極11の端辺を傾ける変更に加えて、スリット状開口部SL2の開口幅を狭くする変更、また画素電極11間の距離を広げる変更を行う。すなわち、帯状電極13gの幅を、寸法d1に対して大きな寸法d2に広げる。このとき、帯状電極13gと帯状電極13の中心線間の距離p1は変更せず、隣り合う画素G間に形成された帯状電極13gの幅を、寸法d1に対して大きな寸法d2にすることによって広げるようにしたものである。
同時に、帯状電極13gの中心線から画素電極11の端辺までの距離を寸法g3にすることによって、画素電極11の端辺が、スリット状開口部SL2の開口内に平面的に位置するように変更する。従って、寸法g3は、寸法d2の1/2より大きく、寸法d2の1/2と寸法s2の合計よりも小さい範囲内の値を有する。ちなみに、図8(a)では、寸法g3が、寸法d2と寸法s2との合計の1/2の値を有する状態で図示している。
このように帯状電極13gが変更形成され、スリット状開口部SL2の開口幅が狭くなるとともに、画素電極11の端辺がスリット状開口部SL2内に位置する画素Gの表示状態を、図9に示した。図9は、図8(a)に示したように、行方向に隣り合う画素G間の中心を基準(0)として、行方向の両側に位置する画素における表示状態を、それぞれ半画素分(−Xμmから+Xμm)図示したものである。なお、図9(a)は、図8(a)におけるD−D断面に相当する位置における画素Gの透過率の状態を示した説明図であり、図9(b)は、隣接する2つの画素Gの表示状態を示した説明図である。
ここで、図9では、スリット状開口部SLの従来の形状(従来例とも呼ぶ)との比較のため、具体的な寸法として、d2=2.0μm、s2=1.0μm、p1=2.5μm、g3=1.5μmとした場合を示している。もとより、遮光領域BMの幅は2μmであり、画素Gの領域は8×8μm、画素ピッチは行列方向ともに10μmである。また、黒表示を行う画素G(図面左側)に対応する画素電極11には電圧「0V」が、白表示を行う画素G(図面右側)に対応する画素電極11には電圧「5V」が、また共通電極131には接地電圧「0V」がそれぞれ印加される。
第2実施例の共通電極131の形状によれば、図9(a)に示したように、従来例に対して黒表示の画素Gにおける透過率が画素領域の端部において大きく低下している。つまり、隣接する白表示の画素Gにおける液晶分子の配向制御に対する電界(横電界)の黒表示画素への影響が抑制され、光抜けが相当に抑制されていることがわかる。一方、白表示の画素Gにおける透過率は画素領域の端部において従来例より上昇している。従って、画素全体の白透過率は従来例よりも改善されていることがわかる。この結果、図9(b)に示したように、画素Gの領域全体での表示状態では、従来例において黒を表示する画素Gに生じた領域R1(図5(b)参照)における光抜け(黒浮き)が抑制されるとともに、白を表示する画素Gに生じた領域R2における透過率の低下が抑制される。
以上説明したように、本実施例によれば、隣接する画素電極11に最も近い位置に設けられたスリット状開口部SL2の幅を狭くすることによって、帯状電極13gと画素電極11との間に印加された電圧によって発生する電界が、隣接する画素Gにおける液晶分子の配向制御に対して及ぼす影響を抑制することができる。したがって、画素毎に液晶分子の配向を正しく制御することができるので、光抜けの発生が抑制され、表示品質の良い液晶装置が得られるのである。
また、上記第2実施例によれば、スリット状開口部SL2の開口幅を寸法s1よりも小さい寸法s2とするとき、帯状電極13gと帯状電極13の中心線間の距離は変更せず、帯状電極13gの幅を、寸法d1に対して大きな寸法d2に広げた。こうすれば、画素Gの配列ピッチは変化しないので、画素密度を低くすることなく画素密度が同じ状態で、共通電極と画素電極との間に発生する電界が隣接する画素電極に対して及ぼす影響を抑制することができるという効果を奏する。
また、隣り合う画素電極間に形成される帯状電極13gの幅を広くするので、共通電極131と画素電極11との間に発生する電界が、隣接する画素Gにおける液晶分子の配向制御に対して及ぼす影響をさらに抑制することができるという効果を奏する。
(第3実施例)
つぎに第3実施例について図を参照して説明する。図10は、行方向に配列された2つの隣接画素Gについて、上記第2実施例において形成された共通電極131と、形状変更された本実施例の画素電極11を平面的に示した模式図である。
本実施例は、図10に示すように、上記第2実施例において変更形成された共通電極131に対して、スリット状開口部SL2の長手方向の傾きよりもさらに大きく傾いた端辺11tを有する画素電極11を配置したものである。こうすることによって、画素電極11の端辺と帯状電極13g(または帯状電極13)との間で生ずる横電界の方向が、リバースツイストが生じにくい電界方向へさらに傾いて揃うことから、隣接する画素電極11に最も近い位置における電界の発生方向を、リバースツイストが発生を抑制する方向に制御することができる。したがって、共通電極131と画素電極11との間に印加された電圧によって発生する電界が、隣接する画素電極11に対して及ぼす影響を抑制することができるので、画素毎に液晶分子の配向を正しく制御することが期待できるのである。
なお、このとき、画素電極11の端辺11tを、図示するように、共通電極131に形成されたスリット状開口部SL2内であって、スリット状開口部SL2の長手方向に沿う開口辺13tと交差しないように形成することが好ましい。こうすることで、スリット状開口部SL2において、画素電極11の端辺と帯状電極13gとの間で発生する電界を、液晶分子のリバースツイストがさらに生じ難い方向とすることができる。この結果、画素毎に液晶分子の配向を正しく制御できる確率を高くすることができる。
このように画素電極11が形成された画素Gの表示状態を、図11を用いて説明する。図11は、行方向において隣り合う2つの画素Gにおいて、一方(図面左側)を黒表示、他方(図面右側)を白表示とした場合における表示状態を示したものである。具体的には、図10に示したように、行方向に隣り合う画素G間の中心を基準(0)として、行方向の両側に位置する画素における表示状態を、それぞれ半画素分(−Xμmから+Xμm)図示したものである。なお、図11(a)は、画素Gの領域の列方向の略中心位置における行方向についての透過率の状態を示した説明図であり、図11(b)は、隣接する2つの画素Gの表示状態を示した説明図である。
ここで、本実施例では、画素電極11の従来の形状(以降、従来例とも呼ぶ)との比較のため、遮光領域BMの幅は2μmであり、画素Gの領域は8×8μm、画素ピッチは行列方向ともに10μmである。また、黒表示を行う画素G(図面左側)に対応する画素電極11には電圧「0V」が、白表示を行う画素G(図面右側)に対応する画素電極11には電圧「5V」が、また共通電極131には接地電圧「0V」がそれぞれ印加される。なお、帯状電極13,13g、およびスリット状開口部SL1,SL2の形状寸法は、上記第2実施例と同様であるので説明を省略する。また、画素電極11の端辺は、図8(b)に示した寸法g3の値が、列方向において、寸法d2の1/2から、寸法d2の1/2と寸法s2との合計までの範囲において連続変化する値をとるように形成されている。ちなみに、本実施例では、具体的な寸法として、寸法g3は、d2=2.0μm、s2=1.0μmであるので、1μmから1.5μmまで連続して変化する場合を示している。
図11(a)に示したように、第3実施例の画素電極11の形状によれば、従来例に対する黒表示の画素Gにおける透過率が、画素Gの端部領域R1において上記第2実施例よりも低下している。つまり、隣接する白表示の画素Gにおける液晶分子の配向制御に対する電界(横電界)の黒表示画素への影響が一層抑制され、光抜けが抑制されていることがわかる。一方、白表示の画素Gにおける透過率は、画素Gの領域内において従来例と同等もしくは若干下がっている。この結果、図11(b)に示したように、画素Gの領域全体での表示状態では、白を表示する画素Gに生じた領域R2における透過率のさらなる低下抑制は期待できないものの、従来例において黒を表示する画素Gに生じた領域R1における光抜け(黒浮き)がさらに抑制される。
以上説明したように、本実施例によれば、隣接する画素電極に最も近い位置における電界の発生方向を、リバースツイストの発生を抑制する方向にさらに制御することができる。したがって、共通電極と画素電極との間に印加された電圧によって発生する電界が、隣接する画素電極に対して及ぼす影響を抑制することができる。したがって、画素毎に液晶分子の配向を正しく制御することができる。
以上、本発明の実施の形態について実施例により説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。以下、変形例をあげて説明する。
(第1変形例)
上記第2実施例あるいは上記第3実施例では、スリット状開口部SL2の幅を寸法s1よりも小さい寸法s2とするとき、帯状電極13gと帯状電極13の中心線間の距離を変更しないこととしたが、必ずしもこれに限るものでなく変更することとしてもよい。液晶装置100において許容される画素密度に応じて、帯状電極13gの中心線と隣に位置する帯状電極13の中心線との間の距離を、近くしたり遠くしたりしてもよい。
本変形例の一例として、帯状電極13gと隣に位置する帯状電極13の中心線間の距離を、遠くした場合について、図12を用いて説明する。図12は、上記第2実施例において、本変形例を適用した共通電極131および画素電極11の形状を示す模式図である。図12(a)は、行方向に配列された2つの隣接画素Gについて、共通電極131に形成されたスリット状開口部SL1,SL2を平面的に示した模式図である。図12(b)は、図12(a)におけるE−E線に沿った断面を示した模式図であり、各スリット状開口部SL1,SL2によって形成された帯状電極13,13gと、画素電極11の寸法関係を示した説明図である。
図12に示すように、本変形例は、スリット状開口部SL2の開口幅を寸法s1よりも小さい寸法s2とするとともに、帯状電極13gと帯状電極13の中心線間の距離を寸法p1よりも大きい寸法p2に変更する。合わせて、帯状電極13gの中心線つまり隣接する画素Gの中間線から画素電極11の端辺までの距離を、寸法g3に対して大きな寸法g4にするのである。
本変形例によれば、上記実施例に対して画素Gの配列ピッチは広がって行方向における画素密度は減少するものの、隣り合う画素電極間に形成される帯状電極13gの幅が、寸法d2より大きい寸法d3となって広くなる。従って、例えば帯状電極13gと画素電極11との間に発生する電界が、隣接する画素Gの領域から離れるために、隣接する画素Gにおける液晶分子の配向制御に対して及ぼす影響を抑制することができるという効果が期待できる。
逆に、本変形例の他例として、帯状電極13gと隣に位置する帯状電極13の中心線間の距離を短くした場合について、同じく図12を用いて説明する。この場合は、図12において、スリット状開口部SL2の開口幅を寸法s1よりも小さい寸法s2とするとともに、帯状電極13gと帯状電極13の中心線間の距離を寸法p1よりも小さい寸法p2に変更する。こうすることによって、上記実施例に対して画素Gの配列ピッチは行方向において狭くなるため、画素密度を増加させることができる。同時に、上記実施例と同様、スリット状開口部SL2の開口幅を狭くすることによって、隣接する画素Gにおける液晶分子の配向制御に対して及ぼす影響を抑制することができるという効果が期待できる。なお、このとき、隣接する画素G間において液晶分子の配向制御に対する影響が実用上問題ない範囲において可能な限り寸法p2を小さくすることが好ましい。従って、帯状電極13gの中心線つまり隣接する画素Gの中間線から画素電極11の端辺までの距離が、寸法g3に対して小さい寸法g3になる場合も存在する。
(第2変形例)
上記実施例では、共通電極131に形成された複数のスリット状開口部SLは、画素Gに対応して配置形成された画素電極11毎に形成されることとしたが、必ずしもこれに限るものでないことは勿論である。例えば、隣り合う画素G間で互いに開口部が連結するように、スリット状開口部SLが形成されることとしてもよい。この一例を図13に示す。図13は、上記実施例における図3に相当する図で、4つの画素Gに跨って形成された共通電極131に設けられたスリット状開口部SLを示した平面図である。
図示するように、本変形例は、各画素電極11に対応して形成されたスリット状開口部SLが、列方向において連結するように、スリット状開口部SLを共通電極131に形成する。本変形例においても、それぞれの画素Gにおいては、上記実施例と同様に帯状電極13,13gが形成されるので、上記実施例において説明したスリット状開口部SLの形状変更あるいは画素電極11の形状変更による効果を、同等に奏するものである。
本変形例では、各画素Gに形成されたスリット状開口部SLの長手方向の傾きが、列方向に配列する画素G間で、互いに反対側(図面では、時計方向と反時計方向)に傾くように形成されている。こうすれば、スリット状開口部SLが必然的に互いに連結するように形成できるので、スリット状開口部SLの形成が容易となる。また、白表示を行うときの液晶分子の回転方向が画素G間で反対方向となるので、広い視野角を得ることもできる。
(第3変形例)
また、上記実施例では、共通電極131には、長手方向がデータ線の延在方向つまり列方向に対してα度傾いたスリット状開口部SLが形成されることとして説明したが、必ずしもこれに限らず、長手方向が走査線の延在方向つまり行方向に対してα度傾いたスリット状開口部SLが形成されることとしてもよい。長手方向が行方向に対して傾く場合であっても、例えば上述したスリット状開口部SL2を狭くすることによって得られる効果は同じであるなど、上記実施例において説明したスリット状開口部SLの形状変更あるいは画素電極11の形状変更による効果は同じである。
(第4変形例)
また、上記第3実施例では、上記第2実施例において画素電極11の端辺をスリット状開口部SLの長手方向の傾きよりも大きく傾けるものとして説明したが、これに限るものでなく、上記第1実施例において、画素電極11の端辺をスリット状開口部SLの長手方向の傾きよりも大きく傾けるものとしてもよい。スリット状開口部SL2の幅を狭くしない場合、また画素電極11間の距離を広げない場合であっても、上記第1実施例において説明した画素電極11の端辺の傾きをスリット状開口部SLの長手方向の傾きよりも大きく傾かせることによる効果は同等に得られる。
(第5変形例)
また、上記実施例では、液晶装置100を、プロジェクター1において光変調素子として用いることとして説明したが、必ずしもこれに限るものでないことは勿論である。例えば、液晶装置100を直視型の表示装置として用いることとしてもよい。この場合は、液晶装置100の裏面に蛍光管など光源を用いたバックライトを一体化して形成することが好ましい。このような液晶装置100は、上述するように表示品質の低下が抑制された画像を表示できることから、この液晶装置100をテレビやデジタルスチルーカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話、コンピューターなどの電子機器に直視型の表示装置として備えることとしてもよい。こうすれば、表示品質の良い画像を提供する電子機器が実現できる。
1…プロジェクター、10…基板、11…画素電極、11t…端辺、13,13g…帯状電極、13t…開口辺、14…基材、15…ゲート絶縁層、16…層間絶縁層、17…平坦化層、18…絶縁層、19…配向膜、20…トランジスター、20a…半導体層、20d…ドレイン電極、20g…ゲート電極、20s…ソース電極、30…基板、31…基材、32…遮光層、39…配向膜、40…液晶層、44…偏光板、45…偏光板、100…液晶装置、101…光源、102…偏光ビームスプリッター、103…投射レンズ、110…データ線駆動回路、111…データ線、120…走査線駆動回路、121…走査線、130…共通端子、131…共通電極、SL1,SL2…スリット状開口部。

Claims (6)

  1. 一の方向に配列された複数の画素と、
    前記複数の画素の各々に対応して配置された画素電極と、
    前記画素電極との間に絶縁層を挟んで形成され、長手方向が互いにほぼ平行な複数のスリット状開口部が前記画素電極と平面的に重なるように設けられた共通電極とを備え、
    前記複数のスリット状開口部の各々の長手方向は、前記一の方向に対して傾いており、
    前記画素電極は、前記一の方向に対して、前記複数のスリット状開口部の各々の長手方向が傾いている方向と同じ方向に傾くと共に、前記複数のスリット状開口部の各々の長手方向の傾き角度よりも大きな角度で傾く端辺を有し、当該画素電極の端辺が、前記複数のスリット状開口部のうち、最も外側に位置するスリット状開口部内に位置するように配置されていることを特徴とする液晶装置。
  2. 請求項1に記載の液晶装置であって、
    前記画素電極の端辺は、前記最も外側に位置するスリット状開口部の長手方向に沿う開口辺と交差しないように形成されていることを特徴とする液晶装置。
  3. 一の方向に配列された複数の画素と、
    前記複数の画素の各々に対応して配置された画素電極と、
    前記画素電極との間に絶縁層を挟んで形成され、長手方向が互いにほぼ平行な複数のスリット状開口部が前記画素電極と平面的に重なるように設けられた共通電極とを備え、
    前記複数のスリット状開口部の各々の長手方向は、前記一の方向に対して傾いており、
    前記画素電極は、前記一の方向に対して、前記複数のスリット状開口部の各々の長手方向が傾いている方向と同じ方向に傾いている端辺を有し、当該画素電極の端辺が、前記複数のスリット状開口部のうち、最も外側に位置するスリット状開口部内に位置するように配置されており、
    前記最も外側に位置するスリット状開口部の幅は、他の前記スリット状開口部の幅よりも狭いことを特徴とする液晶装置。
  4. 請求項1ないしのいずれか一項に記載の液晶装置であって、
    前記複数のスリット状開口部のうち、隣り合う前記画素電極にそれぞれ対応して設けられたスリット状開口部は、互いに長手方向が揃うように設けられ、
    前記スリット状開口部間に形成される各帯状の共通電極のうち、前記隣り合う画素電極の領域間において形成される前記帯状の共通電極の幅が、それぞれの前記画素電極の領域内において形成される前記帯状の共通電極の幅よりも広いことを特徴とする液晶装置。
  5. 一の方向に配列された複数の画素と、
    前記複数の画素の各々に対応して配置された画素電極と、
    前記画素電極との間に絶縁層を挟んで形成され、長手方向が互いにほぼ平行な複数のスリット状開口部が前記画素電極と平面的に重なるように設けられた共通電極とを備え、
    前記複数のスリット状開口部の各々の長手方向は、前記一の方向に対して傾いており、
    前記画素電極は、前記一の方向に対して、前記複数のスリット状開口部の各々の長手方向が傾いている方向と同じ方向に傾いている端辺を有し、当該画素電極の端辺が、前記複数のスリット状開口部のうち、最も外側に位置するスリット状開口部内に位置するように配置されており、
    前記複数のスリット状開口部の各々の間に形成される帯状の共通電極の中心線間の距離が同じであることを特徴とする液晶装置。
  6. 請求項1ないしのいずれか一項に記載の液晶装置を備えた電子機器。
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