本発明の実施形態の液晶表示素子は、
一対の基板と、
前記一対の基板間に挟持された液晶層と、
前記一対の基板の少なくとも一方に形成された電極を含み、
前記液晶層は、一画素以内に、液晶相を示す温度範囲が互いに異なる少なくとも二種類以上の液晶組成物を含み、前記二種類以上の液晶組成物は、該液晶層内で、各々密封され孤立している。
本実施形態の液晶表示素子について、一例として図1〜図4を用いて説明する。
図1に示すように、液晶表示素子3の液晶層5は、液晶組成物Aの領域6、液晶組成物Bの領域7、液晶組成物Cの領域8からなる液晶組成物群9で構成される。液晶組成物群9の液晶組成物A、B、Cは、X軸方向(基板平面方向)に一画素以内に配置され、各液晶組成物は、密閉孤立容器(セル)4内に密封され、孤立している。
各液晶組成物群9においては、図2(a)及び(b)に示すように、液晶組成物A、B、Cが液晶相を示す温度範囲が互いに異なっている。図中の温度はT1<T2<T3<T4<T5の条件を満たしている。
まず、液晶組成物群9の各液晶組成物が液晶相を示す温度範囲が図2(a)で示される場合を説明する。以降、液晶組成物が液晶相を示す温度範囲を「液晶相温度範囲」という。液晶組成物Aは温度T4〜T5間、液晶組成物Bは温度T2〜T4間、液晶組成物Cは温度T1〜T2間で液晶相を示す。本例の液晶表示素子を使用する環境温度(以下「使用環境温度T0」と記す)が温度T2〜T3間にある場合、透明電極2a、2bに電圧を印加すると、液晶組成物Bが液晶相であるため、液晶組成物Bが駆動する。温度T2〜T3間では、液晶組成物Aは結晶相、液晶組成物Cは等方性液相を示すので、電圧を印加しても駆動されない。
もし液晶組成物群9の液晶組成物A、B、Cを混合すると、それぞれの液晶組成物の温度特性が維持されず、図3に示すように、この混合液晶の液晶相温度範囲は、温度T1〜T4間より狭い温度T1’〜T4’間となり、この温度T1’〜T4’間でしか駆動させることができない。しかし、本実施形態では、図4に示すように、温度T1〜T2間では液晶組成物Cが、温度T2〜T4間では液晶組成物Bが、温度T4〜T5間では液晶組成物Aが液晶相を示す。したがって、温度T1〜T5間で駆動可能な液晶表示素子3を得ることができ、広い温度範囲で表示可能となる。
上記の例では、液晶相と等方性液相が画素内に混在する場合も生じるため、コントラスト比低下を抑える目的で、偏光板の配置はクロスニコル状態で使用するのが望ましい。
上記のように、一画素以内という微細な範囲内で一組の液晶組成物群9を設けるため、各温度範囲で動作する画素部分を確保することができる。結果、広い温度範囲で同じ解像度を維持することができる。
本発明の他の実施形態の液晶表示素子は、前記二種類以上の液晶組成物がそれぞれ、当該一画素内の他の液晶組成物がもつ液晶相温度範囲と一部が重なる液晶相温度範囲を有する。すなわち、前記二種類以上の液晶組成物はそれぞれ、その液晶相温度範囲が、当該一画素内の他の液晶組成物の液晶相温度範囲と共通の温度範囲部分を持つ。
本実施形態の液晶表示素子について、一例として図2(b)を用いて説明する。
図2(b)に示すように、液晶組成物群9の各液晶組成物は、他の液晶組成物と互いに共通する液晶相温度範囲の部分を持っている。液晶組成物Aは液晶組成物Bと温度T3〜T4間で、液晶組成物Cは液晶組成物Bと温度T2〜T3間で、共通する液晶相温度を持っている。使用環境温度T0が温度T2〜T3間にある場合、透明電極2a、2bに電圧を印加すると、液晶組成物Bと液晶組成物Cが液晶相を示すため、液晶組成物Bと液晶組成物Cが駆動する。したがって、図2(b)に示す液晶組成物を用いた液晶組成物群は、このように複数種の液晶組成物が液晶相を示す共通の温度範囲が存在するため、図2(a)に示す液晶組成物を用いた液晶組成物群に比べて、より多くの液晶組成物が駆動し、表示可能な画素面積が増加して、表示輝度を向上させることができる。
本発明の他の実施形態の液晶表示装置は、液晶表示素子と、バックライトと、温度センサと、前記温度センサから出力される信号に基づいて前記液晶表示素子の各液晶組成物の駆動を制御する液晶駆動回路を有する。
本実施形態の液晶表示装置について、一例として図2、図5及び図6を用いて説明する。
図5に示すように、本例の液晶表示装置は、液晶表示素子3、バックライト10、液晶駆動回路11、光源駆動回路12を備える。液晶駆動回路11は、電極選択回路13を備え、温度センサ14と接続される。本例の液晶表示装置に用いられる液晶表示素子3は、図6に示すように、一方の基板側の透明電極2a、2a’、2a''はそれぞれ液晶組成物の種類A、B、Cに対応して互いに分離して配置されている。温度センサ14は、使用環境温度T0を検出し、使用環境温度がT0であることを信号出力し、この信号が電極選択回路13に入力される。電極選択回路13は、予め設定された液晶組成物群9の液晶相温度範囲と使用環境温度T0を比較し、駆動すべき液晶組成物を少なくとも一種類以上選択する。そして、その選択した液晶組成物のみを駆動するよう、液晶駆動回路11に信号を出力する。液晶駆動回路11は、この信号に従い、選択された液晶組成物のみを駆動させる。
前述のように、液晶組成物の物性値は温度に依存している。特に、相転移点およびその近傍では、転移前駆現象により種々の物性値に異常が生じ、相転移が遅延する可能性がある。そのため、例えば図2(b)に示す液晶組成物を用いた液晶組成物群9において、使用環境温度T0が温度T3〜4間にある場合、等方性液相の液晶組成物Cにも電圧が印加されると、液晶組成物Cが、その相転移過程で液晶相を示す部分があった場合、わずかに駆動し、表示品位に悪影響を及ぼす可能性がある。しかし、本実施形態によれば、確実に液晶相を示す液晶組成物のみに電圧が印加されるので、相転移過程の液晶組成物への電圧印加による、表示品位低下を防ぐことができる。
他の実施形態の液晶表示装置は、液晶表示素子と、バックライトと、温度センサと、前記温度センサから出力される信号に基づいて前記液晶表示素子の各液晶組成物の駆動を制御する液晶駆動回路と、前記温度センサから出力される信号に基づいて前記バックライトの光源を制御する光源駆動回路を有する。
本実施形態の液晶表示装置について、一例として図2及び図7を用いて説明する。
図7に示すように、本例の液晶表示装置は、液晶表示素子3、バックライト10、液晶駆動回路11、光源駆動回路12を備える。液晶表示素子3は、図6に示すように、一方の基板側の透明電極が液晶組成物の種類によって分離されている。液晶駆動回路11は、電極選択回路13を備え、温度センサ14と接続される。光源駆動回路12は、電圧を電流に変換する機能を持つ光量調整回路15を備え、温度センサ14と接続される。温度センサ14は、使用環境温度T0を検出し、使用環境温度がT0であることを電極選択回路13と光量調整回路15に信号出力する。電極選択回路13は、予め設定された液晶組成物群9の液晶相温度範囲と使用環境温度T0を比較し、駆動すべき液晶組成物を少なくとも一種類以上選択する。そして、その選択した液晶組成物を駆動するよう、液晶駆動回路11に信号を出力する。液晶駆動回路11は、この信号に従い、選択された液晶組成物のみを駆動させる。それと同時に、光量調整回路15は、使用環境温度T0に従って、バックライトの輝度が調整されるように光源駆動回路12へ信号出力する。光源駆動回路12は、この信号に従い、バックライト10の光源輝度を調整する。例えば、図2(b)に示す液晶組成物群9において、使用環境温度T0が温度T1〜T2間にある場合、液晶組成物Cしか駆動可能として選択されず、複数種の液晶組成物が同時に駆動する場合に比較して表示輝度が低下する恐れがある。しかし、本実施形態によれば、温度センサ14が検出した使用環境温度に従って、光量調整回路15がバックライト10の光源輝度を調整し、光源輝度を上げることによって、表示輝度が上がり、表示品位を保つことができる。
次に、本発明を実施するための形態について幾つかの具体例を挙げ、図面を参照して詳細に説明する。
〔第1の実施形態〕
図2(a)、図8〜図13を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
図2(a)は本実施形態に係る液晶表示素子に用いる液晶組成物の相図である。図8、図9は本実施形態に係る液晶表示素子の液晶層構造を示す断面図である。
図8に示すように、透明電極2a、2b、配向膜16a、16bが形成された第一基板1a、第二基板1bは、互いに対向するように配置され、この一対の基板間に液晶層5が挟持されている。
液晶層5は、X軸方向に沿って、一画素以内に二種類の液晶組成物A、Bが配置されている。液晶組成物Aの領域6と液晶組成物Bの領域7からなる液晶組成物群9は、X軸方向に沿って交互に配置され、各液晶組成物は、隔壁17により区画され、セル内に密閉され孤立している。隔壁17は、接着剤18によって第二基板1b側と密着している。図9に示すように、液晶組成物Aを駆動させる透明電極2a、2b、液晶組成物Bを駆動させる透明電極2a’、2b’というように、液晶組成物毎に透明電極を分離して配置してもよい。
ここで、液晶組成物の液晶相温度範囲は、液晶組成物Aについては温度T4〜T5の範囲、液晶組成物Bについては温度T2〜T4の範囲であるとして説明する(図2(a))。このように二種類の液晶組成物は、液晶相を示す温度範囲が互いに異なる。このような特性を示す液晶組成物を例示すると、液晶組成物Aはn−butyl−4−(4’−n−butylphenvlazo)−phenylcarbonate(液晶相温度範囲30℃〜42℃)、液晶組成物Bは4−(2−methylbutyl)benzoic acid−4’−n−hexyloxyphenyl ester(液晶相温度範囲24℃〜30℃)等が挙げられる。
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る液晶表示素子の液晶層構造の製造方法について説明する。
図10(a)〜図10(d)は、本実施形態に係る液晶表示素子の液晶層構造の製造方法を工程順に示す断面図である。図11(a)〜図11(d)は、本実施形態に係る液晶表示素子の液晶層構造の隔壁形状を示す平面図である。
まず図10(a)に示すように、透明電極2a、2bが形成された一対の基板1a、1bに、配向膜16a、16bを形成する。配向膜の形成は、塗布液をスピンコーターで塗布し、有機溶媒を除去すべくプリベークした後、本焼成する。配向膜の本焼成後、液晶配向形式によっては配向処理を施す。例えば図中の矢印方向にラビングしてもよい。
次に、図10(b)に示すように、第一基板1a上に隔壁17を形成する。ここで、隔壁17の平面形状は、図11(a)に示すように、一画素以内に二種類の液晶組成物が各々分離できる形状に形成する。また、図11(b)〜図11(d)に示すように、異なる画素間で同種の液晶組成物が画素外側で連通するように隔壁17が結合され液晶収容部分(隔壁結合部21a、21b)が形成される形状であってもよい。液晶の応答速度はセルギャップに依存するので、隔壁17の高さは数μm〜数十μmであることが好ましい。隔壁17の形成は、例えばフォトリソグラフィ技術を用いて行うことができる。まず、基板上に感光材料のレジストを塗布し、プリベークを行った後、隔壁17形状のパターンを持つマスクを用いて露光し、マスクパターンを転写する。レジストは、ネガ型でもポジ型でもよい。次に、露光したものを現像し、リンス液で洗浄した後、ポストベークを行う。このようにして、隔壁17が形成される。
次に、図10(c)に示すように、支持板19に接着剤18を塗布し、この接着剤18を隔壁17の先端部20に押しあて、この先端部20に接着剤を塗布する。接着剤18は、紫外線もしくは熱硬化性のエポキシ樹脂が好ましい。図10(b)の工程後に、接着剤18に対する密着性を高める処理を施してもよい。また、セルギャップ制御向上のために、隔壁17を形成後、球状粒子のスペーサー材料を散布させてもよい。
第一基板1aと第二基板1bの基板周辺を密着させるには、どちらか一方の基板にシール剤をディスペンサーで基板周辺に塗布させ、仮焼成する。そのシール剤には、セルギャップ制御向上のために、スペーサー材料を混合させてもよい。
次に、図10(d)に示すように、隔壁17と接着剤18が形成された第一基板1aと、第二基板1bを重ね合わせて密着させ、接着剤18と基板周辺のシール剤を紫外線もしくは熱によって硬化させる。
図12(a)及び(b)は、本実施形態に係る液晶表示素子の液晶組成物注入方法を示す断面図である。図13(a)及び(b)は、本実施形態に係る液晶表示素子の他の液晶組成物注入方法を示す斜視図である。
図12(a)に示すように、隔壁17に開口22を設け、真空注入法によって真空室24内で容器23中の液晶組成物Aを注入後、開口22に紫外線硬化樹脂25を塗布し、紫外線によって硬化させ、封止する。次いで、図12(b)に示すように、液晶組成物Bも同様に注入し封止することで、二種類の液晶組成物を混合せずに注入することができる。
または、図10(c)に示す工程後もしくは図10(b)に示す工程後に、図13(a)及び(b)に示すように、大気中で滴下装置26によって液晶を滴下し、その後、真空中で図10(d)に示す工程を行ってもよい。あるいは、図10(c)に示す工程後に、接着剤18を仮硬化し、液晶滴下後、図10(d)に示す工程で本硬化させてもよい。ここで、図13(b)に示すように、隔壁結合部21a、21bに液晶滴下することによって、図13(a)に示す滴下法より液晶滴下量を増量させることができる。
以上に説明した本実施形態において、使用環境温度T0が温度T2〜T4間にある場合、図8に示す素子構造の場合は透明電極2a、2bに電圧を印加し、図9に示す素子構造の場合は透明電極2a、2b、2a’、2b’に電圧を印加すると、液晶組成物Bが液晶相であるため、液晶組成物Bが駆動する。温度T2〜T4間では、液晶組成物Aは結晶相を示すので、電圧を印加しても駆動されない。また、使用環境温度T0が温度T4〜T5間にある場合、同様に電圧を印加すると、液晶組成物Aが液晶相であるため、液晶組成物Aが駆動する。温度T4〜T5間では、液晶組成物Bは等方性液相を示すので、電圧を印加しても駆動されない。このように、液晶層5は、液晶相を示す温度範囲が異なる二種類の液晶組成物A、Bから構成され、これら二種類の液晶組成物A、Bがそれぞれ密閉され孤立させることで、温度T2〜T5間で駆動可能な液晶表示素子3を得ることができ、通常の液晶表示素子に比べ、広い温度範囲で表示することができる。
上記の説明では、液晶相と等方性液相が画素内に混在する場合も生じる。このため、コントラスト比低下を抑える目的で、偏光板の配置はクロスニコル状態で使用するのが望ましい。
また、一画素以内という微細な範囲内に液晶組成物群9を設けることにより、異なる温度範囲に応じて動作する画素部分を確保することができる。
以上に説明した本実施形態によれば、広い温度範囲で同じ解像度を維持することができる。
なお、本実施形態においては、電極が一対の基板の両側に設けられた例を示したが、電極は、横電界モードや他の駆動方式に従ったものであってもよい。また、当然ながら、2端子素子の薄膜ダイオード(TFD)や3端子素子の薄膜トランジスタ(TFT)を用いてもよい。TFTは、アモルファスシリコンTFT(a−Si TFT)、ポリシリコンTFT(高温poly−Si TFT、低温poly−Si TFT)、酸化物TFT、有機TFT等のいずれを用いてもよい。更にまた、プラスチック材質の基板を用いてもよい。
更にまた、それぞれの液晶組成物が液晶相を示す温度範囲は一例であり、これに限定されるものではない。
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図14、図15を参照して説明する。本実施形態と第1の実施形態との違いは液晶表示素子の液晶層構造にある。
図14及び図15は、本実施形態に係る液晶表示素子の液晶層構造を示す断面図である。図14、図15に示すように、本実施形態ではZ軸方向(基板平面に垂直方向)に二種類の液晶層5、5’を積層する。液晶層5は、液晶組成物Aの領域6で構成され、この領域6がX軸方向(基板平面方向)に液晶組成物が注入されないスペースを介して等間隔に配列されている。液晶層5’は、液晶組成物Bの領域7で構成され、この領域7がX軸方向に液晶組成物が注入されないスペースを介して等間隔に配列されている。そして、液晶層5、5’を積層した際に領域6と領域7はZ軸方向に重ならず、液晶層5、5’が互いに影響し合わないように配置されている。結果、液晶組成物Aを透過する光は液晶組成物Bを透過せず、液晶組成物Bを透過する光は液晶組成物Aを透過しないようになっている。
図14に示すように、液晶層5と液晶層5’とは共通基板27を介して積層されていてもよいし、図15に示すように、液晶層5側の第二基板1bと液晶層5’側の第一基板1aとを貼り合わせることにより、積層されていてもよい。
以上に説明した本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
本実施形態における上記以外の構成、動作は、前述の第1の実施形態と同様である。
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について図16(a)及び(b)を参照して説明する。本実施形態と第1の実施形態との違いは液晶表示素子の液晶層構造にある。
図16(a)及び(b)は、本実施形態に係る液晶表示素子の液晶層構造を示す断面図である。図16(a)及び(b)に示すように、本実施形態では、第1の実施形態(図8、図9)における隔壁17に相当する部分がプラスチック基板に一体化した隔壁部29で形成されている。
図16(a)に示す構造では、第1の実施形態における第一基板1aに代えて、隔壁部29が一体に形成されたプラスチック基板28が用いられている。隔壁部29間の基板28上には透明電極2a、2a’が互いに分離、配置され、その上に配向膜16aが形成されている。隔壁部29の先端部(頂部)には接着剤18が塗布され、このプラスチック基板28と、透明電極2b及び配向膜16bが設けられた第二基板1bとが貼り合わされている。
図16(b)に示す構造では、第1の実施形態における第二基板1bに代えて、隔壁部29が一体に形成されたプラスチック基板28が用いられている。隔壁部29間の基板28上には透明電極2b、2b’が互いに分離、配置され、その上に配向膜16bが形成されている。隔壁部29の先端部(頂部)には接着剤18が塗布され、このプラスチック基板28と、透明電極2a、2a’及び配向膜16aが設けられた第一基板1aとが貼り合わされている。プラスチック基板28側の透明電極2b、2b’と第一基板1a側の透明電極2a、2’は各液晶組成物を介して対向配置されている。
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る液晶表示素子の液晶層構造の製造方法について説明する。
図17は、本実施形態に係る液晶表示素子の液晶層構造の基板形成方法を説明するための斜視図である。図18(a)〜図18(d)は、本実施形態に係る液晶表示素子の液晶層構造の他の基板形成方法を工程順に示す断面図である。図17に示すように、一対のロール30a、30bは、一方のロール30bに隔壁部形状のパターン31が陰刻されている。この一対のロール30a、30b間を形状変化可能なプラスチック基板を通過させ、圧出させることによって、隔壁部29が一体に成形されたプラスチック基板28が形成される。
プラスチック基板28は、図18(a)〜図18(d)に示すような射出成形で形成することもできる。まず、図18(a)に示すように、隔壁部形状のパターン31を有する金型32bと、高温で溶かされたプラスチック融液33、そのプラスチック融液33を入れた金型32aを用意する。次に図18(b)に示すように、プラスチック融液33が入った金型32aに金型32bを圧搾させる。一定時間冷却することでプラスチックが固められ、金型32bを除去し(18(c))、次いで金型32aを除去することにより、プラスチック基板28が形成される(図18(d))。
以上に説明した本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
また、隔壁がプラスチック基板に一体化していることで、フォトリソグラフィ工程等の隔壁形成プロセスが短縮され、生産性を向上させることができる。
更にまた、プラスチック基板を用いることで、液晶表示素子にフレキシブル性を付与することが可能である。
本実施形態における上記以外の構成、動作は、前述の第1の実施形態と同様である。
なお、本実施形態においては、電極が形成された一対基板において、どちらか一方の基板がプラスチック基板である例を示したが、両方の基板ともプラスチック基板であってもよいし、両方の基板が隔壁部29を有していてもよい。
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態について図19を参照して説明する。本実施形態と第1の実施形態との違いは液晶表示素子の液晶層構造にある。
図19は本実施形態に係る液晶表示素子の液晶層構造を示す断面図である。図19に示すように、液晶層5内の二種類の液晶組成物Aと液晶組成物Bは、マイクロカプセル化技術によって、各々密封され孤立しており、液晶組成物Aのマイクロカプセル34(領域6)と液晶組成物Bのマイクロカプセル(領域7)が液晶層5内で均一に分散されている。
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る液晶表示素子の液晶層構造の製造方法について説明する。
図20(a)〜図20(e)は、本実施形態に係る液晶表示素子の液晶層構造の製造方法を工程順に示す模式図である。まず、図20(a)に示すように、乳化安定性をもった乳化分散液35に液晶組成物Aから成る分散相を分散させる。乳化させる工程は、ホモジナイザーなどの機械的なせん断力で分散相を微小な液滴として分散させる方法や、分散相を多孔質膜を通して押出し、微小な液滴として分散させる方法等がある。次に、図20(b)に示すように、乳化分散液35を攪拌しながら、カプセル膜36を形成させる。カプセル膜36を形成する工程は、乳化分散液35中で作られた膜物質を滴界面に吸着させる方法や、分散相、乳化分散液35のそれぞれに添加された物質が界面で反応し、膜が生成される方法や、分散相中で生成された膜物質が乳化分散液35界面に集合し、膜となる方法等がある。次に図20(c)に示すように、カプセル膜36を安定化させるために、硬化剤または反応剤等の安定化剤37を加え、液晶組成物Aをマイクロカプセル化し、液晶組成物Aの領域6を形成する。液晶組成物Bについても、同様に、図20(a)〜図20(c)の工程を行い、マイクロカプセル化された液晶組成物Bの領域7を形成する。次に、図20(d)に示すように、マイクロカプセル化された液晶組成物A(領域6)とマイクロカプセル化された液晶組成物B(領域7)を混合する。次に、図20(e)に示すように、この混合物を、例えばコータ38を用い、基板39に塗布する。これにより、マイクロカプセル化により各々密封・孤立された二種類の液晶組成物A、Bが液晶層5内で均一に分散される。
以上に説明した本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
また、液晶組成物毎にマイクロカプセル化することにより、フォトリソグラフィ工程等の隔壁形成プロセスの必要がなく、マイクロカプセル化技術による二種類以上の液晶組成物の密封・孤立化が容易であり、液晶表示素子の製造プロセスを簡便化できる。
本実施形態における上記以外の構成、動作は、前述の第1の実施形態と同様である。
〔第5の実施形態〕
次に、本発明の第5の実施形態について図2(a)及び(b)を参照して説明する。本実施形態と第1〜第4の実施形態との違いは液晶組成物が液晶相を示す温度範囲である。
図2(a)及び(b)は、本実施形態の液晶表示素子に用いる液晶組成物の相図である。図2(b)に示すように、液晶組成物Aと液晶組成物Bは温度T3〜温度T4間でともに液晶相を示す。使用環境温度T0が温度3〜温度T4間にある場合、透明電極に電圧を印加すると、液晶組成物Aと液晶組成物Bが液晶相を示すため、液晶組成物Aと液晶組成物Bの両方が駆動する。図2(a)に示すような、両方の液晶組成物が液晶相を示すことがなく、温度T3〜温度T4間では液晶組成物Bのみが液晶層を示し、駆動する場合に比べ、図2(b)に示す本実施形態では、液晶層5内で多くの液晶組成物が駆動可能になる。図2(b)に示す特性をもつ液晶組成物を例示すると、液晶組成物Aは4−methoxy−4’−butanoyloxy−diphenylacetylene(液晶相温度範囲84℃〜110℃)、液晶組成物Bは4−n−hexyl−4’−n−butoxyazoxybenzene(液晶相温度範囲27℃〜90.5℃)等が挙げられる。
上述の液晶組成物A、Bは、例えば、図8、図9、図14〜図16、図19に示す液晶表示素子に使用できる。
以上に説明した本実施形態によれば、第1の実施形態と同様な効果に加え、複数の液晶組成物が同時に液晶相を示す使用環境温度にある場合、より多くの液晶組成物が駆動するため、表示可能な画素面積が増加し、表示輝度を向上させることができる。
本実施形態における上記以外の構成、動作は、前述の第1〜4の実施形態と同様である。
〔第6の実施形態〕
次に、本発明の第6の実施形態について図2(b)及び図21を参照して説明する。本実施形態は、前述の第1〜5の実施形態のいずれかの液晶表示素子と特定の補正層を備えた液晶表示装置の例である。
図21は、本実施形態の液晶表示装置の一部を示す断面図である。図21に示すように、本実施形態の液晶表示装置は、液晶表示素子、通常の液晶表示装置に用いられるバックライト10、偏光板40a、40b、第二基板1b側に設けられたカラーフィルタ41に加え、補正領域42を有する補正層43を備える。
カラーフィルタ41は、フルカラー表示のために設けられ、R(RED:赤色)、G(GREEN:緑色)、B(BLUE:青色)の三色からなり、X軸方向にR、G、B、R、G、B・・・の順で並んでいる。R、G、Bのそれぞれをサブ画素と呼び、R、G、Bの一組を一画素と呼ぶ。図21は、Rの一サブ画素内に2組の液晶組成物群9が含まれている構造部分を示す。
図2(b)に、本実施形態の液晶表示装置に用いる液晶組成物A、Bの相図を示す。使用環境温度T0が温度T3〜温度T4間にある時、透明電極に電圧を印加し、バックライト10からバックライト光44を液晶層5内に入射する。液晶層5に含まれる液晶組成物Aと液晶組成物Bは、互いに液晶相を示す温度範囲が異なり、温度依存性のある屈折率異方性Δn値も異なる。したがって、各種物性値の温度依存性を考慮した総合的な液晶材設計を行わない限り、液晶層5内でリタデーション(液晶組成物の屈折率異方性Δnとセルギャップdとの積Δnd)の位相差が生まれる。このような状態で液晶層5に入射した光をそのままカラーフィルタ41、偏光板40bを透過させると、表示光45の色調に乱れが生じる。そこで、液晶組成物Bのリタデーション値を液晶組成物Aのリタデーション値に合わせるために、位相差を補正する機能を持った補正領域42を有する補正層43をカラーフィルタ41と透明電極との間に設ける。補正領域42は、例えば、複屈折性を示す液晶性モノマーを硬化させたフィルム等で形成できる。これにより、液晶組成物Bからの透過光が補正領域42で補正され、液晶組成物Aのリタデーション値と同値になり、液晶層5内のリタデーションの位相差が解消され、カラーフィルタ41、偏光板40bを透過後の表示光45は、良好な色調を得ることができる。
以上に説明した本実施形態によれば、本実施形態に適用した前述の実施形態と同様な効果に加え、液晶層5内のリタデーションの位相差を補正する補正領域42を有する補正層43を設けたことにより、良好な色調の表示光45を得ることができる。
本実施形態における上記以外の構成、動作は、前述の第1〜第5の実施形態と同様である。
〔第7の実施形態〕
次に、本発明の第7の実施形態について図2(b)及び図22を参照して説明する。本実施形態は、前述の第1〜5の実施形態のいずれかの液晶表示素子と特定のカラーフィルタを備えた液晶表示装置の例である。
図22は、本実施形態の液晶表示装置の一部を示す断面図である。図22に示すように、本実施形態の液晶表示装置は、液晶表示素子(液晶層5は一画素内に三組の液晶組成物群9を含む)、バックライト10、偏光板40a、40b、第二基板1b側に設けられたカラーフィルタ層48を備える。
カラーフィルタ層48は、一画素(RGB)毎に、カラーフィルタI(46)とカラーフィルタII(47)を含む。
図2(b)に、本実施形態の液晶表示装置に用いる液晶組成物A、Bの相図を示す。使用環境温度T0が温度T3〜温度T4間にある時、透明電極に電圧を印加し、バックライト10からバックライト光44を液晶層5内に入射する。この時、前述の第6の実施形態と同様の理由で、液晶層5内でリタデーションの位相差が生じる。そこで、図22に示すように、液晶組成物Aの領域6上にカラーフィルタI(46)を配置し、液晶組成物Bの領域7上にはカラーフィルタII(47)を配置し、カラーフィルタI、IIに位相差を補正する機能を持たせる。これにより、液晶組成物Bのリタデーション値と液晶組成物Aのリタデーション値がカラーフィルタI、IIを介して同値になり、液晶層5内のリタデーションの位相差が解消され、偏光板40bを透過後の表示光45は、良好な色調を得ることができる。
上記の機能を持つカラーフィルタ層48の形成方法は、例えば、通常の技術で形成されたカラーフィルタI上に位相差層の役割を果たす材料をスピンコーター等で塗布する。位相差層の材料としては、重合性液晶化合物を含む有機溶液等が挙げられる。成膜完了後の位相差値が所定の値となるように膜厚や材料の設計を行う。塗布後、有機溶媒を除去すべくプレベークを行い、紫外線を照射して硬化させる。カラーフィルタII上にも、位相差層を同様に形成する。このようにして、位相差層を有するカラーフィルタ層48を形成できる。
以上に説明した本実施形態によれば、本実施形態に適用した前述の実施形態と同様な効果に加え、位相差を補正する機能を持つカラーフィルタ層48を設けたことにより、良好な色調の表示光45を得ることができる。
本実施形態における上記以外の構成、動作は、前述の第1〜第5の実施形態と同様である。
〔第8の実施形態〕
次に、本発明の第8の実施形態について図23〜図25を参照して説明する。本実施形態は、前述の実施形態の液晶表示素子を備えた液晶表示装置の駆動方法である。
図23は、本実施形態に係る液晶表示装置の駆動方法を説明するための模式図である。本実施形態における液晶表示装置は、液晶表示素子、バックライト10、液晶駆動回路11、光源駆動回路を備え、液晶駆動回路11には、電極選択回路13が接続され、電極選択回路13には温度センサ14が接続される。また、液晶表示素子においては、透明電極の一方が液晶組成物の種類に対応して互いに分離されている。ここでは一画素内に一組の液晶組成物群9(液晶組成物Aの領域6及び液晶組成物Bの領域7)が設けられている。
図24は、本実施形態に係る液晶表示装置が実行する処理を説明するためのフローチャートである。図24に示すように、まず温度センサ14は、使用環境温度T0を検出し、電極選択回路13に出力する。電極選択回路13は、予め設定された液晶組成物群9の液晶相温度範囲(ここでは温度Ti)を基準に使用環境温度T0と比較し、使用環境温度T0が温度Tiより低い場合は液晶組成物B(領域7)を、使用環境温度T0が温度Tiより高い場合は液晶組成物A(領域6)を選択する。そして、その選択した液晶組成物のみを駆動するよう、液晶駆動回路11に信号を出力する。液晶駆動回路11は、信号に従い、液晶表示素子を駆動させる。
図25は、本実施形態に係る液晶表示装置の駆動方法をさらに説明するための模式図である。温度センサ14と電極選択回路13の具体的な例を挙げて説明する。例えば、温度センサ14としては白金測温抵抗体52とマルチメータ51、電極選択回路13としてはPC(personal computer)50、液晶駆動回路11としては波形発生器49を用いることができる。測温抵抗体は、抵抗値の温度変化特性を利用するもので、センサ素材としては白金が多く使われ、特にPt100は、標準的に使用されている。白金以外ではニッケルや銅、サーミスタが比較的使用される。図25に示す例では、白金測温抵抗体52のリード線を四線式で取り出し、マルチメータ51で抵抗値を読み取る。PC(50)は、GPIBケーブル等でマルチメータ51と波形発生器49に接続されている。プラグラム制御されたPC(50)によって、マルチメータ51が読み取った白金測温抵抗体52の抵抗値から使用環境温度T0が導かれる。この検出された使用環境温度T0に基づいて、この環境温度T0で液晶相を示す液晶組成物を選択し、波形発生器49に信号出力を行う。波形発生器49は、液晶組成物Aに対応する透明電極2aと液晶組成物Bに対応する透明電極2a’にそれぞれ異なるラインで接続され、PC(50)で選択された液晶組成物に電圧が印加されるように動作する。
以上に説明した本実施形態によれば、本実施形態に適用した前述の実施形態と同様な効果に加え、確実に液晶相を示す液晶組成物のみに電圧が印加されることにより、相転移過程の液晶組成物への電圧印加による、表示品位低下を防ぐことができる。
本実施形態における上記以外の構成、動作は、前述の第1〜第7の実施形態と同様である。
〔第9の実施形態〕
次に、本発明の第9の実施形態について図26を参照して説明する。本実施形態は、前述の実施形態の液晶表示素子を備えた液晶表示装置の他の駆動方法である。
図26は、本実施形態に係る液晶表示装置のTFT回路図である。本実施形態では、一組の液晶組成物群が液晶組成物Aの領域と液晶組成物Bの領域からなり、図26に示すように、液晶組成物毎に電圧のオンオフができるように、一画素領域61内にTFT58が液晶組成物毎に存在する。
温度センサ14に接続された電極選択回路13は、ゲート電極駆動回路I(55)とゲート電極駆動回路II(56)に接続されている。ゲート電極駆動回路I(55)は液晶組成物Aを含む液晶容量62側のTFT58に、ゲート電極駆動回路II(56)は液晶組成物Bを含む液晶容量63側のTFT58に、ゲート電極線57を介してオンオフ電圧を印加する。
データ電極駆動回路53は、データ電極線54を介して、各々のTFT58と接続されている。
例えば、温度センサ14が検出した使用環境温度に基づいて、電極選択回路13が液晶組成物Aのみを選択した場合、ゲート電極駆動回路I(55)にオン信号が送られ、ゲート電極線57を介してTFT58にオン電圧がかかりTFTがオン状態となり、TFT側の電極と対向基板側のコモン電極60との間で液晶組成物Aを含む液晶容量62に電圧が印加される。同時に液晶組成物Aを含む液晶容量62と並列に接続された蓄積容量59にも電圧が加わる。TFT58がオフ状態になると、液晶組成物Aを含む液晶容量62と蓄積容量59に書き込まれた電圧が保持される。一方、ゲート電極駆動回路II(56)にはオフ信号が送られ、TFT58はオフになり、液晶組成物Bを含む液晶容量63には電圧がかからない。同様の動作で、電極選択回路13が液晶組成物Bのみを選択した場合は、液晶組成物Bを含む液晶容量63のみに電圧が加わり、液晶組成物Aと液晶組成物Bの両方を選択した場合は、両方の液晶容量に電圧が印加される。
以上に説明した本実施形態によれば、第8の実施形態と同様の効果が得られる。
本実施形態における上記以外の構成、動作は、前述の第1〜第7の実施形態と同様である。
なお、TFTの容量方式は、蓄積容量方式の他に付加容量方式であってもよい。また、TFTは、ドライバ一体型であってもよい。
〔第10の実施形態〕
次に、本発明の第10の実施形態について図27を参照して説明する。本実施形態は、前述の実施形態の液晶表示素子を備えた液晶表示装置の他の駆動方法である。本実施形態と第9の実施形態との違いは、TFT回路の動作である。
図27は、本実施形態に係る液晶表示装置のTFT回路図である。本実施形態では、第9の実施形態と同様に、一組の液晶組成物群が液晶組成物Aの領域と液晶組成物Bの領域からなり、図27に示すように、液晶組成物毎に電圧のオンオフができるように、一画素領域61内にTFT58が液晶組成物毎に存在する。
温度センサ14に接続された電極選択回路13は、ゲート電極駆動回路64に接続されている。ゲート電極駆動回路64は、ゲート電極線57を介して、TFT58にオンオフ電圧を印加する。ゲート電極線57の奇数番目は液晶組成物Aを含む液晶容量62側のTFT58に、ゲート電極線57の偶数番目は液晶組成物Bを含む液晶容量63側のTFT58にオンオフ電圧が印加されるように配線される。
データ電極駆動回路53は、データ電極線54を介して、各々のTFT58と接続されている。
例えば、温度センサ14が検出した使用環境温度に基づいて、電極選択回路13が液晶組成物Aのみを選択した場合、ゲート電極駆動回路64は、液晶組成物Aを含む液晶容量62側のTFT58に、奇数番目のゲート電極線57を介してオン電圧を印加する。液晶組成物Bを含む液晶容量63側のTFT58には偶数番目のゲート電極線57を介してオフ電圧を印加する。
同様の動作で、電極選択回路13が液晶組成物Bのみを選択した場合は、液晶組成物Bを含む液晶容量63側のTFT58に、偶数番目のゲート電極線57を介してオン電圧を印加する。液晶組成物Aを含む液晶容量62側のTFT58には奇数番目のゲート電極線57を介してオフ電圧を印加する。液晶組成物Aと液晶組成物Bの両方選択した場合は、両方の液晶容量に接続するTFT58にオン電圧を印加する。
以上に説明した本実施形態によれば、第8の実施形態と同様の効果が得られる。
本実施形態における上記以外の構成、動作は、前述の第1〜第7の実施形態と同様である。
〔第11の実施形態〕
次に、本発明の第11の実施形態について図28を参照して説明する。本実施形態は、前述の実施形態の液晶表示素子を備えた液晶表示装置の他の駆動方法である。本実施形態と第9及び第10の実施形態との違いは、TFT回路の動作である。
図28は、本実施形態に係る液晶表示装置のTFT回路図である。本実施形態では、第9の実施形態と同様に、一組の液晶組成物群が液晶組成物Aの領域と液晶組成物Bの領域からなり、図28に示すように、液晶組成物毎に電圧のオンオフができるように、一画素領域61内にTFT58が液晶組成物毎に存在する。
温度センサ14に接続された電極選択回路13は、データ電極駆動回路I(65)とデータ電極駆動回路II(66)に接続されている。データ電極駆動回路I(65)は液晶組成物Aを含む液晶容量62側のTFT58に、データ電極駆動回路II(66)は液晶組成物Bを含む液晶容量63側のTFT58に、データ電極線54を介して接続されている。
ゲート電極駆動回路64は、ゲート電極線57を介して、各々のTFT58と接続されている。
例えば、温度センサ14が検出した使用環境温度に基づいて、電極選択回路13が液晶組成物Aのみを選択した場合、データ電極駆動回路I(65)に信号が送られ、このデータ電極駆動回路I(65)は、データ電極線54を介して、表示すべき画素のデータ信号を、液晶組成物Aを含む液晶容量62へ送る。結果、液晶組成物Aの領域のみが画素データを表示する。一方、データ電極駆動回路II(66)には信号が送られないので、液晶組成物Bの領域は駆動しない。同様の動作で、電極選択回路13が液晶組成物Bのみを選択した場合は、液晶組成物Bを含む液晶容量63に画素のデータ信号が送られ、液晶組成物Aを含む液晶容量62には画素のデータ信号が送られない。液晶組成物Aと液晶組成物Bの両方を選択した場合は、両方の液晶容量に画素のデータ信号が送られる。
以上に説明した本実施形態によれば、第8の実施形態と同様の効果が得られる。
本実施形態における上記以外の構成、動作は、前述の第1〜第7の実施形態と同様である。
〔第12の実施形態〕
次に、本発明の第12の実施形態について図29を参照して説明する。本実施形態は、前述の実施形態の液晶表示素子を備えた液晶表示装置の他の駆動方法である。本実施形態と第9〜第11の実施形態との違いは、TFT回路の動作である。
図29は、本実施形態に係る液晶表示装置のTFT回路図である。本実施形態では、第9の実施形態と同様に、一組の液晶組成物群が液晶組成物Aの領域と液晶組成物Bの領域からなり、図29に示すように、液晶組成物毎に電圧のオンオフができるように、一画素領域61にTFT58が液晶組成物毎に存在する。
温度センサ14に接続された電極選択回路13は、データ電極駆動回路53に接続されている。データ電極駆動回路53は、データ電極線54を介して、各々のTFT58と接続されている。データ電極線54の奇数番目は液晶組成物Aを含む液晶容量62側のTFT58に、ゲート電極線52の偶数番目は液晶組成物Bを含む液晶容量63側のTFT58に接続されている。
ゲート電極駆動回路64は、ゲート電極線57を介して、各々のTFTにオンオフ電圧を印加する。
例えば、温度センサ14が検出した使用環境温度に基づいて、電極選択回路13が液晶組成物Aのみを選択した場合、データ電極駆動回路53は、奇数番目のデータ電極線54を介して、表示すべき画素のデータ信号を、液晶組成物Aを含む液晶容量62へ送る。結果、液晶組成物Aの領域のみが画素データを表示する。一方、偶数番目のデータ電極線54には、データ信号が送られないため、液晶組成物Bの領域は駆動しない。同様の動作で、電極選択回路13が液晶組成物Bのみを選択した場合は、液晶組成物Bを含む液晶容量63に画素のデータ信号が送られ、液晶組成物Aを含む液晶容量62には画素のデータ信号が送られない。液晶組成物Aと液晶組成物Bの両方を選択した場合は、両方の液晶容量に画素のデータ信号が送られる。
以上に説明した本実施形態によれば、第8の実施形態と同様の効果が得られる。
本実施形態における上記以外の構成、動作は、前述の第1〜第7の実施形態と同様である。
〔第13の実施形態〕
次に、本発明の第13の実施形態について図30〜図33を参照して説明する。本実施形態は、前述の実施形態の液晶表示素子を備えた液晶表示装置の他の駆動方法である。
図30は、本実施形態に係る液晶表示装置の駆動方法を説明するための模式図である。図30に示すように、本実施形態における液晶表示装置は、液晶表示素子、バックライト10、液晶駆動回路11、光源駆動回路12を備える。液晶駆動回路11には電極選択回路13が接続され、電極選択回路13に温度センサ14が接続されている。光源駆動回路12には、電圧を電流に変換する機能を持つ光量調整回路15が接続され、光量調整回路15に温度センサ14が接続されている。バックライト10は光源67と導光板68からなり、光源67に光源駆動回路12が接続されている。
温度センサ14は、使用環境温度T0を検出した後、使用環境温度がT0であることを信号出力し、電極選択回路13と光量調整回路15へ入力する。電極選択回路13は、予め設定された液晶組成物群9の液晶相温度範囲(ここでは温度Ti)を基準に使用環境温度T0と比較し、駆動すべき液晶組成物を少なくとも一種類以上選択し、液晶駆動回路11に信号出力する。それと同時に、光量調整回路15は、温度センサ14が検出した使用環境温度T0に従って、適切な電流値を出力する。その電流値に従い光源駆動回路12が光源67を駆動させる。
図31は本実施形態に係る液晶表示装置が実行する処理を説明するためのフローチャートである。図31に示すように、まず温度センサ14は、使用環境温度T0を検出し、電極選択回路13に出力する。電極選択回路13は、予め設定された液晶組成物群9の液晶相温度範囲(ここでは温度TnとTi)を基準に使用環境温度T0と比較し、使用環境温度T0が温度Tnより高く、温度Tiより低い場合は液晶組成物Aと液晶組成物Bの両方を選択する。液晶組成物Aと液晶組成物Bのどちらか一方を選択する場合は、同時に光量調整回路15を介して光源駆動回路12へ光源67の輝度を上げるように信号出力される。光源67から出射された光は、導光板68に入射し、液晶表示素子へ向けて出射される。T0<Tnのときに液晶組成物Bが選択され、T0<Tnではないとき(Ti<T0)に液晶組成物Aが選択される。
図32は、本実施形態に係る液晶表示装置に用いる液晶組成物の相図である。図33は、本実施形態に係る液晶表示装置の光源輝度を示す図である。温度TはT1<T2<T3<T4<T5<T6、光源輝度LはL1<L2<L3の条件を満たしている。
例えば、本実施形態の液晶組成物群が図32に示すような、三種類の液晶組成物からなる場合、図33に示すように、液晶組成物Fのみが選択される温度T1〜T2間では、光源輝度をL3に上げ、液晶組成物Eと液晶組成物Fが選択される温度T2〜T3間では、光源輝度をL2へ上げ、液晶組成物群全てが選択される温度T3〜T4間では、光源輝度をL1に下げることができる。また、液晶組成物Eと液晶組成物Dが選択される温度T4〜T5間では、光源輝度をL2へ上げ、液晶組成物Dのみが選択される温度T5〜T6間では、光源輝度をさらにL3へ上げることができる。
図32の特性を満たす液晶組成物を例示すると、液晶組成物Dは4−(4−n−penthylphenyl)benzoic acid−4’−n−pentylphenyl ester(液晶相温度範囲95℃〜176℃)、液晶組成物EはN−(4−butanoyloxybenzylidene)−4−methoxyaniline(液晶相温度範囲86℃〜119℃)、液晶組成物FはN−(4−methoxybenzylidene)−4−butanoyloxyaniline(液晶相温度範囲49℃〜113℃)等が挙げられる。
以上に説明した本実施形態によれば、第8〜第12の実施形態の効果に加え、非駆動の液晶組成物がある場合、バックライト10の光源67の輝度を調整することによって、表示輝度を保つことができる。また、最も使用頻度が高い温度範囲を、例えば液晶組成物群全てが選択される温度T3〜T4間に予め設定しておくことで、光源輝度を頻繁に上げる必要がなくなり、低消費電力で駆動することが可能とある。
本実施形態における上記以外の構成、動作は、前述の第8〜第12の実施形態と同様である。
なお、バックライトには、拡散シートやレンズシート等、種々の補正層を設けてもよい。
〔第14の実施形態〕
次に、本発明の第14の実施形態について説明する。本実施形態は、前述の第8〜第13の実施形態に好適な液晶表示素子である。
液晶組成物群9が液晶組成物Aの領域6と液晶組成物Bの領域7からなる場合、液晶組成物AとしてMLC6608(メルク(株)製)を用い、液晶組成物Bとして、MLC6608に、光重合開始剤が添加されたUVキュアラブル液晶(UCL−001−K1、DIC(株)製)を5質量%混合したものを用いる。
次に、第1の実施形態に記述する製造方法によってセルギャップ3μmの液晶層構造を作製する。液晶組成物Aと液晶組成物Bは、第1の実施形態に記述する液晶組成物注入方法で注入した後、封止する。その後、マスク等を用いて、UVキュアラブル液晶が混合された液晶組成物Bのみに紫外線を照射し、ポリマーネットワーク化する。紫外線照射強度は2.73mW/cm2で、照射時間は20分である。紫外線の照射強度を弱く、時間をかけて露光することによって、高分子の分散性を向上させることができる。ポリマーネットワーク化された液晶組成物Bは、高分子の規制力により、ポリマーネットワーク化されていない液晶組成物Aに比べ、応答速度が高速化される。特に−20℃程度の低温環境下において立下り速度が1/4の速さに改善される。
したがって、このように形成された液晶表示素子は、前述の実施形態に適用し、第8〜第13の実施形態で述べた駆動方法にしたがって、常温では液晶組成物A、もしくは液晶組成物Aと液晶組成物Bを選択し駆動させ、低温では液晶組成物Bのみを選択し駆動させることによって、広い温度範囲で安定した表示品位が得られる。
以上に説明した本実施形態によれば、第8〜第13の実施形態と同様の効果が得られる。
本実施形態における上記以外の構成、動作は、前述の第8〜第13の実施形態と同様である。
また、液晶組成物と高分子組成物の組み合わせは上記例に限らず、高分子組成物の代わりに、低分子ゲル化剤を用いても良い。液晶組成物と低分子ゲル化剤を混合させることによって、ファイバーが自己組織的に形成され、露光工程が不要になりプロセスが短縮できる。