JP5537875B2 - 乾燥装置 - Google Patents
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Description
同装置は、それまでの、垂直螺旋回転羽根を有する乾燥装置(実開平3−19501号参照。)が有していた課題、すなわち、粘性の強い被乾燥物の羽根・伝熱面への付着と滞留や、基羽根と伝熱面間のクリアランスへの固形物の噛込みの防止、被乾燥物の巻上げ効率の改善、伝熱面全面の有効活用による乾燥効率の向上等の課題を解決するために提案されたもので、これらの問題点を改善し、種々の被乾燥物に対応し得る乾燥機を提供する、画期的な技術的意義を有するものであった。
このような課題を解決するため、さらに、特許第3809797号、特許第4224642号のような乾燥機が提案された。前者は、基羽根と伝熱面間のクリアランスが回転方向と逆方向に向って次第に広くなるようにすることにより、固形物を噛込みにくくし、噛込んだとしても回転巻上羽根の回転に対する抵抗を小さくできるようにした発明である。また、後者は、基羽根の外周端縁を乾燥槽内壁の伝熱面に接合して乾燥槽と一体回転させる構成とすることで、固形物がクリアランスに挟まれることがないようにした発明である。
また、近時の環境問題への意識の高まりから、以前にも増して様々な被乾燥物を乾燥させ、無公害化廃棄又は再利用することに対するニーズが高まっており、液状のものや、汚泥や油分を含む廃棄物等粘性の強い被乾燥物、固形物や半固形物を含む被乾燥物を効率よく乾燥させるための装置が望まれている。
被乾燥物が投入される縦型円筒形状の乾燥槽と、前記乾燥槽の外周に配設された伝熱手段と、前記伝熱手段からの熱を被乾燥物に伝える乾燥槽内壁面の伝熱面と、前記乾燥槽内中心部に配設された回転軸上に高さを変えて複数段に配設された放射状傾斜羽根を有する乾燥装置において、
前記放射状傾斜羽根は、それぞれ回転軸上の同一の高さ位置にて放射状に取付けられた複数の羽根からなり、各羽根は、前記回転軸より径方向に直線状に延びた細長い平板長方形状で、回転方向と逆方向に向かって上方に傾斜しており、
前記複数段にて上下に隣り合う放射状傾斜羽根の各羽根が、軸方向において重ならないように、側面から見たときに千鳥配置となるように構成されていることを特徴とする乾燥装置を提供する。
図1は、第1実施形態の乾燥装置1の内部構造を示す縦断面図である。縦型円筒形状の乾燥槽2は、その内壁面が、伝熱手段からの熱を被乾燥物Aに伝える伝熱面4となっている。上記伝熱手段は、乾燥槽2の外周に形成したジャケット6と、このジャケット6に連結され、その内部に蒸気を送り込むボイラー(図示せず。)とを具える。上記ジャケット6には、蒸気をジャケット6内に導く蒸気流入部8と、蒸気をジャケット6外に排出する蒸気排出部10とが設けられている。
そして、図3、4に示すように、放射状傾斜羽根20は、回転軸22上に、高さを変えて、複数段配設されており、軸方向に見たとき、各羽根26は軸方向に整列している。
被乾燥物供給管12内の供給スクリューコンベア14を駆動して、被乾燥物投入槽から乾燥槽2内に被乾燥物Aを投入する。そして、上記モータMを駆動し、放射状傾斜羽根20を回転させる。同時にボイラーから、ジャケット6内に蒸気を導入し、伝熱面4を熱する。
また、後から巻上げられる被乾燥物Aにより、先に巻上げられた被乾燥物Aが押し上げられるから、被乾燥物Aが連続して巻上げられ、伝熱面4の全面に渡って上昇し、伝熱面4の全体を使って効率良く乾燥を行うことができる。
すなわち、舟を漕ぐ際は、パドル先端に設けられたブレードの作用により、推進力を得る。舟の種類により形状は様々であるが、いずれにおいてもブレードは決して大きいものではないにも拘らず、水の強い抵抗を受け、よって強い推進力を得ることができる。舟の場合には、てこの原理を利用しているのであるが、本発明の乾燥装置においては、回転による遠心力を利用する。従って、回転速度を上げれば、従来、効率良く乾燥させることができなかった上記のような被乾燥物であっても、効果的に乾燥を行うことができる。
上記のとおり、第1実施形態においては、放射状傾斜羽根20が、回転軸22上に、高さを変えて、複数段配設されている。
これにより、図4に示すように、各羽根26に巻上げられた被乾燥物Aは、上方の羽根26にぶつかり、乱流が発生する。さらに、上記のとおり、被乾燥物Aは、多数の羽根26によって連続的に巻上げられるから、後から上昇してくる被乾燥物Aの動きも加わり、乱流は激しいものとなる。
なお、各羽根26を乗り越えた被乾燥物の一部は、下方へも向かうが、後方に配置された次の羽根26に掬われ、再度上昇させられる。
上記のとおり、後から巻上げられる被乾燥物Aが、先に巻上げられた被乾燥物Aを連続的に押上げるから、被乾燥物Aは、伝熱面4から乾燥槽2の内方への移動を行いつつ、伝熱面2に沿って上昇してゆく。そして、既述のように、本発明においては、これに激しい乱流による作用が加わるから、これら一連の被乾燥物Aの動きが、極めて高速度で効率よく行われる。
第2実施形態においては、放射状傾斜羽根20を複数段配設する際に、隣り合う放射状傾斜羽根20の各羽根26が、軸方向において重ならないよう、すなわち、側面から見たときに千鳥配置となるように構成している。その他の構成及び作用については、第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。
図5に示すように、本実施形態においても、第1実施形態と同様、多数の乱流領域が発生し、放射状傾斜羽根20による連続的巻上げに、激しい乱流による作用が加わる。各羽根26が千鳥配置とされていることにより、このような作用がより促進される。これにより、被乾燥物Aの伝熱面4への押付け・水分蒸発と、乾燥槽内方の含水率の高い被乾燥物Aとの入換えを行いつつ、上方へ巻き上げるという一連の動きが、極めて高速度で効率よく行われる。
また、羽根26の径方向の長さも、全て同一である必要はなく、所望の乱流発生の程度等を考慮し、必要に応じて、例えば、各段ごとに異なるものとし、長−短−長−短等の組合せを選択してもよい。
また、3つのアーム24をつなげてひとつにしてもよい。
さらに、各羽根26は、アームを介せず、直接、回転軸22に取付けてもよい。
このように、各羽根26の構成は、乾燥槽2に投入する被乾燥物Aの性状、分量等により、適宜のものを選択し、組合わせることができる。
また、放射状傾斜羽根を高さを変えて複数段設けることにより、巻上げられた被乾燥物が上方の羽根にぶつかり、連続的に下方から巻上げられる被乾燥物同士が混ざり合うことによって、激しい乱流が発生する箇所が多くなるため、被乾燥物を効率よく乾燥させることができる。
2:乾燥槽
4:伝熱面
6:ジャケット(伝熱手段)
20:放射状傾斜羽根
22:回転軸
24:アーム
26:羽根
Claims (4)
- 被乾燥物が投入される縦型円筒形状の乾燥槽と、前記乾燥槽の外周に配設された伝熱手段と、前記伝熱手段からの熱を被乾燥物に伝える乾燥槽内壁面の伝熱面と、前記乾燥槽内中心部に配設された回転軸上に高さを変えて複数段に配設された放射状傾斜羽根を有する乾燥装置において、
前記放射状傾斜羽根は、それぞれ回転軸上の同一の高さ位置にて放射状に取付けられた複数の羽根からなり、各羽根は、前記回転軸より径方向に直線状に延びた細長い平板長方形状で、回転方向と逆方向に向かって上方に傾斜しており、
前記複数段にて上下に隣り合う放射状傾斜羽根の各羽根が、軸方向において重ならないように、側面から見たときに千鳥配置となるように構成されていることを特徴とする、
乾燥装置。 - 前記羽根が前記回転軸に連結されたアームに取付けられている、請求項1の乾燥装置。
- 前記アームが360度の円周範囲内の長さを有する、請求項2の乾燥装置。
- 前記羽根の傾斜度が高さによって異なる、請求項1から3のいずれかの乾燥装置。
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