JP5537624B2 - エアバッグ装置 - Google Patents

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本発明は、エアバッグ装置に関するものである。
エアバッグ装置としては、折り畳まれたエアバッグを車室の側部上方に配置し、車両の側面衝突時や横転時などに、エアバッグを車室の側部を覆うように膨張展開させることで、乗員を保護するものが知られている。
このようなエアバッグ装置では、折り畳まれたエアバッグが捻れて車体に取り付けられると、インフレータからのガスがエアバッグに円滑かつ確実に供給されなくなってしまい、エアバッグの展開不良を招く虞がある。
そこで、従来、エアバッグ取付時の捻れを防止するための技術が多数開発され実用化に至っている。例えば、特許文献1には、エアバッグが車体に正確に取り付けられた状態で、エアバッグの長手方向に沿って延在する表示糸をエアバッグに設け、表示糸を視認しながらエアバッグを車体に取り付けることによって、エアバッグ取付時の捻れを防止する技術が開示されている。
特開2004−224255号公報
ところが、特許文献1に記載の発明では、作業者が表示糸を視認しながらエアバッグの取付作業を行っているので、人的な作業ミスを完全に排除できず、エアバッグが捻れて車体に取り付けられる虞があった。
本発明は、このような観点から創案されたものであり、エアバッグが捻れて車体に取り付けられた場合であっても、エアバッグを正常に展開可能なエアバッグ装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため本発明は、車両の車室の側部を覆うようにカーテン状に展開し、前記車室内の乗員を保護するエアバッグ装置であって、折り畳まれて展開可能に保持されるエアバッグと、前記エアバッグの端部に設けられ、車体に固定されるタブと、を備え、前記タブは、前記エアバッグが展開したときに破断する脆弱部を有し、前記脆弱部が破断したときに前記エアバッグ又は前記車体から分離されるように構成されていることを特徴とする。
なお、前記脆弱部は、前記タブの一部をスリット形状に形成して構成されているようにするのが好ましい。また、前記エアバッグと前記タブは、別体で形成され、前記タブは、前記脆弱部になると共に、前記エアバッグを保持する保持部を有している構成とするのが好ましい。
本発明によれば、エアバッグに設けられたタブは、エアバッグが展開したときに破断する脆弱部を有し、脆弱部が破断したときにエアバッグ又は車体から分離されるように構成されているので、エアバッグが捻れて車体に取り付けられた場合において、エアバッグの展開時にタブがエアバッグ又は車体から分離すると、エアバッグが捻れを解消するように回転する動作が許容される。これにより、エアバッグの捻れが解消されるので、エアバッグが捻れて車体に取り付けられた場合であっても、エアバッグを正常に展開することができる。
本発明によれば、エアバッグが捻れて車体に取り付けられた場合であっても、エアバッグを正常に展開可能なエアバッグ装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係るエアバッグ装置を備える車両の車室内の構成を示す概略図である。 図1の部分拡大斜視図である。 本発明の実施形態に係るエアバッグ装置の展開動作を示す部分拡大斜視図であり、(a)は、展開前の状態を示す部分拡大斜視図であり、(b)は、展開後の状態を示す部分拡大斜視図である。 (a)は、本発明の第1変形例に係るエアバッグ装置を示す部分拡大斜視図であり、(b)は、本発明の第2変形例に係るエアバッグ装置を示す部分拡大斜視図である。
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、各図中に矢印で示される、「前後」及び「上下」は、車体前後方向及び車体上下方向を示し、「左右」は、運転席から見た左右方向(車幅方向)をそれぞれ示している。また、以下の説明では、車両Vの右側のみについて説明するが、左側も同様に構成されているものとする。
図1に示すように、車両Vは、車体下部を構成するフロア2と、車体上部を構成するルーフ3と、車体側部を構成するフロントピラー41、センタピラー42、リアピラー43、及び、ルーフサイドレール44と、車両Vの車室R内の側部を覆うように膨張展開するカーテンサイドエアバッグ装置1と、を備える。なお、以下の説明では、車体側部を構成するフロントピラー41などを車体4ともいい、カーテンサイドエアバッグ装置1をエアバッグ装置1という。
車両Vのフロア2上には、乗員が着座するフロントシート50及びリアシート51が前後に配設されている。フロントシート50及びリアシート51の側方には、センタピラー42を挟んで前後にドア開口部52が設けられている。ドア開口部52には、ドア53が開閉可能に取り付けられ、ドア53には、サイドウインドウ54が上下に昇降可能に設けられている。なお、図示省略するが、ルーフ3は、車室R側にルーフライニングを備え、フロントピラー41及びリアピラー43は、車室R側にピラーガーニッシュを備える。ルーフライニング及びピラーガーニッシュは、エアバッグ装置1を車室R側から覆う内装材であって、エアバッグ装置1の車室R側への露出を防止する機能を有している。
また、図示省略するが、車両Vには、衝撃を検知できる加速度センサと、ECU(Electronic Control Unit)と、が設けられている。ECUには、加速度センサ及び後記するインフレータ14が不図示のケーブルを介して接続されている。加速度センサは、フロア2の側部であって、フロントシート50の設置部位近傍やリアシート51の設置部位近傍に夫々配置されている。
エアバッグ装置1は、サイドウインドウ54の上縁部(車室Rの側部上方)に沿って配置されたエアバッグ11と、エアバッグ11を車体4に取り付けるためのブラケット12と、エアバッグ11と車体4との間に配置されたプロテクタ13と、エアバッグ11内にガス(圧力流体)を供給するインフレータ14と、を備える。
エアバッグ11は、図1の二点鎖線で示すように、インフレータ14からガスが供給されると、下方に向けてカーテン状に膨張展開する布製部材である。エアバッグ11は、例えば、複数枚の基布を袋状に縫合することで形成されている。エアバッグ11は、フロントピラー41からルーフサイドレール44を経てリアピラー43にかけて配置され、前後方向に長尺に形成されている。
本実施形態では、各図にてエアバッグ11を模式的に描いているが、例えば蛇腹状やつづら折り状などにエアバッグ11を折り畳み、エアバッグ11の外面に複数のテープ15を巻回することによって、エアバッグ11の折り畳み状態が保持されている。一部のテープ15は、エアバッグ11とプロテクタ13とに亘って巻回されて両部材を連結する機能も有している。テープ15は、エアバッグ11の展開時に破断するように構成されている。
また、エアバッグ11には、当該エアバッグ11を車体4に取り付けるためのタブ16及びテザー17が一体に設けられている。
タブ16は、エアバッグ11の上端部から上方へ突出形成され、車体4に固定される板状かつ四角形状の取付片である。タブ16は、折り畳まれたエアバッグ11の延在方向に沿って互いに間隔を空けて複数配置され(図1では1つのみ図示)、前記延在方向と交差する方向へ突出して設けられている。
図2に示すように、エアバッグ11の前端部側に設けられたタブ16には、円形状の取付孔16aが形成されている。タブ16は、クリップKによってフロントピラー41に取り付けられている。タブ16には、スリット形状の破断部16bがエアバッグ11の延在方向に沿って形成されている。脆弱部たる破断部16bは、エアバッグ11の展開時に破断する直線状の部位であり、エアバッグ11とクリップKとの間に形成されている。換言すると、破断部16bは、クリップK(取付孔16a)よりもエアバッグ11寄りに設けられている。なお、破断部16bは、エアバッグ11の展開時に破断可能であれば、いかなる形状(切れ目)であってもよい。
図示省略するが、その他のタブ16は、ブラケット12とルーフサイドレール44との間に挟み込まれて挟持され、クリップKによってブラケット12がルーフサイドレール44に固定されることで、ルーフサイドレール44の適所に取り付けられている。
テザー17は、図1に示すように、エアバッグ11の前後端部に1つずつ設けられ、エアバッグ11とフロントピラー41及びリアピラー43とを連結する変形可能な帯状部位である。前方に位置するテザー17は、エアバッグ11の前端部から前方へ突出して設けられ、取付金具18を介してフロントピラー41に取り付けられている。後方に位置するテザー17は、エアバッグ11の後端部から後方へ突出して設けられ、取付金具18を介してリアピラー43に取り付けられている。
ブラケット12は、図1に示すように、エアバッグ11の延在方向に沿って互いに間隔を空けて複数配置された金属製部材である。ブラケット12は、例えば一枚の金属板をプレス加工によって折曲して形成されている。ブラケット12の前後端部は、クリップKによってルーフサイドレール44に固定されている。
プロテクタ13は、図1に示すように、エアバッグ11の延在方向に沿って互いに間隔を空けて複数配置された樹脂製部材である。プロテクタ13は、エアバッグ11が車体4の凹凸等に接触して損傷するのを防止すると共に、エアバッグ11の展開方向を規制する機能を有している。プロテクタ13は、取付金具18を介して、車体4の適所に取り付けられている。プロテクタ13は、図2に示すように、折り畳まれたエアバッグ11の車外側外面から上側外面に沿う曲面形状に形成されている。
インフレータ14は、図1に示すように、ルーフサイドレール44に取り付けられており、周知のインフレータの中から適宜選択して用いられる。なお、ブラケット12、プロテクタ13、及び、インフレータ14の設置個所や個数は、適宜変更してよい。
本実施形態に係るエアバッグ装置1は、基本的に以上のように構成されるものであり、次に、図1及び図3を参照して、その作用効果について説明する。
なお、図3(a)では、エアバッグ11の前端部側のうちタブ16よりも後方部位が捻れて車体4に取り付けられた状態を図示しており、以下の説明では、前記状態からエアバッグ11が展開する動作を説明する。
車両Vの側面衝突時や横転時などに、加速度センサが所定値以上の衝撃を検知すると、検知信号がECUに送られる。ECUは、検知信号に基づいてインフレータ14(図1参照)を起動するための起動信号を生成して、起動信号がインフレータ14に送られる。インフレータ14は、起動信号に基づいてエアバッグ11内にガスを供給する。
図1の二点鎖線で示すように、エアバッグ11内にガスが供給されると、エアバッグ11は、下方に向けてカーテン状に膨張展開して車両Vの車室Rの側部を覆う。
このとき、図3(a)に示すように、エアバッグ11の前端部側のうちタブ16よりも後方部位が捻れた状態で、エアバッグ11内にガスが供給されると、ガスの圧力でエアバッグ11は、捻れが解消されるように回転しながら膨張展開しはじめる。エアバッグ11が回転すると、図3(b)に示すように、タブ16が引っ張られて破断部16bが破断する。
破断部16bが破断することにより、タブ16がエアバッグ11から分離(離脱)して、エアバッグ11の更なる回転が許容され、エアバッグ11の捻れが解消されることとなる。そして、エアバッグ11の捻れが解消されると同時に、エアバッグ11の前端部に設けられたテザー17が捻れる。つまり、テザー17によって、エアバッグ11の捻れが吸収されることとなる。
このように、本実施形態では、エアバッグ11が捻れて車体4に取り付けられた場合であっても、タブ16がエアバッグ11から分離してテザー17でエアバッグ11の捻れが吸収されるので、エアバッグ11を正常に展開することができる。
また、本実施形態によれば、前記特許文献1に開示された技術に比べて、表示糸を視認しながらエアバッグを車体に取り付ける煩雑な作業を省略できるので、エアバッグ11の取付時の作業効率が向上して生産性が高い。更に、本実施形態によれば、エアバッグ11の捻れ確認ラインを省略できる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本実施形態では、2列シートのセダンタイプの車両Vにエアバッグ装置1を搭載したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、3列シートのワンボックスタイプの車両や1列シートのスポーツタイプの車両などにエアバッグ装置1を搭載するようにしてもよい。
本実施形態では、エアバッグ11の前端部側のタブ16に破断部16bを形成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、エアバッグ11の後端部側が捻れて取り付けられる虞がある場合には、エアバッグ11の後端部側にタブ16を設け、当該タブ16に破断部16bを形成してもよい。
本実施形態では、クリップKによってタブ16などを車体4に取り付けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ボルトやリベットなどの固定手段によってタブ16などを車体4に取り付けてもよい。
次に、本発明の第1変形例に係るエアバッグ装置を図4(a)に示す。なお、説明において、前記した実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
第1変形例に係るエアバッグ装置1は、スリット形状の破断部16bを上下方向に沿って形成した点が前記した実施形態と相違する。第1変形例の破断部16bは、エアバッグ11の延在方向と交差する方向に沿って形成され、タブ16の上端(突出端)から取付孔16aに亘って設けられている。
この場合、エアバッグ11の前端部側のうちタブ16よりも後方部位が捻れた状態で、エアバッグ11内にガスが供給されると、ガスの圧力でエアバッグ11は、捻れが解消されるように回転しながら膨張展開しはじめる。エアバッグ11が回転すると、タブ16が引っ張られて破断部16bが破断する。
破断部16bが破断することにより、タブ16がクリップKから外れ、タブ16と車体4との固定状態が解除される。この結果、タブ16が車体4から分離して、エアバッグ11の更なる回転が許容され、エアバッグ11の捻れが解消されることとなる。そして、エアバッグ11の捻れが解消されると同時に、エアバッグ11の前端部に設けられたテザー17が捻れる。つまり、テザー17によって、エアバッグ11の捻れが吸収されることとなる。したがって、本変形例によれば、エアバッグ11が捻れて車体4に取り付けられた場合であっても、エアバッグ11を正常に展開することができる。
次に、本発明の第2変形例に係るエアバッグ装置を図4(b)に示す。なお、説明において、前記した実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
第2変形例に係るエアバッグ装置1は、エアバッグ11とタブ16を別体で構成した点、及び、破断部16bを省略して、エアバッグ11の展開時に破断する脆弱部を、エアバッグ11とタブ16とを連結する保持部16eで構成した点が前記した実施形態と相違する。
第2変形例のタブ16は、エアバッグ11の上側外面に沿って延在する基部16cと、基部16cの車外側から上方へ突出形成され、車体4に固定される薄板状かつ四角形状の先端部16dと、基部16cの前後端部側に1つずつ設けられ、基部16cとエアバッグ11とに亘って巻回された保持部16eと、から構成されている。基部16cは、先端部16dよりも前後方向に幅広に形成されている。保持部16eは、エアバッグ11の展開時に破断する部位であり、例えば前記実施形態のテープ15などで構成されている。
この場合、エアバッグ11の前端部側のうちタブ16よりも後方部位が捻れた状態で、エアバッグ11内にガスが供給されると、ガスの圧力でエアバッグ11は、捻れが解消されるように回転しながら膨張展開しはじめる。エアバッグ11が膨張展開すると、保持部16eが破断する。
保持部16eが破断することにより、タブ16がエアバッグ11から分離して、エアバッグ11の更なる回転が許容され、エアバッグ11の捻れが解消されることとなる。そして、エアバッグ11の捻れが解消されると同時に、エアバッグ11の前端部に設けられたテザー17が捻れる。つまり、テザー17によって、エアバッグ11の捻れが吸収されることとなる。したがって、本変形例によれば、エアバッグ11が捻れて車体4に取り付けられた場合であっても、エアバッグ11を正常に展開することができる。なお、保持部16eは、エアバッグ11の展開時に破断可能であれば、いかなる構成であってもよく、例えばバンドなどで構成されてもよい。
V 車両
R 車室
1 エアバッグ装置
11 エアバッグ
15 テープ(脆弱部,保持部材)
16 タブ
16b 破断部(脆弱部)
16e 保持部(脆弱部)
17 テザー
4 車体
41 フロントピラー
42 センタピラー
43 リアピラー
44 ルーフサイドレール

Claims (3)

  1. 車両の車室の側部を覆うようにカーテン状に展開し、前記車室内の乗員を保護するエアバッグ装置であって、
    折り畳まれて展開可能に保持されるエアバッグと、
    前記エアバッグの端部に設けられ、車体に固定されるタブと、を備え、
    前記タブは、前記エアバッグが展開したときに破断する脆弱部を有し、前記脆弱部が破断したときに前記エアバッグ又は前記車体から分離されるように構成されていることを特徴とするエアバッグ装置。
  2. 前記脆弱部は、前記タブの一部をスリット形状に形成して構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
  3. 前記エアバッグと前記タブは、別体で形成され、
    前記タブは、前記脆弱部になると共に、前記エアバッグを保持する保持部を有していることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
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