JP5537200B2 - 気液供給装置及びその気液供給装置を備えた改質装置 - Google Patents
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Description
この種の気液供給装置が備えられる前述の改質装置は、水と炭化水素系の原燃料ガスが供給されて、水を加熱して蒸発させると共に、その水蒸気により原燃料ガスを改質処理して、水素を含む改質ガスを生成する。
一方、気体供給管と液体供給管とを、装置構成の簡素化やコストダウン等のため、又、管からの放熱損失の抑制によるエネルギ効率向上を図るため、共通の単一の供給管とすることが考えられる。
ところが、単一の供給管で液体と気体との両方を供給すると、供給管が外部から収納容器内に挿通されて処理装置に接続されているので、供給管において収納容器内に位置する部分も熱発生部により加熱されることになり、その部分を流動する液体も加熱されることになる。
そして、供給管を流動する液体が処理装置の手前で蒸発して、所謂突沸が発生すると、液体蒸気の体積が急激に増大することによって、供給管においてその突沸部位よりも下流側の部分を流動している液体が急激に処理装置に供給され、突沸の後は一時的に液体の供給が途切れる又は供給量が少なくなるので、処理装置に供給される液体の供給量が大きく変動することになり、処理装置で生成される液体の蒸気の量も大きく変動することになる。
それによって、処理装置における液体の蒸気の量と気体の量との比率が所定の比率から大きく変動することになり、処理装置での処理が適正に行われなくなる虞があった。
外部から前記収納容器内に挿通されて前記処理装置に接続され、液体と気体を共に前記処理装置に流動させる気液供給管が備えられ、
前記気液供給管における液体の供給部位に、供給される液体を内壁に沿って管周方向全周に拡げるために設けられた環状の多孔状リングからなる拡散部が設けられ、
前記拡散部の処理装置側に接触して、当該拡散部から前記処理装置までの管長手方向全長にわたって、前記拡散部から供給される液体を管長手方向に流動させる混相流動部が、前記気液供給管の内壁における周方向全周にわたって備えられ、
前記液体が、前記多孔状リングに対して径方向の外側から圧力がかけられて押し込まれるとともに、前記拡散部から前記混相流動部を介して前記処理装置に流動するように構成されている点にある。
そして、混相流動部を内壁に付着した状態で流動している液体が気液供給管における処理装置の手前で蒸発しても、気液供給管における混相流動部の内方側には気体が流動している空間が存在していて、蒸気がその空間に拡散するので、混相流動部におけるそのような液体の蒸発部位よりも下流側の部分を流動している液体が処理装置に急激に押し込まれるのを抑制することができる。それによって、処理装置に供給される液体の量と気体の量との比率が変動するのを抑制することができるので、処理装置における液体の蒸気の量と気体の量との比率が所定の比率から変動するのを抑制することができる。
従って、液体の蒸気と気体とによる処理を安定して行い得る気液供給装置を提供することができるようになった。
つまり、液体を気液供給管の内壁に付着した状態で流動させるにしても、その流動量をより一層多くすることができて、処理装置への液体の供給量の調整範囲を広くすることができるので、処理装置への液体と気体との供給量比率の設定範囲を広くすることが可能となる。
従って、処理装置への液体と気体との供給量比率が種々の比率の気液供給装置に対応することができる
加えて、上記特徴構成によれば、気液供給管における液体の供給部位から供給された液体は、拡散部によって内壁の管周方向に拡げられて、混相流動部の基端にその周方向の全周又は略全周にわたって供給されるので、液体は、混相流動部の基端からその周方向全周又は略全周にわたって内壁に付着した状態で処理装置に向かって流動する。
つまり、液体が混相流動部により気液供給管の内壁に付着状態で流動し、且つ、気体が気液供給管における混相流動部の内方側の空間を流動する形態で、気液供給管を通して液体と気体を共に流動させることをより一層的確に行わせることができる。
前記混相流動部が、液体を毛細管現象により前記気液供給管の内壁に付着させて流動させる毛細管状部にて構成されている点にある。
つまり、毛細管現象によって液体を重力に逆らって流動させることができるので、混相流動部を毛細管状部により構成することにより、液体を気液供給管の内壁に付着した状態で流動させることを効果的に実現することができる。
前記混相流動部が、前記気液供給管の内壁を親水化処理した親水化部にて構成されている点にある。
つまり、気液供給管の内壁を親水化処理すると、液体が内壁に極めて良くなじんで膜状に拡がるので、液体を気液供給管の内壁に付着した状態で重力に逆らって流動させることが可能となる。
そこで、混相流動部を気液供給管の内壁を親水化処理した親水化部にて構成することにより、液体を気液供給管の内壁に付着状態で流動させることを効果的に実現することができる。
その特徴構成は、
供給される水を加熱して蒸発させる気化器、及び、供給される炭化水素系の原燃料ガスを前記気化器にて生成された水蒸気にて改質処理する改質器を前記処理装置として備え、
前記気化器及び前記改質器が、前記改質器にて改質処理された改質ガスと酸素含有ガスとが供給されて発電する燃料電池部、及び、その燃料電池部から排出される排改質ガスと排酸素含有ガスとを混合させて燃焼させる前記熱発生部としての燃焼部と共に、前記収納容器内に配設され、
前記気液供給管が外部から前記収納容器内に挿通されて前記気化器に接続されて、水と原燃料ガスを共に前記気液供給管により前記気化器に流動させるように構成され、
前記気化器から前記改質器へ水蒸気及び原燃料ガスの流動が可能なように構成され、
前記気化器が、前記燃焼部での燃焼により発生する燃焼熱を用いて水を加熱して蒸発させるように構成され、並びに、前記改質器が、前記燃焼熱を用いて原燃料ガスの改質処理を行うように構成されている点にある。
気化器では、燃焼部での燃焼により発生する燃焼熱を用いて、水を加熱して蒸発させ、改質器では、燃焼部での燃焼により発生する燃焼熱を用いて、原燃料ガスを水蒸気により改質処理する。
そして、水が混相流動部により気液供給管の内壁に付着状態で流動し、且つ、原燃料ガスが気液供給管における混相流動部の内方側の空間を流動する形態で、水と原燃料ガスが気液供給管を共に流動して気化器に供給されるので、先に気液供給装置について説明したのと同様の作用で、気化器に供給される水の量と原燃料ガスの量との比率が変動するのを抑制することができるので、改質器における水蒸気の量と原燃料ガスの量との比率が所定の比率から変動するのを抑制することができる。
従って、水蒸気による原燃料ガスの改質処理を安定して行い得る改質装置を提供することができるようになった。
〔第1実施形態〕
先ず、第1実施形態を説明する。
図1は、本発明に係る改質装置Rを備えた燃料電池発電装置の全体概略構成を示すブロック図である。
改質装置Rには、本発明に係る気液供給装置Sが備えられている。
この気液供給装置Sは、熱を発生させる熱発生部Bと共に収納容器1内に設けられて、供給される液体Wを熱発生部Bにて発生する熱を用いて加熱して蒸発させる処理装置Eに、液体Wと気体Gを供給するように構成されている。
つまり、この実施形態では、この気液供給装置Sは、液体として水Wを、気体として原燃料ガスGをそれぞれ処理装置Eに供給するように構成されている。
この気液供給装置Sには、外部から収納容器1内に挿通されて処理装置Eに接続され、水Wと原燃料ガスGを共に処理装置Eに流動させる気液供給管4が備えられている。
更に、この気液供給装置Sには、気液供給管4の基端部に設けられた連結部5、その連結部5に連結された改質水供給管6及び原燃料ガス供給管7、改質室水タンク8内の水Wを改質水供給管6を通して気液供給管4に供給する改質水ポンプ9、原燃料ガスGを原燃料ガス供給管7を通して気液供給管4に供給する昇圧ポンプ10、並びに、原燃料ガス供給管7を流動する原燃料ガスGを脱硫する脱硫器11が備えられている。
前記気化器2及び前記改質器3が、改質器3にて改質処理された改質ガスと酸素含有ガスとしての空気が供給されて発電する燃料電池部21、及び、その燃料電池部21から排出される排改質ガスと排空気とを混合させて燃焼させる前記熱発生部Bとしての燃焼部22と共に、前記収納容器1内に配設されている。
気液供給管4が外部から収納容器1内に挿通されて気化器2に接続されて、水Wと原燃料ガスGを共に気液供給管4により気化器2に流動させるように構成され、又、気化器2から改質器3へ水蒸気及び原燃料ガスGの流動が可能なように構成されている。
そして、気化器2が、燃焼部22での燃焼により発生する燃焼熱を用いて水Wを加熱して蒸発させるように構成され、並びに、改質器3が、燃焼部22で発生する燃焼熱を用いて原燃料ガスGの改質処理を行うように構成されている。
この実施形態では、気化器2と改質器3とが、気化器2から改質器3へ水蒸気及び原燃料ガスGが流動可能な状態で、一体的に構成されている。
CH4+H2O→CO+3H2
そして、気化器2へ水Wと原燃料ガスGを設定気液流量比率で供給すべく、制御部(図示省略)によって改質水ポンプ9及び昇圧ポンプ10夫々の作動が制御されるように構成されている。
燃料電池部21は、改質ガスが通流する燃料通流部24と空気が通流する空気通流部25とを備えた複数の固体酸化物型のセル26を電気的に直列接続された状態で備えたセルスタックにて構成されている。
図示は省略するが、セル26は、燃料極と空気極との間に固体電解質層を備えた固体酸化物型に構成され、燃料通流部24を改質ガスが通流することで燃料極に改質ガスが供給され、空気通流部25を空気が通流することで空気極に空気が供給される。
そして、そのような燃料電池部21が、複数のセル26が燃料通流部24の改質ガス排出口24e及び空気通流部25の空気排出口25eが上向きになる姿勢で横方向に並ぶ状態で、収納容器1内に配設されている。
ちなみに、セル26としては、燃料通流部24及び空気通流部25を備えた各種の形状や構成のセルが使用可能であり、その形状や構成については上記に限定されるものではない。
複数のセル26夫々における空気通流部25の下端部近傍には、収納容器1内と空気通流部25内とを連通する空気供給孔(図示省略)が設けられている。そして、複数のセル26夫々の空気通流部25には収納容器1内の空気がこの空気供給孔を通して供給されて、各空気通流部25を下方側から上方側に通流して発電反応に供され、その発電反応に供されたのちの排空気が上端の空気排出口25eから排出される。
そして、一体構成された気化器2及び改質器3が、燃焼部22の上方に隣接して設けられている。
図2に示すように、本発明では、気液供給管4の内壁4wには、水Wの供給部位としての気液供給管4の基端4eから処理装置E(具体的には気化器2の入口)までの管長手方向全長にわたって、水Wと原燃料ガスGとのうちの水Wを内壁4wに付着させて管長手方向に流動させる混相流動部Cが備えられている。
又、混相流動部Cが、水Wを毛細管現象により気液供給管4の内壁4wに付着させて流動させる毛細管状部12にて構成されている。
更に、気液供給管4における水Wの供給部位である基端4eに、供給される水Wを内壁4wに沿って管周方向に拡げる拡散部Dが設けられている。
各溝4gは、水Wを毛細管現象により管長手方向に流動させることが可能な形状に形成され、各溝4gの幅は微細である。
そして、これら多数の溝4gからなる溝群により、毛細管状部12が構成されている。
尚、図2〜図4では、各溝4gが明瞭に示されるように、各溝4gの幅及び深さは、気液供給管4の径や管壁の厚さに対して、大きく強調されて記載されており、気液供給管4の径や管壁の厚さと溝4gの幅や深さとの関係は、実際の関係を示すものではない。
そして、連結部5における同心状の2つの接続口5a,5bのうちの一方の接続口5aに、気液供給管4の基端4eが接続され、他方の接続口5bに原燃料ガス供給管7の先端が接続され、残りの接続口5cに改質水供給管6の先端が接続されている。
拡散空間5eには、環状の多孔状リング13が嵌め込まれ、この多孔状リング13により、拡散部Dが構成されている。
ている。
ちなみに、多孔状リング13は、例えば、多孔状の焼結金属にて形成される。
一方、原燃料ガスGは、昇圧ポンプ10により、原燃料ガス供給管7を圧送されて気液供給管4の基端4eに供給され、その気液供給管4における毛細管状部12の内方側の空間を気化器2側に向かって流動して気化器2に供給される。
つまり、水Wが毛細管状部12により気液供給管4の内壁4wに付着する状態で流動し、原燃料ガスGが気液供給管4における毛細管状部12の内方側の空間を流動する形態で、水Wと原燃料ガスGが気液供給管4を共に流動して気化器2に供給される。
図5に示すように、第2実施形態の混相流動部Cは、上記の第1実施形態と同様に毛細管状部12にて構成されているが、この毛細管状部12が、金網を円筒状に成形した円筒状金網体14にて構成されている。
この円筒状金網体14は、その外径が気液供給管4の内径よりもやや大きくなるように成形され、この円筒状金網体14が縮径状態で気液供給管4に内嵌されることにより、円筒状金網体14が、その弾性によって気液供給管4の内壁4wに当接する状態でその気液供給管4内に保持されている。
尚、図5では、円筒状金網体14が明瞭に示されるように、ワイヤ径及びメッシュサイズは、気液供給管4の径や管壁の厚さに対して大きく強調されて記載されており、気液供給管4の径や管壁の厚さと円筒状金網体14のワイヤ径やメッシュサイズとの関係は、実際の関係を示すものではない。
図6に示すように、第3実施形態の混相流動部Cは、上記の第1実施形態と同様に毛細管状部12にて構成されているが、この毛細管状部12が、円筒状のワイヤ集合体15により構成されている。
円筒状のワイヤ集合体15は、その内側に設けられたコイル16によって、気液供給管4の内壁4wに当接する状態でその気液供給管4内に保持されている。
尚、図6では、ワイヤ集合体15が明瞭に示されるように、ワイヤ径及びワイヤ間の隙間は、気液供給管4の径や管壁の厚さに対して大きく強調されて記載されており、気液供給管4の径や管壁の厚さとワイヤ集合体15のワイヤ径やワイヤ間の隙間との関係は、実際の関係を示すものではない。
図7に示すように、第4実施形態の混相流動部Cは、上記の第1実施形態と同様に毛細管状部12にて構成されているが、この毛細管状部12が、多孔状円筒体17により構成されている。
多孔状円筒体17は、その外径が気液供給管4に内嵌可能なように気液供給管4の内径と略同径に構成されて、気液供給管4に内嵌されることにより、気液供給管4の内壁4wに当接する状態でその気液供給管4内に保持されている。
図8に示すように、第5実施形態の混相流動部Cは、気液供給管4の内壁4wを親水化処理した親水化部18にて構成されている。
この親水化部18は、水Wが気液供給管4の内壁4wに付着して流動可能なように濡れ性を向上させるように処理したものである。
親水化処理は種々の手法により可能であり、例えば、気液供給管4の内壁4wを機械的又は化学的に粗面化する手法、あるいは、気液供給管4の内壁4wに親水性を有する親水性材(有機高分子材等)から成る膜を形成する手法等を採用することができる。
次に別実施形態を説明する。
例えば、処理装置Eを加熱するように設けられたバーナや、電気ヒータでも良い。
又、液体及び気体夫々の具体例の組み合わせは、上記の実施形態において例示した水及び炭化水素系の原燃料ガスの組み合わせに限定されるものではなく、適用される処理装置の種類に応じた種々の組み合わせのものを用いることができる。
2 気化器
3 改質器
4 気液供給管
4e 水(液体)の供給部位
4w 内壁
12 毛細管状部
17 親水化部
21 燃料電池部
22 燃焼部
B 熱発生部
C 混相流動部
D 拡散部
E 処理装置
G 原燃料ガス(気体)
S 気液供給装置
W 水(液体)
Claims (4)
- 熱を発生させる熱発生部と共に収納容器内に設けられて、供給される液体を前記熱発生部にて発生する熱を用いて加熱して少なくとも蒸発させる処理装置に、液体と液体とは別物質の気体を供給する気液供給装置であって、
外部から前記収納容器内に挿通されて前記処理装置に接続され、液体と気体を共に前記処理装置に流動させる気液供給管が備えられ、
前記気液供給管における液体の供給部位に、供給される液体を内壁に沿って管周方向全周に拡げるために設けられた環状の多孔状リングからなる拡散部が設けられ、
前記拡散部の処理装置側に接触して、当該拡散部から前記処理装置までの管長手方向全長にわたって、前記拡散部から供給される液体を管長手方向に流動させる混相流動部が、前記気液供給管の内壁における周方向全周にわたって備えられ、
前記液体が、前記多孔状リングに対して径方向の外側から圧力がかけられて押し込まれるとともに、前記拡散部から前記混相流動部を介して前記処理装置に流動するように構成されている気液供給装置。 - 前記混相流動部が、液体を毛細管現象により前記気液供給管の内壁に付着させて流動させる毛細管状部にて構成されている請求項1に記載の気液供給装置。
- 前記混相流動部が、前記気液供給管の内壁を親水化処理した親水化部にて構成されている請求項1に記載の気液供給装置。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の気液供給装置を備えた改質装置であって、
供給される水を加熱して蒸発させる気化器、及び、供給される炭化水素系の原燃料ガスを前記気化器にて生成された水蒸気にて改質処理する改質器を前記処理装置として備え、
前記気化器及び前記改質器が、前記改質器にて改質処理された改質ガスと酸素含有ガスとが供給されて発電する燃料電池部、及び、その燃料電池部から排出される排改質ガスと排酸素含有ガスとを混合させて燃焼させる前記熱発生部としての燃焼部と共に、前記収納容器内に配設され、
前記気液供給管が外部から前記収納容器内に挿通されて前記気化器に接続されて、水と原燃料ガスを共に前記気液供給管により前記気化器に流動させるように構成され、
前記気化器から前記改質器へ水蒸気及び原燃料ガスの流動が可能なように構成され、
前記気化器が、前記燃焼部での燃焼により発生する燃焼熱を用いて水を加熱して蒸発させるように構成され、並びに、前記改質器が、前記燃焼熱を用いて原燃料ガスの改質処理を行うように構成されている改質装置。
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