JP5536503B2 - 平板型固体酸化物形燃料電池モジュールおよびその運転方法 - Google Patents
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Description
このように、従来の平板型SOFCモジュール7では、初期還元後に大荷重によるボルト10の破断を避けるために、荷重機構6による荷重を下げる作業を行うと、その作業にともない発生する振動が平板型SOFCモジュール7の性能を低下させる可能性があるという問題があった。
図1において、平板型SOFCモジュール20は、発電ユニット1を複数、例えば8枚積層して電気的に直列に接続してなる発電部2と、この発電部2に鉛直方向で下方に荷重を直接掛ける第1の荷重機構21と、この第1の荷重機構21に同じく鉛直方向で下方に荷重を掛けることによって発電部2に間接的に付加荷重を掛ける第2の荷重機構22と、これらの発電部2および第1、第2の荷重機構21、22を収納する断熱容器5とを備えている。
平板型SOFCモジュール20の初期還元運転時には、第1、第2の荷重機構21、22によって大きな荷重を掛ける必要がある。大きな荷重を掛ける場合は、第1のナット11により第1の押圧板8を押し下げてストッパ35に押し付け、第1のセラミックスばね9を圧縮させる。これにより、第1の荷重機構21による荷重が発電部2に掛けられる。この第1の荷重機構21による荷重は、初期還元後の通常運転時と同じ荷重に設定することが望ましい。また、第2のナット44により第2の押圧板42を押し下げて第2のセラミックスばね43を圧縮させることにより、第2の荷重機構22による付加荷重を第1の荷重機構21を介して発電部2に間接的に掛け、発電部2に掛ける荷重を初期還元時の荷重にする。そして、この状態で初期還元運転を行なう。
本発明の平板型SOFCモジュール20では、第2の荷重機構22を取り外す作業を行うとき、第1の荷重機構21の荷重は何ら変更せず、そのままにしておく。このため、その構成部品が位置ずれしたり振動したりするおそれがなく、平板型SOFCモジュール20の性能の低下を低減することができる。また、第1の荷重機構21によって発電部2に掛け続ける荷重が適切であれば、昇降温時における部品の位置ずれも抑制することができ、平板型SOFCモジュール20の性能を向上させることができる。
初期還元時に第2の荷重機構22によって発電部2に掛ける付加荷重は、面圧が0.48Kgf/cm2 以上とすることが望ましい。この値は、以下の実験より求めた。平板型SOFCモジュール20(発電ユニット1の積層数1)を電気炉内に設置して発電性能試験を行った。発電部2の荷重機構は、電気炉を開閉することなく外部から自由に荷重を制御できるものを用いた。
□が荷重を掛けなかった場合(荷重0Kgf)の実験結果であり、△が60Kgfの荷重を掛けた場合、そして、○が120kgfの荷重を掛けた場合の実験結果である。60Kgf、および120kgfの荷重を掛けた場合の性能は明らかに荷重を掛けなかった場合よりも高い。また、0.28Acm-2における電圧は、120kgfの場合の方が60kgfの場合よりも高いが、その差は小さく3mV程度であった。すなわち、荷重が120Kgf以下の場合は、荷重を掛けるほど発電性能は上昇するが、荷重が60Kgfと120Kgfの場合の発電性能の差は小さく、第2の荷重機構22によって荷重を120Kgfより大きくしても発電性能が大幅に上昇することはない。つまり、第2の荷重機構22による荷重を60Kgf〜120Kgfとすれば、SOFCモジュール20の性能は、ほぼ引き出すことができているといえる。以上の実験結果により、第2の荷重機構22によって発電部2に掛ける荷重は60Kgf〜120Kgfとすることが望ましい。
材質:SUS430
寸法:M10
応力:51.7Kgf/cm2(120Kgf時)、25.9Kgf/cm2(60Kgf時)
(M10 有効断面積:0.58cm2、ボルト:4本)
本実施の形態は、ベースプレート4上に立設した複数本のボルト10に第1の荷重機構21の第1の押圧板8と第2の荷重機構22の第2の押圧板42をそれぞれ上下動自在に配設した点が図1に示す第1の実施の形態の平板型SOFCモジュール20と異なり、その他の構成、および第1、第2の荷重機構21、22によって掛ける荷重は略同一である。すなわち、ボルト10を第1、第2の荷重機構21、22の第1、第2の押圧板8、42を共通に上下動自在に支持する支持部材として用いたものであり、これによって図1に示した第2のベースプレート40および第2のボルト41を省略することができ、また第1、第2の押圧板8、42を同一の大きさに形成することができる。
本実施の形態は、第2の荷重機構22として、ガス圧を利用して第1の押圧板8に付加荷重を掛けるようにしたものである。このため、第2の荷重機構22は、セラミックスばね43の代わりに第1の押圧板8と第2の押圧板42との間に介在された伸縮自在で高温仕様に耐え得る金属製の袋体(加圧手段)45を備え、この袋体45をガス供給管46を介して供給されるガスによって膨張させることにより第1の押圧板8に所定の荷重を掛けるようにしている。第2の荷重機構22による荷重は、袋体45に供給するガスのガス圧を調整することによって制御することができる。なお、その他の構成および第1、第2の荷重機構21、22によって掛ける荷重は、上記した第1または第2の実施の形態と略同一である。
本実施の形態は、第2の実施の形態と同様に第1、第2の加圧機構21、22の第1、第2の押圧板8、42をボルト10にそれぞれ上下動自在に配設するとともに、第2の加圧機構22の加圧手段として図7に示す第3の実施の形態と同様に袋体45を用いたものである。なお、その他の構成および第1、第2の荷重機構21、22によって掛ける荷重は、上記した第1、第2または第3の実施の形態と略同一である。
本実施の形態は、第2の荷重機構22を、第1の押圧板8に付加荷重を掛ける荷重棒(加圧手段)51と、この荷重棒51に鉛直方向で下方への力を伝える荷重装置52とで構成し、荷重棒51の上端部と荷重装置52を断熱容器5の外部に突出させることにより、外部から第1の押圧板8に対して付加荷重を掛けるようにしている。荷重棒51による第1の押圧板8に対する荷重は、荷重装置41が荷重棒51を押す力を変えることにより調整することができる。なお、その他の構成および第1、第2の荷重機構21、22によって掛ける荷重は、上記した第1、第2、第3または第4の実施の形態と略同一である。
Claims (9)
- 平板型固体酸化物形燃料電池セルを有する発電ユニットを複数枚積層して電気的に接続してなる発電部と、
初期還元後に長時間通常運転しても部品が破損しない荷重を前記発電部に掛ける第1の荷重機構と、
前記第1の荷重機構に荷重を掛けることによって、前記第1の荷重機構により荷重が掛けられている前記発電部にさらに間接的に付加荷重を掛け、前記発電部に掛かる荷重を、初期還元時に発電性能を十分に引き出すために必要な荷重とする第2の荷重機構と、
を備えたことを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池モジュール。 - 請求項1記載の平板型固体酸化物形燃料電池モジュールにおいて、
前記発電部に所定の荷重以上の荷重が掛からないようにする荷重遮断手段を備えたことを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池モジュール。 - 請求項1または2記載の平板型固体酸化物形燃料電池モジュールにおいて、
前記第1の荷重機構による荷重を調整する第1の荷重調整手段と、前記第2の荷重機構による荷重を調整する第2の荷重調整手段とを有することを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池モジュール。 - 請求項1、2、3のうちのいずれか一項記載の平板型固体酸化物形燃料電池モジュールにおいて、
前記第1の荷重機構は、支持部材に上下動自在に配設され発電部の上方に位置する第1の押圧板と、前記第1の押圧板と前記発電部との間に介在された第1の加圧手段とを備え、
前記第2の荷重機構は、前記第1の押圧板の上方に上下動自在に配設された第2の押圧板と、前記第2の押圧板と前記第1の押圧板との間に介在された第2の加圧手段とを備えていることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池モジュール。 - 請求項4項記載の平板型固体酸化物形燃料電池モジュールにおいて、
前記第1の荷重機構の第1の加圧手段と前記第2の荷重機構の第2の加圧手段は、それぞれセラミックス製の圧縮コイルばねからなることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池モジュール。 - 請求項4記載の平板型固体酸化物形燃料電池モジュールにおいて、
前記第1の荷重機構の第1の加圧手段は、セラミックス製の圧縮コイルばねからなり、前記第2の荷重機構の第2の加圧手段は、ガスが供給される伸縮自在な袋体であることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池モジュール。 - 請求項1、2、3のうちのいずれか一項記載の平板型固体酸化物形燃料電池モジュールにおいて、
前記第1の荷重機構は、支持部材に上下動自在に配設され発電部の上方に位置する第1の押圧板と、前記第1の押圧板と前記発電部との間に介在された第1の加圧手段とを備え、
前記第2の荷重機構は、前記第1の押圧板上に設置された荷重棒と、前記荷重棒に力を伝える荷重装置とを備えていることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池モジュール。 - 請求項1〜7のうちのいずれか一項記載の平板型固体酸化物形燃料電池モジュールにおいて、
前記第1の荷重機構による面圧が0.12Kgf/cm2 〜0.24Kgf/cm2 で、前記第2の荷重機構による面圧が0.24Kgf/cm2 〜0.48Kgf/cm2 であることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池モジュール。 - 平板型固体酸化物形燃料電池セルを有する発電ユニットを複数枚積層して電気的に接続してなる発電部を備えた平板型燃料電池モジュールの初期還元運転時においては、第1の荷重機構によって、初期還元後に長時間通常運転しても部品が破損しない荷重を前記発電部に直接掛けるとともに、
前記第1の荷重機構により荷重が掛けられている前記発電部に、第2の荷重機構によって前記第1の荷重機構に荷重を加えることによりさらに間接的に付加荷重を掛け、前記発電部に掛かる荷重を、初期還元時に発電性能を十分に引き出すために必要な荷重とし、
初期還元後は前記第2の荷重機構を取り除き前記第1の荷重機構のみによって前記発電部に荷重を掛けて通常運転を行なうことを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池モジュールの運転方法。
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