以下に、添付図面を参照して、本発明に係る廃トナー検知装置を備えた画像形成装置の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。又、フローチャートにおける数字の前に付されたアルファベット「S」はステップを意味する。
<画像形成装置及び廃トナー検知装置>
以下に、本発明に係る廃トナー検知装置を備えた画像形成装置について説明する。
図1は、画像形成装置の概略模式図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
尚、本発明の廃トナー検知装置が適用される画像形成装置は、例えばプリンタやスキャナ単体、あるいはプリンタ、コピー、スキャナ、ファックス等を備えた複合機等が該当し、コピーサービス、スキャナサービス、ファクシミリサービス、プリンタサービス等を備えた画像形成装置として機能する。以下に、例えばコピーサービスを利用する場合の複合機100(MFP:Multi Function Peripheral)の動作を簡単に説明する。
ユーザが、複合機100を使用してコピー機能を実行する場合、原稿を複合機100の上面に備えられている原稿台に載置する。続いて、ユーザがコピー機能に関連する設定条件を操作部101(タッチパネルを含む)から入力し、当該操作部101に設けられたスタートキーを押下して、複合機100が印刷処理を開始する。
複合機100が印刷処理を開始すると、画像読取部102において、光源103から照射された光が、前記原稿台に置かれた原稿に反射される。反射された光は、ミラー104、105、106によって撮像素子107に導かれる。導かれた光は前記撮像素子107により光電変換されて、前記原稿に対応する画像データが生成される。
さて、前記画像データをトナー像として転写する駆動部が画像形成部108である。前記画像形成部108には感光体ドラム109が備えられている。前記感光体ドラム109は、一定速度で所定の方向に回転し、その周囲には、回転方向の上流側から順に、帯電器110、露光ユニット111、現像器112、転写器113、クリーニングユニット114などが配置されている。
前記帯電器110は、前記感光体ドラム109の表面を一様に帯電させる。前記露光ユニット111は、帯電された前記感光体ドラム109の表面に、前記画像データに基づいてレーザーを照射し、静電潜像を形成する。前記現像器112は、搬送された静電潜像に、トナーを付着させてトナー像を形成する。形成されたトナー像は、前記転写器113により、記録媒体(例えば、シート)に転写される。前記クリーニングユニット114は、前記感光体ドラム109の表面に残された余分なトナー(即ち、廃トナー)を取り除く。これらの一連のプロセスは、前記感光体ドラム109が回転することにより実行される。
ここで、前記クリーニングユニット114は、図示しない廃トナー回収容器に接続されており、当該クリーニングユニット114により取り除かれた廃トナーが、当該廃トナー回収容器に収納されるようになっている。又、前記廃トナー回収容器は、図示しない廃トナー検知部により、内部の廃トナーの量が検知(算出)されるようになっている(後述する)。
さて、前記シートは、前記複合機100に備えられた複数の給紙カセット115から搬送される。搬送される時は、前記シートはピックアップローラ116により何れか1つの前記給紙カセット115から搬送路へ引き出される。前記各給紙カセット115には、それぞれ異なる紙種のシートが収容されており、前記画像形成に関する設定に基づいてシートが給紙される。
搬送路に引き出された前記シートは、搬送ローラ117やレジストローラ118により感光体ドラム109と転写器113の間に送り込まれる。送り込まれると、前記シートは前記転写器113により前記トナー像が転写され、定着装置120に搬送される。又、搬送ローラ117に搬送されるシートは、複合機100の側面に備えられた手差しトレイ119から搬送される場合もある。
前記トナー像が転写されたシートが、前記定着装置120に備えられた加熱ローラ121と加圧ローラ122の間を通過すると、前記トナー像に熱と圧力が印加されて、可視像がシートに定着される。
前記可視像がシートに定着されて画像形成が終了し、当該シートは印刷物として複合機100の側壁に設けられた排紙トレイ123に積載され、収容される。
前記手順により、複合機100はコピー機能をユーザに提供する。又、複合機100が他の機能を提供する場合は、前記画像読取部102と前記画像形成部108とが駆動して提供する。
図2は、本発明の複合機100におけるクリーニングユニット114から廃トナー回収容器に至るまでの構成を正面から示した透視図である。
クリーニングユニット114は、廃トナー移送部201と、廃トナー縦搬送路202と、廃トナー横搬送路203とを介して廃トナー回収容器204に接続されている。
前記廃トナー移送部201は、前記クリーニングユニット114が取り除いた廃トナーを廃トナー縦搬送路202に搬送する。又、前記廃トナー縦搬送路202では、搬送された廃トナーが自重により下方へ落下することで、当該廃トナーを搬送する。更に、前記廃トナー横搬送路203では、スパイラル羽などの搬送手段を用いて、上方から落下した廃トナーを前記廃トナー回収容器204に案内し、当該廃トナーを当該廃トナー回収容器204に次々と収納するよう構成されている。
ここで、前記廃トナー回収容器204の上方に接続された廃トナー横搬送路203は、当該廃トナー回収容器204に完全に接続しておらず、例えば、当該廃トナー回収容器204の上方部に適当な開口部が設けられ、当該開口部に当該廃トナー横搬送路203の一端部が所定のクリアランスを設けて差し込まれ、挿通可能になるように構成されている。又、前記クリアランスにより、前記廃トナー回収容器204が、所定の距離だけ上下方向に移動したとしても、前記廃トナー横搬送路203の一端部が当該廃トナー回収容器204の上方部の開口部から外れないように構成されている。尚、前記距離は、後述するコイルバネの両端の長さの伸縮距離に対応する。
前記複合機100の外部(側面)には、前記廃トナー回収容器204が、当該外部から取り外し可能となるように開放部が設けられており、当該開放部を介して、前記廃トナー回収容器204が前記複合機100の内部に取り付けられる(設置される)。前記設置された廃トナー回収容器204の下方には、廃トナー検知部205が予め設けられており、当該廃トナー回収容器204内の廃トナーの量を検知(算出)する。
前記廃トナー検知部205は、コイルバネ206と、電流電源207と、検知用コイル208と、検知回路209と、算出回路210とから構成される。
前記コイルバネ206は、前記設置された廃トナー回収容器204を下方から支持する。前記コイルバネ206の上端部には、前記廃トナー回収容器204の底面を位置決めする正面断面視でコの字状の皿211が設けられる。前記コイルバネ206は、例えば、前記皿210の下面の四隅にそれぞれ設けられており、特定のコイルバネ206a、例えば、複合機100の装置内部側で、電源近傍のコイルバネ206aには、その両端に、交流電流を印加する交流電源207が接続されている。これにより、特定のコイルバネ206aには、交流電流が絶えず印加(入力)され、自身の長さに応じた交番磁界(電磁界、磁束を含む)を発生することになる。
又、前記検知用コイル208は、例えば、前記コイルバネ206aから発生した電磁界によって電磁誘導が生じる所定の距離に設けられており、前記コイルバネ206aによる交番磁界を検知することが出来る。更に、前記検知回路209は、前記検知用コイル208の両端に接続され、前記電磁誘導により当該検知用コイル208に生じた起電力を検知する。そして、前記算出回路210は、前記検知回路209が検知した起電力と、所定のメモリに記憶された関係式とに基づいて前記廃トナー回収容器204における現時点の廃トナーの量を算出する。算出された廃トナーの量は、複合機100の操作部101に送信され、当該操作部101の画面に表示される(後述する)。
図3は、複合機100に備えられた操作部101の外観の一例を示す図である。ユーザは、前記操作部101を用いて、上述のような機能提供についての設定条件等を入力する。設定条件の入力等が行なわれる際に、前記操作部101に備えられたタッチパネル301、タッチペン302、操作キー303が用いられる。
前記タッチパネル301には、上述した設定条件を入力する機能と、入力された設定条件等を表示する機能とが兼ね備えられている。即ち、タッチパネル301上に表示された画面内の設定項目キー等を押下することによって、当該設定項目キー等に関連付けられた設定条件の入力が行われる。又、設定条件が入力された設定項目キー等は、その背景色を白色からグレー色へ変更してタッチパネル301上に表示されるため、ユーザによって随時視認される。更に、前記画面内に、前記廃トナー検知部205により検知された廃トナーの量が表示される場合もある。そして、複合機100に、廃トナーが満杯である旨のエラー、廃トナー回収容器を交換する旨のエラーが発生した場合、タッチパネル301には、ユーザに対してエラー等を知らせるための画面(例えば、交換画面)が表示される。表示された画面に従って、ユーザはエラーに対応することが出来る。
タッチパネル301の近傍には、タッチペン302が備えられており、ユーザがそのタッチペン302の先をタッチパネル301に接触させると、タッチパネル301下方に設けられた接触センサが接触先を検知する。そのため、タッチペン302の接触により、キーボード画面のキーの押下や所定の手書き情報の入力が可能である。
更に、タッチパネル301近傍には、所定数の操作キー303が設けられ、例えば、テンキー304、スタートキー305、クリアキー306、ストップキー307、リセットキー308、電源キー309が備えられている。
次に、図4を用いて、複合機100の制御系ハードウェアの構成を説明する。図4は、複合機における制御系ハードウェアの概略構成図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
複合機100の制御回路は、CPU(Central Processing Unit)401、ROM(Read Only Memory)402、RAM(Random Access Memory)403、HDD(Hard Disk Drive)404、各駆動部に対応するドライバ405を内部バス406によって接続している。前記CPU401は、例えば、RAM403を作業領域として利用し、前記ROM402、HDD404等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて前記ドライバ405と図示しない操作部101からのデータや指示を授受し、前記図1に示した各駆動部の動作を制御する。又、前記駆動部以外の後述する各手段(図5に示す)についても、前記CPU401がプログラムを実行することで当該各手段を実現する。
又、制御回路の内部バス406には、内部インターフェイス407も接続されており、当該内部インターフェイス407は、廃トナー検知部205の制御回路と複合機100の制御回路とを接続する。
廃トナー検知部205の制御回路には、内部バス412に、内部インターフェイス408、CPU409、ROM410、RAM411、交流電源207、検知回路209を備える。前記交流電源207には、上述したコイルバネ206aが接続されているとともに、前記検知回路209には、上述した検知用コイル208が接続されている。前記CPU409は、前記複合機100の制御回路から命令信号を受けると、前記交流電源207や前記検知回路209を起動する。又、前記CPU409は、上述した算出回路210として機能し、前記検知回路209から検知された起電力を用いて廃トナーの量を算出する。前記ROM410には、前記廃トナーの量を算出するために必要なデータ(関係式など)が予め記憶されている。更に、前記CPU409は、前記内部インターフェイス408を介して、前記複合機100の制御回路に廃トナーの量などの電気信号を送信する。尚、前記CPU409、ROM410、RAM411の機能も上記と同様であり、後述する各手段(図5に示す)についても、前記CPU409がプログラムを実行することで当該各手段を実現する。前記ROM410には、以下に説明する各手段を実現するプログラムやデータが記憶されている。
<本発明の実施形態>
次に、図5、図6を参照しながら、本発明の実施形態に係る構成及び実行手順について説明する。図5は、本発明の複合機及び操作部の機能ブロック図である。図6は、本発明の実行手順を示すためのフローチャートである。
先ず、ユーザが、複合機100の電源を投入すると(図6:S101)、当該複合機100が起動し、表示受付手段501が、コピー機能に関する設定条件を入力可能な操作画面(例えば、初期画面)をタッチパネル301上に表示するとともに、機能提供手段502が、画像形成可能な状態に移行する。
又、複合機100の廃トナー検知部205が起動し、当該廃トナー検知部205の交流手段503(交流電源207)が、廃トナー回収容器204を下方から支持するコイルバネ206aの両端に交流電流を流し(図6:S102)、更に、当該廃トナー検知部205の検知手段504(209)が、検知用コイル208に発生する起電力の検知を開始する。
ここで、前記コイルバネ206aの両端に交流電流が流れると、当該コイルバネ206aに所定の電磁界が発生する。一方、前記コイルバネ206aに発生する電磁界によって電磁誘導(相互誘導)が生じる所定の位置(例えば、数mm−数十mmなど)に前記検知用コイル208が予め設けられている。そのため、前記コイルバネ206aに電磁界が発生すると、前記電磁誘導により前記検知用コイル208に起電力が発生する。
前記検知用コイル208に起電力が発生すると、前記検知手段504がそれを検知し(図6:S103)、その旨を算出手段505に通知する。当該通知を受けた算出手段505は、記憶手段506を参照する(図6:S104)。
前記記憶手段506には、前記検知用コイル208に発生した起電力と、前記廃トナー回収容器204内の廃トナーの量との関係を示す関係式が記憶されている。
ここで、前記関係式は、前記コイルバネ206aが前記廃トナー回収容器204を支持する方向により適宜変更されるものの、例えば、図7、図8に示すように、前記コイルバネ206aが前記廃トナー回収容器204を下方から支持する場合、前記廃トナー回収容器204内の廃トナーの量が少ないと、前記コイルバネ206aの両端の長さが長くなり、前記起電力が小さくなる。又、前記廃トナー回収容器204内の廃トナーの量が多いと、前記コイルバネ206aの両端の長さが短くなり、前記起電力が大きくなる。そのため、この場合には、前記関係式として、前記検知用コイル208に発生した起電力が増加すると、前記廃トナー回収容器204内の廃トナーの量が増加する関係式が記憶される。
具体的には、前記関係式は、コイルバネ206aの種類、検知用コイル208の種類、廃トナー回収容器204の大きさ、交流手段503の交流電流の値などに応じて適宜変更されるものの、例えば、次式のように与えられる。
|e|=A×V^0.5・・・(1)
ここで、|e|は検知用コイル208に発生する起電力の絶対値(V)、Aは比例係数(V/%)、Vは、廃トナー回収容器204内の廃トナーの量の満杯を100%とした場合の現時点の廃トナーの量(%)である。この関係式(1)のAには、特定の数値が予め代入される。前記Aは、例えば、廃トナー回収容器204内の廃トナーの量Vがゼロ(0%)の場合の起電力の絶対値|e0|(V)と、廃トナー回収容器204内の廃トナーの量Vが満杯(100%)の場合の起電力の絶対値|e100|(V)とを前記関係式(1)に代入することにより、算出される。
尚、上述した前記関係式(1)の算出方法については、後述する。
さて、前記関係式(1)を参照した算出手段505は、現実に検知手段504により検知された起電力の絶対値|e|を当該関係式(1)に代入して、廃トナーの量Vを算出し(図6:S105)、その旨を報知手段507に通知する。当該通知を受けた報知手段507は、前記算出された廃トナーの量Vと、予め設定された所定の閾値(100%)とを比較して、現時点の廃トナーの量Vが当該閾値以上となるか否かを判定する(図6:S106)。
ここで、前記判定の結果、前記廃トナーの量V(例えば、20%)が前記閾値(100%)未満である場合(図6:S106NO)、前記報知手段507は、複合機100の表示受付手段501を介して、前記操作部101のタッチパネル301に表示された初期画面に、前記廃トナーの量V(20%)を表示し、当該廃トナーの量Vをユーザに知らせる(図6:S107)。
前記初期画面900には、図9(A)に示すように、コピー機能の設定条件を入力するための設定項目キー901の他に、先ほど算出された廃トナーの量902(20%)が、当該初期画面900の右下部に表示される。
これにより、前記電磁誘導を利用して、廃トナー回収容器204内の廃トナーの量を数値的に算出することが可能となるため、当該廃トナーについて詳細な情報を得ることが可能となる。特に、従来であれば、廃トナーの量が満杯か、そうでないかの2つの状態のみしか知ることが出来なかったにも関わらず、本発明では、ユーザは、廃トナーの量を具体的な数値として認識することが出来るため、廃トナー回収容器204の交換時期を前もって知ることが可能となる。更に、本発明では、1つのセンサ(検知用コイル208)により、廃トナーの量を算出することが可能となるため、部品点数を減少させ、構成を簡単にすることが可能となる。
又、本発明では、光センサを利用せず、前記電磁誘導を利用して廃トナーの量を算出する構成であるため、トナーの飛散によりコイルバネ206aや検知用コイル208が汚れたとしても、前記廃トナーの量を正確に算出することが可能となり、耐久性を高めることが可能となる。
ところで、前記判定の結果、前記廃トナーの量V(例えば、100%)が前記閾値(100%)以上である場合(図6:S106YES)、前記報知手段507は、複合機100の停止手段508にその旨を通知する。当該通知を受けた停止手段508は、複合機100の機能提供手段502に機能提供を停止するように制御する(図6:S108)。
例えば、前記停止手段508が、前記機能提供手段502を画像形成可能な状態から停止状態へ移行させたり、前記機能提供手段502に供給される電力を停止したりして、その機能提供を停止する。
これにより、前記廃トナー回収容器204内に廃トナーが満杯であるにも関わらず、コピー機能などの機能提供が行われて、廃トナーが満杯の廃トナー回収容器204に更に廃トナーが収納される事態を防止する。
又、前記報知手段507は、前記表示受付手段501を介して、前記タッチパネル301上に、廃トナー回収容器204を交換する旨の交換画面を表示して、当該廃トナー回収容器204の交換をユーザに促す(図6:S109)。
前記交換画面903には、図9(B)に示すように、廃トナー回収容器内の廃トナーが満杯である旨のメッセージ904と、複合機の機能を停止した旨のメッセージ905と、管理者又はサービスマンに連絡するように促す旨のメッセージ906と、管理者又はサービスマンの連絡先907とが表示される。
これにより、ユーザは、廃トナー回収容器204内の廃トナーが満杯であることを確認するとともに、廃トナー回収容器204を新たな廃トナー回収容器に交換するために、管理者又はサービスマンに簡単に連絡することが可能となる。
このように、本発明に係る廃トナー検知部205は、前記廃トナー回収容器204を支持するコイルバネ206aと、前記コイルバネ206aの両端に交流電流を印加する交流手段503(207)と、前記コイルバネ206aによる電磁誘導を検知する検知用コイル208とを備える。更に、廃トナー検知部205は、前記電磁誘導により検知用コイル208に生じた起電力を検知する検知手段504(209)と、前記起電力と、前記廃トナー回収容器204内の廃トナーの量との関係を示した関係式(1)を記憶する記憶手段506と、前記検知手段504により検知された起電力と、前記関係式(1)とに基づいて、現時点での廃トナーの量を算出する算出手段505とを備える。
これにより、1つのセンサ(検知用コイル208)により、廃トナーの量を算出することが可能となるため、部品点数を減少させ、構成を簡単にすることが可能となる。又、前記電磁誘導を利用して、廃トナー回収容器内の廃トナーの量を数値的に算出することが可能となるため、当該廃トナーについて詳細な情報を得ることが可能となる。更に、光センサを利用せず、前記電磁誘導を利用して廃トナーの量を算出する構成であるため、トナーの飛散によりコイルバネや検知用コイルが汚れたとしても、前記廃トナーの量を正確に算出することが可能となり、耐久性を高めることが可能となる。
ところで、上述した前記関係式(1)は、以下のように算出される。
即ち、前記電磁誘導(相互誘導)により検知用コイル208に発生する起電力eは、通常、次式のように与えられる。
e=−M×(dI/dt)・・・(2)
ここで、Mは相互インダクタンス(H)、Iはコイルバネに流れる電流(A)、tは時間(s)である。
一方、前記相互インダクタンスMは、通常、次式のように与えられる。
M=k(L1×L2)^(1/2)・・・(3)
ここで、kは結合係数(−)、L1は検知用コイル208の自己インダクタンス(H)、L2はコイルバネ206aの自己インダクタンス(H)である。
ところで、前記コイルバネ206aの自己インダクタンスL2は、当該コイルバネ206aの両端の長さLを考慮すると、通常、次式のように与えられる。
L2=(K×μ0×π×a2×N2)/L・・・(4)
ここで、Kは長岡係数(−)、μ0は真空時の透磁率(H/m)、aはコイルバネ206aの半径(m)、Nはコイルバネ206aの巻き数(−)、Lはコイルバネ206aの両端の長さ(m)である。
そして、前記コイルバネ206aの両端の長さLは、図7に示すように、前記廃トナー回収容器204内の廃トナーの量Vがゼロ(0%)である場合に最も長く(L0)、図8に示すように、前記廃トナー回収容器204内の廃トナーの量が満杯(100%)である場合に最も短くなる(L100)。そのため、前記コイルバネ206aの両端の長さLが、単純に廃トナーの量Vに対して反比例の関係であると仮定すると、前記コイルバネ206aの両端の長さLは、次式のように与えられる。
L=B/V・・・(5)
ここで、Bは比例係数(m/%)である。上述した関係式(2)−(5)をそれぞれ代入し、起電力eを絶対値とすると、前記関係式(1)が算出される。
尚、前記関係式(5)は、特に、コイルバネ206aの種類、検知用コイル208の種類、廃トナー回収容器204の大きさ、交流手段503の交流電流の値などに応じて変更されうる関係式である。
ところで、本発明の実施形態では、前記コイルバネ206aが前記廃トナー回収容器204を下方から支持する場合であり、前記関係式(1)として、前記検知用コイル208に発生した起電力が増加すると、前記廃トナー回収容器204内の廃トナーの量が増加する関係式(1)が前記記憶手段506に記憶される構成を採用したが、他の構成でも構わない。
例えば、前記コイルバネ206aが前記廃トナー回収容器204を上方から支持する場合、前記廃トナー回収容器204内の廃トナーの量が少ないと、前記コイルバネ206aの両端の長さが短くなり、前記起電力が大きくなる。又、前記廃トナー回収容器204内の廃トナーの量が多いと、当該廃トナーの量の自重により、前記コイルバネ206aの両端の長さが長くなり、前記起電力が小さくなる。そのため、この場合は、前記関係式(1)として、前記検知用コイル208に発生した起電力が増加すると、前記廃トナー回収容器204内の廃トナーの量が減少する関係式(1)が前記記憶手段506に記憶される。又、他の構成であっても構わない。
又、本発明の実施形態では、前記報知手段507が、一の閾値(100%)を利用して、前記廃トナー回収容器204内の廃トナーの量が満杯か否かを判定するよう構成したが、本発明では、当該廃トナーの量を検知(算出)することが出来ることから、当該報知手段507が、複数の閾値(例えば、80%、90%、100%など)を利用して、前記廃トナーの量を段階的に判定し、それに対応した表示を行なうよう構成しても構わない。例えば、第一の閾値として80%を、第二の閾値として100%を採用し、前記廃トナーの量が第一の閾値以上となると、前記報知手段507が、廃トナー回収容器204の交換時期が近い旨の画面を表示し、前記廃トナーの量が第二の閾値以上となると、前記報知手段507が、前記交換画面を表示するよう構成しても構わない。
又、本発明の実施形態では、前記廃トナーの量が所定の閾値(100%)未満の場合、前記報知手段507が、当該廃トナーの量を前記初期画面(の一部)に常時表示するよう構成したが、他の構成でも構わない。例えば、前記初期画面から、複合機100のメンテナンスに関連するシステムメニュー画面に移行した場合に、前記報知手段507が、当該システムメニュー画面(の一部)に、前記廃トナーの量を表示するよう構成しても構わない。
又、本発明の実施形態では、前記コイルバネ206aや前記検知用コイル208の構成について前記電磁誘導が生じれば、特に限定する必要がないものの、例えば、磁束の大きさや起電力の大きさを向上させたい場合に、前記コイルバネ206aや前記検知用コイル208のコイルの半径を大きくしたり、コイルの巻き数を増やしたり、鉄心などのコアを内部に挿入したりしても構わない。
又、本発明の実施形態では、複数のコイルバネ206で前記廃トナー回収容器204を支持するよう構成したが、当該廃トナー回収容器204の大きさやコイルバネ206の強度によるものの、一のコイルバネ206でも構わない。
又、本発明の実施形態に係る廃トナー検知部205では、複合機100のコピー機能の処理に関して採用したが、例えば、ファクシミリ受信機能、プリント機能等に対しても採用できる。更に、本発明の実施形態では、廃トナー検知部205を複合機100に適用した場合について説明したが、廃トナー検知部205を備えた各種画像形成装置、各種画像処理装置等に適用しても、同一の作用効果を奏する。