A1およびA2は、好ましくは、互いに独立に、置換されていてもよい1,4−フェニレン、−CH2−が−O−によって1回または2回置き換えられていてもよく置換されていてもよい1,4−シクロヘキシレン、または、置換されていてもよい1,4−シクロヘキセニレンである。nまたはmが2の場合、環A1およびA2は、同一または異なる意味の何れを採用してもよい。
A1およびA2は、特に好ましくは、互いに独立に、
であり、
A
1およびA
2は、非常に特に好ましくは、1,4−シクロヘキシレンおよび/またはフッ素置換されていてもよい1,4−フェニレンである。
本発明の好ましい実施形態において、m+nは1に等しく、A1、A2は、互いに独立に、
Z1およびZ2は、好ましくは互いに独立に、単結合、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2CF2−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−または−CF=CF−、特に好ましくは互いに独立に、単結合、−CF2O−、−OCF2−、−CH2O−、−OCH2−、−CF2CF2−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−または−CF=CF−である。Z1およびZ2は、非常に特に好ましくは互いに独立に、単結合、−CF2O−、−OCF2−、−CH2O−、−OCH2−または−CF=CF−、特には、単結合である。
パラメータmおよびnは、和m+nにおいて、好ましくは、0、1、2または3、特には、0、1または2の値を有する。m+n=0の場合、好ましくは、L1およびL2からの少なくとも一方の基、特に好ましくは、両方の基がFを表す。加えて、m+n=0の場合、R1およびR2は、好ましくは、水素を表さない。
R1およびR2は、好ましくは、それぞれ互いに独立に、1〜7個または2〜7個の炭素原子をそれぞれ有するアルカニル基、アルコキシ基またはアルケニル基(ただし、これらの基のそれぞれは無置換であるか、または、ハロゲンによって1置換または多置換されている。)またはフッ素または水素、特に好ましくは、記載される通りのアルカニル基、アルコキシ基またはアルケニル基を表す。
一般式IにおけるR1およびR2は、特に好ましくは、互いに独立に、1〜7個または2〜7個の炭素原子をそれぞれ有するアルカニル基、アルコキシ基またはアルケニル基であり、ただし、これらの基のそれぞれは、好ましくは、無置換であるか、または、ハロゲンによって1置換または多置換されている。m=0の場合、R1は、好ましくは、アルキルまたはアルコキシ基、HまたはF、特に好ましくは、1〜6個のC原子を有するアルキル基を表す。
式IにおけるR1およびR2が、それぞれ互いに独立に、1〜15個のC原子を有するアルカニル基および/またはアルコキシ基(アルキルオキシ基)を表す場合、これは直鎖状または分岐状である。これらの基のそれぞれは、好ましくは、直鎖状で、1、2、3、4、5、6または7個のC原子を有しており、従って、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシまたはヘプチルオキシである。
また、式IにおけるR1およびR2は、それぞれ互いに独立に、オキサアルキル基、即ち、非末端のCH2基の少なくとも1個が−O−によって置き換えられたアルカニル基、好ましくは、直鎖状の2−オキサプロピル(即ち、メトキシメチル)、2−(即ち、エトキシメチル)または3−オキサブチル(即ち、メトキシエチル)、2−、3−または4−オキサペンチル、2−、3−、4−または5−オキサヘキシル、または、2−、3−、4−、5−または6−オキサヘプチルであってよい。また対応して、式IにおけるR1およびR2は、互いに独立に、チオアルカニルまたはスルホンアルカニル基、即ち、1個のCH2基が−S−または−SO2−で置き換えられたアルカニル基でも構わない。
更に、式IにおけるR1およびR2は、それぞれ互いに独立に、直鎖状または分岐状で少なくとも1個のC−C二重結合を有し2〜15個のC原子を有しているアルケニル基でよい。それは、好ましくは、直鎖状で2〜7個のC原子を有する。従って、それは、好ましくは、ビニル、プロパ−1−または−2−エニル、ブタ−1−、−2−または−3−エニル、ペンタ−1−、−2−、−3−または−4−エニル、ヘキサ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−エニル、またはヘプタ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−または−6−エニルである。C−C二重結合の2個のC原子が置換されている場合、アルケニル基はEおよび/またはZ異性体(トランス/シス)のいずれの形式でもよい。一般に、それぞれのE異性体が好ましい。
アルカニル基の場合と同様に、アルケニル基における少なくとも1個のCH2基も、酸素、硫黄または−SO2−で置き換えられていてよい。−O−によって置き換えられている場合、アルケニルオキシ基(末端酸素を有する)またはオキサアルケニル基(非末端酸素を有する)が存在する。
また、式IにおけるR1およびR2は、互いに独立に、直鎖状または分岐状で少なくとも1個のC−C三重結合を有し2〜15個のC原子を有しているアルキニル基でもよい。
式IにおけるR1およびR2は、それぞれ互いに独立に、一つのCH2基が−O−によって置き換えられ、一つが−CO−によって置き換えられいる(ただし、これらは好ましくは隣接しており)、1〜15個のC原子を有するアルカニル基でよい。よって、これは、アシルオキシ基−CO−O−またはオキシカルボニル基−O−CO−を含む。この基は、好ましくは、直鎖状で2〜6個のC原子を有する。本明細書においては、これらの基の以下が好ましい:アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセトキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、2−アセトキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセトキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピルおよび4−(メトキシカルボニル)ブチル。更に、アルカニル基は−O−CO−O−単位を有する場合もある。CH2基を1個のみの−CO−基(カルボニル性)で置き換えることもあり得る。
式IにおけるR1およびR2は、それぞれ互いに独立に、好ましくは、無置換または置換された−C=C−単位の付近のCH2基が−CO−、−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−によって置き換えられており2〜15個のC原子を有するアルケニル基であってよく、ただし、この基は直鎖状または分岐していてもよい。該基は、好ましくは、直鎖状で4〜13個のC原子を有する。本明細書においては、アクリロイルオキシメチル、2−アクリロイルオキシエチル、3−アクリロイルオキシプロピル、4−アクリロイルオキシブチル、5−アクリロイルオキシペンチル、6−アクリロイルオキシヘキシル、7−アクリロイルオキシヘプチル、8−アクリロイルオキシオクチル、9−アクリロイルオキシノニル、メタアクリロイルオキシメチル、2−メタクリロイルオキシエチル、3−メタクリロイルオキシプロピル、4−メタクリロイルオキシブチル、5−メタクリロイルオキシペンチル、6−メタクリロイルオキシヘキシル、7−メタクリロイルオキシヘプチルおよび8−メタクリロイルオキシオクチルが特に好ましい。対応して、アルキニル基における置換された−C≡C−単位の付近のCH2基も、−CO−、−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−によって置き換えられていてもよい。
式IにおけるR1およびR2は、それぞれ互いに独立に、それぞれ−CNによって1置換された1〜15個のC原子を有するアルカニル基またはアルコキシ基または2〜15個のC原子を有するアルケニル基またはアルキニル基でよく、ただし、これらは好ましくは直鎖状である。−CNによる置換は、任意の所望の位置で可能である。
式IにおけるR1およびR2は、それぞれ互いに独立に、2個以上のCH2基が−O−および/または−CO−O−によって置き換えられたアルカニル基でよく、ただし、これは、直鎖状でも分岐していてもよい。それは、好ましくは、分岐しており3〜12個のC原子を有する。
式IにおけるR1およびR2は、それぞれ互いに独立に、それぞれ、F、Clおよび/またはBrによって1置換または多置換された1〜15個のC原子を有するアルカニル基またはアルコキシ基または2〜15個のC原子を有するアルケニル基またはアルキニル基でよく、ただし、これらの基は好ましくは直鎖状であり、ハロゲンは好ましくは−Fおよび/または−Clである。多置換の場合、ハロゲンは好ましくは−Fである。得られる基は、−CF3などのペルフルオロ化された基も含む。1置換の場合、フッ素または塩素置換基は任意の所望の箇所で構わないが、好ましくはω位である。
また、式IにおけるR1およびR2は、それぞれ互いに独立に、−F、−Cl、−Br、−CN、−SCN、−NCSまたは−SF5でもよい。この場合、誘電異方性は更に正の値へと増加する。非常に特に強い負の誘電異方性のためには、これらの置換基が選択されてはならない。しかしながら、それれは、高いΔεのためには好ましい。
本発明に関しては、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、特には、フッ素または塩素を表す。
本発明に関しては、本明細書または請求項における他の箇所において他に定義されない限り、用語「アルキル」は、1〜15個(即ち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個)の炭素原子を有する直鎖状または分岐した脂肪族炭化水素基を表す。このアルキル基が飽和基の場合、それを「アルカニル」とも言う。
サブ式IA〜IFより選択される本発明による式Iの化合物が特に好ましい。
式中、R
1、R
2、A
1、A
2、L
1、L
2、m、n、Z
1およびZ
2は、式Iに対して上で定義される通りと同じ意味および同じ好ましい意味を有する。
式IA〜IFにおいてA1およびA2またはZ1およびZ2が2回出現する場合、それらは、それぞれの場合において、同一または異なる意味のいずれを有していてもよい。
n+m=0の場合の式IAの非常に特に好ましい化合物は、以下である:
式中、
R
1、R
2は、好ましくは、8個までのC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表す。
上および下において、それぞれの場合にサブ式において、部分構造
(式中、pは、0、1、2、3または4を表す。)
は、互いに独立に、好ましくは、式
上および下の式における添え字pが1回より多く出現する場合、それは、それぞれの出現において、それぞれの場合に同一または異なる意味のいずれを有していてもよく、好ましくは、0、1または2である。
n+m=1の場合の式IAの非常に特に好ましい化合物は、以下である:
式中、
R
1およびR
2は、上で定義される通りと同様の意味を有する。
n+m=2の場合の式IAの非常に特に好ましい化合物は、以下である:
式中、
R
1およびR
2は、上で定義される通りと同様の意味を有する。
n+m=0の場合の式IBの非常に特に好ましい化合物は、以下である:
式中、
R
1およびR
2は、好ましくは、8個までのC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表す。
n+m=1の場合の式IBの非常に特に好ましい化合物は、以下である:
式中、
R
1、R
2およびpは、上で定義される通りと同様の意味を有する。
n+m=2の場合の式IBの非常に特に好ましい化合物は、以下である:
式中、
R
1、R
2およびpは、上で定義される通りと同様の意味を有する。
n+m=0の場合の式ICの非常に特に好ましい化合物は、以下である:
式中、
R
1、R
2は、好ましくは、8個までのC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表す。
n+m=1の場合の式ICの非常に特に好ましい化合物は、以下である:
式中、
R
1、R
2およびpは、上で定義される通りと同様の意味を有する。
n+m=2の場合の式ICの非常に特に好ましい化合物は、以下である:
式中、
R
1、R
2およびpは、上で定義される通りと同様の意味を有する。
n+m=0の場合の式IDの非常に特に好ましい化合物は、以下である:
式中、
R
1、R
2は、好ましくは、8個までのC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表す。
n+m=1の場合の式IDの非常に特に好ましい化合物は、以下である:
式中、
R
1、R
2およびpは、上で定義される通りと同様の意味を有する。
n+m=2の場合の式IDの非常に特に好ましい化合物は、以下である:
式中、
R
1、R
2およびpは、上で定義される通りと同様の意味を有する。
n+m=0の場合の式IEの非常に特に好ましい化合物は、以下である:
式中、
R
1、R
2は、好ましくは、8個までのC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表す。
n+m=1の場合の式IEの非常に特に好ましい化合物は、以下である:
式中、
R
1、R
2およびpは、上で定義される通りと同様の意味を有する。
n+m=2の場合の式IEの非常に特に好ましい化合物は、以下である:
式中、
R
1、R
2およびpは、上で定義される通りと同様の意味を有する。
n+m=0の場合の式IFの非常に特に好ましい化合物は、以下である:
式中、
R
1、R
2は、好ましくは、8個までのC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表す。
n+m=1の場合の式IFの非常に特に好ましい化合物は、以下である:
式中、
R
1およびR
2は、上で定義される通りと同様の意味を有する。
n+m=2の場合の式IFの非常に特に好ましい化合物は、以下である:
式中、
R
1およびR
2は、上で定義される通りと同様の意味を有する。
それらが例えば不斉中心を有することにより、本発明による化合物の基または置換基または本発明による化合物自身が光学活性または立体異性な基、置換基または化合物の形態である場合、これらも同様に本発明に包含される。本明細書においては、本発明による一般式Iの化合物が、異性体的に純粋な形態、例えば、純粋な鏡像異性体、ジアステレオマー、EまたはZ異性体、トランスまたはシス異性体として、または任意の所望の比率での複数の異性体の混合物として、例えば、ラセミ体、E/Z異性体混合物として、またはシス/トランス異性体混合物として存在してもよいことは言うまでもない。
本発明による化合物における、および液晶媒体の他の成分における式
の1,4−置換シクロヘキシル環は、好ましくは、トランス立体配置を有し、即ち、2個の置換基が両者とも熱力学的に好ましい椅子型配座においてエクアトリアル位にある。
一般式Iの化合物は、文献(例えば、Houben−Weyl著、Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Georg−Thieme−Verlag社、Stuttgart市などの標準的な著作)において記載される通り、それ自身既知の方法によって調製でき、正確には既知で前記反応に適する反応条件下で行う。本明細書においては、本明細書において非常に詳細には述べていない、それ自身既知の変法を使用してもよい。
所望により、反応混合物より出発材料を単離せず、代わりに直ちに出発材料を更に一般式Iの化合物に転化し、その場で出発材料を形成してもよい。
本発明による一般式Iの各種の化合物の合成を、例において例示により記載する。出発物質は、一般に入手可能な文献の方法により入手できるか、または、商業的に入手可能である。
スキームI〜XXXを参照して、本発明による化合物への特に適切な合成経路を下に説明する。以下のスキームにおける置換基R1、R2、A1、A2、Z1、Z2および添え字mおよびnは、式Iに対する通りの意味を少なくとも有する;また、R1およびR2は、OTs(トシレート)、OTf(トリフレート)、OMes(メシレート)、−B(OH)2、−B(O−アルキル)2または−B<(O−C2〜10−アルキレン−O)より選択される誘導可能な基でもよい。同様に、置換基R11およびR22は、R1/R2の、このように拡張された意味を有する。
置換基A22およびZ22は、一般に、基A2およびZ2と同様に、それぞれ定義される;基−[Z22−A22]n−R22における変数は、該基が、−[Z22−A22]n−R22および3環式基の間の最も近い基と共に、式−[Z2−A2]n−R2の基に全体として対応するように選択される。よって、例えば、式−CH=CH−[Z22−A22]n−R22または式−Ph−[Z22−A22]n−R22の基も、式−[Z2−A2]n−R2の基に形式的に対応するよう意図される。
式Iの化合物は、好ましくは、化合物2より出発して合成される(スキームI参照)。
プロパルギルアルコール類3(方法A)[O.Mitsunobu、Synthesis 1981年、1]またはプロパルギルブロミド類4(方法B)を使用して化合物2をエーテル化し、対応する化合物5を与える。プロパルギルアリールエーテル5をN,N−ジエチルアニリン中において加熱し[3.3]−シグマトロピー転位を受けさせ、クロメン誘導体6を与える[H.Ishii、T.Ishikawa、S.Takeda、S.Ueki、M.Suzuki、Chem.Pharm.Bull.1992年、40巻、1148〜1153頁]。次いで、最終的な水素化によって、本発明による式Iの化合物、または、それを調製するための中間体に対応する目標化合物1を与える。
適切な出発材料2および3または4の選択を通して、該合成を式Iのそれぞれ所望の化合物に適応できる。適切なプロパルギルアルコール類3またはプロパルギルブロミド類4は商業的に入手可能であるか、または、既に公開された方法によって合成できるかの何れかである。
出発材料2の合成を、幾つかの例を参照して下に説明する。
式Iの化合物における環Bがシクロヘキシル基を表す場合で、およびL1およびL2の両者がFと等しい場合、化合物2(または、ここでは、化合物2a)の合成を化合物7より出発し、化合物7の合成は国際特許出願公開第2004/029015号パンフレットに開示されている(スキームII参照)。
β−テトラロン7の官能化を、対応するグリニャールまたは有機リチウム化合物の塩化セリウム(III)で促進された付加反応によって出発する{a)N.Takeda、T.Imamoto、Org.Synth.1999年、76巻、228〜238頁 b)M.Scommodaら J.Org.Chem.1996年、61巻、4379〜4390頁参照}。塩化メシルおよびDBUでの処理による脱離(M.Scommodaら、上参照)により、異性体混合物中における主成分として化合物9を与える。これらを水素化し、対応するテトラヒドロナフタレン類10を与え、次いで、それを、オルト−金属化およびその場で形成されたボロン酸エステルの加水分解および酸化の反応順序を経てテトラヒドロナフトール類2aに転化する。
本発明による式Iの化合物における環Bがシクロヘキシル基を表すことを意図している場合で、およびL1およびL2の両者がFと等しい場合、後の反応順序を中間体9によって行い、対応する出発材料2(即ち、スキームVIIにおける2c)を与える。
本発明による式Iの化合物における環Bがシクロヘキシル基を表す場合で、および置換基L1および/またはL2の一方がHと等しい場合、化合物11より出発して、化合物2の合成を行う。11におけるL1またはL2は、好ましくは、Hであり、他の置換基はFである。
スキームIIに類似して、この目的のために、対応するグリニャールまたは有機リチウム化合物の塩化セリウム(III)で促進された付加反応(上参照)によって、化合物11(6−メトキシナフタレン−2−オン類)を最初に官能化する。今度は脱離(上参照)し、異性体混合物中における主成分として化合物13を与える。それらを水素化して、6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン類14を与える。最後に、三臭化ホウ素を使用して、メチルエーテルを開裂する(a)J.F.W.McOmie、D.E.West、Org.Synth.、Coll.V巻 1973年、412頁;b)E.H.Vickery、L.F.Pahler、E.J.Eisenbraun、J.Org.Chem.1979年、44巻、4444〜4446頁参照)。
化合物2における環Bがシクロヘキセニル基を表すことを意図している場合で、およびL1および/またはL2がHと等しいことを意図している場合、中間体13を使用してメチルエーテルの開裂を行い、対応する出発材料2(即ち、スキームXにおける2d)を与える。
スキームIIIに示す合成順序のためには、置換基L1またはL2の一方のみがFと等しく、残りの置換基が水素と等しい場合(スキームIV参照)、出発材料7−フルオロ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−ナフタレン−2−オン11a(即ち、L1がFでL2がHである11)および8−フルオロ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−ナフタレン−2−オン11b(即ち、L1がHでL2がFである11)が必要である。これらの出発材料は、国際特許出願公開第2004/029015号パンフレットにおいて使用される方法を使用し同様にして、3−フルオロ−4−メトキシフェニル酢酸15および2−フルオロ−4−メトキシフェニル酢酸16より、それぞれ調製する。
2−フルオロアニソールより出発する3−フルオロ−4−メトキシフェニル酢酸15の合成が、M.Kucharら(Collect.Czech.Chem.Commun.1990年、55巻、296〜306頁)により記述された。2−フルオロ−4−メトキシフェニル酢酸16は、2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル酢酸[S.−I.Sugita、S.Toda、T.Yoshiyasu、T.Teraji、Mol.Cryst.Liq.Cryst.1993年、237巻、399〜406頁;E.J.Corey、J.P.Dittami、J.Am.Chem.Soc.1985年、107巻、256〜257頁;H.H.Wassermann、J.Wang、J.Org.Chem.1998年、63巻、5581〜5586頁]より、ジメチル化およびエステル鹸化により得る。
非フッ化合成構築ブロック2(ただし、L1およびL2はH)は、6−メトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−ナフタレン−2−オン(L1およびL2がHである11)より出発して得る。6−メトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−ナフタレン−2−オン(L1およびL2がHである11)の合成は記載されている[S.N.Suryawanshi、S.N.Fuchs、J.Org.Chem.1986年、51巻、902〜921頁]。
化合物2の更に特に好ましい合成は、化合物17または化合物18より出発する。17の合成は、7より出発し、エノールエーテルを生成し、それをトリフルオロ酢酸無水物と反応させて行う。化合物18は、化合物11より類似して調製する(スキームV参照)。
エノールトリフレート17および18は、遷移金属で促進された交差カップリング反応における種々の様式において官能化できる[Metal−catalyzed Cross−coupling Reactions(A.de Meijre、F.Diederich編)、Wiley−VCH、Weinheim、第2版、2004年](スキームVIおよびスキームIX参照)。アリールボロン酸19(鈴木カップリング)、アルケニルボロン酸21および23[C.Sun、R.Bittman、J.Org.Chem.2006年、71巻、2200〜2202頁およびA.Torrado、S.Lopez、R.Alvarez、A.R.de Lera、Synthesis 1995年、285〜293頁]、他のボロン酸25[T.Oh−e、N.Miyaura、A.Suzuki、J.Org.Chem.1993年、58巻、2201〜2208頁]、グリニャール試薬26[B.Scheiper、M.Bonnekessel、H.Krause、A.Furstner、J.Org.Chem.2004年、69巻、3943〜3949頁]および末端アルキン類27[Y.Zhao、K.Campbell、R.R.Tykwinski、J.Org.Chem.2002年、67巻、336〜344頁]による交差カップリングが、官能化されたジヒドロナフタレン誘導体9(一般式)または13(一般式)を得るために特に好ましい方法である。スキームVIにおいて、エノールトリフレート17の交差カップリング反応の幾つかの例を示す。
スキームVIIおよびスキームVIII(スキームIIも参照)において再び示す通り、この官能化より生成物9(一般式、スキームIIIより)を所望の化合物2へ転化する。
本発明による化合物1におけるBがシクロヘキセニル基であることを意図する場合、化合物9を、オルト−金属化および加水分解および、その場で形成されたボロン酸エステルの酸化の反応順序を経て(スキームVII参照)ジヒドロナフトール類2cへ転化する。
本発明による化合物1におけるBがシクロヘキシル基であることを意図する場合、上の通り(スキームVIII参照)、先ず化合物9を水素化して化合物10を与え、引き続いて対応するテトラヒドロナフトール類2aに転化する。
スキームIXは、エノールトリフレート類18の交差カップリング反応の幾つかの例を示す。
スキームXおよびスキームXI(スキームIIIも参照)において再び示す通り、この官能化からの生成物13(一般式)を所望の化合物2へ転化する。
化合物2における環Bがシクロヘキセニル基を表すことを意図する場合で、および、L1および/またはL2がHと等しいことを意図する場合、中間体13を使用してメチルエーテルの開裂を行い、対応する出発材料2dを与える(スキームX参照)。
化合物2における環Bがシクロヘキシル基を表すことを意図する場合で、および、L1および/またはL2がHまたはFと等しいことを意図する場合、メチルエーテルの開裂前に、化合物14を与える水素化を行う(スキームXI参照)。
式Iの化合物における環Bがフェニル基(L3がH)またはフッ化フェニル基(L3がF)を表す場合で(スキームXII参照)、および、L1およびL2が両者ともFと等しい場合、化合物33(L3がHまたはF)より合成を出発し、化合物33の合成は国際特許出願公開第2004/029015号パンフレットに開示されている。
これらの中間体33およびそれらより得られるトリフレート類34(スキームXII参照)を、多様な様式において官能化できる(スキームXIII、XIVおよびXV参照)。
R2−(A2−Z2)n−がアルコキシ基を表すことを意図する場合、ヨウ化または臭化アルキルを使用し、33の単純なエーテル化を行う(スキームXIII参照)。
(2,3−ジフルオロフェニル)酢酸クロリドより出発し、L3がHである化合物33を得るのに適する更なる方法が文献[H.Juteau、Y.Gareau、H.Lachance、Tetrahedron Lett.2005年、46巻、4547〜4549頁]に記載されている。この様式においては、(2,3−ジフルオロフェニル)酢酸クロリドを、例えば、トリメチルシリルアセチレンと塩化アルミニウム(III)の存在下において反応させ、対応する2−トリメチルシリルナフトールを与える。次いで、シリル基を除去(例えば、DMF中でフッ化カリウムを使用)して、化合物33を与える。
R2−(A2−Z2)n−がアルケニル基を表すことを意図する場合、パラジウムを触媒とする交差カップリング{a)C.Sun、R.Bittmann、J.Org.Chem.2006年、71巻、2200〜2202頁;b)A.Torrado、S.Lopez、R.Alvarez、A.R.de Lera、Synthesis 1995年、285〜293頁参照}において、トリフレート類34を対応するアルケニルボロン酸と反応させる。次いで、水素化により、これらのアルケニル化合物37を対応する飽和化合物38へ転化できる(スキームXIV参照)。
更に、例えば、アリールボロン酸(鈴木カップリング)、末端アルキン類(薗頭カップリング)およびグリニャール試薬(熊田カップリングまたは鉄(III)で促進された交差カップリング)(スキームXV参照、ここでは、グリニャール試薬へのカップリングを経由する官能化のみを示す。更なる官能化の可能性のためには、スキームVIまたはスキームIX参照。)によるトリフレート類34の遷移金属で促進された交差カップリングが、官能化されたナフタレン誘導体39を得るための特に好ましい方法である。
次いで、これらの官能化されたナフタレン誘導体39(一般式)を、再び、オルト−金属化、ボロン酸エステルの生成およびそれの加水分解および酸化の反応順序を経てナフトール類2(即ち、2e)へ転化する(スキームXVI参照)。スキームIにおいて示される通り、これらのナフトール類2によって該方法を継続する。
式Iの化合物における環Bがフッ素化されていないフェニル基(L3がH)を表す場合で、L1および/またはL2がHと等しく、ただし、Hと等しくない置換基L1またはL2が好ましくはFであることを意図する場合、化合物13より出発して、化合物2(ここでは、2f)の合成を行う(スキームXVII参照)。化合物13の合成は、既に上に存在している。
臭素で処理することによって、テトラロン類13を対応するナフトール類40へ転化する(国際特許出願公開第2004/029015号パンフレット参照)。次いで、40より得られるトリフレート類41を、34に対して上に記載される通りの多様な様式において官能化できる(スキームXIVおよびスキームXV参照)。スキームXVIIは、熊田カップリング経由する41の官能化のみを示す。上に記載される通り(スキームVIおよびスキームIX参照)、トリフレート類41の更なる反応も可能である。メチルエーテル42を開裂して、更なる反応に必要な出発材料2fを与える(スキームI参照)。
2fにおけるR2−(A2−Z2)n−がアルコキシ基を表すことを意図する場合、合成を変更しなければならない。第1に、他のアルキルアリールエーテル(A.K.Chakrabortiら J.Org.Chem.2002年、67巻、6406〜6414頁;G.Majetichら Tetrahedron Lett.1994年、35巻、8727〜8730頁;E.Duranら Heterocycles 2002年、57巻、825〜856頁)またはアリールアリルエーテル(M.T.Konieczny、G.Maciejewski、W.Konieczny、Synthesis 2005年、1575〜1577頁参照)の存在下において、アリールメチルエーテルを開裂できる方法を、化合物7fの合成の最終工程(スキームXVII)において使用できる。代わりの好ましい方法をスキームXVIIIに示す。ここで、ブロモテトラロン類43より出発して、中間体2gの合成を行う。今度は、臭素で処理することによって[国際特許出願公開第2004/029015号パンフレット]、これらを対応する6−ブロモナフタレン−2−オール類44へ転化し、次いで、所望のエーテル46へ転化できる。次いで、所望のナフトール類2gへの更なる転化を、Mg、グリニャールまたは有機リチウム化合物で金属化によって開始する。
置換された4−ブロモトルエン類47より出発し、文献の手順に従って、4−ブロモテトラロン類43の合成を行う(スキームXIX、国際特許出願公開第2004/029015号パンフレット;M.T.Koniecznyら Synthesis 2005年、1575〜1577頁;B.P.Imbimboら J.Med.Chem.2005年、48巻、5705〜5720頁参照)。4−ブロモ−3−フルオロトルエン(47、L1がF、L2がH)および4−ブロモ−2−フルオロトルエン(47、L1がH、L2がF)は商業的に入手可能である。NBSを使用して、最初に、ブロモトルエン類47のメチル基を臭素化し、シアン化カリウムを使用して、ブロモメチレン化合物48を対応するニトリル類へ転化する。次いで、これらを加水分解してフェニル酢酸49とし、次いで、所望のブロモテトラロン類43へ転化する。
フッ素化されていない合成構築ブロック43(L1およびL2がH)の合成は、D.M.Tschaenら J.Org.Chem.1995年、60巻、4324〜4330頁によって記載されている。
式Iの化合物における環Bがフッ化フェニル基(L3がF)を表す場合で、L1および/またはL2がHと等しく、ただし、Hと等しくない置換基L1またはL2が好ましくはFであることを意図する場合、同様にして、ブロモナフトール類44より出発し、化合物2(特に、2hおよび2i)の合成を有利に行う(スキームXXおよびスキームXXI参照)。
Selectfluor(登録商標)(F−TEDA−BF4)を使用して、最初に、ナフトール類44をフッ素化し、ジフルオロ−1H−ナフタレン−2−オン類50を与え(国際特許出願公開第2004/029015号パンフレット参照)、次いで、1H−ナフタレン−2−オール類51に還元する。塩基で処理して、これらを再芳香族化し、フッ化水素が脱離された化合物52を与える。次いで、化合物52も、R2−A2−Z2がアルコキシ基を表すことを意図する化合物の合成のための中心的な中間体である(スキームXX、最終反応)。このためには、適切なハロゲン化アルキルを使用して、それらを最初にエーテル化し、続いて、ナフトール2hへ転化する。
52より出発し、トリフレート53を経由して官能化を行うことができる。各種のグリニャール試薬と示した交差カップリング(スキームXXI参照)において、トリフレートおよび臭素官能基の効果的な区別が起きる[T.Kamikawa、T.Hayashi、Tetrahedron Lett.1997年、38巻、7087〜7090頁]。54をナフトール2iに転化し、更なる合成に必要な出発材料2(特に、2i)を与える(スキームI参照)。
1,2,3,8,9,10−ヘキサヒドロピラノ[3,2−f]クロメン類、略してピラノクロマン類は、環Bが酸素ヘテロ環を表す式Iの化合物である。これらの化合物も、対応する化合物2よりスキームIに従って調製する。
式Iの化合物における環Bが酸素ヘテロ環を表す場合で、L1およびL2が両者ともFと等しい場合、出発材料として、7,8−ジフルオロクロマン−6−オール類2jが必要である。これらは、2,3−ジフルオロフェノール(51)または3,4−ジフルオロ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド(55)より出発して合成される[a)N.J.Lawrence、L.A.Hepworth、D.Rennison、A.T.McGown、J.A.Hadfield、J.Fluorine Chem.2003年、123巻、101〜108頁。b)E.Marzi、J.Gorecka、M.Schlosser、Synthesis 2004年、1609〜1618頁](スキームXXII参照)。
このために、2,3−ジフルオロフェノール(51)およびプロパルギルアルコール52を最初に光延エーテル化によって反応させ、プロパルギルアリールエーテル53を与え、適切な条件下において熱的[3.3]−シグマトロピー転位を受けさせ、2H−クロメンを与える。これらのクロメン類は穏和な条件下で容易に水素化でき、対応するクロマン類54を与える。
あるいは、これらの7,8−ジフルオロクロマン類2jを、Petasisら[a)N.A.Petasis、I.Akritopoulou、Tetrahedron Lett.1993年、34巻、583〜586頁;b)N.A.Petasis、I.A.Zavialov、J.Am.Chem.Soc.1997年、119巻、445〜446頁;c)N.A.Petasis、I.A.Zavialov、J.Am.Chem.Soc.1998年、120巻、11798〜11799頁]によって記載され、WangおよびFinn[Q.Wang、M.G.Finn、Org.Lett.2000年、2巻、4063〜4065頁]によって更に発展された反応を経由して、3,4−ジフルオロ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド(55)より得る[a)N.J.Lawrence、L.A.Hepworth、D.Rennison、A.T.McGown、J.A.Hadfield、J.Fluorine Chem.2003年、123巻、101〜108頁;b)E.Marzi、J.Gorecka、M.Schlosser、Synthesis 2004年、1609〜1618頁]。57などの2H−クロメン類を、サリチルアルデヒド類およびビニルボロン酸よりジベンジルアミンの存在下において高収率に得る。次いで今度は、これらは容易に水素化でき、対応するクロマン類54(上参照)を与える。この様にして得られる中間54を、オルト−金属化およびその場で形成されたボロン酸エステルの加水分解および酸化によって官能化し、7,8−ジフルオロクロマン−6−オール類2jを与える。
式Iの化合物における環Bがピラン環を表す場合で、L1がFと等しくおよびL2がHと等しい場合、5−ブロモ−4−フルオロ−2−ヒロドキシベンズアルデヒド(58)より出発して、化合物2(特に、7−フルオロクロマン−6−オール類2k)の合成を行う。この出発材料58は、文献で既知の方法を経由し、3−フルオロフェノールより、オルト選択的ホルミル化[J.B.Blairら、J.Med.Chem.2000年、43巻、4701〜4710頁]および引く続く臭素化[W.A.Carollら、J.Med.Chem.2004年、47巻、3163〜3179頁]によって入手可能である。
今度は、5−ブロモ−4−フルオロ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド(58)より出発し、上記のビニルボロン酸と反応させ[Q.Wang、M.G.Finn、Org.Lett.2000年、2巻、4063〜4065頁]、続いて水素化することで、クロマン類60の合成を優位に行う。クロマノール2kを与える官能化は、今回はハロゲン−金属交換後に上記の通り行う。
式Iの化合物における環Bがピラン環を表す場合で、L1がHと等しくおよびL2がFと等しい場合、2−フルオロ−4−ブロモフェノール(61)より出発して、化合物2(特に、8−フルオロクロマン−6−オール類2l)の合成を行う。
ここで、プロパルギルアリールエーテル62を経由するクライゼン転位を用いて、O−ヘテロ環を好ましくは縮合する(スキームXXIV参照)。クロマノール2lを与える官能化は、位置異性体2kの場合と同様の反応順序を使用して行う。
あるいは、2−フルオロ−4−ブロモフェノール(61)より出発し、サリチルアルデヒド64を経由して中間体2lを合成することもできる(スキームXXV参照)。これは、61よりダフ反応[M.L.Micklatcher、M.Cushman、Synthesis 1999年、1878〜1880頁]を経由して入手可能である。次いで、クロマン63の引き続く合成を、WangおよびFinn[Q.Wang、M.G.Finn、Org.Lett.2000年、2巻、4063〜4065頁]によって記載される手順を経由し、続いて水素化することで行うことができる。
同様に、Bがピラン環を表す式Iのフッ素化されていない(L1およびL2がH)化合物{ここでは、特に1a)を、上記の方法によって合成できる(ビニルボロン酸に対するクライゼン転位またはカップリング(下では、ペタシス反応と言う)}。特に好ましい方法においては、2回の連続するペタシス反応によって3環式構造を位置選択的に構築する(スキームXXVI参照))。
最初に、文献より既知の方法によって、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド(65)を臭素化および選択的に保護する[Y.Hu、C.Li、B.A.Kulkarni、G.Strobel、E.Lokovsky、R.M.Torczynski、J.A.Porco、Org.Lett.2001年、3巻、1649〜1652頁]。第1のペタシス反応、続く水素化によってクロマン67を得る。ハロゲン−金属交換、ホルミル化およびTBS保護基の完全除去により、第2のペタシス反応のための基質68を与える。最終的な水素化の結果、目標化合物1aが生じる。
化合物Iにおける基R1[A1Z1]m−および/またはR2[A2Z2]n−が不飽和基、架橋または環構造を含有することを意図する場合、スキームIに示される合成を変更しなければならない(スキームXXVII参照)。
文献の手順に従い[a)C.K.Bradsher、D.C.Reames、J.Org.Chem.1981年、46巻、1384〜1388頁およびb)L.A.Paquetteら、J.Org.Chem.1994年、59巻、2043〜2051頁]、式71の化合物より出発して、飽和O−ヘテロ環を構築する。このために、最初に、化合物2を適切な様式で臭素化する。好ましい方法において(スキームXXVII、方法A参照)、物質2のMOMエーテルを最初に調製する。n−ブチルリチウムを使用して、これらをオルト位において選択的に金属化し、臭素を使用して、有機リチウム化合物を捕捉する。最後にMOM基を開裂し、化合物69を与える。a)F.Mongin、M.Schlosser、Tetrahedron Lett.1996年、37巻、6551〜6554頁;b)R.C.Ronald、M.R.Winkle、Tetrahedron 1983年、39巻、2031〜2042頁;c)M.R.Winkle、R.C.Ronald、J.Org.Chem.1982年、47巻、2101〜2108頁;d)M.Dabowskiら Tetrahedron 2005年、61巻、6590〜6595頁またはe)P.L.Coeら J.Chem.Soc.Perkin Trans.1巻 1995年、2729〜2737頁における方法に類似して、オルト−金属化を行う。
また、臭素で処理することでもハロゲン化を直接行うことができる(スキームXXVII、方法B)(a)C.W.Holzapfel、D.B.G.Williams、Tetrahedron 1995年、51巻、8555〜8564頁;b)K.J.Edgar、S.N.Falling、J.Org.Chem.1990年、55巻、5287〜5291頁;c)R.Johnsson、A.Meijer、U.Ellervik、Tetrahedron 2005年、61巻、11567〜11663頁参照)。
ブロモプロパノール誘導体70を使用するエーテル化によって、化合物71が与えられる。これらの化合物より生成される有機リチウム化合物(方法A)またはこれらの化合物より生成されるグリニャール試薬(方法B)を、化合物1の形成を伴う反応条件下において、自発的に環化する。
基R2[A2Z2]n−が不飽和基、架橋または環構造を含有する適切な出発材料2は、殆どにおいて上記の通り入手可能である。環Bがシクロヘキシル基を表す化合物2の合成、および、環Bがピラン環を表す化合物の合成についてのみ変更が必要である。
Bがシクロヘキシル基を表す化合物2(特に、2a、2c)については、それぞれ8および12より出発し、脱離、続いて水素化を経由しても(スキームIIおよびスキームIII参照)、中間体10および14を調製することは、もはやできない。従って、イオン還元により、それぞれ8および12から直接10および14を調製する(スキームXXVIII参照)。
R2[A2Z2]n−が不飽和基、架橋または環構造を含有する化合物2を合成することを意図し、Bがピラン環を表すことを意図する場合、以下の方法が必要である(スキームXXIX参照)。
サリチルアルデヒド72(YがH、Br)より出発し、ボロン酸73を使用し、クロメン74を構築する[R.A.Batey、A.N.Avinash、A.J.Lough、J.Am.Chem.Soc.1999年、121巻、450〜451頁]。水素化および酸化により、中間体75を与える。次いで、これより出発して、基R2[A2Z2]n−を(例えば、ウィッティヒのオレフィン化によって)構築できる。クロマン−6−オール類77を与える官能化法は、十分に記載されてきた。
Bがフッ化シクロヘキサン環(ここでは、特に1c)またはフッ化シクロヘキセン環(ここでは、特に1d)を表す化合物Iの合成には、Bがシクロヘキセン環(ここでは、特に1b)である化合物Iより出発する以下の反応順序が適切である(スキームXXX参照)。
示された反応スキームは、例示に過ぎないと見なされるべきである。当業者は提示された反応の対応する変法を行うことができ、また、他の適切な合成経路に従うこともでき、式Iの化合物を与える。
上に示された合成に従い、本発明は、実施形態において、式Iの化合物を調製する1つ以上の方法も包含する。よって、本発明は式Iの化合物の調製方法を包含し、その方法は、式
(式中、
n、A
2およびZ
2は式Iにおいて上で定義される通りであり、および
R
22はR
1で定義される通りであり、加えて、−OTs、OTf、OMesまたは−B(OH)
2、−B(O−アルキル)
2、−B<(O−C
2〜10−アルキレン−O)を表してもよい。)
の化合物を、適切な有機基を使用してヒドロキシル基においてエーテル化し、式
(式中、m、n、A
1、Z
1、A
2およびZ
2は式Iにおいて上で定義される通りであり、
R
11およびR
22はR
1で定義される通りであり、加えて、−OTs、−OTf、−OMesまたは−B(OH)
2または−B(O−アルキル)
2または−B<(O−C
2〜10−アルキレン−O)を表してもよく、
Xは、−CH
2CH
2Brまたは−C≡CHを表し、および
Yは、HまたはBrを表す。)
の化合物を与え、
および、基XおよびYを環化し、好ましくは、式Iの化合物を与えるプロセス工程を含むことを特徴する。環化は、好ましくは、第1のプロセス工程後に行う。プロセス生成物は式Iの化合物であるか、または、式Iの化合物の調製に適する中間体である。既に述べた通り、一般式Iの化合物は、液晶媒体において使用できる。
従って、本発明は、少なくとも2種類の液晶化合物を含み、一般式Iの少なくとも1種類の化合物を含む液晶媒体にも関する。
また、本発明による式Iの1種類以上の化合物に加え、更なる構成材料として2〜40種類、好ましくは4〜30種類の成分を含む液晶媒体にも、本発明は関する。特に好ましくは、これらの媒体は、本発明による1種類以上の化合物に加え、7〜25種類の成分を含む。これらの更なる構成材料は、好ましくはネマチックまたはネマトゲン性(単変性または等方性)の物質、特にはアゾキシベンゼン類、ベンジリデンアニリン類、ビフェニル類、ターフェニル類、1,3−ジオキサン類、2,5−テトラヒドロピラン類、フェニルまたはシクロヘキシル安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸のフェニルまたはシクロヘキシルエステル類、シクロヘキシル安息香酸のフェニルまたはシクロヘキシルエステル類、シクロヘキシルシクロヘキサンカルボン酸のフェニルまたはシクロヘキシルエステル類、安息香酸またはシクロヘキサンカルボン酸またはシクロヘキシルシクロヘキサンカルボン酸のシクロヘキシルフェニルエステル類、フェニルシクロヘキサン類、シクロヘキシルビフェニル類、フェニルシクロヘキシルシクロヘキサン類、シクロヘキシルシクロヘキサン類、シクロヘキシルシクロヘキシルシクロヘキセン類、1,4−ビスシクロヘキシルベンゼン類、4’,4’−ビスシクロヘキシルビフェニル類、フェニル−またはシクロヘキシルピリミジン類、フェニル−またはシクロヘキシルピリジン類、フェニル−またはシクロヘキシルジオキサン類、フェニル−またはシクロヘキシル−1,3−ジチアン類、1,2−ジフェニルエタン類、1,2−ジシクロヘキシルエタン類、1−フェニル−2−シクロヘキシルエタン類、1−シクロヘキシル−2−(4−フェニルシクロヘキシル)エタン類、1−シクロヘキシル−2−ビフェニルエタン類、1−フェニル−2−シクロヘキシルフェニルエタン類、ハロゲン化されていてもよいスチルベン類、ベンジルフェニルエーテル類、トラン類および置換桂皮酸類の物質より選ばれる。また、これらの化合物中の1,4−フェニレン基は、フッ素で1置換または多置換されていてもよい。
本発明による媒体の更なる構成材料として適当な最も重要な化合物は、式(II)、(III)、(IV)、(V)および(VI)によって特徴付けることができる。
R’−L−E−R” (II)
R’−L−COO−E−R” (III)
R’−L−OOC−E−R” (IV)
R’−L−CH2CH2−E−R” (V)
R’−L−CF2O−E−R” (VI)
式(II)、(III)、(IV)、(V)および(VI)において、LおよびEは同一でも異なっていてもよく、それぞれ互いに独立に、−Phe−、−Cyc−、−Phe−Phe−、−Phe−Cyc−、−Cyc−Cyc−、−Pyr−、−Dio−、−Thp−、−G−Phe−および−G−Cyc−およびそれらの鏡像体より成る群からの2価の基を表し、ただし、Pheは無置換またはフッ素置換された1,4−フェニレンを表し、Cycはトランス−1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−シクロヘキセニレンを表し、Pyrはピリミジン−2,5−ジイルまたはピリジン−2,5−ジイルを表し、Dioは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルを表し、Thpはテトラヒドロピラン−2,5−ジイルを表し、Gは2−(トランス−1,4−シクロヘキシル)エチル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたはテトラヒドロピラン−2,5−ジイルを表す。
好ましくは、基LおよびEの一方はCycまたはPheである。好ましくは、EはCyc、PheまたはPhe−Cycである。好ましくは、本発明による媒体は、LおよびEがCycおよびPheから成る群より選ばれている式(II)、(III)、(IV)、(V)および(VI)の化合物より選ばれる1種類以上の成分を含み、同時に基LおよびEの一方がCycおよびPheから成る群より選ばれ、他の基が−Phe−Phe−、−Phe−Cyc−、−Cyc−Cyc−、−G−Phe−および−G−Cyc−から成る群より選ばれている式(II)、(III)、(IV)、(V)および(VI)の化合物より選ばれる1種類以上の成分を含み、および、任意に基LおよびEが−Phe−Cyc−、−Cyc−Cyc−、−G−Phe−および−G−Cyc−から成る群より選ばれている式(II)、(III)、(IV)、(V)および(VI)の化合物より選ばれる1種類以上の成分を含んでもよい。
式(II)、(III)、(IV)、(V)および(VI)の化合物のより小さなサブ群において、R’およびR”は、それぞれ互いに独立に、8個までのC原子を有するアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル(オキサアルキル)、アルケニルオキシまたはアルカノイルオキシを表す。下では、このより小さなサブ群を群Aと呼び、化合物をサブ式(IIa)、(IIIa)、(IVa)、(Va)および(VIa)で参照する。これらの化合物の殆どにおいて、R’およびR”は互いに異なっており、これらの基の1つは、通常、アルキル、アルケニル、アルコキシまたはアルコキシアルキル(オキサアルキル)である。
群Bとして知られる式(II)、(III)、(IV)、(V)および(VI)の化合物のより小さなサブ群において、Eは
サブ式(IIb)、(IIIb)、(IVb)、(Vb)および(VIb)で参照される群Bの化合物において、R’およびR”はサブ式(IIa)〜(VIa)の化合物で定義される通りであり、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルコキシまたはアルコキシアルキル(オキサアルキル)である。
式(II)、(III)、(IV)、(V)および(VI)の化合物の更なるより小さいサブ群において、R”は−CNを表す。下では、このサブ群を群Cと呼び、このサブ群の化合物を、対応して、サブ式(IIc)、(IIIc)、(IVc)、(Vc)および(VIc)と記述する。サブ式(IIc)、(IIIc)、(IVc)、(Vc)および(VIc)の化合物において、R’はサブ式(IIa)〜(VIa)の化合物で定義される通りであり、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルコキシまたはアルコキシアルキル(オキサアルキル)である。
群A、BおよびCの好ましい化合物に加え、提案された置換基の他の変形したものを有する式(II)、(III)、(IV)、(V)および(VI)の他の化合物も、通常、使われる。これらの物質は、全て、文献からの既知の方法またはそれと類似の方法で入手できる。
本発明による一般式Iの化合物に加え、好ましくは、本発明による媒体は、群A、Bおよび/またはCからの1種類以上の化合物を含む。本発明による媒体中において、これらの群からの化合物の重量による割合は:
群A:0〜90%、好ましくは20〜90%、特に好ましくは30〜90%
群B:0〜80%、好ましくは10〜80%、特に好ましくは10〜70%
群C:0〜80%、好ましくは5〜80%、特に好ましくは5〜50%
である。
好ましくは、本発明による媒体は、本発明による式Iの化合物を1〜40%、特に好ましくは5〜30%含んでいる。好ましくは、媒体は、本発明による式Iの化合物を1、2、3、4または5種類含む。
式(II)、(III)、(IV)、(V)および(VI)の化合物の例は、下に示す化合物である:
式中、R
a、R
bは、互いに独立に、−C
pH
2p+1または−OC
pH
2p+1を表し、pは1、2、3、4、5、6、7または8で、L
1、L
2は、互いに独立に、−Hまたは−Fを表す。
式中、m、nは、互いに独立に、1、2、3、4、5、6、7または8を表す。
本発明による媒体は、それ自体、従来の方法で調製される。好ましくは昇温して、一般には、成分を互いに溶解する。適切な添加剤を用いることで、これまで開示されてきた全てのタイプの液晶ディスプレイ素子において本発明の液晶相を使用できるように、本発明の液晶相を改変できる。このタイプの添加剤は当業者に既知であり、文献において詳細に記載されている(H.Kelker/R.Hatz、Handbook of Liquid Crystals、Verlag Chemie、Weinheim、1980年)。例えば、有色ゲスト−ホスト系を製造するために多色性色素を添加でき、または、誘電異方性、粘度および/またはネマチック相の配向を変更するために物質を添加できる。
式Iの化合物の負のΔεのために、それらは、特に、VA−TFTディスプレイにおける使用に適している。
従って、本発明は、本発明による液晶媒体を含有する電気光学的液晶ディスプレイ素子にも関する。
記載に従って、本発明の実施形態および改変の更なる組み合わせが請求項より生じる。
下では実施例を参照して、本発明を非常に詳細に説明するが、それによる制限を意図するものではない。実施例より、当業者は、一般的な記載において詳細には与えられていない詳細を収集でき、それらを一般的な専門家の知識に従って一般化でき、それらを具体的な問題に適用できる。
通常で良く知られている略称に加え、以下の略称を使用する:
C:結晶相;N:ネマチック相;Sm:スメクチック相;I:等方相
これらの記号間の数字は、対象となる物質の転移温度を示す。
他に示さない限り、温度のデータは℃においてである。
物理的、物理化学的または電気光学的パラメータは、とりわけ、冊子「Merck Liquid Crystals−Licristal(登録商標)−Physical Properties of Liquid Crystals−Description of the Measurement Methods」、1998年、Merck社、Darmstadt市に記載されている通りの、一般に知られている方法で決定される。
上および下において、Δnは光学異方性(589nm、20℃)を表し、Δεは誘電異方性(1kHz、20℃)を表す。誘電異方性Δεは20℃および1kHzにおいて決定される。光学異方性Δnは20℃および589.3nmの波長において決定される。
本発明による化合物のΔεおよびΔnの値および回転粘度(γ1)は、5〜10%の本発明によるそれぞれの化合物と、90〜95%の商業的に入手可能な液晶混合物ZLI−2857(Δε用)またはZLI−4792(Δn、γ1用)(混合物、Merck社、Darmstadt市)とから成る液晶混合物より直線外挿することで得られる。
略称は以下の意味を有する:
DIAD アゾジカルボン酸ジイソプロピル
MTBE メチルtert−ブチルエーテル
THF テトラヒドロフラン
DMF ジメチルホルムアミド
in vac. 真空中(約10−2bar)
sat. 飽和
n−BuLi n−ブチルリチウム、ヘキサン溶液中
Mes メシル基
MOM メトキシメチル
RT 室温
F−TEDA−BF4
1−クロロメチル−4−フルオロ−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンビステトラフルオロボレート
TMP 2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
dppp 1,3−ビス(ジフェニルホスフィン)プロパン
Tf トリフル基
Ts トシル基
NMP N−メチル−2−ピロリドン
一般に入手可能な文献の手順に従うか、または、商業的に出発物質を得ることができる。
<例1>
5,6−ジフルオロ−3−(4−プロピルシクロヘキシル)−1,2,3,8,9,10−ヘキサヒドロ−ピラノ[3,2−f]クロメン
<1.1> 1,2−ジフルオロ−3−プロパ−2−イニルオキシベンゼンの調製
115.0g(0.88mol)の2,3−ジフルオロフェノールを118.2ml(17.7mol)の臭化プロパルギル(トルエン中80%溶液)および146.6g(138.2mol)の炭酸カリウムと共に3時間1.6lのエチルメチルケトン中で還流する。バッチを濾過し、フィルター残渣をMTBEで洗浄する。濾液を蒸発させて乾燥し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製する(SiO2、n−ヘプタン:MTBE=3:1)。
<1.2> 7,8−ジフルオロ−2H−クロメンの調製
73.0g(0.43mol)の1,2−ジフルオロ−3−プロパ−2−イニルオキシベンゼンを、650mlのN,N−ジエチルアニリン中で126.0g(2.17mol)のフッ化カリウムと共に200℃で3時間オートクレーブ中で加熱する。バッチに水を加え、次いで、25%塩酸を使用して酸性とする。溶液をMTBEで抽出し、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄する。溶液を硫酸ナトリウムを使用して乾燥し、蒸発させて乾燥する。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘプタン:MTBE=10:1)で精製する。この様にして、7,8−ジフルオロ−2H−クロメンと、出発材料である1,2−ジフルオロ−3−プロパ−2−イニルオキシベンゼンとの混合物を得る。
<1.3> 7,8−ジフルオロクロマンの調製
7,8−ジフルオロ−2H−クロメンおよび1,2−ジフルオロ−3−プロパ−2−イニルオキシベンゼンの混合物(43.2g)を、室温において1時間430mlのTHF中、Pd/C(5%Pd)存在下で水素化する。バッチを蒸発させて乾燥し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘプタン:1−クロロブタン=4:1)で精製し、純粋な7,8−ジフルオロクロマンを僅かに黄色みがかった液体として得る。
<1.4> 7,8−ジフルオロクロマン−6−オールの調製
81.2ml(0.13mol)のn−BuLi(ヘキサン中15%溶液)を、−70℃において、400mlのTHF中の20.0g(0.12mol)の7,8−ジフルオロクロマンの溶液に加える。この温度で3時間後、14.4ml(0.13mol)のホウ酸トリメチルを滴下により添加し、バッチを室温まで暖める。30mlの希酢酸(約30%)を添加し、30mlの過酸化水素水溶液(35%)を、注意深くバッチに加える。添加を完了した時点で、混合物を室温で17時間攪拌する。水を加え、2N塩酸を使用してバッチを酸性とする。溶液をMTBEで何度も抽出し、合わせた有機相を、水、飽和塩化ナトリウム溶液および硫酸アンモニウム鉄(II)溶液で逐次に洗浄する。溶液を硫酸ナトリウムを使用して乾燥し、蒸発させて乾燥する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘプタン:MTBE=2:1)で精製する。
<1.5> 7,8−ジフルオロ−6−[1−(4−プロピルシクロヘキシル)プロパ−2−イニルオキシ]クロマンの調製
5.33g(29.6mmol)の1−(4−プロピルシクロヘキシル)プロパ−2−イン−1−オールおよび8.45g(32.2mmol)のトリフェニルホスフィンと共に、5.0g(26.9mmol)の7,8−ジフルオロクロマン−6−オールを65mlのTHF中に最初に導入し、氷冷で30分にわたり6.79ml(34.9mmol)のDIADを加える。室温において19時間後、半飽和塩化ナトリウム溶液を加え、混合物をMTBEで何度も抽出する。合わせた有機相を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、溶液を硫酸ナトリウムを使用して乾燥する。溶媒を除去した後に残る残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘプタン:MTBE=2:1)で精製し、淡茶色のオイルとして7,8−ジフルオロ−6−[1−(4−プロピルシクロヘキシル)プロパ−2−イニルオキシ]クロマンを与える。
<1.6> 5,6−ジフルオロ−8−(4−プロピルシクロヘキシル)−1,2,3,8−テトラヒドロピラノ[3,2−f]クロメンの調製
55mlのN,N−ジエチルアニリン中の2.0g(34.4mmol)のフッ化カリウムと共に、6.0g(17.2mmol)の7,8−ジフルオロ−6−[1−(4−プロピルシクロヘキシル)プロパ−2−イニルオキシ]クロマンを200℃において6時間加熱する。冷却後に水を加え、25%塩酸を使用して混合物を酸性とする。バッチをMTBEで抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄する。硫酸ナトリウムを使用して溶液を乾燥し、蒸発させて乾燥する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、1−クロロブタン)で精製し、淡茶色のオイルとして5,6−ジフルオロ−8−(4−プロピルシクロヘキシル)−1,2,3,8−テトラヒドロピラノ[3,2−f]クロメンを与える。
<1.7> 5,6−ジフルオロ−3−(4−プロピルシクロヘキシル)−1,2,3,8,9,10−ヘキサヒドロピラノ[3,2−f]クロメンの調製
大気圧においてTHF中およびPd/C(5%のPd)の存在下、4.0g(11.5mmol)の5,6−ジフルオロ−8−(4−プロピルシクロヘキシル)−1,2,3,8−テトラヒドロピラノ[3,2−f]クロメンを水素化する。反応溶液を濾過し、濾液を蒸発させて乾燥する。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘプタン:1−クロロブタン=1:1)で精製する。5℃においてn−ヘプタンからの再結晶を繰り返し、更なる精製を行って、無色の固体として5,6−ジフルオロ−3−(4−プロピルシクロヘキシル)−1,2,3,8,9,10−ヘキサヒドロピラノ[3,2−f]クロメンを与える(融点152℃)。
Δε=−10.4
Δn=0.0663
C152I
1H−NMR(250MHz、CHCl
3):δ=4.23〜4.07(m、2H、8−H)、3.68〜3.61(m、1H、3−H)、2.62〜2.39(m、4H、H
aliph)、2.09〜1.97(m、4H、H
aliph)、1.85〜1.73(m、4H、H
aliph)、1.71〜1.50(m、1H、H
aliph)、1.40〜1.25(m、2H、H
aliph)、1.22〜1.03(m、4H、H
aliph)、0.99〜0.81(m、6H、H
aliph)
19F−NMR(235MHz、CHCl
3):δ=−161.8(d、1F、J=19.5Hz)、−162.2(d、1F、J=19.5Hz)
MS(EI):m/e(%)=350(100、M
+)
<例2>
5,6−ジフルオロ−3−ペンチル−8−(4−プロピルシクロヘキシル)−1,2,3,8,9,10−ヘキサヒドロピラノ[3,2−f]クロメン
<2.1> 1−(1−エチニルヘキシルオキシ)−2,3−ジフルオロベンゼンの調製
50.0ml(0.34mol)の1−オクチン−3−オールおよび94.1g(0.36mol)のトリフェニルホスフィンと共に、2.4g(0.33mol)の2,3−ジフルオロフェノールを1.2lのTHF中に最初に導入し、100mlのTHF中の76.1ml(0.39mol)のDIADの溶液を滴下で加える。室温において19時間後、バッチをMTBEで希釈および水洗する。水相をMTBEで希釈し、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄する。硫酸ナトリウムを使用して溶液を乾燥し、蒸発させて乾燥する。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、1−クロロブタン)で精製し、無色のオイルとして1−(1−エチニルヘキシルオキシ)−2,3−ジフルオロベンゼンを与える。
<2.2> 7,8−ジフルオロ−2−ペンチル−2H−クロメンの調製
62.0g(0.26mol)の1−(1−エチニルヘキシルオキシ)−2,3−ジフルオロベンゼンを、195℃において2時間390mlのN,N−ジエチルアニリン中で加熱する。バッチをMTBEで希釈し、1NのHClで何度も洗浄する。硫酸ナトリウムを使用して有機相を乾燥し、蒸発させて乾燥する。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、n−ペンタン:1−クロロブタン=5:1)で精製し、茶色のオイルとして7,8−ジフルオロ−2−ペンチル−2H−クロメンを与える。
<2.3> 7,8−ジフルオロ−2−ペンチルクロマンの調製
室温において1時間510mlのトルエン中Pd/C(5%のPd)の存在下で、51.0g(0.21mol)の7,8−ジフルオロ−2−ペンチル−2H−クロメンを水素化する。バッチを蒸発させて乾燥する:粗生成物(帯黄色の液体)は次の工程で直接使用できる。
<2.4> 7,8−ジフルオロ−2−ペンチルクロマン−6−オールの調製
52.4g(約0.22mol)の7,8−ジフルオロ−2−ペンチルクロマンを最初に400mlのTHFに導入し、150.7ml(0.24mol)のn−BuLi(ヘキサン中15%溶液)を−70℃において加える。この温度で3時間後、26.8ml(0.24mol)のホウ酸トリメチルを滴下で加え、バッチを室温まで温める。55mlの希酢酸(約30%)を加え、57mlの過酸化水素溶液(35%)をバッチに注意深く加える。添加を完了した時点で、混合物を室温で17時間攪拌する。水を加え、HClを使用してバッチを酸性とする。溶液をMTBEで何度も抽出し、合わせた有機相を、水、飽和塩化ナトリウム溶液および硫酸アンモニウム鉄(II)溶液で逐次に洗浄する。硫酸ナトリウムを使用して溶液を乾燥し、蒸発させて乾燥する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘプタン:MTBE=2:1)で精製する。
<2.5> 7,8−ジフルオロ−2−ペンチル−6−[1−(4−プロピルシクロヘキシル)プロパ−2−イニルオキシ]クロマンの調製
6.75g(37.4mmol)の1−(4−プロピルシクロヘキシル)プロパ−2−イン−1−オールおよび9.83g(37.6mmol)のトリフェニルホスフィンと共に、8.0g(31.2mmol)の7,8−ジフルオロ−2−ペンチルクロマン−6−オールを75mlのTHF中に最初に導入し、氷冷で30分にわたり7.89ml(40.6mmol)のDIADを加える。室温において20時間後、半飽和塩化ナトリウム溶液を加え、混合物をMTBEで何度も抽出する。合わせた有機相を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムを使用して溶液を乾燥する。溶媒を除去した後に残る残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘプタン:MTBE=2:1)で精製し、淡茶色のオイルとして7,8−ジフルオロ−2−ペンチル−6−[1−(4−プロピルシクロヘキシル)プロパ−2−イニルオキシ]クロマンを与える。
<2.6> 5,6−ジフルオロ−3−ペンチル−8−(4−プロピルシクロヘキシル)−1,2,3,8−テトラヒドロピラノ[3,2−f]クロメンの調製
75mlのN,N−ジエチルアニリン中の2.7g(46.5mmol)のフッ化カリウムと共に、9.7g(23.2mmol)の7,8−ジフルオロ−2−ペンチル−6−[1−(4−プロピルシクロヘキシル)プロパ−2−イニルオキシ]クロマンを200℃において6時間加熱する。冷却後に水を加え、25%塩酸を使用して混合物を酸性とする。バッチをMTBEで抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄する。硫酸ナトリウムを使用して溶液を乾燥し、蒸発させて乾燥する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、1−クロロブタン:ペンタン=4:1)で精製し、淡茶色のオイルとして5,6−ジフルオロ−3−ペンチル−8−(4−プロピルシクロヘキシル)−1,2,3,8−テトラヒドロピラノ[3,2−f]クロメンを与える。
<2.7> 5,6−ジフルオロ−3−ペンチル−8−(4−プロピルシクロヘキシル)−1,2,3,8,9,10−ヘキサヒドロピラノ[3,2−f]クロメンの調製
大気圧においてTHF中およびPd/C(5%のPd)の存在下、4.8g(11.5mmol)の5,6−ジフルオロ−3−ペンチル−8−(4−プロピルシクロヘキシル)−1,2,3,8−テトラヒドロピラノ[3,2−f]クロメンを水素化する。反応溶液を濾過し、濾液を蒸発させて乾燥する。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘプタン:1−クロロブタン=8:1)で精製する。5℃においてn−ヘプタンからの再結晶により更なる精製を行って、無色の固体として5,6−ジフルオロ−3−ペンチル−8−(4−プロピルシクロヘキシル)−1,2,3,8,9,10−ヘキサヒドロピラノ[3,2−f]クロメンを与える。得られるジアステレオマー混合物の更なる分離を、例えば、分取HPLCにより行う。
異性体1(融点128℃):
Δε=−11.2
Δn=0.0742
C128I
1H−NMR(500MHz、CHCl
3):δ=3.94〜3.90(m、1H、8−H)、3.67〜3.64(m、1H、3−H)、2.60〜2.54(m、2H、H
aliph)、2.48〜2.41(m、2H、H
aliph)、2.06〜1.99(m、3H、H
aliph)、1.82〜1.68(m、6H、H
aliph)、1.61〜1.49(m、4H、H
aliph)、1.46〜1.40(m、1H、H
aliph)、1.35〜1.28(m、6H、H
aliph)、1.26〜1.07(m、4H、H
aliph)、0.96〜0.87(m、8H、H
aliph)
19F−NMR(235MHz、CHCl
3):δ=−163.1(m、2F)
MS(EI):m/e(%)=420(100、M
+)
異性体2(融点131℃):
Δε=−9.2
Δn=0.0894
C131I
1H−NMR(500MHz、CHCl
3):δ=3.91〜3.86(m、1H、8−H)、3.65〜3.61(m、1H、3−H)、2.53〜2.49(m、4H、H
aliph)、2.06〜2.00(m、3H、H
aliph)、1.83〜1.66(m、6H、H
aliph)、1.62〜1.50(m、4H、H
aliph)、1.47〜1.40(m、1H、H
aliph)、1.38〜1.28(m、6H、H
aliph)、1.26〜1.07(m、4H、H
aliph)、0.97〜0.87(m、8H、H
aliph)
19F−NMR(235MHz、CHCl
3):δ=−163.8(m、2F)
MS(EI):m/e(%)=420(100、M
+)
<例3>
5,6−ジフルオロ−3−ペンチル−8−プロピル−1,2,3,8,9,10−ヘキサヒドロピラノ[3,2−f]クロメン
<3.1> 6−(1−エチニルブトキシ)−7,8−ジフルオロ−2−ペンチルクロマンの調製
4.0g(41.0mmol)の1−ヘキシン−3−オールおよび11.3g(42.9mmol)のトリフェニルホスフィンと共に、10.0g(39.0mmol)の7,8−ジフルオロ−2−ペンチルクロマン−6−オールを140mlのTHF中に最初に導入し、氷冷で20分にわたり9.1ml(46.8mmol)のDIADを加える。室温において18時間後、水を加え、混合物をMTBEで何度も抽出する。合わせた有機相を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムを使用して溶液を乾燥する。溶媒を除去した後に残る残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘプタン:MTBE=2:1)で精製し、黄色のオイルとして6−(1−エチニルブトキシ)−7,8−ジフルオロ−2−ペンチルクロマンを与える。
<3.2> 5,6−ジフルオロ−3−ペンチル−8−プロピル−1,2,3,8−テトラヒドロピラノ[3,2−f]クロメンの調製
9.0g(26.8mmol)の6−(1−エチニルブトキシ)−7,8−ジフルオロ−2−ペンチルクロマンを、205℃において3時間90mlのN,N−ジエチルアニリン中で加熱する。バッチをMTBEで希釈し、3NのHClで何度も洗浄する。硫酸ナトリウムを使用して有機相を乾燥し、蒸発させて乾燥する。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘプタン:MTBE=4:1)で精製し、淡茶色のオイルとして5,6−ジフルオロ−3−ペンチル−8−プロピル−1,2,3,8−テトラヒドロピラノ[3,2−f]クロメンを与える。
<3.3> 5,6−ジフルオロ−3−ペンチル−8−プロピル−1,2,3,8,9,10−ヘキサヒドロピラノ[3,2−f]クロメンの調製
大気圧において5時間トルエン中およびPd/C(5%のPd)の存在下、8.0g(23.8mmol)の5,6−ジフルオロ−3−ペンチル−8−プロピル−1,2,3,8−テトラヒドロピラノ[3,2−f]クロメンを水素化する。反応溶液を濾過し、濾液を蒸発させて乾燥する。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘプタン:1−クロロブタン=1:1)で精製する。エタノールからの再結晶により更なる精製を行って、異性体5,6−ジフルオロ−3−ペンチル−8−プロピル−1,2,3,8,9,10−ヘキサヒドロピラノ[3,2−f]クロメンの1:1混合物を与える。例えば、分取HPLCによって、これを分離する。
異性体1(融点84℃):
Δε=−10.2
Δn=0.0463
γ
1=295mPa・s
C84I
1H−NMR(500MHz、CHCl
3):δ=3.92〜3.80(m、2H、3−H、8−H)、2.57〜2.33(m、4H、H
aliph)、2.02〜1.91(m、2H、H
aliph)、1.76〜1.60(m、4H、H
aliph)、1.57〜1.36(m、8H、H
aliph)、1.33〜1.17(m、6H、H
aliph)、0.93〜0.78(m、6H、H
aliph)
19F−NMR(235MHz、CHCl
3):δ=−163.4(s、2F)
MS(EI):m/e(%)=338(100、M
+)
異性体2(融点61℃):
Δε=−11.8
Δn=0.0464
γ
1=488mPa・s
C61I
1H−NMR(500MHz、CHCl
3):δ=3.92〜3.84(m、2H、3−H、8−H)、2.56〜2.48(m、4H、H
aliph)、2.08〜1.99(m、2H、H
aliph)、1.84〜1.66(m、4H、H
aliph)、1.64〜1.41(m、8H、H
aliph)、1.36〜1.29(m、6H、H
aliph)、0.97(t、3H、J=7.2Hz、Me)、0.90(t、3H、J=7.1Hz、Me)
<例4>
5,6−ジフルオロ−3−プロピル−8−(4−プロピルシクロヘキシル)−2,3,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−1H−ベンゾ[f]クロメン
<4.1> トリフルオロメタンスルホン酸7,8−ジフルオロ−3,4−ジヒドロナフタレン−2−イルの調製
54.0g(1.35mol)の水素化ナトリウム(パラフィンオイル中60%懸濁液)をペンタンで洗浄し、1.25lのジエチルエーテル中に懸濁する。750mlのジエチルエーテル中の120.0g(0.66mol)の7,8−ジフルオロ−3,4−ジヒドロ−1H−ナフタレン−2−オンの溶液を懸濁液に徐々に量り入れ、添加を完了した時点でバッチを室温で30分撹拌する。混合物を0℃まで冷却し、120.0ml(0.71mol)のトリフルオロ酢酸無水物を滴下で添加する。添加を完了した時点でバッチを0℃で2時間撹拌し、希塩酸に加える。混合物をMTBEで何度も抽出し、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄する。溶液を吸引濾過(SiO
2、MTBE)し、濾液を蒸発させて乾燥する。残渣をn−ヘプタン:トルエン=7:3で処理し、有機相を分離する。溶液を蒸発させて乾燥し、残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO
2、n−ヘプタン:トルエン=7:3)で精製し、黄色のオイルとしてトリフルオロメタンスルホン酸7,8−ジフルオロ−3,4−ジヒドロナフタレン−2−イルを与える。
<4.2> 5,6−ジフルオロ−3−(4−プロピルシクロヘキシル)−1,2−ジヒドロナフタレンの調製
550mg(1.55mmol)のFe(acac)3および30mlのNMPと共に、9.0g(28.6mmol)のトリフルオロメタンスルホン酸7,8−ジフルオロ−3,4−ジヒドロナフタレン−2−イルを、−30℃において500mlのTHF中に最初に導入する。30.0g(0.15mol)の4−ブロモプロピルシクロヘキサンおよび350mlのジエチルエーテル中の3.6g(0.15mol)の削り状マグネシウムより生成された4−プロピルシクロヘキシルマグネシウムブロミドの溶液を素早く量り入れる。添加を完了した時点で混合物を−30℃で30分撹拌し、飽和塩化アンモニウム溶液に加える。混合物をMTBEで何度も抽出し、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄する。硫酸ナトリウムを使用して溶液を乾燥し、蒸発させて乾燥する。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘプタン)で精製し、無色のオイルとして5,6−ジフルオロ−3−(4−プロピルシクロヘキシル)−1,2−ジヒドロナフタレンを与える。
<4.3> 7,8−ジフルオロ−2−(4−プロピルシクロヘキシル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンの調製
室温および大気圧において19時間500mlのTHF中でPd/C(5%のPd)の存在下、76.0g(0.26mol)の5,6−ジフルオロ−3−(4−プロピルシクロヘキシル)−1,2−ジヒドロナフタレンを水素化する。反応溶液を濾過し、蒸発させて乾燥する。更に精製することなく以下の反応に残渣を使用する。
<4.4> 3,4−ジフルオロ−6−(4−プロピルシクロヘキシル)−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−オールの調製
77.0g(約0.26mol)の粗7,8−ジフルオロ−2−(4−プロピルシクロヘキシル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンを最初に500mlのTHFに導入し、200.0ml(0.32mol)のn−BuLi(ヘキサン中15%溶液)を−70℃において加える。この温度で3時間後、37.0ml(0.33mol)のホウ酸トリメチルを滴下で加え、バッチを0℃まで温め、80mlの希酢酸(約30%)を加える。混合物を30℃まで温め、70mlの過酸化水素溶液(35%)を注意深く加える。添加を完了した時点で、混合物を室温で2時間攪拌する。水を加え、希塩酸を使用してバッチを酸性とする。溶液をMTBEで何度も抽出し、合わせた有機相を、水、飽和塩化ナトリウム溶液および硫酸アンモニウム鉄(II)溶液で逐次に洗浄する。硫酸ナトリウムを使用して溶液を乾燥し、蒸発させて乾燥する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、トルエン)で精製する。n−ヘプタンから結晶化して更なる精製を行い、無色の固体として3,4−ジフルオロ−6−(4−プロピルシクロヘキシル)−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−オールを与える。
<4.5> 6−(1−エチニルブトキシ)−7,8−ジフルオロ−2−(4−プロピルシクロヘキシル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンの調製
2.70ml(24.0mmol)の1−ヘキシン−3−オールおよび6.60g(25.2mmol)のトリフェニルホスフィンと共に、7.0g(22.7mmol)の3,4−ジフルオロ−6−(4−プロピルシクロヘキシル)−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−オールを90mlのTHF中に最初に導入する。氷冷で20分にわたり、10mlのTHF中の5.3ml(46.8mmol)のDIADを加える。室温において19時間後、水を加え、混合物をMTBEで何度も抽出する。合わせた有機相を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムを使用して溶液を乾燥する。溶媒を除去した後に残る残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘプタン:MTBE=2:1)で精製し、無色の固体として6−(1−エチニルブトキシ)−7,8−ジフルオロ−2−(4−プロピルシクロヘキシル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンを与える。
<4.6> 5,6−ジフルオロ−3−プロピル−8−(4−プロピルシクロヘキシル)−7,8,9,10−テトラヒドロ−3H−ベンゾ[f]クロメンの調製
4.5g(11.6mmol)の6−(1−エチニルブトキシ)−7,8−ジフルオロ−2−(4−プロピルシクロヘキシル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンを、200℃において2時間45mlのN,N−ジエチルアニリン中で加熱する。冷却後、2N塩酸および氷の混合物にバッチを加え、混合物をMTBEで抽出する。有機相を2N塩酸および水で洗浄し、硫酸ナトリウムを使用して溶液を乾燥する。溶媒を除去した後に残る残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘプタン:トルエン=9:1)で精製し、黄色の固体として5,6−ジフルオロ−3−プロピル−8−(4−プロピルシクロヘキシル)−7,8,9,10−テトラヒドロ−3H−ベンゾ[f]クロメンを与える。
<4.7> 5,6−ジフルオロ−3−プロピル−8−(4−プロピルシクロヘキシル)−2,3,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−1H−ベンゾ[f]クロメンの調製
大気圧においてTHF中およびPd/C(5%のPd)の存在下、5.0g(約11.4mmol)の5,6−ジフルオロ−3−プロピル−8−(4−プロピルシクロヘキシル)−7,8,9,10−テトラヒドロ−3H−ベンゾ[f]クロメンを水素化する。反応溶液を濾過し、濾液を蒸発させて乾燥する。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO
2、n−ヘプタン:トルエン=9:1)で精製する。エタノールからの再結晶により更なる精製を行って、異性体5,6−ジフルオロ−3−プロピル−8−(4−プロピルシクロヘキシル)−2,3,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−1H−ベンゾ[f]クロメン(融点89℃)の1:1混合物を与える。例えば、分取HPLCによって、これを分離できる。
Δε=−7.5
Δn=0.0879
C89N113I
1H−NMR(500MHz、CHCl
3):δ=4.01〜3.90(m、1H、3−H)、2.84〜2.77(m、1H)、2.69〜2.22(m、5H)、2.07〜1.93(m、2H)、1.86〜1.66(m、5H)、1.62〜1.43(m、4H)、1.41〜1.26(m、4H)、1.24〜1.11(m、4H)、1.08〜0.83(m、10H)
19F−NMR(376MHz、CHCl
3):δ=−146.4(dd、1F、J=21.1Hz、J=3.4Hz)、−165.9(dd、1F、J=21.1Hz、J=11.7Hz)
MS(EI):m/e(%)=390(100、M
+)、321(78)
<例5>
8−エトキシ−5,6−ジフルオロ−3−(4−プロピルシクロヘキシル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[f]クロメン
<5.1> 7,8−ジフルオロ−3−トリメチルシラニルナフタレン−2−オールの調製
100mlのジクロロメタン中の50.0g(0.26mol)の2,3−ジフルオロフェニルアセチルクロリドを、300mlのジクロロメタン中の71.5g(0.53mol)の塩化アルミニウム(III)の懸濁液に、−20℃において徐々に加える。この温度で30分後、トリメチルシリルアセチレンを量り入れ、混合物を30分撹拌する。バッチを氷水に加え、塩酸を使用して酸性とする。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で逐次に洗浄する。硫酸ナトリウムを使用して溶液を乾燥し、蒸発させて乾燥する。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘプタン:酢酸エチル=9:1)で精製し、茶色のオイルとして、7,8−ジフルオロ−3−トリメチルシラニルナフタレン−2−オールを与える。
<5.2> (3−エトキシ−5,6−ジフルオロナフタレン−2−イル)トリメチルシランの調製
400mlのエチルメチルケトン中において、19.5ml(0.26mol)のブロモエタンおよび34.5g(0.25mol)の炭酸カリウムと共に、54.7g(約0.12mol)の7,8−ジフルオロ−3−トリメチルシラニルナフタレン−2−オールを80℃で19時間撹拌する。バッチを濾過し、残渣をエチルメチルケトンで洗浄する。濾液を濃縮し、残渣をMTBE中に回収する。溶液を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムを使用して乾燥する。溶媒を除去した後に残る残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、トルエン:酢酸エチル=9:1)で精製し、暗褐色の固体として(3−エトキシ−5,6−ジフルオロナフタレン−2−イル)トリメチルシランを与える。
<5.3> 7−エトキシ−1,2−ジフルオロナフタレンの調製
300mlのDMF中において、26.3g(0.17mol)のフッ化セシウムと共に、44.0g(約81.6mmol)の(3−エトキシ−5,6−ジフルオロナフタレン−2−イル)トリメチルシランを100℃で20時間撹拌する。冷却後に混合物を水で希釈し、MTBEで何度も抽出する。合わせた有機相を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムを使用して溶液を乾燥する。溶媒を除去後に残る茶色のオイルをカラムクロマトグラフィー(SiO2、トルエン:酢酸エチル=9:1)で精製し、茶色のオイルとして7−エトキシ−1,2−ジフルオロナフタレンを与える。
<5.4> 6−エトキシ−3,4−ジフルオロナフタレン−2−オールの調製
30.0g(約0.1mol)の7−エトキシ−1,2−ジフルオロナフタレンを最初に300mlのTHFに導入し、130.0ml(0.21mol)のn−BuLi(ヘキサン中15%溶液)を−75℃において加える。この温度で1時間後、25.0ml(0.22mol)のホウ酸トリメチルを滴下で加え、バッチを−10℃まで温める。50mlの希酢酸(約30%)を加え、混合物を30℃まで温める。40mlの過酸化水素溶液(35%)を注意深く加え、混合物を激しく18時間攪拌する。水を加え、硫酸アンモニウム鉄(II)をバッチに加える。溶液をMTBEで何度も抽出し、合わせた有機相を、水および飽和塩化ナトリウム溶液で逐次に洗浄する。硫酸ナトリウムを使用して溶液を乾燥し、蒸発させて乾燥する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、トルエン:酢酸エチル=9:1)で精製し、淡茶色の固体として6−エトキシ−3,4−ジフルオロナフタレン−2−オールを与える。
<5.5> 7−エトキシ−1,2−ジフルオロ−3−[1−(4−プロピルシクロヘキシル)プロパ−2−イニルオキシ]ナフタレンの調製
10.0g(55.5mmol)の1−(4−プロピルシクロヘキシル)プロパ−2−イン−1−オールおよび15.0g(57.2mmol)のトリフェニルホスフィンと共に、10.5g(46.8mmol)の6−エトキシ−3,4−ジフルオロナフタレン−2−オールを100mlのTHF中に最初に導入し、氷冷で20分にわたり、11.5ml(59.1mmol)のDIADを加える。室温において18時間後、水を加え、混合物をMTBEで何度も抽出する。合わせた有機相を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムを使用して溶液を乾燥する。溶媒を除去した後に残る残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘプタン:MTBE=2:1)で精製する。n−ヘプタンからの再結晶によって更なる精製を行い、帯黄色の固体として7−エトキシ−1,2−ジフルオロ−3−[1−(4−プロピルシクロヘキシル)プロパ−2−イニルオキシ]ナフタレンを与える。
<5.6> 8−エトキシ−5,6−ジフルオロ−3−(4−プロピルシクロヘキシル)−3H−ベンゾ[f]クロメンの調製
7.75g(約18.6mmol)の7−エトキシ−1,2−ジフルオロ−3−[1−(4−プロピルシクロヘキシル)プロパ−2−イニルオキシ]ナフタレンを、205℃において4.5時間80mlのN,N−ジエチルアニリン中で加熱する。バッチをMTBEで希釈し、塩酸で何度も洗浄する。硫酸ナトリウムを使用して有機相を乾燥し、蒸発させて乾燥する。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘプタン:MTBE=4:1)で精製する。n−ヘプタンからの再結晶によって更なる精製を行い、黄色の固体として8−エトキシ−5,6−ジフルオロ−3−(4−プロピルシクロヘキシル)−3H−ベンゾ[f]クロメンを与える。
<5.7> 8−エトキシ−5,6−ジフルオロ−3−(4−プロピルシクロヘキシル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[f]クロメンの調製
大気圧においてTHF中およびPd/C(5%のPd)の存在下、5.1g(13.1mmol)の8−エトキシ−5,6−ジフルオロ−3−(4−プロピルシクロヘキシル)−3H−ベンゾ[f]クロメンを水素化する。反応溶液を濾過し、濾液を蒸発させて乾燥する。残渣を酢酸エチルより再結晶し、無色の固体として8−エトキシ−5,6−ジフルオロ−3−(4−プロピルシクロヘキシル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[f]クロメン(融点158℃)を与える。
Δε=−5.4
Δn=0.1550
C158N159I
1H−NMR(400MHz、CHCl
3):δ=7.64(dd、1H、J=9.2Hz、J=1.6Hz、10−H)、7.24(d、1H、J=2.4Hz、7a−H)、7.12(dd、1H、J=9.2Hz、J=2.4Hz、9−H)、4.14(q、2H、J=7.0Hz、OCH
2CH
3)、3.84〜3.79(m、1H、3−H)、3.08〜3.00(m、1H、1−H)、2.97〜2.87(m、1H、1−H)、2.20〜2.06(m、2H、H
aliph)、1.94〜1.79(m、4H、H
aliph)、1.71〜1.60(m、1H、H
aliph)、1.47(t、3H、J=7.0Hz、OCH
2CH
3)、1.38〜1.11(m、7H、H
aliph)、1.00〜0.86(m、5H、H
aliph)
19F−NMR(376MHz、CHCl
3):δ=−152.5(dd、1F、J=17.8Hz、J=1.2Hz)、−160.5(d、1F、J=17.8Hz)
MS(EI):m/e(%)=388(89、M
+)、237(100)