JP5535179B2 - 転がり軸受 - Google Patents
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Description
(1)シールリップ形状の変更、およびラビリンスすきまを形成する(例えば特許文献1)。
(2)シールリップの軸方向厚みを規定する(例えば特許文献2)。
上記特許文献2に開示のものは、締め代を規定したものではないので、シール性を確保できない。
さらに、保持器の各ポケットの内面に、保持器内径側の開口縁から保持器外径側に延びる凹み部を設けたことにより、内輪のシール溝にグリースが付着し難く、グリース漏れを防止できる。したがって、シール溝の形状を設計変更する必要がなく、また、軸受の軸方向に、例えばスリンガー等を設けるスペースを確保する必要もない。したがって、部品点数を上記特許文献に記載のものより少なくし製造コストの低減を図ることができる。
さらに、保持器の各ポケットの内面に、保持器内径側の開口縁から保持器外径側に延びる凹み部を設けたことにより、内輪のシール溝にグリースが付着し難く、グリース漏れを防止できる。その他第1の参考提案例と同様の作用、効果を奏する。
さらに、保持器のポケット壁部の内周の保持器中心からの半径を、結合板部の内周の保持器中心からの半径よりも大きくしたので、内輪肩部や内輪シール溝にグリースが付着し難くなる。このことは、特に外輪回転時に特徴的に現れる。これにより、シールが接触形、非接触形のいずれの場合にも、グリースの漏洩を防止できる。また、シールリップの緊迫力を強くする必要がないため、トルクが増大しない。
さらに、保持器のポケット壁部の内周の保持器中心からの半径を、結合板部の内周の保持器中心からの半径よりも大きくしたので、内輪肩部や内輪シール溝にグリースが付着し難くなる。このことは、特に外輪回転時に特徴的に現れる。これにより、シールが接触形、非接触形のいずれの場合にも、グリースの漏洩を防止できる。また、シールリップの緊迫力を強くする必要がないため、トルクが増大しない。
したがって、この剛性10N/mmに、締め代0.4mmを乗じた上限押し付け力は4.0Nである。シールリップのシール摺接面への押し付け力が4.0Nを超えるとシール性が劣る。また、締め代の上限値として、0.4mmと規定している。逆に、この締め代が0.4mmより大きくなると、シールが軸受外側に反り、リップ側面とシール摺動面とが面接触してしまい、シール性が劣ってしまう。
さらに、保持器の各ポケットの内面に、保持器内径側の開口縁から保持器外径側に延びる凹み部を設けたことにより、内輪のシール溝にグリースが付着し難く、グリース漏れを防止できる。したがって、シール溝の形状を設計変更する必要がなく、また、軸受の軸方向に、例えばスリンガー等を設けるスペースを確保する必要もない。したがって、部品点数を上記特許文献に記載のものより少なくし製造コストの低減を図ることができる。
さらに、保持器のポケットのある円周方向部分の内径の保持器中心からの半径を、ポケット間の円周方向部分の内径の保持器中心からの半径よりも大きくしたことにより、内輪肩部や内輪シール溝にグリースが付着し難くなる。このことは、特に外輪回転時に特徴的に現れる。これにより、シールが接触形、非接触形のいずれの場合にも、グリースの漏洩を防止できる。また、シールリップの緊迫力を強くする必要がないため、トルクが増大しない。
前記シール摺接面の表面粗さをRmaxで2.0μm以下、好ましくは1.2μm以下とすることにより、シールリップとの摩擦によるトルク損失の増大を防止できるとともに、シールリップの摩耗を抑制して、シールリップのシール摺接面への押し付け力を安定して保持することができる。さらに、前記シール摺接面の表面粗さをRmaxで0.5μm以上に規定することにより、例えば、シール溝を旋削加工する場合の粗さ精度を容易に確保することが可能となる。これにより、製品の歩留まり向上を図ることができ、製造コストの低減を図ることができる。
・軸受回転速度: 2000rpm
・試験時間: 3時間
この保持器4は、図4に斜視図で示すように、各玉3(図1)を保持するポケット50を円周方向の複数箇所に有し、各ポケット50の内面を凹球面状としたリング状のものである。この保持器4は、図5に斜視図で示す環状体の保持器半体51の2個を、軸方向に対面して重ね合わせ、リベット孔52に挿通したリベット53で互いに接合して一体に構成される。これら保持器半体51は、内面がポケット50の半分を形成する部分的な球殻状の形状の球殻状板部50Aを複数有し、隣合うポケット50間の部分となる平板部51aと球殻状板部50Aとが円周方向に交互に並んだものとされる。前記球殻状板部50Aは、球殻の一部となる部分であり、換言すれば、内外両面が球面状となったカウンタシンク形状の膨らみ部分である。保持器半体51の軸方向の投影形状は、半径方向幅が全周に渡って一定のリング状である。
なお、この実施形態では凹み部54Aを2箇所としたが、3箇所以上としても良い。
ポケット50における内面形状は、球面状に限らず、玉配列ピッチ円PCDよりも内径側の部分が、保持器内径側開口縁に近づくに従って小径となる形状であれば良く、例えば玉配列ピッチ円PCDよりも外径側の部分が円筒面状、内径側の部分が円すい面状であっても良い。
このようにして得られた2つの保持器半体51を、図12(C)のように重ね合わせ、図12(D)のように保持器半体51の平板部51aが重なり合う部分をリベット53で接合して保持器4とする。
この参考提案例では、上記したように、仕上げ押し工程に用いる凸側プレス金型56の半球状凸面に、ポケット50(球殻状板部50A)における凹み部54Aの内面を成形する凹み部成形用型部56aを部分的に形成しているので、仕上げ押し工程で凹み部54Aも同時に成形でき、製造工程を増やすことなく効率的に保持器4を製造できる。
図14および図15はこの参考提案例(それぞれ図7の参考提案例、および図8の参考提案例)の保持器4を用いた玉軸受のグリース付着状態を示し、図16は一般的な鉄板打ち抜き保持器を用いた玉軸受のグリース付着状態を示す。
この参考提案例にかかる転がり軸受の保持器4では、ポケット50の形状を上記したように従来例のものと異なるものとしたことにより、内輪肩部へのグリースの付着を無くすことができる。すなわち、玉に最もグリースが付着する位置である保持器内径側の開口縁に開口する凹み部を設けたため、グリースの掻き取りが生じる際の、玉の表面の掻き取りが減少し、保持器内径面に溜まるグリース量が減少する。
さらに、この保持器4,59は、複数の玉3をそれぞれ保持するポケット50を円周方向の複数箇所に有し、各ポケット50の内面を、玉配列ピッチ円PCDよりも内径側の部分が、保持器内径側開口縁に近づくに従って小径となる凹曲面状としたリング状であり、各ポケット50の内面に、保持器内径側の開口縁から保持器外径側に延びる凹み部54(54A,54B,54C)を設けたため、内輪1のシール溝1aにグリースが付着し難く、グリース漏れを防止できる。したがって、シール溝の形状を設計変更する必要がなく、また、軸受の軸方向にスリンガー等を設けるスペースを確保する必要もない。したがって、部品点数を前述の特許文献に記載のものより少なくし製造コストの低減を図ることができる。
この保持器4Aは、図1と共に前述した転がり軸受に用いられる保持器であって、玉3を保持するポケット50を円周方向の複数個所に有するリング状であり、2個の環状体の保持器半体51を軸方向に対面して重ね合わせてなる。これら保持器半体51は、それぞれ内面が前記各ポケットの半分を形成する球殻状板部50Aと、隣合うポケット50間の部分となる平板部51aとが円周方向に交互に並ぶ形状とされる。各保持器半体51は、金属板のプレス成形品(例えば鉄板打ち抜き品)であり、平板部51aに設けられたリベット孔52に挿通したリベット53により、2枚の保持器半体51が互いに接合して一体に構成される。以上の構成は、図4ないし図6に示す実施形態と同様である。
この実施形態の保持器4Aは、上記構成において、球殻状板部50Aにおける玉配列ピッチである玉配列ピッチ円PCDよりも内径側部分に薄肉部分50Aaを形成している。この薄肉部分50Aaは、内輪1の内輪軌道1kdの両側の肩部高さとなる内輪外径面1gに位置する部分の板厚t1を、平板部51aの板厚t0よりも薄くしたものである。肩部高さとなる内輪外径面1gは、内輪1の内輪軌道1kdの肩部の高さで続く外径面部分のことであり、シール溝1aが形成されている場合、内輪軌道1kdとシール溝1aとの間の外径面部分のことである。球殻状板部50Aは、この内輪外径面1gの軸方向範囲Wに位置する部分の板厚t1をその他の部分の板厚t0よりも薄くする。なお、図19において、球殻状板部50Aを薄肉化しない場合の断面形状を想像線で示している。
そこで、保持器4Aの内径部において、内輪1の肩部となる内輪外径面1gと軸方向に重なり合う範囲Wのみの板厚を薄くしており、これにより、実質上の保持器4Aの強度の低下が無く、かつグリース漏れを防止可能な玉軸受用保持器4Aが成立する。
この保持器4Bは、上記のように2枚の環状部材64を重ね合わせたものであるため、前記「ポケット4Baのある円周方向部分」は、2枚の環状部材64の前記ポケット壁部64aからなる。また、後述の「ポケット4Ba間の円周方向部分」は、2枚の環状部材64の結合板部64bからなる。
保持器に使用される合成樹脂材料としては、例えばPA66、PA46等のポリアミド樹脂やポリフェニルサルファイド樹脂が好適であり、さらに必要に応じてグラスファイバ等の強化繊維材を混入してもよい。
また、2枚の環状部材64を結合して1個の保持器とする構成に限らず、鋼材から所定の形状に削り出すもみ抜き保持器としてもよい、あるいは樹脂材料で一体に成形した成形保持器としてもよい。
以上説明したように、転がり軸受において、この軸受に組み込まれる前記保持器は、ポケットのある円周方向部分の内周面の保持器中心からの半径を、ポケット間の円周方向部分の内周面の保持器中心からの半径よりも大きくしたことにより、内輪肩部や内輪シール溝にグリースが付着し難くなる。このことは、特に外輪回転時に特徴的に現れる。これにより、シールが接触形、非接触形のいずれの場合にも、グリースの漏洩を防止できる。また、シールリップの緊迫力を強くする必要がないため、トルクが増大しない。ポケットのある円周方向部分の内周面が、軸方向から見て凹曲線となる曲面形状、および複数の角部を有する多角形状のいずれの場合でも、上記の各作用が得られる。
同転がり軸受の内輪1の内輪軌道1kdの両側方に周方向のシール溝1a,1aが形成され、この各シール溝1aに向かい合う外輪2の内周面に係止溝2a,2aが形成される。この係止溝2aに上記シール部材5Aの外周縁部9が圧入固定される。
このように構成されるシール部材5Aの外周縁部9が、外輪2のシール部材係止溝2aに圧入固定されると、上記主リップ16の先端部27がシール溝1aの軌道側溝壁14に摺接する。前記主リップ16は、肉厚を薄く形成されたくびれ部12の先端部に設けられ、このくびれ部12が軸方向に弾性変形するので、摺接する前記シール溝1aの軌道側溝壁14に対する追従性が維持される。これにより、軸受内部のグリースがシール溝1aに漏出することを防止し、さらに、外部からの異物や泥水などの軸受内部への浸入を防止することができる。
・泥水:関東ローム粉JIS8種10wt%
・軸受回転速度:2000 rpm
・試験時間: 3時間
(試験体)
材質:合成ゴム(アクリロニトリル・ブタジエン・ラバー;略称NBR)
実施例1:ラビリンスリップ17の傾斜面22と、内輪1の肩部15の外周面24とのなす傾斜角度αが40度に設定されたもの。
実施例2:前記傾斜角度αが10度に設定されたもの。他の構造は実施例1と同様である。
比較例1:図33に示すように、ラビリンスリップ17の傾斜面22と、内輪1の肩部15の外周面24とのなす傾斜角度αが0度、つまり前記傾斜面と前記外周面とが平行に設定されたもの。他の構造は実施例1と同様である。
比較例2:図34に示すように、前記傾斜角度αがマイナス20度、つまりラビリンスリップ17の傾斜面22が外向きに縮径し、肩部15の外周面24に対する傾斜角度が20度に設定されたもの。他の構造は実施例1と同様である。
しかし、図33に示す前記傾斜角度αが0度の比較例1の場合は、泥水が軸受内部に残留し、泥水が排出されにくいものであった。また、図34に示す傾斜角度αが−20度の比較例2の場合も、比較例1と同様に、泥水が軸受内部に残留し、泥水が排出されにくいものであった。
以上のように、ラビリンスリップ17の傾斜面22の、内輪1の肩部15の外周面24に対する傾斜角度αを規定することにより、泥水が軸受外部に排出されやすくなる。
さらに、この実施形態に係る転がり軸受において、保持器4,59を適用することにより、内輪1のシール溝1aにグリースが付着し難く、グリース漏れを防止できる。したがって、シール溝の形状を設計変更する必要がなく、また、軸受の軸方向にスリンガー等を設けるスペースを確保する必要もない。したがって、部品点数を前述の特許文献に記載のものより少なくし製造コストの低減を図ることができる。
図35、図36に示すように、接触シール5Bは、芯金5aと弾性部材5bとを有する。この弾性部材5bの芯金5aから先に延びる部分つまり内径部分に、ネック部5cnが設けられている。このネック部5cnの半径方向内径側の先端部分に、シールリップ5dが設けられている。このシールリップ5dは、内輪1の外周面で周方向に延びるシール溝1aの側壁に設けられたシール摺接面1smに、軸方向の外側から押し付けられている。前述したように、前記シールリップ5dのシール摺接面1smへの押し付け力Pは1.6N以上4.0N以下に設定されている。また、シール摺接面1smの表面粗さRmaxは0.5μm以上2.0μm以下、好ましくは1.2μm以下とされている。
・泥水:関東ローム粉JIS8種(泥分濃度5質量%)
・軸受回転速度:2000 rpm
・試験時間: 3時間
また、シール摺接面1smの表面粗さをRmaxで2.0μm以下、好ましくは1.2μm以下とすることにより、シールリップ5dとの摩擦によるトルク損失の増大を防止できるとともに、シールリップ5dの摩耗を抑制して、シールリップ5dのシール摺接面1smへの押し付け力を安定して保持することができる。さらに、前記シール摺接面1smの表面粗さをRmaxで0.5μm以上に規定することにより、例えば、シール溝を旋削加工する場合の粗さ精度を容易に確保することが可能となる。これにより、製品の歩留まり向上を図ることができ、製造コストの低減を図ることができる。
1a…シール溝
1b…外側壁
1c…内側壁
1kd…内輪軌道
1sm…シール摺接面
2…外輪
3…玉
4…保持器
4A〜4D…保持器
5…接触シール
5A…シール部材
5B…接触シール
5c,5d…シールリップ
5ca…先端
14…軌道側溝壁
15…肩部
16…主リップ
17…ラビリンスリップ
20…内周面
22…傾斜面
50…ポケット
54…凹み部
54A〜54C…凹み部
PCD…玉配列ピッチ円
Rp,Ri…半径
Claims (2)
- 内外輪間に介在する複数の玉が保持器に保持され、前記外輪に接触シールを固定し、この接触シールのシールリップの先端を内輪の外周面に設けたシール溝の内側壁に接触させて、内輪と外輪の間の軸受空間を密封し、この軸受空間にグリースが封入される転がり軸受において、
前記接触シールのシールリップの先端を、前記シール溝の内側壁と対向する外側壁の上端位置よりも低い接触位置でシール溝の内側壁に接触させ、
前記保持器は、複数の玉をそれぞれ保持するポケットを円周方向の複数箇所に有し、2個の環状部材を軸方向に対面して重ね合わせてなり、各環状部材は、円周方向に等間隔で並びそれぞれが前記ポケットの内壁面を構成する複数の半球状のポケット壁部と、隣合うポケット壁部同士を連結する平板状の結合板部とを交互に形成したものであり、両環状部材は前記各結合板部で互いに重なって結合され、前記環状部材の内周面のうち、前記ポケット壁部の保持器中心からの半径を、前記結合板部の保持器中心からの半径よりも大きくして、前記内輪の外周面へのグリースの付着を無くす凹み形状部を設け、この凹み形状部は、前記ポケット壁部の円周方向の全体に渡って設け、前記環状部材の外周面のうち、前記ポケット壁部の外周は、保持器中心を中心とする円形であることを特徴とする転がり軸受。 - 内外輪間に介在する複数の玉が保持器に保持され、前記内輪の軌道の側方に形成されたシール溝と、前記内輪の端部との間に肩部を形成し、前記シール溝に対向する前記外輪の内周面にシール部材を装着し、このシール部材の内周部に、前記シール溝の軌道側溝壁に接触する主リップと、前記肩部の上方に突き出すラビリンスリップとを設け、前記内輪と前記外輪の間の軸受空間にグリースが封入される転がり軸受において、
前記シール部材の内周側先端部に、前記主リップとラビリンスリップとを設け、前記主リップに前記シール溝に対向する内周面を設けると共に、前記ラビリンスリップの内周に、このラビリンスリップの先端に向かって除々に拡径する傾斜面を形成し、
前記保持器は、複数の玉をそれぞれ保持するポケットを円周方向の複数箇所に有し、2個の環状部材を軸方向に対面して重ね合わせてなり、各環状部材は、円周方向に等間隔で並びそれぞれが前記ポケットの内壁面を構成する複数の半球状のポケット壁部と、隣合うポケット壁部同士を連結する平板状の結合板部とを交互に形成したものであり、両環状部材は前記各結合板部で互いに重なって結合され、前記環状部材の内周面のうち、前記ポケット壁部の保持器中心からの半径を、前記結合板部の保持器中心からの半径よりも大きくして、前記内輪の外周面へのグリースの付着を無くす凹み形状部を設け、この凹み形状部は、前記ポケット壁部の円周方向の全体に渡って設け、前記環状部材の外周面のうち、前記ポケット壁部の外周は、保持器中心を中心とする円形であることを特徴とする転がり軸受。
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