JP2015158226A - 密封装置およびこれを備えた車輪用軸受装置 - Google Patents

密封装置およびこれを備えた車輪用軸受装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐泥水性を高めて密封性能を向上させた密封装置およびこれを備えた車輪用軸受装置を提供する。【解決手段】互いに対向配置された環状のシール板10とスリンガ20からなるシールで構成され、シール板10が、芯金12と、これに接合されたシール部材13を備え、スリンガ20が、円筒部11aと、径方向外方に延びる立板部20aからなると共に、シール部材13が、立板部20aに摺接する一対のサイドリップ13a、13bと、円筒部11aに摺接するグリースリップ13cを備え、立板部20aの外縁部20bが、軸受外方側に屈曲された鍔部22で構成され、シール嵌合面2bの端面側に段部2cを介して大径のシール面2dが形成され、これらの内周面と立板部20aの外縁部20bとの間および立板部20aの側面とシール部材13の外端部13dとの間で屈曲したラビリンス隙間21、15が形成されている。【選択図】図5

Description

本発明は、軸受空間を密封する密封装置およびこれを備えた車輪用軸受装置に関するものである。
従来から自動車等の車輪を支持する車輪用軸受装置は、車輪を取り付けるためのハブ輪を複列の転がり軸受を介して回転自在に支承するもので、駆動輪用と従動輪用とがある。構造上の理由から、駆動輪用では内輪回転方式が、従動輪用では内輪回転と外輪回転の両方式が一般的に採用されている。また、車輪用軸受装置には、懸架装置を構成するナックルとハブ輪との間に複列アンギュラ玉軸受等からなる車輪用軸受を嵌合させた第1世代と称される構造から、外方部材の外周に直接車体取付フランジまたは車輪取付フランジが形成された第2世代構造、また、ハブ輪の外周に一方の内側転走面が直接形成された第3世代構造、あるいは、ハブ輪と等速自在継手の外側継手部材の外周にそれぞれ内側転走面が直接形成された第4世代構造とに大別されている。
こうした車輪用軸受では、軸受内部に封入されたグリースの漏れを防止すると共に、外部から雨水やダスト等の侵入を防止するために密封装置が装着されている。近年、自動車の燃費向上のため軸受部の低トルク化が進んでいる。この軸受部の回転トルクのうち、密封装置の回転トルクが支配的である。すなわち、転がり抵抗に比べ密封装置の摺動抵抗が大きくて回転トルクに占める密封装置の摺動抵抗の比率が高くなるからである。また、密封装置において、低トルク化と共に、厳しい泥水環境であっても密封性と耐久性を高めることにより、軸受寿命の向上を図ることが要求されるようになっている。
従来から、密封性を高めた車輪用軸受の密封装置に関しては種々提案されているが、こうした密封装置の代表的な一例を図18に示す。この密封装置100は、互いに対向配置されたスリンガ101と環状のシール板102とからなる。スリンガ101は鋼板からプレス加工にて断面が略L字状に形成され、回転側部材となる内輪(図示せず)の外径に圧入される円筒部101aと、この円筒部101aから径方向外方に延びる立板部101bとからなる。
一方、シール板102は断面略L字状に形成され、固定側部材となる外方部材(図示せず)に装着されている。このシール板102は、芯金103と、この芯金103に加硫接着されたシール部材104とからなる。芯金103は鋼板からプレス加工にて形成され、外方部材の端部に内嵌された円筒部103aと、この円筒部103aから径方向内方に延びる立板部103bとからなる。
シール部材104はニトリルゴム等の弾性部材からなり、スリンガ101の立板部101bに摺接する第1および第2のサイドリップ104a、104bを有している。これら第1および第2のサイドリップ104a、104bは、芯金103の立板部103bから外径側に傾斜して形成され、それらの先端がスリンガ101の立板部101bに所定の軸方向シメシロをもって摺接されていると共に、グリースリップ104cが円筒部101aに所定の径方向シメシロを介して摺接されている。
ここで、スリンガ101の立板部101bの外面側に磁性ゴム105が加硫接着によって一体に接合されている。この磁性ゴム105は、立板部101bの先端から内面側に回り込んで接合されている。一方、シール部材104は、芯金103の円筒部103aの先端部に回り込んで接合され、ここから内方に立壁部106が形成されている。そして、磁性ゴム105とこのシール部材104との間に環状隙間107と、この環状隙間107と屈曲するように連なるラビリンス隙間108が形成されている。これにより、軸受空間への泥水の浸入を効果的に防止して、軸受寿命を延長できるようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2007−285374号公報
然しながら、こうした従来の密封装置100では、磁性ゴム105とシール部材104との間に環状隙間107と、この環状隙間107と屈曲するように連なるラビリンス隙間108が形成されているので、軸受空間への泥水の浸入を防止することができるが、これらの環状隙間107やラビリンス隙間108だけでは、過酷な環境に曝される車輪用軸受では完全に泥水等の浸入を防止することは難しい。
また、この環状隙間107とこれに連なるラビリンス隙間108を通過して一旦浸入した泥水が密封装置100内で滞留し、逆に排出し難い構造となっていると共に、環状隙間107とこれに連なるラビリンス隙間108の部位がニトリルゴム等の弾性部材で構成されているため、この部位に滞留した泥水が固化した場合、摩耗が促進されてラビリンス隙間が拡大して密封性が低下する恐れがあった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、耐泥水性を高めて密封性能を向上させた密封装置およびこれを備えた車輪用軸受装置を提供することを目的としている。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1記載の発明は、互いに対向配置された環状のシール板とスリンガで構成され、前記シール板が、外方部材の端部に圧入される円筒状の嵌合部と、この嵌合部の端部から径方向内方に延びる内径部からなる芯金、およびこの芯金に加硫接着により一体に接合され、前記嵌合部の先端部を覆うように回り込んで接合されたシール部材を備え、前記スリンガが、内方部材に圧入される円筒部、およびこの円筒部から径方向外方に延びる立板部を備えた密封装置において、前記スリンガの立板部の外縁部と前記外方部材との間、および当該立板部の軸受内部側の側面と前記芯金の嵌合部の端部外表面まで回り込んで固着された前記シール部材の軸受外部側に臨む端部との間でラビリンス隙間が形成されている。
このように、互いに対向配置された環状のシール板とスリンガで構成され、シール板が、外方部材の端部に圧入される円筒状の嵌合部と、この嵌合部の端部から径方向内方に延びる内径部からなる芯金、およびこの芯金に加硫接着により一体に接合され、嵌合部の先端部を覆うように回り込んで接合されたシール部材を備え、スリンガが、内方部材に圧入される円筒部、およびこの円筒部から径方向外方に延びる立板部を備えた密封装置において、スリンガの立板部の外縁部と外方部材との間、および当該立板部の軸受内部側の側面と芯金の嵌合部の端部外表面まで回り込んで固着されたシール部材の軸受外部側に臨む端部との間でラビリンス隙間が形成されているので、従来のように、環状隙間の部位がニトリルゴム等の弾性部材で構成されておらず、少なくともラビリンス隙間の部位が金属同士でラビリンスシールが構成されているため、この部位に滞留した泥水が固化した場合でも、摩耗が促進されてラビリンス隙間が拡大して密封性が低下することはなく、外部から泥水等が軸受内部に浸入するのを効果的に防止することができ、耐泥水性を高めて密封性能を向上させた密封装置を提供することができる。
好ましくは、請求項2に記載の発明のように、前記外方部材のシール嵌合面の端面側に段部を介してこの嵌合面より大径のシール面が形成され、このシール面から前記段部に亙る内周面と、前記スリンガの立板部の外径との間で前記ラビリンス隙間が形成されていても良い。
また、請求項3に記載の発明のように、前記スリンガの立板部の外縁部が、軸受外方側に屈曲された円筒状の鍔部で構成され、この鍔部の外径と前記外方部材の段部およびシール面との間に前記ラビリンス隙間が形成されていれば、ラビリンス区間が延長されて外部から泥水等が軸受内部に浸入するのを一層防止することができ、耐泥水性を高めて密封性能を向上させることができる。
また、請求項4に記載の発明のように、前記外方部材のシール嵌合面から前記段部を介してこれに連なるシール面の角部が丸められて滑らかに形成されると共に、前記スリンガの立板部の外縁部が、前記外方部材の段部とシール面の輪郭形状に沿った形状に形成され、前記ラビリンス隙間が形成されていれば、ラビリンス区間が延長されて外部から泥水等が軸受内部に浸入するのを一層防止することができる。
また、請求項5に記載の発明のように、前記外方部材のシール嵌合面の端面側に段部を介してこの嵌合面より大径のシール面が形成されると共に、前記スリンガの立板部の外縁部が、軸受外方側に屈曲された円筒状の鍔部と、この鍔部から径方向外方に延びる折曲部で構成され、前記鍔部が前記シール部材の外端部に入り込み、前記外縁部と、前記外方部材の段部とシール面および前記シール部材の外端部との間に断面L字状の環状隙間が形成されていれば、ラビリンス区間が延長されて外部から泥水等が軸受内部に浸入するのを一層防止することができる。
また、請求項6に記載の発明のように、前記スリンガの立板部の折曲部からさらに軸受外方側に延びる円筒状の舌片が形成されていれば、ラビリンス区間を一層延長することができる。
また、本発明のうち請求項7に記載の発明は、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に嵌合された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部を密封する密封装置と、を備えた車輪用軸受装置において、前記密封装置が、前記請求項1乃至6いずれかに記載の密封装置である。
このように、外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部を密封する密封装置を備えた車輪用軸受装置において、密封装置が、前記請求項1乃至6いずれかに記載の密封装置であるので、密封装置の耐泥水性を高めて泥水環境での密封性の向上を図った車輪用軸受装置を提供することができる。
本発明に係る密封装置は、互いに対向配置された環状のシール板とスリンガで構成され、前記シール板が、外方部材の端部に圧入される円筒状の嵌合部と、この嵌合部の端部から径方向内方に延びる内径部からなる芯金、およびこの芯金に加硫接着により一体に接合され、前記嵌合部の先端部を覆うように回り込んで接合されたシール部材を備え、前記スリンガが、内方部材に圧入される円筒部、およびこの円筒部から径方向外方に延びる立板部を備えた密封装置において、前記スリンガの立板部の外縁部と前記外方部材との間、および当該立板部の軸受内部側の側面と前記芯金の嵌合部の端部外表面まで回り込んで固着された前記シール部材の軸受外部側に臨む端部との間でラビリンス隙間が形成されているので、従来のように、環状隙間の部位がニトリルゴム等の弾性部材で構成されておらず、少なくともラビリンス隙間の部位が金属同士でラビリンスシールが構成されているため、この部位に滞留した泥水が固化した場合でも、摩耗が促進されてラビリンス隙間が拡大して密封性が低下することはなく、外部から泥水等が軸受内部に浸入するのを効果的に防止することができ、耐泥水性を高めて密封性能を向上させた密封装置を提供することができる。
また、本発明に係る車輪用軸受装置は、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に嵌合された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部を密封する密封装置と、を備えた車輪用軸受装置において、前記密封装置が、前記請求項1乃至6いずれかに記載の密封装置であるので、密封装置の耐泥水性を高めて泥水環境での密封性の向上を図った車輪用軸受装置を提供することができる。
本発明に係る密封装置を備えた車輪用軸受の第1の実施形態を示す縦断面図である。 図1の一方の密封装置を示す要部断面図である。 図2の密封装置の組立方法を示し、(a)は、密封装置のシール板の組立工程を示す説明図、(b)は、密封装置のスリンガの組立工程を示す説明図である。 図3の密封装置の変形例を示す要部断面図である。 図2の密封装置の他の変形例を示す要部断面図である。 (a)は、図2の密封装置の他の組立方法を示す説明図、(b)は、(a)の密封装置の組立後の状態を示す説明図である。 図6の密封装置の変形例を示す説明図である。 図2の密封装置の他の変形例を示す要部断面図である。 図2の密封装置の他の変形例を示す要部断面図である。 図9の密封装置の変形例を示す要部断面図である。 図10の密封装置の変形例を示す要部断面図である。 本発明に係る密封装置を備えた車輪用軸受の第2の実施形態を示す縦断面図である。 図12の一方の密封装置を示す要部断面図である。 図13の密封装置の変形例を示す要部断面図である。 図13の密封装置の他の変形例を示す要部断面図である。 図15の密封装置の変形例を示す要部断面図である。 図13の密封装置の他の変形例を示す要部断面図である。 従来の密封装置を示す拡大断面図である。
断面がL字状に形成されて互いに対向配置された環状のシール板とスリンガとからなるパックシールで構成され、前記シール板が、固定側部材となる外方部材の端部内周に圧入される円筒状の嵌合部と、この嵌合部の端部から径方向内方に延びる内径部からなる芯金、およびこの芯金に加硫接着により一体に接合され、前記嵌合部の先端部を覆うように回り込んで接合されたシール部材を備え、前記スリンガが、回転側部材となる内輪の外径に圧入される円筒部、およびこの円筒部から径方向外方に延びる立板部を備えると共に、前記シール部材が、径方向外方に傾斜して形成され、前記スリンガの立板部に摺接する一対のサイドリップと、このサイドリップの内径側に径方向内方に傾斜して形成され、前記スリンガの円筒部に摺接するグリースリップを備えた密封装置において、前記スリンガの立板部の外縁部が、軸受外方側に屈曲された円筒状の鍔部で構成され、前記外方部材のシール嵌合面の端面側に段部を介してこの嵌合面より大径のシール面が形成され、このシール面から段部に亙る内周面と前記外縁部との間および前記立板部の軸受内部側の側面と前記芯金の嵌合部の端部外表面まで回り込んで固着された前記シール部材の外端部との間で屈曲した環状のラビリンス隙間が形成されている。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る密封装置を備えた車輪用軸受の第1の実施形態を示す縦断面図、図2は、図1の一方の密封装置を示す断面図、図3は、図2の密封装置の組立方法を示し、(a)は、密封装置のシール板の組立工程を示す説明図、(b)は、密封装置のスリンガの組立工程を示す説明図、図4は、図3の密封装置の変形例を示す要部断面図、図5は、図2の密封装置の他の変形例を示す要部断面図、図6(a)は、図2の密封装置の他の組立方法を示す説明図、(b)は、(a)の密封装置の組立後の状態を示す説明図、図7は、図6の密封装置の変形例を示す説明図、図8は、図2の密封装置の他の変形例を示す要部断面図、図9は、図2の密封装置の他の変形例を示す要部断面図、図10は、図9の密封装置の変形例を示す要部断面図、図11は、図10の密封装置の変形例を示す要部断面図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図1の左側)、中央寄り側をインナー側(図1の右側)という。
図1における車輪用軸受1は車輪用軸受装置に用いられ、第1世代と称されるもので、内周に複列の外側転走面2a、2aが一体に形成された外方部材(外輪)2と、外周に前記複列の外側転走面2a、2aに対向する内側転走面3aが一体に形成された一対の内輪3、3と、両転走面間に収容された複列の転動体(ボール)4、4と、これらの転動体4、4を転動自在に保持する保持器5、5と、外方部材2と一対の内輪3、3との間に形成された環状空間の開口部に装着された密封装置(シール)6、7とを備えている。
外方部材2はSUJ2(JIS G 4805)等の高炭素クロム軸受鋼、あるいは浸炭鋼からなる。高炭素クロム軸受鋼の場合は820〜860℃でズブ焼入れされた後、160〜200℃で焼戻しされ、58〜64HRCの範囲に芯部まで硬化処理されている。また、浸炭鋼の場合は、表面が58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。一方、内輪3も外方部材2と同様、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼、あるいは浸炭鋼からなり、高炭素クロム軸受鋼の場合は58〜64HRCの範囲に芯部まで硬化処理され、浸炭鋼の場合は、表面が58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。また、転動体4はSUJ2等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズブ焼入れにより芯部まで62〜67HRCの範囲に硬化処理されている。
この車輪用軸受1は、一対の内輪3、3の小径側(正面側)端面3b、3bが突き合された状態でセットされ、所謂背面合せタイプの複列のアンギュラ玉軸受を構成している。また、密封装置6、7によって、軸受内部に封入された潤滑グリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。
なお、ここでは、車輪用軸受1として転動体4にボールを使用した複列アンギュラ玉軸受で構成されたものを例示したが、これに限らず転動体4に円錐ころを使用した複列円錐ころ軸受で構成されていても良い。
密封装置6、7のうちアウター側の密封装置6は、固定側部材となる外方部材2のアウター側端部の内周に所定のシメシロを介して圧入された芯金8と、この芯金8に加硫接着により一体に接合され、合成ゴム等で形成されたシール部材9とからなる一体型のシールで構成されている。なお、ここでは、外方部材2が固定側、内方部材1が回転側としているが、これに限らず、外方部材2が回転側、内方部材1が固定側になっても良い。
また、インナー側の密封装置7は、図2に拡大して示すように、断面が略L字状に形成されて互いに対向配置された環状のシール板10とスリンガ11とからなる複合型のシール、所謂パックシールで構成されている。シール板10は外方部材2に装着される芯金12と、この芯金12に加硫接着により一体に接合されたシール部材13とからなる。
芯金12は、オーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)や防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)等の防錆能を有する鋼板からプレス加工にて断面略L字状に形成されている。この芯金12は、外方部材2に圧入され、端部が僅かに縮径されて薄肉に形成された円筒状の嵌合部12aと、この嵌合部12aから径方向内方に延びる内径部12bとを備えている。そして、嵌合部12aの先端部を覆うようにシール部材13が回り込んで接合され、ハーフメタル構造をなしている。これにより、適切な嵌合力を確保することができると共に、シール部材13の圧着により嵌合面から泥水等が浸入するのを防止して気密性を高めることができる。
シール部材13は、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)等の合成ゴムからなり、径方向外方に傾斜して延びる一対のサイドリップ13a、13bと、このサイドリップ13a、13bの内径側に形成されたグリースリップ13cを有している。そして、芯金12の嵌合部12aの端部外表面から内径部12bの内縁まで回り込んで固着されている。なお、シール部材13の材質としては、NBR以外にも、例えば、耐熱性に優れたHNBR(水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、EPM、EPDM(エチレン・プロピレンゴム)等をはじめ、耐熱性、耐薬品性に優れたACM(ポリアクリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、あるいはシリコンゴム等を例示することができる。
一方、スリンガ11はオーステナイト系ステンレス鋼板や防錆処理された冷間圧延鋼板等の防錆能を有する鋼板からプレス加工にて断面略L字状に形成され、内輪3の外径面3cに圧入される円筒部11aと、この円筒部11aから径方向外方に延びる立板部11bとを備えている。そして、シール部材13の一対のサイドリップ13a、13bが立板部11bのアウター側(軸受内方側)の側面に所定の軸方向シメシロを介して摺接されると共に、グリースリップ13cが円筒部11aに所定の径方向シメシロを介して摺接されている。
ここで、本実施形態では、従来のように、スリンガの立板部は、シール板の内径側に嵌挿されてシール板と立板部のインナー側の側面が略面一に設定され、シール板の内径面との間に環状隙間が形成されておらず、スリンガ11の立板部11bの外縁部11cと外方部材2との間にラビリンス隙間14が形成されている。具体的には、芯金12の嵌合部12aが圧入される外方部材2のシール嵌合面2bのインナー側(外方部材2の端面側)に、段部2cを介してこの嵌合面2bより大径のシール面2dが形成されている。なお、ここでいう「略面一」の略とは、例えば、設計の狙い値であって実質的に段差がない状態、すなわち、加工誤差等によって生じる段差は当然許容されるべきものである。
一方、スリンガ11の立板部11bの外径は、芯金12の嵌合部12aの外径と同一径か僅かに大径に設定され、外方部材2の段部2cとシール面2dとの間にそれぞれ環状隙間14a、14bが形成されている。さらに、スリンガ11の立板部11bの外縁部11cと、芯金12の嵌合部12aの端部外表面まで回り込んで固着されたシール部材13の外端部13dとの間に環状隙間15が形成されている。ここでは、環状隙間14bは、a=0.1〜1.0mm、好ましくは、0.3〜0.7mm(直径)の範囲に設定されると共に、環状隙間15は、b=0.1〜1.0mm、好ましくは、0.3〜0.7mmの範囲に設定されている。なお、これらの環状隙間14b、15が1.0mmを超えると、ラビリンスシールの効果が期待できず、また、0.1mm未満では、加工バラツキ等によって干渉する恐れがあるので好ましくない。
このように、スリンガ11の立板部11bの外縁部11cと、外方部材2およびシール板10との間に屈曲した環状隙間14a、14b、15が形成され、ラビリンスシールが構成されているので、従来のように、環状隙間の部位がニトリルゴム等の弾性部材で構成されておらず、少なくともスリンガ11の立板部11bの外縁部11cと外方部材2との間のラビリンス隙間14の部位が金属同士でラビリンスシールが構成されているため、この部位に滞留した泥水が固化した場合でも、摩耗が促進されてラビリンス隙間14が拡大して密封性が低下することはなく、外部から泥水等が軸受内部に浸入するのを効果的に防止することができ、耐泥水性を高めて密封性能を向上させた密封装置7を提供することができる。なお、ここでは、シール部材13の複数のシールリップが、一対のサイドリップ13a、13bとグリースリップ13cで構成されたものを例示したが、これに限らず複数のシールリップで構成されていれば良く、例えば、図示はしないが、単一のサイドリップとダストリップおよびグリースリップで構成されたものであっても良い。
次に、図3を用いて、本実施形態に係る密封装置7の組立方法を詳細に説明する。まず、(a)に示すように、シール部材13の外端部13dの端面に圧入治具(図示せず)を当接させ、この圧入治具に軸力Fa(図中、矢印にて示す)を負荷した状態で、予め決められたストローク量だけ圧入治具を移動させ、シール板10を外方部材2のシール嵌合面2bに圧入する。その後、(b)に示すように、スリンガ11の立板部11bのインナー側の側面に圧入治具(図示せず)を当接させ、この圧入治具に軸力Fb(図中、矢印にて示す)を負荷した状態で、予め決められたストローク量だけ圧入治具を移動させ、スリンガ11を内輪3の外径面3cに圧入する。このように、本実施形態では、圧入治具のストローク量を管理した2工程からなる組立方法により、ラビリンス隙間やリップシメシロの設定を精度良く行うことができ、信頼性の高い密封装置7を提供することができる。
図4に示す密封装置16は、前述した密封装置7(図2)の変形例である。この密封装置16は、基本的には前述した密封装置7とスリンガ11の外縁部11cの構成が異なるだけで、その他同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して重複した説明を省略する。
密封装置16は、断面が略L字状に形成されて互いに対向配置された環状のシール板10とスリンガ17とからなるパックシールで構成されている。スリンガ17はオーステナイト系ステンレス鋼板や防錆処理された冷間圧延鋼板等の防錆能を有する鋼板からプレス加工にて断面略L字状に形成され、内輪3の外径面3cに圧入される円筒部11aと、この円筒部11aから径方向外方に延びる立板部17aとを備えている。そして、シール部材13の一対のサイドリップ13a、13bが立板部17aのアウター側の側面に所定の軸方向シメシロを介して摺接されると共に、グリースリップ13cが円筒部11aに所定の径方向シメシロを介して摺接されている。
ここで、本実施形態では、前述した実施形態と同様、スリンガ17の立板部17aの外縁部17bと外方部材2’との間に環状のラビリンス隙間18が形成されている。具体的には、外方部材2’のシール嵌合面2bのインナー側に、垂直に立ち上がる段部2eを介してこの嵌合面2bより大径のシール面2dが形成されている。
一方、スリンガ17の立板部17aの外径は、芯金12の嵌合部12aの外径よりも大径に設定され、外方部材2’の段部2eとシール面2dとの間にそれぞれ環状隙間18a、18bが形成されている。さらに、スリンガ17の立板部17aの外縁部17bと、シール部材13の外端部13dとの間に環状隙間15が形成されている。
このように、スリンガ17の立板部17aの外縁部17bと、外方部材2’の段部2eとシール面2dの内周面およびシール板10との間に断面略L字状の環状隙間18a、18b、15が形成され、特に、前述したものよりラビリンス区間が延長された環状隙間18aからなるラビリンスシールが構成されているので、外部から泥水等が軸受内部に浸入するのを一層防止することができ、耐泥水性を高めて密封性能を向上させることができる。
図5に示す密封装置19は、前述した密封装置7(図2)の他の変形例である。この密封装置19は、基本的には前述した密封装置7とスリンガ11の外縁部11cの構成が異なるだけで、その他同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して重複した説明を省略する。
密封装置19は、断面が略L字状に形成されて互いに対向配置された環状のシール板10とスリンガ20とからなるパックシールで構成されている。スリンガ20はオーステナイト系ステンレス鋼板や防錆処理された冷間圧延鋼板等の防錆能を有する鋼板からプレス加工にて断面略L字状に形成され、内輪3の外径面3cに圧入される円筒部11aと、この円筒部11aから径方向外方に延びる立板部20aとを備えている。そして、シール部材13の一対のサイドリップ13a、13bが立板部20aのアウター側の側面に所定の軸方向シメシロを介して摺接されると共に、グリースリップ13cが円筒部11aに所定の径方向シメシロを介して摺接されている。
ここで、本実施形態では、前述した実施形態と同様、スリンガ20の立板部20aの外縁部20bと外方部材2との間に環状のラビリンス隙間21が形成されている。具体的には、外方部材2のシール嵌合面2bのインナー側に、段部2cを介してこの嵌合面2bより大径のシール面2dが形成されている。一方、スリンガ20の立板部20aの外縁部20bは、インナー側に屈曲された鍔部22で構成され、この鍔部22の外径は、芯金12の嵌合部12aの外径と同一径か僅かに大径に設定され、外方部材2の段部2cとシール面2dの内周面との間にそれぞれ環状隙間21a、21bが形成されている。さらに、スリンガ20の立板部20aの外縁部20bと、シール部材13の外端部13dとの間に環状隙間15が形成されている。
このように、スリンガ20の立板部20aの外縁部20bと、外方部材2およびシール板10との間に断面略L字状の環状隙間21a、21b、15が形成され、特に、前述したものよりラビリンス区間が延長された環状隙間21bからなるラビリンスシールが構成されているので、外部から泥水等が軸受内部に浸入するのを一層防止することができ、耐泥水性を高めて密封性能を向上させることができる。
次に、図6を用いて、本実施形態に係る密封装置7の他の組立方法を説明する。この組立方法は、前述したものと異なり、シール板10とスリンガ11とを一体化した状態で圧入して組み立てる1工程からなる組立方法である。まず、シール板10とスリンガ11とを予め一体に組み立てたものを、(a)に示すように、スリンガ11の立板部11bのインナー側(軸受内方側)の側面に圧入治具23を当接させ、この圧入治具23に軸力Fc(図中、矢印にて示す)を負荷した状態で、予め決められたストローク量だけ圧入治具23を移動させ、シール板10とスリンガ11を外方部材2のシール嵌合面2bおよび内輪3の外径面3cに圧入する。ここで、圧入治具23の押圧面23aは、垂直面に対し、外縁部11cに向ってアウター側に所定の傾斜角θだけ傾斜した円錐面に形成されている。そして、この圧入治具23でもってスリンガ11を介して密封装置7を圧入することにより、スリンガ11の立板部11bが圧入治具23の押圧面23aの形状に沿って弾性変形する。すなわち、立板部11bの外縁部11cがシール板10におけるシール部材13の外端部13dに当接した状態で、予め決められたストローク量だけ圧入治具23を移動させて圧入が終了する。なお、この傾斜角θは、(b)に示すように、立板部11bの外縁部11cとシール部材13の外端部13dとの間にbなる環状隙間15が形成されるように設定されている。
その後、圧入治具23をスリンガ11から解放すると、弾性変形していたスリンガ11の立板部11bが復元され、所望の環状隙間15を得ることができる。このように、本実施形態では、圧入治具23のストローク量を管理した1工程からなる組立方法により、ラビリンス隙間やリップシメシロの設定を精度良く行うことができ、組立作業性を向上させることができる。
なお、図7に示すように、スリンガ24の立板部24aを先端に向って漸次薄肉になるように形成することにより、外縁部24bは根本部に比べ弾性変形領域が増えるため、立板部24aのスプリングバック量が増え、環状隙間15の設定範囲が大きくなって設計自由度が拡大すると共に、単一の圧入治具で任意のスプリングバック量を設定することができ、組立の管理コストが低減して低コスト化を図ることができる。
図8に示す密封装置25は、前述した密封装置7(図2)の他の変形例である。この密封装置25は、基本的には前述した密封装置7とスリンガ11の形状が異なるだけで、その他同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して重複した説明を省略する。
密封装置25は、断面が略L字状に形成されて互いに対向配置された環状のシール板10とスリンガ26とからなるパックシールで構成されている。スリンガ26はオーステナイト系ステンレス鋼板や防錆処理された冷間圧延鋼板等の防錆能を有する鋼板からプレス加工にて断面略L字状に形成され、内輪3の外径面3cに圧入される円筒部26aと、この円筒部26aから径方向外方に延びる立板部26bとを備えている。そして、シール部材13の一対のサイドリップ13a、13bが立板部26bのアウター側の側面に所定の軸方向シメシロを介して摺接されると共に、グリースリップ13cが円筒部26aに所定の径方向シメシロを介して摺接されている。
ここで、本実施形態では、スリンガ26の円筒部26aと立板部26bの繋ぎ部が前述したスリンガ11よりも大きな曲率半径rからなる円弧面で構成されている。これにより、スリンガ26の弾性変形領域が増えるため、圧入の際に塑性変形するのを防止することができ、環状隙間15が精度良く、かつ安定して設定することができる。なお、この曲率半径rはR1〜5の範囲に設定されている。曲率半径rがR1未満では効果が期待できず、また、R5を超えるとサイドリップ13a、13bの摺接面が狭くなるため好ましくない。
図9に示す密封装置27は、前述した密封装置7(図2)の他の変形例である。この密封装置27は、基本的には前述した密封装置7とスリンガ11の外縁部11cの構成が異なるだけで、その他同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して重複した説明を省略する。
密封装置27は、断面が略L字状に形成されて互いに対向配置された環状のシール板10とスリンガ28とからなるパックシールで構成されている。スリンガ28はオーステナイト系ステンレス鋼板や防錆処理された冷間圧延鋼板等の防錆能を有する鋼板からプレス加工にて断面略L字状に形成され、内輪3の外径面3cに圧入される円筒部11aと、この円筒部11aから径方向外方に延びる立板部28aとを備えている。そして、シール部材13の一対のサイドリップ13a、13bが立板部28aのアウター側の側面に所定の軸方向シメシロを介して摺接されると共に、グリースリップ13cが円筒部11aに所定の径方向シメシロを介して摺接されている。
ここで、本実施形態では、前述した実施形態と同様、スリンガ28の立板部28aの外縁部28bと外方部材2との間に環状のラビリンス隙間29が形成されている。具体的には、外方部材2のシール嵌合面2bのインナー側に、段部2cを介してこの嵌合面2bより大径のシール面2dが形成されている。一方、スリンガ28の立板部28aの外縁部28bは、インナー側(軸受外方側)に屈曲された円筒状の鍔部30と、この鍔部30から径方向外方に延びる折曲部31で構成され、鍔部30はシール板10におけるシール部材13の外端部13dに入り込み、折曲部31の外径は、芯金12の嵌合部12aの外径と同一径か僅かに大径に設定されている。そして、折曲部31と、外方部材2の段部2cおよびシール面2dとの間にそれぞれ環状隙間29a、29bが形成されると共に、スリンガ28の立板部28aの外縁部28bと、シール部材13の外端部13dとの間に断面略L字状の環状隙間32が形成されている。
このように、スリンガ28の立板部28aの外縁部28bと、外方部材2およびシール板10との間に屈曲した環状隙間29a、29b、32が形成され、特に、前述したものよりラビリンス区間が延長された断面L字状の環状隙間32からなるラビリンスシールが構成されているので、外部から泥水等が軸受内部に浸入するのを一層防止することができ、耐泥水性を高めて密封性能を向上させることができる。
図10に示す密封装置33は、前述した密封装置27(図9)の変形例である。この密封装置27は、基本的には前述した密封装置27とスリンガ28の外縁部28bの構成が異なるだけで、その他同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して重複した説明を省略する。
密封装置33は、断面が略L字状に形成されて互いに対向配置された環状のシール板10とスリンガ34とからなるパックシールで構成されている。スリンガ34はオーステナイト系ステンレス鋼板や防錆処理された冷間圧延鋼板等の防錆能を有する鋼板からプレス加工にて断面略L字状に形成され、内輪3の外径面3cに圧入される円筒部11aと、この円筒部11aから径方向外方に延びる立板部28aとを備えている。そして、シール部材13の一対のサイドリップ13a、13bが立板部28aのアウター側の側面に所定の軸方向シメシロを介して摺接されると共に、グリースリップ13cが円筒部11aに所定の径方向シメシロを介して摺接されている。
ここで、本実施形態では、前述した実施形態と同様、スリンガ34の立板部28aの外縁部34aと外方部材2との間に環状のラビリンス隙間35が形成されている。具体的には、外方部材2のシール嵌合面2bのインナー側に、段部2cを介してこの嵌合面2bより大径のシール面2dが形成されている。一方、スリンガ34の立板部28aの外縁部34aは、インナー側に屈曲された鍔部30と、この鍔部30から径方向外方に延びる折曲部31およびこの折曲部31からさらにインナー側に延びる円筒状の舌片36で構成され、鍔部30はシール板10におけるシール部材13の外端部13dに入り込み、舌片36の外径は、芯金12の嵌合部12aの外径と同一径か僅かに大径に設定されている。そして、舌片36と、外方部材2の段部2cおよびシール面2dとの間にそれぞれ環状隙間29a、35aが形成されると共に、スリンガ34の立板部28aの外縁部34aと、シール部材13の外端部13dとの間に断面略L字状の環状隙間32が形成されている。
このように、スリンガ34の立板部28aの外縁部34aと、外方部材2およびシール板10との間に屈曲した環状隙間29a、35a、32が形成され、特に、前述したものよりラビリンス区間が延長された環状隙間35aからなるラビリンスシールが構成されているので、外部から泥水等が軸受内部に浸入するのを一層防止することができ、耐泥水性を高めて密封性能を向上させることができる。
図11に示す密封装置37は、前述した密封装置33(図10)の変形例である。この密封装置37は、基本的には前述した密封装置33とスリンガ34の外縁部34aの構成が異なるだけで、その他同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して重複した説明を省略する。
密封装置37は、断面が略L字状に形成されて互いに対向配置された環状のシール板10とスリンガ38とからなるパックシールで構成されている。スリンガ38はオーステナイト系ステンレス鋼板や防錆処理された冷間圧延鋼板等の防錆能を有する鋼板からプレス加工にて断面略L字状に形成され、内輪3の外径面3cに圧入される円筒部11aと、この円筒部11aから径方向外方に延びる立板部38aとを備えている。そして、シール部材13の一対のサイドリップ13a、13bが立板部38aのアウター側の側面に所定の軸方向シメシロを介して摺接されると共に、グリースリップ13cが円筒部11aに所定の径方向シメシロを介して摺接されている。
ここで、本実施形態では、前述した実施形態と同様、スリンガ38の立板部38aの外縁部38bと外方部材40との間に環状のラビリンス隙間41が形成されている。具体的には、外方部材40のシール嵌合面2bのインナー側に、段部40aを介してこの嵌合面2bより大径のシール面40bが形成されている。なお、シール嵌合面2bから段部40aと、これに連なるシール面40bは、角部が丸められて滑らかに形成されている。
一方、スリンガ38の立板部38aの外縁部38bは、外方部材40の段部40aとシール面40bの輪郭形状に沿った形状に形成されている。そして、外縁部38bと、外方部材40の段部40aおよびシール面40bの内周面との間に湾曲した環状隙間41が形成されると共に、スリンガ38の立板部38aの外縁部38bと、シール部材13の外端部13dとの間に環状隙間32が形成されている。
このように、スリンガ38の立板部38aの外縁部38bと、外方部材40およびシール板10との間に連続したS字状の環状隙間41、32が形成され、特に、前述したものよりラビリンス区間が延長された環状隙間41からなるラビリンスシールが構成されているので、外部から泥水等が軸受内部に浸入するのを一層防止することができ、耐泥水性を高めて密封性能を向上させることができる。
図12は、本発明に係る密封装置を備えた車輪用軸受の第2の実施形態を示す縦断面図、図13は、図12の一方の密封装置を示す要部断面図、図14は、図13の密封装置の変形例を示す要部断面図、図15は、図13の密封装置の他の変形例を示す要部断面図、図16は、図15の密封装置の変形例を示す要部断面図、図17は、図13の密封装置の他の変形例を示す要部断面図である。なお、この車輪用軸受は、前述した車輪用軸受1(図1)と基本的には軸受部の構成が異なるだけで、その他同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して重複した説明を省略する。
この車輪用軸受は駆動輪側の第3世代と称され、内方部材42と外方部材43、および両部材42、43間に転動自在に収容された複列の転動体4、4とを備えている。内方部材42は、ハブ輪44と、このハブ輪44に圧入された内輪3とからなる。
ハブ輪44は、アウター側の端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ45を一体に有し、この車輪取付フランジ45の円周等配位置に車輪を固定するためのハブボルト45aが植設されている。また、ハブ輪44の外周には一方(アウター側)の内側転走面44aと、この内側転走面44aから軸方向に延びる円筒状の小径段部44bが形成され、内周にはセレーション(またはスプライン)44cが形成されている。内輪3は外周に他方(インナー側)の内側転走面3aが形成され、ハブ輪44の小径段部44bに所定のシメシロを介して圧入されている。
ハブ輪44は、S53C等の炭素0.40〜0.80重量%を含む中高炭素鋼で形成され、アウター側の内側転走面44aをはじめ、後述するシール46のシールランド部となる車輪取付フランジ45のインナー側の基部45bから小径段部44bに亙り高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。これにより、車輪取付フランジ45の基部45bの耐摩耗性が向上するばかりでなく、車輪取付フランジ45に負荷される回転曲げ荷重に対して充分な機械的強度を有することになり、ハブ輪44の強度・耐久性が向上する。
外方部材43は、外周に車体(図示せず)に取り付けられるための車体取付フランジ43bを一体に有し、内周に前記内方部材42の内側転走面44a、3aに対向する複列の外側転走面43a、43aが一体に形成されている。この外方部材43は、ハブ輪44と同様、S53C等の炭素0.40〜0.80重量%を含む中高炭素鋼で形成され、少なくとも複列の外側転走面43a、43aが高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。そして、それぞれの転走面43a、44aと43a、3a間に複列の転動体4、4が収容され、保持器5、5によりこれら複列の転動体4、4が転動自在に保持されている。また、外方部材43と内方部材42との間に形成される環状空間の開口部には密封装置(シール)46、48が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。
なお、ここでは、転動体4にボールを使用した複列アンギュラ玉軸受で構成された車輪用軸受装置を例示したが、これに限らず、転動体4に円錐ころを使用した複列円錐ころ軸受で構成されていても良い。また、ここでは、ハブ輪44の外周に直接内側転走面44aが形成された第3世代構造を例示したが、図示はしないが、ハブ輪の小径段部に一対の内輪が圧入固定された第2世代構造であっても良い。
本実施形態では、アウター側の密封装置46は、芯金47aと、この芯金47aに一体に加硫接着されたシール部材47bとからなる一体型の密封装置で構成されている。また、インナー側の密封装置48は、図13に拡大して示すように、互いに対向配置された環状のシール板10とスリンガ49とからなるパックシールで構成されている。
スリンガ49は、オーステナイト系ステンレス鋼板や防錆処理された冷間圧延鋼板等の防錆能を有する鋼板からプレス加工にて断面略コの字状に形成され、内輪3の外径面3cに圧入される円筒部49aと、この円筒部49aから径方向外方に延びる立板部49bとを備えている。そして、シール部材13の一対のサイドリップ13a、13bが立板部49bのアウター側(軸受内方側)の側面に所定の軸方向シメシロを介して摺接されると共に、グリースリップ13cが円筒部49aに所定の径方向シメシロを介して摺接されている。
ここで、本実施形態では、スリンガ49の立板部49bの外縁部49cと外方部材43との間に環状のラビリンス隙間50が形成されている。具体的には、外方部材43のパイロット部43cの端部に環状溝51が形成されている。一方、スリンガ49の立板部49bの外縁部49cにはアウター側に延びる鍔部52が一体形成され、外方部材43の環状溝51に係合して断面略L字状のラビリンス隙間50が形成されると共に、スリンガ49の立板部49bの外縁部49cと、外方部材43のインナー側の端面43dおよびシール部材13の外端部13dとの間に環状隙間53が形成されている。
このように、スリンガ49の立板部49bの外縁部49cと、外方部材43およびシール板10との間に屈曲したラビリンス隙間50と環状隙間53からなるラビリンスシールが構成されているので、外部から泥水等が軸受内部に浸入するのを防止することができ、耐泥水性を高めて密封性能を向上させることができる。
図14に示す密封装置54は、前述した密封装置48(図13)の変形例である。この密封装置54は、基本的には前述した密封装置48とスリンガ49の外縁部49cのラビリンス隙間の構成が異なるだけで、その他同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して重複した説明を省略する。
本実施形態では、密封装置54は、互いに対向配置された環状のシール板10とスリンガ55とからなるパックシールで構成されている。スリンガ55は、オーステナイト系ステンレス鋼板や防錆処理された冷間圧延鋼板等の防錆能を有する鋼板からプレス加工にて断面略コの字状に形成され、内輪3の外径面3cに圧入される円筒部49aと、この円筒部49aから径方向外方に延びる立板部55aとを備えている。そして、シール部材13の一対のサイドリップ13a、13bが立板部55aのアウター側の側面に所定の軸方向シメシロを介して摺接されると共に、グリースリップ13cが円筒部49aに所定の径方向シメシロを介して摺接されている。
ここで、スリンガ55の立板部55aの外縁部55bと外方部材56との間に環状のラビリンス隙間57が形成されている。具体的には、外方部材56のシール嵌合面56aの端部に環状溝58が形成されている。一方、スリンガ55の立板部55aの外縁部55bにはアウター側に延びる鍔部59が一体形成され、外方部材56の環状溝58に係合して断面略L字状のラビリンス隙間57が形成されると共に、スリンガ55の立板部55aの外縁部55bとシール部材13の外端部13dとの間に環状隙間53が形成されている。
このように、スリンガ55の立板部55aの外縁部55bと、外方部材56およびシール板10との間に屈曲したラビリンス隙間57と環状隙間53からなるラビリンスシールが構成されているので、外部から泥水等が軸受内部に浸入するのを防止することができ、耐泥水性を高めて密封性能を向上させることができる。
図15に示す密封装置60は、前述した密封装置48(図13)の変形例である。この密封装置60は、基本的には前述した密封装置48とスリンガ49の外縁部49cのラビリンス隙間の構成が異なるだけで、その他同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して重複した説明を省略する。
本実施形態では、密封装置60は、互いに対向配置された環状のシール板10とスリンガ61とからなるパックシールで構成されている。スリンガ61は、オーステナイト系ステンレス鋼板や防錆処理された冷間圧延鋼板等の防錆能を有する鋼板からプレス加工にて断面略コの字状に形成され、内輪3の外径面3cに圧入される円筒部49aと、この円筒部49aから径方向外方に延びる立板部61aとを備えている。そして、シール部材13の一対のサイドリップ13a、13bが立板部61aのアウター側の側面に所定の軸方向シメシロを介して摺接されると共に、グリースリップ13cが円筒部49aに所定の径方向シメシロを介して摺接されている。
ここで、スリンガ61の立板部61aの外縁部61bと外方部材65との間に環状のラビリンス隙間62が形成されている。具体的には、外方部材65のインナー側の端面43dに環状溝63が形成されている。一方、スリンガ61の立板部61aの外縁部61bにはアウター側に延びる鍔部64が一体形成され、外方部材65の環状溝63に係合して断面略U字状のラビリンス隙間62が形成されると共に、スリンガ61の立板部61aの外縁部61bと、外方部材65のインナー側の端面43dおよびシール部材13の外端部13dとの間に環状隙間53が形成されている。
このように、スリンガ61の立板部61aの外縁部61bと、外方部材65およびシール板10との間に屈曲したラビリンス隙間62と環状隙間53からなるラビリンスシールが構成されているので、外部から泥水等が軸受内部に浸入するのを防止することができ、耐泥水性を高めて密封性能を向上させることができる。
図16に示す密封装置66は、前述した密封装置60(図15)の変形例である。この密封装置66は、基本的には前述した密封装置60とスリンガ61の外縁部61bのラビリンス隙間の構成が異なるだけで、その他同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して重複した説明を省略する。
本実施形態では、密封装置66は、互いに対向配置された環状のシール板10とスリンガ61とからなるパックシールで構成されている。ここで、スリンガ61の立板部61aの外縁部61bと外方部材65’との間に環状のラビリンス隙間67が形成されている。具体的には、外方部材65’のインナー側の端面43dに環状溝68が形成されている。ここで、外方部材65’のインナー側の端面43dは、この環状溝68の径方向内方側が凹んで形成され、後述するスリンガ61の立板部61aの外縁部61bを収容している。
一方、スリンガ61の立板部61aの外縁部61bにはアウター側に延びる鍔部64が一体形成され、外方部材65’の環状溝68に係合して断面略U字状のラビリンス隙間67が形成されると共に、スリンガ61の立板部61aの外縁部61bと、外方部材65’のインナー側の端面43dおよびシール部材13の外端部13dとの間に環状隙間53が形成されている。
このように、スリンガ61の立板部61aの外縁部61bと、外方部材65’およびシール板10との間に屈曲した、特に、前述したものよりラビリンス区間が延長されたラビリンス隙間67と環状隙間53からなるラビリンスシールが構成されているので、コンパクト化と共に、外部から泥水等が軸受内部に浸入するのを一層防止することができ、耐泥水性を高めて密封性能を向上させることができる。
図17に示す密封装置69は、前述した密封装置48(図13)の他の変形例である。この密封装置69は、基本的には前述した密封装置48とスリンガ49の外縁部49cのラビリンス隙間の構成が異なるだけで、その他同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して重複した説明を省略する。
本実施形態では、密封装置69は、互いに対向配置された環状のシール板10とスリンガ70とからなるパックシールで構成されている。スリンガ70は、オーステナイト系ステンレス鋼板や防錆処理された冷間圧延鋼板等の防錆能を有する鋼板からプレス加工にて断面略コの字状に形成され、内輪3の外径面3cに圧入される円筒部49aと、この円筒部49aから径方向外方に延びる立板部70aと、この立板部70aからインナー側に膨出した屈曲部70bを介して外方部材43のインナー側の端面43dに対峙する円板部70cと、この円板部70cからアウター側に延びる円筒状の鍔部52とを備えている。そして、シール部材13の一対のサイドリップ13a、13bが立板部70aのアウター側の側面に所定の軸方向シメシロを介して摺接されると共に、グリースリップ13cが円筒部49aに所定の径方向シメシロを介して摺接されている。
ここで、スリンガ70の鍔部52が外方部材43の環状溝51に係合して断面略L字状のラビリンス隙間50が形成されると共に、スリンガ70の円板部70cと外方部材43のインナー側の端面43dおよびシール部材13の外端部13dとの間に環状隙間53が形成されている。これにより、前述した実施形態と同様、外部から泥水等が軸受内部に浸入するのを防止することができ、耐泥水性を高めて密封性能を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、スリンガ70が立板部70aからインナー側に膨出した屈曲部70bを有しているので、スリンガ70の剛性が高くなると共に、スリンガ70とシール部材13との距離を小さく抑えることができ、サイドリップ13a、13bの長さを変更することなく、所望のリップ面圧を確保することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る車輪用軸受の密封装置は、第1乃至第4世代構造の車輪用軸受に装着される密封装置に適用することができる。
1 車輪用軸受
2、2’、40、43、65、65’ 外方部材
2a、43a 外側転走面
2b、56a シール嵌合面
2c、2e、40a 段差
2d、40b シール面
3 内輪
3a、44a 内側転走面
3b 小径側端面
3c 外径面
4 転動体
5 保持器
6、46 アウター側の密封装置
7、16、19、25、27、33、37、48、54、60、66、69 インナー側の密封装置
8、12、47a 芯金
9、13、47b シール部材
10 シール板
11、17、20、24、26、28、34、38、49、55、61、70 スリンガ
11a、26a、49a 円筒部
11b、17a、20a、24a、26b、28a、38a、49b、55a、61a、70a 立板部
11c、17b、24b、28b、34a、38b、49c、55b、61b、 立板部の外縁部
12a 嵌合部
12b 内径部
13a、13b サイドリップ
13c グリースリップ
13d 外端部
14、18、21、29、35、41、50、57、62、67 ラビリンス隙間
14a、14b、15、18a、18b、21a、21b、29a、29b、32、35a、53 環状隙間
22、30、52、59、64 鍔部
23 圧入治具
23a 押圧面
31 折曲部
36 舌片
42 内方部材
43b 車体取付フランジ
43c パイロット部
43d 外方部材のインナー側の端面
44 ハブ輪
44b 小径段部
44c セレーション
45 車輪取付フランジ
45a ハブボルト
45b 車輪取付フランジの基部
51、58、63、68 環状溝
70b 屈曲部
70c 円板部
100 密封装置
101 スリンガ
101a、103a 円筒部
101b、103b 立板部
102 シール板
103 芯金
104 シール部材
104a 第1のサイドリップ
104b 第2のサイドリップ
104c グリースリップ
105 磁性ゴム
106 立壁部
107 環状隙間
108 ラビリンス隙間
a、b 環状隙間
r スリンガの繋ぎ部の曲率半径
θ 圧入治具の押圧面の傾斜角

Claims (7)

  1. 互いに対向配置された環状のシール板とスリンガで構成され、
    前記シール板が、外方部材の端部に圧入される円筒状の嵌合部と、この嵌合部の端部から径方向内方に延びる内径部からなる芯金、およびこの芯金に加硫接着により一体に接合され、前記嵌合部の先端部を覆うように回り込んで接合されたシール部材を備え、
    前記スリンガが、内方部材に圧入される円筒部、およびこの円筒部から径方向外方に延びる立板部を備えた密封装置において、
    前記スリンガの立板部の外縁部と前記外方部材との間、および当該立板部の軸受内部側の側面と前記芯金の嵌合部の端部外表面まで回り込んで固着された前記シール部材の軸受外部側に臨む端部との間でラビリンス隙間が形成されていることを特徴とする密封装置。
  2. 前記外方部材のシール嵌合面の端面側に段部を介してこの嵌合面より大径のシール面が形成され、このシール面から前記段部に亙る内周面と、前記スリンガの立板部の外径との間で前記ラビリンス隙間が形成されている請求項1に記載の密封装置。
  3. 前記スリンガの立板部の外縁部が、軸受外方側に屈曲された円筒状の鍔部で構成され、この鍔部の外径と前記外方部材の段部およびシール面との間に前記ラビリンス隙間が形成されている請求項2に記載の密封装置。
  4. 前記外方部材のシール嵌合面から前記段部を介してこれに連なるシール面の角部が丸められて滑らかに形成されると共に、前記スリンガの立板部の外縁部が、前記外方部材の段部とシール面の輪郭形状に沿った形状に形成され、前記ラビリンス隙間が形成されている請求項2または3に記載の密封装置。
  5. 前記外方部材のシール嵌合面の端面側に段部を介してこの嵌合面より大径のシール面が形成されると共に、前記スリンガの立板部の外縁部が、軸受外方側に屈曲された円筒状の鍔部と、この鍔部から径方向外方に延びる折曲部で構成され、前記鍔部が前記シール部材の外端部に入り込み、前記外縁部と、前記外方部材の段部とシール面および前記シール部材の外端部との間に断面L字状の環状隙間が形成されている請求項1に記載の密封装置。
  6. 前記スリンガの立板部の折曲部からさらに軸受外方側に延びる円筒状の舌片が形成されている請求項5に記載の密封装置。
  7. 内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
    一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に嵌合された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
    この内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、
    前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部を密封する密封装置と、を備えた車輪用軸受装置において、
    前記密封装置が、前記請求項1乃至6いずれかに記載の密封装置であることを特徴とする車輪用軸受装置。
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