JP5534423B2 - 固体発光装置および照明装置 - Google Patents

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Description

本発明は、発光ダイオード等の固体発光素子を光源とした固体発光装置および照明装置に関する。
近年、固体発光素子、特に、発光ダイオードを用いた発光装置は、白熱電球に代替可能な電球形のLEDランプやダウンライト、スポットライト等の各種照明器具の光源として、また、薄型テレビ、液晶ディスプレイ、携帯電話、各種情報端末のバックライト、さらには屋内外の看板広告等、多方面への展開が進んでいる。また、その長寿命、低消費電力、耐衝撃性、高速応答性、高純度表示色、軽薄短小化等を実現できることから、一般照明用のみならず、各種産業分野での応用が進んでいる。
これらに使用される発光ダイオードを光源とする固体発光装置は、大光量化、高効率化が進むことに加え、光源サイズの縮小化により高い放熱性が求められている。また、使用環境としても誘導灯や非常灯などに使用される場合には、耐熱性も必要とされる。これらの要求に対応するため、発光ダイオードを実装するための基板として熱伝導性の良好なアルミニウム等からなる金属基板やアルミナ等のセラミックス基板が用いられている。例えば、特許文献1、特に段落番号[0010]および特許文献2、特に段落番号[0004]参照。
特開2009−037995号公報 特開2009−212367号公報 特開2003−059330号公報
一方、発光ダイオードの寿命として定義されている光束劣化70%の時間も、通常の40000時間以上に伸びている現在、これらアルミニウム基板やセラミックス基板における共通の問題として、耐熱性を持たせることが困難な点がある。これは、基板における給電用の電線との電気接続手段として、例えば、特許文献3に示されているように、一般的には端子部および端子台からなるコネクタが用いられ、給電用の電線との電気接続や基板へのコネクタの固定手段として半田が用いられている。しかしながら、半田部分の信頼性を確保するためには、半田部分の温度を、例えば、90℃以下にする必要があり、このため、特に、セラミックス基板においては、アウトガスが少ないことから、ジャンクジョン温度を上げることが可能、換言すれば、耐熱性能があるにもかかわらず、半田部分における温度制限からジャンクション温度を上げることができない。例えば、誘導灯や非常灯などにおいて必要な耐熱性を持たせることができない。このため、この種の発光ダイオード等を光源とする固体発光装置においては、如何にして耐熱性を確保するかが重要な課題となっている。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、耐熱性を確保することが可能な固体発光装置および照明装置を提供しようとするものである。
請求項1に記載の固体発光装置の発明は、一面側に固体発光素子が実装され配線パターンを形成すると共に、配線パターンから他面側に向けて支持凹部を形成した電気絶縁性の基板と;前記基板との熱膨張係数α差が30×10 -7 (/℃)以下で、基板の支持凹部に支持することにより配線パターンに接続され、給電用の電線が巻きつけられる導電性のラッピングピンと;前記支持凹部の底部に設けられ前記ラッピングピンを支持する導電性を有しない固着材と;前記支持凹部の開口側に、前記配線パターンと前記ラッピングピンに接触するように盛り上がって設けられた導電性を有する固着材と;を具備していることを特徴とする。
本発明によれば、配線パターンから他面側に向けて支持凹部を形成した電気絶縁性の基板と、基板の支持凹部に支持することにより配線パターンに接続され、給電用の電線が巻きつけられる導電性のラッピングピンにより、コネクタを用いることなく、基板における給電用の電線との電気接続を行うことができ、耐熱性を確保することが可能な固体発光装置を構成することが可能となる。
また、ラッピングピンは、支持凹部の底部に設けられラッピングピンを支持する導電性を有しない固着材と、支持凹部の開口側に設けられた導電性を有する固着材で支持することにより、ラッピングピンを基板に対し機械的に支持することができると共に電気接続も同時に行うことが可能となり、さらに、導電性を有する固着材は、配線パターンとラッピングピンに接触するように盛り上がって設けられたことにより、より確実な電気接続を確保することが可能になる。
また、ラッピングピンは、基板との熱膨張係数α差が30×10 -7 (/℃)以下としたことにより、基板との接合面における劣化、クラック等の発生を防止することが可能となる。
本発明において、固体発光装置は、各種用途に使用される白熱電球に代替可能な口金付ランプとしての照明装置用光源に適用されても、ダウンライトやスポットライト等の住宅用など一般照明用の小型の照明装置の光源、さらには、天井等から全般照明を行うオフィス等、施設・業務用などの比較的大きな照明装置の光源に適用されてもよい。また、固体発光装置は、白色で発光するように構成することが好ましいが、照明装置の用途に応じ、赤色、青色、緑色等でも、さらには各種の色を組み合わせて構成してもよい。
固体発光素子は、例えば、青色を発光する窒化ガリウム(GaN)系半導体からなる発光ダイオードチップで構成されることが好適であるが、半導体レーザ、有機ELなどを発光源とした発光素子が許容される。固体発光素子は、COB(Chip on Board)技術を用いて、マトリックス状や千鳥状または放射状など、規則的に一定の順序をもって一部または全体が配列されて実装されたものでも、SMD形(Surface Mount Device)で構成されたものであってもよく、SMD形の場合、半導体発光素子は複数個で構成されていることが好ましいが、照明の用途に応じて必要な個数は選択され、例えば、4個程度の素子群を構成し、この群1個、若しくは複数の群をなすように構成してもよい。さらには、1個の固体発光素子で構成されたものであってもよい。
基板は、光源としての固体発光素子を実装するための部材で、ラッピングピンを支持することから電気絶縁性を有する窒化アルミニウム、窒化珪素、アルミナ、アルミナとジルコニア等の化合物などの焼結体からなるセラミックスが許容される。基板は、その表面に配線パターンを形成し、この配線パターン上に固体発光素子を実装して構成されることが好ましいが、基板の材質、構成および実装するための手段は特定のものに限定されない。例えば、材質は、セラミックスに限らず、エポキシ樹脂等の合成樹脂やガラスエポキシ材、紙フェノール材等の電気絶縁性を有する部材で構成してもよい。また、エポキシ樹脂等で電気絶縁処理をしたアルミニウムやアルミニウム合金、銅や銅合金等の金属で構成したものであってもよい。また、基板の形状は、点または面モジュールを構成するために板状の円形や四角形、六角形などの多角形状、さらには楕円形状等をなすものであってもよく、目的とする配光特性を得るための全ての形状が許容される。
基板に形成される支持凹部は、ラッピングピンを基板に支持するための凹部で、ラッピングピンと、例えばヒートシンク等の放熱部材との電気絶縁性を確保するために、基板を貫通しない穴を配線パターンから基板の他面側に向けて形成することが好ましいが、貫通した孔を形成し、別個の電気絶縁性を有する樹脂等で孔の底を塞ぐことで形成した凹部であってもよい。凹部の形状は、支持するラッピングピンの形状と同様に、例えば、断面が円形のラッピングピンに対して同様の円形の凹部で構成してもよく、断面が四角形のラッピングピンに対して円形の凹部を形成してもよく、特定された形状には限定されない。
ラッピングピンは、基板に実装された固体発光素子に電力を供給する給電用の電線を接続するために、基板の支持凹部に支持される導電性の部材で、基板との熱膨張係数の差により支持部分にクラックが生じないように、電気絶縁性の基板と熱膨張係数α差が少ない、例えば、セラミックス基板と熱膨張係数α差が少ないコバールで構成することが好ましいが、銅、ニッケル、SUS等の導電性を有する材料で構成されたものであってもよい。または、ラッピングピンの径を、基板の支持凹部の径に対してラッピングピンの径が膨張しても応力が加わらない位に小さくしてもよい。
ラッピングピンは、給電用の電線を巻きつけて接続するために、基板に対して略垂直に配置されていることが好ましいが、使用状態に応じ基板に対して略平行、若しくは、傾斜させて配置してもよい。また、断面形状が三角形や四角形等の角柱をなしていることが好ましいが、断面形状が円形や楕円形等の円柱状であってもよい。また、柱は中実であっても中空であってもよく、さらに給電用の電線を巻きつけて接続した後に、かしめ、半田、溶接等を行って、より確実な接続を確保するようにしてもよい。
基板の支持凹部に支持されるラッピングピンは、凹部の底部を、導電性を有しないガラスペースト等の固着材によって機械的に支持し、配線パターンが形成された凹部の開口側を、導電性を有するペーストで支持することによって、機械的な支持と配線パターンとの電気的な接続が同時に行えることが好ましい。
ラッピングピンと配線パターンとの電気接続は、例えば、ラッピングピンを、配線パターンを介して支持凹部に挿入し、導電性を有する固着材で支持することにより、ラッピングピンの主として側面が導電性の固着材を介して配線パターンに接触し、電気接続がなされるように構成することが好ましい。
請求項に記載の照明装置の発明は、器具本体と;器具本体に装着される請求項1記載の固体発光装置と;を具備していることを特徴とする。
本発明によれば、請求項1記載の固体発光装置を用いることにより、耐熱性を確保することが可能な照明装置を構成することが可能となる。
本発明において、照明装置は、一般白熱電球に代替可能な電球形の照明装置に適用されることが好ましいが、ダウンライトやスポットライト等の住宅用など一般照明用の小型の照明装置、さらには、天井等から全般照明を行うオフィス等、施設・業務用などの比較的大きな照明装置、さらに、これら照明装置に限らず、薄型テレビ、液晶ディスプレイ、携帯電話、各種情報端末のバックライトさらには屋内外の看板広告用の照明装置等、各種、多様な照明装置に適用することができる。
請求項1記載の発明によれば、配線パターンから他面側に向けて支持凹部を形成した電気絶縁性の基板と、基板の支持凹部に支持することにより配線パターンに接続され、給電用の電線が巻きつけられる導電性のラッピングピンにより、コネクタを用いることなく、基板における給電用の電線との電気接続を行うことができ、耐熱性を確保することが可能な固体発光装置を提供することができる。
また、ラッピングピンは、支持凹部の底部に設けられラッピングピンを支持する導電性を有しない固着材と、支持凹部の開口側に設けられた導電性を有する固着材で支持することにより、ラッピングピンを基板に対し機械的に支持することができると共に電気接続も同時に行うことが可能となり、さらに、導電性を有する固着材は、配線パターンとラッピングピンに接触するように盛り上がって設けられたことにより、より確実な電気接続を確保することが可能な固体発光装置を提供することができる。
また、ラッピングピンは、基板との熱膨張係数α差が30×10 -7 (/℃)以下としたことにより、基板との接合面における劣化、クラック等の発生を防止することが可能な固体発光装置を提供することができる。
請求項記載の発明によれば、請求項1記載の固体発光装置を用いることにより、耐熱性を確保することが可能な照明装置を提供することができる。
本発明の第1の実施形態である固体発光装置を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)図のb−b線に沿う断面図。 同じく固体発光装置を装着した照明装置を示し、(a)はカバー部材を外した状態の上面図、(b)は縦断面図。 同じく第1の実施形態における固体発光装置の変形例を示し、(a)は第1の変形例を示す図1(b)に相当する断面図、(b)は第2の変形例を示す図1(b)に相当する断面図、(c)は第3の変形例を示す図1(a)に相当する斜視図。 同じく第1の実施形態における固体発光装置の具体例を示し、(a)は図1(b)に相当する断面図、(b)は第2の実施形態における固体発光装置の具体例を示す図5(b)に相当する断面図。 本発明の第2の実施形態である固体発光装置を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)図のb−b線に沿い断面した斜視図。 同じく第2の実施形態における固体発光装置の変形例を示し、(a)は第1の変形例を示す図5(b)に相当する断面図、(b)は第2の変形例を示す図5(b)に相当する断面図。
以下、本発明に係る固体発光装置および照明装置の実施形態について説明する。
本実施例は、ミニクリプトン電球に代替可能な口金付ランプの光源として用いられる固体発光装置10を構成するもので、図1に示すように、一面側に固体発光素子11が実装され配線パターン12を形成すると共に配線パターンから他面側に向けて支持凹部13を形成した電気絶縁性の基板14と、基板の支持凹部に支持することにより配線パターンに接続され、給電用の電線15が巻きつけられる導電性のラッピングピン16で構成する。
固体発光素子11は、本実施例では発光ダイオード(以下「LED」と称す)で構成し、同一性能を有する複数個が用意され、青色LEDチップとこの青色LEDチップにより励起される黄色蛍光体により白色を発光する高輝度、高出力のLEDからなる。
基板14は、四隅をカットした略正方形をなし、熱伝導性を有し電気絶縁性を有する部材、本実施例では、アルミナからなるセラミックス製の薄い平板で構成する。基板14の一面側(表面側)には内周面が略円形をなす土手部14bを形成することにより、浅い円形の収容凹部14cを形成し、この収容凹部の底面、すなわち、基板14の表面に銅箔等からなる配線パターン12を形成する。この際、基板14はセラミックスで構成されており電気絶縁性を有しているので、配線パターン12との間には電気絶縁処理を施す必要がなくなり、コスト的に有利となる。この基板14は、COB技術を使用して基板の収容凹部14cにおける配線パターンに隣接して、上述した複数のLED11(青色LEDチップ)を略マトリックス状に実装する。また、略マトリックス状に規則的に配置された各青色LEDチップ11は、隣接する配線パターンとボンディングワイヤによって直列に接続される。
上記に構成された基板14の収容凹部14cには、黄色蛍光体を分散・混合した封止部材14dが塗布または充填され、上述した青色LEDチップ11から放射される青色光を透過させると共に、青色光によって黄色蛍光体を励起して黄色光に変換し、透過した青色光と黄色光が混光して白色の光が放射される。
上記により、基板14の一面側に、固体発光素子であるLED11が実装され配線パターン12が形成される。なお、図中、12aは配線パターン12から基板14の一側縁部に延長して設けられた入力端子部を構成する配線パターン、14eは、基板14の両端部に一体に形成された支持部であり、後述する照明装置における器具本体21の基板支持部21eに基板14を支持するための部材である。
また、略正方形をなす基板14の一側縁部には、配線パターン12aから他面側に向けて支持凹部13が形成される。すなわち、図1(b)に、その断面を示すように、基板14を貫通しない穴を、配線パターン12aの表面から基板14の他面側に向けて形成する。この穴は、基板14の他面側に近接する位置に底部を有する円形穴13aと、この円形穴13aに連続して一面側に向けて開口し、円形穴13aより開口径の大きな皿形穴13bからなる。円形穴13aおよび皿形穴13bの直径は、後述するラッピングピン16の直径寸法、四角柱の場合には対角寸法より若干大きく形成する。
ラッピングピン16は、基板14に実装されたLED11に電力を供給する給電用の電線15を接続するために基板14の支持凹部13に支持される導電性の部材で、基板14との熱膨張係数の差により支持部分にクラックが生じないように、セラミックス製の基板14と熱膨張係数α差が少ない導電性を有するコバールで中実の四角柱状に構成し一対が用意される。
このラッピングピン16は、上記により基板14の一側縁部にあらかじめ形成された支持凹部13に対してピンを挿入し、基板14の板面に対して略垂直となるように固定する。その固定は、支持凹部13の底部の円形穴13aに固着材であるガラスペース13cが封入され、さらに皿形穴13bには固着材である導電性ペース13dが封入され、これらのペーストが封入された状態の支持凹部13に対してラッピングピン16の先端を皿形穴13bから円形穴13aに向けて挿入し、ペーストを固化させて支持する。この際、ラッピングピン16の四角柱の側面が、導電性ペース13dを介し配線パターン12aに接続されることにより電気接続がなされる。同時に、導電性ペースト13dが配線パターン12aとラッピングピン16の側面部分に盛り上がって固化することにより、より確実な電気接続が確保される。基板14に支持されたラッピングピン16には、四角柱の側面の途中から上端部に向けて給電用の電線15が巻きつけられ、その先端部の巻き端が半田付けHによって固定される。
上記により、一面側にLED11が実装されたセラミックス製の基板14と、基板に支持され配線パターン12aに接続された2本のラッピングピン16を有する固体発光装置10が構成される。この際、ラッピングピン16は、基板14の裏面側に突出することなく支持されるので、後述する器具本体21における基板支持部21eとの電気絶縁性を容易に確保することができる。また、基板裏面と放熱部材となる基板支持部21eとを密着して接合することができる。また、本実施例では、電気絶縁性を有するセラミックス製の基板14を使用したので、ラッピングピン16間の短絡が生じないので、安価なラッピングピンの使用が可能となりコスト的に有利となる。因みに、基板14をアルミニウム等の導電性を有する金属で構成した場合は、一対のラッピングピン間で短絡が生じ、ラッピングピンが使用できず、特許文献3に示すようなコネクタ部品を使用しなければならず、コストアップの要因になっていた。
上記に構成された固体発光装置10は、本実施例ではミニクリプトン電球に代替が可能な口金付ランプ20の光源として用いられる。この口金付ランプ20は、図2に示すように、器具本体21、器具本体に装着される上記構成の固体発光装置10、固体発光装置を点灯する点灯装置22、点灯装置に電力を供給する口金部材23、グローブを構成するカバー部材24で構成する。
器具本体21は、熱伝導性の良好な金属、本実施例ではアルミニウムで構成された横断面形状が略円形の円柱状をなし、一端部に径の大きな開口部21aを他端部に径の小さな開口部21bを有する収納凹部21cを一体に形成する。また、外周面は一端部から他端部に向かい順次直径が小さくなる略円錐状のテーパー面をなすように形成し、外観がミニクリプトン電球におけるネック部のシルエットに近似させた形状に構成する。外周面には一端部から他端部に向かい放射状に突出する多数の放熱フィン21dを一体に形成する。器具本体21の一端部の開口部21aには、円形の凹部が形成されるように表面を平坦な面に形成した基板支持部21eが一体に形成され、この凹部の周囲にリング状をなす凸条部21fを一体に形成する。
上記に構成された固体発光装置10は、その基板14を器具本体21の基板支持部21eに密着するように装着する。すなわち、図2(b)に示すように、ラッピングピン16が表面側に面するようにして、基板14の裏面側を平坦な面をなす基板支持部21eにネジ等の固定手段を用い密着して装着する。これにより、基板14が基板支持部21eに確実に密着され、基板14が熱伝導性の良好なセラミックスで構成されていることと相まって、LED11から発生する熱を効果的にアルミニウム製の器具本体21に伝達し放熱させることができる。また、基板14はセラミックスで構成されており電気絶縁性を有しているので、アルミニウム製の器具本体21との間には電気絶縁を図るための格別の絶縁シート等は不要となり、コスト的にも有利となる。
固体発光装置10を点灯する点灯装置22は、基板14に実装されたLED11の点灯回路を構成する回路部品を実装した平板状の回路基板22aからなる。点灯回路は、交流電圧100Vを直流電圧24Vに変換してLED11に供給するように構成される。上記に構成された回路基板22aが、器具本体21の収納凹部21cに対し、絶縁ケース等によって電気絶縁をなすようにして収容される。また、回路基板22aの出力端子にはLED11へ給電するための給電用の電線15が接続され、入力端子には入力線(図示せず)が接続される。
LED11へ給電するための電線15は、器具本体21に形成された貫通孔21gを介して器具本体21の一端部の開口部21aに導出され、絶縁被覆が剥がされた給電用の電線15の先端を、基板表面から略垂直に立設されたラッピングピン16に巻きつけ、巻き端をラッピングピン16の上端部に対して半田付けHを行い固定する。この巻きつけは、所要回数で密に巻きつける(図1(a))。この際、ラッピングピン16が四角柱をなしているので、給電用の電線15が角柱の角に確実に係止して緩むことなく確実に巻きつけることができる。この作業は、手作業でもよいが、スペースのある基板14の表面側で行えるので、自動化が可能であり自動機械を使用して行うことにより有効なコストダウンを図ることができる。因みに、特許文献3に示すようなコネクタ部品への給電用電線の接続は自動化が難しく手作業で行っていたが、本実施例のように、基板14を、電気絶縁性を有するセラミックスで構成し、導電性を有するラッピングピン16の使用を可能となしたことから、給電用電線の接続作業を自動化することが可能となり、コストダウンが可能となる。
口金部材23は、図2(b)に示すように、エジソンタイプのE17形を構成する口金で、ねじ山を備えた銅板製の筒状のシェル部23aと、このシェル部の下端の頂部に電気絶縁部23bを介して設けられた導電性のアイレット部23cを備えている。シェル部23aの開口部が、器具本体21の他端の開口部21bに電気絶縁をなして固定される。シェル部23aおよびアイレット部23cには、点灯装置22における回路基板22aの入力端子から導出された入力線(図示せず)が接続される。
カバー部材24は、グローブを構成するもので、乳白色のポリカーボネートで一端部に開口24aを有するミニクリプトン電球のシルエットに近似させた滑らかな曲面状に形成する。カバー部材24は開口24aの開口端部を、基板14のLED11の発光面を覆うようにして基板支持部21eの凸条部21fに嵌め込み、接着剤等の固定手段によって固定される。これにより、一端部にカバー部材24であるグローブを有し、他端部にE17形の口金部材23が設けられ、全体の外観形状がミニクリプトン電球のシルエットに近似し、ミニクリプトン電球に代替が可能な口金付ランプ20、すなわち、固体発光装置を光源とした照明装置が構成される。
上記に構成された口金付ランプ20に電源を投入すると、口金部材23を介して電源が供給され、点灯装置22が動作し24Vの直流電圧が出力される。この直流電圧は点灯装置22の出力端子に接続された給電用の電線15からラッピングピン16を介してLED11に印加される。これにより、全てのLED11が同時に点灯して白色の光が放射される。
同時に、口金付ランプ20が点灯すると、LED11の温度が上昇し熱が発生する。その熱は、熱伝導性の良好なセラミックからなる基板14から、基板が密着して固定された器具本体21の基板支持部21eに伝達され、アルミニウム製の器具本体21から放熱フィン21dを介して外部に効果的に放熱される。
以上、本実施例によれば、従来の特許文献3に示されるような、コネクタを用いることなく、換言すれば、半田を用いることなく基板における給電用の電線との電気接続を行うことができるので、半田部分における信頼性確保のための温度制限がなくなりジャンクション温度を上げることが可能となり、耐熱性に優れた固体発光装置および照明装置を提供することができる。
これにより、特に、セラミックス製の基板においては、アウトガスが少ないことから、ジャンクジョン温度を上げることが可能、換言すれば、耐熱性能があるにもかかわらず、半田部分における温度制限からジャンクション温度を上げることができなかった問題が解消され、耐熱性に優れた固体発光装置を提供することができ、例えば、火災等の非常時に用いられる各種電球の光源として、また誘導灯や非常灯などの光源に、この固体発光装置を用いることによって必要な耐熱性を持たせた各種の照明装置を提供することができる。
また、給電用のリード線15を、従来のようにコネクタ部品を使用することなく、安価なラッピングピン16により接続するようにしたので、コストを抑えた固体発光装置および照明装置を提供することができる。同時に、接続作業を自動化することが可能となり、一層のコストダウンを図ることができる。
また、本実施例では、基板14として電気絶縁性を有するセラミックを使用したので短絡が生じることなく、安価なラッピングピンの使用を可能となすと共に、基板14と配線パターン12との間、および、基板14とアルミニウム製の器具本体21との間には電気絶縁処理を施す必要がなくなり、一層コスト的に有利となる。
また、基板14が器具本体21の基板支持部21eに確実に密着され、基板14が熱伝導性の良好なセラミックスで構成されていることと相まって、LED11から発生する熱を効果的にアルミニウム製の器具本体21に伝達し放熱させることができる。また、ラッピングピン16は、基板14の裏面側に突出することなく支持されるので、基板裏面と器具本体21の基板支持部21eとを密着して接合することができLED11から発生する熱を効果的にアルミニウム製の器具本体13に伝達し放熱させることができる。これら効果的放熱作用により、各LED11の温度上昇および温度むらが防止され、発光効率の低下が抑制され、光束低下による照度の低下を防止することができ、所定の光束を十分に得ることが可能な照明装置を提供することができる。同時にLEDの長寿命化を図ることができる。
ラッピングピン16は、セラミックス製の基板14と熱膨張係数α差が少ない導電性を有するコバールで構成したので、基板14との熱膨張係数の差により支持部分におけるクラックの発生を防止することができ、ラッピングピン16を基板14に確実に支持することができる。また、ラッピングピン16の基板14への機械的な支持と同時に、LED11との電気接続が確実になされ作業効率を向上させることができ、量産化に適した固体発光装置を提供することができ、コストダウンが可能となって照明装置の低コスト化を図ることができる。
同時に、給電用の電線15を巻きつける作業においては、ラッピングピン16が四角柱をなしているので、給電用の電線15が角柱の角に確実に係止して緩むことなく確実に巻きつけることができる。また、ラッピングピン16は、基板14の裏面側に突出することなく支持されるので、アルミニウム製の器具本体21との電気絶縁性を確保することが容易にでき、漏電等の虞のない安全な固体発光装置および照明装置を提供することができる。上述した各種、多様な作用効果を有することによって、高効率で信頼性の高い固体発光装置および照明装置を提供することができる。
さらに、固体発光装置10を光源とした口金付ランプ20としては、基板14の表面には多数のLED11がCOBによって、略マトリックス状に規則的に配置されて実装されているので、各LED11から放射される光は、カバー部材24の内面全体に向かって略均等に放射され、乳白色のグローブで光が拡散され、ミニクリプトン電球に近似した配光特性をもった照明を行うことができる。また、ラッピングピン16が基板14の中心部、すなわち、発光部分の中心部ではなく外周部に位置することから、配光特性への影響を極力回避することができ、グローブ全体が略均一に光り均一な配光をもった照明を行うことができる。
以上、本実施例において、基板に形成される支持凹部13は、基板14を貫通しない円形穴13aと皿形穴13bを配線パターン12aから基板の他面側に向けて形成したが、図3(a)に示すように、円形穴13aを貫通させて形成し、この円形穴13aの底となる部分に、別個のシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の電気絶縁性を有する合成樹脂からなる絶縁手段13eで塞ぐことで形成してもよい。
また、図3(b)に示すように、支持凹部13の直径寸法d1をラッピングピンの直径寸法(四角柱の場合には対角寸法)d2より若干小さく(d1≦d2)形成し、ラッピングピン16を、配線パターン12aを介して基板14の支持凹部13に直接圧入して支持することにより、ラッピングピン16の側面が配線パターン12に直接接触し、電気接続がなされるようにしてもよい。これによれば、導電性を有する固着材が不要となりさらにコスト的に有利となる。また、図3(c)に示すように、ラッピングピン16は、L字形に形成し、基板14の板面に対して略平行になるように配置してもよい。なお、変形例を示す図3には、図1〜図2と同一部分に同一符号を付し、詳細な説明は省略した。
本実施例は、実施例1によって構成された固体発光装置10の具体例を示すものである。すなわち、図4(a)に示すように、セラミックス製の基板14は、板厚t1が0.635〜1.5mmのアルミナやアルジルなどの高反射アルミナの上に銀配線12a(または、銅配線、タングステンモリブデン配線)したものの上に、ニッケルメッキ、最上層は銀メッキ(または、金メッキまたは印刷金)したものを用いた。
ラッピングピン16は、直径φ1が0.4〜1.0mmの丸ピン、長さl1が8〜13mmで試作を行った。材質は、セラミックス製の基板14との熱膨張係数α差が、30×10-7(/℃)以下でないと、熱による膨張で両者間の接合面にクラックが生じる。このため、セラミックス基板とのマッチングに優れているコバールを用いた。
基板14の支持凹部13は、非貫通穴で直径は、ラッピングピン16の直径φ1より0.5mm大きく形成し、底部の円形穴13aにフリットガラス13cを充填、硬化させて接着し、上部の皿形穴13bに銀、銀合金等の導電性ペースト13dを充填、硬化させて接着した。
上記により構成した固体発光装置10において可能とされる半田部温度Ts(℃)、すなわち、固体発光装置における耐熱性能を、従来のコネクタ方式(従来例1)および接点コネクト方式(比較例1)と比較した。その結果を「表1」に示す。
Figure 0005534423
上記の「表1」に示すように、実施例2に具体的に示された固体発光装置10において可能とされる半田部温度Ts(℃)は、90℃以上であり固体発光装置としての耐熱性能が十分であることが確認された。また、ラッピングピン16はコバールで構成したので、基板14との熱膨張係数α差が30×10-7(/℃)以下であり、「表1」に示すようにラッピングピンの支持部分にワレが発生することがない。
なお、ラッピングピン16は、ラッピング工程での強度から直径φ1(対角寸法)が0.6〜1.0mmの角ピンが最適であった。この他、比較例1の接点コネクトの場合には、コストが高く、高熱となるLEDの場合、熱による変形が生じる。これに比し、本発明のラッピングピン方式の場合は、変形がなく高温にでき、半田レス等の各種特徴を有している。また、ラッピングピン16の先端温度が100℃以上となる場合は、上部を半田付けさせると配線材の接触の信頼性は上がる。ラッピングピン16の材質は、基板14との熱膨張係数α差が、30×10-7(/℃)以下でないと、熱による膨張で両者に間の接合面にクラックが生じる。コバール、SUSは基板とのマッチングに優れている。
本実施例は、基板の電気接続をリボン溶接で接続する(以下「リボン方式」と称す)固体発光装置に関するものであり、本実施例は、実施例1と同様にミニクリプトン電球に代替可能な口金付ランプに用いられる固体発光装置10を構成するもので、図5(実施例1と同一部分に同一の符号を付した)に示すように、一面側に固体発光素子11が実装され配線パターン12aを形成すると共に、配線パターンから他面側に向けて支持孔30を形成した基板14と、基板の支持孔に先端部が一面側に面するように支持される導電性のスタッドピン40と、スタッドピンの先端部に支持することにより配線パターンに接続され、給電用の電線15が接続される導電性の接続部材50と、スタッドピンの先端部とは反対側である他端部に設けられる絶縁手段32で構成する。なお、本実施例において、実施例1と異なる部分は、基板の電気接続がラッピングピン方式とリボン方式との違いによる支持孔30、スタッドピン40、接続部材50、絶縁手段32であり、他の部分は実施例1と同様に構成されている。以下、上記の異なる部分の構成につき説明する。
本実施例は、基板14に形成されたスルーホールである支持孔30の下からスタッドピン40を挿入し、上からリボン状をなす接続部材50を配置し、接続部材50の板面をスタッドピン40の先端部に溶接によって接合し、同時にリボン状をなす接続部材50のバネ性によって、接続部材を配線パターン12aに圧接させることによって電気接続をなし、さらに、スタッドピン40の先端部とは反対側である他端部に設けられる絶縁手段32によって、固体発光装置が設置される部材との電気絶縁を図るようにしたものである。
基板14に形成される支持孔30は、スタッドピン40を支持するための孔で、スタッドピン40を確実に基板14に支持するために、基板14を貫通する孔を配線パターン12aから他面側に向けて形成する。支持孔30の形状は、支持するスタッドピン40の形状と同様に、断面が円形のスタッドピンに対して同様の円形の孔で構成する。
スタッドピン40は、基板14に実装された固体発光素子であるLED11に、接続部材50を介して電力を供給するために、基板14の支持孔30に支持される導電性の部材で、基板14との熱膨張係数の差により支持部分にクラックが生じないように、セラミックス製の基板14と熱膨張係数α差が少ないコバールで構成する。
スタッドピン40は、ペーストが封入された支持孔30に挿入することによって機械的に基板に支持される。また、基板14の支持孔30に、その先端部が一面側に面するように、本実施例では、先端部を若干突出させて支持することによって、接続部材50をスタッドピン40に溶接(S)する作業を容易にしている。また、スタッドピン40は、鋲形に形成し、鋲の鍔部分40aが基板14の他面側から突出しないように、支持孔30に連通して形成された凹部31を介して支持される。これにより、基板14の他面側と放熱部材となる器具本体21の基板支持部21eとの接触を良好に保つことができる。また、支持孔30に連通して形成された凹部31は、絶縁手段32、本実施例ではシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の電気絶縁材で封止する。これにより、スタッドピン40の先端部とは反対側である他端部に絶縁手段32が設けられ、固体発光装置が設置される、例えば、ヒートシンク等の放熱部材との間の電気絶縁が確実に図れると共に、スタッドピン40を支持孔30に確実に支持することができる。
接続部材50は、スタッドピン40の先端部に支持することにより配線パターン12aに接続される導電性の部材で、スタッドピン40との熱膨張係数の差により溶接部分に劣化が生じないように、コバールからなるスタッドピン40と熱膨張係数α差が少ない、SUSで構成する。また、形状は若干のバネ性を持たせるようにリボン状をなし、リボンの断面形状は、その両側に接触凸部50a、50aが一体に形成された形状に構成する。これにより、配線パターン12aとの電気接続が良好に行われる。
また、接続部材50とスタッドピン40との機械的な支持および電気的な接続は、基板14に形成された支持孔30の下からスタッドピン40を挿入し、上からリボン状をなす接続部材50を配置し、接続部材50の板面をスタッドピン40の突出した先端部に溶接(S)によって接合する。これにより、リボン状をなす接続部材50の板面が下方に撓み、その反発によるバネ性によって、一体に形成された両側の接触凸部50a、50aが配線パターン12a上に圧接され確実な電気接続がなされる。
接続部材50と配線パターン12aとの接合には、異材質間腐食を防止するために、接続部材50および配線パターン12aの表面に対して、金(Au)メッキを施す。また、リボン状をなす接続部材50は、給電用の電線15を接続するために基板14に対して略平行に配置される。先端部の形状は、給電用の電線15を、直接ネジ止めが可能になるように、幅を広くして中心に孔50bを形成する。上記により構成されたリボン方式の固体発光装置10は、実施例1と同様に、照明装置である口金付ランプ20の光源として用いられる。
以上、本実施例によれば、実施例1、2と同様に、半田を用いることなく基板14における給電用の電線15との電気接続を行うことができるので、耐熱性に優れた固体発光装置10および照明装置20を提供することができる。また、特に、本実施例によれば、スタッドピン40は、鋲形に形成し、鋲の鍔部分40aが基板14の他面側から突出しないように、支持孔30に連通して形成された凹部31を介して支持されるので、基板14が器具本体21の基板支持部21eに確実に密着され、効果的に放熱されることから、各LED11の温度上昇および温度むらが防止され、発光効率の低下が抑制される。これにより、光束低下による照度の低下を防止することができ、所定の白熱電球並みの光束を十分に得ることが可能な照明装置を提供することができる。同時にLEDの長寿命化も図ることができる。
また、スタッドピン40の先端部とは反対側である他端部に絶縁手段32が設けられるので、アルミニウム製の器具本体21との間の電気絶縁が確実に図れると共に、スタッドピン40を支持孔30に確実に支持することができる。同時に、スタッドピン40は、基板14の裏面側に突出することなく支持されるので、アルミニウム製の器具本体21との電気絶縁性を容易に確保することができ、漏電等の虞のない安全な固体発光装置および照明装置を提供することができる。
また、スタッドピン40は、セラミックス製の基板14と熱膨張係数α差が少ないコバールで構成したので、基板14との熱膨張係数の差により支持部分におけるクラックの発生が防止され、スタッドピン40を基板14に確実に支持することができる。スタッドピン40は、基板14の支持孔30に、その先端部が若干突出するように支持したので、接続部材50をスタッドピン40に溶接する作業が容易になり、作業効率を向上させることができる。
接続部材50は、コバールからなるスタッドピン40と熱膨張係数α差が少ない、SUSで構成したので、スタッドピン40との熱膨張係数の差により溶接部分におけるクラックの発生を防止することができ、接続部材50をスタッドピン40に確実に支持することができる。また、形状は、若干のバネ性を持たせるようにリボン状をなし、リボンの断面形状は、その両側に接触凸部50a、50aが一体に形成された形状に構成したので、接触凸部50a、50aが配線パターン12a上に圧接され確実な電気接続を行うことができる。さらに、接続部材50のスタッドピン40への支持と同時に、LED11との電気接続が確実になされ、作業効率を一層向上させることができる。
以上、本実施例において、スタッドピン40を鋲形に形成することなく、さらに、支持孔30に凹部31を形成することなく、図6(a)示すように、直線状のピン40´を直線状の支持孔30´に挿入して支持するものであってもよい。また、支持孔30は、基板14を貫通しない穴で形成してもよい。
基板14は、熱伝導性の良好なアルミニウムやアルミニウム合金、銅や銅合金等の金属で構成したものであってもよい。この場合は、図6(b)に示すように、スタッドピン40は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の、耐熱性、電気絶縁性を有する合成樹脂で形成し、金属製基板との電気絶縁を図るようにして構成するとよい。
本実施例において、基板は、上述したと同様にセラミックスで構成されることが好ましいが、熱伝導性の良好なアルミニウムやアルミニウム合金、銅や銅合金等の金属で構成したものであってもよい。基板に形成される支持孔は、スタッドピンを基板に支持するための孔で、スタッドピンを確実に基板に支持するために、基板を貫通する孔で配線パターンから他面側に向けて形成することが好ましいが、ここでは、貫通した孔であることは条件ではなく、スタッドピンを植設するための貫通しない穴、若しくは、凹部で形成されたものであってもよい。支持孔の形状は、支持するスタッドピンの形状と同様に、例えば、断面が円形のスタッドピンに対して同様の円形の孔で構成してもよく、断面が四角形のスタッドピンに対して円形の孔を形成してもよく、特定された形状には限定されない。
スタッドピンは、基板に実装された固体発光素子に、接続部材を介して電力を供給するために基板の支持孔に支持される導電性の部材で、基板との熱膨張係数の差により支持部分にクラックが生じないように、基板と熱膨張係数α差が少ない、例えば、セラミックスやアルミニウム基板と熱膨張係数α差が少ないコバールで構成することが好ましいが、銅、ニッケル、SUS等の材料で構成されたものであってもよい。または、スタッドピン径を、基板の支持孔径に対してスタッドピン径が膨張しても応力が加わらない位に小さくしてもよい。
スタッドピンは、例えば、セラミックス製の基板の場合には、ガラスペースト等の固着材を用いて支持するようにしてもよいが、電気絶縁処理をしたアルミニウム基板等、金属基板の場合には、支持孔に圧入等の手段によって機械的に支持するようにしてもよい。また、スタッドピンは、基板の支持孔に先端部が一面側に面するように支持されるが、これは、スタッドピンに接続部材を固定し、同時に電気的な接続を行うために一面側に面するように支持されるものであり、製造上の観点からは、若干突出させることが好ましい。しかし、ここでは、突出させることが条件ではなく、面一であっても、または、若干凹んで支持したものであってもよく、要は、スタッドピンに接続部材を固定し、同時に電気的な接続を行うことが可能な全ての状態が許容される。
スタッドピンは、例えば、鋲形に形成し、鋲の鍔部分が基板の他面側から突出しないように、支持孔に連通して形成された凹部を介して支持されることが、基板の他面側とヒートシンク等の放熱部材との接触を良好に保つためには好ましいが、ここでは、スタッドピンを鋲形に形成することおよび支持孔に凹部を形成することは条件ではなく、直線状のピンを直線状の支持孔に挿入して支持するものであってもよい。
接続部材は、スタッドピンの先端部に支持することよって配線パターンに接続される導電性の部材で、スタッドピンとの熱膨張係数の差により支持部分に劣化が生じないように、例えば、溶接部分にクラックが生じないように、スタッドピンと熱膨張係数α差が少ない、例えば、コバールと熱膨張係数α差が少ないSUS、または、スタッドピンと同様にコバールで構成することが好ましいが、黄銅やリン青銅等の導電性を有する材料で構成されたものであってもよい。また、形状は、配線パターンとの電気接続の観点から、若干のバネ性を持たせるように板状やリボン状をなすように構成することが好ましいが、ここでは、特にバネ性を付与することが条件ではなく、バネ性を有しない形状・材質であってもよい。
また、接続部材とスタッドピンとの機械的な支持および電気的な接続は、例えば、基板に形成された支持孔の下からスタッドピンを挿入し、上からリボン状をなす接続部材を配置し、接続部材の板面をスタッドピンの先端部に溶接によって接合し、同時にリボン状をなす接続部材のバネ性によって、接続部材の両端を配線パターンに圧接させることによって電気接続をなすようにすることが許容される。しかし、接続部材とスタッドピンの接合は溶接に限らず、例えば、ネジ止め等の手段であってもよい。また、電気接続は、接続部材のバネ性によって配線パターンに圧接させることなく、例えば、別途の導電性ペースト等の手段によって確実な電気接続を確保するようにしてもよい。
また、接続部材と配線パターンとの接合には、異材質間腐食を防止するために、接続部材および配線パターンに対して、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)等のメッキまたは印刷等を施すことが好ましいが、ここでは、これら手段を施すことが必要な条件ではない。また、接続部材は、給電用の電線を接続するために基板に対して略平行配置されていることが好ましいが、基板に対して略垂直、若しくは、傾斜して配置してもよい。また、先端部の形状は給電用の電線を、例えば直接ネジ止めが可能になるように、幅を広く、中心孔またはC字状の切欠孔を形成するようにしても、さらに、端子台等のコネクタに直接挿入できるような形状に構成してもよい。
絶縁手段は、スタッドピンと、例えば、ヒートシンク等の放熱部材との電気絶縁性を確保するためにスタッドピンの先端部とは反対側である他端部に設けられるもので、上述のように、基板に形成された支持孔に連通して形成された凹部に絶縁材を充填することが、確実な絶縁を図り、かつ構成が簡素化されて好ましいが、スタッドピンが支持される基板側で絶縁することなく、例えば、固体発光装置が設置されるヒートシンク等の放熱部材側に絶縁材を設けることによって電気絶縁性が確保されるものであってもよい。また、絶縁するための手段は、電気絶縁材の充填等に限らず、空間を形成するなどの手段で絶縁を図るものであってもよい。
本実施例において、スタッドピンを支持した凹部には、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の電気絶縁材で封止することが、放熱部材との電気絶縁を確実に保つためには好ましいが、ここでは、樹脂封止をしない空間部によって電気絶縁を確保するようにしてもよい。
なお、変形例を示す図6には、図1〜図5と同一部分に同一符号を付し、詳細な説明は省略した。また、本実施例におけるその他の構成、作用、作用効果、変形例等は、実施例1、2と同様である。
本実施例は、実施例3によって構成されたリボン方式の固体発光装置10の具体例を示すものである。すなわち、セラミックス製の基板を用いたもの(実施例4−1、4−2)と金属基板を用いたもの(実施例4−3、4−4)を構成した。
セラミックス製の基板を用いたもの(実施例4−1)は、図4(b)に示すように、基板は、板厚t2が0.635〜1.5mmのアルミナやアルジルなどの高反射アルミナの上に銀配線12a(または、銅配線、タングステンモリブデン配線)したものの上に、ニッケルメッキ、最上層は銀メッキ(または、金メッキまたは印刷金)したものを用いた。
スタッドピン40は、直径φ2が0.6〜0.7mmの丸ピン、長さl2が1.05〜1.10mmで試作を行った。材質は、セラミックス製の基板14との熱膨張係数α差が、30×10-7(/℃)以下でないと、熱による膨張で両者に間の接合面にクラックが生じる。このため、セラミックス基板とのマッチングに優れているコバールを用いたものを構成した。
基板14の支持孔30は、貫通孔で直径は、スタッドピン40の直径φ2より0.3mm大きく成し、凹部31にはシリコーン樹脂からなる接着剤32を充填し硬化させて封止した。
リボン状の接続部材50は、リボン厚は、0.2〜0.5mm、幅w1は3〜8mmで試作を行った。材質は、スタッドピン40との熱膨張係数α差が、30×10-7(/℃)以下でないと、熱による膨張で両者に間の溶接面にクラックが生じる。このため、スタッドピン40と同様にコバールを用いた。また、実施例4−2として、上記実施例4−1と同様の構成で、スタッドピン40としてSUS用いたものを構成した。
また、金属基板を用いたもの(実施例4−3)は、基板は、板厚t2が1.0mmのアルミニウム基板の上にエポキシ系樹脂による電気絶縁層80μm、その上に銅配線したものの上に、ニッケルメッキ、最上層は銀メッキ12a(または、金メッキまたは印刷金)したものを用いた。
スタッドピン40は、直径φ2が0.6〜0.7mmの丸ピン、長さl2が1.05〜1.10mmで試作を行った。材質は、アルミニウム基板との熱膨張係数α差が、30×10-7(/℃)以下でないと、熱による膨張で両者に間の接合面にクラックが生じる。このため、アルミニウム基板とのマッチングに優れているコバールを用いたものを構成した。なお、スタッドピン40は、アルミニウム製の基板14に対し、電気絶縁を図って支持される。
基板14の支持孔30は、貫通孔で直径は、スタッドピン40の直径より0.3mm大きく成し、凹部31にはシリコーン樹脂からなる接着剤32を充填し硬化させて封止した。
リボン状の接続部材50は、リボン厚は、0.2〜0.5mm、幅w1は3〜8mmで試作を行った。材質は、スタッドピン40と同様にコバールを用いた。また、実施例4−4として、上記実施例4−3と同様の構成で、スタッドピン40としてSUS用いたものを構成した。
上記により構成したリボン方式の固体発光装置10において可能とされる半田部温度Ts(℃)、すなわち、固体発光装置における耐熱性能を、従来のコネクタ方式(従来例1)および接点コネクト方式(比較例1)と比較した。その結果を「表2」に示す。なお、従来例1および比較例1は、実施例2と同様のものである。
Figure 0005534423
上記の「表2」に示すように、実施例4に具体的に示されたリボン方式の各固体発光装置10において可能とされる半田部温度Ts(℃)は、全て90℃以上であり、固体発光装置としての耐熱性能が十分であることが確認された。また、スタッドピン40はコバールまたはSUSで構成したので、基板14との熱膨張係数α差が30×10-7(/℃)以下であり、「表2」に示すようにスタッドピンの支持部分にワレが発生することがない。
なお、リボン状の接続部材50は、取り扱い、溶接性と強度から0.3mmが最適であった。この他、リボン状の接続部材の先端は、直接ネジ止めが可能となるように、幅広く、中心孔またはC字状の切欠孔が形成されている場合と、コネクタに直接挿入する場合がある。いずれも接点コネクトの欠点である熱による樹脂の変形がなく半田レスである。これらは、材質的には、ピンのように熱膨張が関係することがなく、基本的には接点接触のため、コバールでもSUSでも問題はない。ただし、SUSは固くリボン状に圧延や成形がし難いためコストが高くなる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述の各実施例に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の設計変更を行うことができる。
10 固体発光装置
11 固体発光素子
12a 配線パターン
13 支持凹部
13c 導電性を有しない固着材
13d 導電性を有する固着材
14 基板
15 給電用の電線
16 ラッピングピン
20 照明装置
21 器具本体
30 支持孔
31 凹部
32 絶縁手段
40 スタッドピン
50 接続部材

Claims (2)

  1. 一面側に固体発光素子が実装され配線パターンを形成すると共に、配線パターンから他面
    側に向けて支持凹部を形成した電気絶縁性の基板と;
    前記基板との熱膨張係数α差が30×10 -7 (/℃)以下で、基板の支持凹部に支持することにより配線パターンに接続され、給電用の電線が巻きつけられる導電性のラッピングピンと;
    前記支持凹部の底部に設けられ前記ラッピングピンを支持する導電性を有しない固着材と;
    前記支持凹部の開口側に、前記配線パターンと前記ラッピングピンに接触するように盛り上がって設けられた導電性を有する固着材と;
    を具備していることを特徴とする固体発光装置。
  2. 器具本体と;
    器具本体に装着される請求項1に記載の固体発光装置と;
    を具備していることを特徴とする照明装置。
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