JP5531052B2 - 燃料電池システムおよび燃料電池システムの制御方法 - Google Patents
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Description
サーモスタットバルブは、冷媒の温度が切替温度よりも高くなるとバイパス流路を遮断し、ラジエータ側流路のみに冷媒を流す。これに対して、冷媒の温度が切替温度よりも低くなるとラジエータ側流路を遮断し、バイパス流路のみに冷媒を流す。
例えば、気圧の低い高地においては、電気ヒータを作動させてサーモスタットバルブに流入する冷媒を加温し、サーモスタットバルブを強制的に作動させて冷媒の流路をラジエータ側流路に切り替えることにより、冷媒の温度制御をしている。また、気圧の高い低地においては、低地走行を基準に切替温度が設定されたサーモスタットバルブにより、ラジエータを通過させるラジエータ側流路と、ラジエータを迂回するバイパス流路とを自動的に切り替えて、冷媒の温度制御をしている。
燃料電池の発電停止後に燃料電池の冷却を行う場合、冷媒の温度がサーモスタットバルブの切替温度よりも低くなると、サーモスタットバルブは、冷媒がラジエータを迂回してバイパス流路を通流するように切り替わる。したがって、ラジエータにより冷媒の放熱ができず、サーモスタットバルブの切替温度よりも低い温度まで燃料電池を迅速に冷却できないため、燃料電池を劣化させるおそれがある。
しかも、特許文献1に記載の燃料電池システムでは、冷媒をラジエータ側流路に流通させて冷媒の温度を低めに設定するために、冷媒を加熱してサーモスタットバルブを切り替えている。したがって、冷媒の冷却効率が悪い。
また、流路切替弁をサーモスタットバルブとしているので、例えば三方弁を用いる場合よりも、燃料電池システムを低コストに構成できる。また、サーモスタットバルブの切替温度を所定の値に設定することにより、特別な制御を行うことなく、冷媒の温度が切替温度になったときに自動的にラジエータ循環路とバイパス循環路とを切り替えることができる。したがって、流路切替弁をサーモスタットバルブとすることで、ラジエータ循環路とバイパス循環路とを簡単に切り替えることができる。
また、サーモスタットバルブを加温するヒータを備えているので、ヒータの温度を制御することにより、冷媒の温度に関わらずラジエータ循環路とバイパス循環路とを切り替えることができる。したがって、ヒータによりサーモスタットバルブを加温して第一温度閾値よりも高い温度することにより、冷媒が第一温度閾値以下であっても、擬似的に冷媒を第一温度閾値よりも温度が高い状態として、ラジエータ循環路へ冷媒を通流させることができる。しかも、特許文献1に記載の燃料電池システムと異なり、冷媒を加熱することなく、サーモスタットバルブを加温してサーモスタットバルブを切り替えているので、冷媒の冷却効率を向上できる。これにより、燃料電池の発電停止後、冷媒の温度が第二温度閾値となるまで、ラジエータ循環路へ冷媒を通流させることができるので、燃料電池を迅速に冷却でき、燃料電池の劣化を抑制できる。このように、流路切替弁をサーモスタットバルブとし、サーモスタットバルブを加温するヒータを備えることで、制御の簡素化と燃料電池の劣化抑制とを両立することができる。
また、規定時間が経過した場合にサーモスタットバルブへの加温を停止しているので、燃料電池が十分に冷却された後の無駄な電力消費を抑制できる。また、燃料電池の急速冷却制御を終了することで冷媒ポンプを停止できるので、冷媒ポンプの作動音や冷媒が循環する際の異音の発生を抑制できる。これにより、燃料電池システムの静粛性を確保できるので、使用者に対して音による違和感を与えるのを抑制できるとともに、燃料電池システムが搭載された商品の商品性を向上できる。
また、急速冷却制御を開始した後、冷媒の温度が第二温度閾値よりも低くなっていないにも関わらず規定時間が経過した場合には、燃料電池システムを構成するデバイスの故障が推定される。したがって、燃料電池システムを構成するデバイスの故障を早期に検出できる。
また、流路切替弁をサーモスタットバルブとしているので、例えば三方弁を用いる場合よりも、燃料電池システムを低コストに構成できる。また、サーモスタットバルブの切替温度を所定の値に設定することにより、特別な制御を行うことなく、冷媒の温度が切替温度になったときに自動的にラジエータ循環路とバイパス循環路とを切り替えることができる。したがって、流路切替弁をサーモスタットバルブとすることで、ラジエータ循環路とバイパス循環路とを簡単に切り替えることができる。
また、サーモスタットバルブを加温するヒータを備えているので、ヒータの温度を制御することにより、冷媒の温度に関わらずラジエータ循環路とバイパス循環路とを切り替えることができる。したがって、ヒータによりサーモスタットバルブを加温して第一温度閾値よりも高い温度することにより、冷媒が第一温度閾値以下であっても、擬似的に冷媒を第一温度閾値よりも温度が高い状態として、ラジエータ循環路へ冷媒を通流させることができる。しかも、特許文献1に記載の燃料電池システムと異なり、冷媒を加熱することなく、サーモスタットバルブを加温してサーモスタットバルブを切り替えているので、冷媒の冷却効率を向上できる。これにより、燃料電池の発電停止後、冷媒の温度が第二温度閾値となるまで、ラジエータ循環路へ冷媒を通流させることができるので、燃料電池を迅速に冷却でき、燃料電池の劣化を抑制できる。このように、流路切替弁をサーモスタットバルブとし、サーモスタットバルブを加温するヒータを備えることで、制御の簡素化と燃料電池の劣化抑制とを両立することができる。
また、冷媒の温度が第一温度閾値以下の場合には、サーモスタットバルブの切替温度に達しておらず、サーモスタットバルブがラジエータ循環路側を開弁していない可能性がある。サーモスタットバルブがラジエータ循環路側を開弁していない状態で、冷媒ポンプによる冷媒の循環を開始した場合には、冷媒がラジエータを通流できず効率よく放熱できないばかりか、冷媒ポンプを駆動する電力が無駄に消費されることとなる。しかし、本発明によれば、冷媒の温度が第一温度閾値以下の場合には、サーモスタットバルブへの加温を開始してから所定時間経過した後に冷媒ポンプによる冷媒の循環を開始するので、サーモスタットバルブの温度が上昇し、サーモスタットバルブがラジエータ循環路側を開弁してから、冷媒を循環させることができる。これにより、冷媒ポンプを駆動するための電力を無駄に消費することなく、冷媒をラジエータに通流させて効率よく放熱できる。
また、一般に燃料電池は、低温時においては発電効率が低下するため、燃料電池システムを低温時に起動する場合には、暖機運転が必要となる。しかし、本発明によれば、冷媒の温度が必要以上に低下するのを防止できるので、燃料電池システムを停止後、再起動する際に暖機運転時間が長くなるのを抑制できる。したがって、燃料電池システムを迅速に再起動できる。
図1は、燃料電池システム100の概略構成を示すブロック図である。
燃料電池システム100は、燃料ガスと酸化剤ガスとの反応により発電する燃料電池スタック(以下、単に「燃料電池」という。)1を備えている。燃料電池1は、単位燃料電池(以下「単位セル」という。)を多数積層して電気的に直列接続したものである。単位セルは、膜電極構造体の両側にセパレータを配置したサンドイッチ構造になっている。詳述すると、膜電極構造体は、例えばフッ素系電解質材料等からなる固体高分子電解質膜(電解質膜)の両側にアノード電極とカソード電極を配置して構成されている。その膜電極構造体のアノード電極に面してアノード側セパレータが配置され、両者間にアノードガス流路11が形成されている。また、膜電極構造体のカソード電極に面してカソード側セパレータが配置され、両者間にカソードガス流路21が形成されている。
また、燃料電池1のアノードガス流路11の出口側には、アノード循環路14が設けられている。アノード循環路14は、エゼクタに接続されている。
水素供給システム10の水素タンクから供給された燃料ガスは、アノードガス供給路12を通って燃料電池1のアノードガス流路11に供給される。アノードオフガスは、アノード循環路14を通ってエゼクタに吸引され、水素タンクから供給される燃料ガスと合流し、再び燃料電池1に供給されて循環するようになっている。
また、カソードガス流路21の出口側には、カソードオフガス排出配管24が設けられている。カソードオフガス排出配管24は、加湿器を通り、背圧制御弁(不図示)を介して希釈器(不図示)に接続されている。
エア供給システム20のコンプレッサにより加圧された空気は、カソードガス供給路22を通って燃料電池1のカソードガス流路21に供給される。この空気中の酸素が酸化剤として発電に供された後、燃料電池1からカソードオフガスとして排出される。
燃料電池1および蓄電装置3は、車両のモータ等の外部負荷(不図示)に電力供給可能に接続されている。車両は、燃料電池1および蓄電装置3から供給された電力によりモータを駆動して走行する。蓄電装置3は、例えば車両の加速時や低温起動時等、車両からの要求出力に対して燃料電池1の出力が不足している場合に、蓄電された電力を供給し、燃料電池1の出力不足を補完している。
また、蓄電装置3は、蓄電装置3の容量(State Of Charge:SOC)を検知するSOC検出部4(請求項の「容量検出部」に相当。)を備えている。SOC検出部4は、蓄電装置3のSOCに応じた電気信号を、後述するコントローラ60に出力している。
燃料電池システム100は、冷却水等の冷媒との熱交換によって燃料電池1を冷却する冷却系ユニット40を備えている。
冷却系ユニット40は、冷媒が循環する冷媒循環路50と、冷媒の放熱を行うラジエータ43と、ラジエータ43に送風するラジエータファン44と、冷媒を循環させる第一冷媒ポンプ41および第二冷媒ポンプ42と、冷媒循環路50を循環する冷媒の温度を検出する冷媒温度センサ47(請求項の「温度検出手段」に相当。)と、冷媒の通流路を切り替えるサーモスタットバルブ45(請求項の「流路切替弁」に相当。)と、サーモスタットバルブ45を加温するヒータ46と、を備えている。なお、以下では、冷却系ユニット40を構成する各デバイスのうち、ラジエータファン44、第一冷媒ポンプ41、第二冷媒ポンプ42、冷媒温度センサ47、サーモスタットバルブ45およびヒータ46を総称して、冷却系デバイスということがある。
冷媒導入路51は、燃料電池1の内部に冷媒を導入するための流路である。冷媒導入路51は、燃料電池1の冷媒連通路58における冷媒の循環方向の上流側に接続されている。
冷媒排出路52は、燃料電池1の内部に導入されて通流した冷媒を、燃料電池1の外部に排出するための流路である。冷媒排出路52は、燃料電池1の冷媒連通路58における冷媒の循環方向の下流側に接続されている。
ラジエータ導入路53aは、ラジエータ43に冷媒を導入するための流路であり、上流側が冷媒排出路52に接続され、下流側がラジエータ43に接続されている。
ラジエータ排出路53bは、ラジエータ43から冷媒を排出するための流路であり、上流側がラジエータ43に接続され、下流側が冷媒導入路51に接続されている。
ラジエータファン44は、後述するコントローラ60(請求項の「制御部」に相当。)からの指令に基づき、所定の駆動Dutyで駆動される。ラジエータファン44は、ラジエータ43に冷却風を供給しており、ラジエータ43の内部を循環する冷媒と外気との熱交換を促進させている。ここで、駆動Dutyとは、ラジエータファン44の駆動時間における通電ON時間の比率をいう。したがって、駆動Dutyが高いほど、ラジエータファン44は回転数は高くなる。
バイパス循環路55と、冷媒排出路52と、ラジエータ循環路53(ラジエータ導入路53a)との接続部には、サーモスタットバルブ45が配置されている。サーモスタットバルブ45は、例えば封入されたワックスが熱膨張および熱収縮するのを利用して、自動的に弁の開度が変化するように構成されている。サーモスタットバルブ45は、バイパス循環路55およびラジエータ循環路53のいずれか一方側の弁を開弁し他方側の弁を閉弁することで、冷媒の通流経路をバイパス循環路55およびラジエータ循環路53のいずれかに切り替えている。
具体的にサーモスタットバルブ45は、燃料電池1の発電中において、以下のように冷媒の通流経路を切り替える。
冷媒の温度が第一温度閾値TL1よりも高い場合、サーモスタットバルブ45は、ラジエータ循環路53側を開弁し、バイパス循環路55側を閉弁する。これにより、冷媒は、ラジエータ43の内部を循環して、燃料電池1から吸熱した後放熱できるので、燃料電池1を迅速に冷却できる。
これに対して、冷媒の温度が第一温度閾値TL1以下の場合、サーモスタットバルブ45は、バイパス循環路55側を開弁し、ラジエータ循環路53側を閉弁する。これにより、冷媒は、圧力損失の大きいラジエータ43を迂回できるので、冷媒循環路50を効率よく循環できる。また、ラジエータ43を迂回することにより、冷媒の温度の低下が抑制されるので、例えば、燃料電池1の発電開始直後の暖機運転を効率よく行うことができる。
燃料電池システム100は、コントローラ60を備えている。コントローラ60は、水素供給システム10、エア供給システム20、蓄電装置3の容量を検出するSOC検出部4、外気温度を検出する外気温センサ48(請求項の「外気温検出手段」に相当。)および冷却系ユニット40を構成する各冷却系デバイスと電気的に接続されている。コントローラ60は、各冷却系デバイスを制御することにより、後述する燃料電池1の停止制御を行う。コントローラ60は、流路切替制御手段61と、判断手段63と、計時手段65と、放熱量算出手段67とを備えている。
計時手段65は、燃料電池1の急速冷却制御開始時からの経過時間を計時している。
放熱量算出手段67は、急速冷却制御において冷媒から放熱される放熱量の算出を行っている。放熱量の算出方法については後述する。
次に、実施形態に係る燃料電池1の停止制御方法について説明する。
図2および図3は、実施形態に係る燃料電池1(図1参照)の停止制御方法のフローチャートである。以下に、図2および図3を用いて燃料電池1の停止制御方法の各ステップ(S1〜S25)について説明する。なお、図2では、燃料電池1の停止制御方法のうち、急速冷却制御を行う前のフローチャート(S1からS5まで)を図示している。また、図3では、燃料電池1の停止制御方法のうち、燃料電池1の急速冷却制御のフローチャート(S7からS25まで)を図示している。また、図2および図3のフローチャートの説明および図4以降のグラフの説明における各部品の符号については、図1を参照されたい。
S3では、S1において燃料電池1が発電停止状態であると判断した直後に、冷媒温度センサ47が燃料電池1の発電停止時の冷媒温度(以下、「停止時温度TW0」という。)を検出し、コントローラ60に出力する。
停止時温度TW0が、所定冷媒温度TL0よりも低い場合には、冷媒の温度が十分に低く急速冷却制御を行う必要が無いため、S5で「YES」と判断する。
これに対して、S5において、冬季判断S5Aで冬季であると判断されず、かつ停止時温度判断S5Bで停止時温度TW0が所定冷媒温度TL0以上であると判断した場合には、S5で「NO」と判断し、S7以降に進んで急速冷却制御を行う(図3参照)。
また、一般に燃料電池1は、低温時においては発電効率が低下するため、燃料電池システム100を低温時に起動する場合には、暖機運転が必要となる。しかし、上述のようにS5において冷媒の温度が必要以上に低下するのを防止できるので、燃料電池システム100を停止後、再起動する際に暖機運転時間が長くなるのを抑制できる。したがって、燃料電池システム100を迅速に再起動できる。
以下に、燃料電池1の急速冷却制御方法(S7以降)について説明する。
図3に示すように、S7では、コントローラ60の流路切替制御手段61がヒータ46への通電を開始し、サーモスタットバルブ45を加温する。
S9では、ラジエータ循環路53側を開弁しバイパス循環路55側を閉弁しているか否かの判断(以下、「サーモスタットバルブ45の開弁判断S9」という。)を行う。サーモスタットバルブ45の開弁判断S9は、コントローラ60が冷媒温度センサ47により検出された冷媒の温度を読み込んで行う。
これに対して、冷媒の停止時温度TW0がサーモスタットバルブ45の切替温度である第一温度閾値TL1以下の場合、サーモスタットバルブ45は、未だ切替温度に達しておらず、ラジエータ循環路53側を開弁していない可能性がある。したがって、サーモスタットバルブ45の開弁判断S9では、「NO」と判断して所定時間経過した後(S11)、S13に進む。ここで、S11における所定時間とは、例えばサーモスタットバルブ45がヒータ46により加温されて(S7)切替温度に達し、ラジエータ循環路53側を開弁していると推定される時間をいう。所定時間は、例えば、S3により検出された停止時温度TW0に対応して、コントローラ60内にマップ化されている。
このように、サーモスタットバルブ45の開弁判断S9を備えることで、確実にラジエータ循環路53側を開弁してから次ステップ(S13以降)に進むことができる。したがって、電力を無駄に消費することなくS13で第一冷媒ポンプ41および第二冷媒ポンプ42を駆動し、冷媒をラジエータ43に通流させて効率よく放熱できる。
S13では、第一冷媒ポンプ41および第二冷媒ポンプ42を駆動する。冷媒循環路50内の冷媒は、第一冷媒ポンプ41および第二冷媒ポンプ42により圧送され、ラジエータ43を通流して燃料電池1の内部と外部とを循環する。
図4に示すように、第一冷媒ポンプ41および第二冷媒ポンプ42の回転数は、冷媒温度センサ47により検出された冷媒の温度に対応しており、冷媒の温度が高いほど第一冷媒ポンプ41および第二冷媒ポンプ42の回転数も高くなるように設定されている。
これにより、冷媒の温度が高いときには、第一冷媒ポンプ41および第二冷媒ポンプ42の回転数を高くして冷媒の循環流量を増加させ、冷媒の放熱を促進できる。また、冷媒の温度が低いときには、第一冷媒ポンプ41および第二冷媒ポンプ42の回転数を低くして、第一冷媒ポンプ41および第二冷媒ポンプ42の消費電力を削減できる。したがって、燃料電池1の冷却を効率よく行うことができる。
S15では、ラジエータファン44を駆動する。ラジエータファン44は、ラジエータ43に冷却風を供給する。これにより、冷媒は、燃料電池1から吸熱した後、ラジエータ43の内部を循環するときに、ラジエータ43外側の外気との熱交換が促進されてラジエータ43から効率よく放熱できるので、燃料電池1を迅速に冷却できる。
図5に示すように、ラジエータファン44の回転数は、冷媒温度センサ47により検出された冷媒の温度に対応しており、冷媒の温度が高いほどラジエータファン44の回転数も高くなるように設定されている。したがって、冷媒の温度が高いほどラジエータ43への送風量が増大するので、ラジエータ43の内部を循環する冷媒と、ラジエータ43外側の外気との熱交換を促進し、燃料電池1の冷却を急速に行うことができる。また、冷媒の温度が低いときには、ラジエータファン44の消費電力を削減できる。したがって、燃料電池1の冷却を効率よく行うことができる。
冷媒温度検出S17Aは、冷媒温度センサ47が冷媒の温度(以下、「冷媒検出温度TW」という。)を検出し、コントローラ60に出力する。
SOC検出S17Bは、SOC検出部4が蓄電装置3のSOC(以下、「容量Bsoc」という。)を検出し、コントローラ60に出力する。なお、急速冷却制御中において、蓄電装置3の容量Bsocは、ヒータ46や第一冷媒ポンプ41、第二冷媒ポンプ42、ラジエータファン44等の電力消費により漸次低下する。
Qout=m・C(TW0−TW)・・・(1)
により算出する。
冷媒温度検出S17Aで検出した冷媒検出温度TW、SOC検出S17Bで検出された蓄電装置3の容量Bsocおよび放熱量算出S17Cで算出された放熱量Qoutは、コントローラ60に出力される。
冷媒検出温度判断S19Aでは、冷媒検出温度TWが第二温度閾値TL2より低いか否かの判断を行う。冷媒検出温度TWが第二温度閾値TL2より低い場合には、冷媒検出温度判断S19Aで「YES」と判断するとともに、急速冷却制御停止判断S19で「YES」と判断し、S21以降に進んで急速冷却制御の停止動作を行う。
また、冷媒の温度が第二温度閾値TL2よりも低くなっていないにも関わらず規定時間toutが経過した場合には、燃料電池システム100を構成するデバイスの故障が推定される。したがって、燃料電池システム100を構成するデバイスの故障を早期に検出できる。
燃料電池1の発電停止後、再度の燃料電池1の発電(すなわち再起動)を可能とするためには、蓄電装置3の容量Bsocを所定容量BL以上確保する必要があり、蓄電装置3の容量Bsocが所定容量BL未満となる前に急速冷却制御を停止する必要がある。したがって、漸次低下する蓄電装置3の容量Bsocが所定容量BLに達した場合には、蓄電装置容量判断S19Cで「YES」と判断するとともに、急速冷却制御停止判断S19で「YES」と判断し、S21以降に進んで急速冷却制御の停止動作を行う。
蓄電装置容量判断S19Cを備えることで、燃料電池1の発電開始に必要な容量が蓄電装置3に残存した状態で燃料電池1の急速冷却制御の停止動作を行うので、燃料電池1の劣化を抑制できるとともに、燃料電池システム100を停止後、確実に再起動できる。
これに対して、冷媒検出温度判断S19A、急速冷却制御時間判断S19B、蓄電装置容量判断S19Cおよび放熱量判断S19Dの全判断要素で「NO」と判断した場合には、急速冷却制御停止判断S19で「NO」と判断し、S17に戻って急速冷却制御を継続し、燃料電池システム100の状態検出を行う。
S23では、第一冷媒ポンプ41および第二冷媒ポンプ42を停止する。
S25では、ラジエータファン44を停止する。
ラジエータファン44を停止した時点で、燃料電池1の急速冷却制御が終了し、燃料電池1の停止制御が終了する。
本実施形態によれば、流路切替制御手段61は、燃料電池1の発電停止後、冷媒の温度が第一温度閾値TL1よりも低い第二温度閾値TL2になるまでラジエータ循環路53へ冷媒を通流させるので(S7〜S13)、ラジエータ43により冷媒の放熱を効果的に行うことができる。したがって、燃料電池1の発電停止後の急速冷却制御により、第一温度閾値TL1よりも低い温度に燃料電池1を迅速に冷却できるので、燃料電池1の劣化を抑制できる。
また、サーモスタットバルブ45を加温するヒータ46を備えているので、ヒータ46の温度を制御することにより、冷媒の温度に関わらずラジエータ循環路53とバイパス循環路55とを切り替えることができる。したがって、ヒータ46によりサーモスタットバルブ45を加温して第一温度閾値TL1よりも高い温度とすることにより、冷媒が第一温度閾値TL1以下であっても、擬似的に冷媒を第一温度閾値TL1よりも温度が高い状態として、ラジエータ循環路53へ冷媒を通流させることができる。しかも、特許文献1に記載の燃料電池システムと異なり、冷媒を加熱することなく、サーモスタットバルブ45を加温してサーモスタットバルブ45を切り替えているので、冷媒の冷却効率を向上できる。これにより、燃料電池1の発電停止後、冷媒の温度が第二温度閾値TL2となるまで、ラジエータ循環路53へ冷媒を通流させることができるので、燃料電池1を迅速に冷却でき、燃料電池1の劣化を抑制できる。このように、流路切替弁をサーモスタットバルブ45とし、サーモスタットバルブ45を加温するヒータ46を備えることで、制御の簡素化と燃料電池1の劣化抑制とを両立することができる。
3 蓄電装置
4 SOC検出部(容量検出部)
40 冷却系ユニット
41 第一冷媒ポンプ(冷媒ポンプ)
42 第二冷媒ポンプ(冷媒ポンプ)
43 ラジエータ
45 サーモスタットバルブ(流路切替弁)
46 ヒータ
47 冷媒温度センサ(温度検出手段)
48 外気温センサ(外気温検出手段)
51 冷媒導入路
52 冷媒排出路
53 ラジエータ循環路
55 バイパス循環路
61 流路切替制御手段
63 判断手段
67 放熱量算出手段
BL 所定容量
Bsoc 容量
QL 所定放熱量
Qout 放熱量
TL1 第一温度閾値
TL2 第二温度閾値
Tout 外気温度
tout 規定時間
Claims (7)
- 燃料ガスと酸化剤ガスとの反応により発電する燃料電池と、
前記燃料電池の冷却を行う冷媒の放熱を行うラジエータと、
前記冷媒の循環を行う冷媒ポンプと、
前記冷媒の温度を検出する温度検出手段と、
前記燃料電池に前記冷媒を導入する冷媒導入路と、
前記燃料電池を通流した後の前記冷媒を排出する冷媒排出路と、
前記ラジエータを通流して前記冷媒排出路から前記冷媒導入路へ前記冷媒を循環させるラジエータ循環路と、
前記ラジエータをバイパスして前記冷媒排出路から前記冷媒導入路へ前記冷媒を循環させるバイパス循環路と、
前記バイパス循環路と、前記冷媒導入路または前記冷媒排出路との接続部に設けられ、前記燃料電池の発電中に、前記冷媒の温度が第一温度閾値以下となった場合に、前記バイパス循環路へ前記冷媒を通流させるように設定された流路切替弁と、
前記燃料電池の発電停止後に、前記燃料電池の急速冷却制御を行う制御部と、
を備えた燃料電池システムであって、
前記制御部は、前記燃料電池の急速冷却制御において、前記冷媒の温度が前記第一温度閾値よりも低い第二温度閾値になるまで前記ラジエータ循環路へ前記冷媒を通流させるように前記流路切替弁を制御する流路切替制御手段を備え、
前記流路切替弁は、サーモスタットバルブであり、
前記サーモスタットバルブは、前記サーモスタットバルブを加温するヒータを備え、
前記流路切替制御手段は、前記燃料電池の発電停止後に、前記ヒータから前記サーモスタットバルブへの加温を制御することにより、前記冷媒の温度が前記第二温度閾値となるまで、前記ラジエータ循環路へ前記冷媒を通流させ、
前記制御部は、前記燃料電池の急速冷却制御を開始した後、規定時間が経過した場合に、前記ヒータによる前記サーモスタットバルブへの加温を停止するとともに、前記燃料電池の急速冷却制御を終了することを特徴とする燃料電池システム。 - 燃料ガスと酸化剤ガスとの反応により発電する燃料電池と、
前記燃料電池の冷却を行う冷媒の放熱を行うラジエータと、
前記冷媒の循環を行う冷媒ポンプと、
前記冷媒の温度を検出する温度検出手段と、
前記燃料電池に前記冷媒を導入する冷媒導入路と、
前記燃料電池を通流した後の前記冷媒を排出する冷媒排出路と、
前記ラジエータを通流して前記冷媒排出路から前記冷媒導入路へ前記冷媒を循環させるラジエータ循環路と、
前記ラジエータをバイパスして前記冷媒排出路から前記冷媒導入路へ前記冷媒を循環させるバイパス循環路と、
前記バイパス循環路と、前記冷媒導入路または前記冷媒排出路との接続部に設けられ、前記燃料電池の発電中に、前記冷媒の温度が第一温度閾値以下となった場合に、前記バイパス循環路へ前記冷媒を通流させるように設定された流路切替弁と、
前記燃料電池の発電停止後に、前記燃料電池の急速冷却制御を行う制御部と、
を備えた燃料電池システムであって、
前記制御部は、前記燃料電池の急速冷却制御において、前記冷媒の温度が前記第一温度閾値よりも低い第二温度閾値になるまで前記ラジエータ循環路へ前記冷媒を通流させるように前記流路切替弁を制御する流路切替制御手段を備え、
前記流路切替弁は、サーモスタットバルブであり、
前記サーモスタットバルブは、前記サーモスタットバルブを加温するヒータを備え、
前記流路切替制御手段は、前記燃料電池の発電停止後に、前記ヒータから前記サーモスタットバルブへの加温を制御することにより、前記冷媒の温度が前記第二温度閾値となるまで、前記ラジエータ循環路へ前記冷媒を通流させ、
前記制御部は、
前記燃料電池の発電停止時における前記冷媒の温度が、前記第一温度閾値よりも高い場合には、前記ヒータによる前記サーモスタットバルブへの加温を開始するとともに前記冷媒ポンプによる前記冷媒の循環を開始し、
前記燃料電池の発電停止時における前記冷媒の温度が、前記第一温度閾値以下である場合には、前記ヒータによる前記サーモスタットバルブへの加温を開始してから所定時間経過した後、前記冷媒ポンプによる前記冷媒の循環を開始することを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項1または2に記載の燃料電池システムであって、
前記冷媒ポンプの回転数は、前記冷媒の温度が高いほど高くなることを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料電池システムであって、
外気温度を検出する外気温検出手段を備え、
前記制御部は、前記燃料電池の発電停止後、前記燃料電池の急速冷却制御を行うかどうかの判断をする判断手段を備え、
前記判断手段は、前記外気温度が前記第一温度閾値よりも低い所定外気温度よりもさらに低い場合、または前記燃料電池の発電停止後に検出された前記冷媒の温度が前記第一温度閾値よりも低い所定冷媒温度よりもさらに低い場合に、前記燃料電池の急速冷却制御を行わないことを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の燃料電池システムであって、
前記燃料電池により発電された電力を蓄電するとともに、前記燃料電池の発電開始に必要な電力を供給する蓄電装置と、
前記蓄電装置の容量を検出する容量検出部と、
を備え、
前記容量検出部により検出された前記蓄電装置の容量が、前記燃料電池の発電開始に必要な所定容量未満となる前に、前記燃料電池の急速冷却制御を終了することを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載の燃料電池システムであって、
前記制御部は、前記冷媒の放熱量を算出する放熱量算出手段を備え、
前記放熱量算出手段により算出された前記冷媒の放熱量が、所定放熱量よりも大きくなった場合には、前記燃料電池の急速冷却制御を終了することを特徴とする燃料電池システム。 - 燃料ガスと酸化剤ガスとの反応により発電する燃料電池と、
前記燃料電池の冷却を行う冷媒の放熱を行うラジエータと、
前記冷媒の循環を行う冷媒ポンプと、
前記冷媒の温度を検出する温度検出手段と、
前記燃料電池に前記冷媒を導入する冷媒導入路と、
前記燃料電池を通流した後の前記冷媒を排出する冷媒排出路と、
前記ラジエータを通流して前記冷媒排出路から前記冷媒導入路へ前記冷媒を循環させるラジエータ循環路と、
前記ラジエータをバイパスして前記冷媒排出路から前記冷媒導入路へ前記冷媒を循環させるバイパス循環路と、
前記バイパス循環路と、前記冷媒導入路または前記冷媒排出路との接続部に設けられ、前記燃料電池の発電中に、前記冷媒の温度が第一温度閾値以下となった場合に、前記バイパス循環路へ前記冷媒を通流させるように設定された流路切替弁と、
前記燃料電池の発電停止後に、前記燃料電池の急速冷却制御を行う制御部と、
を備えた燃料電池システムの制御方法であって、
前記燃料電池の急速冷却制御において、前記温度検出手段により検出された前記冷媒の温度が、前記第一温度閾値よりも低い第二温度閾値になるまで前記ラジエータ循環路へ前記冷媒を通流させるように前記流路切替弁を制御するステップと、
前記流路切替弁は、サーモスタットバルブであり、前記サーモスタットバルブは、前記サーモスタットバルブを加温するヒータを備え、前記燃料電池の発電停止後に、前記ヒータから前記サーモスタットバルブへの加温を制御することにより、前記冷媒の温度が前記第二温度閾値となるまで、前記ラジエータ循環路へ前記冷媒を通流させるステップと、
前記燃料電池の急速冷却制御を開始した後、規定時間が経過した場合に、前記ヒータによる前記サーモスタットバルブへの加温を停止するとともに、前記燃料電池の急速冷却制御を終了するステップと、
を備えたことを特徴とする燃料電池システムの制御方法。
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