(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図1乃至図17を参照して説明する。図1は、後述するジブ8が格納される格納状態(横抱き状態)での車両形クレーン1を示す図である。図1に示すように、車両形クレーン1は、車体1Aと、車体1A上に取り付けられるジブ張出し装置2とを備える。ジブ張出し装置2は、旋回台3と、旋回台3に取り付けられるブーム4とを備える。ブーム4の基端部は、旋回台3に起伏可能に枢支されている。ブーム4と旋回台3との間には、ブーム4を起伏するためのブーム起伏シリンダ(図示しない)が設けられている。車体1A上の旋回台3の近傍には、走行運転室とクレーン操作室とを兼ねる運転室5が配置されている。車体1Aの前側と後側には、それぞれアウトリガ6A,6Bが設けられている。
また、車両形クレーン1は、ブーム4の長さを補うジブ8を備える。ジブ8は、長手方向に伸縮可能となっている。ジブ8は、先端をブーム4の基端側に、基端をブーム4の先端側に向けた状態で、ブーム4の一側面に沿って配置される横抱き状態で格納されている。
ブーム4の先端部には、2本のブーム側テンションロッド7A,7Bが連結されている。ジブ8の先端部には、伸縮可能な2本のジブ側テンションロッド9A,9B(図2参照)が連結されている。また、ブーム4の先端部には、ワイヤロープWを介してメインフック10が支持されている。
ジブ8を使用する際には、まず、図1に示すような格納状態である横抱き状態から図2に示すような下抱き状態にジブ8を移動する。下抱き状態では、ジブ8がブーム4の下面側に基端をブーム4の先端側に、先端をブーム4の基端側に向けて配置される。下抱き状態でジブ8を長手方向に伸長し、ジブ8の基端部をブーム4の先端部の両側面に設けられる支持部32A,32Bに連結する。また、下抱き状態で、ブーム側テンションロッド7A,7Bとジブ側テンションロッド9A,9Bとを連結する。
そして、図3に示すように、ブーム4を水平方向に延設される状態からブーム起伏シリンダによりブーム4を起状し、ジブ8を収縮する。この際、ジブ8はブーム4の先端部の支持部32A,32Bでのみ枢支された状態となる。これにより、図4に示すように、ジブ8が、ブーム4の先端部の支持部32A,32Bを中心に、ブーム4の支持部32A,32Bから鉛直方向に垂れ下がった垂下状態まで回動する。すなわち、ジブ8は図3に示す下抱き状態から図4に示す垂下状態まで回動する。
そして、垂下状態を維持した状態で、ブーム起伏シリンダによりジブ8を伏状し、ジブ8の先端部を地上から手の届く位置に配置する。そして、ジブ側テンションロッド9A,9Bの軸方向の長さをロックする作業、メインフック10を支持するワイヤロープWとは別のワイヤロープ(図示しない)の先端のサブフック(図示しない)をジブ8に掛ける作業等を行う。そして、使用時での適切な位置までブーム4を再び起状し、ジブ8を伸縮することにより、ジブ8が張出し方向の前方に振上げられる。
ジブ8を格納する際には、上述の作業と逆の手順で作業を行う。すなわち、垂下状態までジブ8が振り戻された状態で、ジブ側テンションロッド9A,9Bの軸方向の長さのロックを解除する作業等が行われる。そして、作業環境に応じた適切な位置(例えば、ジブ8が車体1Aと干渉しない状態)までブーム4を起状し、ジブ8を垂下状態から下抱き状態に引寄せる。ジブ8を引寄せた後、ジブ8を伸長し、ジブ8とブーム4とを支持部32A,32B以外の部分で連結し、ジブ8を保持する。そして、ブーム4を水平方向に延設される状態まで伏状する。そして、ジブ8の基端部のブーム4の支持部32A,32Bとの連結を解除し、ジブ8を収縮する。また、ブーム側テンションロッド7A,7Bとジブ側テンションロッド9A,9Bとの連結を解除する。そして、ジブ8を下抱き状態から横抱き状態へ移動し、ジブ8を格納する。
図5は、ブーム4を示す図である。図5に示すように、ブーム4は、長手方向に延設されるブーム本体11と、ブーム本体11の先端側に配設されるブームヘッド12とを備える。ブームヘッド12の下端は、ブーム本体11の下面より下側まで延設されている。
ブーム本体11の基端部には、ブーム支持用ブラケット13が設けられている。ブーム4は、ブーム支持用ブラケット13でブーム支持用ピン(図示しない)を介して旋回台3に起伏可能に枢支されている。ブーム本体11には、ブーム起伏シリンダ(図示しない)のロッドが取り付けられるブーム起伏シリンダ用ブラケット14が設けられている。また、ブーム本体11の運転室5(図1参照)と反対側の側面には、ジブ8の基端側を支持するジブホルダ15と、ジブ8の先端側を支持するジブ支持用ブラケット16とが設けられている。ジブホルダ15及びジブ支持用ブラケット16は、下抱き状態においてジブ8とブーム4との間を支持部32A,32B以外の部分で連結して、ジブ8を保持する保持手段である。
図6及び図7は、ジブホルダ15の構成を示す図である。図6及び図7に示すように、ブーム本体11の一側面(本実施形態では運転室5と反対側の側面)には、ジブホルダ支持部材17が設けられている。ジブホルダ15は、ジブホルダ支持部材17の下端部で支軸15aを介して回動可能に枢支されている。ジブホルダ15には、ジブホルダ駆動シリンダ18のロッド18aが連結されている。ジブホルダ駆動シリンダ18の上端部は、ジブホルダ支持部材17の上端部で枢支されている。ジブホルダ15は、ジブホルダ駆動シリンダ18の駆動により、第1のホルダ位置(図7中の破線で示す位置)と第2のホルダ位置(図7中の実線で示す位置)との間で回動する。また、ジブホルダ15には、ジブ8と連結するための2つの連結ピン15bが設けられている。
また、ジブホルダ15には、ロックピン挿通孔15cが設けられている。また、ジブホルダ支持部材17には、ロックピン挿通孔17aが設けられている。ロックピン挿通孔15c,17aにロックピン19を挿通することにより、ジブホルダ15が第1のホルダ位置に固定される。ロックピン挿通孔15c,17aにロックピン19が挿通されていない状態では、ジブホルダ15が第1のホルダ位置と第2のホルダ位置との間で回動可能となる。ロックピン19の挿脱は、運転室5での操作がブーム本体11に設けられる挿脱機構(図示しない)に伝達されることにより行われる。
図8は、ジブ支持用ブラケット16の構成を示す図である。図8に示すように、ジブ支持用ブラケット16には、ジブ8と連結するための連結ピン16aが設けられている。連結ピン16aには、フートピン挿通孔16bが設けられている。
図9は、下抱き状態のジブ8が支持部32A,32Bに連結されたブーム4の先端部を図5の矢印A1の方向から視た図である。図9に示すように、ブームヘッド12の上端部には、メインフック10(図1参照)用のワイヤロープW(図1参照)及びサブフック(図示しない)用のワイヤロープ(図示しない)を案内するシーブユニット25が設けられている。また、ブームヘッド12の下端部には、ワイヤロープWを介してメインフック10を支持するシーブユニット26が設けられている。シーブユニット26の前方には、シーブユニット27がブームヘッド12から先端側に延出した状態で設けられている。シーブユニット27には、シーブユニット25に案内されるサブフック用のワイヤロープが掛け回されている。
シーブユニット26は、ブームヘッド12を幅方向に貫通するシーブシャフト(図示しない)を備える。シーブシャフトの軸方向について両端側には、ジブ8の基端部が連結される支持部32A,32Bが設けられている。支持部32A,32Bは、それぞれブームヘッド12の両側面から外側に向けて突設されている。下抱き状態からジブ8を張出す際には、ジブ8は支持部32A,32Bを支点として回動する。また、ブームヘッド12には、1対のテンションロッドストッパ35A,35Bがブームヘッド12から先端側に突設されている。テンションロッドストッパ35A,35Bにより、ブーム側テンションロッド7A,7Bのテンションロッドストッパ35A,35Bよりもブームヘッド12側への回動が規制されている。
図9に示すように、ブーム本体11の運転室5側の側面(ジブホルダ15が設けられる側と反対側の側面)の下端部には、垂下状態から下抱き状態へジブ8を引寄せるジブ引寄せ手段20が設けられている。ジブ引寄せ手段20により、下抱き状態から垂下状態へのジブ8の回動速度が制御される。ジブ引寄せ手段20は、引寄せ部材である略L字状のリンク21と、リンク21を駆動する駆動部材であるリンク駆動シリンダ22とを備える。
図10及び図11は、ジブ引寄せ手段20の構成を示す図である(図11は、図10を矢印A2の方向から視た図)。図10及び図11に示すように、リンク21は、ブーム4の先端部の運転室5側の側面に固定されるリンク用ホルダ23に、連結ピン23aを介して取り付けられている。リンク21は、連結ピン23aを中心に第1の移動方向(図10の矢印B1の方向)及び第2の移動方向(図10の矢印B2の方向)に回動可能である。すなわち、リンク21は、第1の移動方向及び第1の移動方向と反対方向の第2の移動方向に移動可能に設けられている。また、リンク21の上側面には係止部21aが設けられている。
リンク駆動シリンダ22は、連結ピン24aを介して、ブーム4の先端部に取り付けられている。リンク駆動シリンダ22は、軸方向に伸縮可能である。リンク駆動シリンダ22は、ブーム4と反対側の端部にロッド22aを備え、ロッド22aがリンク21に連結ピン24bを介して連結されている。リンク駆動シリンダ22を収縮することにより、リンク21は第1の移動方向に移動する。一方、リンク駆動シリンダ22を伸長することにより、リンク21は第2の移動方向に移動する。
図12はジブ8の構成を示す図である。なお、図12において、矢印A3の方向が下抱き状態での下面側方向(張出し時の張出し方向の前方)であり、紙面の表方向側に運転室5が位置する。図12に示すように、ジブ8は、張出し時にブームヘッド12に連結されるベースジブ42を備える。ベースジブ42は、ブームヘッド12の幅方向の寸法より大きい間隔寸法を有する二股部41を備える。ジブ8の張出し時には、二股部41の間の空間部46をメインフック10(図1参照)が通過する。二股部41の基端には、シーブシャフト31の支持部32A,32Bにそれぞれ連結されるフォーク47A,47Bが設けられている。フォーク47A,47Bのそれぞれには、フートピン挿通孔47aが設けられている。フォーク47A,47Bがシーブシャフト31の支持部32A,32Bに連結される際には、フートピン挿通孔47aにフートピン(図示しない)が挿通される。
ベースジブ42の先端側には第1のジブ43が、第1のジブ43の先端側には第2のジブ44が設けられている。第1のジブ43及び第2のジブ44は、長手方向に移動可能となっている。第1のジブ43及び第2のジブ44が長手方向に移動可能であるため、ジブ8は長手方向に伸縮可能となっている。
図13及び図14は、ジブ8の内部構造を示す図である。図13及び図14に示すように、ジブ8の内部には、第1のジブ43を長手方向に移動させるジブ伸縮手段であるジブ起伏シリンダ53が設けられている。図13はジブ起伏シリンダ53が最も収縮した状態を、図14はジブ起伏シリンダ53が最も伸長した状態を示している。ジブ起伏シリンダ53の基端部には、トラニオン部54が設けられている。トラニオン部54はフランジ構造を有し第1のジブ43の基端部にフランジ連結されている。ジブ起伏シリンダ53のロッド54aの基端側には、クレビス部55が設けられている。クレビス部55には、ジブ起伏シリンダ53のピン挿入穴55aが設けられている。ピン挿入穴55aに連結ピン55bを挿入することにより、クレビス部55がベースジブ42に連結される。ジブ起伏シリンダ53の先端部には、シリンダ先端ローラ53aが設けられている。第2のジブ44は、長手方向へ伸縮可能である。第2のジブ44の移動は、ジブ起伏シリンダ53は最も伸長した状態に近い状態で行われる。なお、ジブ起伏シリンダ53の構成は、これに限るものではなく、ジブ伸縮手段であるジブ起伏シリンダ53により、ジブ8が長手方向に伸縮する構成であればよい。
図12に示すように、ジブ8の第1のジブ43の張出し方向の後方に位置する面(下抱き状態で上側に位置する面)には、ジブホルダ15に連結されるホルダ用ブラケット57と、ジブ支持用ブラケット16に連結されるブラケット連結手段58とを備える。ホルダ用ブラケット57には、ジブホルダ15の連結ピン15bが挿入される2つの連結ピン挿入穴57aが設けられている。ブラケット連結手段58には、ジブ支持用ブラケット16の連結ピン16aが挿入される連結ピン挿入穴58aが設けられている。ブラケット連結手段58は、連結ピン16aが連結ピン挿入穴58aに挿入される状態で、ジブ支持用ブラケット16に枢支されている。連結ピン挿入穴58aに連結ピン16aが挿入された状態では、連結ピン16aのフートピン挿通孔16b(図8参照)にフートピンが挿通されている。これにより、フートピンが抜止めとして作用し、ジブ支持用ブラケット16からのブラケット連結手段58の抜けが防止される。これにより、ジブ支持用ブラケット16とブラケット連結手段58とがより確実に連結される。以上のように、ジブホルダ15、ジブ支持用ブラケット16、ホルダ用ブラケット57及びブラケット連結手段58が、下抱き状態においてジブ8とブーム4との間を支持部32A,32B以外の部分で連結して、ジブ8を保持する保持手段となっている。
ジブ8を格納状態である横抱き状態(図1参照)から下抱き状態(図2参照)に移動する際は、まずジブホルダ15のロックピン挿通孔15c及びジブホルダ支持部材17のロックピン挿通孔17aからロックピン19を抜く。これより、ジブホルダ15が回動可能となる。そして、ジブホルダ駆動シリンダ18を伸長することにより、ジブホルダ15が第1のホルダ位置(図7中の破線で示す位置)から第2のホルダ位置(図7中の実線で示す位置)へ回動する。ジブホルダ15の回動により、ジブ8が横抱き状態の位置から下抱き状態の位置へジブホルダ15と一体に回動する。この際、ジブ支持用ブラケット16の近傍では、ジブ8が横抱き状態の位置から下抱き状態の位置へ連結ピン16aを中心として回動する。すなわち、ジブホルダ駆動シリンダ18が、支持部32A,32Bでのジブ8の連結が解除された状態で、横抱き状態と下抱き状態との間でジブ8を移動するジブ移動手段となっている。
図12に示すように、ジブ8のベースジブ42には、横抱き状態(格納状態)でジブ側テンションロッド9A,9Bを固定するテンションロッド格納手段61が設けられている。テンションロッド格納手段61は、ジブ8の下抱き状態で下側に位置する面(張出し方向の前方に位置する面)に配置されている。また、ジブ8の第2のジブ44の先端部には、シーブユニット63が設けられている。シーブユニット63には、ブームヘッド12のシーブユニット27からジブ8側に延設されたサブフック(図示しない)用のワイヤロープ(図示しない)が、掛け回される。さらに、ジブ8の第1のジブ43の先端部には、ジブ側テンションロッド9A,9Bの先端がそれぞれ連結されるテンションロッド用伸縮継手70A,70Bが設けられている。テンションロッド用伸縮継手70A,70Bは、ジブ8の張出し方向の前方側に位置する部分に配置されている。テンションロッド用伸縮継手70A,70Bで、ジブ側テンションロッド9A,9Bの軸方向の長さをロック及びロックの解除が行われる。
図12に示すように、ジブ8の二股部41の運転室5側の側面には、外方に突設されるローラ部材51が設けられている。ローラ部材51は、ジブ8に固定されるローラ用ホルダ52に連結されている。図10に示すように、ジブ8が下抱き状態でブーム4の支持部32A,32Bに連結された状態では、ローラ部材51は、リンク21の係止部21aによりリンク21の上面に係止された状態となっている。すなわち、ローラ部材51は、リンク21の係止部21aにより係止可能な被係止部材である。この状態からリンク駆動シリンダ22によりリンク21を第1の移動方向に移動させることにより、ジブ8がローラ部材51を介してリンク21により支持された状態で、張出し方向の前方へ回動する。そして、リンク21の係止部21aによるローラ部材51の係止が解除される。すなわち、リンク21が移動することにより、ジブ8に取り付けられるローラ部材51がリンク21と干渉しない状態となる。これにより、ジブ8が下抱き状態から垂下状態へ回動速度を制御した状態で回動する。また、図11に示すように、ローラ部材51のジブ8の幅方向の寸法t1は、リンク21の係止部21aのジブ8の幅方向の寸法t2より大きくなっている。
図15は、ジブ張出し装置2の制御システムを示す図である。図15に示すように、ジブ引寄せ手段20の近傍には、ジブ8を垂下状態から下抱き状態へ引寄せる際に、ジブ8の引寄せが完了した状態を検出する引寄せ完了検出部71が設けられている。運転室5には、コントローラ75が設けられている。コントローラ75は、リンク21の移動を制御するリンク移動制御部77を備える。引寄せ完了検出部71及びリンク駆動シリンダ22は、リンク移動制御部77に接続されている。また、ジブ張出し装置2は、ブーム4の起伏状態を検出するブーム起伏状態検出部72を備える。ブーム起伏状態検出部72は、リンク移動制御部77に接続されている。リンク移動制御部77は、ブーム起伏状態検出部72で検出されたブーム4の起伏状態に基づいて、リンク駆動シリンダ22を伸縮し、シンク21の移動の制御を行っている。なお、リンク駆動シリンダ22の伸縮は、ブーム起伏状態検出部72での検出結果に基づいて、入力部(図示しない)からの手動操作で行ってもよい。
コントローラ75は、ジブ8の伸縮を制御するジブ伸縮制御部78を備える。ジブ伸縮制御部78は、リンク移動制御部77に接続されている。また、ジブ伸縮制御部78は、アンロードバルブ82を介してタンク80に接続されている。タンク80は、ジブ起伏シリンダ53を駆動するポンプ81を備える。ポンプ81とジブ起伏シリンダ53との間には切換弁83が設けられている。ジブ伸縮制御部78からの制御信号に基づいて、ポンプ81がジブ起伏シリンダ53を駆動し、ジブ8の伸縮が制御される。なお、ジブ起伏シリンダ53の駆動も、リンク駆動シリンダ22と同様に、入力部(図示しない)からの手動操作で行ってもよい。
また、ジブ張出し装置2は、ブーム伸長検出部73を備える。ブーム伸長検出部73は、ジブ伸縮制御部78に接続されている。ジブ8を下抱き状態まで引寄せた後、ジブ伸縮制御部78はブーム伸長検出部73での検出結果に基づいてジブ8を伸長し、ジブホルダ15とホルダ用ブラケット57との間、及び、ジブ支持用ブラケット16とブラケット連結手段58との間の連結を行っている。
次に、本実施形態のジブ張出し装置2の作用について説明する。図1に示すように、格納状態である横抱き状態では、ジブ張出し装置2のジブ8は、先端をブーム4の基端側に、基端をブーム4の先端側に向けた状態で、ブーム4の一側面に沿って配置されている。この際、ジブホルダ15の連結ピン15bは、ホルダ用ブラケット57の連結ピン挿入穴57aに挿入されている。また、ジブ支持用ブラケット16の連結ピン16aがブラケット連結手段58の連結ピン挿入穴58aに挿入されている。連結ピン16aのフートピン挿通孔16bには、フートピン(図示しない)が挿通されている。これにより、フートピンが抜止めとして作用し、ジブ支持用ブラケット16からのブラケット連結手段58の抜けが防止される。この際、一端がブームヘッド12に連結されるブーム側テンションロッド7A,7Bは、ジブ側テンションロッド9A,9Bと連結されていない。ブーム側テンションロッド7A,7Bは、テンションロッドストッパ35A,35B(図9参照)上に配置されている。また、ジブ側テンションロッド9A,9Bは、テンションロッド格納手段61(図12参照)により固定されている。
ジブ8を使用する際には、まず、メインフック10を、ブームヘッド12の近傍に配置する。
そして、ジブ8を格納状態から図2に示す下抱き状態へ移動する。ジブ8の移動の際には、ジブ8は基端部がブームヘッド12と干渉しない位置に配置されている。ジブホルダ15のロックピン挿通孔15c及びジブホルダ支持部材17のロックピン挿通孔17aからロックピン19を抜くことにより、ジブホルダ15が第1のホルダ位置(図7中の破線で示す位置)から第2のホルダ位置(図7中の実線で示す位置)へ回動可能となる。ジブホルダ15の回動により、ジブ8が横抱き状態の位置から下抱き状態の位置へジブホルダ15と一体に回動する。この際、ジブ支持用ブラケット16の近傍では、ジブ8が横抱き状態の位置から下抱き状態の位置へ連結ピン16aを中心として回動する。ジブ8を横抱き状態から下抱き状態へ移動する際、ジブ8はジブ起伏シリンダ53によりリンク21と干渉しない位置まで、収縮されている。すなわち、ジブ移動手段であるジブ起伏シリンダ53は、ジブ移動手段であるジブホルダ駆動シリンダ18によるジブ8の移動の際に、ジブ8を引寄せ部材であるリンク21と干渉しない状態に収縮するジブ収縮部を備える。
ジブ8を下抱き状態まで移動すると、ジブ起伏シリンダ53(図13,図14参照)によって第1のジブ43を長手方向に移動することにより、ジブ8を伸長する。この際、ジブ8は、基端部がブームヘッド12と干渉するまで伸長される。そして、リンク駆動シリンダ22を伸長することにより、リンク21を第2の移動方向(図10の矢印B2の方向)に移動させる。リンク21が第2の移動方向に移動することにより、リンク21がローラ部材51と干渉する。そして、被係止部材であるローラ部材51が、引寄せ部材であるリンク21に設けられる係止部21aにより係止される。以上のように、ジブ起伏シリンダ53により、リンク21の係止部21aによりローラ部材51を係止可能な状態に、ジブ8が長手方向に伸縮される。
また、下抱き状態では、ブームヘッド12のシーブシャフト(図示しない)の支持部32A,32Bに、ジブ8のフォーク47A,47Bを連結される。この際、フォーク47A,47Bのフートピン挿通孔47aにフートピンが挿通されている。これにより、連結手段32A,32Bからのフォーク47A,47Bの抜けが防止される。さらに、下抱き状態では、ブーム側テンションロッド7A,7Bとジブ側テンションロッド9A,9Bとが連結される。
以上のように、ジブ張出し装置2では、ジブ8の基端部がブームヘッド12と干渉しない位置に配置された状態で、ジブ8が格納状態である横抱き状態から下抱き状態へ移動する。すなわち、ジブ8の基端がブームヘッド12のシーブシャフトの支持部32A,32Bよりブーム4の基端側に配置される状態で、ジブ8が格納状態から下抱き状態へ移動する。そして、ジブ8を伸長することによりジブ8をブームヘッド12の支持部32A,32Bに連結する。すなわちジブ張出し装置2では、ジブ8を横抱き状態から下抱き状態に移動する際に、ジブ8のブームヘッド12との干渉を防止するために、ブーム4を伸長させる必要はない。このため、ブームヘッド12の位置が変化せず、ブームヘッド12の第2のシーブユニット26にワイヤロープWを介して支持されるメインフック10の位置も変化しない。したがって、ジブ8を下抱き状態から張出す前に、メインフック10をジブ8と干渉しない位置に配置する作業が不要となる。すなわち、ジブ8の横抱き状態から下抱き状態への移動の前に、メインフック10を張出し時にジブ8と干渉しない位置に配置することにより、以後メインフック10を再配置する必要がなくなる。また、ジブ8の移動時にブーム4が伸長されないため、ブーム4を伸長する空間を確保する必要もなくなる。
下抱き状態からジブ8を前方に張出す際には、図3に示すように、ブーム起伏シリンダによりブーム4を起状する。そして、図4に示す垂下状態まで、ジブ8を支持部32A,32Bを中心に回動させる。下抱き状態から垂下状態までのジブ8の回動は、ブーム4を最も起状した最起状状態、又は、最起状状態からブーム4を僅かに伏状した状態等、作業環境に応じて様々なブーム4の起伏状態で行われる。図16は、ジブ8を下抱き状態から垂下状態に回動させる際の作業を示す図である。
図16に示すように、ジブ8を垂下状態まで回動させる際には、ブーム4を作業環境に応じた起伏状態まで起状した後、ブーム起伏状態検出72により、ブーム4の起伏状態を検出する(ステップS101)。そして、ブーム4の起伏状態に基づいて、ジブ起伏シリンダ53によりジブ8を収縮する(ステップS102)。ジブ8が収縮することにより、ジブホルダ15の連結ピン15bがホルダ用ブラケット57の連結ピン挿入穴57aから抜ける。また、ジブ支持用ブラケット16の連結ピン16aが、ブラケット連結手段58の連結ピン挿入穴58aから抜ける。この際、ジブ8はブームヘッド12の支持部32A,32Bを中心に、張出し方向の前方へ回動しようとする自重モーメントが作用する。しかし、ジブ8のローラ部材51が、リンク21の係止部21aにより係止されているため、自重モーメントはリンク21によって支持される。このため、ジブ8は下抱き状態で維持される。下抱き状態で、ジブホルダ15とホルダ用ブラケット57との間の連結、及び、ジブ支持用ブラケット16とブラケット連結手段58との間の連結が解除された際には、ローラ部材51がリンク21の係止部21aにより係止されている。ジブ8の垂下状態までの回動の際、ブーム4は最起立状態と最起立状態から伏状した所定の起伏状態の間の作業環境に応じた起伏状態まで起状されている。ローラ部材51は、ブーム4の起伏状態に対応して、リンク21の係止部21aにより係止されている。すなわち、被係止部材であるローラ部材51は、ブーム4とジブ8との支持部32A,32B以外の部分での連結が解除された際に、最起立状態と最起立状態から伏状した所定の起伏状態の間のブーム4の起伏状態に対応して、引寄せ部材であるリンク21の係止部21aにより係止されている。
そして、リンク移動制御部77が、リンク駆動シリンダ22を収縮する。すなわち、ブーム4の起伏状態に基づいて、リンク移動制御部77がリンク駆動シリンダ22を収縮する(ステップS103)。リンク駆動シリンダを収縮することにより、リンク21が第1の移動方向(図10の矢印B1の方向)に移動する(ステップS104)。リンク21の第1の移動方向への移動により、リンク21の係止部21aでのローラ部材51の係止が解除され、ジブ8のローラ部材51がリンク21と干渉しない状態となる。これにより、ジブ8は自重モーメントによりブームヘッド12の支持部32A,32Bを中心に、垂下状態まで回動する(ステップS105)。この際、ジブ8の二股部41の間の空間部46をメインフック10が通過する。
以上のように、リンク21の第1の移動方向への移動が制御されることにより、ジブ8が適切な回動速度で垂下状態まで回動を行う。これにより、ウィンチからワイヤロープを引張り出す作業、ワイヤロープを張る作業等を行うことなく、遠隔操作により自重モーメントの支持及びジブ8の回動速度の制御を行うことが可能となる。また、ローラ部材51は、ブーム4とジブ8との支持部32A,32B以外の部分での連結が解除された際に、最起立状態と最起立状態から伏状した所定の起伏状態の間のブーム4の起伏状態に対応して、リンク21の係止部21aにより係止されている。このため、ブーム4の起伏状態に対応して、自重モーメントの支持及びジブ8の回動速度の制御を行うことが可能となる。ジブ8の回動速度が制御されることにより、垂下状態でジブ8の張出し方向への振動が防止される。
そして、ブーム起伏シリンダによりブーム4を伏状させ、垂下状態を維持した状態でジブ8の先端部を地上から手の届く位置に配置する。この状態で、ジブ側テンションロッド9A,9Bの軸方向の長さを最も収縮した状態でロックする。ここで、テンションロッド用伸縮継手70A,70Bは、ジブ8の先端部に設けられるため、作業者が地上から手の届く範囲で、ジブ側テンションロッド9A,9Bの軸方向の長さをロックすることが可能となる。また、この状態で、サブフック(図示しない)用のワイヤロープ(図示しない)をジブ8の先端まで引き出し、ワイヤロープの先端に掛ける。
そして、使用時での適切な位置までブーム4を再び起状し、ジブ起伏シリンダ53によりジブ8を伸長する。これにより、ジブ8が張出し方向の前方に振上げられる。
ジブ8を格納する際には、上述の作業と逆の手順で作業を行う。すなわち、ジブ8を格納する際は、ジブ起伏シリンダ53によりジブ8を収縮する。これにより、垂下状態までジブ8が振り戻される。そして、垂下状態で、ジブ側テンションロッド9A,9Bの軸方向の長さのロックを解除する作業等が行われる。そして、作業環境に応じた適切な位置(例えば、ジブ8が車体1Aと干渉しない状態)までブーム4を起状し、ジブ8を垂下状態から下抱き状態に引寄せる。垂下状態から下抱き状態までのジブ8の引寄せは、ブーム4を最も起状した最起状状態、又は、最起状状態からブーム4を僅かに伏状した状態等、作業環境に応じて様々なブーム4の起伏状態で行われる。そして、ジブ8を伸長して、ジブホルダ15とホルダ用ブラケット57との間、及び、ジブ支持用ブラケット16とブラケット連結手段58との間を連結する。これにより、支持部32A,32B以外の部分でジブ8とブーム4との間が連結される。図17は、ジブ8の引寄せ作業、及び、ジブホルダ15とホルダ用ブラケット57との間及びジブ支持用ブラケット16とブラケット連結手段58との間を連結する作業を示す図である。
図17に示すように、ジブ8を垂下状態から引寄せる際には、ブーム4を作業環境に応じた起伏状態まで起状した後、ブーム起伏状態検出部72によりブーム4の起伏状態を検出する(ステップS111)。そして、リンク移動制御部77が、ブーム起伏状態検出部72の検出結果に基づいて、リンク駆動シリンダ22を伸長する。すなわち、ブーム4の起伏状態に基づいて、リンク駆動シリンダ22を伸長する(ステップS112)。リンク駆動シリンダ22を伸長することにより、リンク21が第2の移動方向(図10の矢印B2の方向)に移動する(ステップS113)。リンク21の第2の移動方向への移動により、ジブ8のローラ部材51がリンク21と干渉した状態となり、リンク21の係止部21aでローラ部材51が係止される。ローラ部材51がリンク21の係止部21aで係止された状態でリンク駆動シリンダ22を伸長し(ステップS112)、リンク21を第2の移動方向へさらに移動させる(ステップS113)。これにより、ジブ8が下抱き状態まで引寄せられる(ステップS114)。
ジブ8が下抱き状態まで引寄せられた際には、引寄せ完了検出部71により、ジブ8の引寄せが完了した状態が検出される(ステップS115−Yes)。そして、次のステップに進む。引寄せ完了部71により、ジブ8の引寄せが完了した状態が検出されない場合は(ステップS115−No)、スッテップS111〜ステップS114がジブ8の引寄せが完了するまで行われる。
以上のように、リンク21が第2の移動方向に移動することにより、ジブ8が垂下状態から下抱き状態まで引寄せられる。これにより、ワイヤロープを張る作業等を行うことなく、遠隔操作によりジブ8を引寄せることが可能となる。また、リンク21は、最起立状態と最起立状態から伏状した所定の起伏状態の間のブーム4の起伏状態に対応して、ローラ部材51と干渉する位置まで第2の方向に移動し、係止部21aによりローラ部材51を係止する。このため、ブーム4の起伏状態に対応して、ジブ8の引寄せを行うことが可能となる。
また、ローラ部材51のジブ8の幅方向の寸法t1は、リンク21の係止部21aのジブ8の幅方向の寸法t2より大きくなっている。垂下状態では、ジブ8はジブ8の幅方向に揺動し易い。ローラ部材51のジブ8の幅方向の寸法t1をリンク21の係止部21aのジブ8の幅方向の寸法t2より大きくすることにより、ジブ8が揺動した状態でも、ローラ部材51がリンク21の係止部21aにより確実に係止される。また、リンク21の係止部21aでローラ部材51が係止された状態で、リンク21を第2の移動方向に移動させることにより、ローラ部材51がリンク21のブーム4側に引寄せられる。このため、リンク21の係止部21aでのローラ部材51の係止が解除され難くなっている。以上のように、ジブ張出し装置2では、垂下状態からジブ8の引寄せを確実に行うことが可能となっている。
また、リンク21は、リンク駆動シリンダ22を伸長することにより、第2の移動方向に移動する。すなわち、ジブ8の引寄せは、リンク駆動シリンダ22を伸長することにより行われる。リンク駆動シリンダ22は、通常のシリンダと同様に、伸長時の推力が収縮時の推力より大きい。このため、リンク駆動シリンダ22の伸長によりジブ8を引寄せることにより、リンク駆動シリンダ22の直径を小さくすることが可能となる。また、リンク比を適宜に選択することにより、ストロークを短くすることが可能となる。したがって、リンク駆動シリンダ22が小型化される。
また、リンク駆動シリンダ22の伸縮によりリンク21が第1の移動方向及び第2の移動方向に移動する構成であればよい。このような構成にすることにより、リンク駆動シリンダ22をブーム4の高さ方向に沿って取り付ける必要はない。すなわち、リンク駆動シリンダ22をブーム4に対して任意の角度で取り付けることが可能となる。例えば、ブーム4の高さ方向の小さい車両形クレーン1では、リンク駆動シリンダ22をブーム4に対して斜めに取り付ける。これにより、リンク駆動シリンダ22の寸法により車両形クレーン1の車高が高くなることが、防止される。
さらに、下抱き状態でジブ8は、運転室5との干渉を防止するため、ブーム4に対して運転室5と反対側に傾いて延設されている。ジブ張出し装置2では、ブーム4の運転室5側の側面に、ジブ引寄せ手段20を構成するリンク21及びリンク駆動シリンダ22が設けえられている。また、ジブ8の運転室5側の側面にローラ部材51が設けられている。このような構成にすることにより、垂下状態から下抱き状態にジブ8を引寄せる際に、リンク引寄せ手段20により、ブーム4に対して運転室5と反対側に傾斜する状態へのジブ8の案内を補助することが可能となる。
図17に示すように、ジブ8の引寄せ作業が完了すると(ステップS115−Yes)、ジブホルダ15とホルダ用ブラケット57との間及びジブ支持用ブラケット16とブラケット連結手段58との間を連結する。この際、まずジブ伸縮制御部78により又は手動操作により、ジブ起伏シリンダ53を駆動し、ジブ8を伸長する(ステップS116)。
ジブホルダ15とホルダ用ブラケット57との間及びジブ支持用ブラケット16とブラケット連結手段58との間の連結が完了した状態では、ジブ支持用ブラケット16がブラケット連結手段58により押圧される。さらに、支持部32A,32Bを介して、ブームヘッド12が押圧される。これにより、ブーム4が長手方向に伸長する。この際、ブーム4の伸長をブーム伸長検出部73が検出する(ステップS117)。そして、ジブ伸縮制御部78により、検出されたブーム4の伸長量が閾値以上か判断する(ステップS118)。ブーム4の伸長量が閾値より小さい場合は(ステップS118−No)、ジブホルダ15とホルダ用ブラケット57との間及びジブ支持用ブラケット16とブラケット連結手段58との間の連結が完了していないと判断し、ステップS116、ステップS117を繰り返す。ブーム4の伸長量が閾値以上の場合は(ステップS118−Yes)、ジブホルダ15とホルダ用ブラケット57との間及びジブ支持用ブラケット16とブラケット連結手段58との間の連結が完了したと判断し、ジブ8の伸長を停止する(ステップS119)。
そして、ブーム4を水平方向に延設される状態まで伏状する。そして、ジブ8の基端部のブーム4の支持部32A,32Bとの連結を解除する。また、ブーム側テンションロッド7A,7Bからジブ側テンションロッド9A,9Bを取り外し、ジブ8を収縮する。そして、ジブ8を下抱き状態から横抱き状態へ移動し、ジブ8を格納する。ジブ8を下抱き状態から横抱き状態へ移動する際、ジブ8はジブ起伏シリンダ53によりリンク21と干渉しない位置まで、収縮されている。
そこで、上記構成のジブ張出し装置2では、以下の効果を奏する。すなわち、ジブ張出し装置2では、リンク21の第1の移動方向への移動が制御されることにより、ジブ8が適切な回動速度で垂下状態まで回動を行う。これにより、ウィンチからワイヤロープを引張り出す作業、ワイヤロープを張る作業等を行うことなく、遠隔操作により自重モーメントの支持及びジブ8の回動速度の制御を行うことができる。また、ローラ部材51は、ブーム4とジブ8との支持部32A,32B以外の部分での連結が解除された際に、最起立状態と最起立状態から伏状した所定の起伏状態の間のブーム4の起伏状態に対応して、リンク21の係止部21aにより係止されている。このため、ブーム4の起伏状態に対応して、自重モーメントの支持及びジブ8の回動速度の制御を行うことができる。
また、ジブ張出し装置2では、リンク21が第2の移動方向に移動することにより、ジブ8が垂下状態から下抱き状態まで引寄せられる。これにより、ワイヤロープを張る作業等を行うことなく、遠隔操作によりジブ8を引寄せることができる。また、リンク21は、最起立状態と最起立状態から伏状した所定の起伏状態の間のブーム4の起伏状態に対応して、ローラ部材51と干渉する位置まで第2の方向に移動し、係止部21aによりローラ部材51を係止する。このため、ブーム4の起伏状態に対応して、ジブ8の引寄せを行うことができる。
また、ジブ張出し装置2では、ローラ部材51のジブ8の幅方向の寸法t1は、リンク21の係止部21aのジブ8の幅方向の寸法t2より大きくなっている。垂下状態では、ジブ8はジブ8の幅方向に揺動し易い。ローラ部材51のジブ8の幅方向の寸法t1をリンク21の係止部21aのジブ8の幅方向の寸法t2より大きくすることにより、ジブ8が揺動した状態でも、ローラ部材51がリンク21の係止部21aにより確実に係止される。また、リンク21の係止部21aでローラ部材51が係止された状態で、リンク21を第2の移動方向に移動させることにより、ローラ部材51がリンク21のブーム4側に引寄せられる。このため、リンク21の係止部21aでのローラ部材51の係止が解除され難くなっている。以上のように、ジブ張出し装置2では、垂下状態からジブ8の引寄せを確実に行うことができる。
また、ジブ張出し装置2では、リンク駆動シリンダ22を伸長することにより、リンク21が第2の移動方向に移動する。すなわち、ジブ8の引寄せは、リンク駆動シリンダ22を伸長することにより行われる。リンク駆動シリンダ22は、通常のシリンダと同様に、伸長時の推力が収縮時の推力より大きい。このため、リンク駆動シリンダ22の伸長によりジブ8を引寄せることにより、リンク駆動シリンダ22の直径を小さくすることができる。また、リンク比を適宜に選択することにより、ストロークを短くすることができる。したがって、リンク駆動シリンダ22を小型化することができる。
また、ジブ張出し装置2では、リンク駆動シリンダ22の伸縮によりリンク21が第1の移動方向及び第2の移動方向に移動する構成であればよい。このような構成にすることにより、リンク駆動シリンダ22をブーム4の高さ方向に沿って取り付ける必要はない。すなわち、リンク駆動シリンダ22をブーム4に対して任意の角度で取り付けることが可能となる。例えば、ブーム4の高さ方向の小さい車両形クレーン1では、リンク駆動シリンダ22をブーム4に対して斜めに取り付ける。これにより、リンク駆動シリンダ22の寸法により車両形クレーン1の車高が高くなることを、防止することができる。
また、ジブ張出し装置2では、下抱き状態でブーム8は、運転室5との干渉を防止するため、ブーム4に対して運転室5と反対側に傾いて延設されている。ジブ張出し装置2では、ブーム4の運転室5側の側面にジブ引寄せ手段20を構成するリンク21及びリンク駆動シリンダ22が設けられている。また、ジブ8の運転室5側の側面にローラ部材51が設けられている。このような構成にすることにより、垂下状態から下抱き状態にジブ8を引寄せる際に、リンク引寄せ手段20により、ブーム4に対して運転室5と反対側に傾斜する状態へのジブの案内を補助することができる。
また、ジブ張出し装置2では、ジブ8の基端部がブームヘッド12と干渉しない位置に配置された状態で、ジブ8が格納状態から下抱き状態へ移動する。すなわち、ジブ8の基端がブームヘッド12のシーブシャフト31の支持部32A,32Bよりブーム4の基端側に配置される状態で、ジブ8が格納状態から下抱き状態へ移動する。そして、ジブ8を伸長することによりジブ8をブームヘッド12の支持部32A,32Bに連結する。ジブ張出し装置2では、ジブ8を格納状態から下抱き状態に移動する際に、ジブ8のブームヘッド12との干渉を防止するために、ブーム4を伸長させる必要はない。このため、ブームヘッド12の位置が変化せず、ブームヘッド12のシーブユニット26にワイヤロープWを介して支持されるメインフック10の位置も変化しない。したがって、ジブ8を下抱き状態から張出す前に、メインフック10をジブ8と干渉しない位置に配置する作業が不要となる。すなわち、ジブ8の格納状態から下抱き状態への移動の前に、メインフック10を張出し時にジブ8と干渉しない位置に配置することにより、以後メインフック10を再配置する必要がなくなる。また、ジブ8の移動時にブーム4が伸長されないため、ブーム4を伸長する空間を確保する必要もなくなる。これにより、ジブ8の格納状態から下抱き状態への移動作業、及び、ジブ8の下抱き状態からの張出し作業の作業性を向上させることができる。
さらに、ジブ張出し装置2では、ジブ移動手段であるジブホルダ駆動シリンダ18の駆動により、横抱き状態と下抱き状態との間でジブ8が移動する。ジブ8の横抱き状態と下抱き状態との間での移動の際、ジブ8はジブ起伏シリンダ53によりリンク21と干渉しない位置まで、収縮されている。ジブ8を収縮させることにより、横抱き状態と下抱き状態との間でジブ8を移動する作業の作業性を向上させることができる。
(変形例)
上述の実施形態では、ジブ起伏シリンダ53によりジブ8を伸縮することにより、ジブホルダ15とホルダ用ブラケット57との間、及び、ジブ支持用ブラケット16とブラケット連結手段58との間の連結及び連結の解除を行っているが、これに限るものではない。すなわち、下抱き状態においてジブ8とブーム4との間を支持部32A,32B以外の部分で連結して、ジブ8を保持する保持手段を備えればよい。そして、ジブ8又はブーム4の長手方向への相対的な伸縮によりジブ8とブーム4との間の支持部32A,32B以外の部分での連結を解除する構成であればよい。例えば、ブーム4を伸長することにより、ジブホルダ15とホルダ用ブラケット57との間、及び、ジブ支持用ブラケット16とブラケット連結手段58との間の連結の解除を行ってもよい。
また、ジブ8とブーム4との間を支持部32A,32B以外の部分での連結及び連結の解除は、ジブ8又はブーム4の長手方向への相対的な伸縮により行う構成に限るものではない。例えば、ジブ8とブーム4との間を支持部32A,32B以外の部分で、連結ピンを介して、連結してもよい。この場合、解放レバー(図示しない)での操作により連結ピンが抜かれ、ジブ8とブーム4との間の支持部32A,32B以外の部分での連結が解除される。
また、上述の実施形態では、支持部32A,32Bでのジブ8の連結が解除された状態で、横抱き状態と下抱き状態との間でジブ8を移動するジブ移動手段としてジブホルダ駆動シリンダ18が設けられているが、ジブ移動手段を備えなくてもよい。すなわち、本発明は、下抱き状態が格納状態である車両形クレーン1にも適用可能である。
また、上述の実施形態では、ジブ引寄せ手段20は、リンク21、リンク駆動シリンダ22及びローラ部材51から構成されているが、これに限るものではない。すなわち、ジブ引寄せ手段20は、ブーム4にブーム4に対して第1の移動方向及び第1の移動方向と反対方向の第2の移動方向に移動可能に設けられ、係止部を備える引寄せ部材と、ジブ8に設けられ、下抱き状態でブーム4とジブ8との支持部32A,32B以外の部分での連結が解除された際に、最起立状態と最起立状態から伏状した所定の起伏状態の間のブーム4の起伏状態に対応して、引寄せ部材の係止部により係止される被係止部材と、被係止部材が係止された状態から引寄せ部材を第1の移動方向に移動させることにより、引寄せ部材の係止部による被係止部材の係止を解除し、ジブ8を下抱き状態から垂下状態へ回動速度を制御した状態で回動させ、かつ、ジブ8の垂下状態から引寄せ部材を第2の移動方向に移動させることにより、引寄せ部材の係止部で被係止部材を係止し、ジブ8を下抱き状態へ回動させる駆動部材とを備えればよい。
また、上述の実施形態では、ブーム4に引寄せ部材であるリンク21が設けられ、ジブ8に被係止部材であるローラ部材51が設けられているが、これに限るものではない。すなわち、ブーム4及びジブ8の一方に引寄せ部材であるリンク21が設けられ、ブーム4及びジブ8の他方に被係止部材であるローラ部材51が設けられていればよい。
また、上述の実施形態では、ジブ8を横抱き状態から下抱き状態へ移動する際、ジブ起伏シリンダ53によりジブ8がリンク21と干渉しない位置まで収縮される構成であるが、これに限るものではない。例えば、リンク21がリンク駆動シリンダ22の収縮によりジブ8及びローラ部材51と干渉しない位置まで、第1の移動方向(図10の矢印B1の方向)に移動されてもよい。この場合、駆動部材であるリンク駆動シリンダ22は、ジブ移動手段であるジブホルダ駆動シリンダ18によるジブ8の移動の際に、引寄せ部材であるリンク21をジブ8と干渉しない状態に第1の移動方向へ退避させる退避駆動部を備える。
さらに、上述の実施形態では、リンク駆動シリンダ22を伸長することにより、リンク21が第2の移動方向に移動させ、ジブ8の引寄せを行っているが、リンク駆動シリンダ22の収縮により、ジブ8の引寄せを行ってもよい。ただし、リンク駆動シリンダ22は、通常のシリンダと同様に、伸長時の推力が収縮時の推力より大きいため、この場合、リンク駆動シリンダ22の径を大きくする必要がある。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形ができることは勿論である。