JP5530585B2 - 電歪型アクチュエータ用誘電体エラストマー膜の製造方法 - Google Patents

電歪型アクチュエータ用誘電体エラストマー膜の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5530585B2
JP5530585B2 JP2007020636A JP2007020636A JP5530585B2 JP 5530585 B2 JP5530585 B2 JP 5530585B2 JP 2007020636 A JP2007020636 A JP 2007020636A JP 2007020636 A JP2007020636 A JP 2007020636A JP 5530585 B2 JP5530585 B2 JP 5530585B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dielectric elastomer
film
stretched
elastomer film
dielectric
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007020636A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008187079A (ja
Inventor
正 石黒
弘昭 伊藤
和信 橋本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP2007020636A priority Critical patent/JP5530585B2/ja
Publication of JP2008187079A publication Critical patent/JP2008187079A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5530585B2 publication Critical patent/JP5530585B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、電歪型アクチュエータに用いられる誘電体エラストマー膜、およびその製造方法に関する。
産業用、介護用等のロボット、医療機器、マイクロマシン等の分野では、柔軟性が高く、小型で軽量なアクチュエータの必要性が高まっている。このようなアクチュエータ材料として、例えば、導電性高分子、イオン導電性高分子(ICPF)、誘電体エラストマー等の種々のポリマーが提案されている。なかでも、誘電体エラストマーを用いた電歪型アクチュエータは、比較的変位量が大きく、低コストで作製できるため有用である。例えば、特許文献1、2には、誘電体エラストマー膜を一対の電極で狭持した電歪型アクチュエータが紹介されている。
特表2003−505865号公報 特表2003−506858号公報
電歪型アクチュエータでは、電極間への印加電圧を大きくすると、電極間の静電引力が大きくなる。このため、電極間に挟まれた誘電体エラストマー膜は膜厚方向から圧縮され、誘電体エラストマー膜の膜厚は薄くなる。膜厚が薄くなると、その分、誘電体エラストマー膜は、電極面に対して平行方向に伸張する。また、電極間への印加電圧を小さくすると、電極間の静電引力が小さくなる。このため、誘電体エラストマー膜に対する膜厚方向からの圧縮力が小さくなり、誘電体エラストマー膜の弾性復元力により膜厚は厚くなる。膜厚が厚くなると、その分、誘電体エラストマー膜は、電極面に対して平行方向に収縮する。
ここで、電歪型アクチュエータの変位量を大きくするには、作動前の印加電圧と作動後の印加電圧との電圧差を大きくする、すなわち、誘電体エラストマー膜に、より大きな電圧を印加することが必要になる。しかしながら、印加できる電圧の上限値は、誘電体エラストマー膜の絶縁破壊強度により制限される。
この点、上記特許文献1、2には、加硫後の誘電体エラストマー膜を延伸することにより、該誘電体エラストマー膜の絶縁破壊強度を向上させることができる旨記載されている。例えば、加硫後の誘電体エラストマー膜を延伸加工し、その状態を保持したまま電歪型アクチュエータを構成する。こうすると、誘電体エラストマー膜の絶縁破壊強度が向上し、その分だけ大きな電圧を印加することができる。その結果、電歪型アクチュエータの変位量を大きくすることができる。
ここで、絶縁破壊強度を向上させるためには、できるだけ誘電体エラストマー膜の延伸率を大きくする必要がある。しかしながら、誘電体エラストマー膜の延伸率を大きくすると、クリープしやすくなる。また、誘電体エラストマー膜が劣化しやすく、疲労破壊を招きやすい。さらに、大きく延伸した状態で、誘電体エラストマー膜を電歪型アクチュエータに組み付けることは難しい。このため、電歪型アクチュエータの作製作業が煩雑になる。
本発明は、このような実情に鑑みて完成されたものである。したがって、本発明は、低延伸率でも絶縁破壊強度が高く、電歪型アクチュエータを構成した場合にクリープや劣化等の少ない誘電体エラストマー膜を提供することを課題とする。また、そのような誘電体エラストマー膜を簡便に製造することのできる方法を提供することを課題とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明の電歪型アクチュエータ用誘電体エラストマー膜は、複数の電極間に介装され、複数の該電極間に印加される電圧の変化により伸縮する電歪型アクチュエータ用誘電体エラストマー膜であって、未加硫の誘電体エラストマー材料を延伸した延伸膜を、延伸状態を保持したまま加硫して製造されたことを特徴とする。
本発明の電歪型アクチュエータ用誘電体エラストマー膜(以下適宜、単に「誘電体エラストマー膜」と称す。)は、加硫する前に延伸加工して製造されたものである。このため、本発明の誘電体エラストマー膜は、使用時に大きく延伸しなくても(延伸率が小さくても)、絶縁破壊強度が高い。換言すれば、本発明の誘電体エラストマー膜によると、加硫後に延伸していた従来の誘電体エラストマー膜よりも低延伸率で、大きな絶縁破壊強度が得られる。したがって、より大きな電圧を印加することができ、電歪型アクチュエータの変位量を大きくすることができる。この理由は、次のように考えられる。すなわち、誘電体エラストマー材料を未加硫の状態で延伸すると、ポリマー鎖が引き伸ばされ、配向する。この状態を保持したまま加硫することにより、ポリマー分子の配向状態が保持、記憶されて、絶縁破壊強度が向上する。
このように、本発明の誘電体エラストマー膜は、低延伸率で使用することができるため、クリープしにくい。また、劣化しにくいため、疲労破壊も抑制される。さらに、従来よりも低延伸率で使用できるため、電歪型アクチュエータへの組み付け作業が容易である。
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記誘電体エラストマー材料は、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムから選ばれる一種以上である構成とするとよい。
本構成におけるアクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、およびウレタンゴムは、いずれも誘電性、絶縁破壊性が比較的高い。このため、これらの一種以上から製造される誘電体エラストマー膜は、より絶縁破壊強度が高くなる。したがって、本構成によると、製造された本発明の誘電体エラストマー膜に、より大きな電圧を印加することができる。その結果、電歪型アクチュエータの変位量をより大きくすることができる。
(3)また、本発明の電歪型アクチュエータ用誘電体エラストマー膜の製造方法は、複数の電極間に介装され、複数の該電極間に印加する電圧を変化させることにより伸縮する電歪型アクチュエータ用誘電体エラストマー膜の製造方法であって、未加硫の誘電体エラストマー材料を延伸して延伸膜とする延伸工程と、延伸状態を保持したまま前記延伸膜を加硫する加硫工程と、を有することを特徴とする。
本発明の誘電体エラストマー膜の製造方法によると、予め延伸工程にて、未加硫の誘電体エラストマー材料を延伸して延伸膜とした後、加硫工程にて、その延伸膜を加硫する。これにより、低延伸率で使用しても絶縁破壊強度が高い上記本発明の誘電体エラストマー膜を、簡便に製造することができる。
(4)好ましくは、上記(3)の構成において、前記延伸工程は、前記延伸膜の少なくとも一方の表面を拘束して該延伸膜の延伸状態を保持する拘束工程を有する構成とするとよい。
未加硫の誘電体エラストマー材料は、延伸後に自然状態に置かれると、ポリマー鎖が元の状態に戻ろうとして収縮してしまう。本構成によると、拘束工程にて、延伸膜の少なくとも一方の表面が拘束される。これにより、ポリマー鎖の復元力が規制され、延伸膜の延伸状態を保持することができる。したがって、本構成によると、延伸膜の延伸状態の保持を、確実かつ容易に行うことができる。
(5)好ましくは、上記(3)または(4)の構成において、前記延伸工程は、カレンダー加工により行われる構成とするとよい。カレンダー加工によると、一対のロール間に未加硫の誘電体エラストマー材料を供給するだけで、容易に延伸加工を行うことができる。また、延伸加工を連続して行うことができるため、生産性が高い。
(6)好ましくは、上記(4)または(5)の構成において、前記拘束工程は、前記延伸膜の少なくとも一方の表面に拘束板を貼着して該延伸膜の延伸状態を保持する構成とするとよい。
延伸膜の一面あるいは両面に拘束板を貼着すると、延伸膜において、拘束板の貼着面おける変形が規制される。これにより、ポリマー鎖の復元力が規制され、延伸膜の延伸状態を保持することができる。本構成によると、延伸膜の一面あるいは両面に拘束板を貼着するだけで、容易に延伸膜の延伸状態を保持することができる。
(7)好ましくは、上記(3)ないし(6)のいずれかの構成において、前記誘電体エラストマー材料は、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムから選ばれる一種以上である構成とするとよい。本構成によると、上記(2)と同様、製造される誘電体エラストマー膜の誘電性、絶縁破壊性がより高くなり好適である。
以下、本発明の誘電体エラストマー膜および本発明の誘電体エラストマー膜の製造方法について、それぞれ詳細に説明する。
〈誘電体エラストマー膜〉
本発明の誘電体エラストマー膜は、未加硫の誘電体エラストマー材料を延伸した延伸膜を、延伸状態を保持したまま加硫して製造される。ここで、誘電体エラストマー材料は、電極間の静電引力に応じて変形するものであれば、その種類が特に限定されるものではない。なかでも、誘電性、絶縁破壊性が比較的高いものが望ましく、例えば、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等から選択することが望ましい。また、誘電体エラストマー材料は、ポリマー以外に充填剤、加工助剤、老化防止剤等の添加剤を含んでいてもよい。本発明の誘電体エラストマー膜の製造方法については、後述する。
本発明の誘電体エラストマー膜は、電歪型アクチュエータに用いられる。よって、本発明の誘電体エラストマー膜の厚さは、電歪型アクチュエータの用途等に応じて適宜決定すればよい。例えば、電歪型アクチュエータの小型化、低電位駆動化、および変位量を大きくする等の観点からは、誘電体エラストマー膜の厚さは薄い方が望ましい。この場合、絶縁破壊性等をも考慮して、本発明の誘電体エラストマーの厚さを、1μm以上500μm以下とすることが望ましい。より好適な範囲は、5μm以上200μm以下である。
〈誘電体エラストマー膜の製造方法〉
以下、本発明の誘電体エラストマー膜の製造方法を図面を用いて説明する。図1に、本発明の一実施形態として、誘電体エラストマー膜の製造工程における延伸工程の模式図を示す。図1に示すように、カレンダー加工装置1は、ロール2a〜2gを備えている。
まず、カレンダー加工装置1の構成について説明する。一対のロール2a、2bは、左右に対向して、かつ近接して配置されている。一対のロール2a、2b間にはクリアランスAが区画されている。未加硫の誘電体エラストマー材料M(アクリルゴム)は、クリアランスAの上方から供給される。ロール2cは、ロール2aの下方に、近接して配置されている。ロール2aとロール2cとの間には、クリアランスBが区画されている。ロール2dは、ロール2cの下方に、近接して配置されている。ロール2cとロール2dとの間には、クリアランスCが区画されている。ロール2dの左方には、所定間隔だけ離間して、ロール2fが配置されている。ロール2fには、予め、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の拘束薄膜F1が巻装されている。拘束薄膜F1は、本発明の拘束板に含まれる。ロール2dの右方には、所定間隔だけ離間して、ロール2eが配置されている。ロール2eが最終段のロールとなる。ロール2eの右方には、所定間隔だけ離間して、ロール2gが配置されている。ロール2gには、予め、PET製の離型薄膜F2が巻装されている。離型薄膜F2は、本発明の拘束板に含まれる。
次に、延伸工程について説明する。延伸工程においては、未加硫の誘電体エラストマー材料Mを延伸して延伸膜F0を作製する。ならびに、当該延伸膜F0の延伸状態を保持したまま、延伸膜F0を最終段のロール2eに巻き取り収納する。すなわち、本実施形態の誘電体エラストマー膜の製造方法における延伸工程は、拘束工程を有している。
未加硫の誘電体エラストマー材料Mは、一対のロール2a、2bの上方から供給される。誘電体エラストマー材料Mは、まずクリアランスAを、次いでクリアランスBを、順番に通過する。クリアランスA、Bを通過することにより、誘電体エラストマー材料Mの膜厚(つまり延伸工程通過後の延伸膜F0の膜厚)が調整される。クリアランスBを通過した誘電体エラストマー材料Mは、ロール2cの外周面に沿って、ロール2cの回転と共に移動する。この際、誘電体エラストマー材料Mにおける、ロール2c外径側部分(クリアランスCにおいては下面側)には、ロール2c内径側部分(クリアランスCにおいては上面側)と比較して、径差に基づく延伸力(周方向張力)が加わる。当該延伸力が加わった状態のまま、誘電体エラストマー材料Mは、クリアランスCを通過する。
一方、クリアランスCには、ロール2fから、拘束薄膜F1も供給される。したがって、クリアランスCにおいて、延伸状態の誘電体エラストマー材料Mと、拘束薄膜F1と、が合流する。そして、拘束薄膜F1が、当該延伸状態の誘電体エラストマー材料Mの下面に、貼着する。この状態のまま誘電体エラストマー材料Mおよび拘束薄膜F1は、右方に移動する。そして、ロール2eに巻き取られる。この際、誘電体エラストマー材料Mおよび拘束薄膜F1は、ロール2eの外周面に沿って、ロール2eの回転と共に移動する。誘電体エラストマー材料Mにおける、ロール2e外径側部分(クリアランスCにおいては上面側)には、ロール2e内径側部分(クリアランスCにおいては下面側)と比較して、径差に基づく延伸力(周方向張力)が加わる。一方、ロール2eには、ロール2gから、離型薄膜F2も供給される。したがって、ロール2eにおいて、延伸状態の誘電体エラストマー材料Mと、離型薄膜F2と、が合流する。そして、離型薄膜F2が、当該延伸状態の誘電体エラストマー材料Mの上面(クリアランスCにおける上面)に、貼着する。このように、延伸工程により、両面の延伸状態が拘束薄膜F1、離型薄膜F2により各々保持された延伸膜F0が作製される。
次に、加硫工程について説明する。加硫工程においては、ロール2eに巻き取られた延伸膜F0が、拘束薄膜F1、離型薄膜F2が貼着された状態のまま、加硫装置(エア釜)に収容される。そして、温度140℃、圧力約4.4×10Pa 、加熱時間220分という条件下で、加硫処理が行われる。以上の工程を経て、本実施形態の誘電体エラストマ−膜が完成する。なお、完成後の誘電体エラストマー膜の膜厚は約200μmである。
次に、本実施形態の誘電体エラストマー膜の製造方法の作用効果について説明する。本実施形態によると、カレンダー加工装置1により、容易に延伸加工を行うことができる。また、延伸加工を連続して行えるため、生産性が高い。また、製造された誘電体エラストマー膜は、使用時に大きく延伸しなくても(延伸率が小さくても)、絶縁破壊強度が高い。したがって、より大きな電圧を印加することができ、電歪型アクチュエータの変位量を大きくすることができる。さらに、製造された誘電体エラストマー膜は、低延伸率で使用することができるため、クリープしにくい。また、劣化しにくいため、疲労破壊も抑制される。さらに、従来よりも低延伸率で使用できるため、電歪型アクチュエータへの組み付け作業が容易である。
また、本実施形態によると、拘束工程にて、延伸膜F0の両面に、拘束薄膜F1、離型薄膜F2(拘束板)がそれぞれ貼着される。これにより、延伸膜F0の両面において、ポリマー鎖の復元力が規制されるため、延伸状態を確実かつ容易に保持することができる。なお、加硫後に、拘束薄膜F1、離型薄膜F2は剥離されるが、予め延伸した状態で加硫しているため、剥離後に得られた誘電体エラストマ−膜において、所定の延伸状態を維持することができる。
また、本実施形態によると、延伸膜F0はロール2eに巻き取られ、その状態で次の加硫工程に供される。このため、長尺状の延伸膜F0を、一度に加硫することができる。よって、生産性が高く、品質を均一に維持しやすい。また、延伸工程と加硫工程とを別々の場所で行う場合には、延伸膜F0の運搬が容易である。
以上、本発明の誘電体エラストマー膜の製造方法の一実施形態を説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
例えば、上記実施形態では、延伸工程をカレンダー加工により行った。しかし、延伸方法は、特に限定されるものではない。例えば、押出方法、射出方法、電場や磁場等の外場をかける方法等を採用してもよい。また、カレンダー加工では、誘電体エラストマー材料の加工性や発熱性等を考慮して、ロールを所定の温度に加熱して使用してもよい。例えば、ロールの温度を、常温〜80℃とすると好適である。
また、延伸膜の延伸率(以下、「加硫前延伸率」と称す。誘電体エラストマー膜の使用時における「延伸率」とは異なる。)は、特に限定されるものではない。誘電体エラストマー材料の種類、電歪型アクチュエータに必要な変位量等を考慮して、適宜決定すればよい。例えば、所望の絶縁破壊強度の向上効果を得るためには、加硫前延伸率を10%以上とすることが望ましい。50%以上とするとより好適である。また、誘電体エラストマー膜の劣化等を考慮して、加硫前延伸率を600%以下とすることが望ましい。300%以下とするとより好適である。加硫前延伸率は、次式(1)により算出する。
加硫前延伸率(%)={√(S/S)−1}×100・・・(1)
[S:延伸せずに加硫した誘電体エラストマー膜面積、S:延伸した後に加硫した誘電体エラストマー膜面積]
また、上記実施形態では、延伸膜の両面に、拘束薄膜および離型薄膜(拘束板)を貼着して延伸状態を保持した。しかし、延伸状態の保持方法は、特に限定されるものではない。例えば、延伸膜の一方の面だけに拘束薄膜を貼着してもよい。また、拘束板の材質等も上記実施形態に限定されない。例えば、金属板等を用いてもよい。また、加硫方法も、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、金型プレスにより加硫してもよい。
本発明の誘電体エラストマー膜を用いて、電歪型アクチュエータを構成する場合、例えば、本発明の誘電体エラストマー膜を挟んで一対の電極を配置すればよい。この場合、変位量をより大きくしたい場合には、本発明の誘電体エラストマー膜を面延在方向に延伸した状態で取り付けることにより、同膜の絶縁破壊強度を向上させることが望ましい。また、複数の本発明の誘電体エラストマー膜と、電極と、を交互に積層させた積層構造とすると、より大きな力を発生させることができる。つまり、電歪型アクチュエータの出力が大きくなり、相手側部材をより大きな力で駆動させることができる。
電極の材質は、特に限定されるものではない。例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等の炭素材料からなる導電材と、オイルやエラストマーと、を混合したペーストを塗布した電極を使用することができる。電極は、本発明の誘電体エラストマー膜の伸縮に応じて伸縮可能であることが望ましい。電極が、本発明の誘電体エラストマー膜と共に伸縮すると、本発明の誘電体エラストマー膜の変形が電極により妨げられにくく、所望の変位量を得やすくなる。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
〈引張り特性および絶縁破壊強度〉
まず、上記実施形態の方法により製造された本発明の誘電体エラストマー膜(実施例)について、引張り特性および絶縁破壊強度を測定した。また、比較のため、従来の誘電体エラストマー膜(加硫前延伸なし:比較例)についても同様に、引張り特性および絶縁破壊強度を測定した。ここで、比較例の誘電体エラストマー膜は、アクリルゴムを主成分とする誘電体エラストマー材料を、温度140℃、圧力約2.2×10Pa下で、220分間プレス加硫して製造した(厚さ200μm)。引張り特性の測定は、JIS K6251に準拠して行った(試験片:5号形ダンベル)。また、絶縁破壊強度の測定は、JIS K6911に準拠して行った。結果を表1に示す。
Figure 0005530585
表1に示すように、引張り特性については、実施例と比較例とで、ほとんど差は見られなかった。すなわち、加硫前に延伸して製造した本発明の誘電体エラストマー膜は、従来品と同等の引張り特性を有することがわかる。
一方、絶縁破壊強度については、実施例および比較例の両膜を延伸しない状態で測定したところ、両者の値は同じであった。つまり、延伸せずに使用した場合には、両膜の絶縁破壊強度は同程度であった。しかし、延伸率50%で二軸延伸した状態で、絶縁破壊強度を測定した結果、実施例の方が大きな値となった。つまり、本発明の誘電体エラストマー膜において、絶縁破壊強度が向上していることが確認された。なお、使用時の延伸率は、次式(2)により算出する。
延伸率(%)={√(S/S)−1}×100・・・(2)
[S:延伸前(自然状態)の誘電体エラストマー膜面積、S:二軸方向延伸後の誘電体エラストマー膜面積]
〈応答性〉
次に、実施例および比較例の誘電体エラストマー膜を使用して、電歪型アクチュエータの応答性を評価した。まず、実験装置および実験方法について説明する。
実施例および比較例の各膜の上下面に、導電性カーボンとオイルとを混合した導電性ペースト製の電極を各々貼着して電歪型アクチュエータ(実施例中、単に「アクチュエータ」と称す)を構成した。図2に、製造したアクチュエータの上面図を示す。図3に、図2中III−III断面図を示す。
図2、図3に示すように、アクチュエータ3は、誘電体エラストマー膜30と一対の電極31a、31bとを備えている。誘電体エラストマー膜30は、直径70mmの円形の薄膜状を呈している。誘電体エラストマー膜30は、延伸率50%で全方向に伸張させた状態で配置されている。一対の電極31a、31bは、誘電体エラストマー膜30を挟んで上下方向に対向するよう配置されている。電極31a、31bは、直径約27mmの円形の薄膜状を呈しており、各々、誘電体エラストマー膜30と略同心円状に配置されている。電極31aの外周縁には、拡径方向に突出する端子部310aが形成されている。端子部310aは矩形板状を呈している。同様に、電極31bの外周縁には、拡径方向に突出する端子部310bが形成されている。端子部310bは矩形板状を呈している。端子部310bは、端子部310aに対して、180°対向する位置に配置されている。端子部310a、310bは、各々、導線を介して電源4に接続されている。
電極31a、31b間に電圧が印加されると、電極31a、31b間に静電引力が生じて、誘電体エラストマー膜30を圧縮する。これにより、誘電体エラストマー膜30の厚さは薄くなり、拡径方向に伸張する。この時、電極31a、31bも、誘電体エラストマー膜30と一体となって拡径方向に伸張する。電極31aには、予め、マーカー50が取り付けられている。マーカー50の変位を、変位計5により測定し、アクチュエータ3の変位量とした。なお、比較例の誘電体エラストマー膜については、延伸率100%、200%で伸張させて配置した状態についても、同様に変位量を測定した。
次に、実験結果について説明する。図4に、実施例および比較例の各アクチュエータの印加電圧に対する変位率を示す。ここで、縦軸の変位率は、次式(3)により算出した値である。
変位率(%)=(変位量/電極の半径)×100・・・(3)
図4中、実施例および比較例1は、いずれも延伸率50%で配置した場合の結果を示す。また、比較例2は、延伸率100%で配置した場合の結果を、比較例3は、延伸率200%で配置した場合の結果を、それぞれ示す。
図4のグラフに示すように、実施例のアクチュエータによると、誘電体エラストマー膜の延伸率が50%と小さいにも関わらず、印加電圧を50V/μm以上に大きくすることができた。これに伴い、実施例のアクチュエータの変位率も大きくなった。つまり、実施例のアクチュエータでは、誘電体エラストマー膜の絶縁破壊強度が大きいため、低延伸率であっても印加電圧を大きくすることができた。
これに対して、比較例1のアクチュエータでは、印加電圧が20V/μmを超えたところで、誘電体エラストマー膜が破壊した。これは、誘電体エラストマー膜の延伸率が50%と小さいため、絶縁破壊強度が小さいためである。一方、比較例2、比較例3のアクチュエータの結果からわかるように、誘電体エラストマー膜の延伸率を大きくするに従って、印加できる電圧が大きくなった。また、実施例のアクチュエータによると、比較例3のアクチューエータと同程度まで印加電圧を大きくすることができ、同程度の変位率を得ることができた。
以上の結果より、本発明の誘電体エラストマー膜は、使用時に大きく延伸しなくても、絶縁破壊強度が高いことが確認された。また、本発明の誘電体エラストマー膜によると、従来の誘電体エラストマー膜よりも低延伸率で、より大きな電圧を印加することができる。このため、電歪型アクチュエータの変位量を大きくすることができることが確認された。
本発明の誘電体エラストマー膜は、例えば、産業、医療、福祉ロボット用の人工筋肉、電子部品冷却用や医療用等の小型ポンプ、医療用器具等に用いられる電歪型アクチュエータに有用である。また、本発明の誘電体エラストマー膜を用いた電歪型アクチュエータは、モータ等機械式アクチュエータおよび圧電素子アクチュエータ等のすべてのアクチュエータの代替として利用することができる。
本発明の一実施形態である誘電体エラストマー膜の製造工程における延伸工程の模式図である。 応答性評価に使用した電歪型アクチュエータの上面図である。 図2中のIII−III断面図である。 各電歪型アクチュエータの印加電圧に対する変位率を示すグラフである。
符号の説明
1:カレンダー加工装置 2a〜2g:ロール
3:アクチュエータ 30:誘電体エラストマー膜 31a、31b:電極
310a、310b:端子部 4:電源 5:変位計 50:マーカー
A〜C:クリアランス
F0:延伸膜 F1:拘束薄膜 F2:離型薄膜
M:誘電体エラストマー材料

Claims (4)

  1. 複数の電極間に介装され、複数の該電極間に印加する電圧を変化させることにより伸縮する電歪型アクチュエータ用誘電体エラストマー膜の製造方法であって、
    未加硫の誘電体エラストマー材料を延伸して延伸膜とすると共に、該延伸膜の少なくとも一方の表面を拘束して該延伸膜の延伸状態を保持する拘束工程を有する延伸工程と、
    分極処理を施さず、延伸状態を保持したまま該延伸膜を加硫して、延伸により引き伸ばされたポリマー鎖が配向している誘電体エラストマー膜を得る加硫工程と、
    を有する電歪型アクチュエータ用誘電体エラストマー膜の製造方法。
  2. 前記延伸工程は、カレンダー加工により行われる請求項1に記載の電歪型アクチュエータ用誘電体エラストマー膜の製造方法。
  3. 前記拘束工程は、前記延伸膜の少なくとも一方の表面に拘束板を貼着して該延伸膜の延伸状態を保持する請求項1または請求項2に記載の電歪型アクチュエータ用誘電体エラストマー膜の製造方法
  4. 前記誘電体エラストマー材料は、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムから選ばれる一種以上である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電歪型アクチュエータ用誘電体エラストマー膜の製造方法。
JP2007020636A 2007-01-31 2007-01-31 電歪型アクチュエータ用誘電体エラストマー膜の製造方法 Expired - Fee Related JP5530585B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007020636A JP5530585B2 (ja) 2007-01-31 2007-01-31 電歪型アクチュエータ用誘電体エラストマー膜の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007020636A JP5530585B2 (ja) 2007-01-31 2007-01-31 電歪型アクチュエータ用誘電体エラストマー膜の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008187079A JP2008187079A (ja) 2008-08-14
JP5530585B2 true JP5530585B2 (ja) 2014-06-25

Family

ID=39729906

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007020636A Expired - Fee Related JP5530585B2 (ja) 2007-01-31 2007-01-31 電歪型アクチュエータ用誘電体エラストマー膜の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5530585B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5582136B2 (ja) * 2009-03-18 2014-09-03 コニカミノルタ株式会社 有機圧電材料の延伸処理方法、有機圧電材料の製造方法、超音波振動子、超音波探触子および超音波医用画像診断装置
JP5795269B2 (ja) * 2012-01-05 2015-10-14 Imsテクノ株式会社 シートおよびその製造方法
JP5497222B2 (ja) * 2012-09-28 2014-05-21 バンドー化学株式会社 静電容量型センサシート及び静電容量型センサシートの製造方法
CN110573576B (zh) 2017-05-18 2021-09-24 陶氏东丽株式会社 含氟烷基的固化性有机聚硅氧烷组合物、其固化物以及具备该固化物的换能器
WO2020116440A1 (ja) 2018-12-07 2020-06-11 ダウ・東レ株式会社 硬化性オルガノポリシロキサン組成物、その硬化物および当該硬化物を備えたトランスデューサー等

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS53145099A (en) * 1977-05-23 1978-12-16 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> Preparing piezo-electric rubber
JPS6247179A (ja) * 1985-08-27 1987-02-28 Asahi Chem Ind Co Ltd 圧電性フイルムおよびその製造方法
JPS62227709A (ja) * 1986-03-31 1987-10-06 Ngk Spark Plug Co Ltd 電極付ピエゾゴムシ−トの加硫方法
JPH01138411A (ja) * 1987-11-24 1989-05-31 Toray Ind Inc 応答性素子およびその製造方法
DK1751843T3 (da) * 2003-08-29 2012-12-17 Stanford Res Inst Int Forbelastning af elektroaktive polymer

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008187079A (ja) 2008-08-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5186160B2 (ja) 柔軟電極およびそれを用いたアクチュエータ
JP5530585B2 (ja) 電歪型アクチュエータ用誘電体エラストマー膜の製造方法
JP6696885B2 (ja) 圧電センサ
CN110100384B (zh) 致动器及其制造方法
US20180108827A1 (en) Actuator or sensor device based on an electroactive polymer
JP5598730B2 (ja) アクチュエータ素子とその使用
WO2014098017A1 (ja) 導電材料およびそれを用いたトランスデューサ
Yang et al. Disclosed dielectric and electromechanical properties of hydrogenated nitrile–butadiene dielectric elastomer
JP5474331B2 (ja) 誘電膜、およびそれを用いたアクチュエータ、センサ、トランスデューサ
JP5119176B2 (ja) 誘電材料の製造方法およびそれにより製造された誘電膜
JP2008239670A (ja) 電歪型アクチュエータ用アクリルゴム、およびそれを用いた電歪型アクチュエータ
JP5486156B2 (ja) アクチュエータ用誘電膜およびそれを用いたアクチュエータ
JP5464808B2 (ja) 誘電材料およびそれを用いたアクチュエータ
US11433425B2 (en) Actuator, driving member, tactile sense presenting device, and driving device
JP4695226B1 (ja) 駆動性能及び耐久性が改善されたアクチュエータ用電場応答性高分子
JP4383505B1 (ja) 発電効率及び耐久性が改善された電場応答性高分子
JP5002425B2 (ja) アクチュエーターの製造方法
JP6630000B2 (ja) 摩擦制御装置および方法
JP6300865B2 (ja) トランスデューサ用可撓性シート
JP7089979B2 (ja) アクチュエーター
Sahu et al. Pre-strain in Dielectric Elastomer Actuator; Challenges Towards Structure–Property Relationship
JP5988718B2 (ja) トランスデューサ用可撓性シート及びトランスデューサ用可撓性シートの製造方法。
JP5337651B2 (ja) 誘電膜およびそれを用いたトランスデューサ
US20210178732A1 (en) Electroactive polymers, methods of manufacture, and structures formed thereof
JP2008199784A (ja) 人工筋肉

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090921

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120821

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120823

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121012

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130507

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130625

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140128

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140325

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140415

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140421

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5530585

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees