JP5529594B2 - バルブコッター嵌込方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンのシリンダヘッドにおけるバルブステムにリテーナを固定するために、リテーナの中心孔とバルブステムとで形成される隙間にバルブコッターを嵌め込むバルブコッター嵌込方法に関する。
バルブコッターを、バルブステムとリテーナの中心孔とで形成される隙間に嵌め込む際に、前記隙間にバルブコッターが正しく嵌らない場合がある。そのため、従来では、嵌め込まれたバルブコッターの装着状態を検査する必要があった。
特許文献1には、各バルブコッターに当接して上下変動する複数の測定子を設け、該測定子の上下位置を測定することで、バルブコッターの検査を行う技術思想が記載されている。これにより、バルブコッターの嵌め込み装置でバルブコッターの嵌め込みと、バルブコッターの装着状態の検査を行うことができるので、コストが低廉になる。
特開2002−86321号公報
しかしながら、上記特許文献1の技術思想では、バルブコッターの装着状態を検査するのみであって、バルブコッターの嵌め込み精度を向上させるものではない。
そこで、本発明は、係る従来の問題点に鑑みてなされたものであり、バルブコッターの嵌め込み精度を向上させるバルブコッター嵌込方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、シリンダヘッドに設けられるバルブステムとバルブスプリングを係止するリテーナの中心孔とで形成された隙間に、複数のバルブコッターを嵌め込むバルブコッター嵌込方法であって、前記リテーナの中心から所定距離偏心された位置に配置されたリテーナ用押下パンチが回転して前記リテーナを押圧することで、前記リテーナの回転を偏心させて前記リテーナの前記中心孔と前記バルブステムとで形成される隙間を変化させ、前記バルブスプリングの弾撥に抗して前記リテーナを前記シリンダヘッド側に押下げることを特徴とする。
前記リテーナを所定位置まで押下げた後、前記リテーナ用押下パンチの回転を中止して、前記リテーナ用押下パンチを前記バルブスプリングの弾撥する方向に上昇させてもよい。
本発明によれば、リテーナの中心から所定距離偏心された位置に配置されたリテーナ用押下パンチが回転して前記リテーナを押圧することで、バルブスプリングの弾撥に抗してリテーナをシリンダヘッド側に押下げるので、バルブステムとリテーナの中心孔とで形成される隙間にバルブコッターを正常に挿入することができる。その結果として、バルブステムとリテーナの中心孔とで形成される隙間にバルブコッターを正しく嵌め合わせることができ、バルブコッターの嵌め込み精度を向上させることができる。
本発明にかかるバルブコッター嵌込方法を実施するためのバルブコッター嵌込装置の全体外観図である。 図1に示すバルブコッター嵌込パンチの断面図である。 バルブステムとリテーナとをバルブコッターを用いて締結したときの状態を示す断面図である。 図4A〜図4Eは、図1に示すバルブコッター嵌込装置を用いて、リテーナとバルブステムとの隙間が均等な状態で行われるバルブコッターの嵌め込みが正常なときのバルブステム、リテーナ、及びバルブコッターの状態遷移断面図である。 図5A〜図5Eは、図1に示すバルブコッター嵌込装置を用いて、リテーナとバルブステムとの隙間が不均等な状態で行われるバルブコッターの嵌め込みが異常なときのバルブステム、リテーナ、及びバルブコッターの状態遷移断面図である。 図6A〜図6Eは、図1に示すバルブコッター嵌込装置を用いて、リテーナとバルブステムとの隙間が不均等な状態で、バルブコッターの嵌め込みを行うときのバルブステム、リテーナ、及びバルブコッターの状態遷移断面図である。
発明に係るバルブコッター嵌込方法を、それを実施するバルブコッター嵌込装置との関係で好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
図1は、バルブコッター嵌込装置10の全体外観図である。バルブコッター嵌込装置10は、バルブコッター嵌込パンチ12と、バルブコッター嵌込パンチ12を上から支持し、レバー14の操作によって昇降する可動部16と、可動部16を昇降可能に支持する支持部18と、バルブコッター嵌込装置10の土台となるベース部20とを備える。
ベース部20上にはシリンダヘッド30を載置するためのシリンダヘッド載置部22が設けられ、該シリンダヘッド載置部22は、バルブコッター嵌込パンチ12の下方に設けられている。
可動部16は、下方にフランジ24を有し、該フランジ24の下方にバルブコッター嵌込パンチ12が設けられている。可動部16の中には、図示しない駆動ネジが設けられ、該駆動ネジはフランジ24を貫通してバルブコッター嵌込パンチ12に接続されている。レバー14は、人によって操作可能であり、作業者32がレバー14を下げると、図示しないギアを介して可動部16が下方に移動する。これにより、バルブコッター嵌込パンチ12が下がり、バルブコッター嵌込パンチ12はシリンダヘッド30に設けられたリテーナを押下げることができる。
バルブコッター嵌込パンチ12は、円筒形状であり、前記駆動ネジを回転させることで、バルブコッター嵌込パンチ12が円周方向に回転する。バルブコッター嵌込パンチ12は、中心線34を中心に回転する。なお、バルブコッター嵌込パンチ12は、手動によって回転してもよく、図示しないモータによって回転してもよい。バルブコッター嵌込パンチ12が手動によって回転する場合は、バルブコッター嵌込パンチ12を回転させるための図示しないハンドルを設け、作業者32が該ハンドルを操作することにより、バルブコッター嵌込パンチ12が回転する。
図2は、図1に示すバルブコッター嵌込パンチ12の断面図である。バルブコッター嵌込パンチ12は、リテーナを押下げるリテーナ用押下パンチ50と、シリンダヘッド30に設けられたバルブステムを押圧するバルブステム押圧部52とを有する。リテーナ用押下パンチ50は、下端にリテーナ102を保持する円形の凹部54が形成され、凹部54の中に凹部54の径より小さい径の凹部56が形成されている。凹部54及び凹部56の中心と、円筒であるバルブコッター嵌込パンチ12の中心線(リテーナ用押下パンチ50の中心線)34とは同一線上にある。なお、バルブコッター嵌込パンチ12が回転すると、リテーナ用押下パンチ50が中心線34を中心に回転する。
バルブステム押圧部52は、凹部54及び凹部56の中心を貫通しており、リテーナ用押下パンチ50とは独立に上下に移動可能である。バルブステム押圧部52の上部は、フランジ58を有しており、フランジ58は、スプリング60によって下方に付勢されている。リテーナ用押下パンチ50は、係止部50aを有し、スプリング60によってフランジ58が係止部50aに当接することで、バルブステム押圧部52の先端が下方に突出する位置が初期位置にセットされる。
図3は、バルブステム100とリテーナ102とをバルブコッター104を用いて締結したときの状態を示す断面図である。図3に示すように、バルブステム100の頂部に、バルブスプリング106を係止するリテーナ102が取り付けられている。このリテーナ102は、バルブステム100との間に嵌め込められたバルブコッター104によって取り付けられている。バルブコッター104は、略テーパ状の円筒体を2分割したもので、バルブステム100の頂部に形成された環状溝部100aに嵌合する凸部104aを有し、外周面側はリテーナ102の中心孔102aのテーパ状内周面102bに対応するテーパ面104bを有している。
バルブコッター104の嵌め込みは、リテーナ102をバルブスプリング106の弾撥に抗して(バルブスプリング106の縮み方向に)押下げることで、バルブコッター104を、環状溝部100aに嵌め込む。このリテーナ102を押下げる際に、リテーナ102を偏心させることで、バルブコッター104の嵌め込み精度を向上させる。この理由を説明するために、まず、リテーナ102を偏心させないで、バルブコッター104の嵌め込みを行うときのバルブステム100、リテーナ102、及びバルブコッター104の状態を説明し、次に、リテーナ102を偏心させて、バルブコッター104の嵌め込みを行うときのバルブステム100、リテーナ102、及びバルブコッター104の状態を説明する。
図4は、図1に示すバルブコッター嵌込装置10を用いて、リテーナ102とバルブステム100との隙間が均等な状態(リテーナ102とバルブステム100とが同心上に配置されている状態)で行われるバルブコッター104の嵌め込みが正常なときのバルブステム100、リテーナ102、及びバルブコッター104の状態遷移断面図である。また、図5は、図1に示すバルブコッター嵌込装置10を用いて、リテーナ102とバルブステム100との隙間が不均等な状態(リテーナ102とバルブステム100とが同心上に配置されていない状態)で行われるバルブコッター104の嵌め込みが異常なときのバルブステム100、リテーナ102、及びバルブコッター104の状態遷移断面図である。
まず、図4を用いて、バルブコッター104の嵌め込みが正常なときのバルブステム100、リテーナ102、及びバルブコッター104の状態遷移を説明する。図4Aに示すように、バルブコッター嵌込パンチ12のリテーナ用押下パンチ50の凹部54が、シリンダヘッド30に設けられたリテーナ102の上面を保持できるようにシリンダヘッド30をシリンダヘッド載置部22に載置する。なお、図4では、シリンダヘッド30及びシリンダヘッド載置部22の図示を省略している。
その後、作業者32がレバー14を下げると、図4Bに示すように、バルブコッター嵌込パンチ12が降下するので、リテーナ用押下パンチ50がリテーナ102をバルブスプリング106の弾撥に抗してシリンダヘッド30側に押下げる。このとき、リテーナ102は、リテーナ用押下パンチ50の凹部54によって保持されている。リテーナ102を押下げると、バルブステム100のリテーナ102に対する相対位置が上昇するので、2つのバルブコッター104は、バルブステム100の上面によって押し上げられる状態となる。
さらに、作業者32がレバー14を下げると、図4Cに示すように、バルブコッター嵌込パンチ12が下降するので、リテーナ用押下パンチ50が、リテーナ102をさらに押下げ、バルブステム押圧部52の先端が、バルブステム100の上面に当接する。このとき、2つのバルブコッター104の上部が凹部56に収納され、2つのバルブコッター104の下部がバルブステム100とリテーナ102の中心孔102aとの間で形成される隙間に挿入された状態となる。バルブステム100とリテーナ102の中心孔102aとの間で形成される隙間にバルブコッター104の下部が挿入される理由としては、バルブステム100のリテーナ102に対する相対位置の上昇に伴いバルブコッター104は押し上げられて上昇するが、バルブステム100とリテーナ102の中心孔102aとの間で形成される隙間は上に行くほど広がるので、自重により2つのバルブコッター104が該隙間に落下して、バルブコッター104の下部が隙間に挿入された状態となる。
さらに、作業者32がレバー14を下げると、図4Dに示すように、リテーナ用押下パンチ50は、リテーナ102をさらに押下げる。リテーナ102が押下げられると、バルブステム100のリテーナ102に対する相対位置はさらに上昇するので、バルブステム100は、スプリング60の弾撥に抗してバルブステム押圧部52を押し上げる。図4Dでは、バルブステム100は、リテーナ用押下パンチ50に挿入された状態となる。
その後、作業者32がレバー14を上げると、リテーナ用押下パンチ50が上昇し、それに伴い、バルブスプリング106の弾撥の方向(伸び方向)にリテーナ102が上昇する(バルブステム100のリテーナ102に対する相対位置が下降する)。リテーナ102が上昇すると、それに伴いバルブコッター104も上昇し、図4Eに示すように、バルブコッター104の凸部104aがバルブステム100の環状溝部100aとに嵌合した状態となり、バルブステム100とバルブコッター104とが一体となる。これにより、バルブステム100とリテーナ102の中心孔102aとの間で形成される隙間にバルブコッター104を嵌め込むことができ、バルブステム100とリテーナ102とを締結させることができる。
次に、図5を用いて、バルブコッター104の嵌め込みが異常なときのバルブステム100、リテーナ102、及びバルブコッター104の状態遷移を説明する。まず、図5Aは、図4Aと同様であり、バルブコッター嵌込パンチ12のリテーナ用押下パンチ50の凹部54が、シリンダヘッド30に設けられたリテーナ102の上面を保持できるようにシリンダヘッド30をシリンダヘッド載置部22に載置する。なお、図5Aでは、シリンダヘッド30及びシリンダヘッド載置部22の図示を省略している。
その後、作業者32がレバー14を下げると、図5Bに示すように、バルブコッター嵌込パンチ12が降下するので、リテーナ用押下パンチ50がリテーナ102をバルブスプリング106の弾撥に抗してシリンダヘッド30側に押下げる。このとき、リテーナ102は、リテーナ用押下パンチ50の凹部54によって保持されている。リテーナ102を押し下げると、バルブステム100のリテーナ102に対する相対位置が上昇する。このとき、バルブステム100の中心線108がリテーナ102の中心線34上に位置していない等の理由により、一方のバルブコッター104のみがバルブステム100の上面によって押し上げられる場合がある。
さらに、作業者32がレバー14を下げると、図5Cに示すように、バルブコッター嵌込パンチ12が下降するので、リテーナ用押下パンチ50がリテーナ102をさらに押下げ、バルブステム押圧部52の先端が、バルブステム100の上面に当接する。このとき、図5Bで押し上げられたバルブコッター104の上部のみが凹部56に収納された状態となり、図5Bで押し上げられなかったバルブコッター104(以下、第1バルブコッター104と呼ぶ)は、押し上げられたバルブコッター104(以下、第2バルブコッター104と呼ぶ)よりバルブステム100とリテーナ102の中心孔102aとで形成される隙間に深く挿入されている。つまり、バルブステム100とリテーナ102の中心孔102aとで形成される隙間に第1バルブコッター104の下部と、第2バルブコッター104の下部とが正常に挿入されてない状態となる。
さらに、作業者32がレバー14を下げると、図5Dに示すように、リテーナ用押下パンチ50は、リテーナ102をさらに押下げる。リテーナ102が押下げられると、バルブステム100のリテーナ102に対する相対位置はさらに上昇するので、バルブステム100は、スプリング60の弾撥に抗してバルブステム押圧部52を押し上げる。図5Dでは、バルブステム100は、リテーナ用押下パンチ50に挿入された状態となる。
その後、作業者32がレバー14を上げると、リテーナ用押下パンチ50が上昇し、それに伴い、バルブスプリング106の弾撥の方向(伸び方向)にリテーナ102が上昇する(バルブステム100のリテーナ102に対する相対位置が下降する)。リテーナ102が上昇すると、それに伴いバルブコッター104も上昇する。
このとき、第2バルブコッター104の凸部104aが先にバルブステム100の環状溝部100aに嵌合した常態となる。しかし、バルブステム100とリテーナ102との間には、第2バルブコッター104が挿入される隙間が少なく、第2バルブコッター104は、バルブステム100とリテーナ102の中心孔102aで形成される隙間から外れ易くなる。したがって、リテーナ102の上昇に伴い、第2バルブコッター104の凸部104aが、バルブステム100の環状溝部100aから外れる。
その後、さらにリテーナ102が上昇すると、図5Eに示すように、第1バルブコッター104の凸部104aとバルブステムの環状溝部100aが嵌合した状態となり、バルブステム100と第1バルブコッター104とが一体となる。
このように、バルブステム100が片方のバルブコッター104のみを押し上げしまうので(図5B参照)、バルブステム100とリテーナ102の中心孔102aで形成される隙間に、2つのバルブコッター104が正常に挿入されない状態となってしまう(図5C参照)。これにより、持ち上げられたバルブコッター104がバルブステム100とリテーナ102の中心孔102aとで形成される隙間に正常に嵌らなくなる。
したがって、本実施の形態に係るバルブコッター嵌込方法は、バルブステム100とリテーナ102の中心孔102aで形成される隙間に、2つのバルブコッター104を正常に挿入するために、リテーナ102を偏心さながら、リテーナ102を押下げる。
図6は、図1に示すバルブコッター嵌込装置10を用いて、リテーナ102とバルブステム100との隙間が不均衡な状態で、バルブコッター104の嵌め込みを行うときのバルブステム100、リテーナ102、及びバルブコッター104の状態遷移断面図である。図6Aに示すよう、バルブコッター嵌込パンチ12のリテーナ用押下パンチ50の凹部54が、リテーナ102の上面を保持でき、且つ、リテーナ用押下パンチ50の中心線34とリテーナの中心線110とが所定距離(例えば、0.8mm)ずれるように、シリンダヘッド30を載置する。つまり、リテーナ102の中心から所定距離偏心させた位置にリテーナ用押下パンチ50が配置されるように、シリンダヘッド30をシリンダヘッド載置部22に載置する。なお、図6では、シリンダヘッド30及びシリンダヘッド載置部22の図示を省略している。
その後、作業者32がレバー14を下げると、図6Bに示すように、バルブコッター嵌込パンチ12が下降するので、リテーナ用押下パンチ50がリテーナ102をバルブスプリング106の弾撥に抗してシリンダヘッド30側に押下げる。このとき、リテーナ102は、リテーナ用押下パンチ50の凹部54によって保持されている。リテーナ102を押下げると、バルブステム100のリテーナ102に対する相対位置が上昇するので、バルブコッター104がバルブステム100の上面によって押し上げられた状態となる。このとき、図5Bと同様に、一方のバルブコッター104のみが押し上げられた状態とする。
リテーナ102が押下げられると、図6Cに示すように、作業者32は、バルブコッター嵌込パンチ12を回転させることで、リテーナ102が偏心される。リテーナ102が偏心すると、リテーナ102の中心孔102aとバルブステム100とで形成される隙間がリテーナ102の偏心に応じて変化する。図6Cは、図6Bに示すバルブコッター嵌込パンチ12が半回転したときのリテーナ102及びバルブコッター104の状態を示している。
リテーナ102の偏心によって、リテーナ102が左右に振られる状態となるので、図6B、図6Cに示すように、リテーナ102の中心孔102aとバルブステム100とで形成される左側の隙間が、狭い状態から広い状態に変化し、リテーナ102の中心孔102aとバルブステム100とで形成される右側の隙間が、広い状態から狭い状態に変化する。このように、リテーナ102の中心孔102aとバルブステム100とで形成される隙間がリテーナ102の偏心に応じて変化する。これにより、図6Cのバルブステム100の上面で押し上げられたバルブコッター(第2バルブコッター)104の下方(二点鎖線の円で示した箇所)に隙間を強制的に作ることができる。この結果として、第2バルブコッター104は、自重によって強制的に作られた隙間に落下するので、バルブステム100とリテーナ102の中心孔102aとで形成される隙間に2つのバルブコッター104の下部とが正常に挿入される。
さらに、作業者32がレバー14を下げると、図6Dに示すように、回転しているバルブコッター嵌込パンチ12がさらに下降するので、リテーナ用押下パンチ50がリテーナ102をさらに押し下げ、バルブステム押圧部52の先端が、バルブステム100の上面に接する。このとき、2つのバルブコッター104がバルブステム100とリテーナ102の中心孔102aとの間で形成された隙間に正常に挿入された状態であることが諒解されよう。
さらに、作業者32がレバー14を下げると、図6Eに示すように、リテーナ用押下パンチ50は、リテーナ102を所定位置まで押下げる。リテーナ102が押下げられると、バルブステム100のリテーナ102に対する相対位置はさらに上昇し、バルブコッター104の凸部104aがバルブステム100の環状溝部100aに嵌合した状態となる。これにより、バルブステム100とリテーナ102とを、バルブコッター104により締結させることができる。リテーナ102を所定位置まで押下げるとと、作業者32は、バルブコッター嵌込パンチ12の回転を中止させる。バルブコッター嵌込パンチ12の回転を中止した後、作業者32は、レバー14を上げることで、バルブコッター嵌込パンチ12を上昇させる。
このように、バルブコッター嵌込パンチ12を回転させ、バルブコッター嵌込パンチ12の回転位置を、リテーナ102の中心からずらして、リテーナ102を偏心させることで、バルブステム100とリテーナ102の中心孔102aとで形成される隙間に2つのバルブコッター104を正常に挿入することができる。その結果として、2つのバルブコッター104の凸部104aを、バルブステム100の環状溝部100aに嵌合させることができ、バルブコッター104の嵌め込み精度を向上させることができる。
以上、本発明について好適な実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
10…バルブコッター嵌込装置 12…バルブコッター嵌込パンチ
14…レバー 16…可動部
18…支持部 20…ベース部
30…シリンダヘッド 32…作業者
34、108、110…中心線 50…リテーナ用押下パンチ
50a…係止部 54、56…凹部
58…フランジ 60…スプリング
100…バルブステム 100a…環状溝部
102…リテーナ 102a…中心孔
102b…テーパ状内周面 104…バルブコッター
104a…凸部 104b…テーパ面
106…バルブスプリング

Claims (2)

  1. シリンダヘッドに設けられるバルブステムとバルブスプリングを係止するリテーナの中心孔とで形成された隙間に、複数のバルブコッターを嵌め込むバルブコッター嵌込方法であって、
    前記リテーナの中心から所定距離偏心された位置に配置されたリテーナ用押下パンチが回転して前記リテーナを押圧することで、前記リテーナの回転を偏心させて前記リテーナの前記中心孔と前記バルブステムとで形成される隙間を変化させ、前記バルブスプリングの弾撥に抗して前記リテーナを前記シリンダヘッド側に押下げることを特徴とするバルブコッター嵌込方法。
  2. 請求項1に記載のバルブコッター嵌込方法であって、
    前記リテーナを所定位置まで押下げた後、前記リテーナ用押下パンチの回転を中止して、前記リテーナ用押下パンチを前記バルブスプリングの弾撥する方向に上昇させることを特徴とするバルブコッター嵌込方法。
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