JP5528766B2 - 電荷輸送方法、電荷輸送材料、電荷輸送素子及び光電変換素子 - Google Patents

電荷輸送方法、電荷輸送材料、電荷輸送素子及び光電変換素子 Download PDF

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Description

本発明は、液晶化合物を用いた新規な電荷輸送方法、電荷輸送材料、電荷輸送素子及び光電変換素子に関する。
近年、エレクトロルミネッセンス素子を構成する正孔輸送材料や電荷輸送材料として、有機材料を使用した有機エレクトロルミネッセンス素子の研究が活発に行われている。
このような、電荷輸送材料としては、従来より、アントラセン誘導体、アントラキノリン誘導体、イミダゾール誘導体、スチリル誘導体、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミン化合物、ポリ−N−ビニルカルバゾールやオキサジアゾール等の化合物が知られている。半那らは、液晶相がスメクチックA相を有する液晶性化合物が電荷輸送能を有し、これらを用いた電荷輸送材料(例えば、特許文献1〜3参照)を提案している。
しかしながら、光等によって励起させた状態でないと優れた電荷輸送能を発現しなし、また電流密度も大きくてもナノA/cmオーダと言う低い値であった。
本発明者は、先に液晶相としてスメクチックB相を有する液晶性化合物にスメクチックB相の液晶状態又はスメクチックB相の相転移で生じる固体状態で電圧を印加する電荷輸送方法(特許文献4参照。)、長い直線的共役系構造部分を持つ液晶分子を用いた電荷輸送方法(特許文献5参照。)を提案した。
イオン性化合物の電荷輸送は、イオンの移動により行われており、溶媒などの電解質にイオンを溶解し、イオンの移動による電荷輸送として利用されている。
特開平09−316442号公報 特開平11−162648号公報 特開平11−199871号公報 特開2001−351786号公報 特開2004−6271号公報
発明者らは、液晶状態の分子配向を利用した電荷輸送方法について研究を進めるうちに、電極から電極の間に棒状のイオン性液晶分子の液晶配列を形成すれば、電荷の移動、すなわち、ホッピング伝導による電子の移動が可能になると考えた。そして、陽イオン基及び陰イオンを有する棒状のイオン性液晶化合物を用いて、スメクチック相の液晶状態を発現させ、イオン部分を近接させた液晶分子の連続体の系で、電子のホッピング伝導がはじめて可能になること。更に該ホッピング伝導は、前記陽イオン基がピリジニウム基であるイオン性液晶化合物を用いると従来の電荷輸送方法より極めて優れた電荷輸送能を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明の目的は、液晶化合物を用い、優れた電荷輸送能を発現させることができる電荷輸送方法、電荷輸送材料、及びそれを用いた電荷輸送素子及び光電変換素子を提供することにある。
即ち、本発明の第1の発明は、液晶相としてスメクチック相を有する陽イオン基及び陰イオンからなる棒状のイオン性液晶化合物を用い、スメクチック相の液晶状態又はスメクチック相からの相転移で生じる固体状態でホッピング伝導により電荷の輸送を行わせる電荷輸送方法において、前記陽イオン基がピリジニウム基であることを特徴とする電荷輸送方法である。
また、本発明の第2の発明は、液晶相としてスメクチック相を有する陽イオン基及び陰イオンからなる棒状のイオン性液晶化合物を含有する電荷輸送材料であって、前記陽イオン基がピリジニウム基であることを特徴とする電荷輸送材料である。
また、本発明の第3の発明は、一対の電極を設けた基板間に、少なくとも前記第2の発明の電荷輸送材料からなる電荷輸送層を設けたことを特徴とする電荷輸送素子である。
また、本発明の第4の発明は、半導体層、該半導体の一方の面に設けられた色層、該色素層に対向して配された対極、及び該色素層と該対極との間に配された電荷輸送層を有し、該電荷輸送層が、前記第2の発明の電荷輸送材料からなることを特徴とする光電変換素子である。
本発明の電荷輸送方法によれば、液晶相としてスメクチック相を有し、陽イオン基及び陰イオンからなる棒状のイオン性液晶化合物を用いて、ホッピング伝導により電荷の輸送を行うことにより、従来の電荷輸送材料にない1ミリA/cmオーダ以上、好ましくは10ミリA/cm以上の電流密度で電荷の輸送を可能とする。これは導電率で少なくとも10−1s/cm以上に相当する。
従って、本発明の電荷輸送方法を用いることにより、電荷輸送性を利用した光センサ、有機エレクトロルミネッセンス素子(EL素子)、光導電体、空間変調素子、薄膜トランジスター、電子写真感光体の電荷輸送物質、ホトリソグラグラフティブ、太陽電池、非線形光学材料、有機半導体コンデンサー、光電変換素子、その他のセンサー等の電荷輸送方法として好適に用いることができる。
本発明の電荷輸送素子の一実施形態を示す概略図である。 本発明の光電変換素子の一実施形態を示す概略図である。 本発明の電荷輸送材料をスメクチック相の液晶状態で用いた際の電荷輸送能の機構を表す概略図である。 実施例1(化合物として合成例1使用)の電荷輸送材料に8Vの電圧を印加し、徐々に加温し、温度毎の電流量を測定したときの温度と電流量の関係を示す図。 実施例2(化合物として合成例2使用)の電荷輸送材料に8Vの電圧を印加し、徐々に加温し、温度毎の電流量を測定したときの温度と電流量の関係を示す図。 参考例1の電荷輸送材料に8Vの電圧を印加し、徐々に加温し、温度毎の電流量を測定したときの温度と電流量の関係を示す図。
本発明の電荷輸送方法は、液晶相としてスメクチック相を有する陽イオン基及び陰イオンからなる棒状のイオン性液晶化合物を用い、スメクチック相の液晶状態又はスメクチック相からの相転移で生じる固体状態でホッピング伝導により電荷の輸送を行わせることを特徴とする。
該棒状のイオン性液晶化合物は、液晶状態を形成する化合物であり、温度変化により、固体→液晶→液体へと変化する化合物である(以下、このような化合物を液晶化合物と記載する。)。このような、温度変化により、固体→液晶→液体へと変化する液晶化合物は、サーモトロピック液晶とも呼ばれている。なお、液晶とは、異方性液体のことで、流動性を持ち且つ光学的に異方性で複屈折を示す、液体と結晶の中間にある状態のものである。
また、液晶状態を形成することができる液晶化合物には、概ね、カラミティック液晶と呼ばれる棒状の分子形状を有する化合物と、ディスコチック液晶と呼ばれる円盤状の分子形状を有する化合物とがあるが、これらのうち、本発明の電荷輸送方法に係る棒状のイオン性液晶化合物は、カラミティック液晶と呼ばれる棒状の分子形状を有する液晶化合物を指す。
また、本発明では該棒状のイオン性液晶化合物は、液晶相としてスメクチック相を有するスメクチック液晶が用いられる。
本発明の該棒状のイオン性液晶化合物は、1つの分子内に、陽イオン基と、その陽イオン基の対陰イオンを有する。具体的には、本発明の電荷輸送方法に係る棒状のイオン性液晶化合物は、分子中に、陽イオン基が結合しており、陰イオンがその陽イオンとイオン結合をしている塩である。
該棒状のイオン性液晶化合物に係る陽イオン基としては、ピリジニウム塩が好ましい
該棒状のイオン性液晶化合物に係る陰イオンとしては、例えば、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオン、有機酸イオン、無機酸イオン等が挙げられる。
有機酸の陰イオンの具体的な例として、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、イソ酪酸、ピバル酸、イソ吉草酸、イソカプロン酸、2−エチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、イソカプリル酸、2−エチルヘキサン酸、イソカプリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、3−ブテン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エライジン酸、2−メチルクロトン酸、3−メチルクロトン酸、チグリン酸、シナモン酸、シクロプロパンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、トリクロロ酢酸、トリブロモ酢酸、トリフルオロ酢酸、フェニル酢酸、グリコール酸、乳酸、などの脂肪族モノカルボン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、リンゴ酸、グルタミン酸、酒石酸、クエン酸などの脂肪族多価カルボン酸、安息香酸、トルイル酸、エチル安息香酸、プロピル安息香酸、ブチル安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、アニス酸、エトキシ安息香酸、プロポキシ安息香酸、ブトキシ安息香酸、アミノ安息香酸、N、N−ジメチルアミノ安息香酸、ニトロ安息香酸、フルオロ安息香酸、レゾルシン酸、ケイ皮酸などの芳香族モノカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの芳香族多価カルボン酸、フェノール、o−フェニルフェノール、p−アミノフェノール、p−ニトロフェノール、カテコール、レゾルシン、β−ナフトール、2−クロロフェノールなどの石炭酸類等のアニオンを例示することができる。無機酸の陰イオンの具体的な例として、硫酸、亜硫酸、アミド硫酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、過塩素酸、過沃素酸、オルト過沃素酸、過マンガン酸、硝酸、亜硝酸、燐酸、亜燐酸、次亜燐酸、砒酸、亜砒酸、ホウ酸、ホウフッ化水素酸、六フッ化燐酸、六フッ化アンチモン酸、六フッ化砒酸、クロム酸、塩酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、セレン酸、亜セレン酸、シアン酸、チオシアン酸、テルル酸、亜テルル酸、珪酸、けいフッ化水素酸、ヘキサフルオロ珪酸、ポリ燐酸、メタ燐酸、モリブデン酸等のアニオンを例示することができる。
これらのうち、塩素イオン、臭素イオン又はヨウ素イオン等のハロゲンイオンが、電荷輸送能に優れ、また、例えば光電変換素子の電荷輸送材料として用いた場合に光電変換効率の一層の向上、とりわけヨウ素イオンが優れた光電変換効率が期待できる点で好ましい。また、本発明の棒状のイオン性液晶化合物に係る陽イオン基の価数は、陽イオン基の価数と同じか、それより小さい。
通常、棒状のイオン性液晶化合物は、その液晶温度範囲を200℃以上の高温域に持つので、室温付近では、粉末状の固体である場合が多いが、本発明では、特に、−20〜150℃に広い温度範囲に液晶状態を示す棒状のイオン性液晶化合物が、好ましく用いられる。
前記−20〜150℃に広い温度範囲に液晶状態を示す棒状のイオン性液晶化合物を用いれば、過度の加熱処理を行って、液晶状態を発現させる必要がなく、室温域で、電極間にスメクチック相の液晶分子配列を形成することが可能になる。また、分子運動の激しくない低い温度までスメクチック液晶状態を形成し、それから生じる固体状態においても、液晶状態の分子配列がそのまま固定化されるので、この液晶状態から生じる固体状態でも、ホッピング伝導による電子の移動が効率よく行うことができる。
本発明において、好ましい棒状のイオン性液晶化合物は、下記一般式(1):
Figure 0005528766
で表されるピリジニウム塩型棒状のイオン性液晶化合物、下記一般式(2):
Figure 0005528766
で表されるピリジニウム塩型棒状のイオン性液晶化合物である。
前記一般式(1)及び前記一般式(2)、R及びRは、アルキル基、アルコキシ基、又は下記一般式(4):
Figure 0005528766
で表される不飽和結合を有する基である。また、R及びRは、同一の基であっても、異なる基であってもよい。
及びRに係るアルキル基は、直鎖状又は分岐状のアルキル基である。そして、R及びRに係るアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜30、特に好ましくは1〜22である。R及びRに係るアルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
及びRに係るアルコキシ基は、直鎖状又は分岐状のアルコキシ基である。そして、R及びRに係るアルコキシ基は、好ましくは下記一般式(5):
(2p+1)O− (5)
で表され、pが1〜30の整数であるアルコキシ基であり、特に好ましくはpが1〜22の整数であるアルコキシ基である。
及びRに係る前記一般式(4)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Zは、−(CH−、−(CH−O−、−CO−O−(CH−、−CO−O−(CH−O−、−C−CH−O−又は−CO−を示す。Z中、mは、1〜30の整数であり、好ましくは1〜22の整数である。
前記一般式(1)及び前記一般式(2)、Aは、下記式(A−1)〜(A−14):
Figure 0005528766
(式(A−14)中、tは1〜5の整数である。)
で表される2価の基を示す。
前記一般式(2)、Bは、下記式(B−1)〜(B−11):
Figure 0005528766
で表される2価の基を示す。
前記一般式(2)、nは0〜20の整数を示す前記一般式(1)及び前記一般式(2)、Xはハロゲンイオンであり、特に好ましくは塩素イオン、臭素イオン又はヨウ素イオンである。
本発明の電荷輸送方法に係る棒状のイオン性液晶化合物のうち、特に好ましい棒状のイオン性液晶化合物は、前記一般式(1)で表されるピリジニウム塩型棒状のイオン性液晶化合物中、Aが前記式(A−3)で表される2価の基であるピリジニウム塩型棒状のイオン性液晶化合物、すなわち、下記一般式(6):
Figure 0005528766
で表される4−(1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジニウム塩型棒状のイオン性液晶化合物である。以下、前記一般式(6)で表される4−(1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジニウム塩型棒状のイオン性液晶化合物を、前記一般式(6)で表されるピリジニウム塩型棒状のイオン性液晶化合物とも記載する。
前記一般式(6)中、R及びRは、アルキル基、アルコキシ基、又は前記一般式(4)で表される不飽和結合を有する基を示す。また、R及びRは、同一の基であっても、異なる基であってもよい。
及びRに係るアルキル基は、直鎖状又は分岐状のアルキル基である。R及びRに係るアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜30、特に好ましくは1〜22である。R及びRに係るアルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。また、R及びRに係るアルコキシ基は、直鎖状又は分岐状のアルコキシ基であり、好ましくは前記一般式(5)で表され且つpが1〜30の整数であるアルコキシ基であり、特に好ましくは前記一般式(5)で表され且つpが1〜22の整数であるアルコキシ基である。また、R及びRに係る前記一般式(4)で表される不飽和結合を有する基は、R及びRに係る前記一般式(4)で表される不飽和結合を有する基と同様である。
前記一般式(6)中、Xはハロゲンイオンであり、好ましくは塩素イオン、臭素イオン又はヨウ素イオンが、電荷輸送能に優れ、また、例えば光電変換素子の電荷輸送材料として用いた場合に光電変換効率の一層の向上、とりわけヨウ素イオンが優れた光電変換効率が期待できる点で好ましい。
そして、前記一般式(6)で表されるピリジニウム塩型棒状のイオン性液晶化合物のうち、Rがアルキル基である前記一般式(6)で表されるピリジニウム塩型棒状のイオン性液晶化合物が好ましく、Rが炭素数1〜30のアルキル基である前記一般式(6)で表されるピリジニウム塩型棒状のイオン性液晶化合物が特に電荷輸送性に優れる点で好ましく、Rが炭素数5〜22のアルキル基である前記一般式(6)で表されるピリジニウム塩型棒状のイオン性液晶化合物が更に好ましく、Rが炭素数8〜22のアルキル基であり且つRが炭素数1〜4のアルキル基である前記一般式(6)で表されるピリジニウム塩型棒状のイオン性液晶化合物がより好ましい。
前記一般式(6)で表されるピリジニウム塩型棒状のイオン性液晶化合物は、例えば、下記反応式(7)に従って合成される。
Figure 0005528766
先ず、マロン酸エステル(8)と、ハロゲン化物(9)とを反応させて、R導入マロネイト(10)を得、得られたR導入マロネイト(10)を、LiAlHで還元して、R導入1,3−プロパンジオール(11)を得る。次いで、R導入1,3−プロパンジオール(11)と、ピリジン−4−アルデヒド(12)とを反応させ、R導入4−(1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジン(13)を得る。次いで、R導入4−(1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジン(13)と、ハロゲン化物(14)とを反応させて、前記一般式(6)で表されるピリジニウム塩型棒状のイオン性液晶化合物を得る(例えば、特開平10−53585号公報、特開2000−86723号公報、特開2000−86656号公報、「Liquid Crystals」,1999,Vol.26,No.10,1425−1428参照。)。なお、前記反応式(7)中、R、R及びXは、前記一般式(6)中のR、R及びXに相当し、Yは、ハロゲン原子を示す。
また、前記一般式(1)で表されるピリジニウム塩型棒状のイオン性液晶化合物は、下記反応式(15)に示すように、ピリジン化合物(16)と、ハロゲン化物(17)とを反応させることにより得られる。なお、下記反応式(15)中、R、R、X及びAは、前記一般式(1)中のR、R、X及びAに相当する。
Figure 0005528766
また、前記一般式(2)で表されるピリジニウム塩型棒状のイオン性液晶化合物は、下記反応式(18)に示すように、ハロゲン化物(19)と、ピリジン化合物(20)とを反応させることにより得られる。なお、下記反応式(18)中、R、R、X、A、B及びnは、前記一般式(2)中のR、R、X、A、B及びnに相当する。
Figure 0005528766
該棒状のイオン性液晶化合物は、2種以上で混合して用いることにより、液晶を示す温度範囲を広く調整することができる。
本発明の電荷輸送方法では、以下の2つの方法により、電荷輸送能を発現させることが好ましい。
(a)スメクチック相の液晶状態で前記棒状のイオン性液晶化合物に電圧を印加する方法。
(b)スメクチック相からの相転移で生じる固体状態で前記棒状のイオン性液晶化合物に電圧を印加する方法。
前記(a)の方法は、前記棒状のイオン性液晶化合物を所定の温度でスメクチック相とし、このスメクチック相の液晶状態で電圧を印加し、電荷の輸送を行う方法である。この場合、スメクチック相は、A、B、C、D、E、F、G、Hの何れの相の状態であってもよい。
前記(b)の方法は、前記棒状のイオン性液晶化合物を所定の温度でスメクチック相とし、この状態から降温を行うことによりスメクチック相の分子配向を維持した個体状態とし、この固体状態の棒状のイオン性液晶化合物に電圧を印加し、電荷の輸送を行う方法である。なお、降温を行う方法としては、自然冷却で行っても、急冷で行ってもよい。
本発明の電荷輸送材料は、前記陽イオン基がピリジニウム基である棒状のイオン性液晶化合物を50重量%以上、好ましくは80重量%以上含有し、棒状のイオン性液晶化合物に起因するスメクチック相の液晶状態を示し、ホッピング伝導により電荷輸送のできる電荷輸送材料である。
電荷輸送材料に含有させる他の成分としては、例えば、長い直線的共役系構造部分を持つ液晶化合物等の導電性有機液晶性化合物(例えば、特開2004−6271号公報参照。)が挙げられる。
また、電荷輸送材料に含有させる棒状のイオン性液晶化合物は、末端に不飽和基を有するものは、そのホモ重合体、共重合体、架橋剤により架橋されている高分子量の化合物、或いはヒドロシリル基を有する高分子化合物に付加反応させて得られるものであってもよい。
次いで、本発明の電荷輸送素子について説明する。
本発明の電荷輸送素子は、一対の電極を設けた基板間に前記電荷輸送材料からなる電荷輸送層を設けたことを特徴とする。
図1は電荷輸送素子の一実施態様を示す概略図である。図1において、本発明の電荷輸送素子は、2枚のガラス基板1a、1bの表面に、各々ITO等の透明電極からなる電極2a、2bを設け、該電極を設けた一対の基板をスペンサー4を介してセル間隔を一定にたもって接着剤で貼り合わせてセルを作成し、該セル内に前記電荷輸送材料を注入して電荷輸送層3を電極間に設ける。該電極2a、2bには前記電荷輸送層3を設け、該電荷輸送層3を(a)スメクチック相の液晶状態として、該スメクチック相の液晶状態で電圧を印加するか、又は前記電荷輸送層3を(b)スメクチック相からの相転移で生じる固体状態とし、該固体状態で電圧を印加することで、ホッピング伝導により電荷輸送層3を通して高い電流密度が得られ、電荷の輸送を行うことができる。
本発明に係る電荷輸送素子の応用例として、例えば、後述する色素増感型太陽電池を製造する一例を図2を参照しながら示す。色素増感型太陽電池は、下記(A)〜(C)工程を行うことにより製造することができる。
(A)工程;透明電極を形成したガラス基板13に、例えば酸化チタンの導電材料を塗り、500℃程度で焼成して半導体層11を形成する。次に増感色素を溶媒に溶かし、スピンコーティングし、溶媒を乾燥除去して色素層12を形成させる。次いで、棒状のイオン性液晶化合物を溶媒に溶かし、スピンコーティングし、溶媒を除去乾燥して電荷輸送層15を形成する。
(B)工程;(A)工程とは別に、対極14をスパッタリングで形成する。次いで対極14上に、棒状のイオン性液晶化合物を溶解した溶液を用いてスピンコーティングし、溶媒を乾燥除去して電荷輸送層15を形成する。
(C)工程;(A)工程と(B)工程で得られた材料の電荷輸送層15の部分を重ねて、次いで加熱処理して該電荷輸送層15をスメクチック相の液晶状態とし、徐冷(必要により−30℃程度まで)して液晶分子配列を固定化すると同時に(A)工程と(B)工程で得られた材料の電荷輸送層15の部分で張り合わせる。
本発明の電荷輸送素子は、優れた電荷輸送性を利用した光センサー、有機エレクトロルミネッセンス素子、光導電体、空間変調素子、薄膜トランジスター、その他のセンサー、或いは光電変換素子等の素子として好適に用いることができ、特に、光電変換素子として好適に利用できる。
次いで、本発明の光電変換素子について説明する。
本発明の電荷輸送材料を用いた光電変換素子としては、光を電気エネルギーに変換する素子及び逆に電気エネルギーを光に変換する素子が包含される。前者の代表的なものとしては、色素増感型太陽電池やフォトダイオード等の発電デバイスが挙げられる。後者の代表的なものとしては、発光ダイオードや半導体レーザ等の発光デバイスが挙げられる。光電変換素子が発電デバイス及び発光デバイスのいずれである場合においても、図2に示すように、光電変換素子10は、半導体層11、半導体層11の一方の面に設けられた色素層12、半導体層11の他方の面に設けられた透明電極層13、色素層12に対向して配された対極14、及び色素層12と対極14との間に配された電荷輸送層15を具備する。色素層12と対極14との間隔、すなわち電荷輸送層15の厚みは一般に100〜500μmとすることができる。電荷輸送層15は、本発明の前記電荷輸送材料からなる。図2に示す光電変換素子10を発電デバイスとして用いる場合には、透明電極層13の側から太陽光(可視光)を照射することで、透明電極層13と対極14との間に起電力が生じる。同図に示す光電変換素子10を発光デバイスとして用いる場合には、透明電極層13と対極14との間に電圧を印加することで、半導体層11と色素層12との間で発光が起こる。なお、図2において、透明電極層13及び対極14に導線が接続されているが、透明電極層13に代えて、半導体層11に導線を接続することができる。この場合には透明電極層13は必須ではない。
液晶相としてスメクチック相を有する陽イオン基及び陰イオンからなる棒状のイオン性液晶化合物であって、前記陽イオン基がピリジニウム基であるイオン性液晶化合物を含有することを特徴とする電荷輸送材料を用いた光電変換素子10は、発電デバイスの一種である色素増感型太陽電池として特に有用なものである。
該電荷輸送材料を用いた光電変換素子が色素増感型太陽電池である場合、該色素増感型太陽電池の具体的な構成の一例は次のとおりである。すなわち色素増感型太陽電池は、透明電極層、それに塗設され且つ増感色素が担持されたナノポーラス酸化物半導体層、対極、及び透明電極層と対極との間の少なくとも電荷輸送層から構成される。透明電極側から照射された太陽光(例えば可視光)が酸化物半導体上の色素を励起すると、励起された色素は酸化物半導体の伝導帯に電子を注入する。その結果生じた色素酸化体は、電荷輸送層中の還元体(棒状のイオン性液晶化合物)から電子を受容し、基底状態色素に戻り、還元体(棒状のイオン性液晶化合物)は酸化体となる。酸化物半導体層に注入された電子は外部回路を経由し、対極で電荷輸送層中の酸化体に電子を供与する。以上のサイクルにより、回路に定常的な光電流が流れる。
前記の透明電極層は、光透過率がよく、表面に導電材料からなる層を形成して導電性を有するものであればその種類に特に限定はない。例えばスズ添加酸化インジウム(ITO)、酸化スズ(SnO2)、フッ素添加酸化スズ(FTO)、酸化亜鉛(ZnO)などの透明な酸化物半導体を単独又は組み合わせて、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)などの非導電且つ透明基板上に薄膜として形成されることが好ましい。ナノポーラス酸化物半導体層は、酸化チタン(TiO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステン(WO3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化二オブ(Nb25)などを単独で又は組み合わせて使用した酸化物半導体微粒子を主成分とする多孔質薄膜である。用いる酸化物半導体微粒子の平均粒径は好ましくは1〜200nm、更に好ましくは3〜100nm、一層好ましくは5〜50nmである。酸化物半導体は一般にn型のものであるが、これに限られずp型のものであってもよい。ナノポーラス酸化物半導体に担持される増感色素は、効率よく太陽光(例えば可視光)を吸収するものであれば特に制限されない。例えばビピリジン構造、ターピリジン構造などを含む配位子を有するルテニウム錯体及び鉄錯体などの含金属錯体、ポルフィリン系やフタロシアニン系の含金属錯体、エオシン、ローダミン、メロシアニン、クマリンなどの有機色素などであることが、太陽光照射条件での光励起の観点から好ましい。対極としては、前記の透明電極との間で起電力を生じさせる電極であれば特に限定されないが、金、白金、炭素系材料などの導電性材料を、スパッタ法や蒸着法といった真空製膜法、塗布法、塩化白金酸溶液などの含白金溶液を塗布後に熱処理を加える湿式製膜法などの方法により、電極として基板上に形成したものを用いることが好ましい。
本発明の電荷輸送材料は、液晶相としてスメクチック相を有する陽イオン基及び陰イオンからなる棒状のイオン性液晶化合物であって、前記陽イオン基がピリジニウム基であるイオン性液晶化合物を含有する。かかる電荷輸送材料を用いて、スメクチック液晶状態を発現させ、イオン部分を近接させ、液晶分子の連続体の系でイオン間の電子のホッピング伝導が可能になり(図3参照)、従来の電荷輸送材料にない1ミリA/cm以上、好ましくは10ミリA/cm以上の電流密度で電荷の輸送を可能にする。
以下、本発明を実施例により説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
(合成例1;N−エチル−4−(5−ドデシル−1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジニウムクロライド)
<ジエチル−2−アルキルマロネイトの合成(第一工程)>
下記の反応式により、ジエチル−2−アルキルマロネイト(10a)を合成した。
Figure 0005528766
(式中、Rは、n−C1021を示す。)
500ml三角フラスコに150mlのエタノールを入れ、金属ナトリウム(0.3mol)を溶解後、ジエチルマロン酸(8a)(0.3mol)を加え、冷却後、n−ドデシルブロマイド(9a)(0.3mol)を加えた。エチレングリコール浴中30℃で18時間還流した。溶媒を減圧除去後、ジエチルエーテル(300ml)を加え、分液漏斗中で、冷希塩酸300ml(塩酸:水=30ml:300ml)、続いて冷蒸留水100mlで洗浄した。エーテル層を得た後、水層を、ジエチルエーテル100mlを加えて再抽出した。分液によって得たジエチルエーテル溶液は無水硫酸ナトリウムで約1日脱水した。ろ過し、ジエチルエーテルを減圧除去後、残渣を減圧蒸留してジエチル−2−アルキルマロネイト(10a)を得た。
<2−アルキル1,3−プロパンジオールの合成(第二工程)>
下記の反応式により、2−アルキル1,3−プロパンジオール(11a)を合成した。
Figure 0005528766
(式中、Rは、n−C1021を示す。)
500mlの三つ口丸底フラスコに100mlのジエチルエーテルを入れ、リチウムアルミニウムハイドライドを(2倍量mol数)入れ、そこに、氷冷しながら第一工程で得られたジエチル−2−アルキルマロネイト(10a)(0.23mol)をジエチルエーテル100mlに溶解させた溶液を、滴下漏斗でゆっくり滴下した。その後、エチレングリコール浴中で40℃で、4時間還流した。反応後、氷冷下で酢酸エチル(0.3mol)をジエチルエーテル100mlに溶解させた溶液を、滴下漏斗でゆっくりと滴下した。次に飽和アンモニウム水溶液50mlを、滴下漏斗で一滴ずつゆっくりと加えた。その後、フラスコをジエチルエーテルで満たし、室温(25℃)で3時間撹拌した。ろ過し、残渣を300mlのジエチルエーテルに溶かし24時間撹拌した。ジエチルエーテルに無水硫酸ナトリウムを加え、約1日脱水した後、ジエチルエーテルを減圧除去し、残渣として2−アルキル1,3−プロパンジオール(11a)を得た。
<4−(5−アルキル−1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジンの合成(第三工程)>
下記の反応により、4−(5−アルキル−1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジン(13a)を合成した。
Figure 0005528766
(式中、Rは、n−C1021を示す。)
反応装置として、ディーン−スターク−トラップ(Dean−Stark−Trap)を用いた。100ml三角フラスコに、ベンゼン60ml及び第二工程で得られた2−アルキル1,3−プロパンジオール(11a)(0.03mol)を入れ、更に、ピリジン−4−アルデヒド(等mol数)を溶解した。次いで、p−トルエンスルホン酸を10g加えpH1以下にする。pHを確認後、三角フラスコに、ディーン−スターク−トラップを取り付け、シリコーン浴中で135℃〜140℃で5時間還流する。冷却後、ジエチルエーテル(300ml)に溶解し、炭酸ナトリウム水溶液(30g/300ml)で洗浄し、水溶液が塩基性であることを確かめた後、蒸留水(100ml)で洗浄し、ジエチルエーテル層を得た。その後、ジエチルエーテル層を、無水硫酸ナトリウムで約1日脱水した。ろ過し、ジエチルエーテルを減圧除去し残渣を得た。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーで、初めにヘキサン300mlを流し、次いで、ベンゼン300mlを流して分離した。目的物はベンゼン溶媒中に溶出した。これを溶媒除去した後、特級ヘキサンで3〜4回再結晶して精製し、4−(5−アルキル−1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジン(13a)を得た。
<N−アルキル−4−(5−アルキル−1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジニウムブロマイド(第四工程)の合成>
下記の反応により、N−アルキル−4−(5−アルキル−1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジニウムブロマイド(6a)を合成した。
Figure 0005528766
(式中、Rは、n−C1021を示し、Rは、Cを示す。XはClを示す。)
200ml三つ口丸底フラスコ中で、特級アセトニトリル30mlに、第三工程で得られた4−(5−アルキル−1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジン(13a)(0.0017mol)と、エチルクロライド(14a)(10倍mol)とを溶解させ、窒素気流下でシリコーン浴中で100℃で24時間還流した。アセトニトリルを減圧除去し、ヘキサン30ml、ジエチルエーテル30mlの混合溶液で再沈澱させ、約一日攪拌洗浄し、不溶物を得た後、真空乾燥し、N−エチル−4−(5−ドデシル−1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジニウムクロライド(一般式(6a)の式中、R7=C10H21、R8=C2H5、X=Clを示す。)を得た。得られたN−エチル−4−(5−ドデシル−1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジニウムクロライド(6a)の相転移温度の測定結果を表1に示す。
(同定データ)
1 H−NMR(CDCl3 、δ);0.87〜1.85(m、25H)、3.38〜4.40(m、4H)、5.12(q、2H、Jab=6.70Hz)、5.58(s、1H)、8.12(d、2H、Jcd=6.40Hz)、9.78(d、2H、Jcd=6.40Hz)
FT−IR(CHCl3 、cm-1);2925、2870(C−H伸縮振動)、1655(C=C、C=N伸縮振動)、1095(C−O−C伸縮振動)、890(ピリジン環C−H面外変角振動)
(合成例2;N−エチル−4−(5−オクチル−1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジニウムヨージド)
第一工程において、n−ドデシルブロマイド(9a)をn−オクチルブロマイドとし、第四工程において、エチルクロライド(14a)をエチルヨージドに代えた以外は、合成例1と同様にして目的物を合成し、1 H−NMR分析とFT−IR分析の結果、N−エチル−4−(5−オクチル−1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジニウムヨージド(一般式(6a)の式中、R7=CH17、R8=C2H5、X=Iを示す)であることを確認した。相転移温度の測定結果を表1に示す。
Figure 0005528766
1)Cry:結晶、SmA:スメクチックA液晶相、Iso:等方性液体
(実施例1〜2)
<電荷輸送能の評価>
真空成膜によりITO電極を設けた2枚のガラス基板を、それぞれITO電極が対向するように、スペーサー粒子によってギャップ(50μm(実施例1)、15μm(実施例2))を設け、貼り合わせてセルを作成した。そのセルに合成例1(実施例1)、合成例2(実施例2)で得られたピリジニウム塩(6a)20mgを等方性液体になる温度以上(200℃)の条件下にセル中に注入した。次いで、8Vの電圧を印加し、除々に加温し、各温度毎の電流値を測定した。その結果を表2及び表3、図4及び図5にそれぞれ示す。
Figure 0005528766
Figure 0005528766
(参考例1)
下記一般式(A)で表されるジスチリル誘導体((A1)、(A2))を特開2004−6271号公報に従ってそれぞれ合成した。
Figure 0005528766
Figure 0005528766
1)Cry;結晶、SmG;スメクチックG液晶相、SmF;スメクチックF液晶相、SmC;スメクチックC液晶相、N;ネマチック液晶相、I;等方性液体
次いで、実施例1及び2と同様にして真空成膜によりITO電極を設けた2枚のガラス基板を、それぞれITO電極が対向するように、スペーサー粒子によってギャップ(15μm)を設け、貼り合わせてセルを作成した。そのセルに、前記で調製したジスチリル誘導体(A1)とジスチリル誘導体(A2)を等量(重量比で1:1)含む混合物20mgを、等方性液体となる条件下にセル中に注入した。一旦室温域まで自然冷却し、スメクチック相の相転移で生じる固体状態とした後、次いで、8Vの電圧を印加し、除々に加温し、各温度毎の電流量を測定した。その結果を表5及び図6に示す。
Figure 0005528766
本発明の棒状のイオン性液晶化合物を用いて、ホッピング伝導を行うことにより、従来の電荷輸送材料(例えば、参考例1)にない1ミリA/cm以上、好ましくは10ミリA/cm以上の電流密度で電荷の輸送を可能にし、また、室温域(30℃)においても、約1ミリA/cm以上の電流密度で電荷の輸送が可能になる。
本発明の電荷輸送方法によれば、液晶相としてスメクチック相を有し、陽イオン基及び陰イオンからなる棒状のイオン性液晶化合物を用いて、ホッピング伝導により電荷の輸送を行うことにより、従来の電荷輸送材料にない1ミリA/cmオーダ以上、好ましくは10ミリA/cm以上の電流密度で電荷の輸送を可能とする。これは導電率で少なくとも10−1s/cm以上に相当する。
従って、本発明の電荷輸送方法を用いることにより、電荷輸送性を利用した光センサ、有機エレクトロルミネッセンス素子(EL素子)、光導電体、空間変調素子、薄膜トランジスター、電子写真感光体の電荷輸送物質、ホトリソグラグラフティブ、太陽電池、非線形光学材料、有機半導体コンデンサー、光電変換素子、その他のセンサー等の電荷輸送方法として好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 液晶相としてスメクチック相を有する陽イオン基及び陰イオンからなる棒状のイオン性液晶化合物を用い、スメクチック相の液晶状態又はスメクチック相からの相転移で生じる固体状態でホッピング伝導により電荷の輸送を行わせる電荷輸送方法において、前記陽イオン基がピリジニウム基であることを特徴とする電荷輸送方法。
  2. 前記棒状のイオン性液晶化合物が、下記一般式(6):
    Figure 0005528766


    (一般式(6)中、R及びRは、アルキル基、アルコキシ基、又は下記一般式(4):
    Figure 0005528766


    (一般式(4)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Zは、−(CH−、−(CH−O−、−CO−O−(CH−、−CO−O−(CH−O−、−C−CH−O−又は−CO−を示す。Z中、mは、1〜30の整数である。)
    で表される不飽和結合を有する基を示し、Xは、ハロゲン原子を示す。)
    で表される4−(1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジニウム塩型棒状のイオン性液晶化合物であることを特徴とする請求項1項記載の電荷輸送方法。
  3. 前記一般式(6)中のR及びRが、アルキル基であることを特徴とする請求項2記載の電荷輸送方法。
  4. 前記一般式(6)中のRが、炭素数8〜22のアルキル基であり、且つRが、炭素数1〜4のアルキル基であることを特徴とする請求項2記載の電荷輸送方法。
  5. 前記一般式(6)中のXが、ヨウ素原子であることを特徴とする請求項2記載の電荷輸送方法。
  6. 液晶相としてスメクチック相を有する陽イオン基及び陰イオンからなる棒状のイオン性液晶化合物を含有する電荷輸送材料であって、前記陽イオン基がピリジニウム基であることを特徴とする電荷輸送材料。
  7. 一対の電極を設けた電極間に、少なくとも請求項6記載の電荷輸送材料からなる電荷輸送層を設けたことを特徴とする電荷輸送素子。
  8. 半導体層、該半導体の一方の面に設けられた色層、該色素層に対向して配された対極、及び該色素層と該対極との間に配された電荷輸送層を有し、該電荷輸送層が、請求項6記載の電荷輸送材料からなることを特徴とする光電変換素子。
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