JP6094058B2 - 有機エレクトロニクス材料、インク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、及び光電変換素子 - Google Patents

有機エレクトロニクス材料、インク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、及び光電変換素子 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロニクス材料、インク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子(以下、有機EL素子ということもある)、及び光電変換素子に関する。
有機エレクトロニクス素子は、有機物を用いて電気的な動作を行う素子であり、省エネルギー、低価格、柔軟性といった特長を発揮できると期待され、従来のシリコンを主体とした無機半導体に替わる技術として注目されている。
有機エレクトロニクス素子の一例としては、有機EL素子、有機光電変換素子、有機トランジスタなどが挙げられる。
有機エレクトロニクス素子の中でも有機EL素子は、例えば、白熱ランプ、ガス充填ランプの代替えとして、大面積ソリッドステート光源用途として注目されている。また、フラットパネルディスプレイ(FPD)分野における液晶ディスプレイ(LCD)に置き換わる最有力の自発光ディスプレイとしても注目されており、製品化が進んでいる。
近年、有機EL素子の発光効率・寿命を改善する目的で、電荷輸送性の化合物に電子受容性化合物を混合して用いる試みがなされている。例えば、正孔輸送性化合物に、電子受容性化合物として、トリス(4−ブロモフェニルアミニウムヘキサクロロアンチモネート)(tris(4-bromophenylaminium hexachloroantimonate):TBPAH)や、塩化鉄(III)(FeCl)や、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(tris(pentafluorophenyl)borane:PPB)を混合するものなどが挙げられる。
このように、電荷輸送性化合物と電子受容性化合物とを混合したときに生成する、電荷輸送性化合物のラジカルカチオンと対アニオンからなる化合物を生成させることが重要であると考えられる。
一方、有機EL素子は、用いる材料及び製膜方法から低分子型有機EL素子、高分子型有機EL素子の2つに大別される。高分子型有機EL素子は、有機材料が高分子材料により構成されており、真空系での成膜が必要な低分子型有機EL素子と比較して、印刷やインクジェットなどの簡易成膜が可能なため、今後の大画面有機ELディスプレイには不可欠な素子である。
低分子型有機EL素子、高分子型有機EL素子とも、これまで精力的に研究が行われてきたが、未だに発光効率の低さ、素子寿命の短さが大きな問題となっている。この問題を解決する一つの手段として、低分子型有機EL素子では多層化が行われている。
図1に多層化された有機EL素子の一例を示す。図1において、発光を担う層を発光層1、それ以外の層を有する場合、陽極2に接する層を正孔注入層3、陰極4に接する層を電子注入層5と記述する。さらに、発光層1と正孔注入層3の間に異なる層が存在する場合、正孔輸送層6と記述、さらに発光層1と電子注入層5の間に異なる層が存在する場合、電子輸送層7と記述する。なお、図1において、8は基板である。
低分子型有機EL素子は蒸着法で製膜を行うため、用いる化合物を順次変更しながら蒸着を行うことで容易に多層化が達成できる。一方、高分子型有機EL素子は印刷やインクジェットといった湿式プロセスを用いて製膜を行うため、上層を塗布する際に下層が溶解してしまうという課題が生じる。そのため、高分子型有機EL素子の多層化は低分子型有機EL素子に比べ困難であり、発光効率の向上、寿命の改善効果を得ることができなかった。
この問題に対処するために、これまでにいくつかの方法が提案されている。一つは、溶解度の差を用いる方法である。例えば、水溶性であるポリチオフェン:ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)からなる正孔注入層、トルエン等の芳香族系有機溶媒を用いて製膜された発光層の2層構造からなる素子である。この場合、PEDOT:PSS層はトルエン等芳香族溶媒に溶解しないため、2層構造を作製することが可能となっている。
また、非特許文献1には、溶解度の大きく異なる化合物を利用した3層構造の素子が開示されている。
また、特許文献1には、PEDOT:PSS上にインターレイヤー層と呼ばれる層を導入した3層構造の素子が開示されている。
また、非特許文献2〜4、特許文献2にはこのような課題を克服するために、シロキサン化合物やオキセタン基、ビニル基などの重合反応を利用して化合物の溶解度を変化させ、薄膜を溶剤に対して不溶化する方法が開示されている。
これらの多層化を図る方法は重要であるが、水溶性のPEDOT:PSSを使用すると薄膜中に残存する水分を除去する必要があることや、シロキサン化合物が空気中の水分に不安定といった問題点や素子特性が十分ではない問題点があった。
上記重合反応を利用するには、光や熱などの刺激により反応・分解して酸や塩基、ラジカル等を発生する適切な重合開始剤を添加する必要がある。
特許文献3、特許文献4、特許文献5にはフッ素を含有した光酸発生剤あるいは開始剤が開示されている。
また上記重合開始剤とポリマー又はオリゴマー等と組み合わせる場合、各々の溶解性が異なるため、使用する溶媒が制限される。また、非極性有機溶媒を使用した場合、インク状態での保存安定性に乏しく、有機EL素子作製の実用上の歩留低下の原因となっていた。
一方、近年、有機半導体材料を有機光電変換素子(有機太陽電池、光センサー等)の活性層に用いる検討が活発に行われている。特に、有機半導体薄膜により構成された太陽電池である有機薄膜太陽電池は、従来のシリコンや化合物半導体太陽電池と比較して、簡便な製法と低コストで製造することができるため、将来の低コスト太陽電池として期待されている。
このような有機薄膜太陽電池としては、ショットキー型、pnヘテロ接合型、バルクヘテロ接合型、p−i−n接合型等が提案されている。特に、p型有機半導体(例えば、ポリチオフェン誘導体やポルフェニレンビニレン誘導体等)と、n型有機半導体(例えば、フラーレン(C60)誘導体等)とをブレンドし、pn接合面をナノオーダで薄膜全体に分散させるようにしたバルクヘテロ接合型は、変換効率が高く、有望な技術として多くの研究がなされ始めている(例えば、特許文献6及び非特許文献5参照)。
また、有機薄膜太陽電池は、有機化合物の薄膜を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有しており、薄膜の形成方法としては、蒸着法と塗布法とに大別される。蒸着法は、主に低分子化合物を用い、真空中で基板上に薄膜を形成する手法である。一方、塗布法は、インクジェットや印刷等、溶液を用いて基板上に薄膜を形成する手法であり、材料の利用効率が高く大面積化に向いており、低コストな有機薄膜太陽電池を製造するのに不可欠な手法である。
つまり、有機薄膜太陽電池(光電変換素子)においても、塗布法で有機化合物の薄膜を形成する場合には、上記高分子型有機EL素子と同様の問題、すなわち上層を塗布する際に下層が溶解してしまうという問題があり、光電変換効率及び寿命の低下の原因なる。
特開2007−119763号公報 国際公開第2008/010487号 特開2003−215791号公報 特開2009−242391号公報 特許第3985020号公報 特開平6−179802号公報
Y. Goto, T. Hayashida, M. Noto, IDW ‘04 Proceedings of The 11th International Display Workshop, 1343-1346(2004) H. Yan, P. Lee, N. R. Armstrong, A. Graham, G. A. Evemenko, P. Dutta, T. J. Marks, J. Am. Chem. Soc., 127, 3172-4183(2005) E. Bacher, M.Bayerl, P. Rudati, N. Reckfuss, C. David, K. Meerholz, O. Nuyken, Macromolecules, 38, 1640(2005) M. S. Liu, Y. H. Niu, J. W. Ka, H. L. Yip, F. Huang, J. Luo, T. D. Wong, A. K. Y. Jen, Macromolecules, 41, 9570(2008) J.Xue,S.Uchida,B.P.Land,S.R.Forrest,Appl.Phys.Lett.,85, p.5757(2004)
本発明は、上記した問題に鑑み、駆動電圧の低減や安定した長時間駆動が可能な有機エレクトロニクス素子を作製しうる有機エレクトロニクス材料、及び該有機エレクトロニクス材料を含み、有機エレクトロニクス素子の製造時の歩留向上に寄与するインク組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、従来よりも電荷輸送性に優れた層を有する有機エレクトロニクス素子、及び有機EL素子を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、エネルギー変換効率が高い光電変換素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、電荷輸送性オリゴマーまたはポリマーに特定の構造を有する極性調整置換基とを組み合わせた本発明の有機エレクトロニクス材料が、上記の課題のいくつかを解決可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(12)の事項をその特徴とするものである。
(1)電荷輸送性ユニットを含む構造単位と、有機カチオンとアニオンとの組み合わせからなる極性調整置換基とを有するポリマー又はオリゴマーからなる有機エレクトロニクス材料。
(2)前記極性調整置換基が、下記式(A)〜(C)で表される前記(1)に記載の有機エレクトロニクス材料。
Figure 0006094058
(3)電荷輸送性ユニットが、芳香族アミン、カルバゾール、又はチオフェンである前記(1)又は(2)に記載の有機エレクトロニクス材料。
(4)ポリマー又はオリゴマーが一つ以上の重合可能な置換基を有する前記(1)〜(3)のいずれかに記載の有機エレクトロニクス材料。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の有機エレクトロニクス材料と、溶媒とを含むインク組成物。
(6)前記(5)に記載のインク組成物を用いて、塗布法で成膜した層を含む有機エレクトロニクス素子。
(7)基板が、樹脂フィルムである前記(6)に記載の有機エレクトロニクス素子。
(8)前記(1)〜(4)のいずれかに有機エレクトロニクス材料を用いて作製された有機エレクトロルミネセンス素子。
(9)少なくとも陽極、正孔注入層、発光層、陽極を積層してなる有機エレクトロルミネセンス素子であって、前記正孔注入層が前記(1)〜(4)のいずれかに記載の有機エレクトロニクス材料を用いて形成されてなる有機エレクトロルミネセンス素子。
(10)少なくとも陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、陰極を積層してなる有機エレクトロルミネセンス素子であって、前記正孔輸送層が前記(1)〜(4)のいずれかに記載の有機エレクトロニクス材料を用いて形成されてなる有機エレクトロルミネセンス素子。
(11)電極として透明電極を含む有機エレクトロルミネセンス素子であって、前記透明電極が前記(1)〜(4)のいずれかに記載の有機エレクトロニクス材料を用いて形成されてなる有機エレクトロルミネセンス素子。
(12)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の有機エレクトロニクス材料用いて作製された光電変換素子。
本発明によれば、駆動電圧の低減や安定した長時間駆動が可能な有機エレクトロニクス素子を作製しうる有機エレクトロニクス材料、及び該有機エレクトロニクス材料を含み、有機エレクトロニクス素子の製造時の歩留向上に寄与するインク組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、従来よりも電荷輸送性に優れた層を有する有機エレクトロニクス素子、有機EL素子、及び光電変換素子を提供することができる。
さらに、本発明によれば、エネルギー変換効率が高い光電変換素子を提供することができる。
多層化された有機EL素子の一例を示す模式図である。 実施例7〜9、及び比較例4において、有機EL素子のITOを正極、Alを陰極として電圧を印加した時の印加電圧−発光輝度の関係をグラフで示す図である。 実施例7〜9、及び比較例4において、有機EL素子のITOを正極、Alを陰極として電圧を印加した時の印加電圧−電流密度の関係をグラフで示す図である。
<有機エレクトロニクス材料>
本発明の有機エレクトロニクス材料は、電荷輸送性ユニットを含む構造単位と、有機カチオンとアニオンとの組み合わせからなる極性調整置換基とを有するポリマー又はオリゴマーからなることを特徴としている。
本発明において、極性調整置換基とは、有機カチオンとアニオンとの組み合わせからなる置換基であり、当該極性調整置換基としては、下記一般式(A)〜(C)で表される置換基が好ましい。
Figure 0006094058
上記式中、R11〜R34は、各々独立に、任意の有機基を表す。R11〜R34のうち隣接する2以上の基が、互いに連結して環を形成していてもよい。Aは長周期型周期表の第17族または第14族に属する元素を表し、Aは長周期型周期表の第16族または第14族に属する元素を表し、Aは長周期型周期表の第15族に属する元素を表す。Xはアニオンを表す。
上記カチオンの具体例としては、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウム、カルベニウム(トリチル)、アニリニウム、アンモニウム、セレニウム、ピリジニウム、イミダゾリウム、オキソニウム、キノリニウム、ピロリジニウム、アミニウム、イモニウム、トロピリウムが例示される。下記一般式(D)で表されるアニリニウム、アンモニウム、ピリジニウム、イミダゾリム、ピロリジニウムがより好ましく、下記一般式(E)で表されるアニリニウム、アンモニウムがさらに好ましい。
Figure 0006094058
Figure 0006094058
ここで、R41〜R44及びR51〜R53は各々独立に、任意の有機基を表す。それらは同一であってもよいし、異なっていてもよい。R41〜R44及びR51〜R53は連結して環を形成していてもよい。任意の有機基としては、化合物の安定性、溶媒への溶解性の観点から、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基であることが好ましい。ただし、R41〜R44及びR51〜R53の少なくとも1つは水素原子(H)、アルキル基、及びベンジル基のうちのいずれかである。
前記アルキル基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、置換基を有していてもよく、炭素数が通常1〜20程度であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基などが例示される。
インク組成物としたとき溶媒への溶解性を高める為に、R41〜R44及びR51〜R53の少なくとも1つがアルキル基であることが好ましくR41〜R44及びR51〜R53の少なくとも2つがアルキル基であることがより好ましく、R41〜R44及びR51〜R53のアルキル基まであることが好ましい。
また、有機基の置換が異なる2つ以上の極性調整置換基を組み合わせてもよいし、異なるカチオンを2つ以上組み合わせてもよい。
本発明において、極性調整置換基のアニオンは、従来公知のアニオンであれば特に限定されないが、下記一般式で表されるアニオンが、駆動電圧低減や安定した長時間駆動が可能な有機エレクトロニクス素子、特に有機EL素子を製造する上で好ましい。
Figure 0006094058
(式中、Y〜Yは、それぞれ独立に二価の連結基、R〜R16は、それぞれ独立に電子求引性の有機置換基(これらの構造中にさらに置換基、ヘテロ原子をもっていてもよく、また、R及びR、R〜R、R〜R10又はR11〜R16それぞれが結合して環状あるいはポリマー状になってもよい。)を表す。Eは酸素原子、Eは窒素原子、Eは炭素原子、Eはホウ素原子又はガリウム原子、Eはリン原子又はアンチモン原子を表す。)
電子求引性の有機置換基(上記式中のR〜R16)の例示としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、シアノ基、チオシアノ基、ニトロ基、メシル基等のアルキルスルホニル基、トシル基等のアリールスルホニル基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等の炭素数が通常1以上12以下、好ましくは6以下のアシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数が通常2以上10以下、好ましくは7以下のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基等の炭素数が通常3以上好ましくは4以上25以下好ましくは15以下の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を有するアリールオキシカルボニル基、アセトキシ基等の炭素数が通常2以上20以下のアシルオキシ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の炭素数が通常1以上10以下、好ましくは6以下の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル、アルケニル、アルキニル基にフッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子が置換したハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル基、ペンタフルオロフェニル基などの炭素数が通常6以上20以下のハロアリール基などが挙げられる。これらの中でも、負電荷を効率よく非局在化できる観点から、より好ましくは、上記有機基のうち水素原子を有する基の水素原子の一部または全てをフッ素等のハロゲン原子で置換した基、例えば、炭素数1〜20のヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状もしくは環状のパーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキルスルホニル基、パーフルオロアリール基、パーフルオロアルキルオキシスルホニル基、パーフルオロアリールスルホニル基、パーフルオロアリールオキシスルホニル基、パーフルオロアシル基、パーフルオロアルコキシカルボニル基、パーフルオロアシルオキシ基、パーフルオロアリールオキシカルボニル基、パーフルオロアルケニル基、パーフルオロアルキニル基であり、下記構造式群(1)で表されるが、これに限定されるものではない。また、これらの中でも、炭素数1〜8の直鎖状、分岐鎖状のパーフルオロアルキル基、炭素数3〜6の環状パーフルオロアルキル基、炭素数6〜18のパーフルオロアリール基が好ましい。
構造式群(1)
Figure 0006094058
また、前記一般式におけるY〜Yは2価の連結基を示すが、下記一般式(1c)〜(11c)のいずれか1種であることが好ましい。
Figure 0006094058
(式中、Rは任意の有機基(これらの構造中にさらに置換基、ヘテロ原子をもっていてもよい)を表す。)
一般式(7c)〜(11c)におけるRは、電子受容性の向上、溶媒への溶解性の観点から、各々独立に、置換されていてもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基であることが好ましく、より好ましくは前記置換基のうち、電子求引性の置換基を有する有機基であり、例えば、前記構造式群(1)の基が挙げられる。
本発明の有機エレクトロニクス材料における「電荷輸送性ユニット」について詳細に述べる。本発明において電荷輸送性ユニットとは、正孔または電子を輸送する能力を有した原子団であり、以下、その詳細について述べる。
上記電荷輸送性ユニットは、正孔または電子を輸送する能力を有してさえいればよく、特に限定されないが、芳香環を有するアミンやカルバゾール、チオフェンであることが好ましく、例えば、下記一般式(1)〜(58)で表される部分構造を有することが好ましい。
Figure 0006094058
Figure 0006094058
Figure 0006094058
Figure 0006094058
Figure 0006094058
Figure 0006094058
(式中、Eはそれぞれ独立に−R1、−OR2、−SR3、−OCOR4、−COOR5、−SiR678または一般式(59)〜(61)(ただし、R〜R11は、水素原子、炭素数1〜22個の直鎖、環状もしくは分岐アルキル基、または炭素数2〜30個のアリール基もしくはヘテロアリール基を表し、aおよびbおよびcは、1以上の整数を表す。ここで、アリール基とは、芳香族炭化水素から水素原子一個を除いた原子団であり、置換基を有していてもよく、ヘテロアリール基とは、ヘテロ原子を有する芳香族化合物から水素原子1個を除いた原子団であり、置換基を有していてもよい。)、または下記置換基群(A)〜置換基群(N)において表される基のいずれかを表す。Arは、それぞれ独立に炭素数2〜30個のアリーレン基、もしくはヘテロアリーレン基を表す。アリーレン基とは芳香族炭化水素から水素原子2個を除いた原子団であり置換基を有していてもよく、例えば、フェニレン、ビフェニル−ジイル、ターフェニル−ジイル、ナフタレン−ジイル、アントラセン−ジイル、テトラセン−ジイル、フルオレン−ジイル、フェナントレン−ジイル等が挙げられる。ヘテロアリール基とは、ヘテロ原子を有する芳香族化合物から水素原子2個を除いた原子団であり置換基を有していてもよく、例えば、ピリジン−ジイル、ピラジン−ジイル、キノリン−ジイル、イソキノリン−ジイル、アクリジン−ジイル、フェナントロリン−ジイル、フラン−ジイル、ピロール−ジイル、チオフェン−ジイル、オキサゾール−ジイル、オキサジアゾール−ジイル、チアジアゾール−ジイル、トリアゾール−ジイル、ベンゾオキサゾール−ジイル、ベンゾオキサジアゾール−ジイル、ベンゾチアジアゾール−ジイル、ベンゾトリアゾール−ジイル、ベンゾチオフェン−ジイル等が挙げられる。XおよびZはそれぞれ独立に二価の連結基で、特に制限はないが、前記Rのうち水素原子を1つ以上有する基から、さらに1つの水素原子を除去した基や後記連結基群(A)で例示される基が好ましい。xは0〜2の整数を表す。Yは前記三価の連結基であり、前記Rのうち、水素原子を2つ以上有する基から2つの水素原子を除去した基を表す。)
置換基群(A)
Figure 0006094058
置換基群(B)
Figure 0006094058
置換基群(C)
Figure 0006094058
置換基群(D)
Figure 0006094058
置換基群(E)
Figure 0006094058
置換基群(F)
Figure 0006094058
置換基群(G)
Figure 0006094058
置換基群(H)
Figure 0006094058
置換基群(I)
Figure 0006094058
置換基群(J)
Figure 0006094058
置換基群(K)
Figure 0006094058
置換基群(L)
Figure 0006094058
置換基群(M)
Figure 0006094058
置換基群(N)
Figure 0006094058
連結基群(A)
Figure 0006094058
また本発明におけるオリゴマーまたはポリマーは、有機薄膜の耐溶解性をさらに向上させるため、一つ以上の「重合可能な置換基」を有してもよい。ここで、上記「重合可能な置換基」とは、重合反応を起こすことにより2分子以上の分子間で結合を形成可能な置換基のことであり、以下、その詳細について述べる。
上記重合可能な置換基としては、炭素−炭素多重結合を有する基(例えば、ビニル基、アセチレン基、ブテニル基、アクリル基、アクリレート基、アクリルアミド基、メタクリル基、メタクリレート基、メタクリルアミド基、アレーン基、アリル基、ビニルエーテル基、ビニルアミノ基、フリル基、ピロール基、チオフェン基、シロール基等を挙げることができる)、小員環を有する基(たとえばシクロプロピル基、シクロブチル基、エポキシ基、オキセタン基、ジケテン基、エピスルフィド基等)、ラクトン基、ラクタム基、またはシロキサン誘導体を含有する基等が挙げられる。また、上記基の他に、エステル結合やアミド結合を形成可能な基の組み合わせなども利用できる。例えば、エステル基とアミノ基、エステル基とヒドロキシル基などの組み合わせである。重合可能な置換基としては、特に、オキセタン基、エポキシ基、ビニル基、ビニルエーテル基、アクリレート基、メタクリレート基が反応性の観点から好ましく、オキセタン基が最も好ましい。重合性置換基の自由度を上げ、硬化反応を生じさせやすくする観点からは、ポリマー又はオリゴマーの主鎖と重合性置換基が、炭素数1〜8のアルキル鎖で連結されていることがより好ましい。
また、本発明における電荷輸送性ユニットの由来となる電荷輸送性化合物は、市販のものでもよく、当業者公知の方法で合成したものであってもよく、特に制限はない。
また、本発明における電荷輸送性ユニットを有するポリマー又はオリゴマーは、ランダム、ブロック又はグラフト共重合体であってもよく、それらの中間的な構造を有する高分子、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。また、主鎖中に枝分かれを有し、末端が3つ以上あってもよい。
オリゴマー又はポリマーの重量平均分子量は、1000〜1000000が好ましく、2000〜500000がさらに好ましく、4000〜300000が最も好ましい。1000以上であれば製膜製が良好となり、1000000以下であればインク製造時での溶解性が良好となる。なお、ポリマー又はオリゴマーの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、ポリスチレン換算で測定したときの重量平均分子量のことである。
本発明において、電荷輸送性ユニットに対する極性調整置換基の置換位置に関しては、側鎖、主鎖、末端のいずれであってもよく、また、置換位置を2つ以上組み合わせてもよい。モノマー入手の容易性の観点からは、側鎖及び末端が好ましく、末端がさらに好ましい。また、導入率を正確に制御する観点からは、側鎖及び主鎖であることが好ましい。
極性調整置換基を有する構造単位のポリマー又はオリゴマに対しての割合としては、ポリマー又はオリゴマーの全構造単位(100mol%)に対して、1mol%から50mol%が好ましく、5mol%から40mol%がより好ましく、10mol%から30mol%がさらに好ましい。1mol%以上であれば、極性有機溶媒への溶解性向上の効果が得られやすく、50mol%以下であれば、ポリマー又はオリゴマーの極端な極性の変化なく精製が可能である。
また本発明における電荷輸送性ユニットは、極性調整置換基以外の溶解性を向上させる効果を示す置換基を置換してもよく、例えば、アルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
<インク組成物>
本発明のインク組成物は、既述の本発明の有機エレクトロニクス材料と溶媒とを含むことを特徴としており、その他の添加剤、例えば重合禁止剤、安定剤、増粘剤、ゲル化剤、難燃剤、酸化防止剤、還元防止剤、酸化剤、還元剤、表面改質剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、界面活性剤などを含んでいてもよい。前記溶媒としては、水やメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール、ペンタン、ヘキサン、オクタン等のアルカン、シクロヘキサン等の環状アルカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン等の芳香族溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート等の脂肪族エーテル、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、その他、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレンなどが挙げられるが、好ましくは芳香族溶媒、脂肪族エステル、芳香族エステル、脂肪族エーテル、芳香族エーテルを使用することができる。
本発明のインク組成物において、溶媒に対する有機エレクトロニクス材料の含有量は、種々の塗布プロセスに適用できる観点から0.1〜30質量%とすることが好ましい。
上記インク組成物を用いて各種の層を形成するためには、例えば、本発明の有機エレクトロニクス材料を含む溶液を、例えば、インクジェット法、キャスト法、浸漬法、凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、平板印刷、凸版反転オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の印刷法、スピンコーティング法等の公知の方法で所望の基体上に塗布した後、光照射や加熱処理などによりポリマー又はオリゴマーの重合反応を進行させ、塗布層の溶解度を変化(硬化)させることによって行うことができる。このような作業を繰り返すことで高分子型の有機エレクトロニクス素子や有機EL素子の多層化を図ることが可能となる。
上記のような塗布方法は、通常、−20〜+300℃の温度範囲、好ましくは10〜100℃、特に好ましくは15〜50℃で実施することができる。
また、上記光照射には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、蛍光灯、発光ダイオード、太陽光等の光源を用いることができる。
さらに、上記加熱処理は、ホットプレート上やオーブン内で行うことができ、0〜+300℃の温度範囲、好ましくは20〜250℃、特に好ましくは80〜200℃で実施することができる。
<有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子>
本発明の有機エレクトロニクス素子、又は有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)は、本発明のインク組成物を用いて塗布法で成膜した層を含むことを特徴としている。すなわち、いずれの素子も、本発明の有機エレクトロニクス材料を用いて作製されてなり、従来よりも駆動電圧が低く、長い発光寿命を有する。
以下に、本発明の有機エレクトロニクス材料より形成された層(以下、重合層とも呼ぶ。)を有する本発明のEL素子について詳述する。
<有機EL素子>
本発明の有機EL素子は、発光層、重合層、陽極、陰極、基板を備えていれば特に限定されず、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層などの他の層を有していてもよい。また、正孔注入層又は正孔輸送層を、本発明のインク組成物を用いて形成した層、すなわち本発明の有機エレクトロニクス材料より形成された層とすることが好ましい。
以下、各層について詳細に説明する。
[発光層]
発光層に用いる材料としては、低分子化合物であっても、ポリマーまたはオリゴマーであってもよく、デンドリマー等も使用可能である。蛍光発光を利用する低分子化合物としては、ペリレン、クマリン、ルブレン、キナクドリン、色素レーザー用色素(例えば、ローダミン、DCM1等)、アルミニウム錯体(例えば、Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum(III)(Alq))、スチルベン、これらの誘導体があげられる。蛍光発光を利用するポリマーまたはオリゴマーとしては、ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン(PPV)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、フルオレンーベンゾチアジアゾール共重合体、フルオレン−トリフェニルアミン共重合体、及びこれらの誘導体や混合物が好適に利用できる。
一方、近年有機EL素子の高効率化のため、燐光有機EL素子の開発も活発に行われている。燐光有機EL素子では、一重項状態のエネルギーのみならず三重項状態のエネルギーも利用することが可能であり、内部量子収率を原理的には100%まで上げることが可能となる。燐光有機EL素子では、燐光を発するドーパントとして、白金やイリジウムなどの重金属を含む金属錯体系燐光材料を、ホスト材料にドーピングすることで燐光発光を取り出す(M.A.Baldo et al.,Nature,vol.395,p.151(1998)、M.A.Baldo et al.,Apllied Physics Letters,vol.75,p.4(1999)、M.A.Baldo et al.,Nature,vol.403,p.750(2000)参照。)。
本発明の有機EL素子においても、高効率化の観点から、発光層に燐光材料を用いることが好ましい。燐光材料としては、IrやPtなどの中心金属を含む金属錯体などが好適に使用できる。具体的には、Ir錯体としては、例えば、青色発光を行うFIr(pic)〔イリジウム(III)ビス[(4,6-ジフルオロフェニル)-ピリジネート-N,C2]ピコリネート〕、緑色発光を行うIr(ppy)〔ファク トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム〕(前記M.A.Baldo et al.,Nature,vol.403,p.750(2000)参照)又はAdachi etal.,Appl.Phys.Lett.,78no.11,2001,1622に示される赤色発光を行う(btp)Ir(acac){bis〔2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナート−N,C3〕イリジウム(アセチル−アセトネート)}、Ir(piq)〔トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム〕等が挙げられる。
Pt錯体としては、例えば、赤色発光を行う2、3、7、8、12、13、17、18−オクタエチル−21H、23H−フォルフィンプラチナ(PtOEP)等が挙げられる。
燐光材料は、低分子又はデンドライド種、例えば、イリジウム核デンドリマーが使用され得る。またこれらの誘導体も好適に使用できる。
また、発光層に燐光材料が含まれる場合、燐光材料の他に、ホスト材料を含むことが好ましい。
ホスト材料としては、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよく、デンドリマーなども使用できる。
低分子化合物としては、例えば、CBP(4,4'-Bis(Carbazol-9-yl)-biphenyl)、mCP(1,3-bis(9-carbazolyl)benzene)、CDBP(4,4'-Bis(Carbazol-9-yl)-2,2’-dimethylbiphenyl)などが、高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレン、ポリフルオレンなどが使用でき、これらの誘導体も使用できる。
発光層は、蒸着法により形成してもよく、塗布法により形成してもよい。
塗布法により形成する場合、有機EL素子を安価に製造することができ、より好ましい。発光層を塗布法によって形成するには、燐光材料と、必要に応じてホスト材料を含む溶液を、例えば、インクジェット法、キャスト法、浸漬法、凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、平板印刷、凸版反転オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の印刷法、スピンコーティング法などの公知の方法で所望の基体上に塗布することで行うことができる。
[陰極]
陰極材料としては、例えば、Li、Ca、Mg、Al、In、Cs、Ba、Mg/Ag、LiF、CsF等の金属又は金属合金であることが好ましい。
[陽極]
陽極としては、金属(例えば、Au)又は金属導電率を有する他の材料、例えば、酸化物(例えば、ITO:酸化インジウム/酸化錫)、導電性高分子(例えば、ポリチオフェン−ポリスチレンスルホン酸混合物(PEDOT:PSS))を使用することもできる。
[電子輸送層、電子注入層]
電子輸送層、電子注入層としては、例えば、フェナントロリン誘導体(例えば、2,9-dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline(BCP))、ビピリジン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体(2-(4-Biphenylyl)-5-(4-tert-butylphenyl-1,3,4-oxadiazole) (PBD))、アルミニウム錯体(例えば、Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum(III)(Alq))などが挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も用いることができる。
[基板]
本発明の有機EL素子に用いることができる基板として、ガラス、プラスチック等の種類は特に限定されることはなく、また、透明のものであれば特に制限は無いが、ガラス、石英、光透過性樹脂フィルム等が好ましく用いられる。樹脂フィルムを用いた場合には、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能であり(つまり、フレキシブル基板)、特に好ましい。
樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。
また、樹脂フィルムを用いる場合、水蒸気や酸素等の透過を抑制するために、樹脂フィルムへ酸化珪素や窒化珪素等の無機物をコーティングして用いてもよい。
[発光色]
本発明の有機EL素子における発光色は特に限定されるものではないが、白色発光素子は家庭用照明、車内照明、時計や液晶のバックライト等の各種照明器具に用いることができるため好ましい。
白色発光素子を形成する方法としては、現在のところ単一の材料で白色発光を示すことが困難であることから、複数の発光材料を用いて複数の発光色を同時に発光させて混色させることで白色発光を得ている。複数の発光色の組み合わせとしては、特に限定されるものではないが、青色、緑色、赤色の3つの発光極大波長を含有するもの、青色と黄色、黄緑色と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有するものが挙げられる。また発光色の制御は、燐光材料の種類と量を調整することによって行うことができる。
<表示素子、照明装置、表示装置>
上記有機EL素子を用いて表示素子を構成することができる。
例えば、赤・緑・青(RGB)の各画素に対応する素子として、有機EL素子を用いることで、カラーの表示素子が得られる。
画像の形成には、マトリックス状に配置した電極でパネルに配列された個々の有機EL素子を直接駆動する単純マトリックス型と、各素子に薄膜トランジスタを配置して駆動するアクティブマトリックス型とがある。前者は、構造は単純ではあるが垂直画素数に限界があるため文字などの表示に用いる。後者は、駆動電圧は低く電流が少なくてすみ、明るい高精細画像が得られるので、高品位のディスプレイ用として用いられる。
また、上記有機EL素子を用いて照明装置を構成することができる。さらに、当該照明装置と、表示手段として液晶素子とを用いて、表示装置を構成することができる。バックライト(白色発光光源)として上述の照明装置を用い、表示手段として液晶素子を用いた表示装置、すなわち液晶表示装置としてもよい。この構成は、公知の液晶表示装置において、バックライトのみを上記照明装置に置き換えた構成であり、液晶素子部分は公知技術を転用することができる。
<光電変換素子>
本発明の光電変換素子は、本発明の有機エレクトロニクス材料を用いて作製されたことを特徴としている。
既述の通り、光電変換素子として、有機薄膜を含む場合には、有機EL素子の場合と同様の課題(上層を塗布する際に下層が溶解してしまうという課題)を有するが、本発明の有機エレクトロニクス材料を用いて有機薄膜とすることで、上記課題を解決することができ、高い光電変換効率及び長寿命を満足することができる。
本発明の光電変換素子は、少なくとも一方が透明な一対の電極と、前記電極間に光電変換層と、バッファ層(有機薄膜)と、を備え、前記バッファ層を、本発明の有機エレクトロニクス材料により形成された層とすることができる。
以下に、各層について説明する。
[光電変換層]
光電変換層は、光を吸収して電荷分離を起こし、起電力を発生するものであれば任意の材料を用いることができる。特に、変換効率の観点から、p型有機半導体と、n型有機半導体とをブレンドした混合物が好ましい。
p型有機半導体としては、例えば、オリゴチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリフェニレンビニレン(PPV)等のオリゴマー又はポリマー;ポルフィリン、フタロシアニン、銅フタロシアニン;これらの誘導体が好適に使用できる。
n型有機半導体としては、例えば、CN−ポリ(フェニレン−ビニレン)、MEH−CN−PPV、−CN基又は−CF基含有ポリマー、それらの−CF置換ポリマー;ポリ(フルオレン)誘導体、フルオレン−ベンゾチアジアゾール共重合体等のオリゴマー又はポリマー;フラーレン(C60)、[6,6]-phenyl-C61-butyric acid methyl ester(PCBM)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)、ペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド、キナクドリン等;これらの誘導体が好適に使用できる。
光電変換層の形成方法としては、特に限定されず、蒸着法により形成しても、塗布法により形成してもよい。
塗布法により形成する場合、光電変換素子を安価に製造することができ、より好ましい。塗布法により形成する方法としては、既述の塗布法を用いることができる。
光電変換層を塗布法により形成する場合、p型有機半導体と、n型有機半導体とをブレンドした混合物には、通常用いられるトルエン、クロロホルム等の溶媒を使用することが出来る。これらの溶媒を用いて光電変換層を塗布形成する場合でも、本発明における有機薄膜が光電変換層の溶媒によって溶解することがない。
[バッファ層]
上述の通り、本発明の光電変換素子におけるバッファ層は、本発明の有機エレクトロニクス材料により形成された層である。当該バッファ層は、本発明の有機エレクトロニクス材料を溶液とし、この溶液を塗布法により所望の基体上に塗布した後、光照射や加熱処理などにより、ポリマー又はオリゴマーの重合反応を進行させ、塗布層の溶解度を変化(硬化)させた層である。
上記塗布法は、例えば、インクジェット法、キャスト法、浸漬法、凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、平板印刷、凸版反転オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の印刷法、スピンコーティング法などの公知の方法で所望の基体上に塗布することで行うことができる。
上記のような塗布方法は、通常、−20〜+300℃の温度範囲、好ましくは10〜100℃、特に好ましくは15〜50℃で実施することができ、また上記溶液に用いる溶媒としては、特に制限されないが、例えば、クロロベンゼン、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、アニソール、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテート、ジフェニルメタン、ジフェニルエーテル、テトラリン等を挙げることができる。
また、塗布後、ホットプレートやオーブンによって+30〜+300℃の温度範囲で加熱することで溶媒を除去してもよい。
また、上記光照射には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、蛍光灯、発光ダイオード、太陽光等の光源を用いることができる。
一方、上記加熱処理は、ホットプレート上やオーブン内で行うことができ、0〜+300℃の温度範囲、好ましくは20〜250℃、特に好ましくは80〜200℃で実施することができる。
また、電荷輸送材料が有する重合可能な置換基の重合反応を進行させ、塗布層の溶解度を変化(硬化)させることで、さらに光電変換層等の他の層を塗布形成する場合でもその塗布液によって重合層が溶解することがないため、当該他の層を塗布法により形成することができる。つまり、塗布法によって多層構造を容易に作製することができ、高効率、長寿命の有機光電変換素子を、低コストで製造することができる。また、重合反応によって該層の熱的安定性を改善することもできる。
[その他の層]
また、変換効率を向上させる目的で、光電変換層以外の層を有していてもよい。
[電極]
電極は、導電性を有するものであれば任意の材料を用いることが可能である。電極としては、例えば、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム、フッ化リチウム等の金属あるいはそれらの合金や塩;酸化インジウムや酸化錫等の金属酸化物、あるいはその合金(ITO);ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等の導電性高分子;前記導電性高分子に、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、FeCl3等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、カリウム等の金属原子等のドーパントを添加したもの;金属粒子、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ等の導電性粒子をポリマーバインダー等のマトリクスに分散した導電性の複合材料等が挙げられる。また、これらを組み合わせて用いてもよい。
また、電極は少なくとも一対(2個)設けられるが、少なくとも一方は透明電極である。透明電極は、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の酸化物;金属薄膜;PEDOT:PSS等の導電性高分子等が挙げられる。
電極は、光電変換層内に生じた正孔及び電子を捕集する機能を有するものであり、正孔及び電子の捕集に適した電極材料を対にして用いることが好ましい。正孔の捕集に適した電極材料としては、例えば、Au、ITO等の高い仕事関数を有する材料が挙げられる。一方、電子の捕集に適した電極としては、例えば、Alのような低い仕事関数を有する材料が挙げられる
電極の形成方法は、特に制限はないが、例えば、真空蒸着、スパッタ、塗布法等を用いることができる。
[基板]
基板に用いる基材としては、各層を支持できるものであれば任意の材料を用いることが可能である。基材としては、例えば、ガラス等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ナイロン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、塩化ビニル、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン、ポリ乳酸等の有機材料;ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料等が挙げられる。また、ガスバリア性の付与のために、酸化珪素や窒化珪素等の無機物を積層してもよい。
また、基板が柔軟性を有する基材を用いたフレキシブル基板である場合、任意の形状に設置することができるとともに、衝撃が加えられても破損しにくく、好ましい。
特に、PET、PEN、PES、PI、PEI、COP、PPS等の有機材料からなる樹脂フィルムは、透明性、フレキシブル性を付与でき、基材としてより好ましい。
[封止]
本発明の光電変換素子は、外気の影響を低減させて長寿命化させるため、封止されていてもよい。封止に用いる材料としては、ガラス、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、PETやPEN等のプラスチックフィルム、酸化珪素や窒化珪素等の無機物等を用いることができる。
封止の方法としては、特に限定されないが、たとえば、真空蒸着、スパッタ、塗布法等により光電変換素子上に直接形成する方法や、ガラスやプラスチックフィルムを接着剤により張り合わせる方法等が使用可能である。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<電荷輸送性ユニットを有するポリマーの合成>
(Pd触媒の調製)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、室温下、サンプル管にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(73.2mg、80μmol)を秤取り、アニソール(15ml)を加え、30分間攪拌した。同様に、サンプル管にトリス(t−ブチル)ホスフィン(129.6mg、640μmol)を秤取り、アニソール(5ml)を加え、5分間攪拌した。これらの溶液を混合し室温で30分間攪拌し触媒とした。
(ポリマー1の合成)
三口丸底フラスコに、モノマー1(5.0mmol)、モノマー2(2.0mmol)、モノマー3(4.0mmol)、アニソール(20ml)を加え、さらに調製したPd触媒溶液(7.5ml)を加えた。30分撹拌した後、10%テトラエチルアンモニウム水酸化物水溶液(20ml)を加えた。すべての溶媒は30分以上窒素バブルにより脱気した後、使用した。この混合物を2時間加熱・還流した。ここまでの全ての操作は窒素気流下で行った。
反応終了後、有機層を水洗し、有機層をメタノール−水(9:1)に注いだ。生じた沈殿を吸引ろ過し、メタノール−水(9:1)で洗浄した。得られた沈殿をトルエンに溶解し、メタノールから再沈殿した。得られた沈殿を吸引ろ過し、トルエンに溶解し、triphenylphosphine,polymer-bound on styrene-divinylbenzene copolymer(strem chemicals社 、ポリマー100mgに対して200mg)を加えて、一晩撹拌した。撹拌終了後、triphenylphosphine,polymer-bound on styrene-divinylbenzene copolymerと不溶物をろ過して取り除き、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した。残さをトルエンに溶解した後、メタノール−アセトン(8:3)から再沈殿した。生じた沈殿を吸引ろ過し、メタノール−アセトン(8:3)で洗浄した。得られた沈殿を真空乾燥し、1.3gのポリマー1を得た。分子量は、溶離液にTHFを用いたGPC(ポリスチレン換算)により測定し、数平均分子量は8,900、重量平均分子量は52,300であった。
Figure 0006094058
[実施例1]
(有機エレクトロニクス材料1の合成)
上記ポリマー合成で得たポリマー1、0.2gをトルエン10mLに溶解し、塩酸(10%)0.1gを加え、撹拌したところ沈殿物が生成した。1h撹拌後、さらにSodium tetrakis(pentaphenyl)borate(10% aq.) 7.0gを加えた。1時間撹拌後、赤褐色の沈殿物が分離した。終夜放置後、濾取し、水洗、乾燥して赤褐色の固体物である有機エレクトロニクス材料1を得た。以上の反応の化学反応式を以下に示す。
Figure 0006094058
[実施例2]
(有機エレクトロニクス材料2の合成)
上記ポリマー合成で得たポリマー1、0.2gをトルエン10mLに溶解し、塩酸(10%)0.1gを加え、撹拌したところ沈殿物が生成した。1時間撹拌後、さらにセシウム トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド0.54gを加え5mLのアセトンを加えた。1h撹拌後、アセトンをロータリーエバポレーターで除いたところ赤褐色の沈殿物が生成した。終夜放置後、濾取し、水洗、乾燥して赤褐色の固体物である有機エレクトロニクス材料2を得た。以上の反応の化学反応式を以下に示す。
Figure 0006094058
[実施例3]
有機エレクトロニクス材料3の合成
上記ポリマー合成で得たポリマー1、0.2gをトルエン10mLに溶解し、塩酸(10%)0.1gを加え、撹拌したところ沈殿物が生成した。1時間撹拌後、さらにリチウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド 0.287gを加え5mLのアセトンを加えた。1h撹拌後、アセトンをロータリーエバポレーターで除いたところ赤褐色の沈殿物が生成した。終夜放置後、濾取し、水洗、乾燥して赤褐色の固体物である有機エレクトロニクス材料3を得た。以上の反応の化学反応式を以下に示す。
Figure 0006094058
[比較例1]
三口丸底フラスコに、モノマー1(5.0mmol)、モノマー4(5.0mmol)アニソール(20ml)を加え、さらに調製したPd触媒溶液(7.5ml)を加えた。30分撹拌した後、10%テトラエチルアンモニウム水酸化物水溶液(20ml)を加えた。すべての溶媒は30分以上窒素バブルにより脱気した後、使用した。この混合物を2時間加熱・還流した。ここまでの全ての操作は窒素気流下で行った。
反応終了後、有機層を水洗し、有機層をメタノール−水(9:1)に注いだ。生じた沈殿を吸引ろ過し、メタノール−水(9:1)で洗浄した。得られた沈殿をトルエンに溶解し、メタノールから再沈殿した。得られた沈殿を吸引ろ過し、トルエンに溶解し、triphenylphosphine,polymer-bound on styrene-divinylbenzene copolymer(strem chemicals社 、ポリマー100mgに対して200mg)を加えて、一晩撹拌した。撹拌終了後、triphenylphosphine,polymer-bound on styrene-divinylbenzene copolymerと不溶物をろ過して取り除き、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した。残さをトルエンに溶解した後、メタノール−アセトン(8:3)から再沈殿した。生じた沈殿を吸引ろ過し、メタノール−アセトン(8:3)で洗浄した。得られた沈殿を真空乾燥し、1.1gのポリマー2を得た。分子量は、溶離液にTHFを用いたGPC(ポリスチレン換算)により測定し、数平均分子量は11800、重量平均分子量は24100であった。
Figure 0006094058
上記ポリマー合成で得たポリマー2、0.2gをトルエン10mLに溶解し、塩酸(10%)0.1gを加え、1時間撹拌したが沈殿物が得られなかった。
<耐溶剤性及びインク安定性の評価>
[実施例4]
有機エレクトロニクス材料1(5.0mg)をシクロヘキサノン溶液(1000μl)に溶解し、インク組成物を調製した。このインク組成物を3000rpmで石英板上にスピンコートした。ついで、ホットプレート上で180℃で10分間加熱した。加熱後にトルエンに石英板を1分間浸漬し、洗浄をおこなった。洗浄前後のUV−visスペクトルにおける吸収極大(λmax)の吸光度(Abs)の比から、残膜率を測定した。また、上記で作製したインク組成物を室温、イエローランプ下で5日間保管し、インクの外観変化を観察した。
[実施例5]
有機エレクトロニクス材料1を有機エレクトロニクス材料2に変更した以外は全て実施例4と同様にして残膜率を測定し、インクの外観変化を観察した。
[実施例6]
有機エレクトロニクス材料1を有機エレクトロニクス材料3に変更した以外は全て実施例4と同様にして残膜率を測定し、インクの外観変化を観察した。
[比較例2]
有機エレクトロニクス材料1をポリマ2に変更した以外は全て実施例4と同様にして残膜率を測定した。しかし、ポリマ2はシクロヘキサンノンに完全溶解しなかった。
[比較例3]
ポリマ2(5.0mg)及びPhotoinitiator2074(ローディア社製0.5mg)をトルエン(1000μL)に溶解し、インク組成物を調製した。このインク組成物を用いて実施例4と同様にして残膜率を測定し、インクの外観変化を観察した。インクの外観は、保管1日後、微細な析出物が観察され、インクの安定性が低いことが明らかとなった。
Figure 0006094058
実施例および比較例の比較により、本発明の有機エレクトロニクス材料は耐溶剤性を発現でき、有機薄膜の積層構造を作製可能であることがわかる。またインク状態での安定性が高い材料である。
<有機EL素子の作製>
[実施例7]
ITOを1.6mm幅にパターニングしたガラス基板上に、上記で得た有機エレクトロニクス材料1(10mg)、シクロヘキサノン(2000μl)を混合した塗布溶液を、3000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で180℃、10分間加熱して、正孔注入層(30nm)を形成した。
次に、得られたガラス基板を真空蒸着機中に移しαNPD(40nm)、(CBP+Ir(piq)(5:1、30nm)、BAlq(10nm)、Alq(40nm)、LiF(膜厚0.5nm)、Al(膜厚100nm)の順に蒸着した。
電極形成後、大気開放することなく、乾燥窒素環境中に基板を移動し、0.7mmの無アルカリガラスに0.4mmのザグリを入れた封止ガラスとITO基板を、光硬化性エポキシ樹脂を用いて貼り合わせることにより封止を行い、多層構造の高分子型有機EL素子を作製した。以後の実験は大気中、室温(25℃)で行った。
この有機EL素子のITOを正極、Alを陰極として電圧を印加したところ、3.6Vで緑色発光が観測された。電流電圧特性はヒューレットパッカード社製の微小電流計4140Bで測定し、発光輝度はフォトリサーチ社製の輝度計プリチャード1980Bを用いて測定した。測定結果を図2及び図3に示す。
[実施例8]
有機エレクトロニクス材料1を有機エレクトロニクス材料2に変更した以外は全て実施例7と同様にして有機EL素子を作製した。
[実施例9]
有機エレクトロニクス材料1を有機エレクトロニクス材料3に変更した以外は全て実施例7と同様にして有機EL素子を作製した。
[比較例4]
有機エレクトロニクス材料1をポリマー2、シクロヘキサノンをトルエンに変更した以外は全て実施例7と同様にして有機EL素子を作製した。しかし、均一な緑色発光が得られなかった。
図2及び図3に示す通り、実施例7〜9と比較例4との比較から、本発明の有機エレクトロニクス材料が良好な有機EL素子を作製することが可能であることが分かる。
1 発光層
2 陽極
3 正孔注入層
4 陰極
5 電子注入層
6 正孔輸送層
7 電子輸送層
8 基板

Claims (12)

  1. 電荷輸送性ユニットを含む構造単位と、下記式(E)で表される有機カチオンとアニオンとの組み合わせからなる極性調整置換基と、を有する重量平均分子量4000〜1000000のポリマー又はオリゴマーからなる有機エレクトロニクス材料。
    Figure 0006094058
    [式(E)中、 51 は、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基であり、R 52 及び53は各々独立に有機基を表す。ただし、R52及びR53の少なくとも1つは、アルキル基、又はベンジル基である。]
  2. 前記アニオンが、下記式(1b)、(2b)、(3b)、(4b)または(5b)で表される、請求項1に記載の有機エレクトロニクス材料。
    Figure 0006094058
    [式(1b)〜(5b)中、Y〜Yは、それぞれ独立に二価の連結基を表し、R〜R16は、それぞれ独立に電子求引性の有機置換基(これらの構造中にさらに置換基、ヘテロ原子をもっていてもよく、また、R及びR、R〜R、R〜R10又はR11〜R16それぞれが結合して環状あるいはポリマー状になってもよい。)を表す。Eは酸素原子、Eは窒素原子、Eは炭素原子、Eはホウ素原子又はガリウム原子、Eはリン原子又はアンチモン原子を表す。]
  3. 電荷輸送性ユニットが、芳香族アミン、カルバゾール、又はチオフェンである請求項1又は2に記載の有機エレクトロニクス材料。
  4. ポリマー又はオリゴマーが一つ以上の重合可能な置換基を有する請求項1〜のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料と、溶媒とを含むインク組成物。
  6. 請求項に記載のインク組成物を硬化してなる層を含む有機エレクトロニクス素子。
  7. 基板が、樹脂フィルムである請求項に記載の有機エレクトロニクス素子。
  8. 請求項に記載のインク組成物を硬化してなる層を含む有機エレクトロルミネセンス素子。
  9. 少なくとも陽極、正孔注入層、発光層、陽極を積層してなる有機エレクトロルミネセンス素子であって、前記正孔注入層が請求項に記載のインク組成物を硬化してなる層である、有機エレクトロルミネセンス素子。
  10. 少なくとも陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、陰極を積層してなる有機エレクトロルミネセンス素子であって、前記正孔輸送層が請求項に記載のインク組成物を硬化してなる層である、有機エレクトロルミネセンス素子。
  11. 請求項に記載のインク組成物を硬化してなる層を含む光電変換素子。
  12. 請求項に記載のインク組成物を用いて塗布法で層を成膜することを含む、有機エレクトロニクス素子の製造方法。
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