JP5664360B2 - 有機エレクトロニクス用材料、インク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、照明装置、及び表示装置 - Google Patents
有機エレクトロニクス用材料、インク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、照明装置、及び表示装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5664360B2 JP5664360B2 JP2011052915A JP2011052915A JP5664360B2 JP 5664360 B2 JP5664360 B2 JP 5664360B2 JP 2011052915 A JP2011052915 A JP 2011052915A JP 2011052915 A JP2011052915 A JP 2011052915A JP 5664360 B2 JP5664360 B2 JP 5664360B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- organic
- layer
- electronics
- polymerization
- substrate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E10/00—Energy generation through renewable energy sources
- Y02E10/50—Photovoltaic [PV] energy
- Y02E10/549—Organic PV cells
Landscapes
- Electroluminescent Light Sources (AREA)
- Photovoltaic Devices (AREA)
Description
しかし、水を除去することが困難であり、有機エレクトロニクス素子の特性を劣化させる原因となる。また水の除去の為に、高温、長時間の乾燥が必要になり、樹脂基材への有機エレクトロニクス素子の作製が困難であったり、減圧条件などプロセスに大きな制限が生じたりする。
また、有機溶媒を用いた例として、先に形成した下層に影響しない溶媒を選択する方法が開示されている(特許文献1参照)。
多層化構造をつくる他の方法として、架橋反応を使用する方法が開示されている。特許文献2には、トリフェニルアミン含有エーテルポリエーテルケトンを紫外線照射により、架橋し不溶化する方法が開示されている。この方法で、十分に不溶化するためには、長時間の紫外線照射が必要であり、トリフェニルアミンなどの分解が生じるなどの問題がある。
本発明はまた、発光効率及び寿命特性に優れた有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、照明装置、及び表示装置を提供することを目的とする。
本発明はさらに、エネルギー変換効率が高い有機光電変換素子を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)a)電荷輸送性化合物と、
b)カチオン重合性化合物と、
c)カチオン重合開始剤と、
d)ラジカル重合開始剤と、
を含有することを特徴とする有機エレクトロニクス用材料。
さらに、本発明によれば、エネルギー変換効率が高い有機光電変換素子を提供することができる。
本発明の有機エレクトロニクス用材料は、a)電荷輸送性化合物と、b)カチオン重合性化合物と、c)カチオン重合開始剤と、d)ラジカル重合開始剤と、を含有することを特徴としている。
以下に、本発明の有機エレクトロニクス用材料の各成分について詳述する。
本発明において、「電荷輸送性化合物」とは、電荷輸送性ユニットを有する化合物を言う。また、本発明において「電荷輸送性ユニット」とは、正孔または電子を輸送する能力を有した原子団であり、以下、その詳細について述べる。
本発明に係るb)カチオン重合性化合物は、例えば国際公開公報第05/070989号に定義の通りであり、該開示は参照により本明細書に組み入れられる。前記明細書に開示されている本カチオン重合性化合物は、アルキル又はアリールを含有するカチオン又はプロトンを用いてカチオン重合可能なものである。例えばエポキシ化合物(脂環式エポキシ化合物、グリシジルエーテル)、オキセタン化合物、ビニルエーテル、酸架橋性メラミン樹脂、酸架橋性ヒドロキシメチレン化合物、及び酸架橋性アルコキシ−メチレン化合物である。本カチオン重合性化合物は、紫外線硬化用途において周知である、エポキシ化合物と、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレートなどのアクリレートとの混合物をベースとするハイブリッド系を包含する。
以上のうち、本発明においては、硬化による収縮が少なく、良質な膜が得られることからエポキシ化合物とオキセタン化合物が好ましい。
本発明に係るc)カチオン重合開始剤は、熱、光、マイクロ波、放射線、電子線の印加およびこれらの併用によって、カチオン重合可能な置換基を重合させる能力を発現するものであればよく、従来から知られている公知の化合物を用いることができる。当該カチオン重合開始剤は、特に限定されないが、放射線照射、光照射または加熱によって重合を開始させるものであることが好ましく、光照射によって重合を開始させるもの(以後、光開始剤と記す)、加熱によって重合を開始させるもの(以後、熱開始剤と記す)であることが重合を簡便に開始できる観点からより好ましい。光開始剤としては、200nmから800nmの光照射、熱開始剤としては300℃以下の加熱によって重合可能な置換基を重合させる能力を発現するものであればよく、特に限定されないが、例えば、カチオン重合可能な置換基がオキセタン基の場合には、対カチオンと対アニオンからなるイオン化合物が反応性の観点から好ましく、以下その詳細について述べる。
対カチオンとしては、H+、カルベニウムイオン、アンモニムイオン、アニリニウムイオン、ピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピロリジニウムイオン、キノリニウムイオン、イモニウムイオン、アミニウムイオン、オキソニウムイオン、ピリリニウムイオン、クロメニリウム、kサンチリウムイオン、ヨードニウムイオン、スルホニウムイオン、ホスホニウムイオン、トロピリウムイオン、遷移金属を有するカチオンなどがあげられ、反応性の観点からH+、カルベニウムイオン、アニリニウムイオン、アミニウムイオン、ヨードニウムイオン、スルホニウムイオン、ホスホニウムイオン、トロピリウムイオンが好ましい。保存安定性との両立の観点からヨードニウムイオン、スルホニウムイオンがより好ましい。
対アニオンとしては、従来公知のアニオンであればいかなるものでもよく、例えば、F-、Cl-、Br-、I-などのハロゲンイオン;OH-;ClO4 -;FSO3 -、ClSO3 -、CH3SO3 -、C6H5SO3 -、CF3SO3 -などのスルホン酸イオン類;HSO4 -、SO4 2-などの硫酸イオン類;HCO3 -、CO3 2-などの炭酸イオン類;H2PO4 -、HPO4 2-、PO4 3-などのリン酸イオン類;PF6 -、PF5OH-などのフルオロリン酸イオン類、[(CF3CF2)3PF3]-、[(CF3CF2CF2)3PF3]-、[((CF3)2CF)3PF3]-、[((CF3)2CF)2PF4]-、[((CF3)2CFCF2)3PF3]-および[((CF3)2CFCF2)2PF4]-などのフッ素化アルキルフルオロリン酸イオン類;(CF3SO2)3C−、(CF3SO2)2N−などのフルオロアルカンスルホニルメチド、イミドイオン類、BF4 -、B(C6F5)4 -、B(C6H4CF3)4 -などのホウ酸イオン類、SbF6 -、SbF5OH-などのフルオロアンチモン酸イオン類、あるいはAsF6-、AsF5OH-などのフルオロヒ素酸イオン類、AlCl4 -、BiF6があげられるが、前述のカチオンと組合わせたときに、低温硬化が可能な重合開始剤となることから、PF6 -、PF5OH-などのフルオロリン酸イオン類、[(CF3CF2)3PF3]-、[(CF3CF2CF2)3PF3]-、[((CF3)2CF)3PF3]-、[((CF3)2CF)2PF4]-、[((CF3)2CFCF2)3PF3]-および[((CF3)2CFCF2)2PF4]-などのフッ素化アルキルフルオロリン酸イオン類;(CF3SO2)3C−、(CF3SO2)2N−などのフルオロアルカンスルホニルメチド,イミドイオン類、BF4 -、B(C6F5)4 -、B(C6H4CF3)4 -などのホウ酸イオン類、SbF6 -、SbF5OH-などのフルオロアンチモン酸イオン類が好ましい。
本発明に係るラジカル重合開始剤は、従来から知られている過酸化物やアゾ化合物等公知の化合物を用いることができる。
具体的には、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−アミルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸エステル、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(3−メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、t−アミルパーオキシノルマルオクトエート、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの中でもラジカル重合開始剤の1分間半減期温度が90〜175℃であることが好ましい。
本発明の有機エレクトロニクス素子は、以上の本発明の有機エレクトロニクス用材料を基板上に塗布し、成膜した層を有することを特徴としている。
本発明のインク組成物は、既述の本発明の有機エレクトロニクス用材料と溶媒とを含み、その他の添加剤、例えば重合禁止剤、安定剤、増粘剤、ゲル化剤、難燃剤、酸化防止剤、還元防止剤、酸化剤、還元剤、表面改質剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、界面活性剤などを含んでいてもよい。前記溶媒としては、水やメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール、ペンタン、ヘキサン、オクタン等のアルカン、シクロヘキサン等の環状アルカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン等の芳香族溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート等の脂肪族エーテル、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、その他、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレンなどが挙げられるが、好ましくは芳香族溶媒、脂肪族エステル、芳香族エステル、脂肪族エーテル、芳香族エーテルを使用することができる。
前記インク組成物において、溶媒に対する有機エレクトロニクス用材料の含有量は、種々の塗布プロセスに適用できる観点から0.1〜30質量%とすることが好ましい。
本発明の有機エレクトロニクス素子は、本発明の有機エレクトロニクス用材料を用いて形成する層を含み、該層は低温での重合硬化が可能であり、例えば耐熱性が低い基板(例えば、樹脂フィルム(詳細は後述する。))を選択できるなど、使用する基板を幅広く選択することができる。
本発明の有機エレクトロニクス素子は、既述の本発明の有機エレクトロニクス用材料より形成された層(以下、重合層とも表す)を有することを特徴としている。本発明の有機EL素子は、発光層、重合層、陽極、陰極、基板を備えていれば特に限定されず、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層などの他の層を有していてもよい。特に、少なくとも基板、陽極、正孔注入層、重合層、発光層および陰極を積層してなる態様、少なくとも基板、陽極、重合層、正孔輸送層、発光層および陰極を積層してなる態様が好ましい。以下、各層について詳細に説明する。
発光層に用いる材料としては、低分子化合物であっても、ポリマーまたはオリゴマーであってもよく、デンドリマー等も使用可能である。蛍光発光を利用する低分子化合物としては、ペリレン、クマリン、ルブレン、キナクドリン、色素レーザー用色素(例えば、ローダミン、DCM1等)、アルミニウム錯体(例えば、Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum(III)(Alq3))、スチルベン、これらの誘導体があげられる。蛍光発光を利用するポリマーまたはオリゴマーとしては、ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン(PPV)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、フルオレンーベンゾチアジアゾール共重合体、フルオレン−トリフェニルアミン共重合体、及びこれらの誘導体や混合物が好適に利用できる。
燐光材料は、低分子又はデンドライド種、例えば、イリジウム核デンドリマーが使用され得る。またこれらの誘導体も好適に使用できる。
ホスト材料としては、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよく、デンドリマーなども使用できる。
塗布法により形成する場合、有機EL素子を安価に製造することができ、より好ましい。発光層を塗布法によって形成するには、燐光材料と、必要に応じてホスト材料を含む溶液を、例えば、インクジェット法、キャスト法、浸漬法、凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、平板印刷、凸版反転オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の印刷法、スピンコーティング法などの公知の方法で所望の基体上に塗布することで行うことができる。
陰極材料としては、例えば、Li、Ca、Mg、Al、In、Cs、Ba、Mg/Ag、LiF、CsF等の金属又は金属合金であることが好ましい。
陽極としては、金属(例えば、Au)又は金属導電率を有する他の材料、例えば、酸化物(例えば、ITO:酸化インジウム/酸化錫)、導電性高分子(例えば、ポリチオフェン−ポリスチレンスルホン酸混合物(PEDOT:PSS))を使用することもできる。
電子輸送層、電子注入層としては、例えば、フェナントロリン誘導体(例えば、2,9-dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-. phenanthroline(BCP))、ビピリジン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体(2-(4-Biphenylyl)-5-(4-tert-butylphenyl-1,3,4-oxadiazole) (PBD))、アルミニウム錯体(例えば、Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum(III)(Alq3))などが挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も用いることができる。
本発明の有機EL素子に用いることができる基板として、ガラス、プラスチック等の種類は特に限定されることはなく、また、透明のものであれば特に制限は無いが、ガラス、石英、光透過性樹脂フィルム等が好ましく用いられる。樹脂フィルムを用いた場合には、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能であり、特に好ましい。
本発明の有機EL素子における発光色は特に限定されるものではないが、白色発光素子は家庭用照明、車内照明、時計や液晶のバックライト等の各種照明器具に用いることができるため好ましい。
本発明の表示素子は、既述の本発明の有機EL素子を備えたことを特徴としている。
例えば、赤・緑・青(RGB)の各画素に対応する素子として、本発明の有機EL素子を用いることで、カラーの表示素子が得られる。
画像の形成には、マトリックス状に配置した電極でパネルに配列された個々の有機EL素子を直接駆動する単純マトリックス型と、各素子に薄膜トランジスタを配置して駆動するアクティブマトリックス型とがある。前者は、構造は単純ではあるが垂直画素数に限界があるため文字などの表示に用いる。後者は、駆動電圧は低く電流が少なくてすみ、明るい高精細画像が得られるので、高品位のディスプレイ用として用いられる。
本発明の有機光電変換素子は、既述の本発明の有機エレクトロニクス用材料より形成された層(「重合層」と称する。)を有することを特徴としている。
本発明の有機光電変換素子は、具体的には、少なくとも一方が透明な一対の電極と、前記電極間に光電変換層と、バッファ層と、を備え、前記バッファ層が重合層である。また、重合層と光電変換層とが隣接して積層されている構造の場合に、上層形成時に上層の溶媒により下層が溶解されるのを防止することができる。ひいては、エネルギー変換効率の低下を抑えることができる。
以下、各層について詳述する。
本発明の有機光電変換素子は、本発明の有機エレクトロニクス用材料から得られるバッファ層を有する。当該バッファ層は、本発明の有機エレクトロニクス用材料を塗布法により所望の基体上に塗布した後、光照射や加熱処理などにより、電荷輸送性化合物が有する重合可能な置換基の重合反応を進行させ、塗布層の溶解度を変化(硬化)させた層である。
上記のような塗布方法は、通常、−20〜+300℃の温度範囲、好ましくは10〜100℃、特に好ましくは15〜50℃で実施することができ、また上記溶液に用いる溶媒としては、特に制限されないが、例えば、クロロベンゼン、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、アニソール、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテート、ジフェニルメタン、ジフェニルエーテル、テトラリン等を挙げることができる。
また、塗布後、ホットプレートやオーブンによって+30〜+300℃の温度範囲で加熱することで溶媒を除去してもよい。
光電変換層は、光を吸収して電荷分離を起こし、起電力を発生するものであれば任意の材料を用いることができる。特に、変換効率の観点から、p型有機半導体と、n型有機半導体とをブレンドした混合物が好ましい。
塗布法により形成する場合、有機光電変換素子を安価に製造することができ、より好ましい。塗布法により形成する方法としては、バッファ層の形成方法で述べた方法を用いることができる。
また、変換効率を向上させる目的で、バッファ層や光電変換層以外の層を有していてもよい。
電極は、導電性を有するものであれば任意の材料を用いることが可能である。電極としては、例えば、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム、フッ化リチウム等の金属あるいはそれらの合金や塩;酸化インジウムや酸化錫等の金属酸化物、あるいはその合金(ITO);ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等の導電性高分子;前記導電性高分子に、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、FeCl3等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、カリウム等の金属原子などのドーパントを添加したもの;金属粒子、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ等の導電性粒子をポリマーバインダー等のマトリクスに分散した導電性の複合材料などが挙げられる。また、これらを組み合わせて用いてもよい。
基板は、各層を支持できるものであれば任意の材料を用いることが可能である。基板としては、例えば、ガラス等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ナイロン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、塩化ビニル、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン、ポリ乳酸等の有機材料;ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属に、絶縁性を付与するために表面をコート或いはラミネートしたもの等の複合材料などが挙げられる。また、ガスバリア性の付与のために、酸化珪素や窒化珪素等の無機物を積層してもよい。
特に、PET、PEN、PES、PI、PEI、COP、PPS等の有機材料からなるフィルムは、透明性、フレキシブル性を付与でき、好ましい。
本発明の有機光電変換素子は、外気の影響を低減させて長寿命化させるため、封止されていてもよい。封止に用いる材料としては、ガラス、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、PETやPEN等のプラスチックフィルム、酸化珪素や窒化珪素等の無機物等を用いることができる。
本発明の有機光電変換素子の製造方法は、既述の本発明の有機エレクトロニクス材料を用い、塗布法により薄膜を形成し、さらにカチオン重合性化合物を反応させて溶解度を変化させてバッファ層を形成する過程を含む。
電荷輸送性化合物を有する化合物としてPoly[bis(4―phenyl)(2,4,6―trimethylphenyl)amine](5mg、Aldrich)と、カチオン重合性化合物としてキシリレンビスオキセタン(1.25g、東亞合成 アロンオキセタンOXT−121)のトルエン溶液(400μl)と、カチオン重合開始剤として下記化合物1(1.0g)の酢酸エチル溶液(100μl)、ラジカル重合開始剤として脂肪族系ジアシルパーオキサイド(パーロイルL、日本油脂株式会社)(0.2g)のトルエン溶液(100μl)を混合した塗布溶液を、3000rpmで石英板上にスピンコートした。ついで、ホットプレート上で、120℃で10分間加熱して重合反応を行った。加熱後にトルエン:酢酸エチル(4:1)の混合溶媒に石英板を1分間浸漬し、洗浄をおこなった。洗浄前後のUV−visスペクトルにおける吸収極大(λmax)の吸光度(Abs)の比から、残膜率を測定した。測定結果を表1に示す。
カチオン重合性化合物を用いなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で重合反応を行い、残膜率を測定した。測定結果を表1に示す。
カチオン重合開始剤を用いなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で重合反応を行い、残膜率を測定した。測定結果を表1に示す。
ラジカル重合開始剤を用いなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で重合反応を行い、残膜率を測定した。測定結果を表1に示す。
ITOを1.6mm幅にパターンニングしたガラス基板上に、バッファ層として、実施例1と同様の層(40nm)を同様にして形成した。次に、各20mgのP3HTとPCBMを1mLのクロロベンゼンに溶解した混合溶液をスピンコートし、光電変換層を形成した。次に、得られたガラス基板を真空蒸着機中に移し、Al(膜厚100nm)を蒸着し、有機光電変換素子を作製した。得られた有機光電変換素子に、AM1.5G(100mW/cm2)の擬似太陽光を照射し、電流−電圧特性(J−V特性)を測定し、エネルギー変換効率を求めた。エネルギー変換効率は0.4%であった。
Poly[bis(4―phenyl)(2,4,6―trimethylphenyl)amine]を、ポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)(regioregular、Aldrich)に変更した以外は、実施例2と同様の方法で有機光電変換素子を作製した。エネルギー変換効率は0.5%であった。
実施例2において、バッファ層を形成せず、ITOを1.6mm幅にパターンニングしたガラス基板上に、各20mgのP3HTとPCBMを1mLのクロロベンゼンに溶解した混合溶液をスピンコートし、光電変換層を直接形成した以外は同様に有機光電変換素子を作製した。エネルギー変換効率は0.2%であった。
Claims (21)
- a)電荷輸送性化合物と、
b)カチオン重合性化合物と、
c)カチオン重合開始剤と、
d)ラジカル重合開始剤と、
を含有することを特徴とする有機エレクトロニクス用材料。 - 前記電荷輸送性化合物が、芳香族アミン、カルバゾール、及びチオフェン化合物のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロニクス用材料。
- 前記電荷輸送性化合物がポリマー又はオリゴマーであることを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロニクス用材料。
- 前記電荷輸送性化合物が、カチオン重合性置換基又はラジカル重合性置換基を1つ以上有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス用材料。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料と溶媒とを含むことを特徴とするインク組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス用材料を基板上に塗布し、成膜した層を有することを特徴とする有機エレクトロニクス素子。
- 成膜した前記層を重合したことを特徴とする請求項6に記載の有機エレクトロニクス素子。
- 前記重合した層上に、さらに別の層を成膜し、多層化したことを特徴とする請求項7に記載の有機エレクトロニクス素子。
- 基板が、樹脂フィルムであることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス素子。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス用材料より形成された層を有することを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子。
- 少なくとも基板、陽極、正孔注入層、重合層、発光層および陰極を積層してなる有機エレクトロルミネセンス素子であって、前記重合層が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス用材料により形成された層であることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子。
- 少なくとも基板、陽極、重合層、正孔輸送層、発光層および陰極を積層してなる有機エレクトロルミネセンス素子であって、前記重合層が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス用材料により形成された層であることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子。
- 有機エレクトロルミネセンス素子の発光色が白色であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
- 基板が、フレキシブル基板であることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
- 基板が、樹脂フィルムであることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
- 請求項10〜15のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた表示素子。
- 請求項10〜15のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた照明装置。
- 請求項17に記載の照明装置と、表示手段として液晶素子と、を備えた表示素子。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の有機エレクトロニクス用材料より形成された層(以下、「重合層」と称する。)を有することを特徴とする有機光電変換素子。
- 前記重合層がバッファ層であることを特徴とする請求項19に記載の有機光電変換素子。
- 前記重合層と光電変換層とが隣接して積層されていることを特徴とする請求項19又は20に記載の有機光電変換素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011052915A JP5664360B2 (ja) | 2011-03-10 | 2011-03-10 | 有機エレクトロニクス用材料、インク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、照明装置、及び表示装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011052915A JP5664360B2 (ja) | 2011-03-10 | 2011-03-10 | 有機エレクトロニクス用材料、インク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、照明装置、及び表示装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012190989A JP2012190989A (ja) | 2012-10-04 |
JP5664360B2 true JP5664360B2 (ja) | 2015-02-04 |
Family
ID=47083838
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011052915A Expired - Fee Related JP5664360B2 (ja) | 2011-03-10 | 2011-03-10 | 有機エレクトロニクス用材料、インク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、照明装置、及び表示装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5664360B2 (ja) |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006302556A (ja) * | 2005-04-18 | 2006-11-02 | Seiko Epson Corp | 半導体素子の製造方法、半導体素子、電子デバイスおよび電子機器 |
JP2007129118A (ja) * | 2005-11-07 | 2007-05-24 | Seiko Epson Corp | 導電性材料用組成物、導電性材料、導電層、電子デバイスおよび電子機器 |
JP5245978B2 (ja) * | 2008-04-02 | 2013-07-24 | 日立化成株式会社 | 有機エレクトロニクス用材料 |
JP5659458B2 (ja) * | 2009-03-16 | 2015-01-28 | コニカミノルタ株式会社 | 有機エレクトロニクス素子、有機光電変換素子、及び有機エレクトロルミネッセンス素子 |
-
2011
- 2011-03-10 JP JP2011052915A patent/JP5664360B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2012190989A (ja) | 2012-10-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6760336B2 (ja) | 有機エレクトロニクス材料、重合開始剤及び熱重合開始剤、インク組成物、有機薄膜及びその製造方法、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、照明装置、表示素子、並びに表示装置 | |
Huang et al. | Crosslinkable hole-transporting materials for solution processed polymer light-emitting diodes | |
JP6032262B2 (ja) | 有機エレクトロニクス材料およびそれを含むインク組成物、ならびにそれらを用いて形成された有機薄膜、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、照明装置および表示装置 | |
TWI498350B (zh) | 有機電子用材料、有機電子元件、有機電激發光元件、及使用其之顯示元件、照明裝置、顯示裝置 | |
JP5737335B2 (ja) | 溶解度が変化する組成物、正孔輸送材料組成物、及び、これらを用いた有機エレクトロニクス素子 | |
KR101722302B1 (ko) | 유기 일렉트로닉스 재료, 잉크 조성물 및 유기 일렉트로닉스 소자 | |
KR102324619B1 (ko) | 폴리머 또는 올리고머, 정공 수송 재료 조성물 및 이들을 이용한 유기 일렉트로닉스 소자 | |
JP5994213B2 (ja) | 電子受容性化合物及びその製造方法、該化合物を含む重合開始剤、有機エレクトロニクス材料、これらを用いた有機薄膜、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、照明装置、並びに表示装置 | |
JP5678552B2 (ja) | 重合開始剤及び有機エレクトロニクス材料、これらを用いた有機薄膜及びその製造方法、インク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、照明装置、表示素子、並びに表示装置 | |
JP6089389B2 (ja) | 電子受容性化合物及びその製造方法、該化合物を含む重合開始剤、有機エレクトロニクス材料及びこれらを用いた有機薄膜、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、照明装置、並びに表示装置 | |
JP6094058B2 (ja) | 有機エレクトロニクス材料、インク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、及び光電変換素子 | |
JP5664360B2 (ja) | 有機エレクトロニクス用材料、インク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、照明装置、及び表示装置 | |
JP5664359B2 (ja) | 有機エレクトロニクス用材料、インク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、照明装置、及び表示装置 | |
JP6222268B2 (ja) | 電子受容性化合物及びその製造方法、該化合物を含む重合開始剤、有機エレクトロニクス材料、これらを用いた有機薄膜、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、照明装置、並びに表示装置 | |
JP5879795B2 (ja) | 有機エレクトロニクス材料、インク組成物、有機薄膜及びその製造方法、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、照明装置、並びに表示装置 | |
JP5834391B2 (ja) | 有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、照明装置、及び表示装置 | |
JP6123288B2 (ja) | 溶解度が変化する組成物、正孔輸送材料組成物、及び、これらを用いた有機エレクトロニクス素子 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140210 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20141029 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20141111 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20141124 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 5664360 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |