JP6069022B2 - 光電変換用増感色素およびそれを用いた光電変換素子ならびに色素増感太陽電池 - Google Patents

光電変換用増感色素およびそれを用いた光電変換素子ならびに色素増感太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は色素増感型の光電変換素子に用いられる増感色素と、それを用いた光電変換素子ならびに色素増感太陽電池に関する。
近年、石炭、石油、天然ガス等の化石燃料から生じる二酸化炭素が温室効果ガスとして地球温暖化や、地球温暖化による環境破壊を引き起こしており、さらに人口増加に伴う世界的なエネルギー消費の増大により、地球規模での環境破壊がますます進行することが懸念されている。このような状況において、化石燃料とは異なり枯渇する恐れのない太陽エネルギーを利用した検討が精力的に行われている。太陽光発電の導入により、地球温暖化の防止、光熱費の節約等が可能になるため、太陽エネルギーの開発や利用は、欧州や日本を中心に年々急速に進んでいる。
太陽光発電の手段としては、太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換させる光電変換素子を用いた太陽電池が注目されるようになってきた。太陽電池としては、単結晶、多結晶、アモルファスのシリコン系、ガリウムヒ素、硫化カドミウム、セレン化インジウム銅等の化合物半導体系といった無機系太陽電池が主に研究され、住宅用等に実用化されているものもある。しかし、これらの無機系太陽電池は製造コストが高いことや、原材料の確保が困難であること等の問題点を抱えている。
その一方で、有機材料を用いた有機系太陽電池は、製造コスト、大面積化、原材料確保の点で有利と言われている。有機系太陽電池としては、有機半導体と金属との接触界面における起電力の発生を利用するショットキー接合型が知られていたが、光電変換効率の向上に限界があることが認識されるようになった。そのため、2種の有機半導体の接触界面、あるいは有機半導体と無機半導体の接触界面を利用したpnヘテロ接合型が期待されるようになった。しかし、光電変換効率は無機系太陽電池と比べると格段に低く、耐久性も悪いという問題があった。
こうした状況の中、スイスのローザンヌ工科大学のグレッツェル教授らにより、高い光電変換効率を示す色素増感太陽電池が報告された(例えば、非特許文献1)。提案された色素増感太陽電池は、酸化チタン多孔質薄膜電極、ルテニウム錯体色素、電解液からなる湿式太陽電池である。色素増感太陽電池は、他の太陽電池に比べて素子構造が簡単で、大型の製造設備がなくても製造できる可能性があり、また、既に実用化されているアモルファスシリコン太陽電池に匹敵する高い光電変換効率が期待されることから、近年になって次世代型太陽電池として注目を集めている。
色素増感太陽電池に用いられる増感色素としては、光電変換効率の点からは、ルテニウム錯体が最も優位と考えられているが、ルテニウムは貴金属であるため製造コスト面で不利であり、かつ、実用化されて大量のルテニウム錯体が必要になった場合には、資源的な制約も問題となる。そのため、増感色素として、ルテニウム等の貴金属を含まない有機色素を用いた色素増感太陽電池の研究が盛んに行われるようになった。貴金属を含まない有機色素としては、クマリン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、ロダシアニン系色素、フタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素、キサンテン系色素等が報告されている(例えば、特許文献1〜3)。
特許文献1〜3に記載されている有機色素は、安価で吸光係数が大きく、かつ構造の多様性により吸収特性の制御が可能といった長所を有するものの、光電変換効率および経時安定性の面で、要求される特性を充分に満足するものが得られていないのが現状である。
特開平11−214730号公報 特開平11−238905号公報 特開2011−26376号公報 特表2002−525362号公報
Nature、1991年、第353巻、P.737−740 The Journal of Organic Chemistry、1984年、第49巻、第11号、P.1905−1908
本発明が解決しようとする課題は、効率よく電流を取り出すことのできる新規構造の増感色素を提供し、さらには該増感色素を用いた良好な光電変換素子ならびに色素増感太陽電池を提供することである。
上記課題を解決するため、発明者らは増感色素の光電変換特性向上について鋭意検討した結果、特定の構造を有する増感色素を用いることにより、高効率かつ高耐久性の光電変換素子が得られることを見出した。すなわち本発明は、以下の内容で構成されている。
1.下記一般式(1)で表される光電変換用増感色素。
Figure 0006069022
式中、Arは置換もしくは無置換のアリール基を表す。R〜Rは同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、アミノ基、一置換アミノ基、二置換アミノ基を表す。R〜Rは同一でも異なっていてもよく、水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。R、R10は同一でも異なっていてもよく、少なくとも2つの酸性基を置換基として有する炭素原子数1〜6のアルキル基、または炭素原子数1〜6の無置換アルキル基を表す。ただし、少なくともRまたはR10のいずれか1つは、少なくとも2つの酸性基を置換基として有する炭素原子数1〜6のアルキル基であるものとする。Xは酸素原子、硫黄原子またはCR1112を表す。R11、R12は同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。nは0〜3の整数、pは0〜2の整数を表す。nが2または3の場合、複数個存在するR〜Rは、そのR同士、R同士、R同士、R同士がそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。pが2の場合、2個存在するRは、互いに同一でも異なっていてもよい。
2.前記一般式(1)において、Arが置換もしくは無置換のフェニル基であることを特徴とする、前記1に記載の光電変換用増感色素。
3.前記一般式(1)において、少なくともRまたはR10のいずれか1つは、1,2−ジカルボキシエチル基または1,3−ジカルボキシプロピル基であることを特徴とする、前記1または2のいずれか一項に記載の光電変換用増感色素。
4.対向電極間に少なくとも半導体層および電解質層が設けられている色素増感型の光電変換素子において、前記1〜3のいずれか一項に記載の光電変換用増感色素を半導体層に担持させて得られることを特徴とする光電変換素子。
5.前記光電変換素子において、4−tert−ブチルピリジンが電解質層中に含有されていることを特徴とする、前記4記載の光電変換素子。
6.前記4または5のいずれか一項に記載の光電変換素子をモジュール化し、所定の電気配線を設けることによって得られることを特徴とする色素増感太陽電池。
本発明によれば、効率よく電流を取り出すことが可能な光電変換用増感色素を得ることができる。また、該光電変換用増感色素を用いることにより、高効率かつ高耐久性の光電変換素子および色素増感太陽電池を得ることができる。
本発明実施例1〜6、比較例1〜4の光電変換素子の構成を表す概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本発明の光電変換用増感色素は、色素増感型の光電変換素子において増感剤として用いられる。本発明の光電変換素子は、導電性支持体上の半導体層に色素を吸着させてなる光電極と対極とを、電解質層を介して対向配置させたものである。
以下に、前記一般式(1)で表される光電変換用増感色素について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式(1)においてArまたはR〜Rで表される、「置換もしくは無置換のアリール基」における「アリール基」としては具体的に、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基などの炭素原子数6〜20のアリール基をあげることができる。ここで、アリール基とは、芳香族炭化水素基および縮合多環芳香族基を表す。
一般式(1)においてArまたはR〜Rで表される、「置換もしくは無置換のアリール基」における「置換基」としては具体的に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基などの炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基などの炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基などの炭素原子数6〜20のアリール基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、ジ−t−ブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などの、炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、芳香族炭化水素基、縮合多環芳香族基、から選択される置換基を有する二置換アミノ基;水酸基;カルボキシル基、メチルエステル基、エチルエステル基などのエステル化されていてもよいカルボキシル基;カルボキシル基で置換された炭素原子数1〜6の直鎖状または分岐状のアルコキシ基;フェニルエテニル基、ジフェニルエテニル基などのエテニル基;シアノ基などをあげることができる。これら置換基の数は、1つでも複数でもよい。
一般式(1)においてR〜Rで表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基」における「炭素原子数1〜6のアルキル基」としては具体的に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基などの炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基をあげることができる。
一般式(1)においてR〜Rで表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基」における「置換基」としては具体的に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基などの炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基などのアリール基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、ジ−t−ブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などの、炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、芳香族炭化水素基、縮合多環芳香族基、から選択される置換基を有する二置換アミノ基;水酸基;カルボキシル基、メチルエステル基、エチルエステル基などのエステル化されていてもよいカルボキシル基;シアノ基などをあげることができる。これら置換基の数は、1つでも複数でもよいが、R〜Rが置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基の場合、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)であるのが好ましい。
一般式(1)においてR〜Rで表される、「ハロゲン原子」、「アミノ基」、「一置換アミノ基」、「二置換アミノ基」としては具体的に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−t−ブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などの、炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、芳香族炭化水素基、縮合多環芳香族基、から選択される置換基を有する一置換アミノ基もしくは二置換アミノ基をあげることができる。
一般式(1)においてRまたはR10で表される、「少なくとも2つの酸性基を置換基として有する炭素原子数1〜6のアルキル基」における「炭素原子数1〜6のアルキル基」としては具体的に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基などの、炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基をあげることができる。これらの中でも、炭素原子数1〜3の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基が好ましく、エチル基またはn−プロピル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
一般式(1)においてRまたはR10で表される、「少なくとも2つの酸性基を置換基として有する炭素原子数1〜6のアルキル基」における「酸性基」としては具体的に、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ヒドロキサム酸基、ホスホン酸基、ホウ酸基、ホスフィン酸基などをあげることができる。これらの中でも、カルボキシル基またはホスホン酸基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。「酸性基」の数は2つ以上であるが、2つであるのが好ましい。また、複数の酸性基は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(1)においてRまたはR10で表される、「少なくとも2つの酸性基を置換基として有する炭素原子数1〜6のアルキル基」としては、カルボキシル基またはホスホン酸基を有する炭素原子数1〜3の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基が好ましく、カルボキシル基またはホスホン酸基を有するエチル基またはn−プロピル基がさらに好ましい。具体的には、1,2−ジカルボキシエチル基または1,3−ジカルボキシプロピル基がより好ましく、1,2−ジカルボキシエチル基が特に好ましい。
一般式(1)においてRまたはR10で表される、「炭素原子数1〜6の無置換アルキル基」としては具体的に、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基などの炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基をあげることができる。これらの中でも、炭素原子数2〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基が好ましく、炭素原子数2〜4の直鎖状のアルキル基がより好ましく、エチル基またはn−プロピル基がさらに好ましく、エチル基が特に好ましい。
一般式(1)において、少なくともRまたはR10のいずれか1つは、少なくとも2つの酸性基を置換基として有する炭素原子数1〜6のアルキル基であるものとする。pが0の場合、Rが存在しないため、R10が、少なくとも2つの酸性基を置換基として有する炭素原子数1〜6のアルキル基となる。また、pが2の場合は、2個存在するRおよびR10のうちいずれか1つが、少なくとも2つの酸性基を置換基として有する炭素原子数1〜6のアルキル基であればよい。
一般式(1)において、Xは酸素原子、硫黄原子またはCR1112を表す。R11、R12で表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基」または「置換もしくは無置換のアリール基」における「炭素原子数1〜6のアルキル基」または「アリール基」としては具体的に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基などの炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基などの炭素原子数6〜20のアリール基をあげることができる。
一般式(1)において、R11、R12で表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基」または「置換もしくは無置換のアリール基」における「置換基」としては具体的に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基などの炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基などの炭素原子数6〜20のアリール基;フェニルエテニル基、ジフェニルエテニル基などのエテニル基;アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−t−ブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などの、炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基、から選択される置換基を有する一置換アミノ基もしくは二置換アミノ基;水酸基;カルボキシル基、メチルエステル基、エチルエステル基などのエステル化されていてもよいカルボキシル基、シアノ基などをあげることができる。
一般式(1)において、Arは置換もしくは無置換のフェニル基が好ましい。R〜Rは水素原子または置換もしくは無置換のアミノ基が好ましく、水素原子がより好ましい。R〜Rは水素原子またはヘキシル基が好ましく、水素原子がより好ましい。Xは酸素原子が好ましい。nは0〜2が好ましく、0または1がより好ましい。pは0または1が好ましく、0がより好ましい。
一般式(1)で表される本発明の光電変換用増感色素の中でも、少なくともRまたはR10のいずれか1つが1,2−ジカルボキシエチル基または1,3−ジカルボキシプロピル基である光電変換用増感色素は、半導体層の表面上に容易に吸着させることができ、光電変換特性の向上につながる。
一般式(1)で表される本発明の光電変換用増感色素は、取り得る全ての立体異性体を包含するものとする。いずれの異性体も本発明における光電変換用増感色素として好適に使用することができる。例えば前記一般式(1)においてpが0の場合、本発明の光電変換用増感色素は、下記一般式(2)または(3)で表される化合物を包含するものとする。また、前記一般式(1)において、pが1の場合、本発明の光電変換用増感色素は、下記一般式(4)〜(7)で表される化合物を包含するものとする。なお、これらの立体異性体から選ばれる2種以上の混合物であってもよい。
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一般式(1)で表される本発明の光電変換用増感色素の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の例示化合物は、取り得る立体異性体のうちの一例を示したものであり、その他全ての立体異性体を包含するものとする。また、それぞれ2種以上の立体異性体の混合物であってもよい。
Figure 0006069022
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これらの化合物の精製はカラムクロマトグラフィーによる精製、シリカゲル、活性炭、活性白土等による吸着精製、溶媒による再結晶や晶析法などによって行った。また、これらの化合物の同定は、NMR分析によって行った。
本発明の光電変換用増感色素は、公知の方法を用いて合成することができる。例えば、一般式(1)においてnが1〜3の場合は、相当するブロモ体(B−1)と、4−ホルミルフェニルボロン酸等のホルミル基を有するボロン酸(B−2)を用いて、Suzukiカップリング等のクロスカップリング反応を行うことにより、ホルミル体(B−3)を得ることができる。続いて、得られたホルミル体(B−3)とロダニン誘導体(B−4)との縮合反応を行うことにより、本発明の光電変換用増感色素を合成できる。また、一般式(1)においてnが0の場合は、相当するブロモ体(B−1)とブチルリチウム等との金属ハロゲン交換により生じたアリールリチウムを、DMFで捕捉することにより、ホルミル体(B−5)が得られる。その後は、ロダニン誘導体(B−4)との縮合反応を行うことにより、本発明の光電変換用増感色素を合成できる。
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ブロモ体(B−1)も、公知の方法により合成することができる。例えば、Xが酸素原子である場合は、相当する10位が各種アリール基で置換されたフェノキサジン誘導体に対し、臭素またはN−ブロモスクシンイミドなどによるブロモ化(例えば、非特許文献2参照)を行うことによってブロモ体(B−1)を得ることができる。また、ロダニン誘導体(B−4)は市販のものを用いてもよく、公知の方法(例えば、特許文献4参照)を用いて合成してもよい。例えば(B−4)においてpが0の場合は、少なくとも酸性基を2つ以上有するアスパラギン酸などの相当するアミノ酸誘導体等を用いて、公知の方法によりロダニン誘導体(B−6)を合成することができる。
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本発明の光電変換用増感色素は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、本発明の光電変換用増感色素は、本発明に属さない他の増感色素と併用することができる。他の増感色素の具体例としては、ルテニウム錯体、クマリン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、ロダシアニン系色素、フタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素、キサンテン系色素、前記一般式(1)以外の増感色素をあげることができる。本発明の光電変換用増感色素と、これら他の増感色素とを組み合わせて用いる場合は、本発明の光電変換用増感色素に対する他の増感色素の使用量を10〜200質量%とするのが好ましく、20〜100質量%とするのがより好ましい。
本発明において色素増感型の光電変換素子を作製する方法は特に限定されないが、導電性支持体上に半導体層を形成し、該半導体層に本発明の光電変換用増感色素を吸着させる方法が好ましい。色素を吸着させる方法としては、色素を溶媒に溶解して得られた溶液中に半導体層を長時間浸漬する方法が一般的である。本発明の光電変換用増感色素を2種以上併用する場合、あるいは本発明の光電変換用増感色素を他の増感色素と併用する場合は、使用する全ての色素の混合溶液を調製して半導体層を浸漬してもよく、また、それぞれの色素について別々の溶液を調製し、各溶液に半導体層を順に浸漬してもよい。
本発明では、導電性支持体として金属板の他に、表面に導電性材料を有する導電層を設けたガラス基板やプラスチック基板を用いることができる。導電性材料の具体例としては、金、銀、銅、アルミニウム、白金等の金属、フッ素ドープの酸化スズ、インジウム−スズ複合酸化物等の導電性透明酸化物半導体、炭素等をあげることができるが、フッ素ドープの酸化スズ薄膜をコートしたガラス基板を用いるのが好ましい。
本発明において半導体層を形成する半導体の具体例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化タンタル、酸化鉄、酸化ガリウム、酸化ニッケル、酸化イットリウム等の金属酸化物;硫化チタン、硫化亜鉛、硫化ジルコニウム、硫化銅、硫化スズ、硫化インジウム、硫化タングステン、硫化カドミウム、硫化銀等の金属硫化物;セレン化チタン、セレン化ジルコニウム、セレン化インジウム、セレン化タングステン等の金属セレン化物;シリコン、ゲルマニウム等の単体半導体等をあげることができる。これらの半導体は単独で用いるだけでなく、2種類以上を混合して用いることもできる。本発明においては、半導体として酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズを用いるのが好ましい。
本発明における半導体層の態様は特に限定されないが、微粒子からなる多孔質構造を有する薄膜であることが好ましい。多孔質構造等により、半導体層の実質的な表面積が大きくなり、半導体層への色素吸着量が増大すると、高効率の光電変換素子を得ることができる。半導体粒子径は5〜500nmが好ましく、10〜100nmがより好ましい。半導体層の膜厚は通常2〜100μmであるが、5〜20μmがより好ましい。半導体層を形成する方法としては、半導体微粒子を含むペーストをスピンコート法、ドクターブレード法、スキージ法、スクリーン印刷法等の湿式塗布法で導電性基板上に塗布した後、焼成により溶媒や添加物を除去して製膜する方法や、スパッタリング法、蒸着法、電着法、電析法、マイクロ波照射法等により製膜する方法をあげることができるが、これらに限定されない。
本発明において、半導体微粒子を含むペーストは市販品を用いてもよく、市販の半導体微粉末を溶媒中に分散させることによって調製したペースト等を用いてもよい。ペーストを調製する際に使用する溶媒の具体例としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒をあげることができるが、これらに限定されない。また、これらの溶媒は単独あるいは2種以上の混合溶媒として使用することができる。
本発明において半導体微粉末を溶媒中に分散させる際は、乳鉢等ですりつぶしてもよく、ボールミル、ペイントコンディショナー、縦型ビーズミル、水平型ビーズミル、アトライター等の分散機を用いてもよい。ペーストを調製する際には、半導体微粒子の凝集を防ぐために界面活性剤等を添加するのが好ましく、増粘させるためにポリエチレングリコール等の増粘剤を添加するのが好ましい。
本発明の光電変換用増感色素の半導体層表面上への吸着は、該色素溶液中に半導体層を浸し、室温で30分〜100時間放置、あるいは加熱条件下で10分〜24時間放置することにより行うが、室温で10〜20時間放置するのが好ましい。また、該色素溶液中の色素濃度は10〜2000μMが好ましく、50〜500μMがより好ましい。
本発明の光電変換用増感色素を、半導体層表面上に吸着させる際に用いる溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒をあげることができるが、これらに限定されない。これらの溶媒は単独あるいは2種以上の混合溶媒として使用される。これらの溶媒の中で、メタノール、エタノール、tert−ブチルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルが好ましい。
本発明の光電変換用増感色素を半導体層表面上に吸着する際には、コール酸またはデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リソコール酸、デヒドロコール酸等のコール酸誘導体を色素溶液中に溶解し、色素と共吸着させてもよい。コール酸またはコール酸誘導体を用いることにより色素同士の会合が抑制され、光電変換素子において色素から半導体層へ効率よく電子注入できるようになる。コール酸またはコール酸誘導体を用いる場合、色素溶液中におけるそれらの濃度は0.1〜100mMが好ましく、1〜10mMがより好ましい。
本発明の光電変換素子に用いる対極としては、導電性を有するものであれば特に限定されないが、レドックスイオンの酸化還元反応を促進するために、触媒能を持った導電性材料を使用するのが好ましい。該導電性材料の具体例としては、白金、ロジウム、ルテニウム、炭素等をあげることができるが、これらに限定されない。本発明においては、導電性支持体上に白金の薄膜を形成したものを対極として用いるのが特に好ましい。また、導電性薄膜を形成する方法としては、導電性材料を含むペーストをスピンコート法、ドクターブレード法、スキージ法、スクリーン印刷法等の湿式塗布法により導電性基板上に塗布した後、焼成により溶媒や添加物を除去して製膜する方法や、スパッタリング法、蒸着法、電着法、電析法、マイクロ波照射法等により製膜する方法をあげることができるが、これらに限定されない。
本発明の光電変換素子においては、対向電極間に電解質が充填され、電解質層が形成されている。用いる電解質としてはレドックス電解質が好ましい。レドックス電解質としては、ヨウ素、臭素、スズ、鉄、クロム、アントラキノン等のレドックスイオン対をあげることができるが、これらに限定されない。これらの中ではヨウ素系電解質、臭素系電解質が好ましい。ヨウ素系電解質の場合は、例えばヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム等とヨウ素の混合物が用いられる。本発明では、これらの電解質を溶媒に溶解させて得られた電解液を用いるのが好ましい。電解液中の電解質の濃度は、0.05〜5Mが好ましく、0.2〜1Mがより好ましい。
電解質を溶解させる溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒をあげることができるが、これらに限定されない。これらの溶媒は単独あるいは2種以上の混合溶媒として使用される。これらの溶媒の中で、ニトリル系溶媒が好ましい。
本発明では、前記電解液中に4−tert−ブチルピリジン、4−メチルピリジン、2−ビニルピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルベンズイミダゾール等のアミン系化合物を含有させてもよい。電解液中のアミン系化合物の濃度は、0.05〜5Mが好ましく、0.2〜1Mがより好ましい。アミン系化合物を電解液中に含有させることにより、色素増感型光電変換素子の開放電圧、フィルファクターが高くなるため、特に好ましい。
本発明では、前記電解液中にゲル化剤、ポリマー等を添加させて得られたゲル状電解質を用いてもよい。また、レドックス電解質を含む電解液の代わりに、ポリエチレンオキシド誘導体等のポリマーを用いた固体電解質を用いてもよい。ゲル状電解質、固体電解質を用いることにより、電解液の揮発を低減させることができる。
本発明の光電変換素子においては、対向電極間に電解質の代わりに固体電荷輸送層を形成してもよい。すなわち、対向電極間に少なくとも半導体層および固体電荷輸送層が設けられている色素増感型の光電変換素子としてもよい。固体電荷輸送層に含まれる電荷輸送物質は、正孔輸送物質であることが好ましい。電荷輸送物質の具体例としては、ヨウ化銅、臭化銅、チオシアン化銅等の無機正孔輸送物質、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ−p−フェニレンビニレン、ポリビニルカルバゾール、ポリアニリン、オキサジアゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、ピラゾリン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物等の有機正孔輸送物質があげられるが、これらに限定されない。
本発明において有機正孔輸送物質を用いて固体電荷輸送層を形成する場合、フィルム形成性結着剤樹脂を併用することが好ましい。フィルム形成性結着剤樹脂の具体例としては、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアリレート樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂等があげられるが、これらに限定されない。これらの樹脂は、単独あるいは共重合体として1種または2種以上を混合して用いることができる。これらの結着剤樹脂の有機正孔輸送物質に対する使用量は、20〜1000質量%が好ましく、50〜500質量%がより好ましい。
本発明の光電変換素子においては、半導体層に増感色素を吸着させてなる光電極が陽極となり、対極が陰極となる。太陽光等の光は光電極側、対極側のどちらから照射してもよいが、光電極側から照射する方が好ましい。太陽光等の照射により、色素が光を吸収して励起状態となって電子を放出する。この電子が半導体層を経由して外部に流れて対極へ移動する。一方、電子を放出して酸化状態になった色素は、対極から供給される電子を電解質中のイオンを経由して受け取ることにより、基底状態に戻る。このサイクルにより電流が流れ、光電変換素子として機能するようになる。
本発明の光電変換素子の特性を評価する際には、短絡電流、開放電圧、フィルファクター、光電変換効率の測定を行う。短絡電流とは、出力端子を短絡させたときの両端子間に流れる1cmあたりの電流を表し、開放電圧とは、出力端子を開放させたときの両端子間の電圧を表す。また、フィルファクターとは最大出力(電流と電圧の積)を、短絡電流と開放電圧の積で割った値であり、主に内部抵抗に左右される。光電変換効率とは、最大出力(W)を1cmあたりの光強度(W)で割った値に100を乗じてパーセント表示した値として求められる。
本発明の光電変換素子は、色素増感太陽電池や各種光センサー等に応用できる。本発明の色素増感太陽電池は、前記一般式(1)で表される増感色素を含有する光電変換素子がセルとなり、そのセルを必要枚数配列してモジュール化し、所定の電気配線を設けることによって得られる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[合成例1] 光電変換用増感色素(A−1)の合成
反応容器にトルエン20ml、エタノール5ml、水5mlを加え、そこに下記化合物(C−1)0.50g、4−ホルミルフェニルボロン酸0.27g、炭酸カリウム0.62gを加えて攪拌した。攪拌後、反応容器内の減圧、脱気、窒素置換を5回繰り返した。次に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.09gを加え、71℃で2時間加熱攪拌した。室温まで冷却した後、トルエン10ml、水20mlを加えて抽出操作を行った。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧下で溶媒を留去することによって粗製物を得た。得られた粗製物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘキサン=1/1)により精製し、減圧乾燥することによって、下記化合物(C−2)0.37g(収率69%)の黄色固体を得た。
Figure 0006069022
Figure 0006069022
窒素置換した反応容器中に、クロロホルム1200ml、L-アスパラギン酸α,β-ジベンジルエステル パラトルエンスルホン酸120g、トリエチルアミン57.5g、二硫化炭素44.4gを加え、6時間攪拌した。続いて、クロロ酢酸エチル33.3gを加えて2時間攪拌し、室温まで冷却した後、窒素雰囲気下で静置した。得られた反応液を水、飽和食塩水により順次洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧下で溶媒を留去することによって、赤色油状物を得た。得られた油状物136.6gを窒素置換した反応容器中に入れ、クロロホルム1200ml、トリエチルアミン12.5gを加えて2時間加熱攪拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、窒素雰囲気下で静置した。得られた反応液を水、飽和食塩水により順次洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧下で溶媒を留去することによって赤褐色油状物を得た。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製してベンジルエステル体を得た後、アセトニトリル中、トリメチルシリルクロライドおよびヨウ化ナトリウムを用いてベンジル基を脱保護することによって、下記化合物(C−3)18.2g(収率59%)の黄色固体を得た。
Figure 0006069022
反応容器にアセトニトリル30ml、化合物(C−2)0.51g、化合物(C−3)0.37g、ピペリジン0.20gを加え、2時間加熱環流した。室温まで冷却した後、反応液にクロロホルム30ml、酢酸エチル10mlを加え、1M塩酸50ml、水25mlを用いて洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去することによって粗製物を得た。粗製物を酢酸エチル30mlに溶解し、飽和食塩水30mlで洗浄後、有機層を無水酢酸ナトリウムで乾燥した。減圧下、溶媒を留去した後、クロロホルム20ml、酢酸エチル1ml、n−ヘキサン80mlを用いて晶析することによって、光電変換用増感色素(A−1)0.54g(収率65%)の赤褐色粉末を得た。
[実施例1]
フッ素ドープの酸化スズ薄膜をコートしたガラス基板上に、酸化チタンペースト(Solaronix製、Ti−Nanoxide D)をスキージ法により塗布した。110℃で1時間乾燥後、450℃で30分間焼成し、膜厚5μmの酸化チタン薄膜を得た。次に、合成例1で得られた光電変換用増感色素(A−1)をアセトニトリル/tert−ブチルアルコール=1/1の混合溶媒に溶解して濃度100μMの溶液50mlを調製し、この溶液中に、酸化チタンを塗布焼結したガラス基板を、室温において15時間浸漬して色素を吸着させ、光電極とした。
フッ素ドープの酸化スズ薄膜をコートしたガラス基板上にオートファインコータ(日本電子(株)製JFC−1600)を用いてスパッタリング法により膜厚15nmの白金薄膜を形成し、対極とした。次に、光電極と対極との間に厚さ60μmのスペーサ(熱融着フィルム)を挟んで熱融着により貼り合わせ、対極の孔から電解液を注入した後に孔を封止し、光電変換素子を作製した。電解液としては、ヨウ化リチウム0.1M、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム0.6M、ヨウ素0.05M、4−tert−ブチルピリジン0.5Mの3−メトキシプロピオニトリル溶液を用いた。
前記光電変換素子の光電極側から、擬似太陽光照射装置(分光計器(株)製OTENTO−SUN III型)で発生させた光を照射し、ソースメータ(KEITHLEY製、Model 2400 General−Purpose SourceMeter)を用いて電流−電圧特性を測定した。光の強度は100mW/cmに調整した。また、光を20時間照射した後についても光電変換効率の測定を行い、特性変化を評価した。測定結果を表1にまとめて示した。
[実施例2〜6]
光電変換用増感色素として、(A−1)の代わりにそれぞれ表1に示す増感色素を用いた以外は、実施例1と同様に光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。また、光を20時間照射した後についても光電変換効率の測定を行い、特性変化を評価した。測定結果を表1にまとめて示した。
[比較例1〜4]
光電変換用増感色素として、(A−1)の代わりに、本発明に属さない以下の(D−1)〜(D−4)に示す光電変換用増感色素を用いた以外は、実施例1と同様に光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。また、光を20時間照射した後についても光電変換効率の測定を行い、特性変化を評価した。測定結果を表1にまとめて示した。
Figure 0006069022
Figure 0006069022
Figure 0006069022
Figure 0006069022
Figure 0006069022
表1から、本発明の光電変換用増感色素を用いることにより、光電変換効率が高く、かつ光照射を長時間続けても高い光電変換効率が維持される光電変換素子が得られることが判明した。一方で、比較例の光電変換用増感色素を用いた光電変換素子の光電変換効率は不十分なものであった。
本発明の光電変換用増感色素を用いた太陽電池は、太陽光のエネルギーを電気エネルギーに効率よく変換できる色素増感太陽電池として有用であり、クリーンエネルギーを提供することができる。
1 導電性支持体
2 色素担持半導体層
3 電解質層
4 対極
5 導電性支持体

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表される光電変換用増感色素。
    Figure 0006069022
    式中、Arは置換もしくは無置換のアリール基を表す。R〜Rは同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、アミノ基、一置換アミノ基、二置換アミノ基を表す。R〜Rは同一でも異なっていてもよく、水素原子または置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。R、R10は同一でも異なっていてもよく、少なくとも2つの酸性基を置換基として有する炭素原子数1〜6のアルキル基、または炭素原子数1〜6の無置換アルキル基を表す。ただし、少なくともRまたはR10のいずれか1つは、少なくとも2つの酸性基を置換基として有する炭素原子数1〜6のアルキル基であるものとする。Xは酸素原子、硫黄原子またはCR1112を表す。R11、R12は同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。nは0〜3の整数、pは0〜2の整数を表す。nが2または3の場合、複数個存在するR〜Rは、そのR同士、R同士、R同士、R同士がそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。pが2の場合、2個存在するRは、互いに同一でも異なっていてもよい。
  2. 前記一般式(1)において、Arが置換もしくは無置換のフェニル基であることを特徴とする、請求項1に記載の光電変換用増感色素。
  3. 前記一般式(1)において、少なくともRまたはR10のいずれか1つは、1,2−ジカルボキシエチル基または1,3−ジカルボキシプロピル基であることを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の光電変換用増感色素。
  4. 対向電極間に少なくとも半導体層および電解質層が設けられている色素増感型の光電変換素子において、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の光電変換用増感色素を半導体層に担持させて得られることを特徴とする光電変換素子。
  5. 前記光電変換素子において、4−tert−ブチルピリジンが電解質層中に含有されていることを特徴とする、請求項4記載の光電変換素子。
  6. 請求項4または請求項5のいずれか一項に記載の光電変換素子をモジュール化し、所定の電気配線を設けることによって得られることを特徴とする色素増感太陽電池。
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