JP5528304B2 - 扁平形非水二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、信頼性に優れた扁平形非水二次電池に関するものである。
一般にコイン形電池やボタン形電池と称される扁平形の非水二次電池では、正極と負極とがセパレータを介して対向して構成された電極群と、非水電解液とを、外装ケースと封口ケースと絶縁ガスケットとで形成された空間内に収容した構造を有している。
前記のような扁平形非水二次電池では、正極および負極に、集電体の片面または両面に正極合剤層や負極剤層を形成し、かつ集電体の一部を、正極合剤層や負極剤層を形成せずに露出させ、これを集電タブとして利用し、各正極および各負極の集電タブを、それぞれ纏めて溶接などし、これらの纏めた集電タブを、端子を兼ねる外装ケースや封口ケースの内面と溶接などして電気的に接続しているものがある(例えば、特許文献1)。
特開2003−142161号公報
ところで、前記のような構成の扁平形非水二次電池では、例えば、落下などによって、電極に係る集電タブの、外装ケースや封口ケースの内面と溶接した近傍において、端部に亀裂が入るなどの傷つきが生じやすい。このような集電タブにおける傷つきは、直ぐに電池を使用不可能とするものではない場合が多いが、電池の信頼性を損なう要因ともなり得るものであることから、こうした傷つきを抑制して、電池の信頼性を高める技術の開発が求められる。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、信頼性に優れた扁平形非水二次電池を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の扁平形非水二次電池は、外装ケースと封口ケースとが、絶縁ガスケットを介してカシメ封口されて形成された空間内に、正極と負極とがセパレータを介して交互に、かつ前記外装ケースおよび前記封口ケースの扁平面に略平行に積層されており、正極および負極の合計枚数が3枚以上である電極群、および非水電解液を有する扁平形非水二次電池であって、前記外装ケースおよび前記封口ケースのいずれか一方が正極端子を兼ね、他方が負極端子を兼ねており、下記(1)または(2)の態様を有することを特徴とするものである。
(1)前記正極は、本体部と、平面視で、前記本体部から突出した、前記本体部よりも幅の狭い集電タブ部とを有しており、前記正極の本体部には、集電体の片面または両面に正極活物質を含む正極合剤層が形成されており、前記正極の集電タブ部では、集電体に正極合剤層が形成されておらず、前記電極群は、前記正極を少なくとも2枚有しており、前記各正極の集電タブ部が纏められ、互いに溶接されて一体化しており、前記一体化した各正極の集電タブ部が、正極端子を兼ねる外装ケースまたは封口ケースの内面に溶接されており、前記一体化した各正極の集電タブ部における正極端子を兼ねる外装ケースまたは封口ケースの内面との溶接痕と、前記一体化した各正極の集電タブ部の幅方向の端部との最短距離が、0.5mm以上である。
(2)前記負極は、本体部と、平面視で、前記本体部から突出した、前記本体部よりも幅の狭い集電タブ部とを有しており、前記負極の本体部には、集電体の片面または両面に負極活物質を含む負極剤層が形成されており、前記負極の集電タブ部では、集電体に負極剤層が形成されておらず、前記電極群は、前記負極を少なくとも2枚有しており、前記各負極の集電タブ部が纏められ、互いに溶接されて一体化しており、前記一体化した各負極の集電タブ部が、負極端子を兼ねる外装ケースまたは封口ケースの内面に溶接されており、前記一体化した各負極の集電タブ部における負極端子を兼ねる外装ケースまたは封口ケースの内面との溶接痕と、前記一体化した各負極の集電タブ部の幅方向の端部との最短距離が、0.5mm以上である。
なお、電池業界においては、高さより径の方が大きい扁平形電池をコイン形電池と呼んだり、ボタン形電池と呼んだりしているが、そのコイン形電池とボタン形電池との間に明確な差はなく、本発明の扁平形非水二次電池には、コイン形電池、ボタン形電池のいずれもが含まれる。
本発明によれば、信頼性に優れた扁平形非水二次電池を提供することができる。
本発明の扁平形非水二次電池の一例を模式的に表す縦断面図である。 本発明の扁平形非水二次電池に係る正極の一例を模式的に表す平面図である。 本発明の扁平形非水二次電池に係る負極の一例を模式的に表す平面図である。 図1の扁平形非水二次電池における外装ケースの内面と、互いに溶接して一体化した各正極の集電タブ部との溶接箇所およびその近傍の一例を表す平面図である。 本発明の扁平形非水二次電池の他の例を模式的に表す縦断面図である。 図5の扁平形非水二次電池の要部断面拡大図である。 本発明の扁平形非水二次電池に係るセパレータの一例を模式的に表す平面図である。
図1に、本発明の扁平形非水二次電池の一例を模式的に示す。図1は、扁平形非水二次電池の縦断面図であり、図1に示すように、扁平形非水二次電池1は、複数の正極5および複数の負極6を、セパレータ7を介して、それらの平面が電池の扁平面に略平行(平行を含む)となるように積層した積層型の電極群と、非水電解液(図示しない)とが、外装ケース2、封口ケース3および絶縁ガスケット4により形成される空間(密閉空間)内に収容されている。封口ケース3は、外装ケース2の開口部に絶縁ガスケット4を介して嵌合しており、外装ケース2の開口端部が内方に締め付けられ、これにより絶縁ガスケット4が封口ケース3に当接することで、外装ケース2の開口部が封口されて電池内部が密閉構造となっている。外装ケース2および封口ケース3は、ステンレス鋼などの金属製であり、絶縁ガスケット4は、ポリプロピレンなどの絶縁性を有する樹脂製である。
なお、図1の電池では、外装ケース2が正極端子を兼ね、封口ケース3が負極端子を兼ねているが、本発明の電池においては、例えば電極群の構成に応じて、外装ケースが負極端子を兼ね、封口ケースが正極端子を兼ねていてもよい。
図2に正極5の平面図を模式的に示しているが、正極5は、本体部5aと、平面視で、本体部5aから突出した、本体部5aよりも幅(図2中上下方向の長さ)の狭い集電タブ部5bとを有している。
正極5の本体部5aは、集電体(図1中52)の両面に、正極活物質などを含有する正極合剤層51が形成されている。そして、正極5の集電タブ部5bは、集電体52表面に正極合剤層が形成されておらず、集電体52が露出している。なお、図1に示す電池では、電極群における最外部側の電極がいずれも負極であるために、全ての正極5の本体部5aにおいては、集電体52の両面に正極合剤層51が形成されているが、例えば、電極群における最外部側の電極のうちの一方(より具体的には、正極端子を兼ねる外装ケース側または封口ケース側の電極)または両方を正極とすることもでき、その場合、電極群における最外部側の正極は、その本体部における集電体の片面(電池内側の面)にのみ正極合剤層を有していてもよい。
また、図3に負極6の平面図を模式的に示しているが、負極6は、本体部6aと、平面視で、本体部6aから突出した、本体部6aよりも幅(図3中上下方向の長さ)の狭い集電タブ部6bとを有している。
負極6の本体部6aは、集電体(図1中62)の片面または両面に、負極活物質などを含有する負極剤層61が形成されている。そして、負極6の集電タブ部6bは、集電体62表面に負極剤層が形成されておらず、集電体62が露出している。
図1に示す電池では、電極群の上下両端が負極6B、6Bとなっており、これらの負極6B、6Bは、集電体62の片面(電池内側の面)にのみ、負極剤層61を有している。一方、電極群の上下両端以外に配置されている負極6Aは、集電体62の両面に負極剤層61、61を有している。
また、図1に示す電池では、電極群を構成する全ての正極5の集電タブ部5bが纏められており、これらは互いに溶接されて一体化され、その端部が平面視で電極群の外側(図中左側)へ向くように折り曲げられている。そして、前記纏められ溶接されて一体化した各正極5の集電タブ部5bが、外装ケース2の内面に溶接されている。
図4に、図1の電池における外装ケース2の内面と、一体化した各正極5の集電タブ部との溶接箇所およびその近傍の一例を表す平面図を示している。図4では、一体化した各正極の集電タブ部500において、各集電タブ部を互いに溶接した箇所500aにドットを付して示している。すなわち、前記一体化した各正極の集電タブ部500において、ドットを付していない箇所(図中、500b)は、各集電タブ部が互いに溶接されていない箇所である。また、図4中、501は、前記一体化した各正極の集電タブ部500における外装ケース2の内面との溶接痕である。更に、図4中、100は電極群であり、図では、その上面(封口ケース3側の面)を表している。
そして、図4に示す電池では、前記一体化した各正極の集電タブ部500における外装ケース2の内面との溶接痕501が、前記一体化した各正極の集電タブ部500の幅方向の端部(図4中、縦線で表されている端部)とは離間した箇所に設けられている。
すなわち、本発明の電池では、一体化した各正極の集電タブ部を、正極端子を兼ねる外装ケースまたは封口ケースの内面と溶接している場合、前記一体化した各正極の集電タブ部における外装ケースまたは封口ケースの内面との溶接痕と、前記一体化した各正極の集電タブ部の幅方向の端部との最短距離(図4中、xの長さ)を、0.5mm以上、好ましくは0.8mm以上とする。または、本発明の電池では、一体化した各負極の集電タブ部を、負極端子を兼ねる外装ケースまたは封口ケースの内面と溶接している場合、前記一体化した各負極の集電タブ部における外装ケースまたは封口ケースの内面との溶接痕と、前記一体化した各負極の集電タブ部の幅方向の端部との最短距離を、0.5mm以上、好ましくは0.8mm以上とする。
前記の通り、扁平形非水二次電池に落下などの衝撃が加わった場合、外装ケースまたは封口ケースの内面と溶接している一体化した各電極(各正極または各負極)の集電タブ部の端部に亀裂が入りやすい。本発明者らの検討によって、前記一体化した各電極の集電タブ部と外装ケースまたは封口ケース内面との溶接痕が、前記一体化した各電極の集電タブ部の幅方向の端部に近接した箇所に存在する場合には、この溶接痕の形成箇所が亀裂の起点となることが判明した。
そこで、本発明では、一体化した各電極(各正極または各負極)の集電タブ部における外装ケースまたは封口ケースの内面との溶接痕と、前記一体化した各電極の集電タブ部の幅方向の端部との最短距離が0.5mm以上、好ましくは0.8mm以上となるように、前記溶接痕が前記一体化した各電極の集電タブ部の幅方向の端部から離間して形成されるようにして、電池に落下などの衝撃が加わった際の前記一体化した各電極の集電タブ部の端部における亀裂の発生を良好に抑制し、電池の信頼性を高めている。
ただし、一体化した各電極(各正極または各負極)の集電タブ部における外装ケースまたは封口ケースの内面との溶接痕と、前記一体化した各電極の集電タブ部の幅方向の端部との最短距離は、あまり長くしすぎると溶接により実際に接合されている領域が小さくなって、接合強度が小さくなる虞があることから、例えば、3.0mm以下とすることが好ましく、2.5mm以下とすることがより好ましい。
なお、一体化した各電極(各正極または各負極)の集電タブ部の幅(すなわち、正極または負極の集電タブ部の幅)は、例えば、1.2〜6.0mmであることが好ましい。
図1では、前記の通り、一体化した各正極5の集電タブ部5bが、外装ケース2の内面に溶接されている態様を示しているが、本発明の電池は、一体化した各正極の集電タブ部が、封口ケース(正極端子を兼ねる封口ケース)の内面に溶接されている態様であってもよい。この場合、一体化した各正極の集電タブ部における封口ケースの内面との溶接痕と、この一体化した各正極の集電タブ部の幅方向の端部との最短距離が、前記の値を満たせばよい。
なお、一体化した各正極の集電タブ部が、外装ケースまたは封口ケースの内面に溶接された態様の電池では、図1に示すように、電極群の最外部側の2枚の電極(上下両端の電極)がいずれも負極となることが通常である。その場合、電極群に係る負極と、負極端子を兼ねる外装ケースまたは封口ケースとの電気的接続については、例えば、図1に示すように、電極群に係る各負極の集電タブ部を纏めて溶接などして一体化すると共に、電極群の最外部側の負極のうち、負極端子を兼ねる外装ケースまたは封口ケースに近い方の負極について、集電体の片面(電極群の最外部側の面)に負極剤層を形成せずに集電体を露出させ、この集電体の露出面と負極端子を兼ねる外装ケースまたは封口ケースの内面とを接触させたり溶接したりすればよい。
図1に示すように、電極群の最外部側の2枚の電極がいずれも負極の場合、正極端子を兼ねる外装ケースまたは封口ケース(図1では外装ケース2)と、電極群(その最外部側の負極)との間には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリイミドなどで形成されたテープなどからなる絶縁シール(図1中、8)を配置すればよい。
また、本発明の電池では、例えば電極群の最外部側の2枚の電極を、いずれも正極としてもよく、その場合、電極群に係る負極と負極端子を兼ねる外装ケースまたは封口ケースとの電気的接続を、各負極の集電タブ部を纏めて互いに溶接して一体化とし、この一体化した各負極の集電タブ部と負極端子を兼ねる外装ケースまたは封口ケースの内面とを溶接することで行う。そして、この態様の場合、一体化した各負極の集電タブ部における外装ケースまたは封口ケースの内面との溶接痕と、この一体化した各負極の集電タブ部の幅方向の端部との最短距離が、前記の値を満たせばよい。
更に、例えば、電極群の最外部側の2枚の電極がいずれも正極の場合、電極群に係る正極と、正極端子を兼ねる外装ケースまたは封口ケースとの電気的接続は、例えば、電極群に係る各正極の集電タブ部を纏めて溶接などして一体化すると共に、電極群の最外部側の正極のうち、正極端子を兼ねる外装ケースまたは封口ケースに近い方の正極について、集電体の片面(電極群の最外部側の面)に正極合剤層を形成せずに集電体を露出させ、この集電体の露出面と正極端子を兼ねる外装ケースまたは封口ケースの内面とを接触させたり溶接したりすることができる。
電極群の最外部側の2枚の電極がいずれも正極の場合、負極端子を兼ねる外装ケースまたは封口ケースと、電極群(その最外部側の正極)との間には、例えば、PETやポリイミドなどで形成されたテープなどからなる絶縁シールを配置すればよい。
また、本発明の電池では、電極群の積層構成によっては、正極の各集電タブ部を纏めて互いに溶接して一体化し、これを正極端子を兼ねる外装ケースまたは封口ケースに、一体化した各正極の集電タブ部における溶接痕と一体化した各正極の集電タブ部の端部との最短距離が前記の値となるように溶接し、かつ各負極の集電タブ部を纏めて互いに溶接して一体化し、これを負極端子を兼ねる外装ケースまたは封口ケースに、一体化した各負極の集電タブ部における溶接痕と一体化した各負極の集電タブ部の端部との最短距離が前記の値となるように溶接する態様とすることもできる。
一体化した各電極(各正極または各負極)の集電タブ部における外装ケースまたは封口ケースの内面との溶接は、例えば、超音波溶接により実施することが好ましい。また、前記の超音波溶接では、一辺が0.1〜0.6mmの正方形状の溶接痕が形成されることが好ましいが、溶接痕の形状に制限はなく、0.1〜0.6mmの直径を有する円相当の面積の溶接痕であってもよい。そして、このようなサイズの溶接痕が、2〜10個程度形成されるように超音波溶接を行うことが好ましい。
また、図4に示す電池では、一体化した各正極の集電タブ部500における外装ケースまたは封口ケースの内面との溶接痕501が、各正極の集電タブ部が互いに溶接された箇所500aと、各正極の集電タブ部が互いに溶接されていない箇所500bとに存在している。このように、本発明の電池では、一体化した各電極(各正極または各負極)の集電タブ部における外装ケースまたは封口ケースの内面との溶接痕が、各電極の集電タブ部が互いに溶接された箇所と、各電極の集電タブ部が互いに溶接されていない箇所とに存在していることが好ましい。この場合には、一体化した各電極の集電タブ部と外装ケースまたは封口ケースの内面との溶接による接合がより良好となる。
なお、一体化した各電極の集電タブ部における外装ケースまたは封口ケースの内面との溶接痕は、各電極の集電タブ部が互いに溶接されていない箇所に存在することによって、互いに溶接された箇所に比べて集電タブ部表面の平滑性が高いことから、安定した溶接を行うことが容易となる。
本発明の電池では、正極の両面に配置された2枚のセパレータについて、それらの周縁部の少なくとも一部において、互いに溶着して接合部を形成することができる。
図5および図6に、本発明の扁平形非水二次電池の他の例を模式的に示す。図5および図6に示す電池は、正極5の両面に配置された2枚のセパレータ7、7の周縁部に接合部を形成して構成した電極群を有するものであり、図5は、電池の外装ケース2、封口ケース3および絶縁ガスケット4部分の断面を表す縦断面図であり、図6は図5の要部を拡大し、更に電極群の部分を断面にしたものである。
また、図7に、周縁部の一部に接合部を形成したセパレータの平面図を模式的に示す。なお、図7では、セパレータ7とともに、正極、負極およびセパレータが積層された積層型の電極群とした場合を想定して、セパレータ7の下に配置される正極5を点線で示し、それらの更に下側に配置される負極に係る集電タブ部6bを一点鎖線で示し、電極群に係る各構成要素の位置ずれを抑えるための結束テープ9を二点鎖線で示している。また、図7に示す正極5は、電極群において、その両側(両面)が負極と対向するものであり、図7では図示していないが、電極群とした場合、セパレータ7の上側(図中手前方向)には、少なくとも負極が配置される。
図7に示すセパレータ7は、正極5(図中点線で表示)を介してその下側(図中奥行き方向)に配置される他のセパレータと、その周縁部において互いに溶着した接合部7c(図中、格子模様で表示)を有している。すなわち、セパレータ7と、その下側に配置されたセパレータとは、周縁部で互いに溶着されて袋状となっており、その内部に正極5を収容している。
なお、図7に示すセパレータ7は、正極5の本体部5a全面を覆う主体部7a(すなわち、正極5の本体部5aよりも平面視での面積が大きな主体部7a)と、主体部7aから突出し、正極5の集電タブ部5bの、本体部5aとの境界部を少なくとも含む部分を覆う張り出し部7bとを有している。そして、セパレータ7の主体部7aの周縁部の少なくとも一部に、正極5の両面に配置された2枚のセパレータ(セパレータ7と、正極5の下側に配置されたセパレータ)同士を互いに溶着した接合部7cを設けている。
非水二次電池のセパレータには、高温下で熱収縮しやすい熱可塑性樹脂製の微多孔膜が使用されることが一般的であるが、このように、正極の両面に配置された2枚のセパレータにおいて、その周縁部を互いに溶着して接合部を形成することで、例えば、電池内が高温となっても、セパレータの熱収縮が抑制されるため、より安全性の高い電池を構成することができる。
なお、図7に示すように、主体部と張り出し部とを有するセパレータを使用する場合、正極の両面に配置された2枚のセパレータを接合するための接合部は、セパレータの主体部の周縁部に設ければよいが、セパレータの張り出し部の周縁部(セパレータの張り出し部の周縁部のうち、主体部からの突出方向に沿う部分)にも接合部を設けてもよい。
接合部は、2枚のセパレータの周縁部同士を直接溶着して形成してもよいが、2枚のセパレータの間に熱可塑性樹脂で構成される層を介在させ、この層を介して2枚のセパレータを溶着することにより形成してもよい。ただし、後者の場合、セパレータ間に介在させる層を構成する熱可塑性樹脂の種類と、セパレータを構成する熱可塑性樹脂の種類によっては、接合部の強度が小さくなる場合があるため、セパレータ間に介在させる層は、セパレータを構成する熱可塑性樹脂と同種の樹脂で構成されたものを使用することが好ましい。すなわち、セパレータ同士を直接溶着したり、セパレータを構成する熱可塑性樹脂と同種の樹脂で構成される層を介してセパレータ同士を溶着したりした場合には、接合部の強度がセパレータ自身の強度とほぼ同等となるため、例えば、電池の使用時に振動などによって生じる虞のある接合部での剥離が良好に抑制でき、更に信頼性の高い電池とすることができる。
なお、図7に示すように主体部と張り出し部とを有するセパレータを使用する場合、セパレータの主体部に係る周縁部は、全てが接合部となっていてもよいが、例えば、図7に示すように、周縁部の一部を、セパレータ同士を溶着せずに非溶着部7d、7dとして残してもよい。2枚のセパレータを溶着して袋状とした後に、その中に正極を収容したり、1枚のセパレータの上に正極を配置し、その正極の上に更にセパレータを配置して、セパレータの周縁部を溶着して袋状としたセパレータの中に正極を収容したりした場合、セパレータ内に空気が残留することがある。しかし、このような正極を用いて電池を製造する場合、外装ケースと封口ケースとをかしめる際に、前記の残留空気が、非溶着部7d、7dを通じてセパレータ外へ良好に排出されるため、セパレータ内の残留空気による問題(発電時の反応が不均一になって容量が低下するなどの問題)の発生を防止できる。
セパレータの周縁部に非溶着部を設ける場合、電池の生産性の低下を抑える観点から、その個数は1〜5個程度とすることが好ましい。また、セパレータの周縁部に非溶着部を設ける場合、セパレータの主体部に係る非溶着部の外縁の長さが、セパレータの主体部に係る外縁の全長さ(張り出し部を除く外縁の全長さ)の15〜60%程度することが好ましい。すなわち、セパレータの主体部においては、その外縁の全長さのうちの40%以上(好ましくは70%以上)が接合部であることが好ましく、これにより、セパレータ同士の接合強度を良好に確保することができる。
2枚のセパレータの周縁部に接合部を形成するとともに、これらのセパレータの間に正極を収容するには、2枚のセパレータ同士を直接溶着して接合部を形成する場合では、例えば、1枚のセパレータ上に正極を重ね、更にその上にセパレータを重ねた後、これらのセパレータの周縁部を溶着する方法が採用できる。また、2枚のセパレータを重ね、これらの周縁部を溶着してセパレータ同士を接合し、その後、これらのセパレータ間に正極を挿入する方法を採用することもできる。
一方、2枚のセパレータ同士の間にセパレータの構成樹脂と同種の樹脂で構成された層を介在させ、これらを溶着して接合部を形成する場合では、例えば、1枚のセパレータ上の接合部となることが予定される箇所に前記層となるフィルムを置き、かつこのセパレータ上に正極を配置し、更にその上にセパレータを重ねた後、これらのセパレータの周縁部を溶着する方法が採用できる。また、1枚のセパレータ上の接合部となることが予定されている箇所に前記層となるフィルムを置き、このセパレータとフィルムとを予め溶着しておき、その後、このセパレータに正極、セパレータの順に重ねて周縁部を溶着する方法や、2枚のセパレータの間に前記層となるフィルムを介在させて溶着して接合部を形成した後に、これらのセパレータ間に正極を挿入する方法を採用することもできる。
セパレータの周縁部の溶着は、例えば、加熱プレスにより行うことができる。この場合、加熱温度は、セパレータを構成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い温度であればよいが、例えば、融点より10〜50℃高い温度で行うことが好ましい。また、加熱プレスの時間については、良好に接合部が形成できれば特に制限はないが、通常は、1〜10秒程度とする。
なお、本発明の電池に使用するセパレータの平面形状は、例えば、前記のようにセパレータの周縁部の少なくとも一部に接合部(正極の両面に配置された2枚のセパレータに係る周縁部の少なくとも一部を、互いに溶着することにより形成する接合部)を形成する場合には、図7に示す形状であることが好ましいが、前記接合部を形成しない場合でも、図7に示す形状とすることが好ましい。
本発明の電池では、電極群の形成にあたり、少なくとも両側が負極と対向している正極の両面にはセパレータを配置するが、電極群の最外部側に配置される正極、すなわち片側(片面)のみが負極と対向している正極については、その両面にセパレータを配置してもよく(更に、これらの2枚のセパレータに接合部を形成してもよい)、負極と対向する面にのみセパレータを配置しても構わない。更に、電極群に係る最外部側の電極をいずれも正極とし、これらの正極の両面にセパレータを配置しない場合には、負極端子を兼ねる電池ケースと電極群の最外部の正極との間には、前記の通り、PETやポリイミドなどで形成されたテープなどからなる絶縁シールなどの絶縁体を配置する。
本発明の電池に係る正極の正極合剤層は、正極活物質、導電助剤、バインダなどを含有する層である。
本発明の電池に係る正極活物質としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCoNi1−y、LiCo1−y、LiNi1−y、LiMnNiCo1−y−z、LiMn、LiMn2−yなどのリチウム遷移金属複合酸化物などが挙げられる(ただし、前記の各リチウム遷移金属複合酸化物において、Mは、Mg、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、AlおよびCrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素であり、0≦x≦1.1、0<y<1.0、2.0≦z≦2.2である。)。これらの正極活物質は1種単独で使用してもよく、2種以上を併用しても構わない。
また、正極の導電助剤としては、例えば、カーボンブラック、鱗片状黒鉛、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、繊維状炭素などが挙げられる。更に、正極のバインダとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンラバーなどが挙げられる。
正極は、例えば、正極活物質と導電助剤とバインダとを混合して得られる正極合剤を水または有機溶剤に分散させて正極合剤含有ペーストを調製し(この場合、バインダは予め水または溶剤に溶解または分散させておき、それを正極活物質などと混合して正極合剤含有ペーストを調製してもよい)、その正極合剤含有ペーストを金属箔、エキスパンドメタル、平織り金網などからなる集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後、加圧成形することによって正極合剤層を形成して作製される。ただし、正極の作製方法は、前記例示の方法のみに限られることなく、他の方法によってもよい。
正極の組成としては、例えば、正極を構成する正極合剤100質量%中、正極活物質を75〜90質量%、導電助剤を5〜20質量%、バインダを3〜15質量%とすることが好ましい。また、正極合剤層の厚みは、例えば、30〜200μmであることが好ましい。
正極の集電体の素材としては、アルミニウムやアルミニウム合金が好ましい。なお、正極の総厚みを小さくし、電池内における正極および負極の積層数を増やすことで正極合剤層と負極剤層との対向面積を大きくして、電池の負荷特性を高める観点からは、集電体には金属箔を使用することが好ましい。また、集電体の厚みは、例えば、8〜20μmであることが好ましい。
本発明の電池に係る負極としては、活物質に、リチウム、リチウム合金、リチウムイオンを吸蔵放出可能な炭素材料、チタン酸リチウムなどを有する負極が挙げられる。
負極活物質に用い得るリチウム合金としては、例えば、リチウム−アルミニウム、リチウム−ガリウムなどのリチウムと可逆的に合金化するリチウム合金が挙げられ、リチウム含有量が、例えば1〜15原子%であることが好ましい。また、負極活物質に用い得る炭素材料としては、例えば、人造黒鉛、天然黒鉛、低結晶性カーボン、コークス、無煙炭などが挙げられる。
負極活物質に用い得るチタン酸リチウムとしては、一般式LiTiで表され、xとyがそれぞれ、0.8≦x≦1.4、1.6≦y≦2.2の化学量論数を持つチタン酸リチウムが好ましく、特にx=1.33、y=1.67の化学量論数を持つチタン酸リチウムが好ましい。前記一般式LiTiで表されるチタン酸リチウムは、例えば、酸化チタンとリチウム化合物とを760〜1100℃で熱処理することによって得ることができる。前記酸化チタンとしては、アナターゼ型、ルチル型のいずれも使用可能であり、リチウム化合物としては、例えば、水酸化リチウム、炭酸リチウム、酸化リチウムなどが用いられる。
負極は、負極活物質がリチウムやリチウム合金の場合は、リチウムやリチウム合金を金属網などの集電体に圧着することで、集電体の表面にリチウムやリチウム合金などからなる負極剤層を形成して得ることができる。他方、負極活物質として炭素材料やチタン酸リチウムを用いる場合は、例えば、負極活物質としての炭素材料やチタン酸リチウムとバインダ、更には必要に応じて導電助剤を混合して得られる負極合剤を水または有機溶剤に分散させて負極合剤含有ペーストを調製し(この場合、バインダは予め水または溶剤に溶解または分散させておき、それを負極活物質などと混合して負極合剤含有ペーストを調製してもよい)、その負極合剤含有ペーストを金属箔、エキスパンドメタル、平織り金網などからなる集電体に塗布し、乾燥した後、加圧成形することによって負極剤層(負極合剤層)を形成して負極を作製することができる。ただし、負極の作製方法は、前記例示の方法のみに限られることなく、他の方法によってもよい。
なお、負極に係るバインダおよび導電助剤としては、正極に用い得るものとして先に例示した各種バインダおよび導電助剤を用いることができる。
負極活物質に炭素材料を用いる場合の負極の組成としては、例えば、負極を構成する負極合剤100質量%中、炭素材料を80〜95質量%、バインダを3〜15質量%とすることが好ましく、また、導電助剤を併用する場合には、導電助剤を5〜20質量%とすることが好ましい。他方、負極活物質にチタン酸リチウムを用いる場合の負極の組成としては、例えば、負極を構成する負極合剤100質量%中、チタン酸リチウムを75〜90質量%、バインダを3〜15質量%とすることが好ましく、また、導電助剤を併用する場合には、導電助剤を5〜20質量%とすることが好ましい。
負極における負極剤層(負極合剤層を含む)の厚みは、例えば、40〜200μmであることが好ましい。
負極の集電体の素材としては、銅や銅合金が好ましい。なお、負極の総厚みを小さくし、電池内における正極および負極の積層数を増やすことで正極合剤層と負極剤層との対向面積を大きくして、電池の負荷特性を高める観点からは、集電体には金属箔を使用することが好ましい。また、集電体の厚みは、例えば、5〜30μmであることが好ましい。
セパレータには、熱可塑性樹脂製の微多孔膜で構成されたものを使用する。セパレータを構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィンが好ましく、セパレータ同士を溶着したり、セパレータ間にセパレータの構成樹脂と同種の樹脂を配置して溶着したりする観点からは、その融点、すなわち、JIS K 7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解温度が、100〜180℃のポリオレフィンがより好ましい。
セパレータを構成する熱可塑性樹脂製の微多孔膜の形態としては、必要な電池特性が得られるだけのイオン伝導度を有していればどのような形態でもよいが、従来から知られている乾式または湿式延伸法などにより形成された孔を多数有するイオン透過性の微多孔膜(電池のセパレータとして汎用されている微多孔フィルム)が好ましい。
セパレータの厚みは、例えば、5〜25μmであることが好ましく、また、空孔率は、例えば、30〜70%であることが好ましい。
前記の正極、負極およびセパレータは、図1や図5、図6に示すように積層して積層型の電極群として使用するが、その際、各正極の集電タブ部が、電極群の平面視で同一方向を向くように配置され、かつ各負極の集電タブ部が、電極群の平面視で同一方向を向くように配置されていることが好ましい。これにより、正極および負極の集電がより容易となる。
更に、各正極の集電タブ部と、各負極の集電タブ部とは、電極群の平面視で互いに接触しないように配置されていればよいが、これらの接触をより良好に抑制し、かつ電池の生産をより良好にする観点からは、図7に示しているように、各正極の集電タブ部5bと各負極の集電タブ部6bとは、電極群の平面視で互いに対向する位置に配されていることがより好ましい。
また、正極、負極およびセパレータを積層して構成した電極群は、図7に示すように、その外周を、耐薬品性を有するポリプロピレンなどで構成された結束テープ9で結束して、各構成要素(セパレータに包まれた正極、および負極)の位置ずれを抑制することが好ましい。
電極群に係る正極および負極は、少なくとも合計枚数が3枚であるが、それ以上(4枚、5枚、6枚、7枚、8枚など)とすることも可能である。ただし、正極および負極の積層数をあまり多くすると、扁平状電池としてのメリットが小さくなる虞があることから、通常は、40枚以下とすることが好ましい。
電池に係る非水電解液としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状炭酸エステル;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネートなどの鎖状炭酸エステル;1,2−ジメトキシエタン、ジグライム(ジエチレングリコールメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシメタン、テトラヒドロフランなどのエーテル;などの有機溶媒に、電解質(リチウム塩)を0.3〜2.0mol/L程度の濃度に溶解させることによって調製した電解液を用いることができる。前記の有機溶媒は、それぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上を併用しても構わない。
前記電解質としては、例えば、LiBF、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiClO、LiCFSO、LiCSO、LiN(CFSO、LiN(CSOなどのリチウム塩が挙げられる。
本発明の扁平形非水二次電池の平面形状には特に制限は無く、従来から知られている扁平形電池の主流である円形の他、角形(四角形)などの多角形状でもよい。なお、本明細書でいう電池の平面形状としての角形などの多角形には、その角が切り落とされた形状や、角を曲線にした形状も包含される。また、正極および負極の本体部の平面形状は、電池の平面形状に応じた形状とすればよく、略円形としたり、長方形や正方形などの四角形などの多角形とすることもできるが、例えば、略円形とする場合には、対極の集電タブ部が配置される箇所に相当する部分は、対極の集電タブ部との接触を防止するために、図2および図3に示すように切り落とした形状としておくことが好ましい。
本発明の扁平形非水二次電池は、従来から知られている扁平形非水二次電池と同様の用途に適用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
<正極の作製>
正極活物質としてLiCoOを、導電助剤としてカーボンブラックを、バインダとしてPVDFを、それぞれ用いて正極を作製した。まず、LiCoO:93質量部とカーボンブラック:3質量部とを混合し、得られた混合物とPVDF:4質量部を予めN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させておいたバインダ溶液とを混合して正極合剤含有ペーストを調製した。得られた正極合剤含有ペーストを厚さ15μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の両面にアプリケータにより塗布した。なお、正極合剤含有ペーストの塗布に際しては、塗布部と未塗布部とが5cmおきに連続するように、かつ表面で塗布部とした箇所は、裏面でも塗布部となるようにした。続いて、塗布した正極合剤含有ペーストを乾燥して正極合剤層を形成し、その後、ロールプレスし、所定の大きさに切断して、帯状の正極を得た。なお、この正極は、幅を40mmとし、正極合剤層形成部の厚みを140μmとなるようにした。
前記の帯状の正極を、正極合剤層形成部が本体部(円弧の部分の直径15.1mm)とし、正極合剤層未形成部が集電タブ部(幅3.5mm)となるように、図2に示す形状に打ち抜いて、電池用正極を得た。
<電池用正極とセパレータとの一体化>
前記の電池用正極の両面に、図7に示す形状のPE製微多孔膜セパレータ(厚み16μm)を配置し、図7に示す箇所を加熱プレス(温度170℃、プレス時間2秒)により溶着し、2枚のセパレータに係る主体部の周縁部の一部および張り出し部の周縁部の一部に接合部を形成して、電池用正極とセパレータとを一体化した。なお、2枚のセパレータに係る接合部の幅は、主体部、張り出し部とも0.3mmとし、張り出し部の周縁部における主体部からの突出方向の長さは0.5mmとした。また、2枚のセパレータの主体部の外縁のうち、90%の長さ部分を接合部とした。
<負極の作製>
負極活物質として黒鉛を、バインダとしてPVDFを、それぞれ用いて負極を作製した。前記黒鉛:94質量部とPVDF:6質量部と予めNMPに溶解させておいたバインダ溶液とを混合して、負極合剤含有ペーストを調製した。得られた負極合剤含有ペーストを厚さ10μmの銅箔からなる負極集電体の片面または両面にアプリケータにより塗布した。なお、負極合剤含有ペーストの塗布に際しては、塗布部と未塗布部とが5cmおきに連続するように、かつ集電体の両面に塗布したものでは、表面で塗布部とした箇所は、裏面でも塗布部となるようにした。続いて、塗布した負極合剤含有ペーストを乾燥して負極合剤層を形成し、その後、ロールプレスし、所定の大きさに切断して、帯状の負極を得た。なお、この負極は、幅を40mmとし、負極合剤層形成部の厚みを、集電体の両面に形成したものでは190μm、集電体の片面に形成したものでは100μmとなるようにした。
前記の帯状の負極を、負極合剤層形成部が本体部(円弧の部分の直径16.3mm)とし、負極合剤層未形成部が集電タブ部となるように、図3に示す形状に打ち抜いて、集電体の片面に負極合剤層を有する電池用負極と、集電体の両面に負極合剤層を有する電池用負極とを得た。なお、集電体の片面の負極合剤層を有する電池用負極の一部については、前記の帯状の負極の集電体の露出面に、厚みが100μmのPETフィルムを貼り付けた後に打ち抜いた。
<電池の組み立て>
前記のセパレータと一体化した電池用正極7枚と、集電体の両面に負極合剤層を形成した電池用負極6枚と、集電体の片面に負極合剤層を形成した電池用負極2枚(このうち1枚は、集電体の露出面にPETフィルムを貼り付けたもの)とを用い、集電体の片面に負極合剤層を形成した電池用負極が最外部の電極になるように、電池用正極と電池用負極とを交互に重ねた。そして、各電池用正極の集電タブ部を纏めて溶接して一体化し、また、各電池用負極の集電タブ部を纏めて溶接して一体化して、電極群を形成した。
外装ケース内に前記の電極群を、PETフィルムが外装ケース内面と対向するように入れ、一体化した各電池用正極の集電タブ部を外装ケース内面に溶接した。なお、一体化した各電池用正極の集電タブ部の外装ケース内面への溶接は超音波溶接により行い、図4に示すように、一辺が0.4mmの正方形の溶接痕が4つ形成されるようにした。そして、4つの溶接痕のうち、2つは各電池用正極の集電タブ部を互いに溶接した箇所(図4中500aの箇所)に、残りの2つは各電池用正極の集電タブ部を互いに溶接していない箇所(図4中500bの箇所)に形成し、これらの溶接痕と一体化した各電池用正極の集電タブ部の幅方向の端部との最短距離(図4中xの長さ)が、1.0mmとなるようにした。
また、封口ケースに絶縁ガスケットを装着し、非水電解液(LiPFをエチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとの体積比1:2の混合溶媒に、1.2mol/lの濃度で溶解した溶液)200mgを入れた後、電極群を収容した外装ケースを被せ、周囲をかしめて、直径20mm、厚み3.2mmで、電極群に係る電池用正極および電池用負極の枚数が異なる以外は、図5および図6に示すものと同様の構造の扁平形非水二次電池を得た。なお、前記の扁平形非水二次電池は、電流値14mAでの放電で、放電容量が70mAhとなるように設計したものである。
比較例1
一体化した各電池用正極の集電タブ部の、外装ケース内面への溶接を、一辺が0.4mmの正方形の溶接痕が8つ形成されるようにし、8つの溶接痕のうち、4つは各電池用正極の集電タブ部を互いに溶接した箇所に、残りの4つは各電池用正極の集電タブ部を互いに溶接していない箇所に形成し、これらの溶接痕と一体化した各電池用正極の集電タブ部の幅方向の端部との最短距離が0.2mmとなるようにした以外は、実施例1と同様にして扁平形非水二次電池を作製した。
実施例1および比較例1の電池(充電を行っていないもの)を各30個用意し、以下の1m落下試験および1.5m落下試験を実施した。
<1m落下試験>
実施例1および比較例1の電池各15個を、それらの側面を下に向けて1mの高さからコンクリートの床に落下させる試験を5回繰り返した。
<1.5m落下試験>
実施例1および比較例1の電池各15個(1m落下試験を実施したものとは別の電池)について、落下させる高さを1.5mに変更した以外は、前記の1m落下試験と同じ方法で試験を行った。
前記の各落下試験を行った直後の各電池を分解して、正極の集電タブ部の幅方向の端部における亀裂の有無を調べた。その結果を表1に示す。
表1に示す通り、実施例1の電池では、1m落下試験、1.5m落下試験のいずれにおいても、正極の集電タブ部の端部に亀裂が発生していない。これに対し、比較例1の電池では、1m落下試験においては、正極の集電タブ部の端部に亀裂が生じていないが、1.5m落下試験では、正極の集電タブ部の端部に亀裂の生じたものが存在している。
1 扁平形非水二次電池
2 外装ケース
3 封口ケース
4 絶縁ガスケット
5 正極
5a 正極の本体部
5b 正極の集電タブ部
6、6A、6B 負極
6a 負極の本体部
6b 負極の集電タブ部
7 セパレータ
7c 接合部
8 絶縁材
500 一体化した各正極の集電タブ部
501 溶接痕

Claims (6)

  1. 外装ケースと封口ケースとが、絶縁ガスケットを介してカシメ封口されて形成された空間内に、正極と負極とがセパレータを介して交互に、かつ前記外装ケースおよび前記封口ケースの扁平面に略平行に積層されており、正極および負極の合計枚数が3枚以上である電極群、および非水電解液を有する扁平形非水二次電池であって、
    前記外装ケースおよび前記封口ケースのいずれか一方が正極端子を兼ね、他方が負極端子を兼ねており、
    前記正極は、本体部と、平面視で、前記本体部から突出した、前記本体部よりも幅の狭い集電タブ部とを有しており、前記正極の本体部には、集電体の片面または両面に正極活物質を含む正極合剤層が形成されており、前記正極の集電タブ部では、集電体に正極合剤層が形成されておらず、
    前記電極群は、前記正極を少なくとも2枚有しており、前記各正極の集電タブ部が纏められ、互いに溶接されて一体化しており、
    前記一体化した各正極の集電タブ部が、正極端子を兼ねる外装ケースまたは封口ケースの内面に溶接されており、かつ前記一体化した各正極の集電タブ部における正極端子を兼ねる前記外装ケースまたは前記封口ケースの内面との溶接痕が、各正極の集電タブ部が互いに溶接されている箇所と、各正極の集電タブ部が互いに溶接されていない箇所とに存在しており、
    前記一体化した各正極の集電タブ部における正極端子を兼ねる外装ケースまたは封口ケースの内面との溶接痕と、前記一体化した各正極の集電タブ部の幅方向の端部との最短距離が、0.5mm以上であることを特徴とする扁平形非水二次電池。
  2. 外装ケースと封口ケースとが、絶縁ガスケットを介してカシメ封口されて形成された空間内に、正極と負極とがセパレータを介して交互に、かつ前記外装ケースおよび前記封口ケースの扁平面に略平行に積層されており、正極および負極の合計枚数が3枚以上である電極群、および非水電解液を有する扁平形非水二次電池であって、
    前記外装ケースおよび前記封口ケースのいずれか一方が正極端子を兼ね、他方が負極端子を兼ねており、
    前記負極は、本体部と、平面視で、前記本体部から突出した、前記本体部よりも幅の狭い集電タブ部とを有しており、前記負極の本体部には、集電体の片面または両面に負極活物質を含む負極剤層が形成されており、前記負極の集電タブ部では、集電体に負極剤層が形成されておらず、
    前記電極群は、前記負極を少なくとも2枚有しており、前記各負極の集電タブ部が纏められ、互いに溶接されて一体化しており、
    前記一体化した各負極の集電タブ部が、負極端子を兼ねる外装ケースまたは封口ケースの内面に溶接されており、かつ前記一体化した各負極の集電タブ部における負極端子を兼ねる前記外装ケースまたは前記封口ケースの内面との溶接痕が、各負極の集電タブ部が互いに溶接されている箇所と、各負極の集電タブ部が互いに溶接されていない箇所とに存在しており、
    前記一体化した各負極の集電タブ部における負極端子を兼ねる外装ケースまたは封口ケースの内面との溶接痕と、前記一体化した各負極の集電タブ部の幅方向の端部との最短距離が、0.5mm以上であることを特徴とする扁平形非水二次電池。
  3. 少なくとも両側が負極と対向している正極の両面には、熱可塑性樹脂製の微多孔膜からなるセパレータが配置されており、
    前記2枚のセパレータは、前記正極の本体部全面を覆う主体部と、前記主体部から突出し、前記正極の集電タブ部の、少なくとも本体部との境界部を含む部分を覆う張り出し部とを有しており、かつ前記2枚のセパレータは、その主体部の周縁部の少なくとも一部において、互いに溶着された接合部を有している請求項1または2のいずれかに記載の扁平形非水二次電池。
  4. 正極の両面に配置された2枚のセパレータにおける接合部が、前記2枚のセパレータ同士が直接溶着されて形成されている請求項に記載の扁平形非水二次電池。
  5. 正極の両面に配置された2枚のセパレータにおける接合部が、前記2枚のセパレータを構成する熱可塑性樹脂と同種の樹脂で構成された層を介して溶着されて形成されている請求項に記載の扁平形非水二次電池。
  6. セパレータを構成する熱可塑性樹脂が、ポリオレフィンである請求項のいずれかに記載の扁平形非水二次電池。
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