以下に添付図面を参照して、本発明にかかる発光装置および照明器具の実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されないものとする。以下では、本発明の発光装置を照明器具に適用した例について説明するが、本発明の適用対象は照明器具に限定されない。例えば、表示装置または液晶パネルのバックライト等に対しても本発明の発光装置を適用してもよい。
<照明器具の構成>
照明器具1は、発光装置2を一方向に沿って複数個配列したものである。照明器具1は、筐体3の内部に、複数の発光装置2を直線状に配置された構成を有している。照明器具1は、天井または壁等の室内に直接取り付けるか、あるいは、屋外にて使用するものである。そして、照明器具1から発せられる光は、室内または屋外を照らすことができる。
以下では、照明器具1において、照明器具1が取り付けられる側を「上」、光が出射される側を「下」として説明する。
照明器具1は、発光装置2と、内部に発光装置2を取り付ける筐体3を備えている。なお、筐体3は、筐体3内に発光装置2を保持する保持部材4と、筐体3内に発光装置2を発光する駆動装置5と、発光装置2の発する光を外部に取り出すための光が透過する透光部材6を備えている。
筐体3は、例えば、金属、プラスチップまたは樹脂等から構成された直方体形状であって、内部に発光装置2を実装することができる。筐体3内には、発光装置2を取り付ける保持部材4が設けられている。
保持部材4は、図3に示すように、筐体3の内壁面から内方に向かって突出する一対の板体である。保持部材4には、螺子またはボルト等の固定部材を通すための貫通孔が設けられており、発光装置2は固定部材を用いて固定することができる。
筐体3には、保持部材4と平行な方向に複数の通気孔H1が設けられている。かかる通気孔17は、後述する発光素子が発する熱を外部に向かって放散するためのものである。筐体3内で発光素子が発光する際には、発光素子に入力される電気エネルギーの一部は光に変換されずに熱に変換されて発光素子の温度が上昇することによって、筐体3内の温度を上昇させる。そこで、筐体3に設けた通気孔H1を介して、筐体3内の温度が熱平衡によって筐体3外の温度に近づくように調整することができ、筐体3内の温度が上昇するのを抑制することができる。
駆動装置5は、筐体3内に設けられる。駆動装置5は、図3に示すように、発光装置2の上部に設けられる。そして、駆動装置5は、発光装置2の発光素子と電気的に接続されている。駆動装置5は、外部電源と電気的に接続されており、外部電源から電気が供給される。なお、駆動装置5の設けられる箇所は、発光装置2の発光素子と電気的に接続されるのであれば、発光装置2の上部に限定されない。
透光部材6は、発光装置2の発光素子から発せられる光が透過する材料からなり、例えば樹脂またはガラス等の光透光性の材料から構成される板体である。筐体3には、透光部材6を設ける開口部H2が設けられている。開口部H2は、筐体3の下部に設けられ、発光装置2の発光素子が発する光が照射される箇所に形成さられている。開口部H2の縁には、透光部材6を支持する支持部7が設けられている。支持部7は、透光部材6を挟持するものである。透光部材6は、支持部7にて挟持されるとともに、例えば接着樹脂を介して接合される。透光部材6が支持部7に挟持されることで、仮に接着樹脂の接着強度が低下して接着樹脂が剥離したとしても、支持部7にて透光部材6が挟持されることで、透光部材6が落下するのを防止することができる。
発光装置2は、発光素子8を主面S1に実装した実装基板9と、主面S1に発光素子8を取り囲むように設けられるリフレクター10と、リフレクター10の内壁面に設けられる光拡散体11とを備えている。光拡散体11は、リフレクター10の内壁面からリフレクター10の内方に向かって突出している。
実装基板9は、直方体形状であって、その長手方向寸法が筐体3の開口部H2と略同じ長さを有した長尺の板体である。実装基板9は、例えば、樹脂からなるプリント配線基板等の樹脂基板、あるいはガラス基板、あるいはアルミ基板等の金属板が用いられる。
実装基板9の主面S1としての実装基板9の下面には、複数の発光素子8が等間隔に実装されている。また、実装基板9の他主面S2としての実装基板9の上面には、駆動装置5が実装されている。そして、実装基板9に設けられるビア導体を介して駆動装置5と発光素子8とが電気的に接続される。
実装基板9の上面に設けられ、図3に示すように、実装基板9の短手方向の両端部には、保持体12が設けられている。保持体12は、実装基板9の上面に一端が設けられており、他端が実装基板9の上面から筐体3内の保持部材4上にまで延在されている。また、実装基板9および保持体12には、例えば、螺子またはボルト等の固定部材を通すための貫通孔H3が設けられており、両者が固定部材を用いて固定される。
また、保持部材4および保持体12の両者を接続するために、保持部材4および保持体12には、例えば、螺子またはボルト等の固定部材を通すための貫通孔H4が設けられており、両者が固定部材を用いて固定される。
<発光素子の構成>
ここで、本実施形態に係る発光装置2に用いられる発光素子8について説明する。図4は、発光素子8の概観斜視図であって、一部内部が透過している状態を示している。図5は、図4のY−Y’に沿った発光素子8の断面図である。
発光素子8は、例えば、発光ダイオードであって、光半導体素子14内のpn接合中の電子と正孔が再結合することによって、光半導体素子14から外部に向かって光として放出される。
基板13には、光半導体素子14が実装される実装領域Rを有している。なお、実装基板9と基板13とは、半田または導電性接着剤を介して電気的に導通されるように接合される。基板13は、例えば、アルミナ、ムライトまたはガラスセラミック等のセラミック材料、あるいはこれらの材料のうち複数の材料を混合した複合系材料から構成することができる。また、基板13は、金属酸化物微粒子を分散させた高分子樹脂を用いることができる。
基板13の表面が拡散面である場合、光半導体素子14から発せられる光が、基板13の表面にて照射されて拡散反射する。そして、光半導体素子14が発する光を拡散反射によって多方向に放射し、光半導体素子14から発せられる光が特定箇所に集中するのを抑制することができる。
ここで、基板13には、配線導体が設けられており、配線導体を介して実装基板9と電気的に接続されている。配線導体は、例えば、タングステン、モリブデン、マンガンまたは銅等の導電材料からなる。配線導体は、例えば、タングステン等の粉末に有機溶剤を添加して得た金属ペーストを、基板13に所定パターンで印刷することにより得られる。
光半導体素子14は、基板13上であって実装領域Rに実装される。具体的には、光半導体素子14は、基板13上に形成される配線導体上に、例えば、半田または導電性接着剤等の接着材料、あるいはボンディングワイヤ等を介して電気的に接続される。
光半導体素子14は、サファイア、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、シリコンカーバイド、シリコンまたは二ホウ化ジルコニウム等の基体に有機金属気相成長法または分子線エピタキシャル成長法等の化学気相成長法を用いて、半導体層を成長させることによって作製される。なお、光半導体素子14の厚みは、例えば30μm以上1000μm以下である。
光半導体素子14は、基体上に形成される第1半導体層と、第1半導体層上に形成される発光層と、発光層上に形成される第2半導体層と、から構成されている。
第1半導体層、発光層および第2半導体層は、例えば、III族窒化物半導体、ガリウム燐またはガリウムヒ素等のIII−V族半導体、あるいは、窒化ガリウム、窒化アルミニウムまたは窒化インジウム等のIII族窒化物半導体などを用いることができる。なお、第1半導体層の厚みは、例えば、1μm以上5μm以下である。発光層の厚みは、例えば、25nm以上150nm以下である。第2半導体層の厚みは、例えば、50nm以上600nm以下である。また、このように構成された光半導体素子14では、例えば、370nm以上420nm以下の波長範囲の励起光を発することができる。
基板13上には、図4または図5に示すように、光半導体素子14を取り囲むように枠状の反射部材15が設けられている。反射部材15は、基板13上に例えば半田または接着剤を介して接続される。反射部材15は、セラミック材料であって、例えば酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化イットリウム等の多孔質材料からなる。反射部材15は、多孔質材料からなり、反射部材15の表面は微細な孔が多数形成される。
反射部材15は、光半導体素子14と間を空けて、光半導体素子14の周りを取り囲むように形成されている。また、反射部材15は、傾斜する内壁面が下端から上端に従い外方に向かって広がるように形成されている。そして、反射部材15の内壁面が、光半導体素子14から発せられる励起光の反射面として機能する。また、反射部材15の内壁面が拡散面である場合には、光半導体素子14から発せられる光が、反射部材15の内壁面にて拡散反射する。そして、光半導体素子14から発せられる光が特定箇所に集中するのを抑制することができる。
反射部材15は、基板13上に光半導体素子14を取り囲むように設けられ、内壁面の上端の高さ位置が光半導体素子14の上面の高さ位置よりも高く設定されている。そして、反射部材15の傾斜する内壁面の上端の高さ位置が光半導体素子14の上面の高さ位置よりも高く設定されることで、光半導体素子14が上方に向かって発する励起光が反射部材15の内壁面にて拡散反射させることができ、励起光の進行する方向を拡散させることができる。その結果、発光素子が発する励起光が、波長変換部16の下面全面に向かって照射される。
また、反射部材15の傾斜する内壁面は、例えば、タングステン、モリブデン、銅または銀等から成る金属層と、金属層を被覆するニッケルまたは金等から成る鍍金金属層を形成してもよい。この鍍金金属層は、光半導体素子14の発する光を反射させる機能を有する。なお、反射部材15の内壁面の傾斜角度は、基板13の上面に対して例えば55度以上70度以下の角度に設定されている。
また、反射部材15の上端内側には段差15aが設けられている。段差15aは、波長変換部16を支持するためのものである。段差15aは、反射部材15の上部の一部を内側に向けて切欠いたものであって、波長変換部16の端部を支持することができる。
反射部材15で囲まれる領域には、封止樹脂17が充填されている。封止樹脂17は、光半導体素子14を封止するとともに、光半導体素子14から発せられる光が透過する機能を備えている。封止樹脂17は、反射部材15の内方に光半導体素子14を収容した状態で、反射部材15で囲まれる領域であって、段差15aの高さ位置よりも低い位置まで充填される。なお、封止樹脂17は、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂等の透光性の絶縁樹脂が用いられる。
波長変換部16は、反射部材15の段差15a上に支持されるとともに、光半導体素子14と間を空けて対向するように設けられる。つまり、波長変換部16は、光半導体素子14を封止する封止樹脂17と空隙を介して反射部材15の段差15a上に設けられる。
波長変換部16は、接着部18を介して段差15bに接合されている。接着部18は、波長変換部16の下面の端部から波長変換部16の側面、さらに波長変換部16の上面の端部にかけて被着している。
接着部18は、例えば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シアネート樹脂、シリコーン樹脂またはビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂を使用することができる。また、接着部18は、例えば、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂またはポリフェニレンエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂を使用することができる。
接着部18の材料は、反射部材15の熱膨張率と波長変換部16の熱膨張率との間の大きさの熱膨張率の材料を選択される。接着部18の材料として、このような材料を選択することで、反射部材15と波長変換部16とが熱膨張するときに、両者の熱膨張率の差に起因して、両者が剥離しようとするのを抑制することができ、両者を良好に繋ぎ止めることができる。
接着部18が、波長変換部16の下面の端部にまで被着することで、接着部18が被着する面積を大きくし、反射部材15と波長変換部16とを強固に接続することができる。その結果、反射部材15と波長変換部16の接続強度を向上させることができ、波長変換部16の撓みが抑制される。そして、光半導体素子14と波長変換部16との間の光学距離が変動するのを効果的に抑制することができる。
また、波長変換部16の端部は、反射部材15の段差15a上に位置しており、反射部材15によって波長変換部16の端部側面が囲まれている。そのため、光半導体素子14から波長変換部16の内部に進入した光が、波長変換部16の内部において波長変換部16の端部にまで達することがある。その波長変換部16の端部から反射部材15に向かって進行する光を反射部材15の内壁面にて反射することで、反射された光を再び波長変換部16内に戻すことができる。その結果、波長変換部16内に再び戻った光によって蛍光体が励起され、発光装置2の光出力を向上させることができる。
波長変換部16は、発光素子8から発せられる励起光が内部に入射して、内部に含有される蛍光体が励起されて、光を発するものである。ここで、波長変換部16には、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂等から成り、その樹脂中に、例えば430nm以上490nm以下の蛍光を発する青色蛍光体、例えば500nm以上560nm以下の蛍光を発する緑色蛍光体、例えば540nm以上600nm以下の蛍光を発する黄色蛍光体、例えば590nm以上700nm以下の蛍光を発する赤色蛍光体が含有されている。なお、蛍光体は、波長変換部16中に均一に分散するように含有されている。なお、波長変換部16の厚みは、例えば0.5以上3mm以下に設定されている。
また、波長変換部16の端部の厚みは一定に設定されている。なお、波長変換部16の厚みは、例えば0.5mm以上3mm以下に設定されている。ここで、厚みが一定とは、厚みの誤差が0.1mm以下のものを含む。波長変換部16の厚みを一定にすることにより、波長変換部16にて励起される光の量を一様になるように調整することができ、波長変換部16における輝度ムラを抑制することができる。
<発光装置の構成>
本実施形態の発光装置2は、発光素子8を下面に実装した実装基板9と、実装基板9の下面に発光素子8を取り囲むように設けられるとともに、一方の縁10aが実装基板9と接続され、他方の縁10bの実装基板9に対する高さ位置が実装基板9に対する発光素子8の高さ位置よりも間が空いて配置されたリフレクター10と、リフレクター10の他方の縁10bの内壁面に設けられた光拡散体11と、を備えている。
リフレクター10は、発光素子8から出射された光を反射させるものであり、例えば、アルミ二ウム、銅またはステンレス等の熱伝導性の優れた良導体から構成されている。また、リフレクター10は、金型によって成型されたポリカーボネート樹脂から成るリフレクター10の内壁面に、アルミニウムを蒸着することによって構成されてもよい。リフレクター10は、各発光素子8を取り囲む態様で配置され、その一方の縁10aに対応する基端部分が実装基板9の下面に固着するように取り付けられている。また、複数のリフレクター10は、それぞれが図2に示すように、リフレクター連結板10cによって連結されている。なお、リフレクター10の熱伝導率は、例えば、10W/m・K以上500W/m・K以下で設定されている。
リフレクター10は、発光素子8からリフレクター10の出射口に向かうにつれて広がって形成されている。そして、リフレクター10で囲まれる領域は、断面視して実装基板9と接続されたリフレクター10の一方の縁10aからリフレクター10の他方の縁10bに向かって漸次幅広に形成されている。リフレクター10は、いわゆるパラボラ形状の円筒体である。リフレクター10で囲まれる領域が、下方に向かうにつれて大きくなることで、リフレクター10によって発光素子8の発する光を遮りにくくすることができ、発光素子8の発する光の照射面を広くすることができる。
発光装置2は、発光素子8から出射された光をリフレクター10の内壁面で反射させる。反射した光は、筐体3の開口部H2に取り付けられた透光部材6を透過し、室内等を照明する。
保持体12は、筐体3の内部において上述した発光装置2を保持するものである。この保持体12は、例えば、アルミニウム、銅またはステンレス等の熱伝導性の優れた良導体から構成されており、発光装置2を保持する機能に加えて、発光素子8または駆動装置5から発生する熱を実装基板9から受け取り筐体3の保持部材4に放熱する機能を兼ね備えている。そして、保持部材4に伝わった熱は、筐体3の外表面から外部に向かって放熱される。その結果、筐体3内の温度が上昇するのを抑制することができ、発光装置2が熱応力によって傾斜するのを抑制することができる。さらに、発光装置2の傾斜角度が変化するのを低減することによって、外部に取り出される光の指向性を良好に維持することができる。また、発光素子8の温度上昇に起因する、発光素子8から放射される光の波長の変動を抑制することができ、発光装置2から放射される光の色を長期間にわたって良好に維持することができる。なお、保持体12の熱伝導率は、例えば、10W/m・K以上500W/m・K以下で設定されている。
また、保持体12の実装基板9の上面に延在される部分は、実装基板9と接触面積を大きくとることができ、実装基板9の熱を保持体12に効率良く伝えることができる。
保持体12と実装基板9とを接続する固定部材19は、熱伝導性を有する金属製のものが用いられる。なお、固定部材19は、ネジ締め以外でもよい。たとえば、熱伝導性を有する接着剤を用いて保持体12と実装基板9とを固着させてもよい。
また、図1に示すように、複数の発光素子8が線状に配置される照明器具の場合、実装基板9の温度は、その長手方向の中央付近が最も高くなる。発光素子8から発生する熱は、主に保持体12を介して筐体3に放熱されるが、一部の熱は固定部材19を通して逃げる。このため、固定部材19の配置間隔を、実装基板9の中央に行くほど密にすることで、実装基板9の中央付近の温度を下げることが可能である。
リフレクター10の他方の縁10bは、その実装基板9の下面に対する高さ位置が、実装基板9の下面に対する発光素子8の下面の高さ位置よりも間を空けて位置している。これは、発光素子8の下面から取り出される光が、その下方に位置するリフレクター10の他方の縁10bまで進行させるためである。仮に、リフレクター10の他方の縁10bの実装基板9の下面に対する高さ位置が、発光素子8の下面の実装基板9に対する高さ位置よりも上方に位置すると、発光素子8の下面から下方に向かって進行する光が、リフレクター10の他方の縁10bまで到達しえない。一方、本実施形態によれば、発光素子8の下面から取り出される光は、リフレクター10の他方の縁10bに設けられた光拡散体11に到達することができる。
リフレクター10の他方の縁10bに対応するリフレクター10の下端には、光拡散体11が設けられている。光拡散体11は、発光素子8から発せられる光を拡散させる機能を備えている。光拡散体11は、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂またはガラス等の透光性に優れた透明材料に、屈折率が1.4以上2.0以下のアルミナ、チタニア、ジルコニアまたはイットリア等からなる無機粒子を分散させて構成される。
光拡散体11は、透明材料と無機粒子との屈折差に起因した反射が生じるため、受けた光を拡散することができる。光拡散体11は、発光素子8の下面の高さ位置よりも低い位置に設けられている。そして、発光素子8の発する光を受けることができ、受けた光を外部に向かって拡散させることができる。なお、光拡散体11の厚みは、例えば、0.3mm以上3mm以下に設定されている。
また、光拡散体11は、図1または図2に示すように、リフレクター11の内壁面に沿って連続して形成されている。光拡散体11をリフレクター10の内壁面に沿って連続して設けることで、発光素子8と重ならない領域に照射された光を拡散させることができる。そして、光拡散体11にて拡散された光の一部は、発光素子8と重なる領域に向かって進行する。そのため、発光素子8と重なる領域に位置する照射面の照度を向上させることができる。
光拡散体11は、図2に示すように、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂またはシリコーン樹脂等の接合部20を介してリフレクター10に接続されている。接合部20は、発光素子8からリフレクター10を介して光拡散体11に伝達される熱を低減する機能、およびリフレクター10と光拡散体11との熱膨張係数差に起因して生じる熱応力を緩和する機能を備えている。接合部20は、リフレクター10および光拡散体11と別部材であるため、発光素子8からリフレクター10を介して光拡散体11に伝達される熱を低減する機能、およびリフレクター10と光拡散体11との熱膨張係数差に起因して生じる熱応力を緩和する機能を有効に利用することができる。
本実施形態は、リフレクター10そのものに、光拡散体11が設けられている。光拡散体11に到達する発光素子8の発する光は、発光素子8と光拡散体11との距離に依存する。仮に、光拡散体11がリフレクター10の外側に位置する筐体3に配置した場合、光拡散体11と発光素子8との間の距離が長くなり、光拡散体11に到達する発光素子8の発する光が少なくなる。その結果、発光素子8の発する光を十分に拡散させることができず、取り出される光の照射面に対する照度ムラが発生する虞が生じる。一方、本実施形態によれば、光拡散体11を発光素子8の近傍に位置するリフレクター10に設けることによって、光拡散体11に到達する発光素子8の発する光の量を多くすることができ、取り出される光の照射面に対する照度を向上させることができる。
仮に、一つのリフレクター10の内部に複数の発光素子8を設けた場合、リフレクター10の近傍の発光素子8については、多くの光が光拡散体11によって拡散されるが、リフレクター10から離れた発光素子8については、光拡散体11によって拡散される光が少ない。そのため、一つのリフレクター10の内部に複数の発光素子8を設けた場合、複数の発光素子8からのそれぞれの光の拡散量の差異に基づいて、照度ムラが発生する虞が生じる。一方、本実施形態によれば、光拡散体11は、一つの発光素子8に対応して一つのリフレクター10に設けられているため、各発光素子8の照射面の照度を均一に近づけることができ、照明器具1として用いた場合には、照度ムラを抑制することができる。
本実施形態によれば、リフレクター10の他方の縁10bに対応する端部に光拡散体11を設けることで、発光素子8と重ならない領域に照射される光を拡散させることができ、その拡散した光の一部を発光素子8と重なる領域に照射することができる。その結果、発光装置2から取り出される光の照射面に対する照度を向上させることができる。
上述した実施形態は、発光素子8として発光ダイオードを用いて説明した。発光ダイオードは、特に、配向分布においてサイドローブの光の強度を小さく抑えて、照射面が均一に照射されることが求められている。本実施形態によれば、配向分布のサイドローブに集中するエネルギーを配向分布の中央部に集め、中央部の絶対値を大きくすることができ、照度を向上させることができる。発光ダイオードは、サイドローブに第2のピーク値が存在する場合があり、かかる場合、発光ダイオードは中央部の光の強度が大きいため、照射面に光の輪が視認されることになる。そこで、本実施形態を用いることにより、照射面に光の輪が発生するのを抑制することができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。例えば、上述した実施形態では、リフレクター10で囲まれる領域は、下方に向かうにつれて漸次幅広に形成したが、これに限られない。リフレクター10で囲まれる領域が、下方に向かって幅広になるものの、一部幅狭に成る箇所があっても構わない。
<照明器具の製造方法>
ここで、図2に示す照明器具の製造方法を説明する。
まず、発光素子8を準備する。基板13および反射部材15が、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合、酸化アルミニウムの原料粉末に、有機バインダー、可塑剤または溶剤等を添加混合して混合物を得る。
基板13は、混合物がシート状のセラミックグリーンシートに成形され、反射部材15は、型枠内に混合物が充填されて乾燥され、焼結前の基板13および反射部材15が取り出される。
また、タングステンまたはモリブデン等の高融点金属粉末を準備し、この粉末に有機バインダー、可塑剤または溶剤等を添加混合して金属ペーストを得る。そして、取り出した基板13となるセラミックグリーンシートに所定パターンで印刷し、複数のセラミックグリーンシートを積層するとともに焼成され、所定の形状に切断される。また、反射部材15は、所望の温度で焼結されることにより形成される。
次に、基板13上の配線パターンに光半導体素子14を半田を介して電気的に実装した後、光半導体素子14を取囲むように反射部材15を基板上にアクリル樹脂等の接着剤を介して接着する。そして、反射部材15で囲まれた領域に、例えばシリコーン樹脂を充填して、シリコーン樹脂を硬化させることで、封止樹脂17を形成する。
次に、波長変換部16を準備する。波長変換部16は、未硬化の樹脂に蛍光体を混合して、例えば、ドクターブレード法、ダイコーター法、押し出し法、スピンコート法またはディップ法等のシート成形技術を用いて、作製することができる。例えば、波長変換部16は、未硬化の波長変換部16を型枠に充填し、硬化して取り出すことによって、得ることが出来る。
そして、準備した波長変換部16を反射部材15の段差15a上に、例えば樹脂からなる接着部18を介して接着することで、発光素子8を作製することができる。
次に、保持部材4を有する筐体3を準備する。筐体3は、例えば、押出成形法により一体に成形されている。しかしながら必ずしも一体成形で形成する必要はなく、各部材を別個に製造して、これらをネジ等の締結手段で締結してもよく、また、各部材を接着剤で接着して一体化させてもよい。
さらに、実装基板9を準備する。実装基板9は、例えばプリント配線基板を用いることができる。また、支持部7は、例えば押出成形法を用いて作製することができる。そして、実装基板9の主面S1に発光素子8を半田を介して電気的に実装し、リフレクター10に形成された固定部を介してリフレクター10を実装基板9の主面S1に固定する。
さらに、実装基板9の他主面に駆動装置5を実装し、実装基板9の他主面に固定部材19を用いて保持体12を固定する。このようにして、発光装置2を作製することができる。
次に、発光装置2を筐体3内に収容し、保持部材4に対して固定部材を介して保持体12を接合する。最後に、筐体3の支持部7に透光部材6を取り付けることで、照明器具1を作製することができる。