しかし、ルテニウム(Ru)や白金(Pt)は希少金属であり、情報処理技術の発達によりコンピュータ用ハードディスク装置などの高密度の磁気記録媒体の需要が高まって価格が上昇し、また、産出地域の偏在や、政治情勢などの要因によりこれらの原料価格の高騰、供給不安定などの問題があった。
本発明は、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)などの希少金属を用いることなく、磁気的に反平行状態で結合した構造と磁気異方性を有する垂直磁気記録媒体、磁気記憶装置、及び垂直磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、蒸着法でエピタキシャルマグヘマイト膜を成膜しうる装置を開発し、成膜したマグヘマイト膜と鉄薄膜とが非磁性膜を介して結合させた磁性膜において反強磁性的層間結合が生じることを見出した。また、層間結合強度の絶対値は1ミリジュール/平方メートル以上であって、室温環境において反強磁性的層間結合を利用しうることを見出した。さらに、純オゾンを酸化源とする分子線エピタキシー法(MBE)による成長をおこない、コバルトフェライト(001)単結晶エピタキシャル薄膜を成長させて垂直磁気異方性を有することを見出して、本発明を完成するに至った。
(1) 垂直磁気記録層と軟磁性裏打ち層とを有する垂直磁気記録媒体であって、前記軟磁性裏打ち層は第1軟磁性層と、第2軟磁性層とが非磁性層を介して、磁気的に反平行状態で結合した構造を含む膜を有し、前記第1軟磁性層がスピネル型または逆スピネル型のイオン結晶構造をもつ酸化物からなり、前記第2軟磁性層が単体で強磁性を有する金属または、単体で強磁性を有する金属を含む合金からなり、前記非磁性層がバンドギャップ3eVから8eVの絶縁物からなり、前記垂直磁気記録層は、高酸化力を有する気体の環境下で鉄(Fe)とコバルト(Co)の反応性蒸着比を2対1として単結晶成長させた垂直磁気異方性を持つコバルトフェライト単結晶薄膜である垂直磁気記録媒体。
(1)の本発明に係る垂直磁気記録媒体においては、軟磁性裏打ち層は酸化物膜/絶縁物膜/金属膜の1層を用いてもよく、複数の層を重ねて多層膜を構成してもよく、多層膜を構成する際に本発明の1層と1層の間に本発明の磁性膜以外の構成による膜構造を介在させてもよく、反強磁性的層間結合を有する薄膜構造が本発明の磁性膜によれば、他の構造物の組成と構造は特に問わない。
(1)の本発明に係る垂直磁気記録媒体においては、軟磁性裏打ち層は、コンピュータ用ハードディスクなどの垂直磁気記録媒体の磁気記録層において、従来のRu等を用いた非磁性層をもつ磁性多層膜を含む磁気記録層に置き換えて使用することができる。本発明の磁気記録媒体は、磁気情報の記録層の一部または全体に用いることができる。本発明の磁気記録媒体に含まれる磁気記録層の層構造の数は特に問わない。
(1)の本発明に係る垂直磁気記録媒体においては、軟磁性裏打ち層を構成する第1軟磁性層には、スピネル型のイオン結晶構造をもつ酸化物として、例えばγ−Fe2O3を用いることができる。また、第1軟磁性層には逆スピネル型のイオン結晶構造をもつ酸化物として、例えばFe3O4、Fe2NiO4を用いることができる。第1軟磁性層に含まれる磁性酸化物は、スピネル型または逆スピネル型のイオン結晶構造を有すればよく、他の酸化物、例えばMnFe2O4、CuFe2O4,MgFe2O4、NiFe2O4でもよい。
(1)の本発明に係る垂直磁気記録媒体においては、軟磁性裏打ち層を構成する第2軟磁性層には、例えばFe、Co、またはこれらを含む合金を用いることができる。第2軟磁性層に含まれる金属または合金は、単体で強磁性を有する金属を含むものであれば何でもよい。
(1)の本発明に係る垂直磁気記録媒体においては、軟磁性裏打ち層を構成する絶縁物層には、例えばMgO、ZrO2、Al2O3またはこれらを含む絶縁物を用いることができる。
(1)の本発明に係る垂直磁気記録媒体においては、垂直磁気記録層は、純オゾン(O3)環境下でコバルトフェライトを単結晶成長させた薄膜を用いることができる。白金(Pt)などの貴金属を用いず、磁化が膜面垂直方向を好む「垂直磁気異方性」を示すからである。
(2) (1)に記載の垂直磁気記録媒体であって、垂直磁気記録層の厚みが13nmから20nmである垂直磁気記録媒体。
(2)の本発明に係る垂直磁気記録媒体においては、垂直磁気記録層は厚みが13nmから20nmであるので、本発明の垂直磁気層の垂直磁気異方性の特性を生かした高密度磁気記録を行うことが出来る。
(3) (1)又は(2)に記載の垂直磁気記録媒体であって、前記酸化物が四酸化三鉄(Fe3O4)または四酸化三鉄を含む酸化物であり、前記金属が鉄(Fe)であり、前記合金が鉄を含む合金からなる金属であり、前記絶縁物が酸化マグネシウム(MgO)である垂直磁気記録媒体。
(3)の本発明に係る垂直磁気記録媒体においては、酸化物層は真空蒸着装置などを用いて成膜した四酸化三鉄または四酸化三鉄を含む酸化物膜を用いることができる。あらかじめ四酸化三鉄の結晶を用意してもよく、鉄と酸素とを反応させて得られる四酸化三鉄を膜状に並べてもよい。
(3)の本発明に係る垂直磁気記録媒体においては、第2軟磁性層は真空蒸着装置などを用いて成膜したFe膜またはFeを含む合金膜を用いることができる。
(3)の本発明に係る垂直磁気記録媒体においては、絶縁物は、真空蒸着装置などを用いて成膜したMgO膜を用いることができる。
(3)の本発明に係る垂直磁気記録媒体においては、垂直磁気記録媒体に含まれる磁性膜の製作においては、基板上に酸化物膜を成膜した後に絶縁物膜を成膜し、その後に金属膜を成膜してもよく、基板上に金属膜を成膜した後に絶縁物膜を成膜し、酸化物膜を成膜してもよい。
(4) (3)に記載の垂直磁気記録媒体であって、前記絶縁物による非磁性層の厚さが0nmをこえ0.7nm以下である垂直磁気記録媒体。
(4)の本発明に係る垂直磁気記録媒体においては絶縁物の膜厚は、酸化物膜/絶縁物膜/金属膜の構成において、酸化物膜と金属膜の間に反強磁性的層間結合が発生すればよく、(4)の膜厚の範囲で任意に設定しうる。
(5) (3)に記載の垂直磁気記録媒体であって、前記酸化物が四酸化三鉄(Fe3O4)を除くスピネルフェライトまたは当該スピネルフェライトを含む酸化物であり、前記金属が鉄(Fe)であり、前記合金が鉄を含む合金からなる金属であり、前記絶縁物が酸化マグネシウム(MgO)である垂直磁気記録媒体。
(5)の本発明に係る垂直磁気記録媒体においては、酸化物は、たとえば、真空蒸着装置などを用いて成膜したマグヘマイト(γ―Fe2O3)またはマグヘマイトを含む酸化物を用いることが望ましい。あらかじめマグヘマイトの結晶を用意してもよく、鉄と酸素とを反応させて得られるマグヘマイトを膜状に並べてもよい。
(5)の本発明に係る垂直磁気記録媒体においては酸化物は、マグヘマイトに限らず、室温環境における電気抵抗率が1Ωmを超え100000Ωm以下である、スピネル型または逆スピネル型のイオン結晶構造を有すればよく、他の酸化物、例えば、Fe2NiO4、MnFe2O4、CuFe2O4、MgFe2O4でもよい。
(5)の本発明に係る垂直磁気記録媒体において金属は、真空蒸着装置などを用いて成膜したFeまたはFeを含む合金を用いることができる。
(5)の本発明に係る垂直磁気記録媒体において絶縁物は、真空蒸着装置などを用いて成膜したMgO膜を用いることができる。
(5)の本発明に係る垂直磁気記録媒体に含まれる磁性膜の製作においては、基板上に酸化物膜を成膜した後に絶縁物膜を成膜し、その後に金属膜を成膜してもよく、基板上に金属膜を成膜した後に絶縁物膜を成膜し、酸化物膜を成膜してもよい。
(6) (5)に記載の磁気記録媒体であって、前記絶縁物による非磁性層の厚さが0.3nmから1.3nmである磁気記録媒体。
(6)の本発明に係る垂直磁気記録媒体において絶縁物の膜厚は、酸化物膜/絶縁物膜/金属膜の構成において、酸化物膜と金属膜の間に反強磁性的層間結合が発生する膜厚であればよく、(6)の膜厚の範囲で任意に設定しうる。
本発明に係る磁性膜を含む、垂直磁気記録方式の軟磁性裏打ち層は、従来のRu等を用いた非磁性層をもつ軟磁性裏打ち層に置き換えて使用することができる。本発明に係る磁性膜は、軟磁性裏打ち層の一部または全体に用いることができる。軟磁性裏打ち層に含まれる磁性膜の層の数は特に問わない。
(7) (1)から(6)のいずれかの発明に記載の磁気記録媒体又は垂直磁気記録媒体と、該磁気記録媒体又は垂直磁気記録媒体に対して情報の記録及び/又は再生を行うヘッドとを備えた、磁気記憶装置。
(7)の磁気記憶装置は、円板状の基板の上に磁気記録媒体を製作し、円板状の磁気記録媒体を回転させ、記録ヘッドを用いて磁気記録媒体の表面に磁気記録を書き込み、再生ヘッドを用いて記録磁気を読み取ることが知られている。コンピュータハードディスクなどで用いられている磁気記憶装置の基本構成自体は公知であり、その詳細な説明は本明細書では省略する。
(7)の磁気記憶装置に含まれる磁気記録媒体の枚数は1枚に限らず2枚でもよく、3枚でもよく、枚数は問わない。1枚の磁気記録媒体の片面のみを磁気記録に用いてもよく、両面を磁気記録に用いてもよい。また、磁気記憶装置に含まれる磁気記憶媒体の形状は円板に限ったものではなく、細長いテープ状でもよく、形状は問わない。
(8) 垂直磁気記録媒体の製造方法であって、基板をチャンバー内に設定する工程と、前記基板上にスピネル型または逆スピネル型のイオン結晶構造をもつ酸化物薄膜を単結晶成長させる工程と、前記酸化物薄膜上に絶縁物の薄膜を構成する工程と、前記絶縁物に単体で強磁性を有する金属または、単体で強磁性を有する金属を含む合金の薄膜を単結晶させる工程と、前記単体で強磁性を有する金属または、単体で強磁性を有する金属を含む合金の薄膜上に高酸化力を有する気体の環境下で鉄(Fe)とコバルト(Co)の反応性蒸着比を2対1としてコバルトフェライト薄膜を単結晶成長させる工程と、を有する垂直磁気記録媒体の製造方法。
(8)の本発明に係る垂直磁気記録媒体の製造方法によれば、基板をチャンバー内に設定する工程と、前記基板上にスピネル型または逆スピネル型のイオン結晶構造をもつ酸化物薄膜を単結晶成長させる工程と、前記酸化物薄膜上に絶縁物の薄膜を構成する工程と、前記絶縁物に単体で強磁性を有する金属または、単体で強磁性を有する金属を含む合金の薄膜を単結晶させる工程と、前記鉄又は鉄を含む合金の薄膜上にオゾン(O3)など高酸化力を有する気体の環境下で鉄(Fe)とコバルト(Co)の反応性蒸着比を2対1としてコバルトフェライト薄膜を単結晶成長させる工程と、を有する、同一のチャンバー内で効率よく(1)から(6)で説明した垂直磁気記録媒体を効率よく製造することが出来る。
本発明によれば、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)などの希少金属を使用することなく、反強磁性的層間結合と、磁気異方性を有する垂直記録可能な磁性膜とを活用し垂直磁気記録媒体を提供することができる。すなわち、希少金属を使用することなく熱安定性の向上と低ノイズ化を図った磁気記録媒体を構成できる。また、希少金属を使用することなく、磁気記録媒体のスパイクノイズを抑制しうる軟磁性裏打ち層有した垂直磁気記録方式などによる高密度記録が可能な磁気記録媒体を提供できる。並びにこれらの磁気記録媒体を活用した磁気記憶装置を提供することができる。
本発明によれば、Pt、Ruなどの希少金属の使用に伴う問題、すなわち、需要増加に伴い価格上昇し、また、産出地域の偏在や、政治情勢などの要因により原料価格の高騰、供給不安定などの問題を避けることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
<実施例1>
実施例は、本発明の反強磁性的層間結合と磁気異方性による垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体に関するものである。
図1を用いて、本発明の磁気記録媒体に係る、垂直磁気記録層と軟磁性裏打ち層の構成を説明する。
高密度記録が可能な垂直磁気記録方式の磁気記録媒体においては、記録ビット39を保持する垂直磁気記録層41、軟磁性裏打ち層42が存在し、磁気情報の書き込み時には書き込みヘッド37、磁気記録層41、軟磁性裏打ち層42が磁気回路を構成する。書き込みヘッド37が移動して記録磁場が供給されなくなると、軟磁性裏打ち層42を構成する金属層40には残留磁化が生じるが、絶縁物層45を介して金属層40と反強磁性的層間結合を有する酸化物層44に生じる反平行の磁化によって相殺され、軟磁性裏打ち層42に由来する巨視的な静磁化は減少する。これにより、磁気情報の読み取り時に、読み取りヘッド38に到達する軟磁性裏打ち層42由来の磁束を低減できる。典型的にはスパイクノイズとして読み取られる軟磁性裏打ち層42由来の磁束を低減することで、記録ビット39由来の磁束の読み出しをより安定に高精度に行える。
上記非磁性基板43は、例えばAl基板、ガラス基板、またはSi基板からなる。この基板上にテクスチャ処理を施してもよい。
次に、本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法について、図2を参照して説明をする。
図2、図3に示すように、基板43をチャンバー130内に設定する(S10)。次に基板43上にスピネル型または逆スピネル型のイオン結晶構造をもつ酸化物薄膜を単結晶成長させる(S20)。そして、絶縁部45の薄膜を構成する(S30)。次に、単体で強磁性を有する金属または、単体で強磁性を有する金属を含む合金の薄膜を単結晶成長させる(S40)。その上に、オゾン(O3)環境下でコバルトフェライト薄膜を単結晶成長させる(S50)。
〈軟磁性裏打ち層〉
以下、軟磁性裏打ち層42の具体的な特性と製造方法について詳説する。
図4に示した、本発明に係る垂直磁気記録媒体の軟磁性裏打ち層42においては、読み取りヘッド38が拾うノイズを低減する目的で反強磁性的層間結合を利用するにあたり、Ruなどの希少金属を用いる必要はない。
本発明の酸化物層/絶縁物層/金属層からなる磁性層の1層を軟磁性裏打ち層に含んでもよく、複数の層を積層して含んでもよく、層間に磁性材、非磁性材、絶縁材、導体などを介在させてもよい。
非磁性基板43には、例えばAl基板、ガラス基板、またはSi基板を用いることができ、これらの基板上にテクスチャ処理を施してもよい。
本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法により、製作した磁性膜に反強磁性的層間結合が発生することを示す。
図4は、本発明の垂直磁気記録媒体の軟磁性裏打ち層の構成を示す図であり、該磁気記録媒体は、基板43の上に第1磁性層2、絶縁物層4、第2磁性層3を設ける構成を有する。本発明に係る、四酸化三鉄を除く酸化物層に含まれる酸化物は、マグヘマイトに限らず、スピネル型または逆スピネル型のイオン結晶構造を有する酸化物から適宜選択して用いることができる。
図3を用い、基板上43に酸化物膜と酸化マグネシウム膜と鉄薄膜からなる磁性膜を製作する手順を示す。基板としては、実験のために例えば、縦10mm、横20mmの大きさの酸化マグネシウムヘキカイ基板および研磨基板を用意し、これらのMgO(001)面を用いることができる。
到達真空度0.00000133Pa程度の真空槽130内において、原材料である鉄140はるつぼ150内に入れて、電子銃160の電子ビーム170を照射、加熱して蒸発させる。基板43は、酸化物膜2が成膜されるべき表面が鉄140の蒸発面を向くよう、真空槽130内に設置される。
可変リークバルブ210を閉じた状態で、ヒータ250を用いて基板43を700℃で1時間熱処理した後、基板温度を220℃に維持する。次いで、可変リークバルブ210を開き、酸化源ガス発生装置190からノズル220を経由して真空槽130内へ酸化源ガスを導入する。ノズル220は真空槽130内において基板43の方向を向くように配置されている。真空槽内の酸化源ガス圧が0.0004Pa以上となるよう、可変リークバルブ210を調節する。Feの反応性蒸着によって酸化物層を膜厚13nmまで製作させる。この際に、Feの成長レートを0.005nm毎秒程度に制御すると、構造が均一で良質な薄膜を得ることができる。
酸化源ガスとして純酸素ガスを用いると四酸化三鉄膜が成膜され、純オゾンガスを用いるとマグヘマイト膜が成膜される。
図5(a)は、四酸化三鉄のイオン結晶を模式的に示す図である。4配位のサイトAと6配位のサイトBに鉄原子が入った構造が3次元的に隣接し、ユニットセルサイズ0.84nmの単位格子を形成し、絶対温度120K付近で金属絶縁物転移(Verwey転移)が見られることが知られている。
四酸化三鉄膜の成膜においては、Verwey転移として知られる四酸化三鉄の金属絶縁物転移温度における電気伝導度変化が、Feの成長レートの異なる場合の膜製作と比べて急峻に表れることから、前記Feの成長レートにおいて構造が均一で良質な薄膜を得ることができる。
図5(b)は、発明者らがX線回折(XRD)により解析したマグへマイトのイオン結晶構造(格子構造)を模式的に示す図である。図5のように、四酸化三鉄のBサイト(スピネルの結晶構造において、酸素原子が作る8面体の中心部に配位した鉄原子の位置)から1/3個の鉄原子が抜けた構造であると考えられ、ユニットセルサイズ0.84nmの立方晶である四酸化三鉄の3倍の単位胞を持つ正方晶系の構造となっている。
図6に、前記製造法により成膜した、MgO基板上のマグヘマイト膜と、MgO基板上の四酸化三鉄膜における、温度対電気抵抗率特性を示す。マグヘマイト膜については典型的な2例を示す。酸化源に純オゾンガスを使用して製作したマグヘマイト膜の温度対電気抵抗率は、絶対温度100K付近から室温297K付近までの温度領域において高温ほど電気抵抗率が低下する傾向を示し、室温付近では1Ωm以上、100000Ωm以下の電気抵抗率を有する。
一方、酸化源に純酸素ガスを使用して製作した四酸化三鉄膜の温度対電気抵抗特性7においては、横軸の絶対温度120K付近に注目すると、四酸化三鉄に特徴的なVerwey転移にともなう電気抵抗変化が明瞭である。室温297K付近に注目すると、縦軸の電気抵抗率の値は0.0001Ωm以下である。
また、図3において、酸化源に10%オゾンガス、90%酸素ガスを使用して製作した四酸化三鉄膜の温度対電気抵抗率特性に注目すると、絶対温度120K付近でのVerwey転移は不明瞭であり、室温付近での電気抵抗率は、純酸素で酸化した四酸化三鉄膜よりも高い値を示す。これらの現象は、純酸素で酸化した四酸化三鉄膜の結晶が、90%酸素ガスで酸化した四酸化三鉄膜の結晶よりも高い均一度をもつことを示唆する。すなわち、四酸化三鉄膜を利用する場合は、前記製造方法において、酸化源ガスとして純酸素を用いることにより、四酸化三鉄膜と金属膜とを含む磁性膜における反強磁性的層間結合を最大限に利用しうる。
図7に、本発明の磁気記録媒体に含まれる、MgO基板上マグヘマイト膜と、MgO基板上四酸化三鉄膜の成膜中における、RHEED(反射高速電子線回折)像強度の時間変化の状況を示す。
図7が振動波形を有することから、マグヘマイト膜、四酸化三鉄膜のいずれも成膜過程において、それぞれの表面は格子面方位がそろった状態で成長している。また、図7の振動波形の周期は、経過時間とFe成長レートとの積から計算される、膜厚の0.21nmごとの成長に相当する。像強度が一定速度の膜厚の成長にしたがい周期変化することは、前記製造方法で作成したマグヘマイト膜、四酸化三鉄膜とも、1層が形成された後にその上に次の層が形成されるように成長していることを示している。
さらに、図5(a)、図5(b)に示したように、マグヘマイト結晶、四酸化三鉄結晶のユニットセルサイズは0.84nmであり、RHEED像強度の周期振動が示す膜厚0.21nmの値は、格子定数の4分の一に相当することから、製作したマグヘマイト膜、四酸化三鉄膜の表面は格子定数の4分の一程度の平坦性をもつと考えられ、前記製造方法を用いることで、良好な平坦性を有するマグヘマイト膜、四酸化三鉄膜を製作できる。
マグヘマイト膜、四酸化三鉄膜を製作した後に、基板温度を室温まで下げ、MgOを蒸着する。MgO膜厚は、マグヘマイト膜の上に成膜する場合は0.3nm〜1.3nmの範囲に設定し、四酸化三鉄膜の上に成膜する場合は0nmをこえ0.7nm以下の範囲に設定する。続いて、鉄を膜厚3nm程度に蒸着して、本発明の磁性膜が製作される。MgOおよび鉄の蒸着法は周知であり、その詳細な説明は本明細書では省略する。
以上述べたように、本発明の垂直磁気記録媒体に含まれる磁性膜は、基板上にマグヘマイト膜、四酸化三鉄膜、MgO膜、鉄膜を成膜して製作できる。本発明の磁気記録媒体には、用途に応じてキャップ層、電気配線層などを含むことができる。成膜後のマグヘマイト/MgO/鉄膜、四酸化三鉄/MgO/鉄膜は、それぞれ単一の層として使用してもよく、複数のマグヘマイト/MgO/鉄膜、四酸化三鉄/MgO/鉄膜を積層して使用してもよく、積層間に絶縁層または非磁性層を含んでもよい。
本発明に係る、四酸化三鉄を除く酸化物層に含まれる酸化物は、マグヘマイトに限らず、スピネル型または逆スピネル型のイオン結晶構造を有する酸化物から適宜選択して用いることができる。
以下、本発明に係る軟磁性裏打ち層を、四酸化三鉄/MgO/鉄膜の構成にて、室温環境下で利用可能な反強磁性的層間結合が発生することを示す。
図8(a)を用いて、MgO膜を介在させずに、膜厚13nmの四酸化三鉄膜の上に膜厚3nmの鉄膜を成膜した磁性膜の磁化特性を示す。外部磁場を印加した際に磁性膜に誘発されて生じる磁化の強度は、磁気円二色性計測法を用い、鉄膜表面での偏光の反射を観測することで計測できる。
図8(a)において、外部磁場をゼロから一方向に増加させていくと磁気円二色性強度の絶対値も増加するが、外部磁場の絶対値が増加するに従い、磁気円二色性強度の増加はゆるやかになる。外部磁場を減少し、ゼロ磁場を経由して極性を反転させると、磁気円二色性強度は符号反転して前記の磁気飽和と同様の状況を逆符号の領域でも示す。
図8(b)に、膜厚13nmの四酸化三鉄膜の上に、膜厚1.4nmのMgO膜を成膜し、さらにその上に膜厚3nmの鉄膜を成膜した磁性膜の磁化曲線を、鉄膜表面における磁気円二色性強度として示す。図8(b)においては、横軸に示す外部磁場がゼロの値において、縦軸の磁気円二色性強度が、図8(a)に示した本発明に係る磁性膜よりも有意に大きな絶対値をもつ値を有している。MgO膜が介在する磁性膜の鉄膜表面においては、外部磁化を取り去った後も、四酸化三鉄と鉄膜が直接結合した磁性膜よりも大きな残留磁化が発生することが示されている。
また、図8(b)において、横軸に示す外部磁場の絶対値が5×79.6×1000[A/m]を超える領域では、縦軸の磁気円二色性強度はほとんど変化せず、鉄膜が磁気飽和したことが示されている。
一方、図8(a)においては、横軸に示す外部磁場の絶対値が5×79.6×1000[A/m]を超える領域においても、縦軸の磁気円二色性強度には増減が表れていることから、MgO膜を介在しない四酸化三鉄/鉄膜からなる磁性膜は磁束飽和に達していないことが示されている。
すなわち、四酸化三鉄膜/鉄膜からなる磁性膜においては、残留磁化が抑圧され、磁気飽和点の上昇が見られことから、四酸化三鉄膜/鉄膜との2膜に反強磁性的層間結合が発生したことが示されている。
非磁性体であるMgOは、反強磁性的層間結合を生じる磁性層間の非磁性層に用いうることが知られており、反平行に磁性結合した四酸化三鉄膜/鉄膜の間にMgO膜を介在させれば、MgO膜厚を制御することで層間結合を制御しうることは十分に予想しうる。
図9に、四酸化三鉄膜(膜厚13nm)/MgO膜/鉄膜(膜厚3nm)からなる積層膜について計測した、四酸化三鉄膜と鉄膜との反強磁性的層間結合定数のMgO膜厚依存性を示す。
まず、層間結合定数の算出について説明する。磁気異方性を無視し、2つの磁性層の物理的配置が平行と仮定し、鉄膜の飽和磁化が四酸化三鉄膜の飽和磁化と比べて十分大きいと仮定し、次式を層間結合定数として定義する。
ここに、Jは層間結合定数[ジュール/平方メートル]、Hsは飽和磁場[アンペア/メートル]、Msは磁性層の飽和磁化[テスラ]、tは四酸化三鉄層の膜厚[メートル]である。
一例として、図8(a)に矢印M点で示した計測点における層間結合定数J値の算出を示す。横軸からHsの値は10×79.6×1000[A/m]、Msの値は約0.23[テスラ]相当、鉄膜の膜厚は3[nm]であるので、式1を用いて層間結合定数J値として約1.1[mJ/平方メートル]が得られる。
MgO膜厚の異なる磁性多層膜を製作し、各試料について求めたJ値を補間することにより、図7に示した、四酸化三鉄膜/MgO膜/鉄膜における反強磁性的層間結合定数のMgO膜厚依存性が得られる。
図9においては、層間結合定数Jが、非磁性層であるMgO膜の厚さに依存することが示され、MgO膜厚が約0.7nm以下の条件において、四酸化三鉄膜/MgO膜/鉄膜に含まれる四酸化三鉄膜と鉄膜との間に反強磁性的層間結合が発生することが示された。
本発明の磁気記録媒体に含まれる四酸化三鉄膜/MgO膜/鉄膜からなる磁性膜においては、MgO膜厚が約0.7nm以下の条件で反強磁性的層間結合が発生し、Ruなどの希少金属を用いることなく反強磁性的層間結合を有する磁性薄膜を提供できる。
図10は、本発明の磁気記録媒体に含まれる四酸化三鉄膜/MgO膜/鉄膜からなる磁性膜における、反強磁性的層間結合の温度依存性を示す図である。図10は、本発明の磁気記録媒体においては、磁性膜に含まれる四酸化三鉄の金属絶縁物転移(Verwey転移)温度以上の温度領域において、反強磁性的層間結合の結合定数の顕著な減少がないことを示しており、このことから、本発明の磁気記録媒体に含まれる磁性膜は、室温または室温に近い温度環境下で、磁気記録媒体、軟磁性裏打ち層、磁気記憶装置、磁気ランダムアクセスメモリなどの形態に含まれて動作する場合に、反強磁性的層間結合を維持しうる。
以上示したように、本発明の磁気記録媒体に含まれる四酸化三鉄膜/MgO膜/鉄膜からなる磁性膜においては、Ruなどの希少金属を用いることなく、反強磁性的層間結合が発生し、とりわけ室温近辺の温度環境において反強磁性的層間結合を維持しうる。
本発明に係る垂直磁気記録媒体の軟磁性裏打ち層が、マグヘマイト/MgO/鉄膜に、室温環境下で利用可能な反強磁性的層間結合が発生することを示す。
図11(a)(b)(c)は、前記の四酸化三鉄膜/MgO膜/鉄膜において示した、磁気円二色性計測法を用いて計測した、マグヘマイト(膜厚13nm)/MgO/鉄膜(膜厚0.3nm)を積層した磁性膜の鉄膜表面における磁化曲線であり、図11(a)はMgO膜厚0nm、図11(b)はMgO膜厚0.7nm、図11(c)はMgO膜厚1.5nmのそれぞれに対応する。
マグヘマイト/MgO/鉄膜の磁化曲線は、図11(a)、図11(c)に示されるように、MgO膜厚が0nm、1.5nmの2つの磁性膜においては、横軸に示す外部磁場の絶対値が1×79.6×1000[A/m]を超える領域では、縦軸の磁気円二色性強度はほとんど変化せず、鉄膜が磁気飽和したことが示されている。一方、図11(b)に示されるように、MgO膜厚が0.7nmの磁性膜においては、横軸に示す外部磁場の絶対値が1×79.6×1000[A/m]を超える領域においても、縦軸の磁気円二色性強度には増減が表れていることから、MgO膜厚が0.7nmの磁性膜は磁束飽和に達していないことが示されている。
さらに、図11(a)、図11(c)に示されるマグヘマイト/MgO/鉄膜の磁化曲線は、外部磁場が絶対値0.5×79.6×1000[A/m]程度の領域において増減すると、外部磁場の符号に応じて磁性膜が磁化され、磁束飽和近傍に達することが示されている。一方、図9(b)に示されるように、MgO膜厚が0.7nmの磁性膜においては、外部磁場が絶対値0.5×79.6×1000[A/m]程度の領域において増減すると、磁性膜に生じる磁化の強度は、MgO膜厚0nm、MgO膜厚1.5nmの場合の1割程度であることが示されており、これはMgO膜厚に依存して透磁率が変化し、図9(a)(b)(c)の3つの計測においては、MgO膜厚0.7nmにおいて透磁率がもっとも低下したことを示している。
すなわち、図11(a)(b)(c)を用いて示したように、マグヘマイト/MgO/鉄膜からなる磁性膜においては、MgO膜厚に依存してマグヘマイト膜と鉄膜との間に反強磁性的層間結合が生じ、MgO膜厚0.7nm近傍において、反強磁性的層間結合の強度が最大となることが示されている。
図10に、マグヘマイト膜(膜厚13nm)/MgO膜/鉄膜(膜厚3nm)からなる積層膜について計測した、マグヘマイト膜と鉄膜との反強磁性的層間結合定数のMgO膜厚依存性を示す。層間結合定数Jの算出法は、既述した通りである。MgO膜厚0.7nmにおいて、反強磁性的層間結合定数Jの値として約1.3[mJ/平方メートル]が得られた。
図10においては、層間結合定数Jが、非磁性層であるMgO膜の厚さに依存することが示され、MgO膜厚が約0.7nmの条件において、マグヘマイト膜/MgO膜/鉄膜に含まれるマグヘマイト膜と鉄膜との反強磁性的層間結合が最大となる。
本発明の磁気記録媒体に含まれるマグヘマイト膜/MgO膜/鉄膜からなる磁性膜においては、Ruなどの希少金属を用いることなく反強磁性的層間結合を有する磁性薄膜を提供できる。
図11は、本発明の磁気記録媒体に含まれるマグヘマイト膜/MgO膜/鉄膜からなる磁性膜における、反強磁性的層間結合の温度依存性を示す図である。図11は、本発明の磁気記録媒体においては、極低温から室温の温度領域において、反強磁性的層間結合の結合定数の顕著な減少がないことを示しており、このことから、本発明の磁気記録媒体に含まれる磁性膜は、室温または室温に近い温度環境下で、磁気記録媒体、軟磁性裏打ち層、磁気記憶装置などの形態に含まれて動作する場合に、反強磁性的層間結合を維持しうる。
以上示したように、本発明の垂直磁気記録媒体の軟磁性裏打ち層がマグヘマイト膜/MgO膜/鉄膜からなる磁性膜においては、Ruなどの希少金属を用いることなく、反強磁性的層間結合が発生し、とりわけ室温近辺の温度環境において反強磁性的層間結合を維持しうる。
本発明に係る磁気記録媒体は、従来型の反強磁性的層間結合を利用するために磁気記録層が含んでいるRu層などの非磁性絶縁層を不要とし、従来型の反強磁性的層間結合を利用する磁気記録媒体に代替して使用できる。
〈垂直磁気記録層〉
次に本発明の垂直磁気異方性をもつ垂直磁気記録層について説明をする。
通常、垂直磁気異方性を示す材料は、反磁場(電磁気学から要請される面内に磁化する特性)に打ち勝つだけの結晶磁気異方性または界面磁気異方性を持たねばならない。一般的にこのような材料は、界面や歪などの結晶構造の対称性の低減に伴い、スピン軌道相互作用を介して強い磁気異方性が現れるが、スピン軌道相互作用は原子番号(Z)の大きな材料に顕著な性質であり、従来技術では、PtやPdといった高価な材料が不可欠であった。
実験のため、基板に単結晶MgO(001)をもちいて純オゾンを酸化源とする分子線エピタキシー法(MBE)成長を行い、コバルトフェライト(001)単結晶(エピタキシャル)薄膜を成長させたところ、図14に示される磁化曲線を室温にて得た。
具体的に、図3に示す成膜装置を用い、基板上43に垂直磁気異方性を示す記録膜を製作する手順を示す。基板としては、実験用として、例えば、縦10mm、横20mmの大きさの酸化マグネシウムヘキカイ基板および研磨基板を用意し、これらのMgO(001)面を用いることができる。
到達真空度0.00000133Pa程度の真空槽130内において、原材料である鉄140はるつぼ150内に入れて、電子銃(1)160の電子ビーム(1)170を照射、加熱して蒸発させる。また、原材料であるコバルト142はるつぼ(2)152内に入れて、電子銃(2)162の電子ビーム(2)172を照射、加熱して蒸発させる。基板43は、酸化物膜2が成膜されるべき表面が鉄140とコバルト142の蒸発面を向くよう、真空槽130内に設置される。
可変リークバルブ210を閉じた状態で、ヒータ250を用いて基板43を700℃で1時間熱処理した後、基板温度を220℃に維持する。次いで、可変リークバルブ210を開き、酸化源ガス発生装置190からノズル220を経由して真空槽130内へ酸化源ガスを導入する。ノズル220は真空槽130内において基板43の方向を向くように配置されている。真空槽内の酸化源ガス230として純オゾンガスを用いて酸化源ガス圧が0.0004Pa以上となるよう、可変リークバルブ210を調節する。FeとCoの反応性蒸着比を2対1に設定し垂直磁気異方性層を膜厚13nmまで製作させる。
この異方性の大きさは、保磁力251.2アンペア・ターン/メーターと、バルクの飽和磁化から見積もった磁気異方性エネルギー密度は4x107J/m3であったが、ここで用いた保磁力は測定装置の制約から磁化曲線のマイナーループから算出したものであるため実際の異方性エネルギーは、これより大きいものと思われる。また、メスバウアー分光測定を行ったところ、垂直磁化を確認することができた。
この垂直磁気記録層を上記で説明した軟磁性裏打ち層42の上に形成することによりPtやRuという希少金属を用いることなく、磁気的に反平行状態で結合した構造を含む垂直磁気記録媒体を提供することが出来る。また、図3で説明した成膜装置を用いて、軟磁性裏打ち層42に引き続き製作することが出来る。
<実施例2>
実施例2は、本発明の垂直磁気記録媒体を用いた、磁気記憶装置に関するものである。
図15は、本発明に係る磁気記憶装置の要部を示す平面図である。磁気記憶装置は大略ハウジング73、ハブ75、磁気記録媒体76、記録再生ヘッド77、サスペンション78、アーム79が設けられている。磁気記録媒体76は、モータ(図示せず)により回転するハブ75に取り付けられている。記録再生ヘッド77は、MRヘッドや、GMRヘッド等の読み取りヘッドと、インダクティブヘッド等の記録ヘッドからなる複合型の記録再生ヘッドである。記録再生ヘッド77は、アーム79の先端にサスペンション78を介して取り付けられている。磁気記録媒体76は、複数の枚数を適宜隔ててハブ75に接続してもよく、それぞれの磁気記憶媒体ごとに記録再生ヘッド、サスペンション、アームを設けてもよい。この磁気記憶装置の基本構成自体は公知であり、その詳細な説明は本明細書では省略する。
前記磁気記憶装置の実施例で、磁気記録媒体76として、図1で説明した構成を有する垂直磁気記録媒体を用いることができる。ハウジング73に収める磁気記録媒体76の枚数は1枚に限らず2枚でもよく、3枚でもよく、枚数は問わない。1枚の磁気記録媒体の片面のみを磁気記録に用いてもよく、両面を磁気記録に用いてもよい。
本発明の磁気記録媒体を含む磁気記憶装置は、図15に示すものに限定されるものではない。また、本発明で用いる磁気記憶媒体は磁気ディスクに限定されるものではない。
以上、本発明の実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることができる。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。例えば、酸化物としてFe2NiO4を用い、金属としてFeを用い、絶縁物としてMgOを用い、それぞれを順次成膜して製作される酸化物層/絶縁物層/金属層にも同様に対応することができる。