JP5525463B2 - 固体酸化物型燃料電池用空気極材料および固体酸化物型燃料電池 - Google Patents
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Description
また、非特許文献2には、空気極に用いられる材料であって、BサイトにPrを持つペロブスカイト型酸化物であるBa(Pr1−XGdX)O3−αが、電子と酸素イオンの混合導電性を示すことが記載されている。
また、本発明は、動作温度の低いSOFCを提供することを目的とする。
その結果、以下に示すように、集電層と、前記集電層の電解質層側に配置された活性層とを含む空気極を備えるSOFCにおいて、活性層をAPr1−xBxO3 (AはSr, Caから選ばれた1種であり、BはSm,Gd,Y,Yb,Scから選ばれた1種であり、Xは0以上0.3以下である)の式で表される組成のペロブスカイト型酸化物を含むものとすればよいことを見出した。
本発明の固体酸化物型燃料電池用空気極材料は、空気極と、燃料極と、前記空気極と前記燃料極との間に配置された電解質層とを備え、前記空気極が、集電層と前記集電層の前記電解質層側に配置された活性層とを含む固体酸化物型燃料電池における前記活性層に用いられる空気極材料であり、APr1−xBxO3 (AはSr, Caから選ばれた1種であり、BはSm,Gd,Y,Yb,Scから選ばれた1種であり、Xは0以上0.3以下である)の式で表されるペロブスカイト型酸化物を含むことを特徴とする。
上記の固体酸化物型燃料電池においては、前記活性層の前記電解質層側に、前記活性層と前記電解質層との反応による劣化を防止する中間層が備えられているものとすることができる。
また、上記の固体酸化物型燃料電池においては、前記中間層が、セリア系電解質材料からなることを特徴とする固体酸化物型燃料電池とすることができる。
したがって、本発明のSOFCでは、動作温度を低下させても、水素ガスまたは燃料ガスと空気または酸素ガスとの反応量を確保することができ、動作温度を低下させることによる出力電圧の低下が抑制されたものとなる。
本発明の固体酸化物型燃料電池用空気極材料を用いた活性層を含む空気極を備える本発明の固体酸化物型燃料電池の一例について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の固体酸化物型燃料電池(SOFC)の一例を説明するための概略断面図であり、SOFCに備えられた単セルを拡大して示した拡大断面図である。図1において、符号10は電解質支持平板型の単セルを示している。図1に示す単セル10の上下両面には、それぞれ白金ペーストなどからなる集電体(図示略)が設けられている。
空気極1は、集電層1aと、集電層1aの電解質層3側に配置された活性層1bとを含むものである。また、図1に示すSOFCの単セル10においては、活性層1bの電解質層3側に中間層4が配置されている。
燃料極2としては、従来のSOFCの単セルにおいて用いられているものを使用でき、特に限定されないが、具体的には例えば、白金、NiO−YSZ、NiO−SASZからなるものなどが挙げられる。
中間層4の厚みは、0.1〜10μmの範囲であることが好ましい。中間層4の厚みが上記範囲である場合、中間層4中のイオン伝導に対する抵抗の著しい増大を伴わずに、活性層1bと電解質層3との反応による単セル10の特性の劣化を効果的に防止できる。
上記ペロブスカイト型酸化物の組成式におけるAが、+2価の価数をとる原子であるBa, Sr, Caから選ばれた1種である場合、上記ペロブスカイト型酸化物の結晶構造はいずれも同じとなり、電子伝導と酸素イオン伝導の混合導電性を有する上記ペロブスカイト型酸化物となる。
上記ペロブスカイト型酸化物の中でも、特に、Sr,Baを含む材料がイオン伝導性に優れており、また、空気中に含まれているCO2ガスに対する耐久性の点ではSrそしてCaを含む材料が優れている。これらの点から上記ペロブスカイト型酸化物の組成式におけるAがSrであるものがより好ましい。
まず、電解質層3となる電解質基板を、ドクターブレード法などを用いてシート成形し、それを焼成する方法などにより用意する。
次いで、電解質層3となる電解質基板の中間層4を形成する空気極面と反対側の面に、スクリーンプリント法を用いて燃料極2となる材料を塗布し、例えば、1300℃で焼成することにより、燃料極2を形成する。
その後、スクリーンプリント法を用いて、中間層4上に活性層1bとなるペロブスカイト型酸化物を含む材料と、集電層1aとなる材料とを順次塗布する。
その後、電極となる材料の塗布された電解質層3となる電解質基板を、例えば、1100℃で焼成することにより、活性層1bと集電層1aとからなる空気極1と燃料極2との間に電解質層3が配置された図1に示す単セル10の上下両面に電極が形成されたものが得られる。
その後、必要に応じて、上下両面に電極が形成された図1に示す単セル10を複数積み重ねてスタックとし、さらにスタックをまとめてモジュールとして、SOFCに備えられる。
次に、本発明の固体酸化物型燃料電池用空気極材料を用いた活性層を含む空気極を備える本発明の固体酸化物型燃料電池の他の例について、図面を参照して説明する。
図2は、本発明の固体酸化物型燃料電池(SOFC)の他の例を説明するための概略断面図であり、SOFCに備えられた単セルを拡大して示した拡大断面図である。図2において、符号20は単セルを示している。図2に示す単セル20の上下両面には、それぞれ白金などからなる集電体(図示略)が設けられている。
図2に示す単セル20の空気極11は、集電層1aと、集電層1aの電解質層3側に配置された活性層1cとを含むものである。
図2に示す空気極11の集電層1aとしては、図1に示す単セル10と同じものを用いることができる。
活性層1cに含まれるペロブスカイト型酸化物としては、図1に示す単セル10の活性層1bに用いたものと同じものを用いることができる。
活性層1cに含まれる集電層1aに用いられた材料と、上記ペロブスカイト型酸化物との比は、特に限定されないが、質量%で20:80〜80:20(集電層1aに用いられた材料:上記ペロブスカイト型酸化物)の範囲であることが好ましく、40:60〜60:40の範囲であることがより好ましい。集電層1aに用いられた材料と、上記ペロブスカイト型酸化物との比が、上記範囲内である場合、活性層1cを備えることによる空気極1の電気抵抗の低下を効果的に防止できるとともに、活性層1cを備えることによる空気極1における電気化学反応を促進させる効果がより効果的に得られる。
まず、図1に示す単セル10と同様にして、中間層4を形成するまでの工程を行う。
その後、中間層4上に、活性層1cとなる集電層1aに用いられる材料とペロブスカイト型酸化物とを含む混合材料と、集電層1aとなる材料とを順次塗布する。
その後、必要に応じて、図1に示す単セル10と同様に、上下両面に電極が形成された図2に示す単セル20を複数積み重ねてスタックとし、さらにスタックをまとめてモジュールとして、SOFCに備えられる。
なお、本実施形態のSOFCにおける活性層1cは、集電層1aを兼ねるものとすることができる。活性層1cが集電層1aを兼ねる場合、活性層1cと集電層1aとを別々に設ける場合と比較して、製造工程を簡略化することができ好ましい。しかし、活性層1cは、集電層1aと比較して電気抵抗が高いため、空気極11の電気導電性が不充分となる恐れがある。このため、本実施形態においては、活性層1cと集電層1aとを別々に設けている。
例えば、電解質層3は、セリア系電解質材料からなるものとしてもよい。この場合、電解質層3は、中間層4を兼ねるものとすることができる。電解質層3が中間層4を兼ねる場合、中間層4と電解質層3とを別々に設ける場合と比較して、製造工程を簡略化することができる点では好ましい。しかし、電解質層3および中間層4がセリア系電解質材料からなるものである場合、550℃以上でのイオン輸率が不十分となる。例えば、動作温度が600℃以上の高温であるSOFCでは、中間層4とジルコニア系の電解質層3とを別々に設けた場合、電解質層3および中間層4がセリア系電解質材料からなるものである場合と比較して、優れた発電特性が得られる。
また、本発明のSOFCは、単セルの劣化を防止するため、中間層4を備えるものであることが好ましいが、中間層4を備えていなくてもよい。
本発明のSOFC用空気極材料およびSOFCの特性を評価するために、以下に示す製造方法によって、図3に示す構造の試験体を製造し、電解質層の空気極側の界面抵抗を測定した。図3は、電解質層の空気極側の界面抵抗を測定するための試験体の構造を説明するための図であり、図3(a)は試験体の平面図であり、図3(b)は図3(a)に示す試験体のA−A´線に対応する断面図である。
そして、空気極面側にスクリーンプリント法を用いて、電解質基板上にセリア系電解質材料を塗布し、1150℃で焼成した。このことにより、直径1.0cm、厚み4μmのGDC(Ce0.9Gd0.1O1.95)からなる図3に示す中間層24を形成した。
次いで、集電層21aとなる材料を塗布した面上に、電極25となる白金メッシュを載置した。
その後、電解質層23となる電解質基板を、1000℃で焼成することにより、活性層21bと集電層21aとからなる空気極21と白金からなる燃料極22との間に電解質層23が配置され、電解質層23の空気極21を形成した面の外周部に参照極26の形成された図3に示す構造の表1に示す実験例1−1−1〜1−1−5、1−2−2〜1−2−5、1−3−2〜1−3−5、1−4−2、1−5−2の試験体を製造した。
表1に示す実験例1−0は、本発明の比較例である。また、表1に示す実験例1−0以外の実験例は、本発明の実施例である。
表2に示すBaPr1−xBxO3の式で表されるペロブスカイト型酸化物からなる活性層21bを形成したこと以外は、実験1と同様にして、実験例2−1−1〜2−1−5、2−2−2〜2−2−5、2−3−2〜2−3−5、2−4−1、2−5−1の試験体を製造した。その後、実験1と同様にして、各試験体の電解質層23の空気極21側の界面抵抗を測定した。その結果を表2に示す。なお、表2に示す実験例は、全て本発明の実施例である。
表3に示すCaPr1−xBxO3の式で表されるペロブスカイト型酸化物からなる活性層21bを形成したこと以外は、実験1と同様にして、実験例3−1−1〜3−1−5、3−2−2〜3−2−5、3−3−2〜3−3−5、3−4−1、3−5−1の試験体を製造した。その後、実験1と同様にして、各試験体の空気極21の電気化学反応の界面抵抗を測定した。その結果を表3に示す。なお、表3に示す実験例は、全て本発明の実施例である。
表4に示す集電層材料と表4に示すAPr1−xBxO3の式で表されるペロブスカイト型酸化物とを表4に示す混合比で含む材料を塗布して厚み4μmの活性層を形成したこと以外は、実験1と同様にして、実験例4−1−1〜4−1−8、4−2−1〜4−2−8、4−3−1〜4−3−8の試験体を製造した。その後、実験1と同様にして、各試験体の空気極21の電気化学反応の界面抵抗を測定した。その結果を表4に示す。なお、表4に示す実験例は、全て本発明の実施例である。
表5に示す集電層材料と表5に示すSrPr1−xBxO3の式で表されるペロブスカイト型酸化物とを表5に示す混合比で含む材料を塗布して厚み4μmの活性層を形成したこと以外は、実験1と同様にして、実験例5−1−1−1〜5−1−1−3、5−1−2−1〜5−1−2−3、5−1−3−1〜5−1−3−3、5−1−4−1、5−1−5−1、5−2−1−1〜5−2−1−3、5−2−2−1〜5−2−2−3、5−2−3−1〜5−2−3−3、5−2−4−1、5−2−5−1、5−3−1−1〜5−3−1−3、5−3−2−1〜5−3−2−3、5−3−3−1〜5−3−3−3、5−3−4−1、5−3−5−1の試験体を製造した。
表5に示す実験例5−1−0、5−2−0、5−3−0は、本発明の比較例である。また、表5に示す実験例5−1−0、5−2−0、5−3−0以外の実験例は、本発明の実施例である。
Claims (5)
- 空気極と、燃料極と、前記空気極と前記燃料極との間に配置された電解質層とを備え、前記空気極が、集電層と前記集電層の前記電解質層側に配置された活性層とを含む固体酸化物型燃料電池における前記活性層に用いられる空気極材料であり、
APr1−xBxO3 (AはSr, Caから選ばれた1種であり、BはSm,Gd,Y,Yb,Scから選ばれた1種であり、Xは0以上0.3以下である)の式で表されるペロブスカイト型酸化物を含むことを特徴とする固体酸化物型燃料電池用空気極材料。 - 空気極と、燃料極と、前記空気極と前記燃料極との間に配置された電解質層とを備え、前記空気極が、集電層と前記集電層の前記電解質層側に配置された活性層とを含む固体酸化物型燃料電池であり、
前記活性層が、APr1−xBxO3 (AはSr, Caから選ばれた1種であり、BはSm,Gd,Y,Yb,Scから選ばれた1種であり、Xは0以上0.3以下である)の式で表されるペロブスカイト型酸化物を含むことを特徴とする固体酸化物型燃料電池。 - 前記活性層が、前記集電層に用いられた材料と、前記ペロブスカイト型酸化物とを含むことを特徴とする請求項2に記載の固体酸化物型燃料電池。
- 前記活性層の前記電解質層側に、前記活性層と前記電解質層との反応による劣化を防止する中間層が備えられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の固体酸化物型燃料電池。
- 前記中間層が、セリア系電解質材料からなることを特徴とする請求項4に記載の固体酸化物型燃料電池。
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