JP5525231B2 - 溶射材料の製造方法及び溶射皮膜の製造方法 - Google Patents

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本発明は溶射材料の製造方法及び溶射皮膜の製造方法に関する。詳しくは、例えば、汚染物質の無害化、抗菌、及び殺菌を行うことが可能な光触媒機能を有する溶射材料の製造方法、及び、こうした溶射材料を用いた溶射皮膜の製造方法に係るものである。
高齢化社会の進展により、免疫力の低下した高齢者の全人口に占める割合が増加傾向にあり、それに伴って、院内感染や食中毒等の予防の観点から、医療現場や食品生産及び加工現場における衛生管理の強化が喫緊の課題となっている。こうした社会的背景を受けて、様々な抗菌加工製品が開発されており、近年、抗菌加工への光触媒機能の利用が特に注目を集めている。
ここで、「光触媒機能」とは、その伝導帯と価電子帯のバンドギャップエネルギーより大きな光エネルギーが照射されると励起状態となり、電子−正孔対を生成して酸化及び還元反応を引き起こす触媒物質(光半導体物質)が有する機能を意味している。
光触媒の中でも、特に二酸化チタン(TiO)を用いた光触媒は、安価で、化学的安定性に優れ、かつ高い触媒活性を有しており、その強力な有機物分解活性により、細菌の菌体と同時にグラム陰性菌の細胞壁外壁成分であるエンドトキシンや細菌が産生する毒素(例えば、病原性大腸菌が産生するベロ毒素)等の有害物質を併せて分解することができ、しかも光触媒自体は人体に無害であるという利点を有している。
そのため、二酸化チタンを用いた光触媒の研究及び応用が行われており、食品容器、建材等の抗菌加工に二酸化チタン光触媒が広く用いられている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
なお、二酸化チタンは紫外線照射下でしか光触媒活性を発現しないために、紫外線成分を殆ど含まない室内光の下では充分な触媒活性を発現することができないこととなる。そのため、窒素、炭素、硫黄等の原子を結晶格子中にドープした二酸化チタンが、可視光照射下で光触媒活性を発現する光触媒として提案されており、特に硫黄ドープ二酸化チタンは、可視光領域における吸光係数が高く、可視光で高い触媒活性を有していることが知られている(例えば、特許文献3参照。)。
こうした光触媒の成膜方法としては、様々な方法が提案されている。具体的な二酸化チタン光触媒被膜の製造方法としては、ゾルゲル法等の溶液法、及び、スパッタリング法、イオンクラスタービーム法、CVD(化学蒸着)法、溶射法(例えば、特許文献4参照。)等の乾式法を挙げることができる。
上記した光触媒の成膜方法のうち、溶射法は、(1)高価な真空機器を必要としない、(2)多様な基材の表面に密着強度に優れた光触媒を成膜でき、(3)大面積の成膜にも適用可能である、等の多くの利点を有している。
ところで、溶射法によって光触媒を成膜する場合には、溶射材料の粒子径が1μm未満では質量が小さ過ぎるため、溶射時の基材への衝突エネルギーが少なく、歩留まりが低下してしまうことが懸念される。
また、溶射材料が二酸化チタンである場合を考慮すると、二酸化チタンはアナターゼ(Anatase)型とルチル(Rutile)型の結晶構造を有し、アナターゼ型の二酸化チタンの方が、ルチル型の二酸化チタンよりも、高い光触媒機能を示すことが知られているのであるが、溶射材料の粒子径が1μm未満では熱容量が小さ過ぎるため、溶射の熱によってアナターゼ含有率が低下してしまうことが懸念される。
そのため、光触媒微粒子にポリビニルアルコール等の結合材(バインダ)を混合し、溶射材料である光触媒粒子の粒子径を1μm以上に造粒するといった技術が提案されており、こうした技術を用いることで1μm以上の粒子径の光触媒粒子を造粒している。
なお、以下では、材料メーカから提供される材料粒子を「一次粒子」と称し、複数の一次粒子の集合体を「二次粒子」と称し、一次粒子や二次粒子を造粒によって粗大化した粒子を「三次粒子」と称する。
特開2007−51263号公報 特開2006−346651号公報 特開2004−143032号公報 特開2006−51439号公報
しかしながら、バインダを混合するという造粒方法では、溶射材料中の光触媒の純度が低下し、光触媒と有害物質(被分解物質)との接触をバインダが妨げてしまうこととなり、また、光触媒に光が当たりにくくなってしまう。更には、光触媒の分解エネルギーがバインダを分解するエネルギーに使用されてしまうことも考えられる。
この様に、溶射材料中にバインダが混合されると、光触媒の純度が低下することに起因して、光触媒の性能が低下してしまう。
本発明は以上の点に鑑みて創案されたものであって、光触媒の性能を充分に発揮することが可能な溶射材料の製造方法及びこうした溶射材料を用いた溶射被膜の製造方法を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、本発明に係る溶射材料の製造方法では、光触媒粒子(一次粒子や二次粒子)と水とを混合してスラリーを生成する工程と、該スラリーに超音波を照射して、同スラリーに含まれる光触媒粒子の粒径を1μm〜50μmに粗大化する工程とを備える。
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る溶射被膜の製造方法では、光触媒粒子(一次粒子や二次粒子)と水とを混合してスラリーを生成する工程と、該スラリーに超音波を照射して、同スラリーに含まれる光触媒粒子の粒径を1μm〜50μmに粗大化して溶射材料を製造する工程と、前記溶射材料の溶射を行う工程とを備える。
また、本発明に係る溶射被膜の製造方法では、粒径が10nm〜1000nmである光触媒粒子(一次粒子)若しくは粒径が10nm〜1000nmである光触媒粒子(一次粒子)の集合体(二次粒子)の少なくとも一方と水とを混合して光触媒濃度が10質量%〜30質量%のスラリーを生成する工程と、該スラリーに周波数が28kHz〜40kHzの超音波を2時間〜7時間照射して、同スラリーに含まれる光触媒粒子の粒径を1μm〜50μmに粗大化して溶射材料を製造する工程と、前記溶射材料の溶射を行う工程とを備える。
また、本発明に係る溶射皮膜の製造方法では、アナターゼ型の二酸化チタン粒子を含む光触媒粒子(一次粒子や二次粒子)と水とを混合してスラリーを生成する工程と、該スラリーに超音波を照射して、同スラリーに含まれる光触媒粒子の粒径を1μm〜50μmに粗大化して溶射材料を製造する工程と、アナターゼ型の二酸化チタンがルチル型に変態するのを制御しながら前記溶射材料の溶射を行う工程とを備える。
また、本発明に係る溶射皮膜の製造方法では、粒径が10nm〜1000nmであるアナターゼ型の二酸化チタン粒子を含む光触媒粒子(一次粒子)若しくは粒径が10nm〜1000nmであるアナターゼ型の二酸化チタン粒子を含む光触媒粒子(一次粒子)の集合体(二次粒子)の少なくとも一方と水とを混合して光触媒濃度が10質量%〜30質量%のスラリーを生成する工程と、該スラリーに周波数が28kHz〜40kHzの超音波を2時間〜7時間照射して、同スラリー中に含まれる光触媒粒子の粒径を1μm〜50μmに粗大化して溶射材料を製造する工程と、アナターゼ型の二酸化チタンがルチル型に変態するのを制御しながら前記溶射材料の溶射を行う工程とを備える。
ここで、スラリーに超音波を照射することによって、溶射材料中の光触媒の純度を低下することなく、スラリーに含まれる光触媒粒子の粒径を粗大化することができる。
また、光触媒粒子(三次粒子)の粒径を1μm以上とするのは、粒径が1μm未満では質量が小さ過ぎるため、溶射時の基材への衝突エネルギーが少なく、歩留まりが低下してしまうことが懸念されるためである。なお、溶射材料が二酸化チタンである場合を考慮すると、光触媒粒子(三次粒子)の粒径が1μm未満では熱容量が小さ過ぎて、溶射熱によってアナターゼ含有率が低下してしまうことが懸念されるためである。
更に、光触媒粒子(三次粒子)の粒径を50μm以下とするのは、粒径が50μmを越えると、基材への衝突前までに充分な加速を行うことができず溶射粒子速度が遅いことに起因して、また、基材への衝突の際に砕けてしまって分散破壊することに起因して、歩留まりが低下してしまうためである。
ここで、光触媒粒子(一次粒子)の粒径が10nm未満である場合には、溶射の熱の影響によって光触媒機能が低下してしまうことが考えられる。例えば、二酸化チタンの粒子径が10nm未満である場合には、溶射の熱の影響によってアナターゼ含有率が低下してしまうことが考えられる。従って、光触媒粒子(一次粒子)の粒径は10nm以上であることが好ましい。
また、光触媒粒子(一次粒子)の粒径が1000nmより大きい場合には、光触媒粒子(一次粒子)の比表面積が小さくなってしまい、ガス分解性能等の有機物分解性能が低下してしまうと考えられる。従って、光触媒粒子(一次粒子)の粒径は1000nm以下であることが好ましい。
更に、スラリーの光触媒濃度が10質量%未満である場合には、一度に溶射する光触媒材料量が少ないために、溶射効率が悪く、歩留まりや付着効率が低下してしまうことが考えられる。従って、スラリーの光触媒濃度は10質量%以上であることが好ましい。
また、スラリーの光触媒濃度が30質量%を越えた場合には、溶射処理能力に対して過剰な投入となってしまい、溶射効率が低下してしまうことが考えられる。また、粘度の上昇により溶射材料を供給する際に目詰まり等が発生してしまう危険性も高まってしまう。従って、スラリーの光触媒濃度は30質量%以下であることが好ましい。
また、スラリーに照射する超音波の周波数が28kHz未満である場合には、超音波の照射によって光触媒粒子(二次粒子)を破砕する方向に作用が働き、光触媒粒子(二次粒子)が粗大化せずに微細化してしまうことが考えられる。従って、スラリーに照射する超音波の周波数は28kHz以上であることが好ましい。
また、スラリーに照射する超音波の周波数が40kHzを越えると、光触媒粒子(一次粒子や二次粒子)の粗大化に長時間を要してしまい、効率が悪い。従って、スラリーに照射する超音波の周波数は40kHz以下であることが好ましい。
また、スラリーへの超音波の照射時間が2時間未満である場合には、光触媒粒子(一次粒子や二次粒子)の粗大化の効果を得られないことが考えられる。従って、スラリーへの超音波の照射時間は2時間以上であることが好ましい。
また、スラリーへの超音波の照射時間が7時間を超えたとしても、粗大化の効果に顕著な影響がないと考えられる。従って、スラリーへの超音波の照射時間は7時間以下であることが好ましい。
本発明を適用した溶射材料の製造方法では、溶射材料中の光触媒の純度を低下させることなく光触媒粒子を粗大化することができる。また、本発明を適用した溶射皮膜の製造方法では、材料中の光触媒の純度を低下させることなく粗大化した溶射材料を用いており、高い付着率と高い光触媒性能を得ることができる。
本発明を適用した溶射皮膜の製造方法の一例のプロセスを説明するためのフローチャートである。 超音波照射前後のスラリー中の光触媒微粒子の粒度分布を示すグラフである。
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」と称する。)について、図面を参酌しながら説明を行う。
図1は本発明を適用した溶射皮膜の製造方法の一例のプロセスを説明するためのフローチャートであり、本発明を適用した溶射皮膜の製造方法の一例では、(1)スラリー生成プロセス、(2)超音波照射プロセス、(3)溶射皮膜形成プロセスの3つのプロセスで成り立っている。以下、各プロセスについて詳細に説明を行う。
<1.スラリー生成プロセス>
本発明を適用した溶射皮膜の製造方法の一例では、先ず、窒素、炭素及び硫黄原子の少なくとも1つを結晶格子中にドープした粒径が10nm〜1000nmのアナターゼ型の二酸化チタン粒子を含む光触媒微粒子(一次粒子)及びこうした一次粒子の集合体(二次粒子)と水とを混合して、光触媒濃度が10質量%〜30質量%のスラリーを生成する。
ここで、本実施の形態では、窒素、炭素及び硫黄原子の少なくとも1つを結晶格子中にドープした二酸化チタン粒子を含む光触媒微粒子を用いる場合を例に挙げて説明を行っていくが、必ずしも窒素、炭素及び硫黄原子の少なくとも1つが結晶格子中にドープされる必要は無く、また、二酸化チタン以外の光触媒微粒子であっても良い。
但し、安価で、化学的安定性に優れ、かつ高い触媒活性を有するといった点を考慮すると、光触媒として二酸化チタンを採用することが好ましく、また、紫外線成分を殆ど含まない室内光の下でも充分な触媒活性を発現できることを考慮すると、窒素、炭素及び硫黄原子の少なくとも1つが結晶格子中にドープされた方が好ましい。
また、本実施の形態では、一次粒子及び二次粒子と水とを混合してスラリーを形成する場合を例に挙げて説明を行っているが、一次粒子のみと水とを混合してスラリーを形成したり、二次粒子のみと水とを混合してスラリーを形成したりしても良い。
[一次粒子の粒径について]
表1に、粒径が7nmである二酸化チタンを含む光触媒微粒子(一次粒子)を用いて溶射被膜を成膜した場合(表1中符号aで示す)と、粒径が200nmである二酸化チタンを含む光触媒微粒子(一次粒子)を用いて溶射被膜を成膜した場合(表1中符号bで示す)について、焼成温度とアナターゼ含有率との関係を示す。
Figure 0005525231
また、表2に、粒径が7nmである二酸化チタンを含む光触媒微粒子(一次粒子)を用いて溶射被膜を成膜した場合(表2中符号aで示す)と、粒径が200nmである二酸化チタンを含む光触媒微粒子(一次粒子)を用いて溶射被膜を成膜した場合(表2中符号bで示す)について、時間と被分解物質濃度との関係を示す。
Figure 0005525231
表1から、一次粒子の粒径が小さい場合には溶射の熱の影響を受けやすく、焼成温度が同一であったとしても、アナターゼ含有率が低下することが分かる。また、表2から、「7nmの粒径を有する一次粒子で成膜された溶射被膜」と「200nmの粒径を有する一次粒子で成膜された溶射被膜」の分解活性を比較した場合には、「200nmの粒径を有する一次粒子で成膜された溶射被膜」の分解活性が高いことが分かる。即ち、アナターゼ含有率が高い方が溶射被膜の分解活性が高いことが分かる。
この様に、一次粒子の粒径が大きい方がアナターゼ含有率が高く溶射被膜の分解活性が高くなり、更に、表1のデータから一次粒子の粒径が7nmである場合にはルチル化が著しいために、本実施の形態では一次粒子の粒径を10nm以上としている。
更に、表3に、粒径が15nmである二酸化チタンを含む光触媒微粒子(一次粒子)を用いて溶射被膜を成膜し、その溶射被膜のアナターゼ含有率が89.5%である場合(表3中符号cで示す)と、粒径が30nmである二酸化チタンを含む光触媒微粒子(一次粒子)を用いて溶射被膜を成膜し、その溶射被膜のアナターゼ含有率が98.8%である場合(表3中符号dで示す)について、時間と被分解物質濃度(アセトアルデヒド濃度)との関係を示す。
Figure 0005525231
表3から、アナターゼ含有率が高かったとしても、アナターゼ含有率の差が小さい場合には、一次粒子の粒径が小さい方が一次粒子の粒径が大きい方と比べて比表面積が大きいことに起因して分解活性が高いことが分かる。
この様に、一次粒子の粒径が大き過ぎる場合にも分解活性を悪化させるために、本実施の形態では一次粒子の粒径を1000nm以下としている。
[光触媒濃度について]
表4に、光触媒濃度が10質量%及び30質量%のスラリーで溶射被膜を成膜した場合におけるアナターゼ結晶強度及びアナターゼ含有率を示している。
Figure 0005525231
表4から、「光触媒濃度が10質量%のスラリーで成膜した溶射被膜」と比べて「光触媒濃度が30質量%のスラリーで成膜した溶射被膜」がアナターゼ結晶強度が大きいために、光触媒の付着量が多いことが分かる。そして、光触媒の付着量が多いと、寿命や性能の観点から極めて有利である。なお、光触媒濃度が低いスラリーで光触媒濃度が高いスラリーと同量の付着量を実現しようとした場合には、複数回の施工が必要となってしまう。
この様に、光触媒の付着量に着目すると、光触媒濃度が高いスラリーが良いということとなる。
一方で、光触媒濃度が30質量%を越えると、スラリーの粘度が上昇して流動性が低下してしまい、溶射材料を供給する際に目詰まり等が発生してしまい、溶射被膜の成膜が物理的に不可能となってしまう。
従って、本実施形態では光触媒濃度を10質量%以上30質量%以下としている。
<2.超音波照射プロセス>
本発明を適用した溶射被膜の製造方法の一例では、続いて、スラリー1リットル当たり60ワット以上の出力で28kHz〜40kHzの超音波を2時間〜7時間照射することで光触媒粒子の粒径を1μm〜50μmに粗大化する。
[超音波について]
先ず、超音波の出力がスラリー1リットル当たり60ワット未満である場合には粗大化に長時間を要してしまい、極めて効率が悪い。そのため、本実施の形態ではスラリー1リットル当たり60ワット以上の出力としている。
また、超音波の周波数が28kHz未満では光触媒微粒子(二次粒子)を破砕する方向に作用が働き、粒子が粗大化せずに微細化してしまう恐れがあり、一方、超音波の周波数が40kHzを越えると粒子の粗大化に長時間を要してしまう。そのため、本実施の形態では超音波の周波数を28kHz〜40kHzとしている。
更に、超音波を照射する時間が2時間未満では短時間過ぎて粗大化の効果が発現し難く、一方、7時間を超えて照射をした場合であっても粗大化の効果はそれほど発現しない。そのため、本実施の形態では超音波の照射時間を2時間〜7時間としている。
ここで、図2(a)は超音波照射前のスラリー中の光触媒微粒子(一次粒子及び二次粒子)の粒度分布を示しており、図2(b)は600ワットの出力で28kHzの周波数の超音波を2時間照射した場合のスラリー中の光触媒微粒子(三次粒子)の粒度分布を示している。
図2(a)及び図2(b)から明らかな様に、スラリーに超音波を照射することでスラリー中の光触媒微粒子の粒径が粗大化していることが分かる。
[三次粒子の粒径について]
粗大化した光触媒粒子(三次粒子)の粒径が1μm未満では質量が小さ過ぎるため、溶射時の基材への衝突エネルギーが少なく、歩留まりが低下してしまう恐れがある。また、熱容量が小さいため溶射の熱によってアナターゼ含有率が低下する恐れがある。
一方、粗大化した光触媒粒子(三次粒子)の粒径が50μmを越えると、基材への衝突前までに加速が充分では無いために溶射材料速度が遅いことに起因して、また、基板への衝突の際に砕けてしまって分散破壊することに起因して、歩留まりが低下する恐れがある。そのために、本実施の形態では光触媒粒子(三次粒子)の粒径を1μm〜50μmとしている。
<3.溶射皮膜形成プロセス>
本発明を適用した溶射皮膜の製造方法の一例では、続いて、アナターゼ型の二酸化チタンがルチル型に変態するのを制御しながら、溶射材料である光触媒粒子(三次粒子)の溶射を行って、溶射皮膜を製造する。
ここで、溶射皮膜形成プロセスには、例えば、特開2005−68457号公報に記載された溶射温度可変型の高速溶射装置を用いることができる。
本発明を適用した溶射皮膜の製造方法の一例では、超音波を照射することによって光触媒粒子の粗大化を行っており、即ち、バインダを使用することなく光触媒粒子の粗大化を行っているために、光触媒粒子の粒径を粗大化するプロセスで光触媒の純度が低下することがない。そのため、溶射被膜は光触媒の機能を充分に発揮することができる。
表5に「超音波照射を行っていない場合」と「超音波照射を行った場合」についての溶射皮膜の付着量を示している。具体的には、「超音波照射を行っていない場合」には溶射前後の基板の重量の差が9.09mg/cmであるのに対して、「超音波照射を行った場合」には溶射前後の基板の重量の差が14.39mg/cmとなっている。
Figure 0005525231
表5から、超音波照射を行うことで光触媒粒子の粒径が粗大化し、溶射時の基材への衝突エネルギーを充分に確保することができ、そのために、基板に付着する溶射皮膜量が増加していることが分かる。
また、表6に「超音波照射を行っていない場合」と「超音波照射を行った場合」についての溶射皮膜中のアナターゼ含有率を示している。具体的には、「超音波照射を行っていない場合」には溶射材料の平均粒径が0.565μmであり、こうした溶射材料で成膜した溶射皮膜中のアナターゼ含有率は90.2%であるのに対して、「超音波照射を行った場合」には溶射材料の平均粒径が1.56μmであり、こうした溶射材料で成膜した溶射皮膜中のアナターゼ含有率は98.2%となっている。
Figure 0005525231
更に、表7に「超音波照射を行っていない場合」と「超音波照射を行った場合」についての溶射皮膜のガス分解性能結果を示している。具体的には、超音波照射を行っていない光触媒粒子で成膜した溶射被膜(表7中符号eで示す)は180分でアセトアルデヒドガスを分解したのに対して、超音波照射を行った光触媒粒子で成膜した溶射被膜(表7中符号fで示す)では90分でアセトアルデヒドガスを分解したことを示している。
Figure 0005525231
表6及び表7から、超音波照射を行うことで光触媒粒子の粒径が粗大化し、光触媒機能に影響を与える溶射皮膜中のアナターゼ含有率が増加し、そのためにガス分解性能が向上していることが分かる。

Claims (7)

  1. 光触媒粒子と水とを混合してスラリーを生成する工程と、
    該スラリーに超音波を照射して、同スラリーに含まれる光触媒粒子の粒径を1μm〜50μmに粗大化する工程とを備える
    溶射材料の製造方法。
  2. 前記スラリーを生成する工程は、粒径が10nm〜1000nmである光触媒粒子若しくは粒径が10nm〜1000nmである光触媒粒子の集合体の少なくとも一方と水とを混合する
    請求項1に記載の溶射材料の製造方法。
  3. 前記スラリーを生成する工程は、光触媒濃度を10質量%〜30質量%とすべく光触媒粒子と水とを混合する
    請求項1または請求項2に記載の溶射材料の製造方法。
  4. 周波数が28kHz〜40kHzの超音波を照射する
    請求項1、請求項2または請求項3に記載の溶射材料の製造方法。
  5. 超音波を2時間〜7時間照射する
    請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の溶射材料の製造方法。
  6. 光触媒粒子と水とを混合してスラリーを生成する工程と、
    該スラリーに超音波を照射して、同スラリーに含まれる光触媒粒子の粒径を1μm〜50μmに粗大化して溶射材料を製造する工程と、
    前記溶射材料の溶射を行う工程とを備える
    溶射皮膜の製造方法。
  7. 粒径が10nm〜1000nmである光触媒粒子若しくは粒径が10nm〜1000nmである光触媒粒子の集合体の少なくとも一方と水とを混合して光触媒濃度が10質量%〜30質量%のスラリーを生成する工程と、
    該スラリーに周波数が28kHz〜40kHzの超音波を2時間〜7時間照射して、同スラリーに含まれる光触媒粒子の粒径を1μm〜50μmに粗大化して溶射材料を製造する工程と、
    前記溶射材料の溶射を行う工程とを備える
    溶射皮膜の製造方法。
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