JP5525107B2 - 撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は撮像装置に係り、特に多様な画像を同時に取得可能な撮像装置に関する。
特許文献1には、瞳分割により視差を持った2つの画像を取得して焦点調節状態の検出を行うことが記載されている。具体的には、特許文献1においては、絞りを構成する絞り羽根のうち2枚の絞り羽根を上下方向から撮影光路内に突出させて略同一形状の左右方向に分割された光通過口を形成する。そして、各光通過口を通過した光束がそれぞれ結像される撮像素子において同タイミングで得られた2枚の画像に基づいて像はずれ量及び像はずれ方向を検出して、撮影レンズの焦点調節状態を判別する。
特許文献2には、瞳分割により視差を持った2つの画像を取得することが記載されている。具体的には、特許文献2においては、複数の開口部が形成された絞りが設けられ、撮像素子の受光領域を制限する遮光部により、異なる撮像素子で異なる開口部を通過した光を受光して複数の視差画像を生成する。
特開2002−350718号公報 特開2009−165115号公報
しかしながら、特許文献1では、撮像素子の製造誤差等の様々な理由により瞳領域を分離する性能が劣化し、信号混合(いわゆるクロストーク)が発生しやすいという問題がある。
図10を用いてクロストークが発生しやすくなる原因について説明する。図10においては、画素102aに設けられた遮光部103aにより撮影レンズ100の周縁領域100bを通過した光束が遮光され、撮影レンズの中央領域100aを通過した光束が画素102aに入射される。また、画素102bに設けられた遮光部103bにより中央領域100aを通過した光束が遮光され、周縁領域100bを通過した光束が画素102bに入射される。
遮光部103aは周縁領域100bを通過した光束が全て遮光可能な大きさで形成され、かつ周縁領域100bを通過した光束が全て遮光可能な位置に形成される。また、遮光部103bは中央領域100aを通過した光束が全て遮光可能な大きさで形成され、かつ中央領域100aを通過した光束が全て遮光可能な位置に形成される。しかしながら、中央領域100aと周縁領域100bとは隣接しているため、遮光部103a、103bの大きさや位置が少しでもずれると、本来遮光すべきでない光束を遮光することとなり、本来遮光すべき光束が遮光されない。撮像素子の大きさが微細であるため、遮光部103a、103bの大きさや位置等の製造誤差を生じやすく、遮光部の形状および位置の精度を上げるのは困難である。
このように、本来遮光すべき光束が遮光されないと、撮像素子102a、102bに入射した本来遮光すべき光束の成分がノイズとなり、いわゆるクロストークが発生してしまう。
それに対し、特許文献2では、開口部と開口部との距離が保たれているため、クロストークは発生しにくい。しかしながら、特許文献2では、絞りに開口部を複数形成することにより各開口部の大きさが小さくなり、受光光量が少なくなるため、画像が劣化するという問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、信号混合が生じにくく、高品質の画像が撮影できる撮像装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の一態様に係る撮像装置は、撮影光学系と、複数の受光素子が2次元配列された撮像素子であって、第1の受光素子と、第1の受光素子以外の第2の受光素子とを含む撮像素子と、撮影光学系に含まれる所定の光学部材に形成された所定の幅を有する第1の遮光部材であって、撮影光学系の全瞳領域を第1の領域と第2の領域とに分割する第1の遮光部材と、撮像素子の近傍に設けられ、第1の領域を通過した光束のみを第1の受光素子に入射させ、第2の領域を通過した光束のみを第2の受光素子に入射させる第2の遮光部材と、第1の受光素子の撮像信号から第1の画像を生成し、第2の受光素子の撮像信号から第2の画像を生成する画像生成手段とを備える。
本発明の一態様に係る撮像装置によれば、撮影光学系の所定の光学部材に形成された所定の幅を有する第1の遮光部材が撮影光学系の全瞳領域を第1の領域と第2の領域とに分割する。第2の遮光部材により第1の領域を通過した光束のみが撮像素子のうちの一部の受光素子である第1の受光素子に入射される。第2の領域を通過した光束のみが第1の受光素子以外の素子である第2の受光素子に入射される。これにより、第1の領域を通過した光束と第2の領域を通過した光束が第1または第2の受光素子上で混合して受光され、第1または第2の受光素子上で信号の混合(クロストーク)が発生するのを抑制することができる。したがって、上記クロストークにより発生する画像のボケやコントラスト劣化を補正する画像処理が不要となる。また、遮光物の大きさや位置の精度及び遮光部材の光軸方向の配設位置の精度の要件が緩和されるので、製造コストを下げることができる。
本発明の他の態様に係る撮像装置において、第1の遮光部材は、撮影光学系を構成する所定の光学部材の表面に形成された遮光帯としてもよい。これにより、部品数を減らすことができる。
本発明の他の態様に係る撮像装置において、画像生成手段は、第1の画像に対して第2の受光素子が存在することによる欠落画素を埋める補間処理、及び第2の画像に対して第1の受光素子が存在することによる欠落画素を埋める補間処理の少なくとも1つを行うようにしてもよい。これにより、画質を向上させることができる。
本発明の他の態様に係る撮像装置において、第2の遮光部材は、撮影光学系と撮像素子との間に配設されるようにしてもよい。これにより、第2の遮光部材の交換等が容易となる。
本発明の他の態様に係る撮像装置において、第2の遮光部材は、受光素子の受光面に隣接して配設されるようにしてもよい。これにより、部品数を減らすことができる。
本発明の他の態様に係る撮像装置において、撮影光学系は、第1の領域として第1の焦点距離を有し、第2の領域として第1の焦点距離よりも長い焦点距離を有する多焦点レンズであってもよい。これにより、焦点距離の異なる複数の画像を同時に撮影することができる。
本発明の他の態様に係る撮像装置において、第1の遮光部材は、光学部材の中心に配置された平面形状が円形の領域と、円形の領域の外縁に配置された環状の領域とに分割するようにしてもよい。第1の遮光部材をレンズの表面に形成することで、このような瞳領域の分割をすることができる。
本発明の他の態様に係る撮像装置において、撮影光学系は、板状部材を含み、第1の遮光部材は、板状部材に設けられるようにしてもよい。これにより、第1の遮光部材を容易に変更できる。
本発明によれば、撮影光学系の瞳領域を複数の分割領域に分割して、異なる分割領域を通過した光束を異なる受光素子により受光する場合に、複数の領域からの光束が受光素子により混合して受光されにくくなる。これにより、信号混合が生じにくく、高品質の画像が撮影できる。
本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置の内部構成を示すブロック図 本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置の撮影レンズ、遮光部材及び撮像素子を模式的に示す図 撮影レンズの平面形状を示す平面図 撮像素子のフォトセンサの配列を示す平面図 遮光部材と撮像素子とを模式的に示す図 本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置における撮影レンズ、遮光部材及び撮像素子を模式的に示す図 本発明の第3の実施の形態に係る撮像装置における撮影レンズ、遮光部材及び撮像素子を模式的に示す図 撮影レンズの瞳領域の分割の第1の変形例を示す図 撮影レンズの瞳領域の分割の第2の変形例を示す図 撮影レンズの瞳領域の分割の第3の変形例を示す図 従来例を模式的に示す図
以下、添付図面に従って本発明に係る撮像装置を実施するための形態について詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置1の内部構成を示すブロック図である。
この撮像装置1は、撮像した画像をメモリカード54に記録するものである。撮像装置1の全体の動作は、中央処理装置(CPU(Central Processing Unit))40によって統括制御される。
撮像装置1には、シャッタボタン、モードダイヤル、再生ボタン、MENU/OKキー、十字キーおよびBACKキーを含む操作部38が設けられている。この操作部38からの信号はCPU40に入力され、CPU40は入力信号に基づいて撮像装置1の各回路を制御する。これにより、例えば、レンズ駆動制御、絞り駆動制御、撮影動作制御、画像処理制御、画像データの記録/再生制御、立体表示用の液晶モニタ(LCD)30の表示制御などが行われる。
シャッタボタンは、撮影開始の指示を入力する操作ボタンであり、半押し時にONするS1スイッチと、全押し時にONするS2スイッチとを有する2段ストローク式のスイッチである。モードダイヤルは、静止画を撮影するオート撮影モード、マニュアル撮影モード、人物、風景、夜景等のシーンポジション、及び動画を撮影する動画モードのいずれかを選択する選択手段である。
再生ボタンは、撮像装置1の動作モードを、撮影記録した静止画又は動画を液晶モニタ30に表示させる再生モードに切り替えるためのボタンである。MENU/OKキーは、液晶モニタ30の画面上にメニューを表示させる指令を行うためのメニューボタンとしての機能と、選択内容の確定及び実行などを指令するOKボタンとしての機能とを兼備した操作キーである。十字キーは、上下左右の4方向の指示を入力する操作部であり、メニュー画面から項目を選択したり、各メニューから各種設定項目の選択を指示したりする操作部(カーソル移動操作手段)である。また、十字キーの上/下キーは撮影時のズームスイッチあるいは再生モード時の再生ズームスイッチとして機能する。左/右キーは再生モード時のコマ送り(順方向/逆方向送り)ボタンとして機能する。BACKキーは、選択項目など所望の対象の消去や指示内容の取消し、あるいは1つ前の操作状態に戻らせるときなどに使用される。
撮影モード時において、被写体光は、撮影光学系(撮影レンズ)10、絞り(図示せず)及び遮光部材12を介してCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の撮像素子16の受光面に結像される。
撮影レンズ10は、CPU40によって制御されるレンズ駆動部36によって駆動される。これにより、フォーカス制御、ズーム制御等が行われる。
レンズ駆動部36は、CPU40からの指令に従い、フォーカスレンズを光軸方向に移動させて、焦点調整を行う。また、レンズ駆動部36は、CPU40からの指令に従い、ズームレンズを光軸方向に進退動作させ、焦点距離を変更させる。
絞りは、例えば、5枚の絞り羽根を含んでいる。CPU40は、例えば、絞り値F2.8〜F11まで1AV刻みで5段階で絞りの制御を行う。
撮像素子16の受光面には、多数のフォトセンサ(受光素子)が2次元配列されている(図4参照)。各フォトセンサの受光面に結像された被写体像は、その入射光量に応じた量の信号電圧(または電荷)に変換される。
撮像素子16の前側、すなわち撮影レンズ10と撮像素子16の間には、撮像素子16の受光面と平行に、すなわち光軸と直交する面と平行に遮光部材12が配設される。
図2は、本実施の形態における撮影レンズ10、遮光部材12及び撮像素子16の位置関係を示す図である。なお、撮影レンズ10は、複数枚のレンズにより構成されるが、図2においては模式的に1枚のレンズで示している。また、図2においては、簡単のため、撮像素子16として2個のフォトセンサが図示され、遮光部材12も2個のフォトセンサに対応した大きさで図示されているが、実際には、被写体を撮影可能な任意の数や大きさのフォトセンサおよび遮光部材12が設けられる。
撮影レンズ10は、短い焦点距離で収束し、マクロ撮影が可能な領域(以下、近焦点領域という)と、近焦点領域より長い焦点距離で収束し、風景等の撮影が可能な領域(以下、遠焦点領域という)を有する2焦点レンズである。撮影レンズ10は、図3に示すように、正面から見た形状(以下、平面形状という)が円形の領域と、外側の環状の領域とを含んでいる。中央の円形の領域が遠焦点領域10aであり、環状の領域が近焦点領域10bである。
図3に示すように、撮影レンズ10を構成する所定の光学部材(所定のレンズ)の表面に遮光帯10cが形成される。遮光帯10cは、所定の幅を有する黒色のドーナツ状の領域であり、全瞳領域を遠焦点領域10aと近焦点領域10bとに分割する。この遮光帯10cは、遠焦点領域10aを通過した光と近焦点領域10bを通過した光との混合を防止する。本実施の形態では、遮光帯10cを所定のレンズの表面に形成するため、瞳領域を円形の領域と外側の環状の領域とに分割することができる。
なお、上記所定のレンズは、撮影レンズ10を構成するレンズ群のうち最も撮像素子16側のレンズであってもよい。また、上記遮光帯10cは、プリズムや光学フィルタに設けられていてもよい。また、上記所定のレンズは、遮光帯10cを介して、遠焦点領域10aのレンズと、近焦点領域10bのレンズの2つが接続された構成としてもよい。また、遮光帯10cは、上記所定のレンズの撮像素子16側の面に設けられていてもよいし、上記所定のレンズの表面だけでなく、その内部に設けられていてもよい。
撮影レンズ10の遠焦点領域10a、近焦点領域10bを通過した光束は、マイクロレンズ15により撮像素子16の各フォトセンサに結像される。撮像素子16は、遠焦点領域10aを通過した光束が入射する遠画像用受光セル16aと、近焦点領域10bを通過した光束が入射する近画像用受光セル16bとを含んでいる。近画像用受光セル16bは、図4に示すように、9画素(3×3)に1画素の割合で配置されている。本実施の形態では、遠画像用受光セル16aから得られる画像が主画像であり、近画像用受光セル16bから得られる画像が副画像であるため、遠画像用受光セル16aを多く配置している。
遮光部材12は、撮像素子16の前面から所定の距離離れた位置に設けられる。遮光部材12の材料としては、厚さが10μm〜100μm程度の透明なガラス板が用いられる。遮光部材12の表面には、遮光物12a、12bが形成される。遮光部材12としては、撮像素子16のカバーガラスを用いることも可能である。遮光部材12はガラスに限らず、透明なフィルムを板状の枠に張設したものを用いることもできる。
図5に示すように、遮光部材12には、遮光物12aが遠画像用受光セル16aに対応するように、すなわち遠画像用受光セル16aの前面に位置するように設けられる。また、遮光部材12には、遮光物12bが近画像用受光セル16bに対応するように、すなわち近画像用受光セル16bの前面に位置するように設けられる。遮光物12a、12bは、遮光部材12の表面にエッチング等により形成された黒色の(光を透過しない)領域である。遮光物12aは中央に円形の開口を有する直径5μm程度のドーナツ状の領域であり、遮光物12bは直径5μm程度の円形領域である。この5μmとは、撮像素子16の各フォトダイセンサの直径と略同一の大きさとなるように決定された値である。エッチングにより遮光物12a、12bを形成することで、5μm程度の小さい遮光物12aを細かい間隔で正確に形成することができる。
遮光部材12は、遮光物12aが近焦点領域10bを通過した光束を全て遮光し、遮光物12bが遠焦点領域10aを通過した光束を全て遮光するように、撮像素子16から光軸方向に所定の距離だけ離れた位置に配設される。遮光物12aは遠画像用受光セル16aに対応して設けられているため、図2に示すように、影絵の原理により、遮光物12aが近焦点領域10bを通過した光束を遮光し、遠焦点領域10aを通過した光束のみが遠画像用受光セル16aに入射する。また、遮光物12bは近画像用受光セル16bに対応して設けられているため、図2に示すように、影絵の原理により、遮光物12bが遠焦点領域10aを通過した光束を遮光し、近焦点領域10bを通過した光束のみが近画像用受光セル16bに入射する。このような構成とすることで、撮影レンズ系の所望の領域を通過した光束のみをフォトセンサに受光させることができる。
本実施の形態では、撮影レンズ10に遮光帯10cが形成されているため、遮光物12a、12bの形成の精度が多少悪くても、遠焦点領域10aを通過した光束が画像用受光セル16bに入射すること及び近焦点領域10bを通過した光束が遠画像用受光セル16aに入射することを効果的に防止することができる。したがって、遮光物12a、12bの大きさや形成位置の精度及び遮光部材12の光軸方向の配設位置の精度の要件を緩和することができる。
なお、図5においては、撮像素子16の中に12個のフォトセンサ及び8個の遮光物12aと4個の遮光物12bが図示されているが、これらの光学要素の数はこれに限定されるものではない。
撮像素子16に入射した入射光は、その光量に応じた電荷に変換され、フォトセンサそのものもしくは付設されたキャパシタに蓄えられる。撮像素子16に蓄積された電荷は、センサ制御部32からの駆動信号に従って、電荷量に応じた電圧信号として読み出されて、当該画素位置に関する情報とともに保持される。上記画素ごとの電圧信号は、例えば、X−Yアドレス方式を用いたMOS型撮像素子(いわゆるCMOSセンサ)の手法を用いて、読み出し対象の画素位置の選択情報とともに読み出される。
撮像素子16から読み出された電圧信号には、相関2重サンプリング処理(撮像素子の出力信号に含まれるノイズ(特に熱雑音)等を軽減するための処理)が施される。具体的には、撮像素子16の1画素毎の出力信号に含まれるフィードスルー成分レベル(信号レベルがゼロのゼロレベル期間の信号)と画素信号成分レベルとの差をとることにより正確な画素データを得る処理により各画素毎のR(赤)、G(緑)、B(青)信号がサンプリングホールドされ、増幅されたのちA/D変換器21に加えられる。A/D変換器21は、順次入力されるアナログの電圧(R、G、B信号)をデジタルのR、G、B信号に変換して画像入力コントローラ22に出力する。
デジタル信号処理部24は、画像入力コントローラ22を介して入力するデジタルの画像信号に対して、オフセット処理、ホワイトバランス補正及び感度補正を含むゲイン・コントロール処理、ガンマ補正処理、YC処理(R,G,Bの色信号を輝度信号および色差信号に変換する処理)等の所定の信号処理を行う。
デジタル信号処理部24で処理され画像データは、VRAM(Video Random Access Memory)50に入力される。VRAM50から読み出された画像データはビデオ・エンコーダ28においてエンコーディングされ、カメラ背面に設けられている立体表示用の液晶モニタ30に出力される。これにより、3Dの被写体像が液晶モニタ30の表示画面上に表示される。
操作部38のシャッタボタンの第1段階の押下(半押し)があると、CPU40は、自動焦点調整(AF)動作及び自動露出制御(AE)動作を開始させ、レンズ駆動部36を介して撮影レンズ10内のフォーカスレンズが合焦位置にくるように制御する。また、シャッタボタンの半押し時にA/D変換器21から出力される画像データは、AE検出部44に取り込まれる。
AE検出部44では、画面全体のG信号を積算し、又は画面中央部と周辺部とで異なる重みづけをしたG信号を積算し、その積算値をCPU40に出力する。CPU40は、AE検出部44から入力する積算値より被写体の明るさ(撮影Ev値)を算出する。CPU40は、この撮影Ev値に基づいて絞りの絞り値及び撮像素子16の電子シャッタ(シャッタスピード)を所定のプログラム線図に従って決定する。そして、CPU40は、その決定した絞り値に基づいて絞り駆動部(不図示)を介して絞りを制御し、決定したシャッタスピードに基づいてセンサ制御部32を介して撮像素子16での電荷蓄積時間を制御する。
AF処理部42は、コントラストAF処理又は位相AF処理を行う。コントラストAF処理を行う場合には、上記画像データのうちの所定のフォーカス領域内の画像データの高周波成分を抽出し、この高周波成分を積分することにより合焦状態を示すAF評価値を算出する。このAF評価値が極大となるように撮影レンズ10内のフォーカスレンズを制御することによりAF制御が行われる。また、位相差AF処理を行う場合には、上記画像データのうちの所定のフォーカス領域内の主画素(遠画像用受光セル16a)に対応する画像データ(画像データA)と、副画素(近画像用受光セル16b)に対応する画像データ(画像データB)の位相差を検出し、この位相差を示す情報に基づいてデフォーカス量を求める。このデフォーカス量が0になるように撮影レンズ10内のフォーカスレンズを制御することによりAF制御が行われる。
AE動作及びAF動作が終了し、シャッタボタンの第2段階の押下(全押し)があると、その押下に応答してA/D変換器21から出力される画像データが画像入力コントローラ22からメモリ(SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory))48に入力され、一時的に記憶される。本実施の形態では、撮影者の指示により又はCPU40が自動で、遠画像用受光セル16aから読み出された画像データA、近画像用受光セル16bから読み出された画像データBのいずれか、又は遠画像用受光セル16aから読み出された画像データA及び近画像用受光セル16bから読み出された画像データBの両方を取得することができる。
メモリ48に一時的に記憶された画像データは、デジタル信号処理部24により適宜読み出され、ここで画像データの輝度データ及び色差データの生成処理(YC処理)を含む所定の信号処理が行われる。YC処理された画像データ(YCデータ)は、再びメモリ48に記憶される。
続いて、YCデータは、メモリ48から画像処理部25に読み出される。画像処理部25は、遠画像用受光セル16aから読み出された画像データA及び近画像用受光セル16bから読み出された画像データBに対して画像処理を行う。そして、画像処理部25は、遠画像用受光セル16aから読み出された画像データAから遠距離画像を生成し、近画像用受光セル16bから読み出された画像データBからマクロ画像を生成する。以下、画像処理部25で行う処理について説明する。ただし、画像処理部25が行う処理は必須ではない。
撮像素子16には近画像用受光セル16bが9画素(3×3)に1画素の割合で含まれる(図4参照)ため、遠画像用受光セル16aから読み出された画像データBから生成した遠距離画像には、近画像用受光セル16bが存在する画素位置に対応するデータが含まれていない。したがって、近画像用受光セル16bの存在による欠落画素については、周囲の遠画像用受光セル16aの画像データに基づいて補間処理を行い、近画像用受光セル16bの画素位置に対応する画像データを生成する(自己補間処理)。補間処理については公知であるため、説明を省略する。なお、補間に用いる列数や重みづけの態様は適宜選択可能である。
近画像用受光セル16bには近焦点領域10bを通過した光束のみが入射するため、近画像用受光セル16bから読み出された画像データBに対しては、ボケ補正処理及びコントラスト補正処理を実施することは必須ではない。しかしながら、近焦点領域10bの大きさは遠焦点領域10aの大きさに比べて十分に小さく、近画像用受光セル16bは、遠画像用受光セル16aと比較して数が少ない(本実施形態では、9画素(3×3)に1画素の割合)。このため、近画像用受光セル16bから得られた画像データBから作成したマクロ画像は暗くなる。したがって、近画像用受光セル16bから読み出された画像データBの明るさを明るくする処理を行う。
本実施の形態では、遠画像用受光セル16aの中に近画像用受光セル16bが埋め込まれる形に配置されているため、遠画像用受光セル16aから読み出された画像データAから生成した遠距離画像について自己補間処理を行ったが、遠画像用受光セル16aと近画像用受光セル16bとの比率が同程度の場合には、遠画像用受光セル16aから読み出された画像データAから生成した遠距離画像と近画像用受光セル16bから読み出された画像データBから生成したマクロ画像の両方に対して自己補間処理を行うようにしてもよいし、任意の1つの画像に対して自己補間処理をしても良い。
このように画像処理部25で画像処理が行われた遠距離画像及びマクロ画像は、それぞれ圧縮伸張処理部26に出力され、JPEG(Joint Photographic Experts Group)等の所定の形式の圧縮データに圧縮する処理が実行される。
この圧縮データからマルチピクチャファイル(MPファイル:複数の画像が連結された形式のファイル)を作成する場合には、上記圧縮データは、再びメモリ48に一時記憶される。そして、メモリ48に記憶された複数の圧縮データか(例えば、遠画像用受光セル16aから得られた遠距離画像、および近画像用受光セル16bから得られたマクロ画像)を格納するためのMPファイルが生成される。生成されたMPファイルは、メディア・コントローラ52を介してメモリカード54に記録される。これにより、焦点距離の異なる複数の画像を同時に撮影することができる。
なお、遠距離画像とマクロ画像とは、個別の画像ファイル(例えば、JPEG)に格納されるようにしてもよい。この場合、遠距離画像を格納する画像ファイルと、マクロ画像を格納する画像ファイルとは、相互に関連づけられて記録される。遠距離画像を格納する画像ファイルと、マクロ画像を格納する画像ファイルとの関連づけは、例えば、各画像ファイルのファイル名に共通の文字列を含める方法、画像ファイルの対応関係を示す情報を画像ファイルの付属情報(ヘッダ情報)または専用の管理ファイルに、画像ファイルの対応関係を記録する方法により行われる。
再生モード時には、メモリカード54に記録された画像ファイルのうち操作部38を介して選択された画像ファイルがメディア・コントローラ52を介して読み出される。そして、読み出された画像ファイル中の圧縮データは、圧縮伸張処理部26によって伸張されて、ビデオ・エンコーダ28を介して液晶モニタ30に出力される。これにより、画像データの再生表示が行われる。
本実施の形態によれば、撮影レンズ10に遮光帯10cが設けられているため、遠焦点領域10aを通過した光束と近焦点領域10bを通過した光束とが遠画像用受光セル16aまたは近画像用受光セル16bにより混合して受光されることにより生じる受光信号の混合(クロストーク)が発生しにくくなる。したがって、上記クロストークにより発生する画像のボケやコントラスト劣化を補正する画像処理が不要となる。
また、本実施の形態によれば、撮影レンズ10に遮光帯10cが設けられているため、遠焦点領域10aを通過した光束と近焦点領域10bを通過した光束が遮光帯10cの幅に相当する距離離間される。受光対象外の光束を確実に遮光するための遮光物12aおよび12bの大きさや位置の精度及び遮光部材12の光軸方向の配設位置の精度の要件を緩和することができる(許容誤差が大きくなる)。したがって、遮光部材12等の製造コストを下げることができる。
<第2の実施の形態>
なお、本実施の形態では、遮光部材12と撮像素子16と別部材で形成したが、図6に示すように、撮像素子16の内部に遮光物を設けるようにしてもよい。なお、図6においては、簡単のため、撮像素子16として2個のフォトセンサが図示され、遮光部材12も2個のフォトセンサに対応した大きさで図示されているが、これらの光学要素はこれに限定されるものではない。実際には、被写体を撮影可能な任意の数や大きさの光学要素が設けられる。また、図2と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
図6に示すように、遠画像用受光セル16a’には遮光物17aが設けられ、近画像用受光セル16b’には遮光物17bが設けられる。遮光物17aは円環形状であり、遮光物17bは円形形状である。遮光物17a、17bは、撮像素子16’の各フォトセンサの受光面の前面に、受光面と隣接して設けられる。
遮光物17aが遠画像用受光セル16a’に設けられているため、遮光物17aが近焦点領域10bを通過した光束を遮光し、遠焦点領域10aを通過した光束のみが遠画像用受光セル16a’に入射する。また、遮光物17bが近画像用受光セル16b’に設けられているため、遮光物17bが遠焦点領域10aを通過した光束を遮光し、近焦点領域10bを通過した光束のみが近画像用受光セル16b’に入射する。このような構成とすることで、撮影レンズ系の所望の領域を通過した光束のみをフォトセンサに受光させることができる。また、部品数を減らすことができる。
ただし、遮光部材の取り外しや交換が容易であり、多品種少量生産や設計変更にもコスト増なく対応することができるため、遮光部材12と撮像素子16を別部材とすることが望ましい。また、遮光部材12を撮像素子16の外側に配設することで、遮光物12aまたは12bの端面等で光が回折することによるノイズをなくし、画質を向上させることができる。
<第3の実施の形態>
また、本実施の形態では、撮影レンズ10を構成する所定のレンズの表面に遮光帯10cが形成して遠焦点領域10aを通過した光と近焦点領域10bを通過した光とが混合することを防止したが、遠焦点領域10aを通過した光と近焦点領域10bを通過した光とが混合することを防止する方法はこれに限られない。例えば、図7に示すように撮影レンズ内に瞳分割用の遮光部材を設けてもよい。
図7に示すように、撮影レンズ10’内の所望の位置に設けられた板状の遮光部材13に、遠焦点領域10aを通過した光が開口部13aを通過し、近焦点領域10bを通過した光が開口部13b、13cを通過するように、円形の開口部13aと、半円環状の所定の幅を持った開口部13b、13cとを形成する。これにより、遮光部材13の開口部13a、13b、13cの間の壁により遠焦点領域10aと近焦点領域10bとの境界付近を通過した光が遮光され、遠焦点領域10aを通過した光と近焦点領域10bを通過した光とが混合することが防止される。この場合には、遮光部材13の取り外しや交換が容易となる。ただし、この場合には、開口部13b、13cは半円環状となり、近焦点領域10bの左右(上下でもよい)の一部の領域が遮光されてしまう。しかしながら、開口部13b、13cとの間の遮光帯の幅を調整することで影響を小さくすることができる。なお、遠焦点領域10aを通過した光と近焦点領域10bを通過した光とが混合することを防止するためには、所望のレンズのできるだけ近傍に遮光部材13を配設することが望ましい。
また、本実施の形態では、遮光帯10cにより遠焦点領域10aと近焦点領域10bとに分割された撮影レンズ10を用いたが、撮影レンズの分割方法はこれに限らない。図8に示すように、遮光帯20dにより領域20a、20b、20cの3つの領域に分割した撮影レンズ20を用いても良い。また、本実施の形態では、中央の円形の遠焦点領域10aと周縁の鉛管状の近焦点領域10bとに分割した撮影レンズを用いたが、図9Aに示すように遮光帯21cにより上下方向に2つの領域21a、21bに分割された撮影レンズ21を用いてもよいし、遮光帯により左右方向に2つの領域に分割された撮影レンズを用いてもよい。また、図9Bに示すように遮光帯23dにより3つの領域23a、23b、23cに分割された撮影レンズ23を用いてもよい。なお、本実施の形態では撮影レンズが2つの領域に分割されていたため、撮像素子も2つの異なる指向特性を有したが、撮影レンズが3つ以上の領域に分割される場合には、撮像素子も3種類の異なる指向特性を有するようにする必要がある。
また、本実施の形態では、遠焦点領域10aと近焦点領域10bとが略同一の面積で形成された撮影レンズ10を用いたが、遠焦点領域10aと近焦点領域10bとの大きさはこれに限られない。例えば、遠焦点領域10aが近焦点領域10bより広くなるように形成されてもよい。ただし、遠距離画像を主とし、マクロ画像を副とするのであれば、画質や光量を考えると、近焦点領域10bに比べて遠焦点領域10aが広くなるように形成することが望ましい。
また、本実施の形態では、撮影レンズ10として異なる焦点距離の領域を有する多焦点レンズを使用したが、撮影レンズ10はこの形態に限られない。例えば、透過波長域が異なる複数の領域を有するレンズや、色の異なる様々な複数の領域を有するレンズ等の多様特性レンズを用いることができる。更に、撮影レンズ10として通常のレンズを用いることもできる。この場合には、レンズの位置によってMTF(Modulation Transfer Function)が異なることを利用し、中央の円形の領域と外側の環状の領域とでMTF特性の異なる画像を取得するようにしても良い。
また、本実施の形態では、近画像用受光セル16bを9画素(3×3)に1画素の割合で配置したが、遠画像用受光セル16aと近画像用受光セル16bとの比率はこれに限られない。例えば、遠距離画像を主とし、遠焦点領域10aが近焦点領域10bより広くなるように形成した場合には、遠画像用受光セル16aと近画像用受光セル16bとの比率を遠焦点領域10aと近焦点領域10bとの比率と略同一としてもよい。
また、本実施の形態では、マイクロレンズ15を用いてフォトセンサに被写体光を結像させたが、マイクロレンズは必須ではなく、スペース上の問題等がある場合にはマイクロレンズを用いなくてもよい。
なお、本実施の形態では、撮像素子にCMOSを用いた例で説明したが、CMOSに限定されるものではない。本発明は、CCD(Charge Coupled Device)等のイメージセンサにも適用可能である。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。本発明は、特に、特性の異なる複数枚の画像を撮影可能な撮像装置に限らず、瞳分割により1つの光学系で立体画像を撮影する単眼立体撮像装置や、位相差焦点検出装置にも適用可能である。
請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
1:撮像装置、10:撮影レンズ、12、13:遮光部材、16:撮像素子、25:画像処理部、40:CPU

Claims (8)

  1. 撮影光学系と、
    複数の受光素子が2次元配列された撮像素子であって、第1の受光素子と、前記第1の受光素子以外の第2の受光素子とを含む撮像素子と、
    前記撮影光学系に含まれる所定の光学部材に形成された所定の幅を有する第1の遮光部材であって、前記撮影光学系の全瞳領域を第1の領域と第2の領域とに分割する第1の遮光部材と、
    前記撮像素子の近傍に設けられ、前記第1の領域を通過した光束のみを前記第1の受光素子に入射させ、前記第2の領域を通過した光束のみを前記第2の受光素子に入射させる第2の遮光部材と、
    前記第1の受光素子の撮像信号から第1の画像を生成し、前記第2の受光素子の撮像信号から第2の画像を生成する画像生成手段と、
    を備える撮像装置。
  2. 前記第1の遮光部材は、前記所定の光学部材の表面に形成された遮光帯である、請求項1に記載の撮像装置。
  3. 前記画像生成手段は、前記第1の画像に対して前記第2の受光素子が存在することによる欠落画素を埋める補間処理、及び前記第2の画像に対して前記第1の受光素子が存在することによる欠落画素を埋める補間処理の少なくとも1つを行う、請求項1又は2に記載の撮像装置。
  4. 前記第2の遮光部材は、前記撮影光学系と前記撮像素子との間に配設される、請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置。
  5. 前記第2の遮光部材は、前記受光素子の受光面に隣接して配設される、請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置。
  6. 前記撮影光学系は、前記第1の領域として第1の焦点距離を有し、前記第2の領域として前記第1の焦点距離よりも長い焦点距離を有する多焦点レンズである、請求項1から5のいずれかに記載の撮像装置。
  7. 前記第1の遮光部材は、前記所定の光学部材の中心に配置された平面形状が円形の領域と、前記円形の領域の外縁に配置された環状の領域とに分割する、請求項2に記載の撮像装置。
  8. 前記撮影光学系は、板状部材を含み、
    前記第1の遮光部材は、前記板状部材に設けられる、請求項1に記載の撮像装置。
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