経皮冠状動脈診断および介入処置は橈骨動脈内に導入することで実施する。止血バルブを有するシースを、切開部または穿刺アクセス部位から橈骨動脈内に挿入する。つぎに、予形成したカテーテルをシースに挿通し、冠状動脈口または患者体内の他の位置まで導入する。カテーテルは、器具、および流体、例えば造影剤、血管形成のワイヤ、バルーンおよびステントを送給できる。処置中、穿刺アクセス部位における止血維持は、患者の血液損失を減少し、処置中の望ましい施術を行い、また感染症の恐れを制限するのが望ましい。処置終了後、シースおよびカテーテルを取り外し、また穿刺アクセス部位からの血液漏れを遮断する。
いかなる動脈穿刺も処置中または処置後の止血は困難である。処置中、血液はシースまたはカテーテル周りの切開部から漏れ出るおそれがある。通常、動脈内の穿刺アクセス部位または切開部はマイクロ穿刺器具、拡張器、またはスリットを形成する単独の真直ぐな切開部で形成する。穿刺アクセス部位はチューブ状のシースおよびカテーテルとは密に一致しない。さらに動脈壁は、心臓の鼓動とともに拡張および収縮して心臓のポンピングを補完し、また体全体に血液を送り出す平滑筋細胞の層を有する。穿刺アクセス部位の橈骨動脈における拡張および収縮が、処置中の止血を困難にする。さらに血管のカテーテルアクセスの性質上、カテーテルが橈骨動脈内に位置決めされているとき、止血するのを困難にする。これはカテーテルが動脈内に位置決めされているとき、施術者は橈骨動脈を加圧するからである。処置終了後、カテーテルを取り外し、カテーテルアクセスの孔のサイズ、および患者の腕および/または手首の動きで穿刺アクセス部位周りの組織が伸縮することで、凝固を妨げ、したがって止血を遅らせる。
本発明は、患者の手首の下側に釈放可能に固定できる橈骨動脈圧迫デバイスであって、橈骨動脈の穿刺アクセス部位周りにおける調整可能な圧迫加圧を行う橈骨動脈圧迫デバイスを意図する。この橈骨動脈圧迫デバイスは、橈骨動脈の穿刺アクセス部位において一定でまた調節可能な圧迫圧力を加えて止血するよう構成する。本明細書で開示する橈骨動脈圧迫デバイスは、経皮的冠状動脈の処置中および処置終了後にアクセス部位における止血を行うのに適している。
一実施形態によれば、橈骨動脈圧迫デバイスは、本体に対してノブを回転させながら、ノブに係合しまたノブを固定するよう構成した本体を有する。ノブを回転するとき、ノブの雌ネジが雄ネジ付きのネジ軸にネジ係合し、ネジ軸を移動させる。ネジ軸は剛体材料で形成し、また圧迫パッドに連結することができる。圧迫パッドは剛体材料または可撓性物質で形成し、またディスク状形状にすることができる。圧迫パッドは前進することができ、これにより、パッドはデバイス本体から遠ざかる方向に突出して付加的な圧迫を行う。圧迫パッドは、さらにデバイス本体に向かって収縮して、より少ない量の圧迫を生ずる、または圧迫を完全に除去することができる。
本発明の別の態様によれば、圧迫パッドは、圧迫パッドの外周に位置する1個またはそれ以上のノッチを有する。ノッチは、橈骨動脈における穿刺アクセス部位に挿入する、シースおよび/またはカテーテルに少なくとも部分的に適合するおよび/または少なくとも部分的に包囲するよう構成することができる。圧迫パッドは、さらに、表面上の段差を有する、または処置中に橈骨動脈内のシースおよび/またはカテーテルに少なくとも部分的に適合するよう構成することができる。橈骨動脈圧迫デバイスは、さらにデバイス本体に連結し、デバイス本体を患者の手首の下側で橈骨動脈領域に固定するよう構成したバンドを有する。
他の実施形態によれば、ネジ軸はノブに連結し、ノブを回転したときに回転する。ネジ軸は圧迫パッドにおける雌ネジにネジ係合する。ネジ軸を回転するとき、圧迫パッドはデバイス本体から遠ざかる方向に突出する、またはデバイス本体に向かって後退し、これはノブおよびネジ軸の回転方向に基づく。
図1は、橈骨動脈圧迫デバイス2の斜視図である。図2は、図1の橈骨動脈圧迫デバイス2の分解図である。橈骨動脈圧迫デバイス2は、ノブ4、本体6、圧迫パッド8、ネジ軸10、およびリストストラップ12を有する。橈骨動脈圧迫デバイス2は、リストストラップ12を用いて患者の手首に結び付けるよう構成する。橈骨動脈圧迫デバイス2を、圧迫パッド8が患者の手首に隣接するよう、本体6が患者の手首の下側にくるように患者の手首に結び付ける。ネジ軸10は、本体6に貫通して圧迫パッド8およびノブ4に機械的に結合するよう配置する。ノブ4を回転するとき、ノブ4の内径部分におけるネジ山5(図4Aおよび4B参照)がネジ軸10のネジ山11にネジ係合し、またネジ軸10を本体6に対して相対移動させる。圧迫パッド8はネジ軸10に連結し、この連結は、このネジ軸10をノブ4との相互作用で回転させるとき、圧迫パッド8が本体6に対して相対移動するように行う。ノブ4を回転する回転方向によって、圧迫パッド8は本体6から遠ざかる、または本体6に接近するよう移動する。このようにして、橈骨動脈圧迫デバイス2を患者の手首に適切に固定したとき、患者の橈骨動脈に付加的に圧迫を加える、または取り除くことができる。さらに、患者の手首から橈骨動脈圧迫デバイス2を取り外すことなく、圧迫加圧を所望に応じて増加または減少することができる。
本体6はノブ4、ネジ軸10、圧迫パッド8、およびリストストラップ12を支持するよう構成することができる。本体6は開口部19を有し、この開口部19からネジ軸10で配置できる。ノブ4は、ネジ軸10を開口部19に挿通するとき、ネジ軸10の一方の端部で、ネジ係合するよう構成する。ノブ4は本体6の外側領域に位置決めする。橈骨動脈圧迫デバイス2を患者の手首に固定するとき、本体6の外側領域は患者の手首側とは反対側に面するよう構成する。圧迫パッド8は、ネジ軸10の本体6とは反対側に位置する他方の端部に連結し、橈骨動脈圧迫デバイス2を患者の手首に固定するとき、圧迫パッド8は患者の手首側に位置する。
本体6は本体6の下側に窪み22を設け、圧迫パッド8が本体6に隣接する後退位置にあるとき、圧迫パッド8を収容する。本体6は、さらにリストストラップ12を本体6に連結できるリング24を有する。例示的な実施形態において、リストストラップ12は、2ピース腕時計バンドに類似の2ピースのバンドとする。一実施形態においては、橈骨動脈圧迫デバイス2はベルクロ(登録商標)ストラップを用いて患者に固定した。患者に対する潜在的な不快感を和らげるため、さらに本体6は少なくとも部分的に患者の手首の下側輪郭に適合し、着け心地のよい人間工学的な状態で患者の手首に当てるよう構成する。
図示の実施形態において本体6は、ノブ4をノブ4の回転軸線に沿う定位置で固定するよう構成した開孔18を有する。開孔18はノブ4のカラー16を収容して固定し、このときノブ4が本体6に対してノブ4の回転軸線周りに自由に回転できるとともに、回転軸線に沿う長手方向の変位を限定する。本体6は回転軸線に沿っての長手方向の変位をしないようノブ4を固定するという事実に基づいて、圧迫パッド8およびネジ軸10はノブ4の回転軸線に沿って、本体6に対して相対的に変位する。橈骨動脈圧迫デバイス2を患者の手首に固定するとき、圧迫加圧のレベルは、ノブ4の回転によって調整可能に増減することができる。
ノブ4はネジ軸10とネジ係合するよう構成したネジ山(例えば、図4Aおよび4B参照)を設けることができる。ノブ4を回転するとき、ノブ4のネジはネジ軸10をノブ4の回転軸線に沿って長手方向に移動させる。ノブ4は、さらにつまみ部分14を有し、このつまみ部14には人間工学的表面を設け、ノブ4を握り、操作し易くし、これにより使用者は簡単且つ効率的に、本体6に対しノブ4を回転させることができる。上述したように、ノブ4は、さらにカラー16で、ノブ4を本体6に対して回転し易くすることができる。カラー16は、さらに本体6に固定し、ノブ4の本体6に対する不慮の変位を制限するよう構成することができる。本体6は、ノブ4の少なくとも一部に係合し、この係合は、長手方向に変位したり、または本体6から外れたりすることなく、ノブ4がネジ軸10の回転軸線周り自由に回転できるよう構成する。
図2は橈骨動脈圧迫デバイス2の分解図を示す。図示の実施形態においては、ノブ4のカラー16および本体6の開孔18を示す。カラー16は、本体6の側方領域に設けた開孔18の側方開口に収容する。本体6は、カラー16の上側表面が開孔18の下向き表面と接触するよう設計する。このようにして、上向きの力がノブ6に加わる場合、カラー16の上側表面と開孔18の下向き表面との相互作用により、本体6に対するノブ4の位置を保持する。さらに、下向きの力がノブ6に加わる場合、カラー16の底部表面は開孔18の上向き表面に係合する。このようにして、本体6に対するノブ4の位置を維持する。ノブ4のネジ山がネジ軸10に係合する前に、ノブ4を、本体6に対して横方向に移動可能にすることができる。しかし、一旦、ノブ4のネジがネジ軸10にネジ係合した後には、本体6にネジシャフト10が固定されるため、ノブ4の横方向移動は限定される。
ネジ軸10は本体6の開口部19に挿通配置し、これによりノブ4と圧迫パッド8との間の連携を生ずる。ネジ軸10は剛性、半剛性、または可撓性性の材料、例えばプラスチック、木材、金属、または他の適当な材料で形成することができる。ネジ軸10は少なくともネジ軸10の少なくとも一部にネジ山11を設ける。ネジ11は、本体6および/またはノブ4におけるネジ山に協調して係合し、ネジ軸10の長手方向の変位を可能にする。開口部19はネジ軸10を固定するよう構成し、ネジ軸10を長手方向の移動を可能にするとともに、横方向移動を制限する。ノブ4を回転させるとき、ネジ軸10は本体6に対して長手方向に移動し、圧迫パッド8を本体6から遠ざかる方向に突出させる、または圧迫パッド8を本体6に近づけるように収縮させることができる。ネジ軸10の長手方向の移動は、橈骨動脈圧迫デバイス2を患者の手首の下側に固定するとき、圧迫パッド8によって患者の手首および/または橈骨動脈に加わる圧力を調整する。
ノブ4は複数のネジ山を回転させる回転手段の例である。圧迫パッドは、患者の橈骨動脈を圧迫する圧迫手段の例である。ネジ軸に連結した圧迫パッドは、患者の橈骨動脈を圧迫する圧迫手段の他の例である。本体は、回転手段および圧迫手段を支持する支持手段の例である。圧迫パッドのノッチは患者の橈骨動脈内に挿入したデバイスを少なくとも部分的に包囲する包囲手段の例である。患者の手首に隣接して位置決めするよう構成した圧迫パッドの表面における段差は、患者の橈骨動脈内に挿入したデバイスに対する少なくとも部分的に適合する輪郭を形成する輪郭形成手段の例である。
図3は、図1に示す橈骨動脈圧迫デバイス2の圧迫パッド8の底面から見た斜視図である。本体6の表面は患者の手首の下側に部分的に適合するよう構成することができる。図3の底面図は、さらに患者の手首の下側における橈骨動脈の上方またはその領域に位置するよう位置決めした圧迫パッド8の表面を示す。図示の実施形態において、圧迫パッド8はネジ軸10と結合する。したがって、ネジ軸10の長手方向の移動により、本体6に対する圧迫パッド8の移動を生ずる。圧迫パッド8は、湾曲した段差20、第1接触面21、および第2接触面23を有する。第1接触面21は第1標高を有し、第2接触面23は第1接触面21の標高とは異なる第2標高を有する。湾曲した段差20は第1接触面21から第2接触面23への遷移部をなす。図示の実施形態において、湾曲した段差20は、橈骨動脈に配置することができる図示のカテーテルおよび/またはシースの外径に近似する半径を有する。
第1接触面21、第2接触面23および湾曲した段差20の輪郭(プロファイル)は、患者の手首の輪郭に対して望ましい接触をする。第1接触面21のより低い標高は、患者の手首の中心における概して隆起したプロファイルに合致するよう構成する。第2接触面23のより高い標高は、橈骨動脈に対し側方に位置する患者の手首部分における概して凹んだまたは傾斜した形状に合致するよう構成する。湾曲した段差20は、圧迫パッド8が患者の橈骨動脈内に挿入したシースまたはカテーテルの部分に対して少なくとも部分的に適合することを可能にする。橈骨動脈内に挿入したシースまたはカテーテルに適合する能力により、圧迫パッド8が、医療処置中、圧迫圧力を加えることができるよう、橈骨動脈圧迫デバイス2を位置決めすることができる。第1接触面21、第2接触面23および湾曲した段差20の並置は、患者の手首の生理学的な特徴に適合するだけでなく、デバイスのあり得る長期使用中に、橈骨動脈および包囲する組織との信頼性の高い、かつスリップのない係合を生ずる。圧迫圧力を加える処置中に、橈骨動脈圧迫デバイス2を使用することは、橈骨動脈の穿刺アクセス部位における安全かつ信頼性の高い止血を支援することができる。
図示の実施形態において、圧迫パッド8は、ほぼ、ディスク形状である。圧迫パッド8には、さらに、圧迫パッド8の外周に形成するノッチ26を設けることができる。ノッチ26は、穿刺アクセス部位で橈骨動脈内に挿入したシースまたはカテーテルの部分を少なくとも部分的に適合するよう輪郭形成する。挿入したシースまたはカテーテルに適合するよう輪郭形成することにより、ノッチ26は、医療処置中、穿刺アクセス部位で圧力を加えることに役立つ。圧迫パッド8は穿刺アクセス部位の上流域に位置決めし、ノッチ26は、挿入したシースまたはカテーテルを部分的に包囲するように位置決めすることができ、これにより、穿刺アクセス部位における止血を支援する。
図4Aは、橈骨動脈圧迫デバイス2の縦断面図であり、圧迫パッド8を本体6に向けて完全に後退させた状態を示す。図4Aに示す実施形態において、施術者は、方向の矢印4A−4Aで示すように、ノブ4を時計方向に回転し、圧迫パッド8及びネジ軸10を本体6に向けて後退させる。完全に後退するとき、圧迫パッド8は本体6の窪み22内に収容される。図4Aに示す完全後退位置で、圧迫パッド8を窪み22内に完全に収納し、従って、穿刺アクセス部位への圧迫圧力を最小にする。したがって、圧迫パッド8を完全に後退させた位置にあり、したがって、初期的に圧迫圧力が穿刺アクセス部位に加わらないようにしている間に、施術者は、橈骨動脈圧迫デバイス2を患者の手首に固定することができる。
図4Bは、橈骨動脈圧迫デバイス2の縦断面図であり、圧迫パッドを本体6から遠ざかる方向に突出する状態を示す。図示の実施形態において、方向矢印4B−4Bで示すように、ノブ4を反時計方向に回転し、ネジ軸10及び圧迫パッド8を本体6から離れる方向に移動する。橈骨動脈圧迫デバイス2を患者の手首の下側に固定するとき、ノブ4の反時計方向の回転により、圧迫パッド8は患者の手首に向かって移動し、また橈骨動脈の圧迫部位で徐々に増加する圧力量を加える機能を与える。橈骨動脈圧迫デバイス2を橈骨動脈上に適切に位置決めするとき、圧迫圧力が橈骨動脈に加わる。ノブ4を反時計方向に回転させ続けることにより、穿刺アクセス部位周りに圧迫加圧量を増加し、所望レベルの止血を行うことができる。同様に、ノブ4を時計方向に回転し、圧迫加圧量を減少することができる。このようにして、施術者は圧力量を調整し、患者の着け心地を比較的よい状態に維持しつつ、穿刺アクセス部位における所望レベルの止血を行うことができる。
図5は、橈骨動脈上方における患者手首の下側に位置決めした橈骨動脈圧迫デバイス2の斜視図である。リストストラップ12は、本体6を患者の手首に固定する。橈骨動脈圧迫デバイス2の圧迫パッド8を、患者の橈骨動脈領域に位置決めし、この橈骨動脈領域は、患者の手首の下側で手首の中心から僅かに親指寄りに位置する。図示の実施形態において、カテーテル30を穿刺アクセス部位32で橈骨動脈に挿入する。圧迫パッド8を穿刺アクセス部位32の領域で橈骨動脈の上方に位置決めする。圧迫パッド8のノッチ26を、カテーテル30に隣接し、かつ部分的に包囲するよう位置決めすることができる。このようにして、医療処置中に圧迫を穿刺アクセス部位32の領域に加え、穿刺アクセス部位32での止血を支援する。施術者は、ノブ4を時計方向に回転させることもでき、患者の着け心地を比較的よくする必要に応じて、圧迫加圧量を減少する。
医療処置完了後に、患者の手首から橈骨動脈圧迫デバイス2を取り外さずに、施術者は、カテーテル30を患者の橈骨動脈から取り外すことができる。施術者は、ノブ4を所望の時計方向変位量だけ回転させ、穿刺アクセス部位32からカテーテル30を取り外すことができるのに十分な程度に圧迫加圧を減少する。カテーテル30を穿刺アクセス部位32から完全に抜き出した後に、橈骨動脈圧迫デバイス2は、穿刺アクセス部位32に圧迫を迅速かつ効率的に加えることができる有利な位置にとどまる。施術者は、迅速にノブ4を回転させることができ、圧迫パッド8により加える圧迫圧力を増加し、迅速に所望レベルの止血を行う。橈骨動脈圧迫デバイス2は迅速に圧迫を加えることができるため、患者の失血は減少し、血液によって感染する病気の感染リスクは減少し、穿刺アクセス部位の閉止を直ちに始めることができる。さらに、施術者は、連続加圧をハンズフリー方法で行うことができ、加圧調整を達成するまで、施術者が処置の他の局面を処理することができる。このようにして、橈骨動脈圧迫デバイス2を医療処置中および処置後に使用することができ、圧迫圧力を加えて止血を行う。
同様のプロセスを用いて、カテーテル30を適切に挿入した後に、橈骨動脈からシースを取り外すことができる。従来、シースをまず穿刺アクセス部位で橈骨動脈に挿入し、次に、カテーテルをシースに通して挿入し、経皮的診断または介入(インターベンション)医療処置を行っている。施術者は、シースを挿入した後、止血を行うために、橈骨動脈圧迫デバイス2を使用することができる。次に、カテーテルをシースに通して挿入することができる。いくつかの事例では、カテーテル挿入後にシースを取り外す。橈骨動脈圧迫デバイス2は、シースを取り外すことができるよう、施術者が、穿刺アクセス部位で圧迫圧力を短時間減少することを可能にする。シースを取り外した後、施術者は、橈骨動脈圧迫デバイス2を使用して、圧迫圧力を即座に増加することができる。圧迫圧力を即座に増加できることにより、施術者は、橈骨動脈圧迫デバイス2を使用して、カテーテル周り及び穿刺アクセス部位からの流血を迅速に停止させ、それにより、穿刺アクセス部位での止血を行うことができる。
図6は、橈骨動脈圧迫デバイス52の別の実施形態における正面から見た斜視図である。図示の実施形態において、橈骨動脈圧迫デバイス52は、ノブ54、本体56、圧迫パッド58、ネジ軸60(図7参照)、およびリストストラップ62を有する。図示の実施形態において、以下により詳細に説明するように、本体56は、保持ブラケット68を有する。本体56を患者の手首の下側に位置決めして、リストストラップ62により、橈骨動脈圧迫デバイス52を患者の手首に固定することができる。ネジ軸60は、本体56に挿通して配置し、圧迫パッド58およびノブ54に機械的に連結する。ネジ軸60(図7参照)をノブ54と一体構成にし、これにより、ノブ54を回すとき、圧迫パッド58に関連するネジ山との協調ネジ係合により、圧迫パッド58が本体56に対して相対移動を生ずる。ノブ54の回転方向に基づいて、圧迫パッド58は本体56から離れる方向に突出する、または本体6に向かって後退する。このようにして、橈骨動脈圧迫デバイス52を患者の手首に適切に固定したとき、患者の橈骨動脈に圧迫圧力を加えることができる。さらに、患者の手首から橈骨動脈圧迫デバイス52を取り外すことなく、圧迫圧力を所望に応じて増減することができる。
図7は、図6の橈骨動脈圧迫デバイス52の分解図を示す。図示の実施形態において、図7に示すように、ネジ軸60をノブ54に連結することができる。ノブ54を本体56に対して相対回転させるとき、ネジ軸60も回転する。圧迫パッド58には雌ネジ付きのネジ開口78を設ける。ネジ開口78のネジ山80は、ネジ軸60のネジ山61とネジ係合するよう構成する。ネジ軸60が回転するとき、ネジ軸60のネジ山61はネジ開口78のネジ山とネジ係合し、これにより圧迫パッド58をネジ軸60の回転軸線に沿って長手方向に付勢する。図示の実施形態において、ノブ54及びネジ軸60が時計方向に回転するとき、圧迫パッド58は本体56に向かって後退する。ノブ54及びネジ軸60が反時計方向に回転するとき、圧迫パッド58は本体56から離れる方向に突出する。
図7の分解図は、さらに、本体56の保持ブラケット68も示す。保持ブラケット68は、ノブ54の少なくとも一部を収容しまた固定するように構成するとともに、ノブ54が本体56に対し回転できるようにする。保持ブラケット68は、ノブ54のカラー66に係合するよう構成する。保持ブラケット68は、旋回して、ネジ軸60を本体56の開口部67に挿通できるようにする。開口部67にネジ軸60を位置決めすることにより、保持ブラケット68をノブ54のカラー66に係合する位置に復帰するよう、保持ブラケット68にバイアスを加えることができる。保持ブラケット68は旋回して、カラー66に係合し、ノブ54の回転軸線に沿う本体56に対する定位置にノブ54を固定する。ノブ54は、本体56に対し回転軸線のまわりに自由に回転できるとともに、不慮のノブ54の釈放を生ずる回転軸線に沿う長手方向の不慮の変位を少なくする。
本体56は窪み72を有する。この窪み72は、圧迫パッド58を本体56に対し完全に後退させるとき、圧迫パッド58を収容するよう構成する。本体56は、患者の手首の下側における少なくとも一部に適合するよう輪郭形成することができる。ネジ軸60は、本体56の中央部分に貫通する開口部67に挿通するよう構成する。ネジ軸60は、その基端部領域でノブ54から末端方向に向かって、本体56の開口部67に貫通する。図示の実施形態において、ネジ軸60の長さは、ネジ軸60の基端部の先端が窪み72の末端領域を越ええて突出しないように、設計する。この結果、圧迫パッド58が最も基端側領域にあるとき、圧迫パッド58と患者の手首との間に、接触をほとんど生じない、または全く生じないようにすることができる。ネジ軸60は、ノブ54と一体に構成しているため、ノブ54が回転すると、ネジ軸60は、本体56に対し長手方向に相対移動しない。むしろ、ネジ軸60が回転するとき、ネジ軸60は、圧迫パッド58を本体56に対して相対移動させる。圧迫パッド58のネジ開口78は、圧迫パッド58が窪み72を越えて突出し、橈骨動脈圧迫デバイス52を患者の手首に適切に固定および位置決めするとき、患者の手首に圧力を加えることができるようにする。
圧迫パッド58は、さらに、圧迫パッド58の表面に段差70を設けることができ、段差70は、患者の手首の付け根寄りに位置決めするよう構成する。段差70は、圧迫パッド58が患者の橈骨動脈の穿刺アクセス部位に挿入するシースまたはカテーテルの部分の輪郭に少なくとも部分的に輪適合できるようにし、それにより医療処置中に圧迫圧力を加え、穿刺アクセス部位での止血を支援する。図示の実施形態において、圧迫パッド58は、さらに、圧迫パッド58の互いに対向する両側に位置する2個のノッチ76a及び76bを設ける。ノッチ76a及び76bは、橈骨動脈に挿入するカテーテルの穿刺アクセス部位を少なくとも部分的に包囲するよう構成する。圧迫パッド58の両側に設けたノッチ76の構成により、本体56に対し段差70を再配置するために、圧迫パッド58を半回転することができる。この半回転により、橈骨動脈に挿入するシースまたはカテーテルの部分に関して、圧迫パッド58を再配置できるようになる。この結果、圧迫パッド58が第1回転位置にあって止血を行うことができない場合に、施術者は、カテーテル及び患者の橈骨動脈に対して、圧迫パッド58を迅速に再転向することができ、止血試行の圧迫圧力を加えることができる。さらに、圧迫パッド58の両側に位置するノッチ76により、段差70の所望の位置決めを行うために、圧迫パッド58を単に回転することにより、橈骨動脈圧迫デバイス52は、圧迫圧力を患者の左手首または右手首のいずれかに加えることができる。
ネジ軸に連結したノブは、図7に示すように、複数のネジを回転させる回転手段の例である。図7に示す圧迫パッドは、患者の橈骨動脈を圧迫する圧迫手段の例である。保持ブラケットを有する本体は、回転手段及び圧迫手段を支持する支持手段の例である。
図8は、本発明の一実施形態による改善した橈骨動脈圧迫デバイス110の斜視図である。橈骨動脈圧迫デバイス110は、経皮的穿刺アクセス部位で所望の止血を維持するために、使用者が患者の橈骨動脈または患者の血管系における他の位置に対して様々な程度の加圧を与えることができるように構成する。図示の実施形態において、橈骨動脈圧迫デバイス110は、回転部材112、本体120、リストストラップ固定部材124a、124b、圧迫パッド130及びネジ軸150を備える。
本体120は、橈骨動脈圧迫デバイス110の他の構成部品を位置決めすることができるフレームワークとなるよう構成する。図示の実施形態において、回転部材112及び圧迫パッド130を、本体120のどちからの側に択一的に配置する。圧迫パッド130は、患者の皮膚または加圧処置の他の所望ターゲットに隣接配置するように、本体120の下側に位置決めする。回転部材112は本体120の上側に位置決めする。本体120に対する回転部材112の位置決めにより、施術者は所望の方法で回転部材112を回転し、橈骨動脈圧迫デバイス110が適切に作動できるようにする。
図示の実施形態において、回転部材112は、施術者が橈骨動脈圧迫デバイス110を作動または不作動にすることができるよう構成する。さらに、回転部材112により、施術者は、処置の過程全体にわたり、圧迫パッド130により与えられる加圧量を徐々に増減できるよう構成する。回転部材112は、ハンドル部材114、側壁116、中央空洞117、上面118及び割り出し用の刻印119a〜119dを備える。図示の実施形態において、使用者が回転部材112を握り、所望量回転できるよう、ハンドル部材114を設ける。ハンドル部材114は、人間工学的な、また望ましいグリップ性を与える弓形のS曲線形状にする。時計方向または反時計方向のいずれかに回転部材112を回すよう、ハンドル部材114の形状により、使用者が親指及び人さし指をハンドル部材114のどちらか一方の側に当接ができるようにする。このようにして、ハンドル部材114により、人間工学的なまた握り易い構成を得る。
中央空洞117は、回転部材112の中央に円形の窪み領域を形成する。中央空洞117には、ハンドル部材114の弓形構造が横切る。言い換えれば、ハンドル部材114は、中央空洞117の一方の側方側面から、中央空洞117の反対側の側方側面に延びる。このようにして、窪みが回転部材112の上面118に対して生ずる。ハンドル部材114は、上面118の上方に突出する標高から上面118の下方へ延びる中央空洞117内の位置まで延在することができる。中央空洞117及びハンドル部材114が並置することにより生ずるハンドル部材114のいずれかの側方側面における半球型空洞により、ハンドル部材114を握るための人さし指及び親指を受け入れることができ、また回転部材112の回転を生ずることができる。
側壁116の上面118は、回転部材112の外周を形成する。側壁116は上方へ所定量突出し、使用者が側壁116の外面を握り、また回転部材112を回転することができるようにする。さらに、側壁116は、回転部材112の本体に、厚みまたは全高さ寸法を与える。橈骨動脈圧迫デバイス110の本体120から離れる方向に指向するように、上面118を配置する。上面118には、使用者に回転部材112の回転位置を示す複数の割り出し用の刻印119a〜119dを設ける。これにより、使用者は、回転部材112の現在の回転位置を確認し把握することができるだけでなく、回転部材112の他の回転位置に対する現在の回転位置を確認することができる。
図示の実施形態において、回転部材112の構成は、回転部材112の一回転により、圧迫パッド130の可能な全軸線方向の移動の少なくとも半分の範囲にわたり、圧迫パッド130を突出させる。この結果、使用者が回転部材112を回転するとき、回転部材112の一回転により、圧迫パッド130を、かなりの量を移動させる。同様に、回転部材112を完全に一回転することにより、圧迫パッド130による患者の橈骨動脈または他の生理的特徴に対する、かなりの加圧の増加となる。この結果、第1の刻印を第1回転位置から第2回転位置に動かすと、使用者は、本体120に対する圧迫パッド130のおおよその突出量を確認することができる。
図示の実施形態において、刻印119aは数字「1」の表示であり、刻印119bは数字「2」の表示であり、刻印119cは数字「3」の表示であり(図9Bを参照)、刻印119dは数字「4」の表示である。図示の実施形態において、刻印119aはラチェット係合部材126aに隣接し、刻印119cはラチェット係合部材126bに隣接する。刻印119aがラチェット係合部材126aに隣接させる代わりに、ラチェット係合部材126bに隣接するよう、回転部材112を回転させると、施術者は、圧迫パッド130が所定量突出し、患者の手首または他の生理的特徴に対し所望の加圧量を与えたことを認識することができる。本発明の一実施形態によれば、回転部材112の一回転により、圧迫パッド130を本体120に対し完全に突出させる。言い換えれば、回転部材112の一回転により、圧迫パッド130を、圧迫パッド130を、完全に後退した位置から完全に突出した位置に移動する。
リストストラップ固定部材124a、124bを、橈骨動脈圧迫デバイス110の本体120に一体に連結する。リストストラップ固定部材124a、124bには、本体120の互いに対向する両側の側方側面に配置する。リストストラップ固定部材124a、124bは、ストラップまたは他の固定部材の装着を可能にするループまたは中心孔を設け、このループまたは中心孔に、患者の手首または他の生理的特徴に対し橈骨動脈圧迫デバイス110を固定するよう、患者の手首の周りに配置するストラップまたは他の固定部材を挿通できるようにする。
ラチェット係合部材126a、126bも、本体120の互いに対向する両側の側方側面に位置する。ラチェット係合部材126a、126bは、回転部材112の下側から突出し、回転部材112の側壁116に隣接して上方に突出する。ラチェット係合部材126a、126bは、使用者が掴んで互いの方向に内方に押し込むよう構成する。ラチェット係合部材126a、126bの操作により、回転部材112に関連するラチェット機構を解除し、第1方向及び第2方向双方への回転部材112の回転を可能にする。一実施形態においては、ラチェット係合部材126aをラチェット係合部材126bの方に押圧付勢(バイアス)し、かつ、ラチェット係合部材126bをラチェット係合部材126aの方に押圧付勢することにより、使用者は回転部材112を解放するようにする。ラチェット係合部材126a、126bを互いの方向へ押圧付勢することにより、ラチェット係合部材126aとラチェット係合部材126bとの間の空間的距離を効果的に減少する。このようにして、回転部材112の構成部品を係合する内部ラチェット構成部品を解放して、回転部材112が時計方向及び反時計方向のうち一方または両方に動かすことを可能にする。
本発明の一態様によれば、ラチェット係合部材126a、126bを操作することなく、圧迫パッド130を突出させる第1回転方向に、施術者は、回転部材112を回転させることができる。橈骨動脈圧迫デバイス110に関連するラチェット機構により、回転部材112の第2方向への回転を効果的に防ぎ、圧迫パッド130を所望の突出位置に固定する。このようにして、処置の全過程中、施術者の継続的な注意を必要とせずに、橈骨動脈圧迫デバイス110により、所望量の圧迫を一貫して加えることができる。さらに、施術者は、回転部材112の単純な操作により、橈骨動脈圧迫デバイス110により与える圧迫量を簡単かつ迅速に変えることができる。
施術者が、本体120に対する圧迫パッド130を後退させたい、または使用者が橈骨動脈圧迫デバイス110により患者に加える圧迫量を減少させたい場合には、単にラチェット係合部材126a、126bを互いの方向に押し込む。ラチェット係合部材126a、126bを押し込むと、回転部材112の係合は解放され、回転部材112の逆方向回転が可能となる。回転部材112の逆方向回転により、本体120に対し圧迫パッド130を後退させることができる。
図示の実施形態において、ネジ軸150を示す。回転部材112の回転により、ネジ軸150を作動させる。使用者が回転部材112を回転させると、ネジ軸150は橈骨動脈圧迫デバイス110のネジ付き部材または他の構成部分とネジ係合し、圧迫パッド130を本体120に対し軸線方向に移動させる。例えば、回転部材112を第1方向に回転させるとき、ネジ軸は本体120のネジ付き部材とネジ係合し、圧迫パッド130が本体120に対して突出する。言い換えれば、回転部材112を第1方向に回転させるとき、圧迫パッド130は本体120から離れる方向に移動する。回転部材112を第2方向に回転させるとき、ネジ軸150は本体120のネジ付き構成部分と協働して係合し、圧迫パッド130が本体120に対して後退する。言い換えれば、回転部材112を第2方向に回転させるとき、圧迫パッド130と本体120との間の距離は減少する。
圧迫パッド130は、第1部分132、第2部分134、ノッチ136及び段差138を含む。第1部分132を段差138の一方の側方側面に配置する。第2部分134を圧迫パッド130の反対側の側方側面に配置する。ノッチ136は、圧迫パッド130の円形半径内にわたる切り欠きにより設ける。ノッチ136は、パイ状または角度付きの切り欠きとし、切り欠きは、圧迫パッド130の半径外周でより広く、ノッチが圧迫パッド130の中心に近づくにつれて徐々に一点に狭まる。ノッチ136は、ノッチ136の点が段差138に整列するよう構成する。段差138は、圧迫パッド130の一方の側方側面から圧迫パッド130の対向する側方側面に続く。
図示の実施形態において、圧迫パッド130は、第1部分132及び第2部分134を備える。第1部分132は、第2部分134と異なる標高を有する。例えば、図示の実施形態において、第1部分132は、圧迫パッド130の第1部分132に関連する側壁が最小高さとなるように、より高い標高を有する。対照的に、第2部分134は、圧迫パッド130の第2部分134に関連する側壁が、圧迫パッド130の第1部分132に関連する側壁より大きい高さを有するように、より低い標高を有する。さらに、第2部分134における上面と接触面との間の距離は、第1部分132における上面と接触面との間の距離よりも、圧迫パッド130の上面から一層離れている。
第1部分132および第2部分133との異なる標高の位置は、患者の手首の下側における生理的特徴に適合するよう構成する。例えば、患者の手首の外側は、患者の手首の中央部分よりも若干くぼんでいる。結果的に、第1部分132及び第2部分133により設ける圧迫パッド130の異なる標高面により、患者の橈骨動脈の両側における患者の手首部分に、よりよく全面的に接触する。
段差138は、第1部分132から第2部分134への遷移部を備える。本発明の一実施形態によれば、段差138は、湾曲した、または円弧状、または患者の橈骨動脈内に位置決めするカテーテルの外径により一層近似する半径寸法を有する。ノッチ136は、カテーテルが患者の橈骨動脈における所望の止血で維持されるように、経皮的カテーテルのアクセスポイントの周りに所望の圧迫を与える。
図9Aは、本発明の一実施形態による、図8の橈骨動脈圧迫デバイス110の斜視図である。図示の実施形態では、橈骨動脈圧迫デバイス110を患者の手首141に固定している。リストストラップ142は、患者の手首141を包囲し、リストストラップ固定部材124a、124bに固定する。さらに、橈骨動脈圧迫デバイス110を患者の手首141の下側に固定する。圧迫パッド130が患者の手首141の外側に接触するように適合するように、橈骨動脈圧迫デバイス110を位置決めする。橈骨動脈圧迫デバイス110を患者の親指146に隣接する患者の手首141の外側に位置決めする。これは、橈骨動脈が、患者の手首141における患者の親指146と同一の側方で患者の手首側方にあるという事実による。
図示の実施形態において、圧迫パッド130は、本体120に対して後退した位置をとるよう配置する。この結果、最小量の圧迫を患者の手首に与える。カテーテル140を患者の橈骨動脈内に位置決めする。ノッチ136は、患者の手首141から延びるカテーテル140の部分を収容するよう、圧迫パッド130をカテーテル140に対して位置決めする。カテーテル140に対して圧迫パッド130が並置することにより、カテーテル140が患者の橈骨動脈に入る橈骨動脈の穿刺アクセス部位で、所望の圧迫量を加える。当業者は分かるように、カテーテル140は、一般的に患者の手首の親指側から挿通し、患者の腕内で上方に延ばす。さらに、ノッチ136を橈骨動脈圧迫デバイス110の手の側に位置決めする。図示の実施形態において、施術者は、橈骨動脈圧迫デバイス110を完全に作動させる前に、カテーテル140の位置を患者の橈骨動脈内に維持するため、カテーテル140を保持する。言い換えれば、図示の実施形態において、橈骨動脈圧迫デバイス110を患者の手首に固定するが、回転部材112を、まだ、完全に操作しない。橈骨動脈圧迫デバイス110を患者の手首に固定する間、カテーテル140を患者の橈骨動脈内に固定する位置までは圧迫パッド130をない突出させでおく。リストストラップ142により橈骨動脈圧迫デバイス110を患者の手首にした後、施術者は、回転部材112を操作することができる。患者の橈骨動脈内に所望のカテーテル140の圧迫を生ずるように、回転部材112の操作により、施術者は、圧迫パッド130に対して所望の軸線方向移動をさせることができる。
橈骨動脈圧迫デバイス110の構成により、施術者は、片手で回転部材112を操作することができる。この結果、施術者は、カテーテル140の所望の位置を患者の橈骨動脈内に維持するため、一方の手でカテーテル140を保持することができ、同時に施術者の他方の手で回転部材112を操作する。結果的に、橈骨動脈圧迫デバイス110により、片手で操作して患者の血管系内にカテーテル140を固定するとともに、処置の他の局面で施術者の他方の手を、望み通りに、しばしば有利に使用することができる。
図9Bは、図9Aに示す橈骨動脈圧迫デバイス110の斜視図である。図示の実施形態において、回転矢印9b−9bを示す。回転矢印9b−9bは、回転部材112の時計回りの回転方向を示す。回転矢印9b−9bにより示す時計回りの回転部材112の回転により、圧迫パッド130を本体120の窪み122内から突出させる。圧迫パッド130が完全に後退した位置にあるとき、窪み122は、圧迫パッド130を収容するよう構成する。
カテーテル140を経皮的穿刺アクセス部位内に位置決めし、カテーテル140を患者の橈骨動脈内に挿通することができる。上述したように、カテーテル140を手首の手の側から患者の橈骨動脈内に通して、患者の肘の方向に延ばす。施術者がカテーテル140を患者の橈骨動脈内の所望位置に挿通した後、施術者は、ハンドル部材114または回転部材112の他の部分を握ることができて、回転部材112を時計回りの回転方向に回転させることができる。施術者が回転部材112を時計回りの回転方向に回転させるにつれて、ネジ軸150のネジ山は、橈骨動脈圧迫デバイス110の他の構成部分に協働してネジ係合し、圧迫パッド130が軸線方向に動くこととなる。施術者が回転部材112を時計回りの回転方向に回転させ続けるにつれて、圧迫パッド130と本体120との間の距離が増大し始めるように、圧迫パッド130は本体120の窪み122内から動く。結果的に、圧迫パッド130は、増大する圧力を患者の手首141に加え始める。患者の手首内に位置決めしたカテーテル140の部分は、段差138(図8を参照)位置で圧迫パッド130の下側に接触する。特に、圧迫パッド130の下側にカテーテル140を通すことにより、橈骨動脈及び特にカテーテル140を位置決めした橈骨動脈の部分の双方に圧力を加え始める。このように、圧迫パッド130により所望の程度の圧迫を加えると、圧迫パッド130の構成によりカテーテル140を患者の橈骨動脈内に効果的に封止する。さらに、経皮的穿刺アクセス部位からの流血を阻止する。結果的に、施術者による継続的付き添いまたは手を使う圧迫をせずに、橈骨動脈圧迫デバイス110により、患者の手首内の経皮的穿刺アクセス部位に、常に所望の圧迫を加えることになる。言い換えれば、施術者が回転部材112を完全に操作した後、圧迫パッド130によりカテーテル140を患者の血管系内の適切な位置に保持し、カテーテルの穿刺アクセス部位での出血を最小にする、または防止する。これにより、施術者は、注意を払うべき手術の他の局面に集中することができる。
図示の実施形態において、ラチェット係合部材126a、126bを押し込んでいない。結果的に、反時計回りの方向の回転運動、または、回転矢印9b−9bと反対方向の回転運動を妨げる。結果的に、圧迫パッド130により加える圧力の不慮の解放を妨げる。図示の実施形態において、回転部材112の回転に続いて、ネジ軸150、本体120及び回転部材112間の協働相互作用により、圧迫パッド130は、ほとんどまたは全く回転運動しなくなる。言い換えれば、使用者が回転部材112を回転させるにつれて、ノッチ136の回転位置は変わらないままである。結果的に、使用者は、患者の橈骨動脈に沿って、ノッチ136をカテーテル140及び段差138(図8を参照)に整列させることができる。圧迫パッド130の構成部分を適切に整列させた後、施術者が回転部材112を回転させるとき、圧迫パッド130、及び特にノッチ136及び段差138(図8を参照)がカテーテル140に対しする適正な向に維持されなくなるいというリスクなしに、施術者は回転部材112を操作することができる。例えば、使用者は、圧迫パッド130のノッチをカテーテル140の上に位置決めすることができる。さらに、圧迫パッド130の段差138(図8を参照)を、カテーテル140が延びる橈骨動脈の部分に整列させることができる。使用者が回転部材112を回転させるとき、橈骨動脈圧迫デバイス110の他の構成部分に対するノッチ136の位置は、変わらないままである。
図示の実施形態で、ラチェfット係合部材126aと126bとの間のおよそ中間である回転位置に、ノッチ136を位置決めする。さらに、リストストラップ固定部材124aと124bとの間のおよそ中間に、ノッチ136を位置決めする。使用者が回転部材112を回転させ始めるとき、ノッチ136の回転位置は、本体120の構成部分に対し変わらないままである。結果的に、回転部材112が回転する間に、ラチェット係合部材126aと126bとの間、及び、リストストラップ固定部材124aと124bとの間のおよそ中間に、ノッチ136を位置決めしたままである。これにより、圧迫処置の過程全体にわたり、橈骨動脈圧迫デバイス110の構成部分における所望の整列及び動作を容易にする。
当業者は分かるように、本発明の範囲及び精神を逸脱することなく、橈骨動脈圧迫デバイスの様々なタイプ及び構成部材を提供することができる。例えば、本発明の一実施形態によれば、圧迫パッドを操作するために、反時計方向に回転する回転部材を用いる。本発明の別の実施形態によれば、ハンドル構成部材、ノブまたは回転部材と異なる構成を有する他の操作部材を用いる。本発明の別の実施形態によれば、回転以外の動きを用いて圧迫パッドを作動する。本発明の別の実施形態によれば、回転部材の作動または逆の作動には、ラチェット係合部材または他の回転固定構成部材に係合しなくする必要がある。さらに別の実施形態によれば、圧迫パッドは、接触面または図8〜9Bに示すものと異なる構成にする。例えば、本発明の一実施形態によれば、圧迫パッドは、柔らかいまたは柔軟な構成部材により構成することができる。別の実施形態において、圧迫パッドは、ノッチ部分を設けないようにすることができる。さらに別の実施形態で、圧迫パッドの接触面は、第1及び第2の標高差のある構成部材を有するよりもむしろ、いくぶん平坦なまたは曲面の構成にすることができる。
図9Cは、図9Aの橈骨動脈圧迫デバイスの斜視図である。図示の実施形態において、施術者は、ラチェット係合部材126aおよび126bを(図9Bも参照)互いの方向に押圧して、ラチェット係合部材126aおよび126bを(図9Bも参照)掴む。このようにして、回転部材112が反時計方向に回転することを妨げる内部ラチェット部材を解放する。ラチェット係合部材126a、126b(図9Bも参照)を押し込んだとき、施術者は、方向矢印9c−9cで示す反時計方向に回転部材112を回転させることができる。施術者が、反時計方向に回転部材112を回転させるとき、圧迫パッド130は本体120の方向に後退する。言い換えれば、方向矢印9c−9cで示す反時計方向に回転部材112を回転させるとき、本体120と圧迫パッド130との間の距離は、圧迫パッド130が本体120の窪み内に完全に後退するまで、小さくなる。
圧迫パッド130により加わる力の量が減少するにつれて、患者の手首内におけるカテーテル140の締め付けは小さくなる。圧迫パッド130により与える圧迫を所望の程度まで減少した後、施術者は、カテーテル140を掴み、患者の橈骨動脈内からカテーテル140を抜き出すことができる。図示の実施形態において、穿刺アクセス部位152から及び患者の血管系からカテーテル140を抜き出した状況を示す。カテーテル140の先端149が患者の身体から抜き出た後、施術者は、再度、時計方向に回転部材112を回転させることができ、圧迫パッド130により穿刺アクセス部位152に与える加圧を増大させることができる。これにより、穿刺アクセス部位152が閉じて十分に治るまで、所望の程度の止血をし、処置後に穿刺アクセス部位からさらに出血することを防ぐ。結果的に、看護師、医者または患者が、カテーテルの穿刺アクセス部位での出血が減少しまたは止まるまで、圧力を加えるのではなく、橈骨動脈圧迫デバイス110により、処置完了後に、カテーテルの穿刺アクセス点に補充的圧力を加えることができる。さらに圧力量を調整することができる。例えば、初期的には、より大きい量の圧迫圧力を加えることができる。ある時間経過後、橈骨動脈圧迫デバイスにより加える圧力を小さくすることができる。
図10は、本発明の一実施形態による橈骨動脈圧迫デバイス110の分解斜視図である。図示の実施形態において、橈骨動脈圧迫デバイス110のネジ付き構成部分を示す。ネジ軸150を圧迫パッド130に一体的に結合する。回転部材の支柱154の外面156にネジ山158を有する回転部材の支柱154を示す。回転部材の支柱154を回転部材112に一体的に結合する。さらに、本体120の中心開口164を示す。中心開口部164には複数のネジ山166も設ける。中心開口164は、回転部材の支柱154の外面156に係合するよう構成する。
施術者が回転部材112を回転させるとき、回転部材の支柱154のネジ158は、中心開口164のネジ山166とネジ係合する。結果的に、回転部材112を回転させるとき、回転部材112は、本体120に対し軸線方向に移動する。ネジ軸150はネジ軸150の外面にネジ山170を設ける。ネジ軸150の外面のネジ山170は、回転部材の支柱154の内径部に設けたネジ山に係合するように構成する。回転部材112を回転する過程で、ネジ軸150と回転部材の支柱154とのネジ係合により、本体120に対するだけでなく回転部材112に対しても圧迫パッド130が移動することになる。ネジ軸150、回転部材の支柱154及び本体120のネジ係合により、回転部材112の回転中、圧迫パッド130の運動の複合作用を生ずる。
回転部材112を回転させるとき、回転部材の支柱154と中心開口164との間における協働係合により、回転部材112が本体120に対して移動することになる。ネジ軸150と回転部材の支柱154との間の係合により、圧迫パッド130が本体120に対して移動することになる。さらに、ネジ軸150と回転部材の支柱154との係合により、圧迫パッド130が回転部材112に対してある量移動することになる。本発明の一実施形態によれば、圧迫パッド130と本体120との間における第1移動量は、回転部材112の第1回転量による。第1移動量と異なる第2移動量は、回転部材112の同じ回転量により、圧迫パッド130と回転部材112との間に生じる。
第1及び第2のネジ係合により、複合作用となり、それに続いて、一定量の回転に続く回転部材112と本体120との間に生ずる移動量よりも、圧迫パッド130と本体120との間でより大きい移動量となる。本発明の一実施形態によれば、例示的目的として、回転部材112を半回転させると、回転部材112と本体120との間で約6.35mm(約1/4インチ)の移動の変化を生ずる。回転部材112の半回転中、圧迫パッド130と本体120との間で約12.7mm(約1/2インチ)の移動変化を生ずる。言い換えれば、回転部材112の同一回転量の回転中に、圧迫パッド130は本体120に対し、回転部材112が本体120に対し移動するよりも、約2倍多く移動する。
図示の実施形態において、回転部材112を時計方向に回転させると、回転部材112が本体120の方向に動くことになる。回転部材112を時計方向に同じ回転をさせると、圧迫パッド130と本体120との間のより大きい移動量となる。言い換えれば、回転部材112を時計方向に回転させると、ハンドル部材114及び圧迫パッド130の両方とも、下方に動くことになる。回転部材112を反時計方向に回転させると、本体120の方向に圧迫パッド130を後退させることになる。さらに、回転部材112を反時計方向に回転させると、本体120と回転部材112との間のより大きい移動量となる。言い換えれば、回転部材112を反時計方向に回転させると、圧迫パッド130及び回転部材112の両方とも、上方に動くことになる。
図示の実施形態において、回転部材係合支柱160a,160bを示す。回転部材係合支柱160a,160bは、外面に傾斜面162a,162bを設ける。傾斜面162a,162bは、回転部材112の内径部に設ける傾斜面またはノッチ部材に係合するよう構成する。傾斜面162a,162bの整列及び向き決めにより、回転部材112の第2方向への回転を妨げるまたは最小にする間に、回転部材112の第1方向への回転を可能にする。使用者が回転部材112の第2方向への回転を望んでも、傾斜面162a,162bがそのような回転を妨げる。回転部材112の逆方向への回転を達成するために、使用者は、単にラチェット係合部材126a,126bを掴み、内方に押圧付勢する。これにより、回転部材係合支柱160a,160bの内側側方への動きとなる。回転部材係合支柱160a,160bの側方への動きにより、回転部材112の内径部のラチェット部材から傾斜面162a,162bが係合しなくなり、回転部材112の第2方向への回転運動を可能にする。
図示の実施形態において、傾斜面162a,162bの構成により、ラチェット係合部材126a,126bの作動を必要とせずに、回転部材112を第1方向へ回転させることを可能にする。しかし、傾斜面162a,162bにより、ラチェット係合部材126a、126bの作動をせずに、回転部材112を反時計方向に回転運動させることを最小にするまたは阻止する。
本体係合支柱172a,172bを圧迫パッド130に連結して設ける。本体係合支柱172a,172bを圧迫パッド130に一体的に連結しまたは固定する。本体係合支柱172a,172bは、本体120の両側を通り、かつ、中心開口164の互いに対向するよう位置する側部の開口部168a,168bを通るよう構成する。本体係合支柱172a,172bは、回転部材112を回転させる間、橈骨動脈圧迫デバイス110の他の構成部分に対する圧迫パッド130の回転方向の向きを維持する。このようにして、回転部材112の回転位置にもかかわらず、圧迫パッド130の所望の整列を、特に、圧迫パッド130のノッチ136及び段差138の所望の整列を、維持することができる。本体係合支柱172a,172bには、タブ174a,174bを設ける。組み立て中、本体係合支柱172a,172bが側部の開口部168a,168bを通ることができるよう、タブ174a,174bは傾斜した構造とする。さらに、本体係合支柱が、本体120との協働係合から不慮に外れるまたは通過することを妨げる棚部材をタブ174a,174bに設ける。
本体係合支柱172a,172bは、ネジ軸150の回転方向の向きも維持する。結果的に、回転部材112の回転に続いて、回転部材の支柱154を回転させることにより、ネジ軸150のネジ山170に関して回転部材の支柱154のネジ山158を動かすことになる。回転部材の支柱154を回転させることにより、回転部材の支柱154に対しネジ軸150及び圧迫パッド130を軸線方向に動かすことになる。回転部材112を回転させるにつれて、回転部材の支柱154も回転する。回転部材の支柱154の回転中、本体120の回転方向、中心開口164のネジ山166、圧迫パッド130及びネジ軸150のネジ山170は、固定したままである。結果的に、回転部材112及び回転部材の支柱154の回転に続いて、ネジ軸150、圧迫パッド130、回転部材の支柱154及び回転部材112を、本体120に対し軸線方向に移動させる。
中心開口164に対する回転部材の支柱154及び回転部材の支柱154に対するネジ軸150の並置により、圧迫パッド130を所望の位置とは異なる回転位置へ付勢する回転力を最小にするのにも役立つ。図示の実施形態において、窪み122を示す。窪み122は、本体120の下側に切り欠きまたは間隙タイプの部材を備える。圧迫パッド130を本体120に最も近い位置に後退させるとき、窪み122は圧迫パッド130を収容する大きさとする。言い換えれば、圧迫パッド130を本体120に対し完全に後退させるとき、圧迫パッド130の全てまたは一部が窪み122内に位置する。
図示の実施形態において、ハンドル部材114を回転部材112に連結して設ける。ハンドル部材114の形状により、回転部材112を時計方向または反時計方向のいずれかに回すために、使用者が親指及び人さし指をハンドル部材114の両側に置くことを可能にする。ハンドル部材114の弓形の構成により、ハンドル部材114の各側部に凹面177及び凸面178を生ずる。例えば、ハンドル部材114の側部176における凹面177は、ハンドル部材114の他方の側部における凸面とは反対側にある。同様に、側部176の凸面178は、ハンドル部材114の他方の側部における凹面とは反対側にある。このようにして、ハンドル部材114により、人間工学的及びつかみ易い構成となる。
当業者には分かるように、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、橈骨動脈圧迫デバイスの様々なタイプ及び構成を設けることができる。例えば、本発明の一実施形態によれば、回転部材の回転方向位置を固定するために、ラチェット係合部材以外の機構を設ける。本発明の別の実施形態によれば、ラチェット係合部材を回転部材の片側のみに設ける。本発明の別の実施形態によれば、本体係合支柱以外の機構を用いて圧迫パッドの回転方向位置を本体に対し固定する。本発明の別の実施形態によれば、回転部材の回転により、一組のネジを用いて圧迫パッドが動くようにする。本発明の別の実施形態によれば、回転部材の回転により、一組のネジを用いて圧迫パッドが動くようにする。本発明のさらに別の実施形態によれば、回転部材の回転により、本体に対し圧迫パッドが動くことになるだけとし、本体に対し回転部材が動くことを引き起こさないようにする。
図11Aは、本発明の一実施形態による図8の橈骨動脈圧迫デバイスの側面図である。図示の実施形態において、圧迫パッド130が完全に突出した位置にある状態を示す。圧迫パッド130が完全に突出した位置にあるとき、圧迫パッド130と本体120との間の変位は最大となる。さらに、圧迫パッド130が完全に突出した位置にあるとき、回転部材112は、他のいかなる回転部材112の回転位置よりも本体120に近い位置にある。
回転部材係合支柱160a,160bは、回転部材112の内径部に協働係合する位置にある。使用者が、圧迫パッド130を後退させることができるように、回転部材112を反時計方向に回転させたい場合、使用者は、単にラチェット係合部材126a,126bを、互いの方に押圧する。ラチェット係合部材126a,126bの押圧により、回転部材係合支柱160a,160bと同一範囲における本体120の部分の操作となる。結果的に、斜面162a,162b(図10参照)と関連する協働係合はなくなり、回転部材112の反時計方向の回転運動を可能にする。
図示の実施形態において、回転部材支柱154に対するネジ軸150の並置を示す。ネジ軸150のネジ山170は、回転部材支柱154の内径部に位置するネジ山に協働係合する。結果的に、回転部材112を回転させるとき、回転部材支柱154の回転により、ネジ軸150のネジ山170と回転部材支柱154の内径部のネジ山との間における相互作用による、圧迫パッド130の軸線方向の動きとなる。さらに、回転部材支柱154の外径部156におけるネジ山158間の係合により、本体120に対する回転部材支柱154の動きとなる。回転部材支柱154のネジ山158は、中心開口164(図10参照)のネジ山166に協働係合する。結果的に、圧迫パッド130の動きは、ネジ軸150の回転部材支柱154との係合に起因するだけでなく、回転部材支柱154の本体120との係合にも起因する。ネジ軸150、回転部材支柱154及び中心開口164の構成部分の係合により、圧迫パッドの複合した軸線方向の変位を生じ、本体120に対する回転部材112の一定量の軸線方向変位により、単一のネジの相互作用により与えるよりも、本体120に対する圧迫パッド130の大きい量の軸線方向の変位をもたらす。
圧迫パッド130は、第1部分132及び第2部分134を有する。第1部分132を段差138の一方の側に配置し、第2部分134を段差138の他方の側に配置する。第1部分132は内側表面180a及び接触面182aを有する。第2部分134は内側表面180b及び接触面182bを有する。さらに、第1部分132は側壁184aを有し、第2部分134は側壁184bを有する。図示の実施形態において、内側表面180aと接触面182aとの間の距離は、第2部分134の内側表面180bと接触面182bとの間の距離よりも短い。言い換えれば、第1部分132の側壁184aの高さは、第2部分134の側壁184bの高さよりも低い。側壁184aと側壁184bとの異なる高さにより、第1部分132の接触面182aの標高は、第2部分134の接触表面182bの標高と異なるよう構成する。
接触面182aと接触面182bとの異なる標高により、圧迫パッド130の接触面を患者の手首に適合させることを可能にする。結果的に、第2部分134の接触面182bを患者の手首の外側に位置決めすることができ、第1部分132の接触面182aを患者の手首の内側部分寄りに位置決めすることができる。このように、典型的な患者の手首における標高の変化及び生理的特徴にもかかわらず、患者の手首に対する大部分または全ての圧迫パッド130間の一貫した所望の接触量を維持することができる。
段差138を患者の橈骨動脈の上方に位置決めするよう構成する。段差138は、段差138の長手方向に沿って続く接触面186を有する。図示の実施形態において、接触面186は湾曲したまたは弓形の構成にし、この構成により、典型的なカテーテルの湾曲した外径または患者の橈骨動脈の丸い構成に適合するよう構成する。このようにして、カテーテルを患者の橈骨動脈内に位置決めするとき、段差138の接触面186により加える圧迫の結果として、所望の協働接触により、カテーテルと患者の身体組織との間に患者の橈骨動脈の外径を挟み込むことができる。
図示の実施形態において、圧迫パッド130を完全に突出した位置に位置決めするとき、窪み122の内面に対し接触面182a及び接触面182bの変位量が最大となる。言い換えれば、圧迫パッド130を完全に突出した位置にすると、接触面182a及び接触面182bは、本体120に対し最も遠い位置をとる。結果的に、圧迫パッド130を完全に突出した位置にすると、橈骨動脈圧迫デバイス110を患者の手首に締め付けるとき、最大量の圧迫を与えることができる。
当業者には分かるように、本発明の範囲及び精神を逸脱することなく、橈骨動脈圧迫デバイスの様々なタイプ及び構成を提供することができる。例えば、本発明の一実施形態によれば、圧迫パッドの突出は、回転部材の回転の結果だけでなく、橈骨動脈圧迫デバイスにおける他の構成部分の動作結果とすることもできる。本発明の別の実施形態によれば、圧迫パッドの突出は、患者の橈骨動脈または他の生理的特徴に圧力を及ぼすために用いる2つ以上の構成部分のうち一方のみとすることができる。本発明の別の実施形態によれば、圧迫パッドは、第1の堅い構成部分と、患者の橈骨動脈またはカテーテルに協働係合する第2の柔軟な構成部分とを有するようにする。本発明のさらに別の実施形態によれば、圧迫パッドのレリーフ表面または接触面の形状、構成または材料特性を変えることができる。
図11Bは、圧迫パッド130が完全に後退させた位置にある状態を示す橈骨動脈圧迫デバイスの側面図である。図示の実施形態において、圧迫パッド130を完全に後退した位置にするとき、回転部材112は本体120に対し最大軸線方向変位量の位置にある。圧迫パッド130を完全に後退した位置にするとき、圧迫パッド130は完全にまたは部分的に窪み内に後退する。図示の実施形態において、圧迫パッド130を完全に後退した位置にするとき、本体係合支柱172a,172bは、本体120の上面の上方に突出することが分かる。
当業者には分かるように、圧迫パッド130を、図11Aに示す完全に突出した位置から、図11Bに示す完全に後退した位置に動かすために、使用者は、回転部材112を反時計方向に回転させる。回転部材112を反時計方向に回転させるために、使用者は、ラチェット係合部材126a,126bを操作して、回転部材112に対し回転部材係合支柱160a,160bが係合しないようにし、回転部材112を反時計方向に回転させることを可能にする。使用者が回転部材112を反時計方向に回転させるとき、圧迫パッド130は本体120の方向に後退する。回転部材112及び橈骨動脈圧迫デバイス110における他の構成部分の構成により、圧迫パッド130と本体120との間の変位量を変化させることができる。このようにして、行う処置の特別の要件及び/又は患者にどれだけきつく橈骨動脈圧迫デバイス110を締め付けるかに応じて、橈骨動脈圧迫デバイス110によりさまざまな程度の圧迫を加えることができる。さらに、橈骨動脈圧迫デバイス110により加える圧迫量を調整するため、施術者は、回転部材112を回転させることができ、処置の全過程中、圧迫パッド130の突出の程度を徐々に変えることができる。
図示の実施形態において、内側表面180a,180bを本体120に直接隣接してまたは接触して位置する。さらに、側壁184a,184bの全てまたは一部を窪み122内に後退させる。当業者には分かるように、圧迫パッド130を操作する前、処置の初期では、圧迫パッド130を窪み122内に完全に後退させておくことができる。同様に、カテーテルを患者から抜き出した後、処置終了時に、圧迫パッド130を窪み122内に完全に後退させることができる。施術者が、橈骨動脈圧迫デバイスを再配置したい、または患者の血管系から圧力を放出したいとき、処置の全過程中、いつでも圧迫パッド130を窪み122内に後退させることができる。
図示の実施形態において、圧迫パッド130を窪み122内に後退させるとき、回転部材支柱154の底部が完全に本体120内で後退するよう、回転部材支柱154を回転させる。さらに、ネジ軸150の圧迫パッド130に隣接する部分が完全に本体120内に後退する。結果的に、圧迫パッド130が完全に本体120内に後退すると、ハンドル部材114の頂部から圧迫パッド130の底部までの全体的プロファイルは最小である。または言い換えれば、圧迫パッド130を完全に本体120内に後退させると、ハンドル部材114の頂部と圧迫パッド130の底部との間の距離は最小である。対照的に、圧迫パッド130を完全に突出するとき、ハンドル部材114の頂部と圧迫パッド130の底部との間の距離は最大である。回転部材112の異なる回転位置でのハンドル部材114の頂部と圧迫パッド130の底部との間の距離の相対的変化は、ネジ軸150、回転部材支柱154と中心開口164(図10参照)との間における複合的なネジ係合により生ずる、本体120に対する圧迫パッド130の複合的動きの結果である。
図示の実施形態において、回転部材112の下側は、本体係合支柱172a,172bの頂部を収容するように構成する。ネジ軸150、回転部材支柱154及び中心開部164の協働係合に起因する圧迫パッド130の複合的な軸線方向の移動にもかかわらず、圧迫パッド130が回転部材112の方向に移動するとき、これにより、本体係合支柱172a,172bの所望の軸線方向移動を可能にする。
当業者には分かるように、橈骨動脈圧迫デバイスの様々なタイプ及び構成を提供することができる。本発明の一実施形態によれば、橈骨動脈圧迫デバイスの構成部分間に単独のネジ係合を設ける。本発明の別の実施形態によれば、橈骨動脈圧迫デバイスにおける1つ以上の構成部分の更なる複合的な軸線方向移動を生ずるために、橈骨動脈圧迫デバイスの構成部分に連結して、4つ以上のネジ係合を設ける。本発明の別の実施形態によれば、本体係合支柱以外の機構を用いて、圧迫パッドの回転位置を適所に維持する。本発明のさらに別の実施形態によれば、本体係合支柱は、圧迫パッドの大部分または全ての外周を包囲する均一な外壁を備える。本発明のさらに別の実施形態によれば、圧迫パッドの動きを、図11Bに示すように複合的ではなく、直線的に生ずるようにする。
図12は、本発明による橈骨動脈圧迫デバイスの底面から見た斜視図である。図示の実施形態において、回転部材112の内部構造を見ることができる。回転部材112は側壁116の内径部に位置する窪み190を有する。窪み190は、回転部材係合支柱160a,160b(図10参照)を収容するよう構成する。
窪み190は、側壁116、傾斜面194及び内壁196の内径部と同一範囲で延在する。図示の実施形態において、側壁116の内径部は複数の傾斜面194を有する。傾斜面194は、回転部材係合支柱160a,160b(図10参照)の傾斜面162a,162bに係合するように構成するラチェット機構の一例である。傾斜面194の構成により、回転部材112の第1方向への回転運動を可能にするとともに、回転部材112の第2方向への回転を制御する。言い換えれば、ラチェット係合部材126a、126bを操作せずに、施術者は回転部材112を第1方向に回転させることができる。回転部材112を第2方向へ自由に回転させるために、施術者はラチェット係合部材126a,126bを操作する。例えば、本発明の一実施形態によれば、ラチェット係合部材126a,126bを操作せずに、施術者は、回転部材112を、図9Bに示すように、時計方向に回転させることができる。しかし、施術者は、回転部材112を、図9Cに示すように、第2方向へ回転させるために、ラチェット係合部材126a,126bを操作する。
図示の実施形態において、回転部材112は底部に接触面198を有する。圧迫パッド130を完全に突出させるように回転部材112を回転させるとき、底部の接触面198は、本体120に隣接し、また接触する。図11Bに示すように、圧迫パッド130を完全に本体120内に後退させるよう、施術者が回転部材112を第2方向に回転させるとき、底部の接触面198と本体120との間に所望の距離を生ずる。言い換えれば、圧迫パッド130を完全に後退させるとき、回転部材112と本体120との間に生ずる距離より、大きい量の距離を圧迫パッド130と本体120との間に与える。圧迫パッド130を完全に引っ込めると、圧迫パッド130と本体120との間に生ずる距離よりも大きい量の距離が、回転部材112と本体120との間に生ずる。
当業者には分かるように、本発明の範囲及び精神を逸脱することなく、橈骨動脈圧迫デバイスの様々なタイプ及び構成を提供することができる。例えば、一実施形態によれば、橈骨動脈圧迫デバイスのハンドル部材のみを回転させる。この実施形態において、側壁はその回転方向に固定したままであり、一方、ハンドル部材、ボタンまたは他の操作機構の回転または他の操作に従って、内部構成部分が回転する。
本発明の一態様によれば、ハンドル部材114の第1方向への回転を可能にするが、ハンドル部材114の第2方向への回転を妨げるように、傾斜面194を内部壁196に設けることができる。ハンドル部材114に関係する内部壁196に設ける傾斜面194は、回転部材係合支柱160a,160b(図11B参照)を係合するように指向させる。本発明の別の側面によれば、ラチェット係合部材126aの作動により、回転部材係合支柱160a,160b(図11B参照)に関係する本体120の部分を押圧付勢するだけでなく、バネ、板バネ、付勢部材または他の作動可能な構成部分のような第2の機械的部材に基づいて支柱の機械的運動を生ずるようにする。
図13Aは、本発明の一実施形態による橈骨動脈圧迫デバイス110の側面を切除した断面図である。図示の実施形態において、中心開口164のネジ山166を示し、圧迫パッド130が完全に突出した位置を示す。圧迫パッド130が完全に突出した位置にあるとき、内側表面180a、180bは窪み122の内面から一定量の距離に位置する。言い換えれば、圧迫パッド130が完全に突出した位置にあるとき、接触面182a,182bと本体120との間に最大変位量を生ずる。さらに、本体係合支柱172a,172bの上方部部分のみが、回転部材112の窪み190内に位置する。
圧迫パッド130が完全に突出した位置にあるとき、回転部材112の底部の接触面198は本体120に接触する。側壁192の内径部の傾斜面194は、回転部材係合支柱160a、160bの傾斜面に協働して係合する。回転部材係合支柱160a,160bの傾斜面と傾斜面194との間の協働係合により、圧迫パッド130が完全に突出するまで、回転部材112の回転を可能にする。圧迫パッド130が部分的にまたは完全に突出した位置にあるとき、回転部材係合支柱160a,160bの傾斜面と傾斜面194との間の係合により、施術者がラチェット係合部材126a,126bを押圧しない限り、回転部材112の逆方向の回転を阻止するまたは最小にする。
施術者が回転部材112を回転させるとき、回転部材112と回転部材支柱154との間の一体結合の結果として、回転部材支柱154も回転する。回転部材支柱154を回転させるにつれて、回転部材支柱154のネジ山158は、中心開口164のネジ山166にネジ係合する。ネジ山158とネジ山166との間におけるネジ係合により、回転部材112を本体120に対し移動させる。さらに、回転部材112及び回転部材支柱154を回転させることにより、回転部材支柱154の内径部におけるネジ山170とネジ山200とがネジ係合する。このようにして、回転部材112を回転させることにより相互作用力を生じ、この相互作用力により、回転部材112に対する圧迫パッド130の軸線方向の動きとなる。圧迫パッド130に対する回転部材112の軸線方向の動きは、中心開口164の内径部におけるネジ山と回転部材支柱154の外径部におけるネジ山との間、回転部材支柱154の内径部におけるネジ山とネジ軸150の外径部におけるネジ山との間の相互作用の結果である。これらネジ山の協働係合により、本体120に対する圧迫パッド130の複合的な軸線方向の動きとなる。
図示の実施形態において、回転部材112に隣接する回転部材支柱154の部分を、ほぼ本体120内に前進させた状態で、回転部材支柱を配置する。回転部材支柱の底部または末端領域が、窪み122及びリストストラップ固定部材124a,124bの下方に突出し、これにより回転部材支柱154の底部または最末端領域は本体120の下方に突出する。ネジ軸150は所定量突出しており、これにより、ネジ軸150の圧迫パッド130に隣接する部分が回転部材支柱154の外部に突出する。ネジ軸150、回転部材支柱154及び中心開口164の協働係合により、施術者が回転部材112を回転させるとき、本体120に対する圧迫パッド130の複合的な軸線方向移動となる。
図13Bは、圧迫パッド130が完全に後退した位置にある橈骨動脈圧迫デバイス例示す。図示の実施形態において、圧迫パッド130が完全に後退した位置にあるとき、圧迫パッド130に隣接するリストストラップ固定部材124aの部分に接触面182aが整列する。言い換えれば、圧迫パッド130のリストストラップ固定部材124aに隣接する部分は、窪み122内に完全に後退する。接触面182bはリストストラップ固定部材124bに隣接する。接触表面182bは、リストストラップ固定部材124bの下方に、所定変位量だけ突出する。これは、接触面182bが接触面182aよりも低い標高を有するからである。なお、行うべき圧迫処置の特別の要件により選択することができる、窪みのサイズ、圧迫パッドの厚さ、又は、橈骨動脈圧迫デバイスの構成部分に関連する他の変数に基づいて、圧迫パッド130の接触面の構成及び圧迫パッド130を本体120の窪み内に後退させる量を変えることができる。
図示の実施形態において、圧迫パッド130を完全に窪み122内に後退させるとき、回転部材112を本体120から最も大きい変位する。底部の接触面198に対向する側に位置する本体120の部分から所定量の変位位置に、底部の接触面198が位置する。本体係合支柱172a,172bの大部分が本体120の上方に突出し、本体係合支柱172a,172bを完全に後退させる。圧迫パッド130を完全に本体120内に後退させるとき、タブ174a,174bに関係する本体係合支柱172a,172bの部分は、回転部材係合支柱160a,160bよりも高い位置に突出する。結果的に、本体係合支柱172a,172bの部分は窪み190内に位置する。
図示の実施形態において、回転部材支柱154の大部分は、本体120の上方に位置する。さらに、回転部材支柱154の底部先端が本体120内に位置するように、回転部材支柱154の底部先端を後退させる。同様に、圧迫パッド130を完全に本体120内に後退するとき、ネジ軸150の上端が本体120の上方に突出し、ネジ軸150の圧迫パッド130に隣接する部分を本体120内に後退するように、ネジ軸150は本体120内の位置に後退する。図示の構成で、ネジ軸150の全体部分が回転部材支柱154内に位置する。言い換えれば、ネジ軸150のほぼ全体の長さが、回転部材支柱154の内部空洞内に位置するように、ネジ軸150の上側領域及び下側領域は位置決めされる。回転部材支柱154は第1ネジ軸の例である。ネジ軸150は第2ネジ軸の例である。
図示の実施形態において、回転部材112を本体120に対し移動する。言い換えれば、圧迫パッド130を完全に本体120内に後退させるとき、回転部材112と本体120との間に、所定量の変位を生ずる。結果的に、側壁192の内径部の底部のみが、回転部材係合支柱160a,160bの傾斜面に接触する。これは、図13Aに示すように、圧迫パッドを完全に突出させるときの、回転部材係合支柱160a,160bと側壁192の内径部のほぼ全長にわたる係合とは対照的である。
当業者には分かるように、本発明の範囲及び精神を逸脱することなく、橈骨動脈圧迫デバイスの内部構成部分の様々なタイプ及び構成を用いることができる。例えば、本発明の一実施形態によれば、圧迫パッド、本体及び回転部材に関係する構成部分間のネジ係合は、回転部材の内部にまたは内径部で行うのではなく、これらの構成部分の外径部で行うことができる。本発明の別の実施形態によれば、回転部材に関係するネジ軸を内径部に設けることができるとともに、圧迫パッドに関係する回転部材を回転部材のネジ部材の外側に設けることができる。
図14は、本発明の一側面による患者の橈骨動脈202の斜視図である。図示の実施形態において、患者の手首141の横断面を示す。患者の手首141の横断面は、患者の橈骨動脈202に挿通するカテーテルのおおよその位置を示す。段差138の接触面186と接触するように位置決めした橈骨動脈202の部分が、段差138の接触面186における円弧状の構成にほぼ適合する周方向外径を、橈骨動脈202は有する。
カテーテル140は患者の橈骨動脈202内に位置決めする。圧迫パッド130により加える圧迫は、所望量の圧力を橈骨動脈202に加えることを保証する。結果的に、橈骨動脈202の内径は、カテーテル140の外径に直接隣接し、また接触するように位置決めする。このようにして、橈骨動脈202を包囲する組織は、カテーテル140の外径と橈骨動脈202の内径との間に十分な接触を生じて、橈骨動脈の穿刺アクセス部位での出血または体液漏れを妨げるよう、所望程度の止血を行う。
図示の実施形態において、カテーテル140に対するノッチ136の整列状態を示す。ノッチ136により、橈骨動脈の穿刺アクセス部位がネジ軸150の直下に位置するように、圧迫パッド130の位置決めを可能にする。橈骨動脈の穿刺アクセス部位をネジ軸150の直下に整列させることにより、カテーテル140からの妨害なしで、ネジ軸150により加える圧迫力または軸線方向の力を直接、橈骨動脈の穿刺アクセス部位に加えることを可能にする。言い換えれば、圧迫パッド130の外側半径における圧迫パッド130の接触面の下側に、カテーテル140を通すことなく、圧迫パッド130により患者に圧力を加えることができる。このように、カテーテル140が圧迫パッド130の妨害または傾転を生じないよう、カテーテル140を、ノッチ136を経て圧迫パッド130のより中央部分に通すことができる。結果的に、圧迫パッド130のネジ軸150に関係する部分により、直接の圧力を橈骨動脈のカテーテル穿刺アクセス部位に加えることができる。
図15は、本発明の一実施形態による橈骨動脈圧迫デバイス110の頂部から見た斜視図である。図示の実施形態において、橈骨動脈圧迫デバイス110の回転部材112により、カテーテル140の穿刺アクセス部位に対する視覚的アクセスを与える。このようにして、施術者は、穿刺アクセス部位152に対する橈骨動脈圧迫デバイス110の並置をほぼ視認することができる。
図示の実施形態において、回転部材112は中央空洞117を有する。中央空洞117はハンドル部材114に隣接する窪み部分を備える。中央空洞117にはハンドル部材114の円弧状構成が横断する。言い換えれば、ハンドル部材114は、中央空洞117の一方の側方側面から、中央空洞117の対向する側方側面に延びる。このように、回転部材112の上面118に対し、窪みを設ける。ハンドル部材114は、上面118の上方に突出する標高から、上面118の下方に延びる中央空洞内の位置まで、延在することができる。中央空洞117及びハンドル部材114の並置により生ずるハンドル部材114のいずれか一方の側における半球形の空洞により、ハンドル部材114を掴むために人さし指または親指を入れることができ、回転部材112を回転させることができる。
中央空洞117に連結して床面210を設ける。床面210は透明、または半透明もしくは不透明度の少ないものにし、施術者に、穿刺アクセス部位152、カテーテル140、又は、橈骨動脈圧迫デバイス110の下側に位置する他の対象物もしくは表面を見せることができる。このように、患者の手首に対する橈骨動脈圧迫デバイス110、カテーテル140、穿刺アクセス部位152、又は、別の対象物もしくは表面の並置を確かめることができる。施術者は、こうして穿刺アクセス部位152に対する圧迫パッドまたは圧迫パッドの構成部分の位置決めを調整することができる。当業者には分かるように、施術者が穿刺アクセス部位を視認することができるように、橈骨動脈圧迫デバイスの他の構成部分も、透明、または半透明もしくは視覚的に透過的な(transductive)材料で形成することができる。例えば、圧迫パッド、回転部材の支柱及び橈骨動脈圧迫デバイス110の任意な1つ以上の構成部分は、透明または半透明の材料で形成することができる。別の実施形態によれば、橈骨動脈圧迫デバイスの複数の構成部分または全ての構成部分を視覚的に透過的な材料で形成する。床面210は表示ウィンドウの一例である。
当業者には分かるように、本発明の範囲及び精神を逸脱することなく、圧迫に用いるデバイスの様々なタイプ及び構成を提供することができる。例えば、本発明の一実施形態によれば、空洞または特大の窪みを、ノッチの代わりに、圧迫パッドに設けることができ、橈骨動脈圧迫デバイスの底部からカテーテルの撤去を可能にする。本発明の別の実施形態によれば、段差は、円弧状、放射状または周方向接触面以外の形状にし、圧迫パッドと患者との間に所望の接触を与えるよう構成する。本発明の別の実施形態によれば、橈骨動脈圧迫デバイスは、橈骨動脈以外の患者の身体部分に利用する圧迫デバイスとする。例えば、本発明の一実施形態において、圧迫デバイスは、患者の大腿動脈に位置決めする大きさ、形状とし、患者の大腿動脈に圧力を与える、大腿動脈圧迫デバイスを構成する。本発明の別の実施形態によれば、圧迫デバイスは、処置の全過程にわたり、また処置完了の際の双方ともに、圧力を与えるよう構成する。本発明のさらに別の実施形態によれば、圧迫デバイスは、複数の圧迫パッドを用いるよう構成し、複数の圧迫パッドは、施術者が望むように、または、行うべき処置の特別の局面で要求されるように、患者の手足の両側、隣接する多数の穿刺アクセス部位に位置決めすることができる。
本発明は、本発明の精神または本質的特徴を逸脱することなく、他の特別の形態で実現することができる。説明した実施形態は、全ての点で、例示としてのみであり、限定するものではないと考慮すべきである。従って、本発明の範囲は、上述の説明によるのではなく、添付の特許請求の範囲により示される。特許請求の範囲に均等な意味及び範囲内の全ての変更は、特許請求の範囲内に含むべきである。