JP5519956B2 - 導電性部材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、導電性及び膜密着性に優れた導電性部材及びその製造方法に関する。
導電性膜は、液晶ディスプレイなどの電極や太陽電池の材料、帯電防止膜など多方面に利用されている。導電性膜には、導電性粒子として酸化スズ粒子、アンチモン含有酸化スズ粒子(ATO)、スズ含有酸化インジウム粒子(ITO)などが用いられているが、特にITOが広く用いられている。
従来、導電性膜はスパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法等で形成されている。また、導電性粒子を樹脂と有機溶媒中に均一に分散させて基板上に塗布したものが多く報告されている(特許文献1)。また、有機溶媒を使用せずに粒子を樹脂中に分散させて塗布したものも報告されている(特許文献2)。
特開平6−049394号公報 特開平7−242844号公報
しかしながら、粒子と樹脂との膜では、バインダーとして用いられる樹脂の量が多過ぎても少な過ぎても膜特性を悪くする。つまり、バインダー量が多過ぎると、粒子間にあるバインダーが粒子同士の接触を妨げ膜の表面抵抗が増大し、バインダー量が少な過ぎると、粒子同士は接触するので膜の表面抵抗は低下するが、バインダー量が少ないため膜強度や密着力が低下する。
そこで本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたもので、膜密着性が高く、かつ、優れた導電性をもつ導電性部材を提供することを目的とする。
すなわち、第1の発明は、基体と、各々シランモノマーにより表面を被覆され、互いのシランモノマーの化学結合により結合した第2の無機微粒子と互いに結合した第2の無機微粒子の群内に分散した導電性を有する第1の無機微粒子とを含み基体の表面に固定された導電膜とを備え、導電膜は、第2の無機微粒子同士が、表面に被覆したシランモノマーの不飽和結合部または反応性官能基同士の化学結合により結合しており、第2の無機微粒子のシランモノマーの不飽和結合部または反応性官能基と、基体表面との化学結合を介して基体に固定されていることを特徴とすることを特徴とする導電性部材を提供するものである。
さらに、第の発明は、第1発明において、導電膜は、モノマー、オリゴマー、またはそれらの混合物であるバインダー成分をさらに含み、導電性を有する第1の無機微粒子は、バインダー成分を介して第2の無機微粒子とさらに強固に結合していることを特徴とする導電性部材を提供するものである。
の発明は、第1またはの発明において、化学結合がグラフト重合であることを特徴とする導電性部材を提供するものである。
の発明は、第の発明において、グラフト重合は、放射線グラフト重合であることを特徴とする導電性部材を提供するものである。
の発明は、不飽和結合部または反応性官能基を有するシランモノマーを第2の無機微粒子の表面に共有結合させる工程と、導電性を有する第1の無機微粒子と第2の無機微粒子とを分散媒中で解砕及び分散させ、第1の無機微粒子と第2の無機微粒子とを含むスラリーを作製する工程と、スラリーを基体の表面に塗布する工程と、スラリー中の第2の無機微粒子同士をシランモノマーの不飽和結合部または反応性官能基同士の化学結合により結合させ、第2の無機微粒子のシランモノマーの不飽和結合部または反応性官能基と基体表面とを化学結合させて、基体表面に導電膜を形成する工程とを有することを特徴とする導電性部材の製造方法を提供するものである。

本発明によれば、基体に結合した第2の無機微粒子の群により、第1の無機微粒子がシランモノマーにより被覆されることなく、基体上に強固に保持されるため、膜強度・密着性共に高く、導電性も高い導電性部材とすることができる。さらに導電性粒子を微粒子化したことにより、第2の無機微粒子の群中に高密度に第1の無機微粒子を充填できるため、より導電性を向上させることができる。
本発明の第1実施形態の導電性部材の模式図である。
図1は、本発明の実施形態の導電性部材100の断面の一部を模式的に表した図である。本実施形態の導電性部材100は、導電性を有する第1の無機微粒子2−bと第1の無機微粒子を充填して保持するための第2の無機微粒子2−aとを含む導電膜10が基体1上に形成された構成を有する。
なお、図1では本発明の実施形態を判りやすく模式的に示すため、第2の無機微粒子2−a及び第1の無機微粒子2−bは異なる無機化合物であって、それぞれ1種類の無機化合物である場合を表したが、これに限定されない。すなわち、第2の無機微粒子2−aと第1の無機微粒子2−bは同種の無機微粒子でもよいし、それぞれが2種類以上の無機微粒子からなるようにしてもよい。
以下、本実施形態の導電性部材100の構成について詳細に説明する。本実施形態の導電性部材100に用いられる基体1としては、シランモノマー3による化学結合5が可能なものであれば良い。このような基体としては、少なくとも基体1表面が、例えば、各種樹脂や、合成繊維や、綿、麻、絹等の天然繊維や、天然繊維から得られた和紙などにより構成されたものが挙げられる。
具体的には、基体1の表面または全体を樹脂により構成する場合は、合成樹脂や天然樹脂が用いられる。その一例としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、EVA樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアクリル酸メチル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、PTFEなどの熱可塑性樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリヒドロキシブチレート樹脂、修飾でんぷん樹脂、ポリカプロラクト樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンアジペートテレフタレート樹脂、ポリブチレンサクシネートテレフタレート樹脂、ポリエチレンサクシネート樹脂などの生分解性樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリスチレンエラストマー、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー、ポリウレタンエラストマーなどのエラストマーおよび漆などの天然樹脂などが挙げられる。
また、基体1がガラスおよびセラミックスなどの無機材料である場合でも、樹脂基体の場合と同様、例えば後述するグラフト重合によりシランモノマー3の不飽和結合部や反応性官能基と、金属表面の水酸基等とを反応させて化学結合5を形成することにより、無機の基体1上に第2の無機微粒子2−aを固定できるが、基体1表面に化学結合5が可能な官能基を、シランモノマーやチタンモノマー等で導入することで、さらに第2の無機微粒子2−aを強固に固定することができる。
基体1の表面に導入されるシランモノマー由来の官能基の具体例としては、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロ基、アクリロキシ基、イソシアネート基およびチオール基などが挙げられる。
本実施形態では、これらの基体1の形態は、板状、フィルム状、パンチングシート状、繊維状、布状、メッシュ状、ハニカム状など、使用目的に合った種々の形状及びサイズ等のものが適用できる。
本実施形態の導電性部材100に用いられる基体1上には、第2の無機微粒子2−a表面のシランモノマー3が有する不飽和結合部または反応性官能基と基体表面とが化学結合5することにより導電膜10が固定されている。また、第2の無機微粒子2−a同士は、表面のシランモノマー3が有する不飽和結合部または反応性官能基同士が化学結合5することにより結合している。
ここで、シランモノマー3が不飽和結合部または反応性官能基を第2の無機微粒子2−aの外側に向けて配向して結合する理由について詳述する。これは、シランモノマー3の片末端であるシラノール基が親水性であるため、同じく親水性である第2の無機微粒子2−aの表面に引きつけられやすく、一方、逆末端の不飽和結合部または反応性官能基は疎水性であるため、第2の無機微粒子2−aの表面から離れようとするからである。このため、シランモノマー3のシラノール基は、第2の無機微粒子2−aの表面に脱水縮合反応により共有結合するため、シランモノマー3は不飽和結合部または反応性官能基を外側に向けて配向しやすい。したがって、多くのシランモノマー3については、不飽和結合部または反応性官能基を外側に向けて第2の無機微粒子2−aと共有結合している。
すなわち、本実施形態の導電性部材100は、不飽和結合部または反応性官能基を有する反応性に優れたシランモノマー3を用いることで、シランモノマー3間の化学結合5により基体1上の複数の第2の無機微粒子2−a同士を結合するとともに、基体1と対向する第2の無機微粒子2−a表面のシランモノマー3と基体1表面との間で化学結合5を形成することで、第2の無機微粒子2−aを含む導電膜10を基体1上に固定している。
第2の無機微粒子2−aに脱水縮合により共有結合するシランモノマー3が有する不飽和結合部または反応性官能基としては、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロ基、アクリロキシ基及びイソシアネート基などが挙げられる。
本実施形態の導電性部材100で用いられるシランモノマー3の一例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
さらに、本実施形態の導電性部材100において、第1の無機微粒子2−bは、モノマー、オリゴマー、またはこれらの混合物からなるバインダー成分4を介して第2の無機微粒子2−aに結合していてもよい。言い換えれば、本実施形態の導電性部材100は、第1の無機微粒子2−bの導電性が維持された状態で当該第1の無機微粒子2−bと第2の無機微粒子2−aを結合するモノマー、オリゴマー、またはこれらの混合物からなるバインダー成分4を備えるようにしてもよい。これにより、第1の無機微粒子2−bの基体1上からの脱落をより効果的に防止できるため、第1の無機微粒子2−bの脱落による導電性の低下を抑制することができる。なお、図1に示すように、バインダー成分4は、第2の無機微粒子2−aと第1の無機微粒子2−bとを結合させるだけでなく、第1の無機微粒子2−bと基体1を結合したり、第2の無機微粒子2−a同士、および第1の無機微粒子2−b同士を結合するようにしてもよい。また、第2の無機微粒子2−aの表面に、バインダー成分4によって第1の無機微粒子2−bを固定するような構成とすることもできる。さらに、本実施形態では、以下に例を示したバインダー成分4について、脱水縮合反応による共有結合を形成して第2の無機微粒子2−a、第1の無機微粒子2−b、および基体1に結合しているがこれに限定されるものではなく、他の態様によって結合または吸着するようにしてもよい。
本実施形態のバインダー成分4が含むモノマー及びオリゴマーとしては不飽和結合部を有する単官能、2官能、多官能のビニル系モノマー、例えば、アクリル酸、メチルエチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、イタコン酸、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどが用いられる。
また、本実施形態のバインダー成分4として、不飽和結合を有するシランモノマーである、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどが用いられる。
さらに、本実施形態のバインダー成分4としては、Si(OR14(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を示す)で示されるアルコキシラン化合物、例えば、テトラメトキシシランや、テトラエトキシシランなどや、R2nSi(OR34n(式中、R2は炭素数1〜6の炭化水素基、R3は炭素数1〜4のアルキル基、nは1〜3の整数を示す)で示されるアルコキシシラン化合物、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキシルトリメトキシシランなどが用いられるようにしてもよい。当該アルコキシシランを結合させることにより、第1の無機微粒子2−bがより強く保持されるようになる。
バインダー成分4の量は、バインダーとしての機能を発揮し、且つ第1の無機微粒子2−bの導電性が維持される範囲で適宜設定することができる。例えばシランモノマー3が結合した第2の無機微粒子2−aおよび第1の無機微粒子2−bの合計100質量%に対して、0.1質量%以上の含有量となるようにバインダー成分4を添加すればよい。
本実施形態の導電性部材100に用いる第2の無機微粒子2−a及び第1の無機微粒子2−bとしては、非金属酸化物、金属酸化物、金属複合酸化物などの導電性を示すものが好適に用いられる。第2の無機微粒子2−aの結晶性は、非晶性あるいは結晶性のどちらでも良い。非金属酸化物としては、酸化珪素が挙げられる。また、金属酸化物としては、酸化マグネシウム、酸化バリウム、過酸化バリウム、ギブサイト、ベーマイト、ダイスポア、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、過酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、水酸化鉄、酸化タングステン、酸化ビスマス、酸化インジウム、酸化アンチモンなどが挙げられる。また、金属複合酸化物としては、酸化チタンバリウム、酸化コバルトアルミニウム、酸化ジルコニウム鉛、酸化ニオブ鉛、TiO2−WO3、AlO−SiO、WO−ZrO、WO−SnO、In−Sn、Sb−Sn、Sb−Zn、In−Sn−Zn、などが挙げられる。これらの無機微粒子は単体で用いても2種以上混合して用いても良い。
本実施形態の第2の無機微粒子2−a及び第1の無機微粒子2−bの粒子径としては、平均の粒子径が500nm以下とすることが好ましい。500nmより大きい場合では、基体1に対する第2の無機微粒子2−a及び第1の無機微粒子2−bの密着性が低下して500nm以下である場合よりも第2の無機微粒子2−a及び第1の無機微粒子2−bが剥がれやすくなるため、メンテナンスの手間やコストが多くかかってしまう。また、その使用環境や使用経時などにより、第2の無機微粒子2−a及び第1の無機微粒子2−bの剥離が発生する場合があることから、第2の無機微粒子2−a及び第1の無機微粒子2−b同士の密着強度を考慮すると、第2の無機微粒子2−a及び第1の無機微粒子2−bの平均粒子径は10nmから300nm以下であることが特に好ましい。
次に、本実施形態の導電性部材100の製造方法について説明する。まず、シランモノマー3が表面に化学結合している第2の無機微粒子2−a及び導電性を有する第1の無機微粒子2−bをメタノールやエタノール、MEK、アセトン、キシレン、トルエンなどの分散媒に混合し、分散させる。ここで、分散を促進させる為に、必要に応じて界面活性剤や、塩酸、硫酸などの鉱酸や、酢酸、クエン酸などのカルボン酸などを加えるようにしてもよい。続いて、ビーズミルやボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、ホモジナイザーなどの装置を用いて第2の無機微粒子2−a及び第1の無機微粒子2−bを分散媒中で解砕・分散させ、第2の無機微粒子2−a及び第1の無機微粒子2−bを含むスラリーを作製する。
なお、第2の無機微粒子2−aと不飽和結合部または反応性官能基を有するシランモノマー3との共有結合は通常の方法により形成させることができ、例えば、分散液にシランモノマー3を加え、その後、還流下で加熱させながら、第2の無機微粒子2−aの表面にシランモノマー3を脱水縮合反応により共有結合させてシランモノマー3からなる薄膜を形成する方法や、粉砕により微粒子化して得られた分散液にシランモノマー3を加えた後、或いは、シランモノマー3を加えて粉砕により微粒子化した後、固液分離して100℃から180℃で加熱してシランモノマー3を第2の無機微粒子2−aの表面に脱水縮合反応により共有結合させ、次いで、粉砕・解砕して再分散する方法が挙げられる。
ここで、還流下、または、粉砕により微粒子化して得られた分散液にシランモノマー3を加えた後、或いは、シランモノマー3を加えて粉砕により微粒子化した後、固液分離して100℃から180℃で加熱してシランモノマー3を第2の無機微粒子2−aの表面に脱水縮合反応による共有結合させる場合、シランモノマー3の量は、第2の無機微粒子2−aの平均粒子径にもよるが、第2の無機微粒子2−aの質量に対して0.01%質量から40.0質量%であれば第2の無機微粒子2−a同士、および第2の無機微粒子2−aの群10と基体1との結合強度は実用上問題ない。また、結合に預からない余剰のシランカップリングモノマー3があっても良い。
続いて、以上のようにして得られた第2の無機微粒子2−a及び第1の無機微粒子2−bが分散したスラリーに、必要に応じてバインダー成分4を添加し充分に混合した後、当該スラリーを固定する基体1の表面に塗布する。具体的な第2の無機微粒子2−a及び第1の無機微粒子2−bが分散したスラリーの塗布方法としては、一般に行われているスピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、キャストコート法、バーコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法を用いればよく、目的に合った塗布ができれば特に限定されない。
次に、必要に応じて、加熱乾燥などで分散媒を除去した後、基体1と、第2の無機微粒子2−a及び第1の無機微粒子2−bと、バインダー成分4とを化学結合する。具体的には、第2の無機微粒子2−aの表面のシランモノマー3間で化学結合5を形成させることにより第2の無機微粒子2−a同士を結合させるとともに、結合した第2の無機微粒子2−aを、シランモノマー3と基体1表面との間の化学結合5を形成させることにより、基体1上に固定させる。このとき、第1の無機微粒子2−bは、第2の無機微粒子2−a同士の間や第2の無機微粒子2−aと基体1との間に分散して嵌ることにより保持される。
また、併せて、バインダー成分4を第2の無機微粒子2−aおよび第1の無機微粒子2−bに結合させることにより、第2の無機微粒子2−aと第1の無機微粒子2−bとを一層強固に結合させるとよい。本実施形態においては、基体1とシランモノマー3とを化学結合5させる方法として、グラフト重合による結合方法を用いるのが好ましい。
本実施形態の導電性部材100におけるグラフト重合としては、例えばパーオキサイド触媒を用いるグラフト重合、熱や光エネルギーを用いるグラフト重合、放射線によるグラフト重合(放射線グラフト重合)などが挙げられ、形状や形態に応じて適宜選択して用いられる。なお、パーオキサイド触媒による処理、熱や光エネルギーによる処理、および放射線による処理によって、第2の無機微粒子2−a表面とシランモノマー3間の化学結合、およびバインダー成分4と第2の無機微粒子2−aおよび第1の無機微粒子2−bとの化学結合5についても、併せて形成させることができる。
ここで、シランモノマー3のグラフト重合を効率良く、かつ、均一に行わせるために、予め、基体1の表面を、コロナ放電処理やプラズマ放電処理や、火炎処理や、クロム酸や過塩素酸などの酸化性酸水溶液や水酸化ナトリウムなどを含むアルカリ性水溶液による化学的な処理などの親水化処理をしてもよい。
以上、本実施形態の導電性部材100によれば、基体1に結合した第2の無機微粒子2−aの群内に導電性を有する第1の無機微粒子2−bが分散して保持される。このため、第1の無機微粒子2−bは表面に付着するバインダー量を低減しつつ、強固に基体1上で保持されるので、剥がれなどを抑制することができる。
さらに、本実施形態に係る基体1上に固定された導電膜10は、導電性を有する第1の無機微粒子2−bと不飽和結合部や反応性官能基を有するシランモノマー3表面に結合した第2の無機微粒子2−aとから構成されているため、これらの第2の無機微粒子2−a及び第1の無機微粒子2−bの混合比率を変えることで、必要とする導電性が容易に得られることから、目的に合わせた設計が可能となる。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
本発明方法による下記実施例1、2及び比較例1の導電性部材の製造にあたっては、エレクトロカーテン型電子線照射装置(岩崎電気株式会社製、CB250/15/180L)を用い、電子線グラフト重合により実施した。
(実施例1)
第2の無機微粒子として市販の酸化スズ(テイカ株式会社製、CP001)をメタノールに5.0質量%分散してpHを7.0にアンモニア水で調製した後、ビーズミルにより平均粒子径15nmに粉砕分散した。得られた分散溶液にシランモノマーとして不飽和結合部を有する3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM-503)を微粒子に対して3.0質量%加えた後、この粉砕分散溶液を、冷却管を備えたフラスコに移してフラスコをオイルバスで加熱し、4時間還流下で処理することにより酸化スズ微粒子表面にシランモノマーを脱水縮合反応により化学結合させて被覆を形成した。
得られた分散溶液中に第1の無機微粒子として導電性アンチモン酸亜鉛(日産化学工業株式会社製、セルナックスを、シランモノマーで被覆された酸化スズの固形分に対して70.0質量%加えて、メタノールで固形分を10.0質量%に調整した。なお、ここでいう平均粒子径とは、体積平均粒子径のことをいう。
また、125μmのポリエステルフィルム(東レ株式会社製、ルミラー(登録商標))の表面に、固形分を5.0質量%に調整したスラリーをバーコーターで塗布し、110℃、1分間乾燥した。その後、200kVの加速電圧で電子線を5Mrad照射し、導電性フィルムを得た。
(実施例2)
第1の無機微粒子として導電性酸化亜鉛(ハクスイテック株式会社製、パセット GK-40)、および、第2の無機微粒子として不飽和結合部を有するシランモノマーであるメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM-503)を通常の方法により脱水縮合させ表面に共有結合させた酸化スズ(テイカ株式会社製、CP001)をメタノールにプレ分散後、ビーズミルにて平均粒子径が35nmとなるように解砕・分散し、それぞれの粒子が分散したスラリーを得た。導電性酸化亜鉛の充填量は固形分に対して70質量%とした。次に固形分が5.0質量%になるようにメタノールを加えて調整した以外は実施例1と同様の方法で導電性フィルムを得た。
(比較例1)
第2の無機微粒子である酸化スズ微粒子の表面をシランモノマーで被覆しない以外は実施例1と同様の方法で導電性フィルムを得た。
(比較例2)
得られた分散溶液中にバインダー成分としてハードコート剤(GE東芝シリコーン、UVHC8558)を、無機微粒子に対して50.0質量%添加した以外は比較例1と同様の方法で導電性フィルムを得た。
(導電性フィルムの評価)
(1)表面抵抗値
絶縁抵抗計 4329A(横河・ヒューレット・パッカード株式会社製)にて導電性フィルムの表面抵抗値を測定し評価した。
(2)密着性
導電性微粒子膜の密着性はJIS K 5400の碁盤目セロテープ(登録商標)剥離試験で試験し、剥離の状態は光学顕微鏡にて確認した。
以上説明した実施例1、2及び比較例1、2の測定結果を表1にまとめた。

表1からわかるように、実施例1、2の導電性フィルムでは、導電性微粒子の密着性が優れ、また、抵抗値が小さいことが確認された。
これらの結果に対し、比較例1では、抵抗値は小さいものの、導電性微粒子の殆どが剥離することが確認された。また比較例2では、導電性微粒子の剥離は見られなかったが、導電性微粒子がほとんどバインダー成分に埋もれてしまい、非常に抵抗値が大きくなってしまった。
以上、実施例の結果が示すように、本実施例で得られた導電性部材は、基体表面に微粒子が強固に固定されており、また、抵抗値が低い非常に優れた導電性部材であることがわかる。
100:導電性部材
1:基体
2−a:第2の無機微粒子
2−b:第1の無機微粒子
3:シランモノマー
4:バインダー成分
5:化学結合
10:導電膜

Claims (5)

  1. 基体と、
    各々シランモノマーにより表面を被覆され、互いのシランモノマーの化学結合により結合した第2の無機微粒子と、前記互いに結合した第2の無機微粒子の群内に分散した導電性を有する第1の無機微粒子と、を含み、前記基体の表面に固定された導電膜と、
    を備え
    前記導電膜は、
    前記第2の無機微粒子同士が、表面に被覆したシランモノマーの不飽和結合部または反応性官能基同士の化学結合により結合しており、前記第2の無機微粒子のシランモノマーの不飽和結合部または反応性官能基と、前記基体表面との化学結合を介して前記基体に固定されていることを特徴とすることを特徴とする導電性部材。
  2. 前記導電膜は、モノマー、オリゴマー、またはそれらの混合物であるバインダー成分をさらに含み、
    前記第1の無機微粒子は、前記バインダー成分を介して前記第2の無機微粒子とさらに強固に結合していることを特徴とする請求項1記載の導電性部材。
  3. 前記化学結合がグラフト重合であることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性部材。
  4. 前記グラフト重合は放射線グラフト重合であることを特徴とする請求項に記載の導電性部材。
  5. 不飽和結合部または反応性官能基を有するシランモノマーを第2の無機微粒子の表面に共有結合させる工程と、
    導電性を有する第1の無機微粒子と前記第2の無機微粒子とを分散媒中で解砕及び分散させ、前記第1の無機微粒子と前記第2の無機微粒子とを含むスラリーを作製する工程と、
    前記スラリーを基体の表面に塗布する工程と、
    前記スラリー中の前記第2の無機微粒子同士をシランモノマーの不飽和結合部または反応性官能基同士の化学結合により結合させ、前記第2の無機微粒子のシランモノマーの不飽和結合部または反応性官能基と前記基体表面とを化学結合させて、前記基体表面に導電膜を形成する工程と、
    を有することを特徴とする導電性部材の製造方法。
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