JP5518096B2 - 測定システム、画像形成方法及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は音響波を受信して画像データを生成する測定システム、音響波から画像データを生成する画像形成方法及び画像形成方法を実行させるためのプログラムに関する。
レーザーなどの光源から被検体に照射した光を被検体内に伝播させ、被検体内の情報を得る光イメージング装置の研究が医療分野を中心に積極的に進められている。このような光イメージング技術の一つとして、Photoacoustic Tomography(PAT:光音響トモグラフィー)が提案されている(特許文献1参照)。
光音響トモグラフィーにおいては、まず、光源からパルス光を発生して被検体に照射する。この光は、被検体内で伝播・拡散し、生体組織が光のエネルギーを吸収することで、生体組織から音響波(典型的には超音波)が発生する。発生した音響波を、被検体を取り囲む複数の個所で検出し、得られた信号を数学的に解析処理することにより画像データ化する。以下、これらの処理をイメージングと呼ぶ。このイメージングにより、被検体内の初期圧力発生分布あるいは光学特性値分布、特に光エネルギー吸収密度分布などを得ることができ、悪性腫瘍の位置など被検体内部情報を得ることができる。
米国特許第5840023号明細書
イメージングによって得られた画像中にアーティファクトが現れる場合がある。アーティファクトとは、実際には存在しないのにあたかもそこに何か存在するように現れてしまう像であり、ゴーストとも呼ばれる。特に、音響波受信器の帯域に起因するアーティファクトは、音響波信号の取得位置が被検体の周囲360度ではなく一定方向の平面であるような、視野角が限定的である場合に顕著に現れる。従来、アーティファクトは実在する光吸収体の像(実像)と区別がつかなかった。
そこで、本発明は、音響波受信器の帯域起因のアーティファクトを判別又は低減することを目的とする。
本発明の測定システムは、被検体に光を照射することにより発生する音響波を受信し電気信号に変換する音響波受信器と、前記電気信号を用いて画像データを生成する画像形成装置と、を有する測定システムであって、前記音響波受信器は、前記被検体内の検出対象から発生した音響波のうち前記音響波受信器に直接到達する直接波と、前記検出対象から発生した音響波のうち前記被検体に設けられた音響波反射面で反射された反射波と、を少なくとも受信して夫々電気信号に変換し、前記画像形成装置は、前記直接波が変換された電気信号と、前記反射波が変換された電気信号と、をボクセルデータ又はピクセルデータに変換して画像データを生成するデータ作成部と、前記画像データ上において、前記直接波が変換されたボクセルデータ又はピクセルデータの位置と、前記反射波が変換されたボクセルデータ又はピクセルデータの位置と、が前記音響波反射面の対応する画像データ上の位置に対して対称であるかどうかを判定する判定部と、前記判定部により対称でないと判定されたボクセルデータ又はピクセルデータの像を判別又は低減するための処理を行う処理部と、を有することを特徴とする。
また、本発明の別の測定システムは、被検体に光を照射することにより発生する音響波を受信し電気信号に変換する音響波受信器と、前記電気信号を用いて画像データを生成する画像形成装置と、を有する測定システムであって、前記音響波受信器は、前記被検体内の検出対象から発生した音響波のうち前記音響波受信器に直接到達する直接波と、前記検出対象から発生した音響波のうち前記被検体に設けられた音響波反射面で反射された反射波と、を少なくとも受信して夫々電気信号に変換し、前記画像形成装置は、前記直接波が変換された電気信号と、前記反射波が変換された電気信号と、をボクセルデータ又はピクセルデータに変換して画像データを生成するデータ作成部と、前記画像データを、前記音響波反射面の対応する画像データ上の位置で折り返して折り返しデータを作成する折り返しデータ作成部と、前記折り返しデータと折り返す前の前記画像データとの重ね合わせ処理を行う重ね合わせ処理部と、を有することを特徴とする。
本発明により、アーティファクトを判別、低減するための処理を行うことによって、信頼性の高い画像データを取得することができる。
本発明を適用できる測定システムの構成の一例を示す模式図である。 本発明を適用できる測定システムによって得られる実像、反射像、それぞれのアーティファクトの位置関係の一例を説明する模式図である。 本発明の実施形態1の画像形成装置の内部構成の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態1の処理の流れを示した図である。 本発明の実施形態2の画像形成装置の内部構成の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態2の処理の流れを示した図である。 本発明を適用した場合の実施例の結果である。 従来手法の画像データ生成方法を用いた結果である。 図7及び図8におけるY=1.0cmでの断面の模式図である。
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、音響波とは、音波、超音波、光音響波と呼ばれるものを含み、被検体に近赤外線等の光(電磁波)を照射して被検体内部で発生する弾性波のことを示す。
[実施形態1]
本発明の実施形態1について図面を参照しながら説明する。本実施形態では、アーティファクトを特定し、判別又は低減(除去を含む)する形態について説明する。図1は、本発明の適用できる測定システムの模式図である。光音響トモグラフィーを用いた測定システムでは、光源1から光2(パルス光)を発生させ、レンズやミラー等の光学装置4を介して被検体3に光2を照射する。被検体3内の光吸収体5(検出対象)は光エネルギーを吸収して音響波6を発生する。発生した音響波6の一部は音響波受信器8に直接到達し、一部の音響波は音響波反射面としての音響波反射板7により反射されて音響波受信器8に到達する。以降の説明において、反射されずに直接音響波受信器8に到達する音響波を直接波とし、音響波反射面により反射されてから音響波受信器8に到達する音響波を反射波とする。音響波受信器8は音響波を受信して電気信号に変換し、電気信号処理回路9に出力する。電気信号処理回路9は前記電気信号の増幅やデジタル変換等を行い、デジタル変換された電気信号(デジタル信号)を画像形成装置10に出力する。画像形成装置10は前記デジタル信号を用いて画像データを生成し、生成された画像データは表示装置11により画像として表示される。また、音響波受信器8は走査制御装置12により機械的に走査され、様々な場所で測定できるように構成される。
本発明において、音響波反射面である音響波反射板7は被検体3に設けられている。音響波反射板7は被検体3側の面が平面で、被検体との音響インピーダンスが大きく異なるもの(例えば音響インピーダンスが3×10Kg/m・s程度)が好ましい。さらに、透明で光2を十分に通す材料で構成されると音響波反射板7側から被検体に光を照射することができるため好ましい。被検体を両側から圧迫する圧迫板を設ける場合は、音響波受信器8の反対側の面に設けられた圧迫板を音響波反射板として用いても良く、圧迫板に音響波反射面を設けても良い。
光源1は生体を構成する成分のうち特定の成分(例えばヘモグロビン)に吸収される特定の波長の光を照射することを目的とする。光源1としては5ナノから50ナノ秒のパルス光を発生可能なパルス光源を少なくとも一つは備える。光源としては大きな出力が得られるレーザーが好ましいが、レーザーのかわりに発光ダイオードなどを用いることも可能である。レーザーとしては、固体レーザー、ガスレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなど様々なレーザーを使用することができる。また、光は音響波受信器8側から照射してもよく、音響波受信器8とは反対側から照射してもよい。さらに被検対の両側から照射してもよい。
光学装置4は、例えば、光を反射するミラーや、光を集光したり拡大したり形状を変化させるレンズなどである。このような光学部品は、ミラーやレンズ以外にも、光導波路などが挙げられ、光源1から発せられた光2を被検体3に所望の形状で照射することができればどのようなものを用いてもよい。なお、光2はレンズで拡散させることにより、ある程度の面積に広げる方が好ましい。また、光2を被検体3に照射する領域は被検体上を移動可能であることが好ましい。言い換えると、光源1から発生した光が被検体上を移動可能となるように構成されていることが好ましい。移動可能であることにより、より広範囲に光を照射することができる。また、光2を被検体3に照射する領域(被検体に照射される光)は、音響波受信器8と同期して移動するとさらに好ましい。光を被検体に照射する領域を移動させる方法としては、可動式ミラー等を用いる方法や、光源自体を機械的に移動させる方法などがある。
音響波受信器8は、音響波を受信して電気信号に変換する1つ以上の素子を有し、圧電現象を用いたトランスデューサー、光の共振を用いたトランスデューサー、容量の変化を用いたトランスデューサーなどで構成される。音響波を受信して電気信号に変換できるものであればどのような音響波受信器8を用いてもよい。音響波を受信する素子は1次元又は2次元に複数配列することにより、同時に複数の場所で音響波を受信することができ、受信時間を短縮できると共に、被検体の振動などの影響を低減できる。なお、1つ素子を走査することで、素子を2次元あるいは1次元に配置したものと同様な信号を得ることも可能である。被検体の全面に素子を設けても良い。また、音響波受信器8と被検体との間には、音響マッチングを図るためにジェルなどの音響マッチング材を塗布することが好ましい。
次に画像形成装置10において解析処理を行い得られる画像データについて図2を用いて詳しく述べる。画像データとは2次元、3次元を問わず被検体内の情報を示すデータのことであり、2次元の場合は、ピクセルデータを複数並べて構成され、3次元の場合は、ボクセルデータを複数並べて構成される。ピクセルデータ及びボクセルデータは複数の位置で取得した音響波信号を、タイムドメインやフーリエドメイン等の画像データ生成法(画像再構成法)を用いて解析処理することで得られる。以下の説明においては、3次元の画像データについて説明するが、本発明は2次元の画像データにも適用できる。
図2は、得られた画像データにより表れる像の位置関係を、被検体及び音響波受信器の位置と比較したイメージ図である。光により励起された音響波は発生位置となる光吸収体から球状に広がる。音響波の一部は直接波として直接、音響波受信器8に到達し、一部は音響インピーダンスの異なる音響波反射面16(音響波反射板7)において反射され、その反射波が音響波受信器8に到達する。音響波受信器8は直接波及び反射波を含めて受信し、夫々電気信号に変換する。直接波及び反射波の電気信号を含めて解析処理を行うと、光吸収体の実像14となるボクセルデータ及び反射像17となるボクセルデータが得られる。実像14は直接波により形成される像であり、反射像17は反射波により形成される像である。反射像17は、反射の物理的な法則に基づく位置に現れる。これは音響波反射面16の形状と位置が分かっていれば計算することが可能であり、音響波反射面16が平面の場合、鏡に映る実像と反射像のような関係になる。具体的には、図2において、反射像17の現れる位置は、実像14から音響波反射面16の法線方向に、音響波反射面16から実像14までの距離と等距離分だけ音響波反射面16から離れた位置、つまりa=aとなる位置である。また、アーティファクトは音響波受信器の帯域に起因しているので、実像14によるアーティファクト15だけでなく反射像17についても同様にアーティファクト18が現れる。
ここで、本発明で注目する音響波受信器の帯域起因のアーティファクトについて、その発生メカニズムを説明する。光音響トモグラフィーでは光によって励起された音響波は広い帯域の周波数成分によって構成されることが知られている。その音響波を受信する音響波受信器は一般的に一部の帯域しか受信できないため、音響波受信器から出力される電気信号は一部の周波数帯のみによって構成される信号波形となる。このとき、信号は帯域不足に起因して、ベースラインに戻るときにオーバーシュートしてベースラインを行き過ぎ、リンギング(振動)が発生する。この音響波受信器の帯域に起因して生じるリンギング部分がアーティファクトの原因となる。これは、本来であれば、光吸収体からの信号部分のみが強め合うことで被検体の構造が再現されるが、リンギングが起こると、リンギング部分も強め合ってしまうことによりアーティファクトが生じているものと考えられる。
アーティファクトの原因となる信号の振動(リンギング部分)は、音響波受信器から見て時間的に本来の信号より遅い位置に現れる。よって、解析処理を行ってボリュームデータに変換すると、図2に示すように、アーティファクトは必ず音響波受信器8から見て実像及び反射像の奥の位置に現れる。つまり、実像のアーティファクト15と音響波反射面16との距離b、反射像18と音響波反射面16との距離bの関係は、b≠bとなる。すなわち、音響波反射面16を境界にしてその像を比較したとき、面対称の位置にあるものが実在する光吸収体の像であり、面対称の位置にないものはアーティファクトである。
次に図3および図4を用いて本発明の適用できるアーティファクトを特定し、判別又は低減するための具体的な方法を説明する。図3は、実施形態1の画像形成装置の内部構成を示す模式図であり、図4は、アーティファクトを判別する処理のフローチャートである。
まず、パルス光を被検体に照射し(S1−1)、その光によって励起された音響波を音響波受信器によって受信する(S1−2)。音響波受信器により出力された電気信号は電気信号処理回路9で増幅やアナログ‐デジタル変換を行いデジタル信号として保存される。このとき、少なくとも光が被検体に照射されてから反射波が音響波受信器に到達するまでの間は、音響波受信器は受信可能な状態にしておく。そして、電気信号処理回路9はその間に受信した音響波をデジタル信号として保存しておく必要がある。つまり、電気信号処理回路9は直接波、反射波のデジタル信号を少なくとも保存している。また、電気信号処理回路9に保存されたデジタル信号は被検体中の複数の位置で得ている。画像形成装置10におけるボリュームデータ作成部101では、各位置で得たこれらデジタル信号をそれぞれ被検体内部の空間情報を示すボクセルデータに変換し、画像データを生成する(S1−3)。
次に対称性判定部102において、生成された画像データ上で、音響波反射面に対応する位置に対して、現れる像のボクセルデータの位置が面対称であるかどうかを判断する(S1−4)。ここで、音響波反射面から音響波受信器までの距離は既知であるため、音響波反射面に対応する画像データ上の位置も既知である。よって、この既知の音響波反射面に対応する画像データ上の位置に対して、表れる像のボクセルデータの位置が面対称かどうかを判断することができる。また、別の方法としては、音響波反射面で発生する音響波を利用する方法が考えられる。多くの場合、被検体3と音響波反射板7の光吸収特性が異なるが、そのとき被検体と音響波反射板の界面(音響波反射面)で音響波が発生する。この音響波反射面で発生した音響波を受信して、ボクセルデータに変換すると、音響波反射面で発生した音響波に基づく像(以下、「音響波反射面の像」という)が形成される。よって、この音響波反射面の像のボクセルデータ(音響波反射面で発生した音響波に基づくボクセルデータ)の位置を基準に、その他の像が面対称かどうかを判断しても良い。以上の工程により、面対称でない像の場合、アーティファクトであると特定することができる。
アーティファクトであると特定された面対称でない像のボクセルデータに対して、タグ付部103でタグを付ける(S1−5)。
次に、タグを付けられた像のボクセルデータ、つまりアーティファクトであると特定された面対称でない像のボクセルデータに対して、処理部104で、色をつけるなどの手法を用い、表示装置11で表示された際にアーティファクトであると判別できるよう判別処理を行う(S1−6)。また、色分けのような判別処理だけでなく、アーティファクトであると特定されたボクセルデータに対し、相対的に色を薄くしたり、像として表示されないようにバッググラウンドレベルの色をつける低減処理を行っても良い。
最後に、表示装置11でボクセルデータの断面や3Dレンダリングなどの表示を行う(S1−7)。以上の工程により、アーティファクトを特定し、判別又は低減することができる。
[実施形態2]
実施形態1ではアーティファクトを特定して判別、又は低減を行ったが、実施形態2では、画像データ中においてアーティファクトを特定せずに低減する形態について述べる。
図5は、実施形態2の画像形成装置の内部構成を示す模式図であり、図6は、アーティファクトを低減する処理のフローチャートである。実施形態2も画像データを生成するまでは実施形態1と同じである。つまり、ボリュームデータ作成部101において画像データを生成するS2−3までの処理は実施形態1のS1−3までの処理と同様である。
次に、折り返しデータ作成部105により、生成された画像データのうち、音響波検出器から見て音響波反射面より奥側、つまり反射像となるボクセルデータのある領域のボクセルデータを音響波反射面で面対称となるように折り返し、折り返しデータを作成する(S2−4)。
そして、重ね合わせ処理部106にて、この折り返しデータと元の画像データを重ね合わせ処理を行う(S2−5)。重ね合わせ処理が施された画像データでは、実在する光吸収体による実像のボクセルデータと反射像のボクセルデータとは重なるため信号の強度は強め合うが、アーティファクトのボクセルデータは重ならないので、相対的に信号の強度は弱くなる。元の画像データのx,y,z位置におけるボクセル値(強度)をA(x,y,z)、折り返しデータのx,y,z位置におけるボクセル値(強度)をA(x,y,z)とすると、具体的な重ね合わせ処理は式(1)で行われる。
この重ね合わせ処理をすべてのボクセルについて行う。この重ね合わせ処理は単なる積であってもアーティファクトは低減される。しかしながら、実像のボクセル値(強度)は積によって値が二乗になってしまうため、ボクセル値の定量性、つまり線形性を保つには、根を取ることが好ましい。この重ね合わせ処理により、バックグラウンドがある場合にはアーティファクトは低減され、バックグラウンドがなければ、アーティファクトはゼロと掛け合わされるので、除去することができる。つまり、バックグラウンドが低ければ低いほどアーティファクト低減の効果は大きい。また、重ね合わせ処理は式(2)のようなものであってもよく、様々な手法が考えられる。
最後に、重ね合わせ処理を行って得られたデータを、表示装置11により断面表示や3Dレンダリングにて表示する(S2−6)。
以上の工程により、アーティファクトを特定する工程がなくても、アーティファクトを低減することができる。
[実施形態3]
実施形態3では図1の音響波反射板7が曲面である場合について述べる。本実施形態においても実施形態1、2と同様に画像データを生成するが、音響波反射板が曲面である場合、その反射像は曲面の形状に従って歪む。そこで、反射界面の形状から反射像の歪み方を計算し、得られた反射像のボクセルデータの位置を平面反射板で反射したように座標変換する。つまり、反射像のボクセルデータの位置を、平面の音響波反射面の場合に得られるボクセルデータの位置に座標変換する。歪み方が予め分かっている場合は、座標変換するための式またはテーブルを用意しておき、ボクセルデータ毎にその式またはテーブルを適用しても良い。
その後は、実施形態1、実施形態2と同様にアーティファクトの判別、低減を行うことができる。
[実施形態4]
実施形態4では、音響波反射面である音響波反射板が物理的に存在しない場合について述べる。実施形態3の曲面の反射板の手法を拡張すると、反射板がない場合でも本発明は適用可能である。被検体が空気中にあって、被検体の音響インピーダンスが空気と異なる場合、被検体と空気との界面で音響波の反射が起こる。被検体と空気の界面形状を3Dスキャン装置で読み取り、そこから実施形態3のように反射像の歪み方を考慮して、得られた反射像のボクセルデータの位置を平面反射板で反射したように座標変換する。また、被検体と空気との界面(つまり音響波反射面)では、音響波が発生するため、この被検体と空気との界面で発生した音響波のボクセルデータ自体を利用してもよい。つまり、界面で発生した音響波のボクセルデータの位置を利用すると界面形状を3Dスキャン装置で読み取らなくても、歪み方を調べることができる。
その後は、実施形態1、実施形態2と同様にアーティファクトの判別、低減を行うことができる。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態1〜4の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
本発明の実施形態2を適用して効果を確かめた実験結果を説明する。実験体系を以下に述べる。被検体の母材はダイズ油注射液イントラリピッドと水を混ぜたものであり、寒天を用いて直方体になるように成形した。被検体内部にはダイズ油注射液イントラリピッド、水及び墨汁を混ぜ合わせ、寒天で球状に成型した光吸収体を設置した。被検体は空気中に置かれ、片側からNd:YAGレーザーを用いて波長1064nmのナノ秒オーダーのパルス光を被検体の全面に当たるように広げて繰り返し入射させた。また、パルス光を入射させた面と反対側の面にメチルペンテンポリマーからなる音響波透過板を接触させ、この音響波透過板を挟んで2Dアレイ音響波受信器を設置した。なお、被検体と音響波透過板との界面、及び、音響波透過板と音響波受信器との界面には音響マッチングジェルを施した。使用された2Dアレイ音響波受信器はX、Y方向ともに2mmピッチで、X方向18個、Y方向18個の計324個の素子から構成される。各々の素子は1MHz±40%の周波数帯域を持っている。本実施例では音響波反射板は用いず、パルス光入射面が音響インピーダンスの異なる空気と接しているため、パルス光入射面を音響波反射面として扱った。
本発明の実施形態2を適用したMIP(Maximum Intensity Projection)図を図7に示す。用いた重ね合わせ処理手法は式(1)である。また、図8に実験体系は同じで本発明を適用しない従来の画像データ生成手法で得られた画像データのMIP図を比較例として示す。図7、8において横軸はY方向の距離であり、縦軸はZ方向の距離である。Z=4.5cm付近に現れているものが光吸収体の実像14であり、Z=5.4cm付近の線が音響波反射面の像19、Z=6.1cm付近に現れているものが光吸収体の反射像17である。さらに、図8において、Z=4.7cm付近のものが実像のアーティファクト15であり、Z=6.3cm付近に現れているものが反射像のアーティファクト18である。
図7から分かるように、図8と比較してアーティファクトは低減していることがわかる。
また、本発明の効果を明らかに示すため、図7及び図8におけるY=1.0cmの断面の強度変化を図9に示す。図9の横軸はZ方向の距離であり、縦軸は強度である。また、点線は比較例の結果を表し、実線は実施例の結果を表しており、それぞれZ=4.5cm付近のピークによって規格化されている。この結果からわかるように、本発明の適用によって、実像及び反射像を表す大きなピークの後に表れるアーティファクトの強度がバックグラウンドレベルまで低減されているのがわかる。よって、アーティファクトを効果的に低減できる。
1 光源
2 光
3 被検体
4 光学部品
5 光吸収体あるいは初期圧力分布
6 音響波
7 音響波反射板
8 音響波受信器
9 電気信号処理回路
10 画像形成装置
11 表示装置
12 走査制御装置
14 光吸収体の実像
15 実像のアーティファクト
16 音響波反射面
17 光吸収体の反射像
18 反射像のアーティファクト
19 音響波反射面の像
101 ボリュームデータ作成部
102 対称性判定部
103 タグ付け部
104 処理部
105 折り返しデータ作成部
106 重ね合わせ処理部

Claims (9)

  1. 被検体に光を照射することにより発生する音響波を受信し電気信号に変換する音響波受信器と、前記電気信号を用いて画像データを生成する画像形成装置と、を有する測定システムであって、
    前記音響波受信器は、前記被検体内の検出対象から発生した音響波のうち前記音響波受信器に直接到達する直接波と、前記検出対象から発生した音響波のうち前記被検体に設けられた音響波反射面で反射された反射波と、を少なくとも受信して夫々電気信号に変換し、
    前記画像形成装置は、
    前記直接波が変換された電気信号と、前記反射波が変換された電気信号と、をボクセルデータ又はピクセルデータに変換して画像データを生成するデータ作成部と、
    前記画像データ上において、前記直接波が変換されたボクセルデータ又はピクセルデータの位置と、前記反射波が変換されたボクセルデータ又はピクセルデータの位置と、が前記音響波反射面の対応する画像データ上の位置に対して対称であるかどうかを判定する判定部と、
    前記判定部により対称でないと判定されたボクセルデータ又はピクセルデータの像を判別又は低減するための処理を行う処理部と、
    を有することを特徴とする測定システム。
  2. 被検体に光を照射することにより発生する音響波を受信し電気信号に変換する音響波受信器と、前記電気信号を用いて画像データを生成する画像形成装置と、を有する測定システムであって、
    前記音響波受信器は、前記被検体内の検出対象から発生した音響波のうち前記音響波受信器に直接到達する直接波と、前記検出対象から発生した音響波のうち前記被検体に設けられた音響波反射面で反射された反射波と、を少なくとも受信して夫々電気信号に変換し、
    前記画像形成装置は、
    前記直接波が変換された電気信号と、前記反射波が変換された電気信号と、をボクセルデータ又はピクセルデータに変換して画像データを生成するデータ作成部と、
    前記画像データを、前記音響波反射面の対応する前記画像データ上の位置で折り返して折り返しデータを作成する折り返しデータ作成部と、
    前記折り返しデータと折り返す前の前記画像データとの重ね合わせ処理を行う重ね合わせ処理部と、
    を有することを特徴とする測定システム。
  3. 前記音響波受信器により変換された電気信号をデジタル変換する電気信号処理回路を有し、
    前記データ作成部は、デジタル変換された電気信号をボクセルデータ又はピクセルデータに変換することを特徴とする請求項1又は2に記載の測定システム。
  4. 前記データ作成部は、前記音響波反射面が曲面である場合、前記反射波が変換されたボクセルデータ又はピクセルデータの位置を前記音響波反射面が平面である場合に得られるボクセルデータ又はピクセルデータの位置に座標変換して画像データを生成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の測定システム。
  5. 被検体に光を照射することにより発生する音響波を音響波受信器により受信して電気信号に変換し、前記電気信号を用いて画像データを生成する画像形成方法であって、
    前記被検体内の検出対象から発生した音響波のうち前記音響波受信器に直接到達する直接波が変換された電気信号と、前記検出対象から発生した音響波のうち前記被検体に設けられた音響波反射面で反射された反射波が変換された電気信号と、をボクセルデータ又はピクセルデータに変換し画像データを生成するデータ作成ステップと、
    前記画像データ上において、前記直接波が変換されたボクセルデータ又はピクセルデータの位置と、前記反射波が変換されたボクセルデータ又はピクセルデータの位置と、が前記音響波反射面の対応する前記画像データ上の位置に対して対称であるかどうかを判定する判定ステップと、
    前記判定ステップにより対称でないと判定されたボクセルデータ又はピクセルデータの像を判別又は低減するための処理を行う処理ステップと、
    を有することを特徴とする画像形成方法。
  6. 被検体に光を照射することにより発生する音響波を音響波受信器により受信して電気信号に変換し、前記電気信号を用いて画像データを生成する画像形成方法であって、
    前記被検体内の検出対象から発生した音響波のうち前記音響波受信器に直接到達する直接波が変換された電気信号と、前記検出対象から発生した音響波のうち前記被検体に設けられた音響波反射面で反射された反射波が変換された電気信号と、をボクセルデータ又はピクセルデータに変換し画像データを生成するデータ作成ステップと、
    前記画像データを、前記音響波反射面の対応する前記画像データ上の位置で折り返して折り返しデータを作成する折り返しステップと、
    前記折り返しデータと折り返す前の前記画像データとの重ね合わせ処理を行う重ね合わせステップと、
    を有することを特徴とする画像形成方法。
  7. 前記音響波受信器により変換された電気信号はデジタル変換されており、
    前記データ生成ステップにおいて、デジタル変換された電気信号をボクセルデータ又はピクセルデータに変換することを特徴とする請求項5又は6に記載の画像形成方法。
  8. 前記データ作成ステップにおいて、前記音響波反射面が曲面である場合、前記反射波が変換されたボクセルデータ又はピクセルデータの位置を前記音響波反射面が平面である場合に得られるボクセルデータ又はピクセルデータの位置に座標変換して画像データを生成することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  9. 請求項5乃至8のいずれか1項に記載の画像形成方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
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