JP5517642B2 - 音響波探触子 - Google Patents

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Description

本発明は、音響波探触子に関する。
音響波(典型的には超音波)を受信して電気信号に変換する音響波変換素子を持つ音響波探触子において、素子を保護するための構成が提案されている。
例えば、特許文献1に開示された音響波探触子は、音響波変換素子を保護する保護手段を備え、保護手段内部には液体、ゾルまたはゲルが充填されている。さらに、保護手段の一部をフィルムのような薄い部材で構成することが開示されている。保護手段を薄い部材で構成することにより音響波を透過しやすくなる。
特開2006−094459号公報
特許文献1のように、保護手段を薄い部材で構成して音響波透過部を設けた場合、音響波透過部が撓み、音響波変換素子に接触して音響波変換素子に荷重が加わることがある。その結果、音響波変換素子の変換特性が変化してしまうという課題があった。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、音響波の透過性を良好にしつつ、音響波透過部と音響波変換素子の接触を抑制可能な音響波探触子を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成される。すなわち、音響波を受信して電気信号に変換する音響波変換素子と、前記音響波変換素子を格納し、液密に封止された保護手段であって、当該保護手段の一部分は他の部分よりも音響波の透過性が高い音響波透過部である保護手段と、前記保護手段の変形の程度を表わす撓み量を、前記保護手段内の圧力の変化から検出する検出手段と、前記検出手段が検出した撓み量が、前記保護手段内の圧力により前記音響波変換素子が所定の範囲よりも大きく変形することを示すものである場合に、前記保護手段内の圧力を高める圧力調整手段とを備える音響波探触子である。
本発明によれば、音響波の透過性を良好にしつつ、音響波透過部と音響波変換素子の接触を抑制可能な音響波探触子を提供することが可能である。
音響波探触子の外観図および断面図である。 音響波変換素子の平面図および断面図である。 実施例1の音響波探触子の断面図である。 実施例2の音響波探触子の断面図である。 実施例3の音響波探触子の断面図である。
本発明において音響波とは、音波、超音波、光音響波と呼ばれる弾性波を含む。本発明の音響波探触子は、音響波受信面を被測定物体に密着させて使用する音響波探触子として
好適に用いることができる。具体的には、音響波探触子は、被検体内部に光を照射して、被検体内部で発生する音響波(典型的には超音波)を受信し、被検体内部の組織画像を表示する光音響トモグラフィーによる診断装置に用いることができる。音響波探触子は、また、被検体内部に超音波を送受信して被検体内部の組織画像を表示する超音波エコーによる診断装置等に用いることができる。より具体的な例としては医療分野におけるハンドヘルド式の音響波探触子が挙げられる。
音響波探触子をハンドヘルド式の音響波探触子として用いる場合、音響波変換素子を保護手段で梱包し、変換素子が破損することを防いでいる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の音響波探触子の概略図である。図1(a)は装置の外観を示し、図1(b)は断面図である。
音響波探触子は、音響波を電気信号に変換する音響波変換素子1、音響波変換素子を保護する保護手段2、測定時に装置を支持するためのグリップ部3、および音響波変換素子から得られた電気信号を伝達するケーブル部4からなる。
音響波変換素子1として、例えば静電容量型の音響波変換素子を用いることができる。静電容量方式による音響波変換素子は軽量な振動膜を用いている。静電容量方式の音響波変換素子の構造を、図2を用いて説明する。図2(a)は平面図であり、図2(b)は断面図である。
静電容量方式の音響波変換素子は、基板101、下部電極102、支持部103、空隙部104、振動部105、上部電極106からなる。下部電極および支持部は基板の主面に配置され、上部電極を有する振動部は支持部によって基板および下部電極との間に空隙部を介して振動可能に支持されている。ここで主面とは、音響波探触子の面のうち、被測定物体に対向する側の表面を指す。被測定物体から放射された音響波が振動部105に入射すると、振動部105が音響波に応じて振動する。このとき、下部電極102と上部電極106との間に直流電圧源を用いてバイアス電圧を印加しておくと、振動部の振動に応じた電流信号が発生するので、この電流信号を計測することにより音響波信号の波形を得ることができる。
図1に戻り説明を続ける。保護手段2は音響波変換素子の外周を囲むように構成されている。音響波変換素子の主面に対向する一部分は、音響波を透過するように、他の部分よりも薄い部材(例えば、10〜900μm)で構成されていることが好ましい。この薄い部材で構成された部分を、音響波透過部201と定義する。音響波透過部を設けることにより、部材による音の反射を低減することが可能になり、効率的に音響波を受信することができる。
保護手段内の間隙202は、液体、ゾル、ゲル等で充填されることが好ましい。これにより、保護手段および間隙の音響インピーダンスの違いによる音の反射を抑制することができ、効率的に音響波を受信することができる。
音響波変換素子1としては、静電容量型の他に、圧電現象を用いた変換素子、光の共振を用いた変換素子を用いても良い。音響波を受信して電気信号に変換できるものであればどのような音響波変換素子を用いてもよい。音響波変換素子は1次元又は2次元に複数配列することにより、同時に複数の場所で音響波を受信することができ、受信時間を短縮できると共に、被検体の振動などの影響を低減できる。
<実施例1>
図3は実施例1の音響波探触子の断面図である。本実施例の音響波探触子は、音響波を電気信号に変換する音響波変換素子1、音響波変換素子を格納し保護する保護手段2、測
定時に装置を支持するためのグリップ部3、音響波変換素子から得られた電気信号を伝達するケーブル部4を備える。音響波探触子はさらに、保護手段に設置され保護手段の変形の程度を表わす撓み量を検出する撓み検出手段5(検出手段)、撓み量をユーザーに知らせる撓み量ゲージ9(通知手段)を備える。保護手段の一部分は薄い部材からなり、音響波透過部201を構成している。保護手段2は音響波変換素子1を格納し、好ましくは内部の間隙に液体、ゾル、ゲル等を含んで液密に封止されている。
撓み検出手段5として、保護手段2の音響波透過部201に、歪ゲージを設置する。歪ゲージは、音響波透過部201が外力を受けて撓んだ場合、撓み量を電圧変化として計測する。そして、音響波透過部201の撓み量が所定の値よりも大きいか否かを検出する。
撓み量ゲージ9は、撓み量が所定の値よりも大きい場合にユーザーに知らせる機能を持つ。ユーザーへの通知手段としては、ブザー、振動、ランプなどを用いることができる。通知を受けたユーザーは、ゲージの位置に応じて押し付け圧力を調整することにより、音響波透過部201が変換素子1に接触することを防ぐことができる。
本実施例のような音響波探触子を用いることにより、保護手段の一部がフィルムのような薄い部材で構成されていても、撓み量が所定の範囲内にあるかどうかを検出してユーザーに調整を促すことができる。これにより、音響波の反射を低下させて透過性を良くしつつ、音響波変換素子の撓みを防止し変換特性を変化しにくくした信頼性の高い測定を行うことができる。
<実施例2>
図4は実施例2の音響波探触子の断面図である。音響波探触子は、音響波を電気信号に変換する音響波変換素子1、音響波変換素子を保護する保護手段2、測定時に装置を支持するためのグリップ部3、および音響波変換素子から得られた電気信号を伝達するケーブル部4を備える。保護手段の一部分は薄い部材からなり、音響波透過部201を構成している。本実施例の音響波探触子はさらに、保護手段2に接続しており弾性変形材料で構成されたリザーブタンク6、リザーブタンクの弾性変形量(撓み量)を検出する撓み検出手段7、撓み量をユーザーに知らせる撓み量ゲージ9を備える。
リザーブタンク6として、例えばベローズ形状の部材を使用し、音響波透過部201の撓みに応じて1軸方向に変形するように配置すると良い。リザーブタンク6は例えば、音響波透過部201が変形して撓み、保護手段内の圧力が変化したことに応じて変形するベローズ圧力計により構成できる。そして撓み検出手段7を、その変形量を計測する計測器で構成することにより、音響波透過部201の撓み量を計測することができる。
撓み量ゲージ9は、リザーブタンクの変形量(撓み量)が所定の範囲内にない場合にユーザーに知らせる機能を持つ。ユーザーへの通知手段としては、ブザー、振動、ランプなどを用いることができる。通知を受けたユーザーは、ゲージの位置に応じて押し付け圧力を調整することにより、音響波透過部201が変換素子1に接触することを防ぐことができる。これにより、音響波の反射を低下させて透過性を良くしつつ、音響波変換素子の撓みを防止し変換特性を変化しにくくした信頼性の高い測定を行うことができる。
<実施例3>
図5は実施例3の音響波探触子の断面図である。音響波探触子は、音響波を電気信号に変換する音響波変換素子1、音響波変換素子を保護する保護手段2、測定時に装置を支持するためのグリップ部3、および音響波変換素子から得られた電気信号を伝達するケーブル部4を備える。保護手段の一部分は薄い部材からなり、音響波透過部201を構成している。音響波探触子はまた、保護手段2に接続しており弾性変形材料で構成されたリザーブタンク6、保護手段内の圧力を検出する圧力検出手段7、測定した撓みの量に応じて保
護手段内の圧力を調整する圧力調整手段8を備える。
リザーブタンク6は、例えばベローズ形状の部材で構成する。ベローズ形状の部材は、保護手段内の圧力に応じて音響波透過部201が撓むことにより、1軸方向に変形する。圧力検出手段7は、その変形量を計測することにより、保護手段内の圧力に応じた音響波透過部201の撓み量を計測することができる。
圧力調整手段8は、圧力検出手段7が計測した撓み量に応じて、保護手段内の圧力を調整する機能を有している。すなわち、所定の範囲より大きい撓み量が検出されると、リザーブタンク6内および保護手段2内の圧力を高めることにより、外力による撓みを抑える。圧力調整手段としては、例えばピストンとシリンダを用いることができ、圧力検出手段7の出力に応じてシリンダ内のピストンの位置を調整することにより圧力を調整する。
この際、保護手段2内の圧力は、音響波変換素子1の中で、圧力により上部電極と、下部電極が接触しない範囲に設定する必要がある。上部電極と下部電極が接触してしまうと、計測が不可能になるためである。
このような機構を備えることにより、音響波の反射を低下させて透過性を良くしつつ、音響波変換素子の撓みを防止し変換特性を変化しにくくした信頼性の高い測定を行うことができる。
1:音響波変換素子,2:保護手段,5:撓み検出手段(検出手段),9:撓み量ゲージ(通知手段),201:音響波透過部

Claims (4)

  1. 音響波を受信して電気信号に変換する音響波変換素子と、
    前記音響波変換素子を格納し、液密に封止された保護手段であって、当該保護手段の一部分は他の部分よりも音響波の透過性が高い音響波透過部である保護手段と、
    前記保護手段の変形の程度を表わす撓み量を、前記保護手段内の圧力の変化から検出する検出手段と、
    前記検出手段が検出した撓み量が、前記保護手段内の圧力により前記音響波変換素子が所定の範囲よりも大きく変形することを示すものである場合に、前記保護手段内の圧力を高める圧力調整手段と
    を備える音響波探触子。
  2. 前記音響波変換素子は上部電極および下部電極を含み、
    前記所定の範囲とは、前記保護手段内の圧力により前記上部電極と前記下部電極が接触することを示す値である
    ことを特徴とする請求項1に記載の音響波探触子。
  3. 前記検出手段は、前記保護手段に接続され、前記保護手段内の圧力に応じて変形するベローズである
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の音響波探触子。
  4. 前記圧力調整手段は、前記保護手段に接続されたシリンダとピストンであり、シリンダ内のピストンの位置を調整することにより圧力を調整する
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の音響波探触子。
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