以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態による光音響画像化装置100の構成について説明する。
本発明の第1実施形態による光音響画像化装置100は、図1に示すように、音響波を検出するための検出部1と、検出部1の近傍に配置される光源部2と、光源部2を覆う光源カバー部3とを備えている。また、光音響画像化装置100は、検出部1により検出された信号を処理して画像化を行う制御部4と、制御部4により処理された画像を表示するための表示部5とを備えている。
光音響画像化装置100は、光源部2から被検体(被検者)P内に所定波長の光を照射することにより、被検体P内で光を吸収した検出対象物Qを膨張収縮させ、検出対象物Qから音響波AWを発生させる。光音響画像化装置100は、検出対象物Qから発生した音響波AWを検出部1によって検出し、得られた検出信号に基づいて被検体P内における検出対象物Qを画像化する機能を有する。また、光音響画像化装置100は、検出部1から被検体Pに対して超音波を照射し、被検体P内で反射した反射波(超音波)を検出部1によって検出し、得られた検出信号に基づいて被検体P内を画像化する機能を有する。光音響画像化装置100は、これらの音響波画像と超音波画像とを統合することにより、被検体P内に関する多様な情報を画像化して表示することが可能である。
なお、本明細書では、被検体P内の検出対象物Qが光を吸収することにより発生する超音波を「音響波」とし、検出部1により発生されるとともに、被検体Pに反射される超音波を「超音波」として、説明の都合上、区別して記載している。
検出部1は、超音波振動素子11を含む超音波検出プローブである。超音波振動素子11は、被検体Pに近接するように、検出部1の先端部(検出面近傍)に配置されている。超音波振動素子11は、音響波(超音波)AWを検出することが可能であるとともに、被検体Pに対して超音波を照射することが可能に構成されている。超音波振動素子11は、被検体P内の検出対象物Qから発生した音響波、および、被検体P内で反射された超音波を検出し、検出信号を制御部4に出力するように構成されている。また、超音波振動素子11は、制御部4の制御信号に基づき、被検体に超音波を照射するように構成されている。
超音波振動素子11は、多数の超音波振動素子11がアレイ状に配列されているものであり、図2に示すように、検出面(底面)において、全体としてY方向に延びる矩形形状をなすように構成されている。なお、各図では、超音波振動素子11のアレイ全体の外形形状のみを概略的に示している。超音波振動素子11のアレイは、全体として、長手方向(Y方向)の長さL1、短手方向(X方向)の幅W1を有する。
図1に示すように、光源部2は、光源カバー部3に覆われた状態で、検出部1のX方向の両側に一対設けられている。光源部2および光源カバー部3は、検出部1のY方向の両側に検出部1を挟むように一対設けられている。これらの光源部2および光源カバー部3は、互いに検出部1を挟んで略対称に構成されている点以外は実質的に同一であるので、ここではX1側の光源部2および光源カバー部3のみについて説明する。なお、図1では、X1側の光源部2および光源カバー部3についてXZ断面を図示している。
光源部2は、被検体Pに光を照射して被検体P内の検出対象物Qに光を吸収させることにより、検出対象物Qから音響波AWを発生させるように構成されている。図3に示すように、光源部2は、光源基板21と、光源基板21に実装された複数(多数)のLED素子(発光ダイオード素子)22とを含んでいる。光源基板21は、信号線23を介して制御部4と接続されており、信号線23を介して制御部4から電力供給を受けるとともに制御信号を受信する。光源基板21には、光源駆動回路が形成されており、制御部4の制御信号に基づいてLED素子22を点灯および消灯させるように構成されている。光源基板21は、図2に示すように、Y方向に延びるように形成されており、長手方向の長さL2および短手方向の幅W2の矩形形状を有する。なお、LED素子22は、本発明の「光放出半導体素子」の一例である。
図3に示すように、光源基板21の下面側には、複数のLED素子22がアレイ状に配列されており、これらのLED素子22が全体として面光源を構成している。複数のLED素子22は、図2に示すように、長手方向の長さL3および短手方向の幅W3の矩形形状の配置領域DAに配置されている。また、複数のLED素子22は、配置領域DA内で、Y方向に延びるとともにX方向に並ぶ3列の素子列を構成している。なお、LED素子22のアレイ(配置領域DA)は、超音波振動素子11のアレイと略平行で、同一方向(Y方向)に延びるように設けられている。
個々のLED素子22は、光放出半導体素子であり、主として赤外光(近赤外光)の波長領域の光を発生させるように構成されている。図3に示すように、LED素子22は、配光角θで光を出射する。すなわち、LED素子22の発光強度は、中心線B1により示す光出射面の前方(光出射面に対する垂線方向)が最も強く、中心線B1に対する角度が大きくなるほど発光強度が小さくなる。配光角θは、発光強度が最大強度(中心線B1における発光強度)の1/2になる光軸方向と中心線B1とのなす角度である。図3では、LED素子22の配光角θが片側約60度である例を示しており、3列のアレイ状の素子列のうち、X1側のLED素子22の配光角θの最外角度線B2と、X2側のLED素子22の配光角θの最外角度線B3とを図示している。したがって、複数のLED素子22全体としては、X1側の最外角度線B2と、X2側の最外角度線B3との間の範囲に、光の大部分が照射される。光源部2は、このように多数のLED素子22を密集配置するとともに、検出部1(超音波振動素子11)の近傍に配置することによって、被検体Pへの照射光量(光エネルギー量)を確保している。
光源カバー部3は、内部に光源部2を収容しており、Y方向に延びる(図2参照)ように形成されている。また、光源カバー部3は、Y方向から見て概略L字状形状を有するとともに、底部に被検体Pと接触する接触面3aを有している。図1に示すように、検出部1を挟んでX1側の光源カバー部3とX2側の光源カバー部3とは、略線対称となるように形成されている他は同一構造を有し、互いに連結部材6によって連結されている。光源カバー部3は、樹脂製である。
図2に示すように、第1実施形態では、光源カバー部3は、被検体Pとの接触面3a(図3参照)において、少なくとも光源部2におけるLED素子22の配置領域DAを覆う範囲で光源部2側に窪むように設けられた伝搬材収容凹部40を含んでいる。光音響画像化装置100の使用時には、被検体Pと検出部1および光源カバー部3との間に、音響波および光の伝播損失の低減のために、超音波診断用ゲルなどの超音波および光の伝搬材M(図1および図4参照)が塗布される。伝搬材収容凹部40は、この伝搬材Mを収容して保持する機能を有する。
光源カバー部3は、図3に示すように、ボトム部31と、窓板部32と、トップ部33とを有する。ボトム部31は、光源カバー部3の底面部分と、検出部1に対して外側の側面部分とを構成する部材である。ボトム部31の底面が、光源カバー部3の接触面3aに相当し、被検体Pと接触する。トップ部33は、ボトム部31の上部に配置され、光源部2を収容する蓋部として機能する。窓板部32は、ボトム部31と光源部2との間に配置され、光源部2の出射面側を支持するとともに、光源部2の光を透過させて被検体P側に出射させるように構成されている。窓板部32は、平板形状を有し、透光性(赤外光の透過性)を有する。第1実施形態では、窓板部32は、光透過率が90%以上の樹脂からなり、たとえばアクリル樹脂またはポリカーボネートなどにより形成されている。
第1実施形態では、構造上は、ボトム部31の開口部分に窓板部32が嵌め込まれることによって、伝搬材収容凹部40が構成されている。具体的には、伝搬材収容凹部40は、ボトム部31の底部(接触面3a)において、LED素子22の配置領域DAを取り囲むように周状に設けられた周壁部31a(図2参照)と、窓板部32とによって区画された領域である。これにより、伝搬材収容凹部40は、接触面3a側が開口し、光源部2側が底面41となるように光源部2側に窪んだ凹状形状を有する。伝搬材収容凹部40の内周面42は、周壁部31aの内側表面である。伝搬材収容凹部40の底面41は、窓板部32の下面である。底面41は、接触面3aと略平行となるように形成されている。ただし、ボトム部31と窓板部32とは一体形成されていてもよい。
伝搬材収容凹部40は、図2に示すように、光源カバー部3の接触面3aにおいて、光源部2の配置領域DAの全体を覆うように形成されている。伝搬材収容凹部40は、Y方向に延びるように形成されている。伝搬材収容凹部40のうち、光源カバー部3の底面側(接触面3a側)から見える開口領域は、長手方向の長さL4および短手方向の幅W4の矩形形状に形成されている。Y方向において、伝搬材収容凹部40の長さL4は、超音波振動素子11のアレイの長さL1、光源基板21の長さL2およびLED素子22の配置領域DAの長さL3よりも大きい。また、X方向において、伝搬材収容凹部40の幅W4は、超音波振動素子11のアレイの幅W1、光源基板21の幅W2およびLED素子22の配置領域DAの幅W3よりも大きい。各寸法を比較すると、L1<L3<L2<L4、W3<W2<W4となる。なお、後述するように、伝搬材収容凹部40の底面41は、伝搬材収容凹部40の開口領域よりも一回り大きく(図3参照)なる。
第1実施形態では、図3に示すように、伝搬材収容凹部40の内周面42は、接触面3a側(Z2側)の開口端部が光源部2側(Z1側)の端部よりも伝搬材収容凹部40の内側(中央側)に向けて突出するように形成されている。内周面42は、底面41側端部から接触面3a側に向かうにしたがって伝搬材収容凹部40の中央側に突出する直線状の傾斜面となっている。第1実施形態では、内周面42の傾斜部分は平坦面であり、接触面3aに対する内周面42(傾斜部分)の傾斜角度αは、約45度である。この結果、伝搬材収容凹部40の内周面42は、接触面3a側の開口端部が光源部2側の端部よりも距離Dだけ内側に突出している。このように、内周面42は、底面41から接触面3a側の開口端部にかけて中央側に突出するオーバーハング形状に形成されている。構造上は、ボトム部31の周壁部31aが伝搬材収容凹部40の中央側に突出することによって、内周面42が内側に向けて突出している。
この内周面42のオーバーハング形状については、接触面3a側の開口幅W4が光源部2側の底面41の幅(W4+(2×D))よりも小さくなるように伝搬材収容凹部40が形成されている、と言い換えることができる。なお、図3では伝搬材収容凹部40のXZ断面を示しているが、伝搬材収容凹部40のYZ断面でも同様である。つまり、内周面42は、配置領域DA(図2参照)を覆う伝搬材収容凹部40の全周に渡って、接触面3a側の開口端部が光源部2側の端部よりも中央側に突出している。
また、伝搬材収容凹部40の内周面42は、接触面3aと滑らかに連続する丸みを帯びた曲面部43を含む。曲面部43は、伝搬材収容凹部40の接触面3a側の開口端部に設けられており、内周面42の傾斜部分と接触面3aとを接続するように形成されている。第1実施形態では、曲面部43は、所定曲率の円弧面(R面)からなる。構造上は、ボトム部31の周壁部31aの伝搬材収容凹部40側端部を曲面状に形成することによって、曲面部43が形成されている。図示しないが、曲面部43は、伝搬材収容凹部40の全周にわたって形成されている。なお、光源カバー部3において、ボトム部31の接触面3aの外周部にも、側面部と滑らかに連続するように丸みを帯びた曲面部34が形成されている。このため光源カバー部3において、接触面3aと他の面(内周面42や側面部)とを接続する部分には、全て曲面部43および34が設けられている。
また、第1実施形態では、伝搬材収容凹部40は、接触面3a側の開口端部(曲面部43)がLED素子22の配光角θの最外角度線B2およびB3よりも外側に位置するように形成されている。すなわち、上述したX1側の最外角度線B2と、X2側の最外角度線B3との間の照射範囲よりも、接触面3a側の開口端部が外側に配置されている。より具体的には、図3では、伝搬材収容凹部40のうちX1側の曲面部43が、X1側の最外角度線B2よりもX1側に配置され、伝搬材収容凹部40のうちX2側の曲面部43が、X2側の最外角度線B3よりもX2側に配置されている。なお、伝搬材収容凹部40のYZ断面でも同様である。つまり、内周面42は、伝搬材収容凹部40の全周に渡って、接触面3a側の開口端部がLED素子22の配光角の最外角度線よりも外側に位置するように形成されている。
この結果、第1実施形態では、LED素子22の配光角の最外角度線B2およびB3が周壁部31aを通らずに伝搬材収容凹部40内を通過する。そのため、第1実施形態では、窓板部32は透光性を有する必要があるが、ボトム部31およびトップ部33は透光性を有しなくともよい。
次に、図4を参照して、第1実施形態による光音響画像化装置100の作用を説明する。
光音響画像化装置100の使用時には、音響波AWおよび光の伝播損失の低減のために、ユーザによって、被検体Pの検出部位表面に伝搬材Mが塗布される。さらに、光源カバー部3の伝搬材収容凹部40内にも伝搬材Mが塗布(充填)されることが好ましい。この結果、伝搬材収容凹部40内は、伝搬材Mにより満たされる。なお、使用する伝搬材Mとしては、超音波診断用ゲルなどの比較的粘性の高い伝搬材Mであって、光透過率が90%以上であることが好ましい。
伝搬材Mが塗布(充填)された後、検出部1の先端の検出面および光源カバー部3の接触面3aが、被検体Pの表面に当接(図1参照)される。検出部1および光源カバー部3が被検体Pのうち比較的平坦部位に接している場合には、良好な接触状態が維持されるが、被検体Pの屈曲部位に合わせて検出部1を傾斜させた場合には、図4に示すように光源カバー部3が被検体Pの表面に対して傾斜し、接触面3aの一部と被検体Pの表面とが離間することになる。この際、第1実施形態では、伝搬材収容凹部40内に充填された伝搬材Mの一部が接触面3aと被検体Pの表面との隙間を埋めるように流出する。この結果、伝搬材収容凹部40内で光源部2からの光が通過する領域への空気の進入が伝搬材Mによって阻止される。
また、上記のように伝搬材収容凹部40の内周面42がオーバーハング形状を有しているので、伝搬材収容凹部40の内部により多くの伝搬材Mが収容されるとともに、伝搬材収容凹部40の開口部から外部への伝搬材Mの必要以上の流出が抑制される。また、検出部1および光源カバー部3が被検体Pの表面に沿って動かされる場合には、オーバーハング形状の内周面42が被検体Pの表面の伝搬材Mを掻き込むようにして伝搬材収容凹部40の内部に伝搬材Mを充填する。
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、被検体Pとの接触面3aにおいて、少なくとも光源部2におけるLED素子22の配置領域DAを覆う範囲で光源部2側に窪むように設けられた伝搬材収容凹部40を光源カバー部3に設ける。これにより、光源部2を覆う光源カバー部3を被検体Pの検出部位表面に当接させた状態で、超音波診断用ゲルなどの伝搬材Mを伝搬材収容凹部40内に保持することができる。このため、被検体Pの表面の湾曲に合わせて光源カバー部3と被検体Pの表面との間が離間した場合には、伝搬材収容凹部40内の伝搬材Mによって光源カバー部3と被検体Pの表面との間の隙間を埋めることができる。これにより、LED素子22を有する光源部2を検出部1の近傍に配置する構成において、光源部2(光源カバー部3)と被検体Pの表面との間の領域に空気が侵入することを抑制することができる。この結果、光源部2(光源カバー部3)と被検体Pの表面との間の領域に空気が侵入することによる光の反射(散乱)や屈折に起因する光の伝搬損失を抑制することが可能となる。
また、光音響画像化装置100の使用時に光源部2が被検体Pに近接すると、LED素子22の発熱によって被検体(被検者)に不快感を与える可能性が考えられる。これに対して、第1実施形態では、光源部2と被検体Pの表面との間の伝搬材収容凹部40において伝搬材Mを介在させておくことができるので、LED素子22の発熱に起因して被検体(被検者)に不快感を与えることを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、伝搬材収容凹部40の内周面42を、接触面3a側(Z2側)の開口端部が光源部2側(Z1側)の端部よりも伝搬材収容凹部40の内側に向けて突出するオーバーハング形状に形成する。これにより、伝搬材収容凹部40の開口幅W4を伝搬材収容凹部40の光源部2側(底部)の幅よりも狭くすることができるので、伝搬材収容凹部40内に保持された伝搬材が伝搬材収容凹部40から流出することを抑制することができる。この結果、光音響画像化装置100の使用中、伝搬材Mをより確実に伝搬材収容凹部40内に確保しておくことができる。さらに、光音響画像化装置100の使用中に検出部1を被検体Pの表面に沿って移動させると、オーバーハング形状の内周面42によって、被検体Pの表面に塗布された伝搬材Mを掻き込んで伝搬材収容凹部40内に充填させる効果を期待することができる。これによっても、伝搬材収容凹部40内に十分な量の伝搬材Mを確保することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、伝搬材収容凹部40の内周面42に、接触面3aと滑らかに連続する丸みを帯びた曲面部43を設ける。これにより、接触面3aに伝搬材収容凹部40を設ける構成においても、伝搬材収容凹部40の開口端部が被検体Pの表面との接触する際の引っかかりを防ぎ、被検体Pの表面との良好な接触状態を確保することができる。この結果、伝搬材収容凹部40の曲面部43によって、接触に起因する圧迫感や不快感を被検者(被検体P)に生じさせることを抑制することができる。なお、第1実施形態では、接触面3aの外周側にも曲面部34を形成することよって、接触面3aの全面と被検体Pの表面との接触状態を良好に保つことが可能である。
また、第1実施形態では、上記のように、伝搬材収容凹部40を、接触面3a側の開口端部がLED素子22の配光角の最外角度線B2およびB3よりも外側に位置するように形成する。これにより、LED素子22から出射される光の大部分を、伝搬材収容凹部40を通して被検体Pに照射させることができる。この結果、伝搬材収容凹部40の内周面42で吸収、散乱または屈折される光を減少させて、より多くの光を被検体Pに照射させることができるので、光の伝搬損失をさらに低減することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、光源部2に光放出半導体素子であるLED素子22を設ける。これにより、光源部2を小型化することができるとともに、比較的消費電力の小さいLED素子22を用いることにより消費電力を低減することができる。
(第2実施形態)
次に、図5〜図7を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、光源カバー部3の接触面3aに伝搬材収容凹部40を形成した上記第1実施形態に加えて、伝搬材収容凹部140内に突起部141を形成した例について説明する。なお、第2実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
第2実施形態による光音響画像化装置200(図6参照)では、図5に示すように、光源カバー部103の伝搬材収容凹部140に突起部141が設けられている。突起部141は、LED素子22と光出射方向(Z2方向)に重なる位置に、伝搬材収容凹部140の光源部2側の底面41から接触面3aまで延びるように形成されている。なお、底面41は、本発明の「底部」の一例である。
さらに、第2実施形態では、突起部141は、図6に示すように、伝搬材収容凹部140の長手方向(Y方向)の全幅に渡って延びることにより、伝搬材収容凹部140を第1凹部領域140aと第2凹部領域140bとに分割するように形成されている。したがって、第1凹部領域140aと第2凹部領域140bとは、それぞれ、周壁部31aと、突起部141とによって区画された凹部領域となっている。この結果、第2実施形態では、分割された第1凹部領域140aと第2凹部領域140bとの2カ所に伝搬材M(図4参照)を収容することが可能である。なお、図6では、便宜的に突起部141にハッチングを付して図示している。
なお、第2実施形態では、図5に示すように、突起部141は、窓板部132の下面に一体形成されている。したがって、突起部141は、窓板部132と同一の透光性(赤外光の透過性)を有する材料からなり、断面において窓板部132との境界がなく連続している。なお、上記第1実施形態と同様、窓板部132をボトム部31と一体形成してもよく、その場合、窓板部132、伝搬材収容凹部140および突起部141がボトム部31に一体的に形成される。
突起部141は、X方向に3列並ぶLED素子22のうち、中央のLED素子22の直下の位置に形成されている。すなわち、突起部141は、中央のLED素子22の中心線B1が、突起部141の略中央を通過するように配置されている。一方、突起部141は、X方向の両側のLED素子22の中心線B1同士の幅W5よりも、小さい幅W6を有する。したがって、X方向の両側のLED素子22の中心線B1は、いずれも突起部141を通過しないで、伝搬材収容凹部140の内部を通過する。
また、突起部141は、光源部2側(Z1側)の端部が窓板部132と連続しているとともに、接触面3a側(Z2側)の端部が接触面3aと略面一の平坦面になるように形成されている。突起部141の両側面142は、それぞれ、第1凹部領域140aおよび第2凹部領域140bの内周面の一部を構成している。また、突起部141は、接触面3a側(Z2側)の端部が、光源部2側(Z1側)の端部よりも伝搬材収容凹部40の両外側に向けて突出するように形成されている。これにより、第1凹部領域140aおよび第2凹部領域140bの突起部141側の内周面(すなわち、突起部141の側面142)は、内周面の他の部分と同様に、オーバーハング形状を有している。つまり、第1凹部領域140aおよび第2凹部領域140bの開口幅が、第1凹部領域140aおよび第2凹部領域140bの底面41の幅よりも小さい。
また、突起部141の側面142は、それぞれのLED素子22から入射する光の入射方向を考慮して、入射光を被検体P側に向けて出射させるように湾曲した曲面形状に形成されている。
図7には、XZ断面において、それぞれのLED素子22から出射される光の軌跡LT1〜LT6を示している。中央のLED素子22の中心線B1を通る最大強度の光は、窓板部132および突起部141内を直進して、接触面3a側(すなわち、被検体P側)に出射される。中央のLED素子22から突起部141内に入る所定角度範囲の拡散光は、軌跡LT1およびLT2のように、屈折率の相違によって突起部141の側面142で全反射して、被検体Pに入射する。
また、両側のLED素子22の中心線B1を通る最大強度の光は、ぞれぞれ、窓板部132を通過した後、第1凹部領域140aおよび第2凹部領域140b内で突起部141の外側を直進し、被検体P内に入射する。両側のLED素子22から突起部141内に入る拡散光は、軌跡LT3〜LT6のように、突起部141の側面142で1または数回屈折して、被検体P側に出射される。このように、突起部141は、LED素子22のうち最大強度の光を被検体P側に向けて直進させるとともに、突起部141内を通る拡散光については光の方向を被検体P側に向けるように導光(集光)する。これにより、突起部141は、それぞれのLED素子22の光を集約して、より高エネルギーの光を被検体P側に照射させるように機能する。
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、LED素子22を有する光源部2を検出部1の近傍に配置する構成において、伝搬材収容凹部140によって、光源部2(光源カバー部103)と被検体Pの表面との間の領域に空気が侵入することを抑制することができる。その結果、光源部2(光源カバー部103)と被検体Pの表面との間の領域における光の反射(散乱)や屈折による光の伝搬損失を抑制することが可能となる。
また、第2実施形態では、上記のように、伝搬材収容凹部140に、LED素子22と光出射方向(Z2方向)に重なる位置に、伝搬材収容凹部140の光源部2側の底面41から接触面3aまで延びる透光性の突起部141を設ける。これにより、LED素子22の光出射面から突起部141を介して接触面3aまで光を届けることができるとともに、突起部141の形成領域では空気の進入を防止することができる。この結果、伝搬材収容凹部140内の伝搬材Mによって空気の進入を抑制しつつ、LED素子22の光をより効率よく被検体に届けることができる。
また、第2実施形態では、上記のように、突起部141を、伝搬材収容凹部140のY方向の全幅に渡って延びるように形成することより、伝搬材収容凹部140を第1凹部領域140aと第2凹部領域140bとに分割するように構成する。これにより、分割された第1凹部領域140aと第2凹部領域140bとにそれぞれ伝搬材Mを保持させておくことができる。そのため、伝搬材収容凹部140を分割しない場合と比べて、光音響画像化装置200の使用中における伝搬材Mの流出をより効果的に抑制することができる。
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1および第2実施形態では、伝搬材収容凹部40(140)の内周面42に直線状の傾斜面を形成することにより、内周面42を底面41から開口端部にかけて中央側に突出するオーバーハング形状に形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば図8に示す変形例のように、内周面242の傾斜部分を曲面状に形成してもよい。この変形例では、接触面3aに近付くにしたがって、接触面3aに対する傾斜角度αが小さくなるように、内周面242が形成されている。このように構成すれば、伝搬材収容凹部240の内部に充填させた伝搬材Mが流出することをより効果的に抑制することができる。
なお、本発明では、上記第1、第2実施形態および図8の変形例のように、内周面42(242)をオーバーハング形状に形成しなくともよい。たとえば、伝搬材収容凹部の内周面を接触面に対して垂直になるように形成してもよい。ただし、この場合、内周面をオーバーハング形状に形成する場合と比較すると、伝搬材収容凹部の内部に充填させた伝搬材が流出し易くなる。
また、上記第1および第2実施形態では、光源カバー部3(103)のボトム部31と窓板部32(132)とを別個に設けて、ボトム部31の周壁部31aと窓板部32(132)とによって伝搬材収容凹部40(140)を形成した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図8に示した変形例のように、窓板部が一体形成されたボトム部231を設けて、ボトム部231の下面(接触面3a)に伝搬材収容凹部240を一体形成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、伝搬材収容凹部40の開口端部を、LED素子22の配光角θの最外角度線B2およびB3よりも外側に配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、伝搬材収容凹部40の開口端部を、LED素子22の配光角θの最外角度線B2およびB3よりも内側に配置してもよい。その場合、周壁部31aがLED素子22の配光角θの内側に入ることになるので、周壁部またはボトム部全体を、窓板部と同様の透光性材料によって形成すればよい。
また、上記第2実施形態では、突起部141の側面142を曲面形状に形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、突起部の側面を直線状の平坦面などにより形成してもよい。その場合、たとえば周壁部31a側の内周面42と同様の断面形状としてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、複数のLED素子22を、3列の素子列を構成するようにアレイ状に配列した例を示したが、本発明はこれに限られない。LED素子の個数や、配列の仕方は任意である。したがって、1、2または4列以上の素子列を構成するように、複数のLED素子を配列してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、本発明の光放出半導体素子の一例として、LED素子22を光源部2に設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、光放出半導体素子として、LED素子以外の光放出半導体素子を用いてもよい。たとえば、図9に示す変形例のように、光放出半導体素子を半導体レーザ素子122や、有機発光ダイオード素子222により構成してもよい。光放出半導体素子を半導体レーザ素子122により構成する場合には、LED素子22と比べて、比較的指向性の高いレーザ光を被検体に照射することができるので、半導体レーザ素子122からの光の大部分を確実に被検体に照射することができる。また、光放出半導体素子を有機発光ダイオード素子222により構成する場合には、薄型化が容易な有機発光ダイオード素子222を用いることにより、光放出半導体素子が設けられる光源部2を容易に小型化することができる。
また、上記第1および第2実施形態において、伝搬材Mとして超音波診断用ゲルを使用する例を説明したが、伝搬材は、音響波および光の伝播損失の低減に寄与するものであれば、どのようなものを用いてもよい。伝搬材収容凹部内に収容して保持する観点からは、伝搬材は、ある程度の粘性を有するものを用いるのが好ましい。