以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る露光装置EXの一例を示す概略構成図である。本実施形態の露光装置EXは、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する液浸露光装置である。本実施形態においては、液体LQとして、水(純水)を用いる。
図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ1と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ2と、マスクステージ1及び基板ステージ2の位置を光学的に計測する干渉計システム3と、マスクMを露光光ELで照明する照明系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影光学系PLと、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成可能な液浸部材4と、少なくとも投影光学系PL及び基板ステージ2を収容するチャンバ装置5と、少なくとも投影光学系PLを支持するボディ6と、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置7とを備えている。
マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。マスクMは、例えばガラス板等の透明板と、その透明板上にクロム等の遮光材料を用いて形成されたパターンとを有する透過型マスクを含む。なお、マスクMとして、反射型マスクを用いることもできる。
基板Pは、デバイスを製造するための基板である。基板Pは、例えば半導体ウエハ等の基材と、その基材上に形成された多層膜とを含む。多層膜は、少なくとも感光膜を含む複数の膜が積層された膜である。感光膜は、感光材で形成された膜である。また、多層膜が、例えば反射防止膜、及び感光膜を保護する保護膜(トップコート膜)を含んでもよい。
チャンバ装置5は、実質的に閉ざされた内部空間8を形成するチャンバ部材5Aと、内部空間8の環境(温度、湿度、クリーン度、及び圧力等)を制御する環境制御装置5Bとを有する。基板ステージ2は、内部空間8を移動する。チャンバ装置5は、少なくとも基板ステージ2が移動する空間(内部空間8)の環境を調整する。
本実施形態においては、内部空間8に、ボディ6が配置される。ボディ6は、支持面FL上に設けられた第1コラム9と、第1コラム9上に設けられた第2コラム10とを有する。第1コラム9は、第1支持部材11と、第1支持部材11に防振装置12を介して支持された第1定盤13とを有する。第2コラム10は、第1定盤13上に設けられた第2支持部材14と、第2支持部材14に防振装置15を介して支持された第2定盤16とを有する。また、本実施形態においては、支持面FL上に、防振装置17を介して、第3定盤18が配置されている。
照明系ILは、所定の照明領域IRに露光光ELを照射する。照明領域IRは、照明系ILから射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。照明系ILは、照明領域IRに配置されたマスクMの少なくとも一部を、均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILから射出される露光光ELとして、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においては、露光光ELとして、紫外光(真空紫外光)であるArFエキシマレーザ光を用いる。
マスクステージ1は、マスクMをリリース可能に保持するマスク保持部19を有し、マスクMを保持した状態で、第2定盤16のガイド面16G上を移動可能である。マスクステージ1は、駆動システム20の作動により、照明領域IRに対して、マスクMを保持して移動可能である。駆動システム20は、マスクステージ1に配置された可動子20Aと、第2定盤16に配置された固定子20Bとを有する平面モータを含む。マスクステージ1を移動可能な平面モータは、例えば米国特許第6452292号明細書に開示されている。マスクステージ1は、駆動システム20の作動により、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
投影光学系PLは、所定の投影領域PRに露光光ELを照射する。投影光学系PLは、投影領域PRに配置された基板Pの少なくとも一部に、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で投影する。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5、又は1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。本実施形態においては、投影光学系PLの光軸AXはZ軸と平行である。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。
投影光学系PLの複数の光学素子は、保持部材(鏡筒)21に保持されている。保持部材21は、フランジ21Fを有する。投影光学系PLは、フランジ21Fを介して、第1定盤13に支持される。なお、第1定盤13と保持部材21との間に防振装置を設けることができる。
投影光学系PLは、投影光学系PLの像面に向けて露光光ELを射出する射出面23を有する。射出面23は、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い終端光学素子22に配置されている。投影領域PRは、射出面23から射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。本実施形態において、射出面23は−Z方向を向いており、XY平面と平行である。なお、−Z方向を向いている射出面23は、凸面であってもよいし、凹面であってもよい。
本実施形態において、終端光学素子22の光軸(投影光学系PLの像面近傍の光軸)AXは、Z軸とほぼ平行である。なお、終端光学素子22と隣り合う光学素子で規定される光軸を終端光学素子22の光軸とみなしてもよい。また、本実施形態において、投影光学系PLの像面は、X軸とY軸とを含むXY平面とほぼ平行である。また、本実施形態において、像面は、ほぼ水平である。ただし、像面はXY平面と平行でなくてもよいし、曲面であってもよい。
基板ステージ2は、基板Pをリリース可能に保持する基板保持部24を有し、第3定盤18のガイド面18G上を移動可能である。基板ステージ2は、駆動システム25の作動により、投影領域PRに対して、基板Pを保持して移動可能である。駆動システム25は、基板ステージ2に配置された可動子25Aと、第3定盤18に配置された固定子25Bとを有する平面モータを含む。基板ステージ2を移動可能な平面モータは、例えば米国特許第6452292号明細書に開示されている。基板ステージ2は、駆動システム25の作動により、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
基板ステージ2は、基板保持部24の周囲に配置され、射出面23と対向可能な上面26を有する。本実施形態において、基板ステージ2は、米国特許出願公開第2007/0177125号明細書等に開示されているような、基板保持部24の周囲の少なくとも一部に配置され、プレート部材Tの下面をリリース可能に保持するプレート部材保持部27を有する。本実施形態において、基板ステージ2の上面26は、プレート部材Tの上面を含む。上面26は、平坦である。
本実施形態において、基板保持部24は、基板Pの表面とXY平面とがほぼ平行となるように、基板Pを保持可能である。プレート部材保持部27は、プレート部材Tの上面26とXY平面とがほぼ平行となるように、プレート部材Tを保持可能である。なお、プレート部材Tが基板ステージ2からリリース可能でなくてもよい。その場合、プレート部材保持部27は省略できる
干渉計システム3は、XY平面内におけるマスクステージ1(マスクM)の位置を光学的に計測可能な第1干渉計ユニット3Aと、XY平面内における基板ステージ2(基板P)の位置を光学的に計測可能な第2干渉計ユニット3Bとを有する。基板Pの露光処理を実行するとき、あるいは所定の計測処理を実行するとき、制御装置7は、干渉計システム3の計測結果に基づいて、駆動システム20,25を作動し、マスクステージ1(マスクM)及び基板ステージ2(基板P)の位置制御を実行する。
液浸部材4は、露光光ELの光路の周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態において、液浸部材4の少なくとも一部は、終端光学素子22の周囲の少なくとも一部に配置される。液浸部材4は、射出面23と対向する位置に配置された物体の表面(上面)と対向可能な下面30を有する。液浸部材4は、射出面23と、射出面23と対向する位置に配置された物体との間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成する。液浸空間LSを形成する液体LQの一部は、下面30の少なくとも一部と物体の表面(上面)との間に保持される。
液浸空間LSは、液体LQで満たされた部分(空間、領域)である。本実施形態において、射出面23と対向する位置に移動可能な物体は、基板ステージ2(プレート部材T)、及び基板ステージ2に保持された基板Pの少なくとも一方を含む。基板Pの露光中、液浸部材4は、終端光学素子22と基板Pとの間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成する。
本実施形態において、液浸部材4は、支持機構28に支持されている。本実施形態において、支持機構28は、第1定盤13に支持されている。本実施形態において、液浸部材4は、支持機構28を介して、第1定盤13に吊り下げられている。
本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)である。基板Pの露光時、制御装置7は、マスクステージ1及び基板ステージ2を制御して、マスクM及び基板Pを、光軸AX(露光光ELの光路)と交差するXY平面内の所定の走査方向に移動する。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。制御装置7は、基板Pを投影光学系PLの投影領域PRに対してY軸方向に移動するとともに、その基板PのY軸方向への移動と同期して、照明系ILの照明領域IRに対してマスクMをY軸方向に移動しつつ、投影光学系PLと基板P上の液浸空間LSの液体LQとを介して基板Pに露光光ELを照射する。これにより、マスクMのパターンの像が基板Pに投影され、基板Pは露光光ELで露光される。
次に、図2及び図3を参照して、液浸部材4について説明する。図2は、液浸部材4の近傍を示す側断面図、図3は、図2の一部を拡大した図である。なお、図2及び図3に示す例では、液浸部材4の下方において、射出面23および下面30と対向するように配置されている物体は基板Pである。
以下、簡単のため、射出面23及び下面30と対向する位置に基板Pが配置され、液浸部材4と基板Pとの間に液体LQが保持されて液浸空間LSが形成される場合を例にして説明する。なお、上述のように、射出面23及び液浸部材4と他の部材(基板ステージ2のプレート部材T等)との間に液浸空間LSを形成することができる。
液浸部材4の少なくとも一部は、露光光ELの一部の光路K及び終端光学素子22の周囲に配置されている。本実施形態において、液浸部材4は、環状の部材である。本実施形態において、XY平面内における液浸部材4の外形は、円形である。なお、液浸部材4の外形が、他の形状(例えば、矩形)でもよい。
本実施形態において、液浸部材4は、終端光学素子22の射出面23から射出される露光光ELの光路Kに液体LQを供給する供給口31と、光路Kの周囲の少なくとも一部に配置され、液体LQを回収可能な液体回収部32と、光路Kの周囲の少なくとも一部に配置され、液体LQを回収可能な回収口33とを備えている。
また、液浸部材4は、供給口31に液体LQを供給するための供給流路34と、液体回収部32からの液体LQを回収するための回収流路35と、回収口33からの液体LQを回収するための回収流路36とを備えている。供給流路34、回収流路35、及び回収流路36は、液浸部材4の内部に形成されている。供給口31は、供給流路34の一端に配置されている。液体回収部32は、回収流路35の一端に配置されている。回収口33は、回収流路36の一端に配置されている。
供給口31は、供給流路34及び供給管の流路37を介して、液体供給装置38と接続されている。液体供給装置38は、クリーンで温度調整された液体LQを、供給口31に供給することができる。
液体回収部32は、回収口39を有する。回収口39は、回収流路35及び回収管の流路40を介して、液体回収装置41に接続されている。液体回収装置41は、圧力調整装置を含み、流路40を介して回収流路35の圧力を調整可能である。本実施形態において、液体回収装置41は、真空システム(真空源と回収口との接続状態を制御するバルブなど)を含み、回収流路35を所定の負圧に調整可能である。液体回収装置41は、回収流路35を負圧にして、液体回収部32から液体LQを吸引して回収可能である。液体回収部32から回収された液体LQは、回収流路35、及び流路40を介して、液体回収装置41に回収される。
回収口33は、回収流路36及び回収管の流路42を介して、液体回収装置43に接続されている。液体回収装置43は、真空システム(真空源と回収口との接続状態を制御するバルブなど)を含み、回収口33から液体LQを吸引して回収することができる。
本実施形態において、液浸部材4は、第1多孔部材44と、第2多孔部材45とを備えている。第1多孔部材44は、基板Pと対向可能な位置に配置されている。第2多孔部材45は、回収口39に配置されている。本実施形態において、液体回収部32は、回収口39と、その回収口39に配置された第2多孔部材45とを含む。
第1多孔部材44は、第1面51と、第1面51と異なる方向を向く第2面52と、第1面51と第2面52とを結ぶ複数の孔46とを有する。第2多孔部材45は、第3面53と、第3面53と異なる方向を向く第4面54と、第3面53と第4面54とを結ぶ複数の孔47とを有する。
第1多孔部材44は、基板P(物体)が第2面52に面するように液浸部材4に配置される。液浸部材4は、第1多孔部材44の少なくとも一部を支持する。
第2多孔部材45は、第3面53が回収流路35に面するように配置される。液浸部材4は、第2多孔部材45の少なくとも一部を支持する。
本実施形態において、第2多孔部材45は、第4面54の少なくとも一部が、第1多孔部材44の第1面51と第1ギャップG1を介して対向するように配置される。
本実施形態において、第1多孔部材44は、複数の小さい孔46が形成されたプレート状の部材である。第1多孔部材44は、プレート部材(基材)を加工して、複数の孔46を形成した部材であり、メッシュプレートとも呼ばれる。本実施形態において、第1多孔部材44は、チタンで形成されている。なお、第1多孔部材44が、ステンレスで形成されてもよい。
本実施形態において、第1面51は、第4面54と第1ギャップG1を介して対向するように、上方向(+Z方向)を向いている。第2面52は、第1面51の逆方向(−Z方向、下方向)を向いている。なお、本実施形態において、上方向は、光軸AXと平行であって、露光光ELが進行する方向と逆方向である。下方向は、光軸AXと平行であって、露光光ELが進行する方向である。
本実施形態において、第1面51と第2面52とは、ほぼ平行である。本実施形態において、第1面51と第2面52とは、基板Pの表面(XY平面)とほぼ平行である。
なお、第1面51と第2面52とが、非平行でもよい。また、第1面51がXY平面に対して傾斜していてもよい。すなわち、第1面51の法線が、光軸AXと非平行でもよい。また、第2面52がXY平面に対して傾斜していてもよい。また、第1面51の少なくとも一部が曲面でもよいし、第2面52の少なくとも一部が曲面でもよい。
本実施形態において、第2多孔部材45は、複数の小さい孔47が形成されたプレート状の部材である。本実施形態において、第2多孔部材45は、メッシュプレートである。本実施形態において、第2多孔部材45は、チタンで形成されている。なお、第2多孔部材45が、ステンレスで形成されてもよい。
本実施形態において、第3面53は、回収流路35に面するように、上方向(+Z方向)を向いている。第4面54は、第3面53の逆方向(−Z方向、下方向)を向いている。第4面54の少なくとも一部は、第1面51と第1ギャップG1を介して対向する。
本実施形態において、第3面53と第4面54とは、ほぼ平行である。本実施形態において、第3面53と第4面54とは、基板Pの表面(XY平面)とほぼ平行である。
なお、第3面53と第4面54とが、非平行でもよい。また、第3面53がXY平面に対して傾斜していてもよい。すなわち、第3面53の法線が、光軸AXと非平行でもよい。また、第4面54がXY平面に対して傾斜していてもよい。また、第3面53の少なくとも一部が曲面でもよいし、第4面54の少なくとも一部が曲面でもよい。
本実施形態において、液浸部材4は、終端光学素子22の周囲に配置される本体部48と、Z軸方向に関して少なくとも一部が終端光学素子22の射出面23と基板Pの表面との間に配置されるプレート部49とを有する。
プレート部49は、射出面23と対向する位置に開口50を有する。射出面23から射出された露光光ELは、開口50を通過可能である。例えば、基板Pの露光中、射出面23から射出された露光光ELは、開口50を通過し、液体LQを介して基板Pの表面に照射される。本実施形態において、開口50は、基板Pの走査方向(Y軸方向)と交差するX軸方向に長い。
プレート部49は、射出面23の一部と対向する上面60と、基板Pの表面と対向可能な下面61とを有する。上面60及び下面61のそれぞれは、開口50の周囲に配置されている。すなわち、上面60及び下面61のそれぞれは、終端光学素子22の射出面23から射出される露光光ELの光路Kの周囲に配置される。
本実施形態において、液浸部材4の下面30は、プレート部49の下面61、及び第1多孔部材44の第2面52を含む。プレート部49の下面61、及び第1多孔部材44の第2面52は、終端光学素子22からの露光光ELが照射可能な位置に配置された基板Pの表面との間で液体LQを保持可能である。液浸空間LSの液体LQは、少なくともプレート部49の上面60及び下面61に接触する。
本実施形態において、下面61は、平坦面である。本実施形態において、下面61は、基板Pの表面(XY平面)とほぼ平行である。本実施形態において、上面60と下面61とは、ほぼ平行である。また、射出面23と、上面60及び下面61とは、ほぼ平行である。
なお、下面61が、XY平面に対して傾斜していてもよい。また、下面61と射出面23とが非平行でもよいし、上面60と射出面23とが非平行でもよいし、上面60と下面61とが非平行でもよい。また、上面60の少なくとも一部が曲面でもよいし、下面61の少なくとも一部が曲面でもよい。また、射出面23の少なくとも一部が曲面でもよい。
以下の説明において、下面61を適宜、液体接触面61、と称する。液体接触面61は、射出面23から射出される露光光ELの光路Kの周囲に配置される。
本実施形態において、第2面52は、液体接触面61の周囲の少なくとも一部に配置され、液浸部材4の下面30において液体接触面61から離れて配置されている。すなわち、液体接触面61の外側エッジ61Eと第2面52の内側エッジ52Eとの間に第2ギャップG2が形成されるように、第1多孔部材44とプレート部49とが配置されている。
第2ギャップG2は、基板P上の液体LQが、第1多孔部材44の孔46を介さずに、第1多孔部材44と第2多孔部材45との間の第1ギャップG1に流入可能な開口部55を形成する。基板P上の液体LQは、液体接触面61と第2面52との間に形成された開口部55から、第1多孔部材44と第2多孔部材45との間の空間56(第1ギャップG1)に流入可能である。
また、基板P上の液体LQは、第1多孔部材44の孔46を介して、第1多孔部材44と第2多孔部材45との間の空間56に流入することもできる。
本実施形態において、第2面52と液体接触面61とは、ほぼ同一平面内(XY平面内)に配置される。例えば基板Pの露光中において、第2面52と基板Pの表面との間のギャップG3と、液体接触面61と基板Pの表面との間のギャップG4とは、ほぼ同じ寸法である。本実施形態において、ギャップG3のZ軸方向の寸法は、10〜500ミクロンである。本実施形態において、ギャップG3のZ軸方向の寸法は、ギャップG1のZ軸方向の寸法より小さい。例えば、ギャップG1の寸法は、ギャップG3の2〜200倍である。
なお、第2面52と液体接触面61とは、同一平面内に配置されていなくてもよい。例えば、第2面52が、液体接触面61より上方(基板Pの表面から離れた位置)に配置されてもよいし、液体接触面61より下方(基板Pの表面に近い位置)に配置されてもよい。また、第2面52と液体接触面61とが平行でなくてもよい。例えば、第2面52の少なくとも一部が、露光光ELの光路K(終端光学素子22の光軸AX)に対する放射方向において、外側に向かって上方に傾斜していてもよい。
本実施形態において、第2面52は、液体LQに対して撥液性である。液体LQに対する第2面52の接触角は、例えば90度以上である。液体LQに対する第2面52の後退接触角は90度以上である。
本実施形態において、第2面52は、第1面51、第3面53、及び第4面54の少なくとも一つより、液体LQに対して撥液性である。
本実施形態において、第2面52は、液体LQに対して撥液性の膜の表面で形成されている。本実施形態において、膜を形成する材料は、フッ素を含むフッ素系材料(フッ素系膜)である。本実施形態において、膜は、PFA(Tetra fluoro ethylene-perfluoro alkylvinyl ether copolymer)の膜である。なお、膜が、PTFE(Poly tetra fluoro ethylene)、PEEK(polyetheretherketone)、テフロン(登録商標)等の膜でもよい。また、膜が、旭硝子社製「サイトップ」、あるいは3M社製「Novec EGC」でもよい。
本実施形態において、第1面51は、液体LQに対して撥液性である。液体LQに対する第1面51の接触角は、例えば90度以上である。第2面52と同様、第1面51は、撥液性の膜の表面で形成されている。液体LQに対する第1面51の後退接触角は90度以上である。
また、本実施形態においては、孔46の内面も、液体LQに対して撥液性である。
なお、第1多孔部材44を液体LQに対して撥液性の材料で形成し、第2面52が、第1面51、第3面53、及び第4面54の少なくとも一つより液体LQに対して撥液性となるように、第1面51、第2面52、第3面53、及び第4面54の少なくとも一つを膜の表面で形成してもよい。
本実施形態において、第4面54は、液体LQに対して親液性である。液体LQに対する第4面54の接触角は、例えば90度より小さい。本実施形態において、第4面54は、チタンの表面で形成されている。
本実施形態において、第3面53は、液体LQに対して親液性である。第3面53は、チタンの表面で形成されている。また、孔47の内面も、チタンの表面で形成されており、液体LQに対して親液性である。
本実施形態においては、液体LQに対する第1面51、第2面52、第3面53、及び第4面54の撥液性のうち、第2面52の撥液性が最も高い。なお、液体LQに対する第1面51の撥液性と第2面52の撥液性とがほぼ等しくてもよい。
図4は、第1多孔部材44の第2面52の一部を示す模式図、図5は、第2多孔部材45の第4面54の一部を示す模式図である。本実施形態において、第2面52と平行な面内における孔46の形状は、円形である。また、第4面54と平行な面内における孔47の形状は、円形である。本実施形態において、孔46の径(寸法)は、孔47の径(寸法)より大きい。例えば、孔46の径は、500〜5000ミクロンであり、孔47の径の5〜200倍である。これにより、基板P上の液体LQは、孔46を介して、空間56に円滑に流入可能である。なお、第1多孔部材44において複数の孔46のすべてが同じ径でなくてもよい。同様に、第2多孔部材45の複数の孔47のすべてが同じ径でなくてもよい。したがって、本実施形態においては、第1多孔部材44の孔46の径が、第2多孔部材45の孔47の径より大きいことは、第1多孔部材44の複数の孔46の径の平均が、第2多孔部材45の複数の孔47の径の平均より大きいこと、第1多孔部材44の複数の孔46のうちの最小の孔の径が、第2多孔部材45の複数の孔47のうちの最初の孔の径より大きいことなどを含む。
図2及び図3に示すように、液体回収部32は、第1多孔部材44の上方に配置される。液体回収部32は、第2面52と基板Pとの間から第1多孔部材44の孔46を介して第1ギャップG1(空間56)に流入した液体LQを回収可能であり、且つ、基板P上の液体LQを第1多孔部材44の孔46を介さずに、回収可能である。すなわち、液体回収部32は、第2面52と基板Pの表面との間から第1多孔部材44の孔46を介して第1ギャップG1(空間56)に流入した液体LQ、及び第1多孔部材44の孔46を介さずに、液体接触面61と第2面52との間の第2ギャップG2(開口部55)から、基板P上の液体LQを回収可能である。基板P上の液体LQは、第1多孔部材44の孔46、及び開口部55の少なくとも一方を介して、第1ギャップG1に流入可能である。液体回収部32は、その第1ギャップG1に流入した基板P上の液体LQを回収可能である。
本実施形態において、液体回収部32は、第2多孔部材45に接触した液体LQの少なくとも一部を、第2多孔部材45の孔47を介して回収する。
本実施形態において、制御装置7は、第2多孔部材45を介して回収流路35に液体LQのみが吸引されるように、すなわち、第2多孔部材45を介して回収流路35に気体が流入しないように、液体回収装置41を制御して、回収流路35の圧力を調整する。制御装置7は、回収流路35に液体LQのみが吸引されるように、回収流路35の圧力を調整して、第3面53側と第4面54側との圧力差を調整する。
本実施形態において、第4面54側の空間56の圧力は、第1多孔部材44の孔46を介して雰囲気に開放され、チャンバ装置5によって制御されている。本実施形態においては、液体回収部32と第1多孔部材44との間の空間56の圧力は、回収流路35の圧力より高い。なお、空間56の圧力は、第2面52側の空間(第1多孔部材44と基板Pとの間の空間)の圧力とほぼ等しい。
制御装置7は、第2多孔部材45の第4面54側から第3面53側へ液体LQのみが通過するように、液体回収装置41を制御して、第3面53側の圧力(回収流路35の圧力)を調整する。すなわち、制御装置7は、第2多孔部材45の孔47を介して、液体LQのみを回収し、気体は第2多孔部材45の孔47を通過しないように、第3面53側の圧力と第4面54側の圧力との差を調整する。多孔部材の一側と他側との圧力差を調整して、多孔部材の一側から他側へ液体LQのみを通過させる技術は、例えば米国特許第7292313号明細書などに開示されている。
なお、本実施形態において、「雰囲気」は、液浸部材4を取り囲む気体である。本実施形態において、液浸部材4を取り囲む気体は、チャンバ装置5によって形成される内部空間8の気体である。本実施形態において、チャンバ装置5は、環境制御装置5Bを用いて、内部空間8をクリーンな空気で満たす。また、チャンバ装置5は、環境制御装置5Bを用いて、内部空間8をほぼ大気圧に調整する。もちろん、内部空間8を大気圧よりも高く設定してもよい。
なお、本実施形態において、空間56の圧力は、回収流路35の圧力より高く、第2面52側の空間の圧力より低くてもよい。
供給口31は、射出面23から射出される露光光ELの光路Kに面するように、液浸部材4の所定部位に配置されている。本実施形態において、液浸部材4の本体部48は、射出面23よりも上方で、投影光学系PLの少なくとも一部とギャップG5を介して対向する内面62を有する。内面62は、終端光学素子22の側面22Aの少なくとも一部と対向する内側面62Aと、側面22Aの周囲に配置され、下方(−Z方向)を向く下面22Bと対向する上面62Bとを含む。側面22A及び下面22Bは、射出面23と異なる面であり、露光光ELが通過しない面である。なお、下面22Bが、終端光学素子22の一部でもよいし、保持部材21の一部でもよい。本実施形態において、供給口31は、内側面62Aに配置されている。
本実施形態においては、供給口31は、開口50(露光光ELの光路K)に対して+Y側及び−Y側のそれぞれに配置されている。なお、供給口31が、開口50(露光光ELの光路K)に対して+X側及び−X側のそれぞれに配置されてもよい。また、供給口31の数は、2つに限られない。供給口31は、露光光ELの光路Kの周囲において、3箇所以上の位置に配置されてもよい。
本実施形態においては、プレート部49の上面60の少なくとも一部と射出面23とは、ギャップG6を介して対向する。供給口31は、射出面23と上面60との間に液体LQを供給する。供給口31からの液体LQは、射出面23から射出される露光光ELの光路Kに供給される。これにより、露光光ELの光路Kが液体LQで満たされる。
なお、供給口31が、側面22Aと対向するように内側面62Aに配置されてもよい。また、供給口31が、側面22Aと内側面62Aとの間に液体LQを供給してもよい。また、供給口31が下面30に設けられてもよい。
本実施形態において、投影光学系PLと液浸部材4の内面62とのギャップG5は、雰囲気に開放されている。ギャップG5は、内部空間8に面する開口63を介して、雰囲気に開放されている。供給口31から供給された液体LQの少なくとも一部は、ギャップG5に流入する。
回収口33は、供給口31より、光路Kから離れた位置に配置されている。回収口33は、内側面62Aに配置されている。回収口33は、側面22Aと内側面62Aとの間の液体LQの少なくとも一部を回収する。これにより、液浸空間LSの液体LQが、上面62Bを介して、液浸部材4の外側に流出することが抑制される。
本実施形態においては、基板Pの露光の少なくとも一部において、供給口31による液体LQの供給動作と、液体回収部32による液体LQの回収動作と、回収口33による液体LQの回収動作とが並行して実行され、露光光ELの光路Kが液体LQで満たされるように、所定の大きさの液浸空間LSが形成される。
供給口31から射出面23と上面60との間に供給された液体LQの少なくとも一部は、開口50を介して、液体接触面61と基板Pの表面との間に供給される。射出面23と基板Pの表面との間の露光光ELの光路Kは、供給口31から供給された液体LQで満たされる。また、液体LQの少なくとも一部は、液体接触面61及び第2面52を含む下面30と基板Pの表面との間に保持され、液浸空間LSの一部を形成する。
下面30と基板Pの表面との間の液体LQの少なくとも一部は、液体回収部32より回収される。液体回収部32は、第1多孔部材44の孔46を介して空間56(第1ギャップG1)に流入した液体LQ、及び開口部55を介して空間56に流入した液体LQの少なくとも一方を回収する。
本実施形態においては、基板Pに露光光ELが照射されているときに、投影領域PRを含む基板Pの表面の一部の領域が液体LQで覆われるように液浸空間LSが形成される。本実施形態の露光装置EXは、局所液浸方式を採用する。
本実施形態においては、液浸空間LSの液体LQの気液界面(メニスカス)は、下面30と、下面30に対向する基板Pの表面との間に配置される第1の界面LG1と、側面22Aと内側面62Aとの間に配置される第2の界面LG2とを含む。図2及び図3に示す例では、界面LG1は、第1多孔部材44の第2面52と基板Pの表面との間に配置されている。
次に、上述の構成を有する露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法について説明する。
制御装置7は、投影光学系PLの射出面23及び液浸部材4の下面30と基板Pの表面(あるいは基板ステージ2の上面26)とを対向させる。制御装置7は、供給口31による液体LQの供給動作と、液体回収部32による液体LQの回収動作と、回収口33による液体LQの回収動作とを並行して実行して、終端光学素子22の射出面23と、射出面23と対向する基板Pとの間の露光光ELの光路Kが液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成し、基板Pの露光を開始する。
制御装置7は、照明系ILより露光光ELを射出して、マスクMを露光光ELで照明する。マスクMからの露光光ELは、投影光学系PLの射出面23から射出される。制御装置7は、投影光学系PL及び射出面23と基板Pの表面との間の液体LQを介して、射出面23からの露光光ELを基板Pに照射する。これにより、マスクMのパターンの像が基板Pに投影され、基板Pが露光光ELで露光される。
上述のように、本実施形態の露光装置EXは、走査型露光装置であり、基板Pの露光の少なくとも一部において、射出面23と基板Pとの間に液体LQが保持されている状態で(液浸空間LSが形成されている状態で)、基板PがXY平面内の所定方向に移動される。例えば、基板Pに対する露光光ELの照射中(スキャン露光中)においては、基板Pは、終端光学素子22及び液浸部材4に対してY軸方向に移動する。また、基板P上の複数のショット領域を順次露光する場合において、第1ショット領域の露光後、次の第2ショット領域を露光する場合、基板Pは、終端光学素子22及び液浸部材4に対して、例えばX軸方向、あるいはXY平面内におけるX軸に対する傾斜方向に移動(ステップ移動)する。また、スキャン露光中の移動、及びステップ移動に限られず、基板Pは、射出面23との間に液体LQを保持した状態で、様々な移動条件で移動する可能性がある。
基板Pの移動条件は、XY平面内における所定方向(例えば−Y方向)に関する移動速度、加速度(減速度)、及び移動距離(XY平面内における第1位置から第2位置へ移動するときの移動距離)の少なくとも一つを含む。
本実施形態においては、第1多孔部材44が基板Pに近い位置に配置されているので、例えば、基板Pを高速で移動した場合、高加速度で移動した場合、及び移動距離を長くした場合にも、液浸部材4と基板Pとの間の空間から液体LQが漏出したり、基板P上に液体LQ(膜、滴等)が残留したりすることを抑制できる。
すなわち、第1多孔部材44の第2面52と基板Pの表面とのギャップG3が小さいので、下面30(第2面52)と基板Pの表面との間における液浸空間LSの液体LQの界面LG1の寸法(基板Pの表面の法線と平行な方向(Z方向)の寸法)を小さくすることができる。これにより、基板Pを高速で移動した場合、高加速度で移動した場合、及び移動距離を長くした場合にも、液浸部材4と基板Pとの間の空間から液体LQが漏出したり、基板P上に液体LQ(膜、滴等)が残留したりすることを抑制できる。
例えば、基板Pの表面と液浸部材の下面とのギャップが大きく、基板P上に形成される液体LQの界面LG1の寸法が大きい場合において、基板PをXY平面内の所定方向に高速で移動した場合、液体LQの界面LG1が基板Pとともに移動しやすく、基板P上において膜となる可能性が高くなる。その結果、液体LQが、液浸部材と基板Pの表面との間の空間から漏出したり、膜、滴等となって基板P上に残留したりする可能性がある。
本実施形態においては、液体回収部32を物体(基板P)から遠ざけて配置しているが、第1多孔部材44の第2面52と基板Pの表面とのギャップG3が小さくすなわち、その第2面52と基板Pの表面との間の界面LG1の寸法を小さくしているので、液体LQの漏出等を抑制することができる。
また、基板P上の液体LQの少なくとも一部は、開口部55を介して空間56に流入可能なので、液体回収部32によって円滑に回収される。
また、第1多孔部材44の第2面52と基板Pの表面との間の液体LQの少なくとも一部は、第1多孔部材44の孔46を介して、空間56に流入可能である。したがって、光軸AXに対する放射方向において、第1多孔部材44の第2面52と基板Pの表面との間の界面LG1が光軸AXから大きく離れたり、XY平面内において液浸空間LSが拡大したりすることが抑制される。換言すれば、基板PがXY平面内の所定方向に移動した場合でも、第1多孔部材44の第2面52と基板Pの表面との間の液体LQの少なくとも一部が第1多孔部材44の孔46を介して空間56に流入するので、第1多孔部材44と基板Pとの間の界面LG1(液体LQがその所定方向に移動(拡大)することが抑制される。また、界面LG1がその所定方向に移動した場合でも、第1多孔部材44の孔46を介して、液体LQの少なくとも一部が空間56に流入可能なので、その所定方向に移動した界面LG1を、その所定方向の逆方向へ素早く戻すことができる。そのため、液体LQの漏出等を、より効果的に抑制することができる。
また、上述したように、本実施形態においては、液体回収部32は、第1多孔部材44より物体(基板P)から離れた位置に配置されているので、液体回収部32が汚染されることが抑制される。
例えば、液体回収部32の第2多孔部材45を基板Pの表面に近い位置に配置した場合、第4面54が汚染される可能性が高くなる。また、第4面54が液体LQに対して親液性である場合、例えば基板Pの露光中に基板Pから放出され、汚染物(異物、パーティクル)として液浸空間LSの液体LQ中に混入した物質(例えば感光材等の有機物)が、その液体LQと接触した第4面54に付着する可能性が高くなる。その結果、第2多孔部材45が汚染される可能性が高くなる。
本実施形態においては、第2多孔部材45が、第1多孔部材44より基板Pから離れた位置に配置されているので、第2多孔部材45の汚染が抑制される。また、第2多孔部材45の汚染が抑制されるので、液体回収部32の液体回収性能は維持される。
また、第2多孔部材45の汚染が抑制されているので、第2多孔部材45を介して回収流路35に液体LQのみを吸引できる。
また、第2多孔部材45が物体(基板P)から離れて配置されているので、第2多孔部材45の汚染に起因して、物体(基板P)が汚染されたりすることも抑制できる。
一方、第1多孔部材44の表面(第1面51,第2面52,及び孔46の内面の少なくとも一つ)は、液体LQに対して撥液性である。したがって、第1多孔部材44が基板Pに近い位置に配置されていても、第1多孔部材44の表面に汚染物が付着することが抑制される。すなわち、第1多孔部材44の表面は撥液性なので、液体LQと接触しても、その液体LQ中に存在する汚染物が、第1多孔部材44の表面に付着することが抑制される。
また、第1多孔部材44の表面に汚染物が付着したとしても、その汚染物は、第1多孔部材44の表面に留まらずに、第1多孔部材44の表面から離れ、液体回収部32から回収される可能性が高い。したがって、第1多孔部材44の表面に汚染物が付着し続けたり、第1多孔部材44の表面において汚染物が凝集(成長)したりすることが抑制される。したがって、第1多孔部材44の汚染に起因して、基板Pの表面に汚染物(異物)が付着したり、基板ステージ2の上面26に付着したり、供給口31から供給された液体LQを汚染したり、露光光ELの光路K上に移動したりすることが抑制される。
また、第1多孔部材44は、容易にメンテナンス可能(クリーニング可能、交換可能)な位置に配置されているので、第1多孔部材44が汚染された場合には、その第1多孔部材44を円滑にメンテナンスすることができる。
以上説明したように、液体LQが漏出したり、下面30と対向する物体(基板P等)の表面に液体LQが残留したりすることを抑制することができる。したがって、スループットの低下を抑制しつつ、露光不良の発生を抑制できる。
なお、本実施形態において、第1多孔部材44の表面(第1面51,第2面52,及び孔46の内面の少なくとも一つ)が液体LQに対して親液性でもよい。例えば、基板Pから放出される可能性がある物質の特性(材質)等に応じて、第1多孔部材44の表面を液体LQに対して親液性にしたほうが、第1多孔部材44の表面の汚染を抑制できる場合には、第1多孔部材44の表面を液体LQに対して親液性としてもよい。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図6は、第2実施形態に係る液浸部材4Bの一例を示す図である。第1実施形態と異なる第2実施形態の特徴的な部分は、第1多孔部材44Bの第2面52Bが、液浸部材4Bの下面30Bにおいて、液体接触面61から離れて配置されていない点にある。すなわち、第2実施形態に係る液浸部材4Bの下面30Bには、開口部(55)が設けられていない。
本実施形態においても、第1多孔部材44Bの第2面52Bと基板Pの表面とのギャップG3が小さいので、液体LQの漏出等を抑制することができる。本実施形態においては、基板P上の液体LQは、第1多孔部材44Bの孔46Bを介して、第1多孔部材44Bと第2多孔部材45との間の空間56Bに流入可能である。したがって、液体回収部32は、第1多孔部材44Bの孔46Bを介して空間56に流入した液体LQを回収することができる。例えば、第1多孔部材44Bの孔46Bの数、大きさ、位置、第1多孔部材44Bの厚さ(第1面51Bと第2面52Bとの距離)等を適当に決定することによって、第1多孔部材44Bと基板Pとの間の液体LQは、第1多孔部材44Bの孔46Bを介して、空間56Bに円滑に流入することができる。
また、本実施形態においては、液浸部材4Bに開口部55が設けられておらず、物体(基板P)上の液体LQは第1多孔部材44Bを介して空間56Bに流入するので、液体回収部32(第2多孔部材45の汚染も抑制できる。
また、本実施形態において、液浸部材4Bは、ギャップG5に気体GWを供給する給気口81を備えている。給気口81は、ギャップG5に面するように配置されている。本実施形態において、給気口81は、終端光学素子22の側面22Aと対向する液浸部材4Bの内側面62Aに配置されている。内側面62Aは、側面22Aの周囲に配置され、側面22AとギャップG5を介して対向する。
本実施形態において、給気口81は、チャンバ装置5によって調整される内部空間8の湿度より高い湿度の気体GWをギャップG5に供給する。給気口81は、ギャップG5に流入した液体LQの界面LG2に気体GWが接触するように、気体GWを供給する。
給気口81は、液浸部材4Bの内部流路を介して、気体供給装置(不図示)と接続されている。気体供給装置は、チャンバ装置5から内部空間8に供給される気体より高湿度の気体を給気口81に供給する。本実施形態において、気体供給装置は、給気口81に、内部空間8の気体と同じ種類の気体を供給する。また、気体供給装置は、液体LQと同じ種類の液体の蒸気で、供給口81に供給する気体を加湿する。本実施形態において、チャンバ装置5は、内部空間8をクリーンな空気で満たし、給気口81は、水蒸気で加湿された空気をギャップG5に供給する。
また、本実施形態においては、液浸部材4Bは、ギャップG5に面するように配置され、給気口81から供給された気体GWの少なくとも一部を回収する回収口82を備えている。本実施形態において、回収口82は、液浸部材4Bの内側面62Aに配置されている。また、回収口82は、ギャップG5の液体LQを回収可能である。
本実施形態において、回収口82は、給気口81よりも上方に配置されている。回収口82は、給気口81の上方で、給気口81に隣接するように配置されている。
給気口81から、液体LQの界面LG2に接触するように気体GWが供給されるので、液体LQが気化することが抑制される。したがって、液体LQの気化熱による、液体LQ、液浸部材4B、液浸部材4Bに対向する物体(基板P)の少なくとも一つの温度変化の発生を抑制することができる。
また、給気口81から供給された気体GWの少なくとも一部は、回収口82から回収される。これにより、給気口81からの気体GWが、液浸部材4Bと投影光学系PLとの間から外部(雰囲気)に流出することが抑制される。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図7は、第3実施形態に係る液浸部材4Cの一例を示す図である。第1,第2実施形態と異なる第3実施形態の特徴的な部分は、第1多孔部材44Cと第2多孔部材45との間に液体LQを供給する供給口70を設けた点にある。
図7に示すように、液浸部材4Cは、露光光ELの光路Kに液体LQを供給する供給口31と、供給口31とは別の供給口70とを備えている。供給口70は、第1多孔部材44Cと第2多孔部材45との間に液体LQを供給する。本実施形態において、供給口70から供給される液体LQと、供給口31から供給される液体LQとは、同じ種類の液体である。
なお、供給口70から供給される液体LQと、供給口31から供給される液体LQとが、異なる種類の液体でもよい。また、供給口70から供給される液体LQと、供給口31から供給される液体LQとが、同じ種類の液体で、温度が異なってもよいし、クリーン度が異なってもよい。
上述の実施形態と同様、第1多孔部材44Cと第2多孔部材45とは、第1面51Cと第4面54とが第1ギャップG1を介して対向するように配置される。供給口70は、第1多孔部材44Cと第2多孔部材45との間の空間56C(第1ギャップG1)に液体LQを供給する。
本実施形態において、供給口70は、第2面52Cに近い液体接触面61の外側エッジ61E(第1多孔部材44Cの内側エッジ44E)の近傍に配置されている。本実施形態において、液浸部材4Cは、第1多孔部材44Cと第2多孔部材45との間の空間56Cに面する内面71を有する。内面71は、回収口39の光軸AXに近い内側エッジ39E(第2多孔部材45の内側エッジ45E)と液体接触面61の外側エッジ61E(44E)とを結ぶ面を含む。供給口70は、内面71に配置されている。すなわち、本実施形態においては、供給口70は、光軸AXに対する放射方向(光軸AXから離れる方向)を向いている。本実施形態において、内面71は、光軸AXに対する放射方向において、外側に向かって上方に傾斜している。なお、内面71が光軸AXと平行であってもよい。また、本実施形態においては、供給口70は、光軸AXと平行な方向に関して、第2多孔部材45よりも第1多孔部材44Cの近くに配置されている。
また、本実施形態においても、第2面52Cは、液体接触面61から離れていない。基板P上の液体LQは、第1多孔部材44Cの孔46Cを介して、空間56Cに流入可能である。上述の実施形態と同様に、第2多孔部材45を含む液体回収部32は、空間56Cの液体LQを第2多孔部材45の孔47を介して回収する。このように、本実施形態においては、第2面52Cと基板Pの表面との間の液体LQは、第1多孔部材44C及び第2多孔部材45を介して、回収流路35に回収される。
本実施形態において、供給口70から供給される液体LQは、露光光ELの光路Kから離れる方向に向かう流れを有する。すなわち、本実施形態において、供給口70は、光軸AXに対する放射方向において、外側に向けて液体LQを供給する。
本実施形態において、供給口70は、XY平面とほぼ平行な方向に液体LQを供給する。なお、供給口70が、光軸AXに対する放射方向において外側、且つ上方に液体LQを供給してもよい。
本実施形態において、供給口70は、基板P上から第1多孔部材44Cの孔46Cを介して第1ギャップG1(空間56C)に流入した液体LQが接触可能な位置に配置されている。図7に示すように、供給口70は、第1多孔部材44Cの孔46Cを介して第1ギャップG1に流入した液体LQに浸かる位置に配置される。
供給口70は、第1ギャップG1に液体LQを供給することによって、第1多孔部材44Cの第1面51Cから第2多孔部材45の第4面54への液体LQの流れを促進する。
供給口70は、第1多孔部材44Cの孔46Cを介して基板P上から第1ギャップG1に流入した液体LQに浸かった状態で(液体LQと接触した状態で)、第1ギャップG1に液体LQを供給する。これにより、基板P上から第1ギャップG1に流入した液体LQは、液体回収部32の第2多孔部材45に向かって円滑に流れる。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1多孔部材44Cと第2多孔部材45Cとの間に液体LQを供給する供給口70を設けたので、基板P上の液体LQを、第1多孔部材44C及び第2多孔部材45Cを介して円滑に回収することができる。すなわち、供給口70が液体LQを供給することによって、第1多孔部材44Cを介して第1ギャップG1に流入した液体LQを液体回収部32に良好に送ることができる。したがって、第1多孔部材44Cと基板Pとの間において界面LG1(液体LQ)が移動(拡大)することを抑制しつつ、液体LQを良好に回収することができる。
なお、第3実施形態において、第2面52Cが、液体接触面61から離れて配置されてもよい。すなわち、液体接触面61と第2面52Cとの間に、開口部55を設けてもよい。
なお、上述の第2、第3実施形態において、内部空間8(雰囲気)への気体GWの流出が許容される場合には、回収口82を設けなくてもよい。
また、上述の第2,第3実施形態においても、第1実施形態と同様に給気口81と回収口82を設けなくてもよい。
なお、上述の第1実施形態の液浸部材4に、給気口81、あるいは給気口81と回収口82を設けてもよい。
なお、上述の第1〜第3実施形態においては、孔46(46B,46C)、孔47の形状が、ほぼ円形であることとしたが、例えば六角形、八角形等、多角形でもよい。また孔46(46B,46C)の形状が孔47の形状と異なっていてもよい。また、一つの多孔部材に形状が異なる複数の孔が存在してもよい。
なお、上述の第1〜第3実施形態において、回収口33が省略されてもよい。
また、上述の第1〜第3実施形態においては、光軸AXに対する液体回収部32(第2多孔部材45)の外側には第1多孔部材(51,51B,51C)と対向する平坦部が設けられている。すなわち、本実施形態においては、空間56の上面は、第2多孔部材45の下面54とその周囲の平坦部を含んでいるが、第2多孔部材45の下面54の周囲に平坦部を設けずに、空間56の上面が第2多孔部材45の下面54のみで形成されてもよい。
また、上述第1〜第3実施形態においては、液体回収部39は、液体LQのみが空間(56,56B,56C)から第2多孔部材45を介して回収流路35に流入するように回収流路35の圧力を調整しているが、第2多孔部材45を介して液体LQが気体とともに回収流路35に流入するよう回収流路35の圧力を調整してもよい。
<第4実施形態>
第4実施形態について説明する。図8は、第4実施形態に係る露光装置EXの一例を示す概略構成図である。図8において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ201と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ202と、マスクステージ201及び基板ステージ202それぞれの位置情報を計測可能な干渉計システム203と、マスクMを露光光ELで照明する照明系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置204とを備えている。
マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。マスクMは、例えばガラス板等の透明板上にクロム等の遮光膜を用いて所定のパターンが形成された透過型マスクを含む。なお、マスクMとして、反射型マスクを用いることもできる。基板Pは、デバイスを製造するための基板である。基板Pは、例えばシリコンウエハのような半導体ウエハ等の基材に感光膜が形成されたものを含む。感光膜は、感光材(フォトレジスト)の膜である。また、基板Pが、感光膜とは別の膜を含んでもよい。例えば、基板Pが、反射防止膜を含んでもよいし、感光膜を保護する保護膜(トップコート膜)を含んでもよい。
本実施形態の露光装置EXは、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する液浸露光装置である。露光装置EXは、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成可能な液浸部材206を備えている。液浸空間LSは、液体LQで満たされた空間である。本実施形態においては、液体LQとして、水(純水)を用いる。
本実施形態において、液浸空間LSは、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い終端光学素子205から射出される露光光ELの光路が液体LQで満たされるように形成される。終端光学素子205は、投影光学系PLの像面に向けて露光光ELを射出する射出面209を有する。液浸空間LSは、終端光学素子205と、その終端光学素子205の射出面209と対向する物体との間の光路が液体LQで満たされるように形成される。物体が射出面209と対向する位置は、射出面209から射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。
液浸部材206は、終端光学素子205の近傍に配置されている。液浸部材206は、下面207を有する。本実施形態において、射出面209と対向可能な物体は、下面207と対向可能である。物体の表面が射出面209と対向する位置に配置されたとき、下面207の少なくとも一部と物体の表面とが対向する。射出面209と物体の表面とが対向しているとき、終端光学素子205は、射出面209と物体の表面との間に液体LQを保持できる。また、下面207と物体の表面とが対向しているとき、液浸部材206は、下面207と物体の表面との間に液体LQを保持できる。射出面209及び下面207と物体の表面との間に保持された液体LQによって、液浸空間LSが形成される。
本実施形態において、射出面209及び下面207と対向可能な物体は、終端光学素子205の射出側(投影光学系PLの像面側)で移動可能な物体を含み、射出面209及び下面207と対向する位置に移動可能な物体を含む。本実施形態においては、射出面209及び下面207と対向可能な物体は、基板ステージ202、及びその基板ステージ202に保持された基板Pの少なくとも一方を含む。なお、以下においては、説明を簡単にするために、主に、射出面209及び下面7と基板Pとが対向している状態を例にして説明する。
本実施形態においては、射出面209及び下面207と対向する位置に配置された基板Pの表面の一部の領域(局所的な領域)が液体LQで覆われるように液浸空間LSが形成され、その基板Pの表面と下面207との間に液体LQの界面(メニスカス、エッジ)LGが形成される。すなわち、本実施形態においては、露光装置EXは、基板Pの露光時に、投影光学系PLの投影領域PRを含む基板P上の一部の領域が液体LQで覆われるように液浸空間LSを形成する局所液浸方式を採用する。
照明系ILは、所定の照明領域IRを均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明領域IRは、照明系ILから射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。照明系ILは、照明領域IRに配置されたマスクMの少なくとも一部を均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILから射出される露光光ELとして、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においては、露光光ELとして、紫外光(真空紫外光)であるArFエキシマレーザ光を用いる。
マスクステージ201は、マスクMをリリース可能に保持するマスク保持部201Hを有する。本実施形態において、マスク保持部201Hは、マスクMのパターン形成面(下面)とXY平面とがほぼ平行となるように、マスクMを保持する。マスクステージ201は、第1駆動システム201Dの作動により、マスクMを保持してXY平面内を移動可能である。第1駆動システム201Dは、例えばリニアモータ、あるいは平面モータ等のアクチュエータを含む。本実施形態においては、マスクステージ201は、マスク保持部201HでマスクMを保持した状態で、X軸、Y軸、及びθZ方向の3つの方向に移動可能である。
投影光学系PLは、所定の投影領域PRに露光光ELを照射する。投影領域PRは、投影光学系PLから射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。投影光学系PLは、投影領域PRに配置された基板Pの少なくとも一部に、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で投影する。投影光学系PLの複数の光学素子は、鏡筒PKで保持される。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5又は1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは、等倍系及び拡大系のいずれでもよい。本実施形態においては、投影光学系PLの光軸AXは、Z軸とほぼ平行である。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれでもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。
基板ステージ202は、ベース部材208のガイド面208G上を移動可能である。本実施形態においては、ガイド面208Gは、XY平面とほぼ平行である。基板ステージ202は、基板Pを保持して、ガイド面208Gに沿って、XY平面内を移動可能である。基板ステージ202は、終端光学素子205の射出面209と対向する位置に移動可能である。
基板ステージ202は、基板Pをリリース可能に保持する基板保持部202Hを有する。本実施形態において、基板保持部202Hは、基板Pの露光面(表面)とXY平面とがほぼ平行となるように、基板Pを保持する。基板ステージ202は、第2駆動システム202Dの作動により、基板Pを保持してXY平面内を移動可能である。第2駆動システム202Dは、例えばリニアモータ、あるいは平面モータ等のアクチュエータを含む。本実施形態においては、基板ステージ202は、基板保持部202Hで基板Pを保持した状態で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
基板ステージ202は、基板保持部202Hの周囲に配置された上面202Tを有する。本実施形態において、上面202Tは、平坦であり、XY平面とほぼ平行である。また、基板ステージ202は、凹部202Cを有する。基板保持部202Hは、凹部202Cの内側に配置される。本実施形態において、上面202Tと、基板保持部202Hに保持された基板Pの表面とは、ほぼ同一平面内に配置される(面一となる)。
干渉計システム203は、XY平面内におけるマスクステージ201及び基板ステージ202のそれぞれの位置情報を計測する。干渉計システム203は、マスクステージ201の位置を計測するレーザ干渉計203Aと、基板ステージ202の位置を計測するレーザ干渉計203Bとを備えている。レーザ干渉計203Aは、マスクステージ201に配置された反射面201Rに計測光を照射し、その反射面201Rを介した計測光を用いて、X軸、Y軸、及びθZ方向に関するマスクステージ201(マスクM)の位置を計測する。レーザ干渉計203Bは、基板ステージ202に配置された反射面202Rに計測光を照射し、その反射面202Rを介した計測光を用いて、X軸、Y軸、及びθZ方向に関する基板ステージ202(基板P)の位置を計測する。
また、本実施形態においては、基板ステージ202に保持された基板Pの表面の位置を検出するフォーカス・レベリング検出システム(不図示)が配置されている。フォーカス・レベリング検出システムは、Z軸、θX、及びθY方向に関する基板Pの表面の位置を検出する。
基板Pの露光時、マスクステージ201の位置がレーザ干渉計203Aで計測され、基板ステージ202の位置がレーザ干渉計203Bで計測され、基板Pの表面の位置がフォーカス・レベリング検出システムで検出される。制御装置204は、レーザ干渉計203Aの計測結果に基づいて、第1駆動システム201Dを作動し、マスクステージ201に保持されているマスクMの位置制御を実行する。また、制御装置204は、レーザ干渉計203Bの計測結果及びフォーカス・レベリング検出システムの検出結果に基づいて、第2駆動システム202Dを作動し、基板ステージ202に保持されている基板Pの位置制御を実行する。
本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)である。基板Pの露光時、制御装置204は、マスクステージ201及び基板ステージ202を制御して、マスクM及び基板Pを、露光光ELの光路(光軸AX)と交差するXY平面内の所定の走査方向に移動する。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。制御装置204は、基板Pを投影光学系PLの投影領域PRに対してY軸方向に移動するとともに、その基板PのY軸方向への移動と同期して、照明系ILの照明領域IRに対してマスクMをY軸方向に移動しつつ、投影光学系PLと基板P上の液浸空間LSの液体LQとを介して基板Pに露光光ELを照射する。これにより、基板Pは露光光ELで露光され、マスクMのパターンの像が基板Pに投影される。
次に、液浸部材206について説明する。図9は、液浸部材206の近傍を示す側断面図である。なお、以下の説明においては、終端光学素子205の射出面209及び液浸部材206の下面207と対向する位置に基板Pが配置されている場合を例にして説明するが、上述のように、終端光学素子205の射出面209及び液浸部材206の下面207と対向する位置には、基板ステージ202等、基板P以外の物体も配置可能である。
液浸部材206は、露光光ELの光路周囲の少なくとも一部に配置され、終端光学素子205と基板Pとの間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成する。本実施形態において、液浸部材206は、環状の部材であって、露光光ELの光路の周囲に配置されている。本実施形態において、液浸部材206の一部は、終端光学素子205の周囲に配置されている。本実施形態においては、液浸部材206は、終端光学素子205の周囲に配置される本体部2011と、Z軸方向に関して少なくとも一部が終端光学素子205の射出面209と基板Pの表面との間に配置されるプレート部212とを有する。
プレート部212は、射出面209と対向する位置に開口210を有する。射出面209から射出された露光光ELは、開口210を通過可能である。例えば、基板Pの露光中、射出面209から射出された露光光ELは、開口210を通過し、液体LQを介して基板Pの表面に照射される。
プレート部212は、射出面209の一部と対向する上面213と、基板Pの表面と対向可能な下面214とを有する。上面213及び下面214のそれぞれは、開口210の周囲に配置されている。すなわち、上面213及び下面214のそれぞれは、終端光学素子205の射出面209から射出される露光光ELの光路の周囲に配置される。
本実施形態において、液浸部材206の下面207は、プレート部212の下面214を含む。下面214は、終端光学素子205からの露光光ELが照射可能な位置に配置された基板Pの表面との間で液体LQを保持可能である。下面214は、平坦面である。本実施形態において、下面214は、基板Pの表面(XY平面)とほぼ平行である。
本実施形態において、上面213と下面214とは、ほぼ平行である。また、射出面209と、上面213及び下面214とは、ほぼ平行である。
なお、下面214が、XY平面に対して傾斜していてもよい。また、下面214と射出面209とが非平行でもよいし、上面213と射出面209とが非平行でもよいし、上面213と下面214とが非平行でもよい。また、上面213の少なくとも一部が曲面でもよいし、下面214の少なくとも一部が曲面でもよい。また、射出面209の少なくとも一部が曲面でもよい。
以下の説明において、下面214を適宜、平坦面214、と称する。
また、液浸部材206は、液体LQを供給するための供給口215及びその供給口215に接続された供給流路216と、液体LQを回収するための回収口217及びその回収口217に接続された回収流路218とを備えている。
供給口215は、露光光ELの光路の近傍において、その光路に面する液浸部材206の所定位置に配置されている。本実施形態においては、供給口215は、光路に対してY軸方向両側のそれぞれに設けられている。本実施形態においては、供給口215は、射出面209と上面213との間の空間に液体LQを供給する。供給口215は、液浸空間LSを形成するために、露光光ELの光路に液体LQを供給する。
なお、供給口215は、光路に対してX軸方向両側のそれぞれに設けられてもよいし、X軸方向両側のそれぞれ及びY軸方向両側のそれぞれに設けられてもよい。また、供給口215が、光路の周囲において、任意の複数位置に設けられてもよい。なお、供給口215が下面207に設けられていてもよい。
本実施形態において、回収口217は、基板Pの表面と対向する液浸部材206の所定位置に配置されている。本実施形態において、回収口217は、平坦面214の周囲の少なくとも一部に配置されている。本実施形態においては、回収口217は、平坦面214(露光光ELの光路)の周囲に連続的に配置されている。回収口217は、液浸部材206の下面207と対向する物体上の液体LQを回収可能である。
供給流路216は、液浸部材206の内部に形成されている。供給口215は、供給流路216、及び供給管219Pの流路219を介して、液体供給装置220と接続されている。液体供給装置220は、クリーンで温度調整された液体LQを送出可能である。液体供給装置220から送出された液体LQは、流路219、及び供給流路216を介して、供給口215に供給される。供給口215は、液体供給装置220からの液体LQを露光光ELの光路に供給する。
回収流路218は、液浸部材206の内部に形成されている。回収口217は、回収流路218、及び回収管221Pの流路221を介して、液体回収装置222と接続されている。液体回収装置222は、圧力調整装置を含み、流路221及び回収流路218の圧力を調整可能である。本実施形態において、液体回収装置222は、真空システムと流路221及び回収流路218とを接続し、流路221及び回収流路218を所定の負圧に調整可能である。液体回収装置222は、流路221及び回収流路218を負圧にして、液体LQを吸引して回収可能である。回収口217から回収された液体LQは、回収流路218、及び流路221を介して、液体回収装置222に回収される。
図10は、図9の一部を拡大した図である。本実施形態において、回収口217には、多孔部材231が配置されている。多孔部材231は、液体LQを回収するための回収流路218に面する第1面241と、第1面241と異なる方向を向く第2面242と、第1面241と第2面242とを結ぶ複数の孔245とを有する。
多孔部材231は、複数の小さい孔245が形成されたプレート状の部材である。多孔部材231は、プレート部材(基材)を加工して、複数の孔245を形成した部材であり、メッシュプレートとも呼ばれる。本実施形態において、多孔部材231は、チタンで形成されている。なお、多孔部材231が、ステンレスで形成されてもよい。
本実施形態において、第1面241は、回収流路218に面するように、上方向(+Z方向)を向いている。第2面242は、第1面241の逆方向(−Z方向、下方向)を向いている。なお、本実施形態において、上方向は、光軸AXと平行であって、露光光ELが進行する方向と逆方向である。下方向は、光軸AXと平行であって、露光光ELが進行する方向である。
本実施形態において、第1面241と第2面242とは、ほぼ平行である。本実施形態において、第1面241と第2面242とは、基板Pの表面(XY平面)とほぼ平行である。
なお、第1面241と第2面242とが、非平行でもよい。また、第1面241がXY平面に対して傾斜していてもよい。すなわち、第1面241の法線が、光軸AXと非平行でもよい。また、第2面242がXY平面に対して傾斜していてもよい。また、第1面241の少なくとも一部が曲面でもよいし、第2面242の少なくとも一部が曲面でもよい。
以下の説明において、第1面241を適宜、上面241、と称し、第2面242を適宜、下面242、と称する。
本実施形態において、多孔部材231の下面242は、平坦面214の周囲の少なくとも一部に配置されている。本実施形態において、下面242は、平坦面214を囲むように配置されている。本実施形態において、平坦面214と下面242とは同一面内に形成される。本実施形態において、液浸部材206の下面207は、平坦面214及び下面242を含む。
なお、下面242は、平坦面214の周囲の一部に配置されていてもよい。例えば、下面242が、光路に対してY軸方向両側の一部に配置されてもよいし、X軸方向両側の一部に配置されてもよい。また、下面242が、平坦面214の周囲において、任意の複数位置に設けられてもよい。
複数の孔245のそれぞれは、上面241と下面242との間に形成され、上面241と下面242とを貫通するように形成されている。本実施形態において、孔245は、上面241と下面242との間を、Z軸方向とほぼ平行に貫通する。液体LQは、孔245を流通可能である。上面241及び下面242の一方に配置された孔245の開口に流入した液体LQは、他方に配置された孔245の開口より流出可能である。
本実施形態において、下面242は、上面241、及び孔245の内面の少なくとも一方より、液体LQに対して撥液性である。本実施形態において、下面242は、上面241及び孔245の内面より、液体LQに対して撥液性である。液体LQに対する下面242の接触角は、例えば90度以上である。一方、液体LQに対する上面241の接触角、及び液体LQに対する孔245の内面の接触角は、90度より小さい。本実施形態において、上面241及び孔245の内面は液体LQに対して親液性である。
本実施形態において、下面242は、液体LQに対して撥液性の膜250の表面で形成されている。本実施形態において、膜250を形成する材料は、フッ素を含むフッ素系材料である。本実施形態において、膜250は、PFA(Tetra fluoro ethylene-perfluoro alkylvinyl ether copolymer)の膜である。なお、膜250が、PTFE(Poly tetra fluoro ethylene)、PEEK(polyetheretherketone)、テフロン(登録商標)等の膜でもよい。
上面241及び孔245の内面は、チタンの表面で形成されている。本実施形態において、液体LQに対する上面241の接触角と、液体LQに対する孔245の内面の接触角とは、ほぼ等しい。なお、液体LQに対する上面241の接触角と、液体LQに対する孔245の内面の接触角とが、異なってもよい。また、上面241、及び孔245の内面の少なくとも一方が、膜250とは異なる材料で形成された膜の表面を含んでもよい。
なお、多孔部材231を液体LQに対して撥液性の材料で形成し、上面241及び孔245の内面の少なくとも一方が、下面242よりも親液性の膜の表面を含んでもよい。
また、本実施形態においては、下面242は、平坦面214より液体LQに対して撥液性である。本実施形態において、液体LQに対する平坦面214の接触角は90°より小さい。本実施形態において、平坦面214は、液体LQに対して親液性である。本実施形態において、平坦面214は、チタンの表面で形成されている。本実施形態において、プレート部212は、チタンで形成されており、上面213及び平坦面214のそれぞれが、チタンの表面で形成されている。なお、平坦面214が、例えばステンレスの表面で形成されていてもよい。また、平坦面214が、膜250とは異なる材料で形成された膜の表面を含んでもよい。
図9に示すように、本実施形態においては、基板P上の液体LQを回収するとき、回収流路218が液体LQで満たされ、上面241は、回収流路218に存在する液体LQと接触する。また、本実施形態において、制御装置204は、液体回収装置222を制御して、回収流路218を所定の負圧に調整する。本実施形態においては、露光装置EXは、チャンバ装置(不図示)の内部空間に配置されており、チャンバ装置は、その内部空間をほぼ大気圧に調整する。したがって、本実施形態において、下面242と基板Pとの間の圧力は、ほぼ大気圧である。制御装置204は、回収流路218の圧力が、液浸部材206が配置されている内部空間の圧力(大気圧)より低くなるように調整する。
制御装置204は、液体回収装置222を作動して、回収流路218を負圧にして、上面241と下面242との間に圧力差を発生させることによって、下面242と対向する基板P上の液体LQの少なくとも一部を、多孔部材231を介して回収する。下面242と接触した基板P上の液体LQは、多孔部材231の孔245を介して、回収流路218に回収される。回収流路218に回収された液体LQは、流路221を介して、液体回収装置222に回収される。
本実施形態において、制御装置204は、多孔部材231を介して回収流路218に液体LQのみが吸引されるように、すなわち、多孔部材231を介して回収流路218に気体が流入しないように、液体回収装置222を制御して、回収流路218の圧力を調整する。制御装置204は、回収流路218に液体LQのみが吸引されるように、回収流路218の圧力を調整して、上面241と下面242との圧力差を調整する。
制御装置204は、液体LQ、及び多孔部材231に応じて、回収流路218の圧力を調整する。例えば、多孔部材231の孔245の径、液体LQに対する孔245の内面の接触角、及び液体LQの表面張力等に応じて、回収流路218の圧力を調整する。制御装置204は、液体LQ、及び多孔部材231に応じて、回収流路218の圧力を調整することによって、多孔部材231を介して、回収流路218に液体LQのみを流入させることができる。なお、多孔部材の一側と他側との圧力差を調整して、多孔部材の一側から他側へ液体LQのみを通過させる技術は、例えば米国特許第7292313号明細書、国際公開第2006/106907号パンフレット等に開示されている。
次に、上述の構成を有する露光装置EXを用いて基板Pを液浸露光する方法について説明する。
液浸空間LSを形成するために、制御装置204は、供給口215を用いて、終端光学素子205から射出される露光光ELの光路に液体LQを供給する。液体LQを供給するときには、制御装置204は、射出面209及び下面207と対向する位置に、基板P(基板ステージ2)等の物体を配置する。液体供給装置220から送出された液体LQは、流路219及び供給流路216を介して供給口215に供給される。供給口215は、射出面209と上面213との間の空間に液体LQを供給する。液体LQは、射出面209と上面213との間の空間を流れ、開口210を介して、液浸部材206の下面207と基板Pの表面との間の空間に流入し、その下面207と基板Pの表面との間に保持される。これにより、露光光ELを射出する終端光学素子205の射出面209と、その射出面209と対向する基板Pの表面との間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSが形成される。
また、本実施形態においては、制御装置204は、供給口215による液体LQの供給動作と並行して、回収口217による液体LQの回収動作を実行することによって、液浸空間LSを形成する。回収口217に配置されている多孔部材231の下面242と接触した基板P上の液体LQの少なくとも一部は、多孔部材231の孔245を介して回収される。
液浸空間LSが形成された後、制御装置204は、基板Pの露光を開始する。制御装置204は、射出面209及び下面207と基板Pの表面との間に液体LQを保持して液浸空間LSを形成した状態で、終端光学素子205及び液浸部材206に対して、基板PをY軸方向に移動しつつ、投影光学系PLと基板P上の液体LQとを介して露光光ELを基板Pに照射する。これにより、マスクMのパターンの像が基板Pに投影され、基板Pは露光光ELで露光される。
本実施形態においては、基板Pの表面と対向する多孔部材231の下面242が液体LQに対して撥液性なので、その下面242の汚染が抑制される。
例えば、下面242が液体LQに対して親液性である場合、下面242が汚染される可能性が高くなる。なお、下面242が液体LQに対して親液性であることは、液体LQに対する下面242の接触角が90度より小さいことを含む。下面242が液体LQに対して親液性である場合、例えば基板Pの露光中に基板Pから放出され、汚染物(異物、パーティクル)として液浸空間LSの液体LQ中に混入した物質(例えば感光材等の有機物)、あるいは空中(液浸部材206が配置された空間)から液体LQ中に混入した汚染物が、その液体LQと接触した下面242に付着する可能性が高くなる。また、液体LQが下面242に残留しやすくなるため、下面242に残留した液体LQ中の異物が下面242に付着する可能性も高くなる。
本実施形態においては、下面242が液体LQに対して撥液性なので、下面242に汚染物が付着することが抑制される。すなわち、下面242は撥液性なので、液体LQと接触しても、その液体LQ中に存在する汚染物が下面242に付着することが抑制される。
また、下面242に汚染物が付着したとしても、その汚染物は、下面242に留まらずに、下面242から離れ、多孔部材231の孔245を介して回収される可能性が高い。したがって、下面242に汚染物が付着し続けたり、下面242において汚染物が凝集(成長)したりすることが抑制される。したがって、その汚染物が基板Pの表面に付着したり、基板ステージ202の上面202Tに付着したり、供給口215から供給された液体LQを汚染したり、露光光ELの光路上に移動したりすることが抑制される。
以上説明したように、本実施形態によれば、基板Pの表面と対向する多孔部材231の下面242が液体LQに対して撥液性なので、下面242の汚染を抑制することができる。そのため、基板Pの表面、あるいは基板ステージ202の上面202Tに汚染物(異物)が付着したり、供給された液体LQが汚染されたりすることを抑制することができる。したがって、露光不良の発生、及び不良デバイスの発生を抑制することができる。
また、液浸部材206の下面207に、液浸空間LSの液体LQとほぼ常に接触する第1領域と、液浸空間LSの液体LQと接触する状態と接触しない状態とを繰り返す第2領域と、液浸空間LSの液体LQとほとんど接触しない第3領域とが含まれる場合、第2領域及び第3領域の少なくとも一方は、第1領域より汚染されやすくなる可能性がある。本実施形態においては、第1領域が平坦面214に形成され、第2領域及び第3領域が下面42に形成される可能性が高いが、下面242が平坦面214より液体LQに対して撥液性なので、その下面242の汚染が抑制される。
また、本実施形態においては、孔245の内面及び上面241は、液体LQに対して親液性である。なお、孔245の内面及び上面241が液体LQに対して親液性であることは、液体LQに対する孔245の内面及び上面241の接触角が90度より小さいことを含む。孔245の内面及び上面241が液体LQに対して親液性なので、制御装置204は、回収流路218の圧力を調整して、多孔部材231を介して回収流路218に液体LQのみを円滑に吸引させることができる。
本実施形態によれば、孔245の内面は、液体LQに対して親液性であるが、孔245の内面が撥液性であってもよい。すなわち、孔245の内面が下面242よりも液体LQに対して撥液性、あるいは孔245の内面と下面242とが液体LQに対してほぼ同じ撥液性であってもよい。
また、多孔部材231を介して液体LQが気体とともに回収流路218に流入するようにしてもよい。この場合、上面241,下面242,及び孔245の内面のすべてが液体LQに対して撥液性であってもよい。
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図11は、第5実施形態に係る液浸部材206Bの近傍を示す側断面図である。図11に示すように、回収口217には、多孔部材231Bが配置されている。多孔部材231Bは、液体LQを回収するための回収流路218に面する上面241Bと、上面241Bと異なる方向を向く下面242Bと、上面241Bと下面242Bとを結ぶ複数の孔245Bとを有する。多孔部材231Bは、チタンで形成されている。なお、多孔部材231Bが、ステンレスで形成されてもよい。
多孔部材231の下面242Bは、平坦面214の周囲の少なくとも一部に配置されている。本実施形態において、下面242Bは、平坦面214を囲むように配置されている。本実施形態において、平坦面214と下面242Bとは同一面内に形成される。本実施形態において、液浸部材206の下面207Bは、平坦面214及び下面242Bを含む。なお、下面242Bが、平坦面214の周囲の一部に配置されていてもよい。
孔245Bは、上面241Bと下面242Bとの間に形成され、上面241Bと下面242Bとを貫通するように形成されている。孔245Bは、上面241Bと下面242Bとの間を、Z軸方向とほぼ平行に貫通する。
本実施形態において、下面242Bの表面粗さは、上面241B及び多孔部材231Bの孔245Bの内面の少なくとも一方の表面粗さより小さい。本実施形態においては、下面242Bの表面粗さは、上面241B及び孔245Bの内面の表面粗さより小さい。
なお、下面242Bの表面粗さが、上面241Bの表面粗さより小さく、且つ、孔245Bの内面の表面粗さより大きくてもよい。また、下面242Bの表面粗さが、上面241Bの表面粗さより大きく、且つ、孔245Bの内面の表面粗さより小さくてもよい。
本実施形態において、下面242Bは、鏡面研磨されている。下面242Bと対向する基板P上の液体LQは、多孔部材231Bの孔245Bを介して回収される。
以上説明したように、本実施形態によれば、基板Pの表面と対向する多孔部材231Bの下面242Bの表面粗さが十分小さいので、下面242Bの汚染を抑制することができる。すなわち、下面242Bの表面粗さが十分に小さいので、その下面242Bに液体LQ中の汚染物(異物)が付着することが抑制される。また、下面242Bに汚染物が付着したとしても、その汚染物は、下面242Bに留まらずに、下面242Bから離れ、多孔部材231Bの孔245Bを介して回収される可能性が高い。そのため、下面242Bの汚染が抑制される。したがって、本実施形態においても、露光不良の発生、及び不良デバイスの発生を抑制することができる。
また、本実施形態においても、下面242Bを、上面241B及び孔245Bの内面の少なくとも一方より、液体LQに対して撥液性とすることができる。例えば、下面242Bを、上面241B及び孔245Bの内面より液体LQに対して撥液性にすることができる。例えば、下面242Bを撥液性の膜の表面で形成してもよいし、上面241B及び孔245Bの内面の少なくとも一方を、液体LQに対する接触角を調整するための膜の表面で形成してもよい。こうすることにより、より一層、下面242Bの汚染を抑制することができる。
また、本実施形態において、下面242Bを、平坦面214より液体LQに対して撥液性とすることができる。また、本実施形態においても、多孔部材231を介して液体LQが気体とともに回収流路218に流入するようにしてもよい。
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図12は、第6実施形態に係る液浸部材26Cの近傍を示す側断面図である。図12に示すように、本実施形態において、回収口217と回収流路218との間には第1多孔部材231Cが配置され、回収口217には、第2多孔部材232Cが配置されている。第1多孔部材231Cは、回収流路218に面する上面241Cと、上面241Cと異なる方向を向く下面242Cと、上面241Cと下面242Cとを結ぶ複数の孔245Cとを有する。第2多孔部材232Cは、第1多孔部材231Cの第2面242CとギャップGを介して対向する上面243Cと、上面243Cと異なる方向を向く下面244Cと、上面243Cと下面244Cとを結ぶ複数の孔246Cとを有する。
第1多孔部材231Cは、複数の小さい孔245Cが形成されたプレート状の部材である。第2多孔部材232Cは、複数の孔246Cが形成されたプレート状の部材である。本実施形態において、第1多孔部材231C及び第2多孔部材232Cは、チタンで形成されている。なお、第1多孔部材231C及び第2多孔部材232Cの少なくとも一方が、ステンレスで形成されてもよい。また第1多孔部材231Cと第2多孔部材232Cとが異なる材料で形成されていてもよい。
本実施形態において、上面241Cは、回収流路218に面するように、上方向(+Z方向)を向いている。下面242Cは、上面241Cの逆方向(−Z方向、下方向)を向いている。本実施形態において、上面241Cと下面242Cとは、ほぼ平行である。本実施形態において、上面241Cと下面242Cとは、基板Pの表面(XY平面)とほぼ平行である。
本実施形態において、上面243Cは、下面242Cと対向するように、上方向(+Z方向)を向いている。下面244Cは、上面243Cの逆方向(−Z方向、下方向)を向いている。本実施形態において、上面243Cと下面244Cとは、ほぼ平行である。本実施形態において、上面243Cと下面244Cとは、基板Pの表面(XY平面)とほぼ平行である。
なお、上面241Cと下面242Cとが、非平行でもよい。また、上面241CがXY平面に対して傾斜していてもよいし、下面242CがXY平面に対して傾斜していてもよい。また、上面241Cの少なくとも一部が曲面でもよいし、下面242Cの少なくとも一部が曲面でもよい。また、上面243Cと下面244Cとが、非平行でもよい。また、下面242Cと上面243Cとが、非平行でもよい。また、上面243CがXY平面に対して傾斜していてもよいし、下面244CがXY平面に対して傾斜していてもよい。また、上面243Cの少なくとも一部が曲面でもよいし、下面244Cの少なくとも一部が曲面でもよい。
本実施形態において、第2多孔部材232Cの下面244Cは、平坦面214の周囲の少なくとも一部に配置されている。本実施形態において、下面244Cは、平坦面214を囲むように配置されている。本実施形態において、平坦面214と下面244Cとは同一面内に形成される。本実施形態において、液浸部材206Cの下面207Cは、平坦面214及び下面244Cを含む。なお、下面244Cが、平坦面214の周囲の一部に配置されていてもよい。
孔245Cは、上面241Cと下面242Cとの間に形成され、上面241Cと下面242Cとを貫通するように形成されている。孔246Cは、上面243Cと下面244Cとの間に形成され、上面243Cと下面244Cとを貫通するように形成されている。
本実施形態において、下面244Cの表面粗さは、上面241C、下面242C、及び上面243Cの少なくとも一つの表面粗さより小さい。本実施形態においては、下面244Cの表面粗さは、上面241C、下面242C、及び上面243Cの表面粗さより小さい。
また、本実施形態において、下面244Cの表面粗さは、第1多孔部材231Cの孔245Cの内面、及び第2多孔部材232Cの孔246Cの内面の少なくとも一方の表面粗さより小さい。本実施形態においては、下面244Cの表面粗さは、孔245Cの内面及び孔246Cの内面の表面粗さより小さい。本実施形態においては、下面244Cの表面粗さは、上面241C、下面242C、上面243C、孔245Cの内面、及び孔246Cの内面の表面粗さより小さい。
本実施形態においては、下面244Cは、鏡面研磨されている。また、本実施形態においては、上面241C、下面242C、及び上面243Cは、鏡面研磨されていない。なお、上面241C、下面242C、及び上面243Cの少なくとも一つが鏡面研磨されてもよい。
また、本実施形態において、上面243Cと下面244Cとの距離D2は、上面241Cと下面242Cとの距離D1より大きい。上面241Cと下面242Cとの距離D1は、第1多孔部材231Cの厚みである。上面243Cと下面244Cとの距離D2は、第2多孔部材232Cの厚みである。すなわち、本実施形態においては、第2多孔部材232Cの厚みD2は、第1多孔部材231Cの厚みD1より、大きい(厚い)。
図13は、第1多孔部材231Cの一例を示す平面図、図14は、第2多孔部材232Cの一例を示す平面図である。図13及び図14に示すように、本実施形態において、第1多孔部材231Cの孔245Cの大きさ(径)は、第2多孔部材232Cの孔246Cの大きさ(径)より小さい。なお、複数の孔245Cのすべてが同じ大きさでなくてもよいし、複数の孔246Cのすべてが同じ大きさでなくてもよい。また、第1多孔部材231Cの孔245Cの径が、第2多孔部材232Cの孔246Cの径より小さいことは、第1多孔部材231Cの複数の孔245Cのすべてが、第2多孔部材232Cの複数の孔246Cのより小さいことに限られない。例えば、第1多孔部材231Cの複数の孔245Cの径の平均が、第2多孔部材232Cの複数の孔246Cの径の平均より小さい場合も含む。あるいは第1多孔部材231Cの複数の孔245Cの中の最も小さい孔の径が、第2多孔部材232Cの複数の孔246Cの中の最も小さい孔の径より小さい場合も含む。
また、本実施形態においては、下面242C(上面241C)における孔245Cの単位面積当たりの数は、下面244C(上面243C)における孔246Cの単位面積当たりの数より多い。
なお、本実施形態において、XY平面内における孔245C,246Cの形状は、円形である。なお、XY平面内における孔245C,246Cの形状が、円形以外の形状、例えば5角形、6角形等の多角形でもよい。また、孔245Cの形状と、孔246Cの形状とが異なってもよい。
本実施形態においては、基板P上の液体LQを回収するとき、回収流路218が液体LQで満たされ、上面241Cは、回収流路218に存在する液体LQと接触する。また、本実施形態において、制御装置204は、液体回収装置222を制御して、回収流路218を所定の負圧に調整する。本実施形態においては、露光装置EXは、チャンバ装置(不図示)の内部空間に配置されており、チャンバ装置は、その内部空間をほぼ大気圧に調整する。したがって、本実施形態において、下面244Cと基板Pとの間の圧力は、ほぼ大気圧である。制御装置204は、回収流路218の圧力が、内部空間の圧力(大気圧)より低くなるように調整する。
制御装置204は、液体回収装置222を作動して、回収流路218を負圧にして、上面241Cと下面242Cとの間に圧力差を発生させることによって、すなわち上面241Cと下面244Cとの間に圧力差を発生させることによって、下面244Cと対向する基板P上の液体LQの少なくとも一部を、第1多孔部材231C及び第2多孔部材232Cを介して回収する。すなわち、制御装置204は、上面241Cと下面242Cとの間に圧力差を発生させて、下面244Cと接触した液体LQを、孔246Cを介して、第1多孔部材231Cと第2多孔部材232Cとの間の空間に流入させることができる。第1多孔部材231Cと第2多孔部材232Cとの間において下面242Cに接触した液体LQは、第1多孔部材231Cの孔245Cを介して、回収流路218に流入する。なお、第1多孔部材231Cと第2多孔部材232Cとの間は、液体LQで満たされていてもよいし、液体LQで形成される液体空間と気体空間とが混在していてもよい。
このように、本実施形態においては、下面244Cと対向する基板P上の液体LQは、第2多孔部材232Cの孔246Cを介して、第1多孔部材231Cと第2多孔部材232Cとの間の空間に流入する。第1多孔部材231Cと第2多孔部材232Cとの間の空間に流入し、下面242Cに接触した液体LQは、第1多孔部材231Cの孔245Cを介して、回収流路218に回収される。回収流路218に回収された液体LQは、流路221を介して、液体回収装置222に回収される。
本実施形態において、制御装置204は、第1多孔部材231Cを介して回収流路218に液体LQのみが吸引されるように、液体回収装置222を制御して、回収流路218の圧力を調整する。
制御装置204は、液体LQ、及び第1多孔部材231Cに応じて、回収流路218の圧力を調整する。例えば、制御装置204は、第1多孔部材231Cの孔245Cの径、液体LQに対する孔245Cの内面の接触角、及び液体LQの表面張力等に応じて、回収流路218の圧力を調整することによって、第1多孔部材231Cを介して、回収流路218に液体LQのみを流入させることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、回収流路218に面する第1多孔部材231Cの汚染を抑制しつつ、物体(基板P)上の液体LQを、第2多孔部材232Cの孔246C、及び第1多孔部材231Cの孔245Cを介して、回収することができる。本実施形態においては、第1多孔部材231が、液浸部材6の下面27よりも物体(基板P)の表面から離れているので、例えば基板Pから発生した物質が、第1多孔部材231Cに付着することが抑制される。さらに、第1多孔部材231Cと物体(基板P)の表面との間には、第2多孔部材232Cが配置されているので、例えば基板Pから発生した物質が、第1多孔部材231Cの下面242Cに付着することが抑制される。したがって、第1多孔部材231Cの汚染によって、物体(基板P)が汚染されたり、液浸空間LSを形成する液体LQが汚染されたりするのを抑制できる。
また、本実施形態においては、第2多孔部材232Cの孔246Cは、第1多孔部材231Cの孔245Cよりも大きく、第2多孔部材232Cの下面244Cの表面粗さが十分に小さいので、第2多孔部材232Cの汚染(異物の付着)が抑制される。したがって、第2多孔部材232Cの汚染によって、第2多孔部材232Cと対向する物体(基板P)が汚染されたり、液浸空間LSの液体LQが汚染されたりすることも抑制される。
本実施形態においては、第1多孔部材231Cを介して回収流路218に液体LQのみが流入するように、第1多孔部材231Cの孔245Cの大きさ、配置、数、及び液体LQに対する孔245Cの内面の撥液性等が決められている。したがって、その第1多孔部材231Cの汚染が抑制されることによって、第1多孔部材231Cの液体回収性能が維持される。また、第2多孔部材232Cは、容易にメンテナンス可能(クリーニング可能、交換可能)な位置に配置されているので、第2多孔部材232Cが汚染された場合には、その第2多孔部材232Cを円滑にメンテナンスすることができる。
また、本実施形態においては、第1多孔部材231Cの厚みD1は、第2多孔部材232Cの厚みD2より薄い。これにより、孔245Cを形成するための処理(加工)を円滑に実行することができる。すなわち、第1多孔部材231Cの基材となるプレート部材の厚みが薄い場合、厚い場合に比べて、そのプレート部材に小さい孔245Cを多数形成する処理を円滑に実行することができる。
また、第1多孔部材231Cの孔245Cの大きさ(寸法、サイズ)を小さくすることができるので、制御装置204は、回収流路218の圧力を調整して、第1多孔部材231を介して、回収流路218に液体LQのみを円滑に吸引させることができる。すなわち、第1多孔部材231Cの孔245Cの大きさが大きい場合、回収流路218に液体LQのみを吸引させることが困難になる可能性がある。本実施形態によれば、第1多孔部材231Cの基材となる薄いプレート部材に小さい孔245Cを円滑に形成することができ、その小さい第1多孔部材231Cの孔245Cを介して、回収流路218に液体LQのみを円滑に吸引させることができる。また、下面242Cにおける孔245Cの単位面積の数を多くすることによって、第2多孔部材232Cの孔246Cを介して第1多孔部材231Cと第2多孔部材232Cとの間の空間に流入した液体LQを、第1多孔部材231Cの孔245Cを介して回収流路218に円滑に流入させることができる。
また、本実施形態においては、第2多孔部材232Cの厚みD2は、第1多孔部材231Cの厚みD1より厚い。これにより、下面244Cの表面粗さを小さくするための処理(加工)を円滑に実行することができる。すなわち、下面244Cを鏡面研磨する場合、第2多孔部材232Cの厚みD2が薄いと、鏡面研磨を円滑に実行することが困難となる可能性がある。本実施形態によれば、第2多孔部材232Cの厚みD2は、少なくとも第1多孔部材231Cの厚みD1より大きい(厚い)ので、第2多孔部材232Cを円滑に鏡面研磨することができる。
上述のように本実施形態においては、第1多孔部材231Cの孔245Cは比較的小さく、汚染されやすい構造であるが、第1多孔部材231Cと物体(基板P)との間には、第1多孔部材231Cよりも汚染されにくい構造である第2多孔部材232Cを配置しているので、第1多孔部材231Cによって、物体(基板P)が汚染されたり、液浸空間LSを形成する液体LQが汚染されたりするのを抑制できる。また、第2多孔部材232Cの汚染によって、第2多孔部材232Cと対向する物体(基板P)が汚染されたり、液浸空間LSを形成する液体LQが汚染されたりすることも抑制できる。また、第1多孔部材231Cは物体(基板P)から離れて配置されているが、汚染されにくい第2多孔部材232Cの下面244Cが物体(基板P)の表面と近接するように配置されているので、下面244Cと物体(基板P)との間で液体LQ(液浸空間LSの界面LG)の動きを抑えられるので、液浸部材206Cの下面207Cと物体(基板P)の表面との間からの液体LQの漏れ出しを抑制できる。また、本実施形態においては、下面244Cと平坦面214とが面一なので、液浸部材206の下面207(例えば、下面244Cと平坦面214との境界部分)に汚染物(異物)が付着するのも防止できる。もちろん、下面244Cと平坦面214とが同一面内に形成されていなくてもよい。
なお、本実施形態においても、下面244Cを、上面241C、下面242C、及び上面243Cの少なくとも一つより、液体LQに対して撥液性とすることができる。例えば、下面244Cを、上面241C、下面242C、及び上面243Cより、液体LQに対して撥液性とすることができる。
また、本実施形態において、下面244Cを、第1多孔部材231Cの孔245Cの内面、及び第2多孔部材232Cの孔246Cの内面の少なくとも一方より、液体LQに対して撥液性とすることができる。例えば、下面244Cを、孔245Cの内面、及び孔246Cの内面より、液体LQに対して撥液性とすることができる。
また、本実施形態において、下面244Cを、平坦面214より、液体LQに対して撥液性とすることができる。
下面244Cを、液体LQに対して撥液性にすることによって、より一層、下面244Cの汚染を抑制することができる。
なお、下面244Cを、撥液性の膜の表面で形成することによって、下面244Cを撥液性にしてもよいし、上面241C、下面242C、上面243C、孔245Cの内面、及び孔246Cの内面の少なくとも一つを、液体LQに対する接触角を調整するための膜の表面で形成してもよい。
なお、本実施形態において、第1多孔部材231Cを介して液体LQが気体とともに回収流路218に流入するようにしてもよい。
また、本実施形態において、第1多孔部材231Cと第2多孔部材232Cとが同じ構造であってもよい。すなわち、孔の大きさ、孔の配置、厚みの少なくとも1つが、第1多孔部材231Cと第2多孔部材232Cとで同じであってもよい。
なお、上述の第4,第5,及び第6実施形態において、多孔部材(231,231B,231C,232C)としては、メッシュプレートに限られず、複数の孔が形成された部材を複数組み合わせて、網目状又はハニカム状に多数の小さい孔が形成された多孔部材であるメッシュフィルタでもよい。また、多孔部材(231,231B,231C,232C)として、多数の孔(pore)が形成された焼結部材(例えば、焼結金属)、発泡部材(例えば、発泡金属)等を用いてもよい。
また、上述の各実施形態において、射出面209の周囲の少なくとも一部に平坦面214を配置し、平坦面214の周囲の少なくとも一部に多孔部材(231、231B、231C、232C)を配置してもよい。この場合、平坦面214が射出面209と同じ高さ、あるいは射出面209よりも上方(+Z側)に配置されてもよい。
また、上述の第4、第5,及び第6実施形態において、液浸部材(206,206B,206C)として、国際公開第2008/143357号に開示されている液浸部材を用いることもできる。
なお、上述の各実施形態において、投影光学系PLは、終端光学素子205の射出側(像面側)の光路を液体LQで満たしているが、国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、終端光学素子205の入射側(物体面側)の光路も液体LQで満たす投影光学系を採用することもできる。
なお、上述の実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい。液体LQとしては、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系、あるいは基板の表面を形成する感光材(フォトレジスト)の膜に対して安定なものが好ましい。例えば、液体LQとして、ハイドロフロロエーテル(HFE)、過フッ化ポリエーテル(PFPE)、フォンブリンオイル、セダー油等を用いることも可能である。また、液体LQとして、屈折率が1.6〜1.8程度のものを使用してもよい。また、液体LQとして、種々の流体、例えば、超臨界流体を用いることも可能である。
なお、上述の各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、例えば米国特許第6611316号明細書に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。また、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明を適用することができる。
また、本発明は、米国特許第6341007号明細書、米国特許第6400441号明細書、米国特許第6549269号明細書、米国特許第6590634号明細書、米国特許第6208407号明細書、米国特許第6262796号明細書等に開示されているような複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
更に、例えば対応米国特許第6897963号明細書等に開示されているように、基板を保持する基板ステージと基準マークが形成された基準部材及び/又は各種の光電センサを搭載した計測ステージとを備えた露光装置にも本発明を適用することができる。また、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。計測ステージが終端光学素子の射出面及び液浸部材の下面と対向する位置に配置されることによって、終端光学素子及び液浸部材は、計測ステージとの間で液浸空間を形成することができる。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
なお、上述の各実施形態においては、レーザ干渉計3A、3B(203A、203B)を含む干渉計システム3(203)を用いてマスクステージ1(201)及び基板ステージ2(202)の各位置情報を計測するものとしたが、これに限らず、例えば各ステージ1、2(201、202)に設けられるスケール(回折格子)を検出するエンコーダシステムを用いてもよい。この場合、干渉計システムとエンコーダシステムとの両方を備えるハイブリッドシステムとしてもよい。
また、上述の各実施形態では、露光光ELとしてArFエキシマレーザ光を発生する光源装置として、ArFエキシマレーザを用いてもよいが、例えば、米国特許第7023610号明細書に開示されているように、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザなどの固体レーザ光源、ファイバーアンプなどを有する光増幅部、及び波長変換部などを含み、波長193nmのパルス光を出力する高調波発生装置を用いてもよい。さらに、上記実施形態では、前述の各照明領域と、投影領域がそれぞれ矩形状であるものとしたが、他の形状、例えば円弧状などでもよい。
なお、上述の各実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6778257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。可変成形マスクは、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)等を含む。また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしても良い。自発光型画像表示素子としては、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、無機ELディスプレイ、有機ELディスプレイ(OLED:Organic Light Emitting Diode)、LEDディスプレイ、LDディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)等が挙げられる。
上述の各実施形態においては、投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。このように投影光学系PLを用いない場合であっても、露光光はレンズ等の光学部材を介して基板に照射され、そのような光学部材と基板との間の所定空間に液浸空間が形成される。
また、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
露光装置EXは、各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図15に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、上述の実施形態に従って、マスクのパターンを用いて露光光で基板を露光すること、及び露光された基板を現像することを含む基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。