JP5515814B2 - 摺動式トリポード型等速ジョイント - Google Patents

摺動式トリポード型等速ジョイント Download PDF

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Description

本発明は、摺動式トリポード型等速ジョイントに関するものである。
摺動式トリポード型等速ジョイントは、例えば、特許文献1,2に記載されたものがある。この摺動式トリポード型等速ジョイントは、3本の軌道溝が形成された筒状の外輪と、径方向に延びる3本のトリポード軸部を有するトリポードと、それぞれのトリポード軸部に軸支されるダブルローラタイプのローラユニットを備える(特許文献1参照)。このローラユニットは、外輪の軌道溝を転動可能な外ローラと、トリポード軸部の外周面に軸支される内ローラと、外ローラと内ローラとの間に転動可能に介在する転動体と、外ローラに嵌装され内ローラおよび転動体の軸方向移動を規制するスナップリングを備えている。
また、このローラユニットは、以下の手順により組付けられる。まず、外ローラの一方側の端部の内周面に形成された環状溝にスナップリングを嵌装する。次に、嵌装したスナップリングに転動体の一端部が当接するように、外ローラの内周面の全周に亘り複数の転動体を配置する。同様に、スナップリングに内ローラの一端側の端面が当接するように、環状に配置された複数の転動体の内側に内ローラを配置する。最後に、外ローラの他方側の端部の内周面に形成された環状溝にスナップリングを嵌装して、ローラユニットが組付けられる。
特開2001−208090号公報 特開2007−177958号公報
ところで、摺動式トリポード型等速ジョイントには、一般に駆動力伝達性能の向上や最大ジョイント角の増大などが望まれている。例えば、このような性能向上を目的とした設計変更により、ローラユニットを構成する部材が異方性を有することがある。このような場合に、ローラユニットが組付けられる際に、異方性を有する部材を逆向きに配置してしまう誤組付けが生じるおそれがある。
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、ローラユニットの誤組付けを防止することが可能な摺動式トリポード型等速ジョイントを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、
筒状に形成され、内周面に外輪回転軸方向に延びる3本の軌道溝が形成された外輪と、
シャフトに連結されるボス部、および、前記ボス部の外周面からそれぞれ前記ボス部の径方向外方に延びるように立設されそれぞれの前記軌道溝に挿入される3本のトリポード軸部を有するトリポードと、
前記軌道溝に転動可能に挿入される外ローラと、前記トリポード軸部に対して軸支される内ローラと、前記外ローラの内周面と前記内ローラの外周面との間に転動可能に介在する転動体と、前記外ローラに嵌装されると共に前記内ローラおよび前記転動体に対して軸方向移動を規制するスナップリングとを有するローラユニットと、
を備える摺動式トリポード型等速ジョイントであって、
前記外ローラおよび前記内ローラは、それぞれの軸方向に異方性を有し、
前記ローラユニットは、
前記外ローラの内周側に前記転動体および前記内ローラを配置した後に、前記外ローラの内周側に縮径された前記スナップリングを挿入し、当該スナップリングを拡径させて前記外ローラに嵌装することにより組付けられ、
前記ローラユニットの組付けにおいて前記外ローラに対して前記内ローラが逆向きに配置された誤組付け状態の場合に、前記スナップリングの嵌装を規制する規制手段を有し、
前記規制手段は、
前記内ローラの一方側の端面から前記内ローラの軸方向に突出する規制部を有し、
前記誤組付け状態の場合に、前記外ローラに嵌装するために縮径された前記スナップリングに前記規制部が干渉することにより、前記スナップリングの嵌装を規制し、
前記規制部は、前記ローラユニットの組付けにおいて前記外ローラに対して前記内ローラが正しい向きに配置された正組付け状態の場合に、前記外ローラの内周側に位置するように形成されていることである。
請求項2に係る発明の特徴は、請求項1において、前記規制部の外接円の直径は、前記外ローラに嵌装するために縮径された前記スナップリングの内径よりも大きくなるように設定されていることである。
請求項3に係る発明の特徴は、請求項1または2において、前記規制部の外接円の直径は、縮径前の状態における前記スナップリングの内径よりも大きくなるように設定されていることである。
請求項4に係る発明の特徴は、請求項1〜3の何れか一項において、前記誤組付け状態の場合に、前記外ローラの内周面と前記規制部による開口幅は、前記スナップリングの径方向幅より小さくなるように設定されていることである。
請求項5に係る発明の特徴は、請求項1〜4の何れか一項において、
前記外ローラは、一方側の端部の内周面において、前記内ローラおよび前記転動体に対して軸方向移動を規制するように前記内周面から内側に突出する鍔部が形成され、当該鍔部により軸方向に前記異方性を有し、
前記規制部は、前記正組付け状態の場合に、前記鍔部の内周側に位置するように形成されていることである。
請求項6に係る発明の特徴は、請求項5において、前記外ローラは、前記鍔部の軸方向厚さが前記スナップリングの軸方向厚さと異なるように設定されることにより、嵌装した前記スナップリングと一体的な状態において軸方向に前記異方性を有することである。
請求項7に係る発明の特徴は、請求項1〜6の何れか一項において、
前記内ローラは、
その内周面の前記トリポード軸部の根元側の第一開口部において、前記内周面の内径が軸方向中央部から前記第一開口部側に向かって大きくなるような傾斜内面が形成され、
前記内周面の前記トリポード軸部の先端側の第二開口部において、前記内周面の内径が前記軸方向中央部から前記第二開口部側に向かって同径からなる同径内面が形成され、
前記傾斜内面および前記同径内面により軸方向に前記異方性を有することである。
請求項8に係る発明の特徴は、請求項1〜7の何れか一項において、前記規制部は、前記内ローラの周方向全周に亘って環状に形成されることである。
請求項9に係る発明の特徴は、請求項1〜7の何れか一項において、前記規制部は、前記内ローラの周方向に断続的な複数の凸状に形成されることである。
請求項1に係る発明によると、ローラユニットは、当該ローラユニットの組付けにおいて外ローラに対して内ローラが逆向きに配置された誤組付け状態の場合に、スナップリングの嵌装を規制する規制手段を有する構成としている。また、ローラユニットは、外ローラおよび内ローラがそれぞれの軸方向に異方性を有しているため、組付けられる際に誤組付けが生じるおそれがある。そこで、上記構成とすることにより、規制手段がスナップリングの嵌装を規制し、誤組付け状態でローラユニットが組付けられることを防止できる。これにより、ローラユニットの組付けを行う作業者に適正な組付けを促すとともに、組付け作業の負荷を大幅に軽減することができる。
また、規制手段は、内ローラの一方側の端面から内ローラの軸方向に突出する規制部を有し、誤組付け状態の場合に、外ローラに嵌装するために縮径されたスナップリングに規制部が干渉することにより、スナップリングの嵌装を規制する構成としている。これにより、規制手段は、誤組付け状態でローラユニットが組付けられることを確実に防止できる。また、規制部は、正組付け状態の場合に、外ローラの内周側に位置するように形成されている。つまり、規制部は、正組付け状態の場合に、外ローラなどの他の部材と干渉しない構成となっている。よって、ローラユニットの組付けにおいて、外ローラに対して内ローラが正しい向きに配置されている場合には、スナップリングを外ローラに嵌装することができる。
請求項2に係る発明によると、規制部の外接円の直径は、外ローラに嵌装するために縮径されたスナップリングの内径よりも大きくなるように設定されている構成としている。ここで、規制部の「外接円」とは、内ローラの一方側の端面に形成された規制部全体を包含する最小径の円に相当する。そして、上記構成とすることにより、ローラユニットの組付けにおいて、誤組付け状態の場合に、外ローラの内周側に縮径されたスナップリングを挿入すると、規制部がスナップリングに干渉することになる。これにより、規制手段は、誤組付け状態でローラユニットが組付けられることを確実に防止できる。
請求項3に係る発明によると、規制部の外接円の直径は、縮径前の状態におけるスナップリングの内径よりも大きくなるように設定されている構成としている。これにより、スナップリングは、外ローラに嵌装するために縮径される前の初期状態において、規制部と干渉することなる。つまり、外ローラに嵌装するためにスナップリングを縮径した場合には、より確実に規制部がスナップリングに干渉する。よって、規制手段はローラユニットの誤組付けを防止できる。
請求項4に係る発明によると、誤組付け状態の場合に、外ローラの内周面と規制部による開口幅は、スナップリングの径方向幅より小さくなるように設定されている構成としている。ここで、「開口幅」とは、外ローラに対して内ローラを逆向きに配置した場合に、外ローラの内周面から規制部までの最短距離に相当する。そして、上記構成とすることにより、スナップリングは、縮径された状態であっても規制部により外ローラの内周側に挿入することを妨げられる。これにより、規制部がスナップリングに干渉し、規制手段はローラユニットの誤組付けを確実に防止できる。また、このような構成では、例えば、内ローラの一方側の端面において少なくとも1箇所に凸状の規制部を形成するものとしてもよい。そして、外ローラの内周面と上記凸状の規制部の開口幅を適宜設定することにより、同様の効果を奏する。
請求項5に係る発明によると、外ローラは、一方側の端部の内周面において、内ローラおよび転動体に対して軸方向移動を規制するように内周面から内側に突出する鍔部が形成される構成としている。これにより、ローラユニットは、内ローラおよび転動体に対して、外ローラの一方側では鍔部、他方側ではスナップリングにより軸方向移動を規制する。つまり、ローラユニットは、他方側の端部のみに嵌装するスナップリングを有する構成としている。よって、ローラユニットは、全体として部品点数を減らし、構成を簡易化することができる。
また、このような鍔部により、外ローラは、軸方向に異方性を有している。そして、規制部は、正組付け状態の場合に、鍔部の内周側に位置するように形成されている。つまり、規制部は、正組付け状態の場合に、外ローラの鍔部を含む他の部材と干渉しない構成となっている。よって、ローラユニットの組付けにおいて、外ローラに対して内ローラが正しい向きに配置されている場合には、スナップリングを外ローラに嵌装することができる。
請求項6に係る発明によると、外ローラは、鍔部の軸方向厚さがスナップリングの軸方向厚さと異なるように設定される構成となっている。外ローラの鍔部は、外ローラの製造の容易性やトリポード軸部との干渉防止などの観点から軸方向厚さを適宜設定される。そして、鍔部の軸方向厚さは、鍔部と同様に内ローラおよび転動体に対して軸方向移動を規制するスナップリングの軸方向厚さと異なる構成としている。これにより、外ローラは、嵌装したスナップリングと一体的な状態において軸方向に異方性を有することになる。つまり、このような構成においても規制部は、誤組付け状態の場合にはスナップリングと干渉し、正組付け状態の場合には鍔部を含む他の部材と干渉しない構成となっている。よって、規制手段は、ローラユニットの誤組付けを確実に防止できる。
請求項7に係る発明によると、内ローラは、傾斜内面および同径内面が形成される構成としている。従来、外輪に対してシャフトを傾動させてジョイント角を付加すると、トリポード軸部の根元部が内ローラの内周面に干渉してジョイント角が制限されるおそれがあった。そこで、上記構成とすることで、傾斜内面を有する内ローラがトリポード軸部の根元部と当接することを回避できる。これにより、トリポード軸部の根元部と内ローラの内周面との干渉を防止し、適正なジョイント角を得ることができる。
また、このような傾斜内面および同径内面が形成された内周面により、内ローラは、軸方向に異方性を有している。ここで、内ローラの第一開口部はトリポード軸部の根元側に位置し、第二開口部はトリポード軸部の先端側に位置している。そして、例えば、スナップリングが外ローラにおけるトリポード軸部の根元側の端部に嵌装される場合に、規制部は、第二開口部が位置する内ローラの端面に形成される。つまり、規制部が形成される内ローラの一方側の端面は、第二開口部側の端面に相当する。
一方で、スナップリングが外ローラにおけるトリポード軸部の先端側の端部に嵌装される場合に、規制部は、第一開口部が位置する内ローラの端面に形成される。つまり、規制部が形成される内ローラの一方側の端面は、第一開口部側の端面に相当する。上記のような何れの構成であっても規制部を有する規制手段を適用することにより、異方性を有する内ローラを外ローラに対して逆向きに配置してしまう誤組付けを防止できる。
請求項8に係る発明によると、規制部は、内ローラの周方向全周に亘って環状に形成される構成としている。これにより、誤組付け状態の場合に、縮径されたスナップリングに環状の規制部が干渉することにより、スナップリングの嵌装を規制することになる。これにより、確実にローラユニットの誤組付けを防止できる。また、内ローラの一方側の端面から内ローラの軸方向に突出する規制部は、その形状を環状に設定することにより、回転時のバランスが良好になるとともに、断続的なものと比較して製造が容易となる。
請求項9に係る発明によると、規制部は、内ローラの周方向に断続的な複数の凸状に形成される構成としている。これにより、誤組付け状態の場合に、縮径されたスナップリングに何れかの凸状の規制部が干渉することにより、スナップリングの嵌装を規制することになる。これにより、確実にローラユニットの誤組付けを防止できる。また、内ローラの一方側の端面から内ローラの軸方向に突出する規制部は、その形状を複数の凸状に設定することにより、最小の構成により機能し、軽量化を図ることができる。また、規制部は、少なくとも一つの凸状からなる構成としても誤組付けを防止できるが、回転体としてのバランスを考慮し、複数の凸状を等間隔に配置する構成が好適である。

第一実施形態:等速ジョイント1の一部の径方向拡大図である。 正組付け状態のローラユニット30の一部を拡大した断面図である。 誤組付け状態のローラユニット30の一部を拡大した断面図である。 誤組付け状態のローラユニット30の一部を拡大した断面図である。 第二実施形態:ローラユニット130の斜視図である。 誤組付け状態のローラユニット130の一部を拡大した断面図である。
以下、本発明の摺動式トリポード型等速ジョイント(以下、単に「等速ジョイント」と称する。)を具体化した実施形態について図面を参照しつつ説明する。ここで、本実施形態の等速ジョイントは、車両の動力伝達シャフトの連結に用いる場合を例に挙げて説明する。例えば、ディファレンシャルギヤに連結された軸部とドライブシャフトの中間シャフトとの連結部位に用いる場合である。
<第一実施形態>
(等速ジョイント1の構成)
第一実施形態の等速ジョイント1について、図1,2を参照して説明する。図1は、等速ジョイント1の一部の径方向断面図である。図2は、正組付け状態のローラユニット30の一部を拡大した断面図である。また、図2は、スナップリング70を外ローラ40に嵌装する前の状態を示している。
等速ジョイント1は、図1,2に示すように、外輪10と、トリポード20と、ローラユニット30とから構成される。また、上記の中間シャフトは、ドライブシャフトを構成し、等速ジョイント1により図示しないディファレンシャルギヤに連結された軸部と連結される軸部材である。
外輪10は、筒状(例えば、有底筒状)に形成されており、一端側において一体的に形成された連結軸部がディファレンシャルギヤに連結されている。そして、外輪10の筒状部分の内周面には、外輪回転軸方向(図1の前後方向)に延びる3本の軌道溝11が形成されている。これら3本の軌道溝11は、筒状部分の内周面において、外輪10の回転軸の周方向に等間隔(120deg間隔)に形成されている。なお、図1においては、1本の軌道溝11のみを示す。
各軌道溝11の溝延伸方向に直交する断面形状は、外輪10の回転軸中心に向かって開口するコの字形状をなしている。つまり、各軌道溝11は、ほぼ平面状に形成され且つ幅方向中央部に逃げ凹溝が形成された溝底面と、相互に対向し且つ深さ方向中央部における対向距離が最も大きくなるように円弧凹状に形成される両側の溝側面とから構成される。
トリポード20は、外輪10の筒状部分の内側に配置されている。このトリポード20は、ボス部21と、3本のトリポード軸部22とから構成される。ボス部21は、筒状からなり、その内周側には内歯スプライン21aが形成されている。この内歯スプライン21aは、図示しない中間シャフトの端部に形成された外歯スプラインに嵌合連結される。また、ボス部21の外周面は、ほぼ球面凸状に形成されている。
それぞれのトリポード軸部22は、ボス部21の外周面からボス部21の径方向外方にそれぞれ延びるように立設された柱状をなしている。詳細には、トリポード軸部22の外周面は、トリポード軸方向(トリポード軸部22の柱方向)の中央部が最も径方向外方に突出するように形成された球面凸状の部分形状をなしている。つまり、トリポード軸部22の根元部がくびれ形状をなしている。これらのトリポード軸部22は、ボス部21の周方向に等間隔(120deg間隔)に形成されている。そして、それぞれのトリポード軸部22の少なくとも先端部は、外輪10の各軌道溝11に挿入されている。
ローラユニット30は、全体形状としては、環状からなる。このローラユニット30は、各トリポード軸部22の外周側に配置され、トリポード軸部22に対して回転且つ揺動可能に軸支されている。さらに、ローラユニット30は、外輪10の軌道溝11の溝側面に転動可能に嵌合されるように挿入されている。このローラユニット30は、外ローラ40と、内ローラ50と、複数の転動体60と、スナップリング70とから構成される。
外ローラ40は、円筒状に形成されている。この外ローラ40の外周面41は、軌道溝11に対応する形状、すなわち軌道溝11を反転した形状からなる。つまり、外ローラ40の外周面41は、幅方向中央部が最も径方向外方に突出するようなほぼ円弧凸状に形成されている。そして、外ローラ40は、その中心軸が外輪10の回転軸にほぼ直交する姿勢で、軌道溝11に転動可能に嵌合されるように挿入されている。また、外ローラ40は内周面42と、内周面42に形成された鍔部43と、環状溝44とを有する。ここで、鍔部44は、外ローラ40を構成する部位であって、一体的に形成されている。
内周面42は、後述する内ローラ50の外周面51との間に介在する複数の転動体60を転動させる滑らかな円筒内周面をなしている。この内周面42は、その内径Dが外ローラ40の軸方向において、ほぼ同一径となるように形成されている。
鍔部43は、環状からなり、内周面42の一方側(図1,2における上側)の端部の内周面42から外ローラ40の内側(外ローラ40の径方向内方)に突出するように、外ローラ30に一体的に形成されている。この鍔部43の転動体60側(外ローラ40の幅中央側)の端面は、内周面42に沿って転動する転動体60の一方側の端部に接触している。
さらに、鍔部43の端面は、内ローラ50の一方側の端面に接触している。これにより、鍔部43は、内ローラ50および転動体60に対して軸方向移動を規制している。また、この鍔部43の内周面は、内ローラ50の外周面51よりも外ローラ40の径方向内方に位置するように形成されている。すなわち、鍔部43の内径Dtは、内ローラ50の外径よりも小さくなるように形成されている。
環状溝44は、外ローラ40の内周面42の他方側の端部にスナップリング70を嵌装するための係止溝である。この環状溝44は、内周面42の周方向全周に亘って、所定深さで形成されている。このように、外ローラ40は、内周面42に形成された鍔部43および環状溝44を有し、図2に示すように、外ローラ40の軸方向に異方性を有している。
内ローラ50は、円筒状に形成されている。この内ローラ50の軸方向長さは、外ローラ40に形成された鍔部43と環状溝44との軸方向の離間距離に相当する。内ローラ50の外径は、外ローラ40の内径Dより小さく形成されている。そして、内ローラ50は、その外周面を転動体60と当接する円筒外周面状に形成され、外ローラ40の径方向内方に離隔して配置されている。
また、内ローラ50の外周面51と外ローラ40の内周面42との径方向隙間には、全周に亘って、複数の転動体60が配置されている。そして、この転動体60を介することで、内ローラ50は、外ローラ40に対して相対回転可能とされている。さらに、内ローラ50は、外ローラ40に対して、径方向内方に同軸上に配置されている。この内ローラ50は、トリポード軸部22に対して回転且つ揺動可能に、且つ、トリポード軸部22の延伸方向に摺動可能となるように、トリポード軸部22に軸支されている。
また、内ローラ50の内周面52は、傾斜内面52aと同径内面52bとからなる。傾斜内面52aは、内ローラ50の内周面52のうちトリポード軸部22の根元部側の第一開口部(図1、図2における下側の開口部)において、内周面52の内径が軸方向中央部から第一開口部に向かって大きくなるように形成されている。同径内面52bは、内ローラ50の内周面52のうちトリポード軸部22の先端部側の第二開口部(図1、図2における上側の開口部)において、内周面の内径が軸方向中央部から第二開口部に向かって同径となるように形成されている。
このように、傾斜内面52aは内ローラ50の回転軸を軸とする円錐面状に形成され、ローラユニット30に対するトリポード軸部22の揺動自由度を向上させ、最大ジョイント角を大きくすることができる。また、この傾斜内面52aは、干渉を避ける部位(例えば、トリポード軸部22の根元部)の形状に倣い球面凹状などの形状に形成してもよい。
また、傾斜内面52aと同径内面52bとの境界は、実際には両内面に滑らかな曲面としてもよい。そして、この境界は、最大ジョイント角を付加した姿勢において、トリポード軸部22が内ローラ50の内周面52に接触する範囲に含まれないように設定されている。本実施形態においては、第一開口部から内周面軸方向幅の3分の1程度の箇所に位置している。
また、内ローラ50の外周面51は、傾斜内面52aの径方向外方に位置する部位についても円筒外周面状に形成されている。これにより、内ローラ50の外周面51のうち内ローラ50の同径内面52bの径方向外方に位置する部位のみならず、内ローラ50の傾斜内面52aの径方向外方に位置する部位についても、転動体60と当接させることとなる。これにより、内ローラ50の外周面51における、転動体60との単位面積あたりの圧力を低減し、内ローラ50および転動体60の耐久性の向上を図っている。このように、内ローラ50は、軸方向に異形状となる傾斜内面52aおよび同径内面52bからなる内周面52を有し、図2に示すように、内ローラ50の軸方向に異方性を有している。
内ローラ50は、一方側(図1,2における上側)の端面から内ローラ50の軸方向に突出する規制部53を有している。この規制部53は、内ローラ50の周方向全周に亘って環状に形成されている。この内ローラ50の軸方向から見て規制部53の外周は、本発明の「規制部の外接円」に相当する。そして、規制部53の外径diは、本発明の「外接円の直径」に相当する。また、規制部53の「外接円」とは、内ローラ50の一方側の端面に形成された規制部53全体を包含する最小径の円に相当する。
ここで、規制部53の外径diは、鍔部43の内径Dtよりも小さくなるように設定されている。これにより、規制部53は、図2に示すように、ローラユニット30の組付けにおいて外ローラ40に対して内ローラ50が正しい向きに配置された場合に、外ローラ40の内周側に位置している。より詳細には、規制部53は、外ローラ40の鍔部43の内周側に位置するように形成されている。よって、それぞれ異方性を有する外ローラ40および内ローラ50が正しい向きで配置された場合に、規制部53は、外ローラ40などの他の部材と干渉しない構成となっている。
また、規制部53の外接円の直径である規制部53の外径diは、外ローラ40に嵌装するために縮径されたスナップリング70の内径dsi2よりも大きくなるように設定されている。これにより、規制部53は、ローラユニット30の組付けにおいて外ローラ40に対して内ローラ50が逆向きに配置された場合に、縮径された状態のスナップリング70と干渉し、スナップリング70の嵌装を規制する。このスナップリング70の嵌装を規制することによるローラユニット30の誤組付けの防止の詳細については後述する。
転動体60は、外ローラ40の内周面42と内ローラ50の外周面51との間に転動可能に介在する軸状のニードルローラである。この転動体60は、両端部が球面凸状となるように形成されている。そして、転動体60の軸方向長さは、外ローラ40に形成された鍔部43と環状溝44との軸方向の離間距離に相当する。よって、転動体60は、鍔部43および環状溝44に嵌装されるスナップリング70により軸方向移動を規制されている。
スナップリング70は、C字形状からなる縮径可能な止め輪である。スナップリング70は、図2に示すように、外ローラ40の環状溝44に嵌装される前の状態において、スナップリング70の外径dsoが外ローラ40の内周面42の内径Dより大きくなるように設定されている。
また、スナップリング70は、外ローラ40の環状溝44に嵌装される際に、その弾性力に抗して外径が外ローラ40の内周面42の内径Dよりも小さくなるように縮径される。そして、外ローラ40の環状溝44が形成された他方側の開口部から挿入された後に拡径することにより嵌装される。このように、環状溝44に嵌装されたスナップリング70は、内ローラ50および転動体60の軸方向移動を規制している。
ここで、本実施形態において、ローラユニット30は、外ローラ40の鍔部43および内ローラ50の同径内面52bがトリポード軸部22の先端側に位置するようにトリポード軸部22の外周側に配置される。よって、ローラユニット30は、外ローラ40の環状溝44および内ローラ50の傾斜内面52aがトリポード軸部22の根元側に位置している。
これは、等速ジョイント1にジョイント角が付加された際に、トリポード軸部22とローラユニット30の干渉を防止することを目的としている。そのため、本実施形態において、外ローラ40の鍔部43の軸方向厚さWtは、スナップリング70の軸方向厚さWsよりも大きくなるように設定されている。このような構成により、外ローラ40は、嵌装したスナップリング70と一体的な状態において軸方向に異方性を有している。
(ローラユニット30の組付け)
続いて、ローラユニット30の組付けについて、図2,3を参照して説明する。図3は、誤組付け状態のローラユニット30の一部を拡大した断面図である。ここで、ローラユニット30の外ローラ40および内ローラ50は、上述したように、それぞれ軸方向に異方性を有している。そのため、ローラユニット30は、トリポード軸部22に対して干渉することなく所定の揺動角を得るなど適正に機能するために、異方性を有するこれらの部材が設定された正しい向きで組付けられる必要がある。以下、ローラユニット30の組付けにおいて外ローラ40に対して内ローラ50が正しい向きに配置された状態を正組付け状態とし、逆向きに配置された状態を誤組付け状態と称して説明する。
ローラユニット30の組付けの手順について説明する。まず、外ローラ40の内周側に転動体60を配置する。具体的には、外ローラ40の鍔部43に転動体60の一端側が当接するように、外ローラ40の内周面42の全周に亘り複数の転動体60を配置する。これにより、複数の転動体60は、環状に配置されるとともに、外ローラ40の鍔部43によって、外ローラ40に対して一方側への軸方向移動を規制される。
次に、外ローラ40の内周側に内ローラ50を配置する。この時、図2に示すように、内ローラ50の規制部53が外ローラ40の鍔部43側に位置する向きを両部材の正しい向きとし、外ローラ40の環状溝44が形成された他方側の開口部から内ローラ50が鍔部43の端面と当接する位置まで内ローラ50を挿入する。このように外ローラ40および内ローラ50が配置された状態を正組付け状態としている。また、この状態において、内ローラ50は、環状に配置された複数の転動体60よりも外ローラ40の径方向内方において、外ローラ40と同軸的に配置されている。これにより、内ローラ50は、外ローラ40の鍔部43によって、外ローラ40に対して一方側への軸方向移動を規制される。
続いて、縮径させたスナップリング70を外ローラ40の環状溝44が形成された他方側の開口部から挿入する。この時、スナップリング70は、その縮径量Vreが少なくともスナップリング70の外径dsoと外ローラ40の内周面42の内径Dとの差分よりも大きくなるように縮径される。これにより、スナップリング70の外径dsoは、上記内径Dよりも小さくなり、外ローラ40の他方側の開口部を挿通可能となる。
そして、スナップリング70の端面が内ローラ50の端面および転動体60の端部に当接する位置まで、スナップリング70を外ローラ40の内部に挿入する。そして、この縮径された状態のスナップリング70を徐々に拡径させて外ローラ40の環状溝44に嵌め込む。これにより、スナップリング70が外ローラ40の環状溝44に嵌装され、内ローラ50および転動体60は、スナップリング70により外ローラ40に対して他方側への軸方向移動を規制される。このようにして、ローラユニット30は組付けられる。
ここで、ローラユニット30の誤組付けの防止について説明する。本実施形態では、上述した手順によるローラユニット30の組付けにおいて、外ローラ40の内周側に内ローラ50を逆向きに配置することにより誤組付け状態となる。つまり、誤組付け状態は、図3に示すように、内ローラ50の規制部53が外ローラ40の環状溝44が形成された他方側に位置する向きとなっている。
このような状態で、仮にスナップリング70が外ローラ40に嵌装されてローラユニット30が組付いてしまうと、例えば、トリポード20とローラユニット30の干渉などが生じるおそれがある。そうすると、最大ジョイント角の増大などを目的とした各部位の形状などを設定しても、ローラユニット30が所定の揺動角を得られないなど適正に機能しないおそれがある。そこで、等速ジョイント1は、上記構成によりローラユニット30が誤組付け状態で組付けられることを防止している。
まず、図3に示す誤組付け状態の場合に、外ローラ40の環状溝44に嵌装するために、スナップリング70を縮径量Veだけ縮径させる。次に、縮径させたスナップリング70を外ローラ40の環状溝44が形成された他方側の開口部から挿入する。この時、スナップリング70は、縮径量Veだけ縮径されているため、縮径前の内径dsiが縮径後の内径dsi2に変化している。縮径されたスナップリング70の内径dsi2は、元の状態のスナップリング70の内径dsiから縮径量Veを差し引いた値に相当する。
ここで、上述したように、内ローラ50の規制部53の外径diは、縮径されたスナップリング70の内径dsi2よりも大きくなるように設定されている。これにより、スナップリング70は、外ローラ40への挿入時に内ローラ50の環状の規制部53に干渉することになる。よって、規制部53は、外ローラ40の環状溝44へのスナップリング70の嵌装を規制している。
また、この環状の規制部53は、上述したように、正組付け状態においては外ローラ40の鍔部43の内周側に位置し、ローラユニット30を構成する外ローラ40などの他の部材と干渉しない構成となっている。このように、内ローラ50の一方側の端面から内ローラ50の軸方向に突出する規制部53、および、当該規制部53と干渉の有無を設定された各部位の寸法関係は、本発明の「規制手段」に相当する。上記構成により、等速ジョイント1の規制手段は、このような誤組付け状態の場合に、スナップリング70の嵌装を規制し、ローラユニット30が組付けられることを防止している。
(等速ジョイント1の効果)
上述した等速ジョイント1によれば、ローラユニット30は、組付けにおいて誤組付け状態の場合に、スナップリング70の嵌装を規制する規制手段を有する構成としている。ローラユニット30は、外ローラ40および内ローラ50がそれぞれの軸方向に異方性を有しているため、組付けられる際に誤組付けが生じるおそれがある。そこで、上記構成とすることにより、規制手段がスナップリング70の嵌装を規制し、誤組付け状態でローラユニット30が組付けられることを防止できる。これにより、ローラユニット30の組付けを行う作業者に適正な組付けを促すことができるとともに、組付け作業の負荷を大幅に軽減することができる。
規制手段は、内ローラ50の一方側の端面に形成された規制部53を有し、誤組付け状態の場合に、外ローラ40に嵌装するために縮径されたスナップリング70に規制部53が干渉することにより、スナップリング70の嵌装を規制する構成としている。これにより、規制手段は、誤組付け状態でローラユニット30が組付けられることを確実に防止できる。また、規制部53は、正組付け状態の場合に、外ローラ40の内周側に位置するように形成され、外ローラ40などの他の部材と干渉しない構成となっている。よって、ローラユニット30の組付けにおいて、外ローラ40に対して内ローラ50が正しい向きに配置されている場合には、スナップリング70を外ローラ40に嵌装することができる。
内ローラ50の規制部53の外径di(外接円の直径)は、外ローラ40に嵌装するために縮径されたスナップリング70の内径dsi2よりも大きくなるように設定されている。これにより、ローラユニット30の組付けにおいて、誤組付け状態の場合に、外ローラ40の内周側に縮径されたスナップリング70を挿入すると、規制部53がスナップリング70に干渉することになる。これにより、規制手段は、誤組付け状態でローラユニット30が組付けられることを確実に防止できる。
外ローラ40は、一方側の端部の内周面42に鍔部43が形成される構成としている。これにより、ローラユニット30は、内ローラ50および転動体60に対して、外ローラ40の一方側では鍔部43、他方側ではスナップリング70により軸方向移動を規制する。つまり、ローラユニット30は、他方側の端部のみに嵌装するスナップリング70を有する構成としている。よって、ローラユニット30は、全体として部品点数を減らし、構成を簡易化することができる。
また、このような鍔部43により、外ローラ40は、軸方向に異方性を有している。そして、規制部53は、正組付け状態の場合に、鍔部43の内周側に位置するように形成されている。つまり、規制部53は、正組付け状態の場合に、外ローラ40の鍔部43を含む他の部材と干渉しない構成となっている。よって、ローラユニット30の組付けにおいて、外ローラ40に対して内ローラ50が正しい向きに配置されている場合には、スナップリング70を外ローラ40に嵌装することができる。
外ローラ40は、鍔部43の軸方向厚さWtがスナップリング70の軸方向厚さWsと異なるように設定される構成となっている。外ローラ40の鍔部43は、外ローラ40の製造の容易性やトリポード軸部22との干渉防止などの観点から軸方向厚さWtを適宜設定される。そして、鍔部43の軸方向厚さWtは、鍔部43と同様に内ローラ50および転動体60に対して軸方向移動を規制するスナップリング70の軸方向厚さWsよりも大きくなるように形成されている。
これにより、外ローラ40は、嵌装したスナップリング70と一体的な状態において軸方向に異方性を有することになる。つまり、このような構成においても規制部53は、誤組付け状態の場合にはスナップリング70と干渉し、正組付け状態の場合には鍔部43を含む他の部材と干渉しない構成となっている。よって、規制手段は、ローラユニット30の誤組付けを確実に防止できる。
内ローラ50は、その内周面52として傾斜内面52aおよび同径内面52bが形成される構成としている。従来、外輪11に対してシャフトを傾動させてジョイント角を付加すると、トリポード軸部22の根元部が内ローラ50の内周面52に干渉してジョイント角が制限されるおそれがあった。そこで、上記構成とすることで、傾斜内面52aを有する内ローラ50がトリポード軸部22の根元部と当接することを回避できる。これにより、トリポード軸部22の根元部と内ローラ50の内周面52との干渉を防止し、適正なジョイント角を得ることができる。
また、このような傾斜内面52aおよび同径内面52bが形成された内周面52により、内ローラ50は、軸方向に異方性を有している。ここで、内ローラ50の第一開口部はトリポード軸部22の根元側に位置し、第二開口部はトリポード軸部22の先端側に位置している。そして、例えば、スナップリング70が外ローラ40におけるトリポード軸部22の根元側の端部に嵌装される場合に、規制部53は、第二開口部が位置する内ローラ50の端面に形成される。つまり、規制部53が形成される内ローラ50の一方側の端面は、第二開口部側の端面に相当する。
一方で、スナップリング70が外ローラ40におけるトリポード軸部22の先端側の端部に嵌装される場合に、規制部53は、第一開口部が位置する内ローラ50の端面に形成される。つまり、規制部53が形成される内ローラ50の一方側の端面は、第一開口部側の端面に相当する。上記のような何れの構成であっても規制部53を有する規制手段を適用することにより、異方性を有する内ローラ50を外ローラ40に対して逆向きに配置してしまう誤組付けを防止できる。
規制部53は、内ローラ50の周方向全周に亘って環状に形成される構成としている。これにより、誤組付け状態の場合に、縮径されたスナップリング70に環状の規制部53が干渉することにより、スナップリング70の嵌装を規制することになる。これにより、確実にローラユニット30の誤組付けを防止できる。また、内ローラ50の一方側の端面から内ローラ50の軸方向に突出する規制部53は、その形状を環状に設定することにより、回転時のバランスが良好になるとともに、断続的なものと比較して製造が容易となる。
<第一実施形態の変形態様>
第一実施形態の変形態様について、図4を参照して説明する。図4は、誤組付け状態のローラユニット30の一部を拡大した断面図である。第一実施形態において、規制部53の外径di(外接円の直径)は、外ローラ40に嵌装するために縮径されたスナップリング70の内径dsi2よりも大きくなるように設定されるものとした。これに対して、規制部53の外径diは、縮径前の状態におけるスナップリング70の内径dsiよりも大きくなるように設定される構成としてもよい。
これにより、誤組付け状態の場合に、スナップリング70は、外ローラ40に嵌装するために縮径される前の初期状態において、規制部53と干渉することなる。つまり、外ローラ40に嵌装するためにスナップリング70を縮径した場合には、より確実に規制部53がスナップリング70に干渉する。よって、規制手段はローラユニット30の誤組付けを防止できる。
<第二実施形態>
第二実施形態の構成について、図5,6を参照して説明する。図5は、ローラユニット130の斜視図である。図6は、誤組付け状態のローラユニット130の一部を拡大した断面図である。ここで、第二実施形態の構成は、主に、第一実施形態の規制部53の構成が相違する。なお、その他の構成については、第一実施形態と同一であるため、詳細な説明を省略する。以下、相違点のみについて説明する。
(等速ジョイント101の構成)
等速ジョイント101は、ローラユニット130を備える。このローラユニット130は、外ローラ40と、内ローラ150と、複数の転動体60と、スナップリング70とから構成される。外ローラ40、転動体60、およびスナップリング70は、第一実施形態と実質的に同一であるため説明を省略する。
内ローラ150は、一方側の端面から内ローラ150の軸方向に突出する規制部153を有している。この規制部153は、図5に示すように、内ローラ150の周方向に断続的な複数の凸状に形成されている。本実施形態において、規制部153は、内ローラ150の周方向に等間隔(120deg)となる3箇所に形成されている。
この内ローラ150の軸方向から見て複数の規制部153に外周面に接する外接円は、本発明の「規制部の外接円」に相当する。そして、規制部153の外径diは、この外接円の直径に相当する。また、複数の凸状からなる規制部153の外接円は、内ローラ150の一方側の端面に形成された全ての規制部153を包含する最小径の円に相当する。
ここで、誤組付け状態の場合に、外ローラ40の内周面42と規制部153による開口幅Wgは、スナップリング70の径方向幅Wsよりも小さくなるように設定されている。この開口幅Wgは、外ローラ40に対して内ローラ150を逆向きに配置した誤組付け状態の場合に、外ローラ40の内周面42から規制部53までの最短距離に相当する。このような構成により、縮径されたスナップリング70を外ローラ40の他方側からの挿入する際に、規制部153がスナップリング70と干渉することになる。これにより、誤組付け状態の場合に、スナップリング70が外ローラ40の他方側の開口部から挿入されることを防止している。
(等速ジョイント101の効果)
上述した等速ジョイント101によれば、内ローラ150の規制部153は、内ローラ150の周方向に断続的な複数の凸状に形成される構成としている。これにより、誤組付け状態の場合に、縮径されたスナップリング70に何れかの凸状の規制部153が干渉することにより、スナップリング70の嵌装を規制することになる。これにより、確実にローラユニット30の誤組付けを防止できる。また、内ローラ50の一方側の端面から内ローラ150の軸方向に突出する規制部153は、その形状を複数の凸状に設定することにより、最小の構成により機能し、軽量化を図ることができる。
また、外ローラ40の内周面42と規制部53による開口幅Wgは、スナップリング70の径方向幅Wsより小さくなるように設定されている構成とした。そして、上記構成とすることにより、スナップリング70は、縮径された状態であっても規制部153により外ローラ40の内周側に挿入することを妨げられる。
これにより、規制部53がスナップリング70に干渉し、規制手段はローラユニット30の誤組付けを確実に防止できる。また、このような構成では、例えば、内ローラ50の一方側の端面において少なくとも1箇所に凸状の規制部153を形成するものとしてもよい。そして、外ローラ40の内周面42と上記凸状の規制部153の開口幅Wgを適宜設定することにより、同様の効果を奏する。ただし、規制部153は、少なくとも一つの凸状からなる構成としても誤組付けを防止できるが、内ローラ150の回転体としてのバランスを勘案すると、本実施形態のように複数の凸状を等間隔に配置する構成が好適である。
<その他>
第一、第二実施形態において、外ローラ40および内ローラ50,150が軸方向に異方性をそれぞれ有するものとした。この異方性については、鍔部43や傾斜内面52aなどと異なる構成によるものとしてもよい。例えば、外ローラ40は、断面形状が複数の径を有する円弧で形成されることにより軸方向に異方性を有するものとしてもよい。また、外ローラ40および内ローラ50,150の他に、ローラユニット30,130を構成する部材が異方性を有する場合にも本発明を適用することができる。このような場合に、例えば、異方性を有する部材に規制部を設け、各部材との寸法関係から規制手段を構成するものとする。これにより、同様の効果を奏し、誤組付けを防止できる。
また、第一、第二実施形態において、規制部53,153の軸方向の突出量は、例えば、鍔部43の軸方向厚さWtと同程度とする構成にしても良い。これにより、正組付け状態の場合に、外ローラ40の一方側の端面と、鍔部43の内周側に位置する規制部53,153の端面とがほぼ同一の平面上となる。これにより、組付いた状態における視認性を向上し、ローラユニット30,130を組付ける際に、作業者が正組付け状態であることを確認しやすくすることができる。従って、組付け作業の負荷を大幅に軽減するとともに、より確実にローラユニット30,130の誤組付けを防止できる。
1,101:等速ジョイント
10:外輪、 11:軌道溝
20:トリポード、 21:ボス部、 22:トリポード軸部
30,130:ローラユニット
40:外ローラ、 41:外周面、 42:内周面、 43:鍔部、 44:環状溝
50,150:内ローラ、 51:外周面
52:内周面 52a:傾斜内面、 52b:同径内面、 53,153:規制部
60:転動体
70:スナップリング、 71:外周面、 72:内周面

Claims (9)

  1. 筒状に形成され、内周面に外輪回転軸方向に延びる3本の軌道溝が形成された外輪と、
    シャフトに連結されるボス部、および、前記ボス部の外周面からそれぞれ前記ボス部の径方向外方に延びるように立設されそれぞれの前記軌道溝に挿入される3本のトリポード軸部を有するトリポードと、
    前記軌道溝に転動可能に挿入される外ローラと、前記トリポード軸部に対して軸支される内ローラと、前記外ローラの内周面と前記内ローラの外周面との間に転動可能に介在する転動体と、前記外ローラに嵌装されると共に前記内ローラおよび前記転動体に対して軸方向移動を規制するスナップリングとを有するローラユニットと、
    を備える摺動式トリポード型等速ジョイントであって、
    前記外ローラおよび前記内ローラは、それぞれの軸方向に異方性を有し、
    前記ローラユニットは、
    前記外ローラの内周側に前記転動体および前記内ローラを配置した後に、前記外ローラの内周側に縮径された前記スナップリングを挿入し、当該スナップリングを拡径させて前記外ローラに嵌装することにより組付けられ、
    前記ローラユニットの組付けにおいて前記外ローラに対して前記内ローラが逆向きに配置された誤組付け状態の場合に、前記スナップリングの嵌装を規制する規制手段を有し、
    前記規制手段は、
    前記内ローラの一方側の端面から前記内ローラの軸方向に突出する規制部を有し、
    前記誤組付け状態の場合に、前記外ローラに嵌装するために縮径された前記スナップリングに前記規制部が干渉することにより、前記スナップリングの嵌装を規制し、
    前記規制部は、前記ローラユニットの組付けにおいて前記外ローラに対して前記内ローラが正しい向きに配置された正組付け状態の場合に、前記外ローラの内周側に位置するように形成されていることを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。
  2. 請求項1において、
    前記規制部の外接円の直径は、前記外ローラに嵌装するために縮径された前記スナップリングの内径よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。
  3. 請求項1または2において、
    前記規制部の外接円の直径は、縮径前の状態における前記スナップリングの内径よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。
  4. 請求項1〜3の何れか一項において、
    前記誤組付け状態の場合に、前記外ローラの内周面と前記規制部による開口幅は、前記スナップリングの径方向幅より小さくなるように設定されていることを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。
  5. 請求項1〜4の何れか一項において、
    前記外ローラは、一方側の端部の内周面において、前記内ローラおよび前記転動体に対して軸方向移動を規制するように前記内周面から内側に突出する鍔部が形成され、当該鍔部により軸方向に前記異方性を有し、
    前記規制部は、前記正組付け状態の場合に、前記鍔部の内周側に位置するように形成されていることを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。
  6. 請求項5において、
    前記外ローラは、前記鍔部の軸方向厚さが前記スナップリングの軸方向厚さと異なるように設定されることにより、嵌装した前記スナップリングと一体的な状態において軸方向に前記異方性を有することを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。
  7. 請求項1〜6の何れか一項において、
    前記内ローラは、
    その内周面の前記トリポード軸部の根元側の第一開口部において、前記内周面の内径が軸方向中央部から前記第一開口部側に向かって大きくなるような傾斜内面が形成され、
    前記内周面の前記トリポード軸部の先端側の第二開口部において、前記内周面の内径が前記軸方向中央部から前記第二開口部側に向かって同径からなる同径内面が形成され、
    前記傾斜内面および前記同径内面により軸方向に前記異方性を有することを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。
  8. 請求項1〜7の何れか一項において、
    前記規制部は、前記内ローラの周方向全周に亘って環状に形成されることを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。
  9. 請求項1〜7の何れか一項において、
    前記規制部は、前記内ローラの周方向に断続的な複数の凸状に形成されることを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。
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