JP5515529B2 - 近赤外光発光化合物、その合成法及びその発光法 - Google Patents
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<1>次式で示されるインドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなるインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物である。
本発明の近赤外光を発する化学発光化合物は、インドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなる化学式1(化1)で示されるインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物である。この時、化学式1(化1)中のmは、8以上では水溶性が低下するため7以下が好ましく、3〜5が合成しやすい。nは、8以上では発光強度が低下するため7以下が好ましく、2〜4が合成しやすい。pは、発光検出器の特性に依存するものであり、7以下が好ましい。
本発明におけるインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物は、以上の通りのものであり、その合成法は、化学式3(化3)又は化学式4(化4)と、化学式8(化8)で示されるイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物とを溶液中において反応させることにより成し遂げられる。
化学式2(化2)に示される化合物、スクシンイミジル化合物(化4)、カルボン酸化合物(化6)は、一例として次式に示した合成経路に従って合成することができる。
化学式9中の化学式12で示される新規インドシアニン化合物は、例えば非特許文献2に記載の方法により合成する4-(2,3,3-trimethyl-5-sulfo-3H-indolium-1-yl)butane-1-sulfonate(化学式9中の化学式10)と、特許文献2に記載の方法により合成する1-(2-carboxyethyl)-2,3,3-trimethyl-3H-indolium-5-sulfonate(化学式9中の化学式11)と、2-[6-acethlphenylamino]1,3,5-hexatrienyl]-3,3-dimethyl-5-sulfo-1-(4-sulfobutyl)3-H-indoliumとをモル比1:1:1の混合比で、メタノール中、酢酸ナトリウム及びN-[(3-(アニリノメチレン)-2-クロロ-1-シクロヘキセン-1-イル)メチレン]アニリン塩酸を加え、室温から70℃で1時間から3時間反応することにより得ることができる。
化学式6(化6)で示される新規インドシアニン化合物は、インドシアニン化合物(化12)をメタノール中、ナトリウムメトキシドやカリウムメトキシドなどの金属アルコキシドを加え、室温から70℃で1時間から50時間反応することにより得ることができる。
化学式4(化4)で示されるインドシアニン化合物は、インドシアニン化合物(化6)をピリジンとN,N-ジメチルホルムアミドとの混合液中で、室温から80℃で30分から2時間、N,N-ジスクシイミジルカーボネートと反応することにより得ることができる。
化学式2(化2)で示される発光化合物は、化学式6(化6)と化学式8(化8)とをピリジンと燐酸緩衝液の混合液中で、0℃から50℃で30分から24時間、例えばジシクロヘキシルカルボジイミドやWSCなどの脱水縮合剤を加えることにより得ることができる。
化学式2(化2)で示される発光化合物は、化学式4(化4)と化学式8(化8)とをピリジンと燐酸緩衝液の混合液中で、0℃から50℃で30分から24時間、反応することによっても得ることができる。
本発明の発光試薬は、化学式1(化1)又は化学式2(化2)で示されるインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物を含有する発光試薬である。
本発明において、「アルキル基」とは、置換基を有していてもよい炭素数1個〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基をいい、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコサニルなどの直鎖の基、又は分岐状に結合した基をいう。
化学式10(化10)で示される4-(2,3,3-trimethyl-5-sulfo-3H-indolium-1-yl)butane-1-sulfonate(1.0g)、化学式11(化11)で示される1-(2-carboxyethyl)-2,3,3-trimethyl-3H-indolium-5-sulfonate (0.82g)、N-[(3-(アニリノメチレン)-2-クロロ-1-シクロヘキセン-1-イル)メチレン]アニリン塩酸(0.96g)、酢酸ナトリウム(0.88g)、メタノール(24mL)の混合物を50℃で1時間撹拌した。メタノールを減圧除去し、残渣に水(50mL)及びクロロホルム(50mL)を加え分配した。さらに水層をクロロホルム(50mL×5回)で洗浄し、水層を減圧濃縮した。残渣を0.1%TFA水溶液に溶解し、ODSカラムクロマトグラフィーに供し、水とアセトニトリルの混合液で溶出した。目的物の溶出液を減圧濃縮し、目的物0.67gを青緑固体として得た。以下に目的物の機器分析データを示す。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6, 25 oC, TMS:0.0 ppm) 1.65 (6H, s),
1.67 (6H, s), 1.75 (2H, quin, J = 7.3 Hz), 1.83 (4H, m), 2.60 (2H, t, J
= 7.3 Hz), 2.70 (6H, m), 4.26 (2H, t, J = 7.3 Hz), 4.38 (2H, t, J
= 7.3 Hz), 6.34 (1H, d, J = 14 Hz), 6.45 (1H, d, J = 14 Hz), 7.30
(1H, d, J = 8.5 Hz), 7.47 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.62 (1H, d,d, J
= 1.2, 8.5 Hz), 7.67 (1H, d,d, J = 1.2, 8.5 Hz), 7.74 (1H, d, J =
1.2 Hz), 7.81 (1H, d, J = 1.2 Hz), 8.18 (1H, d, J = 14 Hz), 8.29
(1H, d, J = 14 Hz)
ESI-MS m/z calcd for C37H43N2O11S3Cl
822.17, found 823.23 [M+1]
化学式12(化12)で示される化合物4-(2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1-(2-carboxyethyl)-3,3-dimethyl-5-sulfoindolin-2-ylidene)ethylidene)-2-chlorocyclohex-1-enyl)vinyl)-3,3-dimethyl-5-sulfo-3H-indolium-1-yl)butane-1-sulfonate(0.2g)、メタノール(12mL)、カリウムブトキシド(0.56g)の混合物を50℃で12時間撹拌し、次に氷冷下において水(20mL)、1N HCl水溶液(5mL)を加え中和した。反応液を減圧濃縮し、残渣を0.1%TFA水溶液に溶解し、ODSカラムクロマトグラフィーに供した。水とアセトニトリルの混合液で溶出し、溶出液を減圧濃縮し、目的物0.20gを青緑色固体として得た。以下に目的物の機器分析データを示す。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6, 23 oC, TMS:0.0 ppm) 1.65 (6H, s),
1.67 (6H, s), 1.70-1.85 (6H, m), 2.55-2.65 (6H, m), 2.70 (2H, t, J = 7.3
Hz), 3.95 (3H, s), 4.21 (2H, br.), 4.35 (2H, br.), 6.20 (1H, d, J = 14.1
Hz), 6.28 (1H, d, J = 14.7 Hz), 7.27 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.42
(1H, d, J = 8.0 Hz), 7.62 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7. 65 (1H, d, J
= 8.0 Hz), 7.72 (1H, s), 7.79 (1H, s), 7.95 (1H, d, J = 14.1 Hz), 8.06
(1H, d, J = 14.7 Hz)
ESI-MS m/z calcd for C38H46N2O12S3
818.22, found 819.19 [M+1]
化学式6(化6)で示される化合物4-(2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1-(2-carboxyethyl)-3,3-dimethyl-5-sulfoindolin-2-ylidene)ethylidene)-2-methoxycyclohex-1-enyl)vinyl)-3,3-dimethyl-5-sulfo-3H-indolium-1-yl)butane-1-sulfonate(0.15g)、N,N-ジスクシイミジルカーボネート(0.7g)、ピリジン(3mL)、N,N-ジメチルホルムアミド(3mL)の混合物を、50℃で40分間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣を塩化メチレンとメタノールの混合液に溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに供した。塩化メチレンとメタノールの混合液で溶出し、目的物を含む溶出液を減圧濃縮し、目的物0.143gを青色固体として得た。以下に目的物の機器分析データを示す。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6, 23 oC, TMS:0.0 ppm) 1.63 (6H, s),
1.66 (6H, s), 1.70-1.85 (6H, m), 2.55 (2H, t, J = 7.3 Hz), 2.60 (4H,
Br.), 2.78 (4H, s), 3.25 (2H, t, J = 7.3 Hz), 3.94 (3H, s), 4.23 (2H,
br.), 4.43 (2H, br.), 6.08 (1H, d, J = 13.3 Hz), 6.35 (1H, d, J =
14.6 Hz), 7.23 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.45 (1H, d, J = 8.5 Hz),
7.56 (1H, d, d, J = 1.2, 8.5 Hz), 7.66 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.67
(1H, s), 7.80 (1H, s), 7.88 (1H, d, J = 13.3 Hz), 8.10 (1H, d, J
= 14.6 Hz)
ESI-MS m/z calcd for C42H49N3O14S3
915.24, found 916.11 [M+1]
化学式4(化4)で示される4-(2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1-(3-(2,5-dioxopyrrolidin-1-yloxy)-3-oxopropyl)-3,3-dimethyl-5-sulfoindolin-2-ylidene)ethylidene)-2-methoxycyclohex-1-enyl)vinyl)-3,3-dimethyl-5-sulfo-3H-indolium-1-yl)butane-1-sulfonate(0.05g)と化学式8(化8)で示されるN-(2-aminoethyl)-3-(6-(4-methoxyphenyl)-3-oxo-3,7-dihydroimidazo[1,2-a]pyrazin-2-yl)propanamide(0.0087g)をピリジン(0.6mL)及び0.1M燐酸緩衝液(pH7.4、0.25mL)の混合液中、水素置換し室温で4時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣を0.1%TFA水溶液で溶解し、本溶液をODSカラムクロマトグラフィーに供した。水とアセトニトリルの混合液で溶出し、目的物の溶出液を減圧濃縮し、目的物0.009gを黄緑色固体として得た。以下に目的物の機器分析データを示す。
1H NMR (500 MHz, D2O, 22 oC, Aceton:2.07 ppm) 1.21
(6H, s), 1.38 (6H, s), 1.52 (2H, br.), 1.62 (2H, br.), 2.37 (2H, t, J =
7.3 Hz), 2.45 (2H, br.), 2.72 (4H, m), 3.00 (4H, m), 3.42 (3H, s), 3.46 (3H,
s), 3.62 (2H, br.), 4.00 (2H, br.), 5.25 (1H, br.), 5.55 (1H, br.), 6.48 (2H,
d, J = 7.9 Hz), 6.78 (1H, br.), 6.93 (1H, br.), 7.10 (2H, d, J =
7.9 Hz), 7.35 (1H, s), 7.40 (1H, d, J = 7.4 Hz), 7.48 (1H, br.), 7.55
(3H, m), 7.63 (1H, s), 7.83 (1H, s)
ESI-MS m/z calcd for C56H65N7O14S3
1155.38, found 1156.33 [M+1]
化学式6(化6)で示される化合物4-(2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1-(2-carboxyethyl)-3,3-dimethyl-5-sulfoindolin-2-ylidene)ethylidene)-2-methoxycyclohex-1-enyl)vinyl)-3,3-dimethyl-5-sulfo-3H-indolium-1-yl)butane-1-sulfonate(0.03g)、化学式8(化8)で示されるN-(2-aminoethyl)-3-(6-(4-methoxyphenyl)-3-oxo-3,7-dihydroimidazo[1,2-a]pyrazin-2-yl)propanamide(0.017g)、WSC HCl(0.22g)、ピリジン(0.6mL)及び0.1M燐酸緩衝液(pH7.4、0.05mL)の混合物を、水素置換し室温で2時間攪拌した。反応液にアセトンを加え、生成した固体と上澄み液とを分離した後、固体を0.1%TFA水溶液で溶解し、本溶液をODSカラムクロマトグラフィーに供した。水とアセトニトリルの混合液で溶出し、目的物の溶出液を減圧濃縮し、目的物0.007gを黄緑色固体として得た。
KCl(0.2M)、EDTA(0.1mM)、3-モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)(20mM)を含む緩衝水溶液(pH7.2、0.1mL)に25℃で、ヒポキサンチン水溶液(0.3mM、0.1mL)、インドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物(前記式(化10))の水溶液(0.1mM、25μL)及びキサンチンオキシダーゼ水溶液(0.18unit/20μL)を加え、ルミフルスペクトロキャプチャー(アトー社製)を用いて発光スペクトルを測定した。図1に発光スペクトルを示す。先行技術文献に記載の化合物(化13)の発光スペクトルでは、極大発光波長は約790nmであるのに対し、化学式2(化2)に示した化合物の極大発光波長は約803nmであった。それぞれの極大発光波長における発光強度の比較では、化学式2(化2)に示した化合物は約3倍の発光強度を示した。近赤外領域以外の発光は、先行技術文献に記載の化合物(化13)に比べ化学式2(化2)に示した化合物の方が低かった。
Claims (10)
- 次式で示されるインドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなるインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物。
- 次式で示されるスルホインドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなるスルホインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物。
- 次式で示されるスクシンイミジル化合物。
- 次式で示されるカルボン酸化合物。
- 次式で示されるスルホインドシアニン化合物。
- 次式(化19)で示されるスクシンイミジル化合物又は請求項3に記載のスクシンイミジル化合物と次式(化20)で示されるイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物との縮合反応により、請求項1に記載のインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物又は請求項2に記載のスルホインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物を合成する方法。
- 次式(化21)で示されるカルボン酸化合物又は請求項4に記載のカルボン酸化合物と請求項6に記載のイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物との脱水縮合反応により、請求項1に記載のインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物又は請求項2に記載のスルホインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物を合成する方法。
- 請求項4に記載のカルボン酸化合物のスクシンイミジル化反応により、請求項3に記載のスクシンイミジル化合物を合成する方法。
- 請求項1に記載のインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物又は請求項2に記載のスルホインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物を含有することを特徴とする発光試薬。
- 請求項9に記載の発光試薬を検体溶液と接触させ、発光強度を測定することを特徴とする分析方法。
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