本発明の実施の形態について、図面を用いて具体的に説明する。本実施の形態では、本発明に係る入賞装置をパチンコ遊技機(以下、遊技機という。)に適用した例を用いて説明する。なお、本明細書において、遊技機、入賞装置等に関して、「前側」、「後側」は、遊技機を正面から見た場合(図1参照)のそれぞれ正面側(前面側)、裏面側(後面側)を示す。また、遊技機、入賞装置に関して「上下左右側」は、遊技機を正面に見てそれぞれ上側、下側、左側及び右側を示すものとする。また、本明細書においては、遊技球が各種入賞口に入賞することによって遊技者に払い出される遊技球のことを「賞球」という。
図1は、本発明の実施の形態に係る入賞装置を備えた遊技機の外観構成を示す正面図である。図1に示すように、本実施の形態に係る入賞装置を備えた遊技機1は、機体の外郭をなす縦長方形の外枠2を備えている。この外枠2の開口前面側には、縦長方形の中枠3が着脱自在に組み付けられている。中枠3は、全体的に合成樹脂材料を用いて成形されており、遊技盤5をはじめとする各種の遊技用構成部材をセットできるように構成されている。この中枠3の前面側には、前枠4が、左側に設けられたヒンジを中心に中枠3に対して横開きをすることができるように開閉可能に組み付けられている。また、前枠4は、遊技盤5を視認可能にするとともに遊技盤5を保護するガラス板を備えている。前枠4の下部には、上受け皿6が前枠4と同様、開閉可能に組み付けられている。また、中枠3の下部には、下受け皿7及び打球発射装置8がセットされている。
次に、遊技盤5の構成について図2に基づいて説明する。図2は、遊技盤5の外観構成を示す正面図である。遊技盤5は、ベニヤ等のような木製の板材の表面に、セルと呼ばれる意匠性を有する合成樹脂製の薄板部材を貼付して構成された板状部材である。この遊技盤5には、打球発射装置8によって弾発された遊技球が流下する遊技領域9が形成されている。遊技領域9には、流下する遊技球が衝突して流下方向を変更させるための多数の遊技釘10が打ちつけられている。また、遊技領域9の下部には流下した遊技球を受け入れるアウト口11が設けられている。
遊技領域9には、センター役物12、第1始動入賞装置13、大入賞装置14、第1通常入賞装置15及び第2始動入賞装置16が配置されている。なお、図2では、第1通常入賞装置15の前面側、及び第2始動入賞装置16の前面側に取り付けられる装飾部材35(図3参照)が取り外された状態を示す。
センター役物12は、遊技領域9の略中央部に配置されている。このセンター役物12は図柄表示装置17を備えており、遊技の進行に応じて各種の図柄やアニメーション等を表示することができるようになっている。図柄表示装置17には、例えば液晶表示装置や有機ELディスプレイ、LEDなどを用いることができるが、これら以外の表示装置を用いてもよい。
第1始動入賞装置13は、センター役物12の下方に配置されている。第1始動入賞装置13には、1個の遊技球を受け入れ可能な大きさに形成された第1始動入賞口が設けられている。遊技機1は、遊技球がこの第1始動入賞口に入賞することによって、遊技者に有利な状態で遊技を行うことが可能な状態である大当り状態へ移行するか否かの抽選(以下、大当り抽選という。)を行い、大当り抽選の抽選結果を図柄表示装置17で表示するように構成されている。例えば、遊技機1は、遊技球が第1始動入賞口に入賞すると、図柄表示装置17に表示されている3つの数字を一斉に回転させ、その後抽選結果に応じた図柄の組み合わせを停止表示させる映像を表示させ、遊技者に対して大当り抽選に当選したか否かを知ることができるようになっている。
大入賞装置14は、第1始動入賞装置13の下方に配置されている。大入賞装置14は、多数の遊技球を同時に受け入れ可能な大きさに形成され、流下する遊技球を受け入れやすい開状態と、流下する遊技球を受け入れない閉状態とに変換可能な大入賞口18と、大入賞口18を開状態又は閉状態のいずれかに変換するための大入賞口扉19とを備えている。大入賞口扉19は、大入賞口18と略同じ大きさの板状部材により形成されており、プランジャ及びソレノイドによって大入賞口18を開放又は閉鎖するように構成されている。この大入賞口扉19は、通常は大入賞口18を閉鎖するように位置し、大当り抽選に当選したことを契機として、所定時間の経過又は所定個数の遊技球の入賞までの間だけ大入賞口18を開放するようになっている。遊技機1は、遊技球が大入賞口18に入賞すると、入賞した遊技球1個に対して所定個数(例えば10個)の賞球を払い出し、大入賞口18に多数の遊技球を入賞させることによって、遊技者が大量の賞球を獲得することができるようになっている。なお、大入賞装置14は、図1では大入賞口扉19が開放された開状態を示し、図2では大入賞口扉19が閉鎖された閉状態を示している。
第1通常入賞装置15は、第1始動入賞装置13及び大入賞装置14の左側に設けられており、3個の通常入賞口が設けられている。それぞれの通常入賞口は、1個の遊技球を受け入れ可能な大きさに形成されており、いずれかの入賞口に遊技球が入賞した場合に所定数(例えば10個)の賞球が払い出されるように構成されている。
第2始動入賞装置16は、第1始動入賞装置13及び大入賞装置14の右側に設けられている。この第2始動入賞装置16は、少なくとも大入賞装置14の大入賞口18より上方に位置するように設けられており、後述する第2始動入賞口27が大入賞口18よりも上方に設けられるように構成されている。以下、本実施の形態では、第2始動入賞装置16は、第1始動入賞装置13及び大入賞装置14の右側に設けられており、いわゆる右打ちが可能な遊技機1に適用された例について説明するが、第1入賞装置及び大入賞装置14の左側に設けてもよい。
次に、第2始動入賞装置16の構成を図3〜図16に基づいて説明する。なお、第2始動入賞装置16の構成の説明において「上流側」とは、第2始動入賞装置16に遊技球が流入する側を意味し、「下流側」とは、第2始動入賞口27及び第2通常入賞口28のいずれにも入賞しなかった遊技球が第2始動入賞装置16から流出する側を意味する。また、「転動方向」とは、遊技球が案内面上を転動する方向を意味する。
図3及び図4に示すように、第2始動入賞装置16は、本体部21、案内部材としての第1案内部材22、前カバー部材23、第2案内部材24、球受け部材25及び駆動手段26を備えている。本体部21は、第2始動入賞装置16を遊技盤5の盤面に取り付けられるように形成されている。図5に示すように、この本体部21には第2始動入賞口27及び第2通常入賞口28が形成されている。第2始動入賞口27は、球受け部材25が進出した時に、流下する遊技球を1個ずつ受け入れ可能に形成された入賞口である。第2通常入賞口28は、流下する遊技球を1個ずつ受け入れ可能に形成された入賞口であり、第2始動入賞口27の下流側に隣接し、かつ第2始動入賞口27と同じ高さ又は第2始動入賞口27よりも上方に形成されている。
第1案内部材22は、本体部21の前面側に形成されている。この第1案内部材22には、第2始動入賞口27に対して流下方向上流側に位置する案内部29と、案内部29の下流端から更に下り傾斜した転動部30とが形成されている。
案内部29は、流下した遊技球を球受け部材25へ案内するためのもので、流下した遊技球を球受け部材25に形成された球受け面53へ案内する案内面31が形成されている。この案内面31は、球受け面53に対して、遊技球が案内面31上を球受け面53に向けて転動する転動方向上流側に形成されており、上流側から下流側に向けて下り傾斜するようになっている。なお、この案内面31には、少なくとも、第1凸部32aを上流端側に形成し、第2凸部32bを下流端側に形成することが好ましい。第1凸部32aを形成することによって、流下した遊技球を転動方向下流側へ案内しやすくして、より多くの遊技球を第2始動入賞装置16内へ転動させることが可能になる。また、第2凸部32bを形成することによって、第2凸部32bを案内面31上を転動してきた遊技球の下部へ当てることができ、これにより案内面31上の転動時に増加した遊技球の転動速度を減少させて、より確実に球受け部材25へ遊技球を案内することが可能になる。また、案内部29には、第1凸部32aと第2凸部32bとの間に板状部材33を設けることが好ましい。この板状部材33は、流下する遊技球が案内部29に衝突する際の衝撃に対する強度を向上させるために設けられており、例えば金属板又は樹脂板等を用いることができるが、それ以外のものを用いてもよい。なお、第1凸部32aと第2凸部32bは、板状部材33が第1凸部32aと第2凸部32bとの間に設けられた場合には、板状部材33の上面よりも突出するように形成されることが好ましい。なお、案内面31は、案内部材29に板状部材33を設けた場合には板状部材33の上面となる。
転動部30は、第2始動入賞装置16が遊技盤5の盤面に設けられたときに大入賞口18へ向けて遊技球を転動させるためのもので、案内部29の下流端から更に下り傾斜するように形成されている。また、転動部30は、後述する第2案内部材24との間隔が遊技球1個の直径よりも広く、遊技球が第2案内部材24の下方を遊技球が通過可能な高さ位置となるように形成されている。この転動部30には、上流側が上方に向けてカーブするように形成されると共に、下流側に向けて連続的に下り傾斜する転動面34が形成されている。この転動面34は、第2始動入賞装置16が遊技盤5の盤面に取り付けられたときに、終端が大入賞口18に向かうように連続的に形成されている。
なお、本実施の形態では、第1案内部材22が本体部21に形成された例を用いて説明しているが、これに限定されるものではなく、第1案内部材22は前カバー部材23に形成されてもよいし、本体部21及び前カバー部材23とは別個に形成してもよい。なお、図4における符号35は、案内部材の前面側に取り付けられる装飾部材である。
図3に示すように、前カバー部材23は、本体部21の前側に第2始動入賞口27及び第2通常入賞口28を覆うように設けられている。図6に示すように、前カバー部材23は前カバー本体36を有しており、第2案内部材24は、前カバー本体36の裏面側に形成されている。また前カバー本体36には、突起部37及び取付軸38が形成されている。前カバー本体36は、本体部21に取り付けた時に第2通常入賞口28及び第2始動入賞口27を覆うことができる大きさに形成された板状の部材である。第2案内部材24は、上方側に開口部39が形成されるとともに、この開口部39から第2通常入賞口28の前面側に位置する終端部40までの間に形成された第2案内流路41とを有しており、開口部39から流入した遊技球が第2通常入賞口28へ円滑に案内されるように構成されている。
また、第2案内部材24は、第2始動入賞口27の上方に設けられており、第2案内部材24には、第2案内部材24から下方に向けて延出されて形成されている延出部42が形成されている。延出部42は、遊技球が案内面31から球受け部材25へ転動した時に、該遊技球が飛び跳ねる等して球受け部材25から転動面34へ向けて流下するのを防ぐためのもので、球受け部材25へ転動した遊技球が当たる高さまで下方に延出形成されている。なお、この延出部42は、第2始動入賞口27に対して第2通常入賞口28が高い位置に設けられたことに伴って第2案内部材24が球受け部材25に対して高い位置に設けられた場合であって、球受け部材25に転動した遊技球が第2案内部材24の外周面に当たらない時に形成されるものである。したがって、第2案内部材24が球受け部材25に対して遊技球1個未満だけ高い位置に設けられている場合には、転動した遊技球は第2案内部材24の外周面に当たるので、延出部42を形成しなくてもよい。
なお、第2案内流路41の終端部40には誘導板43を形成することが好ましい。この誘導板43は、前カバー本体36の裏面側から後方に向けて形成されており、上流側から下流側に向かって、後方へ延出する長さが順次長くなるように形成された誘導面44を有している。これにより、開口部39から流入して第2案内流路41内を転動してきた遊技球は、終端部40において誘導面44に沿って転動し、転動方向を下流方向から第2通常入賞口28へ向かう方向に変えることができ、遊技球を円滑に第2通常入賞口28へ案内して球詰まりの発生を防止することが可能になる。
突起部37は、前カバー部材23を本体部21に取り付けた時に、球受け部材25と対向する位置に設けられており、前カバー本体36の裏面側から後方へ突出するように設けられている。この突起部37は、上流側の突出高さが最も高く、下流側に向かって順次低くなるように形成されている。取付軸38は、前カバー部材23を本体部21へ取付固定する際に用いられる軸部材である。図3に示すように、このように構成された前カバー部材23が本体部21に取り付けられると、第1案内部材22と第2案内部材24は本体部21と前カバー部材23との間に位置するように設けられる。また、なお、本実施の形態では、第2案内部材24が前カバー部材23に形成された例を用いて説明しているが、これに限定されるものではなく、第2案内部材24は本体部21に形成されてもよいし、本体部21及び前カバー部材23とは別個に形成してもよい。
図7に示すように、前カバー部材23が本体部21に取付けられると、第2案内部材24は球受け部材25と隣接するように配置され、案内部29は、球受け部材25を挟んで第2案内部材24とは反対側に配置される。また、第2始動入賞装置16には、駆動手段26により球受け部材25が第2始動入賞口27の前方へ進出した時に、案内部29と、第2始動入賞口27の前方へ進出した球受け部材25と、第2案内部材24の一部とによって、遊技球が第2始動入賞口27へ案内される第1案内流路45が形成される。また、球受け部材25は、球受け部材25が第2始動入賞口27よりも前方に進出した場合における球受け部材25の下流端と第2案内部材24の上流端との間隔d1が遊技球の直径未満となるように配置されている。また、転動面34は、延出部42の下端部と、延出部42の直下に位置する転動面34との間の間隔d2が遊技球の直径よりも大きくなるように配置されている。
このように、第1案内流路45を形成することによって、遊技球が斜めに勢いよく流下して、球受け部材25に当った際に飛び跳ねてしまっても、その飛び跳ねた遊技球を第2案内部材24の外周面又は延出部42で受け止めさせることが可能になる。また、飛び跳ねた遊技球を第2案内部材24の外周面又は延出部42で受け止めることにより、遊技球の勢いを大幅に低減し、球受け部材25に案内して第2始動入賞口27へ案内することも可能になる。
図4に示すように、球受け部材25は、本体部21の後側から進退可能に取り付けられるように構成されている。球受け部材25は、第2始動入賞口27の前方と後方との間で前後方向に進退するように駆動手段26に接続されており、駆動手段26の駆動によって第2始動入賞口27の前方へ進出した時に遊技球を第2始動入賞口27へ受け入れるように形成されている。図8に示すように、球受け部材25は、遊技球を受け止める球受け部51、及び駆動機構73と連結するための連結部52を有する。球受け部51は、球受け部材25において連結部52の前側に設けられており、第2始動入賞口27の前方へ進出した時に、流下する遊技球を受け止める球受け面53と、球受け面53の前端に設けられた前方壁54と、球受け面53の上流側の側端に設けられた側方壁55とを有している。球受け面53の下流端の側端は、球受け面53上を転動する遊技球が排出されるように形成されている。なお、本実施の形態における側方壁55は、球受け面53の下流側に設けてもよい。この場合には、球受け面53の上流側に遊技球を排出するように構成してもよいし、他の場所から遊技球を排出するように構成してもよい。
図8〜図11に示すように、球受け面53は、球受け部材25が第2始動入賞口27の前方へ進出した時に遊技球を第2始動入賞口27へ案内するためのもので、第1傾斜面56、第2傾斜面57、第3傾斜面58及び底面59が形成されている。第1傾斜面56は、球受け部材25の前端部上流側に形成されている。この第1傾斜面56は、球受け部材25の上流側から下流側へ向けて角度θ1で下り傾斜するように形成されるとともに、球受け部材25の前端側から後端側へ向けて下り傾斜するように形成されている。この前端側から後端側へ向けて下り傾斜する角度は上流端と下流端で異なっている。すなわち、この前端側から後端側へ向けての角度は、上流端では角度θ2であり、下流側へ行くにしたがって連続的に小さい値になり、下流端ではθ2´(θ2>θ2´)となるように変化している。第2傾斜面57は、球受け部材25の前端部下流側に形成されている。この第2傾斜面57は、球受け部材25の前端側から後端側へ向けて角度θ3で下り傾斜し、遊技球が前端側から後端側へ転動するように形成されている。この第2傾斜面57の角度θ3は、第1傾斜面56のθ2よりも大きく、θ3>θ2の関係になるように形成されている。
第3傾斜面58は、球受け部材25の上流側から下流側に向けて角度θ4で下り傾斜するように形成されている。この第3傾斜面58は、球受け部材25の前方から後方に向けて連続的に形成されている。この第3傾斜面58の角度θ4は、第1傾斜面56の角度θ1よりも大きく、θ4>θ1の関係になるように形成されている。底面59は、第1傾斜面56、第2傾斜面57及び第3傾斜面58の下流側端部と繋がる面で、上流側から下流側へ向けて角度θ5で下り傾斜するように形成されている。この底面59の角度θ5は、θ1よりも小さくなるように形成されている。したがって、上流側から下流側へ向けて下り傾斜する誘導面44の角度の間には、θ4>θ1>θ5の関係がある。
図11に示すように、第1傾斜面56の下流側と第2傾斜面57の上流側との間には案内溝60が形成されている。この案内溝60は、第1傾斜面56を上流側から下流側に向けて転動する遊技球を前端側から後端側へ向けて案内するために形成されている。また、第1傾斜面56の下流端の高さ位置は第2傾斜面57の上流端の高さ位置よりも低くなるように形成されている。そのため、第1傾斜面56上を上流側から下流側へ向けて転動する遊技球が第2傾斜面57の上流端で受け止められやすくなっており、より確実に遊技球を第2始動入賞口27へ案内することができるようになっている。
球受け部51の奥側には奥壁61が形成されており、この奥壁61の前面側には奥面62が形成されている。奥面62は、本体部21の第2始動入賞口27が形成されている面に対して、上流側から下流側に向けて前後方向に角度θ6だけ傾斜するように形成されている。図8中の符号L1は、本体部21の第2始動入賞口27が形成されている面21aと平行な線である。
前方壁54は、球受け面53の前端側、すなわち球受け部材25の前端側に形成された壁部材である。この前方壁54は、上流端の高さよりも下流端の高さが高くなるように形成されており、上流端側から下流端側に向けて、水平線L2に対して角度θ7で上り傾斜するように形成されている。このように、前方壁54が上流側から下流側に向けて上り傾斜することによって、第2傾斜面57上端部の高さ位置をより高い位置にすることができ、遊技球をより確実に第2傾斜面57にて受け止めることが可能になる。
また、この前方壁54は、球受け部材25が第2始動入賞口27の前方へ進出した場合における第2始動入賞口27が形成されている面から球受け部材25の前端までの長さが、上流側が最も長く、下流側に向かって順次短くなるように形成されている。すなわち、前方壁54は、本体部21の第2始動入賞口27が形成されている面21aに対して、上流側から下流側に向けて前後方向に角度θ8だけ傾斜するように形成されている。図8中の符号L3は、本体部21の第2始動入賞口27が形成されている面21aと平行な線である。
このように、前方壁54を角度θ8だけ傾斜させることにより、球受け部材25が第2始動入賞口27の前方へ進出した場合における前方壁54と前カバー部材23の突起部37との間隔を、上流端が最も狭く、下流端が最も広くなるようにすることができる。これにより、図12に示すように、前方壁54の縁と突起部37の縁とによって、これらの縁の間隔が、上流側は狭く、下流側へ進むにつれて広くなる案内経路を形成することができ、この案内経路によって遊技球をスムーズに下流へ案内することが可能になる。また、球受け部材25が第2始動入賞口27の前方へ進出する動作をしている場合、又は第2始動入賞口27の前方へ進出した位置に停止している場合のように、第2始動入賞口27に入賞しなかった遊技球による第2始動入賞口27付近での球詰まりが比較的発生しやすい場合においても、遊技球を下流側へスムーズに案内して球詰まりの発生を効果的に防止することも可能になる。
なお、この前方壁54は、球受け面53に向けて下り傾斜した曲面状に形成されていることが好ましい。前方壁54をこのように形成することで、針金等のような不正行為具を球受け部材25に引っ掛けにくくすることができ、球受け部材25を不正に第2始動入賞口27の前方へ引き出し、より多くの遊技球を第2始動入賞口27へ入賞させて当り抽選の機会を増加し、不正に多くの賞球を獲得するというような事態を防止することが可能になる。
側方壁55は、球受け部材25の上流側端部に形成された壁部材である。この側方壁55は、球受け部材25の前方から後方に向けて、第3傾斜面58の上端部が位置する高さまで下り傾斜し、その後は後方に向けて同じ高さとなるように形成されている。なお、この側方壁55は、球受け面53に向けて下り傾斜した曲面状に形成されていることが好ましい。このように形成することで、針金等のような不正行為具を球受け部材25に引っ掛けにくくすることができ、球受け部材25を不正に第2始動入賞口27の前方へ引き出し、より多くの遊技球を第2始動入賞口27へ入賞させて当り抽選の機会を増加し、不正に多くの賞球を獲得するというような事態を防止することが可能になる。
連結部52は、球受け部材25を駆動機構73と連結させるためのもので、球受け部材25の後端側に形成されている。この連結部52は、後端側が開口したコ字形をしており、左右方向に位置する両側壁部52a,52bにU字形状のU字溝52c,52dが設けられた構成になっている。なお、前方に位置する前壁部には、前面側に奥面62が形成されている。なお、図中の符号63及び符号64は、球受け部材25が進退動作をする際のガイド部材である。このガイド部材は、本体部21の裏面側等に形成された溝(図示せず)と嵌合可能に形成されており、進退動作を行う際に左右方向及び上下方向をガイドされるようになっている。
図4に示すように、駆動手段26は、ソレノイド71、プランジャ72、並びにプランジャ72の駆動力を球受け部材25に伝達する駆動機構73から構成されており、駆動機構73はプランジャ72に装着された連動部材74及びリンク部材75を有する。連動部材74及びリンク部材75は収納ケース76内に配置されるようになっており、収納ケース76の後端側にソレノイド71が取り付けられて構成されている。このように構成された駆動手段26は、本体部21の後方にネジ止め等の方法で取り付けられるようになっている。なお、取り付け方法はネジ止め以外の方法を使用してもよい。
ソレノイド71は、駆動機構73を介して球受け部材25に駆動力を伝達して球受け部材25を前後方向に進退移動させるためのものである。このソレノイド71はプランジャ72を有しており、中央部に設けられたプランジャ72を挿入するための挿入孔71aにプランジャ72を挿入して構成されている。ソレノイド71は、図示しない制御装置からの信号に基づいて励磁又は消磁するようになっており、制御装置は所定条件が成立した場合にソレノイド71を励磁する等の制御を行うように構成されている。この所定条件は種々決定することが可能であるが、本実施の形態においては、遊技盤5に設けられている通過入賞口101を遊技球が通過したことが所定条件として設定されている。
プランジャ72は、ソレノイド71の励磁又は消磁によって前後方向に進退することができるようになっている。このプランジャ72の前端部にはフランジ部72aが形成されており、このフランジ部72aに連動部材74の後端側に形成された嵌合溝74aを嵌合して、プランジャ72に連動部材74を装着するように構成されている。また、連動部材74の後方にあたるプランジャ72には、後端側にバネ77が設けられている。プランジャ72は、バネ77が設けられた状態でソレノイド71の挿入孔71aに挿入されており、常に連動部材74を前方に付勢するようになっている。
連動部材74は、後端側に形成された嵌合溝74aにプランジャ72のフランジ部72aが装着されるように構成されるとともに、前端側には、左右方向の2ヶ所から前方へ延出する支持部78a,78bが形成されており、この支持部78a,78bの先端に上面側が開口形成された連結凹部79a,79bが形成されている。この連結凹部79a,79bはリンク部材75の第1接続部80と連結可能に形成されている。また、連動部材74には、下部に四角形状のロック孔82が形成されている。このロック孔82は、リンク部材75に後方側へ突設形成されたロックピン87が嵌合可能な大きさに形成されており、連動部材74の前面から後方に向かって前後方向に深さを有するように形成されている。また、ロック孔82は、リンク部材75が回動する回動中心よりも後方に位置に形成されており、リンク部材75の回動に伴って回動運動をするロックピン87の軌道上に、後方に向かって前後方向に所定深さを有するように形成されている。
リンク部材75は、連動部材74の前端側に形成された連結凹部79a,79bと、球受け部材25の後端側に形成された連結部52に接続される部材で、第1接続部80及び第2接続部81がアーム部83に設けられている。第1接続部80は、アーム部83の上端側に形成された左右方向に延びる腕状の部材であり、連動部材74の連結凹部79a,79bと連結可能な寸法に形成されている。この第1接続部80を構成する腕状の部材の直径は、連結凹部79a,79bの前後方向の幅よりも小さくなるように形成されており、腕状の部材の前方側又は後方側のいずれか一方には、空間部84が形成されるようになっている。第2接続部81は、アーム部83の下端側に左右方向に突出するように形成されている。この突出した第2接続部81の直径は、球受け部材25に形成された連結部52のU字溝52c,52dの幅と同じ又は若干小さい径となるように形成されており、第2接続部81がU字溝52c,52dに嵌め込まれることによって球受け部材25と連結することができるようになっている。
アーム部83は、リンク部材75の主軸をなす部材であり、略中央部には、このリンク部材75が回動する際の回動支点となる軸孔部85が形成されている。この軸孔部85には支持軸86が挿通されており、この支持軸86が収納ケース76内に形成されている図示しない軸受け部に収納されるようになっている。収納ケース76内に収納されたリンク部材75は、支持軸86を回動軸として、連動部材74の前後方向の運動に伴って回動し、球受け部材25を連動部材74の移動方向とは逆向きの方向へ移動させるように回動し、連動部材74が前方へ移動すると、リンク部材75が連動部材74に接近する方向へ回動するように構成されている。
また、アーム部83には、下端側にロックピン87が形成されている。ロックピン87は、リンク部材75の後方側へ突設形成されており、ロック孔82と所定深さで嵌合又は嵌合の解除が自在となるように構成されている。これらロック孔82とロックピン87は、該ロック孔82とロックピン87とが所定深さに嵌合された状態からロックピン87とロック孔82の嵌合が解除されるまで、連動部材74がリンク部材75に対して後方へスライド移動するように接続されており、ロック孔82と嵌合している場合には、リンク部材75の回動動作を阻止することができるように構成されている。したがって、ロックピン87がロック孔82と嵌合している場合には、球受け部材25が第2始動入賞口27の前方へ引き出されることを阻止することが可能になる。
このように構成された球受け部材25及び駆動手段26は、通常は、球受け部材25が第2始動入賞口27の後方へ退避する位置に配置されている。そのときの駆動手段26は、図13に示すように、プランジャ72がバネ77の力によりソレノイド71に対して前方へ付勢されており、それに伴って連動部材74も前方に位置する。また、リンク部材75は、連動部材74の連結凹部79a,79bが前方へ位置することに伴い、アーム部83の下方に形成されたロックピン87がロック孔82に所定深さだけ嵌合されている。また、連動部材74の連結凹部79a,79bと第1連結部52とは、連結凹部79a,79bの後端面と第1連結部52とが当接し、連結凹部79a,79bの前端面と第1連結部52との間に、所定幅の空間部84が形成されている。
ここで、ソレノイド71が駆動してプランジャ72が挿入孔71a内に引き込まれ、図14中のA方向へ移動し始めると、連動部材74もプランジャ72と共にA方向へスライド移動するため、連動部材74の前端面と第1連結部52との間に形成された空間部84が消滅し、連結凹部79a,79bの後端面と第1連結部52との間に空間88が形成されるようになる。また、連動部材74のスライド移動に伴ってロック孔82の位置もA方向にスライド移動するため、ロック孔82とロックピン87の嵌合状態も解除される。
ソレノイド71がさらにプランジャ72を挿入孔71a内に引き込むと、連動部材74がさらにA方向へスライド移動することに伴って、連結凹部79a,79bの前端面と第1連結部52とが当接する。その後、さらに連動部材74がA方向へスライド移動すると、次はリンク部材75が支持軸86を回動中心として回転運動を開始する。即ち、ロック孔82とロックピン87との嵌合状態は完全に解除され、さらにリンク部材75が図15中のB方向に回動することが可能になる。このとき、球受け部材25は、リンク部材75の回動運動によって第2始動入賞口27の前方へ向けてC方向へ押出される。
一方、不正行為によって球受け部材25を引き出そうとする場合は、図16に示すように、ソレノイド71が全く駆動していないので、連動部材74は、前方へ位置したまま動かず、ロックピン87とロック孔82とが嵌合された状態を維持する。そのため、球受け部材25を前方へ移動させようとすると、球受け部材25の前方への移動に伴ってリンク部材75が回動するが、ロックピン87がロック孔82に嵌合されているので、ロックピン87の下面87aがロック孔82の底面82aに当接し、リンク部材75の回動運動を阻止する。そのため、球受け部材25は前方へ引き出されなくなる。このように、不正行為を行う者が球受け部材25を無理やり引き出そうとした場合には、ロックピン87をロック孔82に嵌合させる機構を球受け部材25が引き出されないロック機構として作用させることができ、不正行為者が不正行為を行って不正に賞球を獲得する機会を得ることを防止することが可能になる。
図17は、遊技盤5において、本実施の形態に係る第2始動入賞装置16を設けた部分を拡大して表した部分拡大図である。なお、図17では、説明の便宜上、第2始動入賞装置16の前カバー部材23及び装飾部材を取り外した構成のものを図示する。また、図17中の矢印は、遊技領域9を流下する遊技球の流下経路の一例である。
図17に示すように、第2始動入賞装置16は、転動面34が大入賞口18へ向くように遊技盤5に設けられている。遊技領域9を流下する遊技球は、通過入賞口101付近の遊技釘で形成された流下経路上を転動した後、遊技釘91aと遊技釘91bとの間に形成された隙間92に落ち込み、略鉛直方向に流下する。そして、略鉛直方向に流下した遊技球は、第2始動入賞装置16の第1案内部材22に形成された案内面31と衝突した後に案内面31上を下流側に転動し、球受け部材25が第2始動入賞口27の前方へ進出している時は、案内面31から球受け面に案内された遊技球が第2始動入賞口27へ受け入れられ、球受け部材が第2始動入賞口27の後方へ退避している時は、案内面31を転動する遊技球は、案内面31の下流端から更に下流側、かつ案内面31より下方に形成された転動路上をB方向に転動する。このとき、転動面34は連続した平滑な面で形成されているので、転動面34の傾斜角度が小さくても、遊技球は転動面34上で留まることなくスムーズに転動する。遊技球は、転動面34上を転動した後にC方向に流下して、大入賞装置14に形成された大入賞口18内に入賞する。
このように、本実施の形態に係る第2始動入賞装置16によれば、転動面34の傾斜角度を小さくしても、遊技球をスムーズに大入賞口18へ案内することができる。したがって、転動路を多数の遊技釘10で形成した場合と比較して第2始動入賞装置16をより低い高さ位置に設けても、遊技球を安定に転動させることが可能になる。また、第2始動入賞装置16をより低い高さ位置に設けることにより、第2始動入賞装置16、及び該第2始動入賞装置16から大入賞装置14へ遊技球を転動させるための転動経路を設けるために必要なスペースを大幅に減らすことが可能になる。また、この空いたスペースは、他の役物装置や、或いは大型化した図柄表示装置17を備えるセンター役物12を設けるためのスペースとして利用することができるので、遊技者の興趣をより向上させることができる多彩な演出を行うことも可能になる。さらに、本実施の形態に係る第2始動入賞装置16によれば、遊技球90が案内面31から球受け面53を転動して第2始動入賞口27へ案内されなかった場合には、案内面31から転動面34を転動するように構成されているので、第2始動入賞口27に入賞しなかった遊技球が大入賞口18に入賞する可能性を残すことができ、遊技者の遊技に対する興趣をより増加させることが可能になる。
なお、本実施の形態においては、ロックピン87はロック孔82と嵌合可能なブロック状のものを用いて説明したが、他の形状のものを使用してもよい。このロックピン87及びロック孔82の変更例を図18に示す。図18は、ロック孔82及びロックピン87の変形例を表す部分拡大図である。
図18(a)は、ロックピン87の突出端に、後方に向けて突出する補強部95が形成されている例である。この補強部95は、ロックピン87の後端を更に後方へ延出させてもよいし、ロックピン87に対して別の補強用部材を取り付けてもよい。また、これ以外の方法により補強部95を形成してもよい。この補強部95を設けることにより、不正行為時における過剰な力でロックピン87が破損されることを防止でき、より確実に不正行為を防止することが可能になる。なお、便宜上、ロックピン87と補強部95との境界は、図18(a)中に点線で表す。後述する図18(b)についても同様である。
図18(b)は、補強部95を設けたロックピン87において、該補強部95の下面から後端面側に向けて斜面状に形成された斜面部96を形成した例である。このように、補強部95に斜面部96を設けることにより、補強部95によるロックピン87の強度を維持しつつ、ロックピン87とロック孔82との嵌合を解除するために必要な連動部材74のストロークを短くすることができるので、ロックピン87の強度を向上させつつ装置の小型化を図ることが可能になる。
図18(c)は、連動部材74を厚肉化して、ロック孔82の前後方向の長さを長くするように形成した例である。このようにロック孔82を形成することでも、ロックピン87との相対的な嵌合深さを確保することが可能になる。また、ロック孔82を上記のように形成することで、ロック孔82付近の強度も向上させることが可能になる。なお、上記した補強部95を設けたロックピン87と、前後方向の長さを長くしたロック孔82を形成した連動部材74を用いることで、ロック機構としての強度をより向上させることができ、より確実に不正行為を防止することが可能になる。
図18(d)は、ロックピン97の下面97aとロック孔98の底面98aを斜めに形成した例である。この例では、ロックピン97の下面97aは、アーム部83と接続される根元側における幅R1に対して、後端側における幅R2の方が幅広になるような角度で形成されており、ロック孔98の底面98aもロックピン97の下面97aと同じ角度になるように形成されている。このように、下面97aと底面98aを上記した斜め形状にすることで、不正行為によって過剰な力がロックピン97に加わった場合でも、ロックピン97とロック孔98との嵌合状態をより強固に維持することが可能になり、より確実に不正行為を防止することが可能になる。
図18(e)は、ロックピン99の先端をカギ状に形成した例である。この例では、ロックピン99の先端にカギ状部材99aを形成し、このカギ状部材99aがロック孔82と係合するように構成されている。このように構成することで、不正行為によって球受け部材25が引き出されることでリンク部材75が回動動作をした場合には、カギ状部材99aの係合部99bと連動部材74の後端面74bとが強固に係合し、リンク部材75の回動をより確実に阻止することが可能になる。したがって、この場合においても、より確実に不正行為を防止することが可能になる。
なお、本実施の形態においては、各入賞口に遊技球が入賞した場合に払い出される賞球の数を10個として説明したが、賞球数はこれに限定されるものではない。また、本実施の形態では、遊技機1の一例としてパチンコ機に適用した例を説明したが、パチンコ機のほかにパロット機、アーケードマシン、各種ゲーム機等のように、遊技球の流下によって遊技が実現されるものであれば適宜用いることができる。