本発明に係る遊技機の実施の形態について、図面を用いて具体的に説明する。なお、本明細書では、遊技機及び遊技機を構成する各部の構成について説明した後に、遊技機を構成する遊技盤における各種装置の配置について説明し、その後、本発明に係る遊技機の作用効果について説明する。
また、本実施の形態では、本発明に係る遊技機の例としてパチンコ遊技機を用いて説明するが、本発明はパチンコ遊技機以外の遊技機にも適用することが可能である。また、本明細書においては、パチンコ遊技機(以下、単に「遊技機」と言う。)及び遊技機を構成する各部材の「前側」、「後側」は、遊技機を正面から見た場合における正面側(前面側)、裏面側(後面側)を示すものとし、遊技機及び遊技機を構成する各部材に関して「上側」、「下側」、「左側」及び「右側」は、図1に示すように遊技機を正面から見た場合における上側、下側、左側及び右側を示すものとする。また、本明細書に置いては、遊技球が各種入賞口に流入することを「入賞」と言い、遊技球が入賞することによって遊技者に払い出される遊技球のことを「賞球」と言う。
[遊技機1の外観構成]
図1に示すように、遊技機1は、基体の外郭を構成する縦長方形の外枠2を備えている。この外枠2の開口前面側には、縦長方形の中枠3が着脱自在に組み付けられている。中枠3は、全体的に合成樹脂材料を用いて成形されており、内部に遊技盤11等を取付固定することができるように構成されている。前枠4は、中枠3の前面側に、該前枠4の左側に設けられたヒンジを中心に中枠3に対して横開きをすることができるように開閉自在に組み付けられている。前枠4は、ガラス板5を備えており、遊技者が遊技盤11を視認することができ、かつ遊技盤11を保護することができるように構成されている。また、前枠4は、遊技に使用する遊技球Bを一時的に貯留する上受け皿6と、上受け皿6から溢れ出て流下した遊技球Bを貯留する下受け皿7をガラス板5の下方に備えている。遊技機1は、内部に遊技球Bを遊技盤11に向けて弾発するための発射装置(図示せず)を備えており、この発射装置における弾発強さを操作ハンドル8の回動量によって調節することができるように構成されている。発射装置は、該発射装置で弾発された遊技球Bを後述するセンター役物23よりも右側へ流下させることが可能な強さで、該遊技球Bを弾発することができるように構成されている。また、上受け皿6には、遊技球Bを貯留する貯留スペースの前側に、遊技者が遊技中に押圧操作する各種ボタン9a,9b,9cが配置されている。なお、図1中の符号10は、音声を出力するためのスピーカである。なお、本実施の形態に係る遊技機1は、発射装置で弾発された遊技球Bを後述するセンター役物23よりも右側に流下させることが可能となるように形成されている。
[遊技盤11及び遊技盤11に配置された各部の構成]
図2に示すように、遊技盤11は、アクリルやポリカーボネート等の合成樹脂材料にて形成された略正方形の平板状の部材である。遊技盤11の前面には、外レール12と内レール13とが半円弧状に配設されており、外レール12の外側にはコーナー飾り14が設けられている。これら外レール12と内レール13とは、前後方向に所定の厚さを有する部材で形成されている。
外レール12は、遊技盤11の左右方向中央よりも左側の下部から遊技盤11の上部を経て該遊技盤11の左右方向中央よりも右側の上部まで、円弧を描くように形成されている。内レール13は、遊技盤11の左右方向中央よりも左側の下部から左側の上部まで、円弧を描くように形成されている。また、内レール13は、遊技盤11の盤面上においては外レール12と対向するように配置されている。
外レール12と内レール13とは、これら外レール12と内レール13との間を遊技球Bが通過することが可能な間隔を有する誘導路15が形成されるように配置されている。この誘導路15は、発射装置にて弾発された遊技球Bが通過する際に通る経路である。誘導路15を通過した遊技球Bが流下する遊技領域16は、遊技盤11において、外レール12の内側(外レール12と内レール13とが対向配置されている箇所においては、内レール13の内側)に形成されており、遊技球Bは、この誘導路15を通過した後に、遊技領域16の上部から下部に向けて流下するように構成されている。
コーナー飾り14は、外レール12の外側の領域に設けられている。このコーナー飾り14は、不透明な合成樹脂材料によって形成されており、外レール12よりも外側の領域に設けられている。なお、このコーナー飾り14が設けられている箇所は、その前側に位置する前枠4によって覆われ、コーナー飾り14が視認出来ないようになっている。また、コーナー飾り14は、外レール12と同程度の前後方向の厚みを有するように形成されており、左右方向中央部よりも右側において外レール12が設けられていない箇所では、外レール12に代わってコーナー飾り14の内側の側面が遊技領域16に露出するように構成されている。
遊技領域16には、通常入賞装置21、第1始動入賞装置22、センター役物23、大入賞装置24及び第1アウト口25が設けられている。また、遊技領域16には、図示しない多数の誘導釘が打たれている。遊技領域16を流下する遊技球Bは、誘導釘に当たって流下方向を変化させながら、遊技領域16の上部から下部に向かって流下する。ほとんどの遊技球Bは、遊技領域16の最下部に設けられた第1アウト口25に流入するか、センター役物23の右側面部に設けられた後述する第2アウト口35に流入し、これ以外の遊技球Bは、各種入賞装置等に設けられた各種入賞口に入賞するように構成されている。
通常入賞装置21は、通常入賞口86を有している。通常入賞口86は、上方に向けて、遊技領域16を流下する遊技球Bが入賞可能な大きさに開口形成されている。遊技機1は、この通常入賞口86へ遊技球Bが入賞すると、所定数(例えば15個)の賞球を払い出すように構成されている。
第1始動入賞装置22は、センター役物23の下方に配置されている。この第1始動入賞装置22は、遊技球Bの入賞によって遊技者に有利な大当り状態で遊技を行う契機を付与するもので、上方に向けて開口形成されている第1始動入賞口を有している。
センター役物23は、遊技領域16の略中央に設けられている。言い換えれば、センター役物23は、大入賞装置24の上流側に設けられている。このセンター役物23は、変動図柄を表示する図柄表示装置、図柄表示装置の周囲を取り囲むように構成された装飾枠31、装飾枠31の後側であって、入賞装置としての後述する第2始動入賞装置34よりも上流側に設けられ、装飾枠31の右側面から突出するように形成された鍔部32、装飾枠31の前側において、少なくとも鍔部32と対向する位置に設けられた装飾部材33を備えている。また、センター役物23には、第2始動入賞装置34、第2アウト口35が設けられている。なお、図2及び図3においては、説明の便宜上、図柄表示装置を取り外した状態のセンター役物23を示している。
図柄表示装置は、遊技機1における視覚的な演出を行うためのもので、これには、例えば液晶表示パネル等の従来から公知の表示装置を任意に選択して使用することができる。この図柄表示装置は、遊技機1の状況に応じて種々の画像や動画、アニメーション等を表示することができるように構成されている。例えば、図柄表示装置では、通常は、縦に3つ並んだ数字の列を3列停止表示し、そのほかに画像やアニメーション等を表示させておいて、第1始動入賞口や第2始動入賞口51に遊技球Bが入賞すると、遊技機1の内部で行われる抽選に併せて各列の数字を変動表示させ、所定時間経過後に再び各列の数字を停止表示させる、というような表示が行われる。遊技機1では、この変動表示から停止表示に移行した際の数字の並び方によって、上記した抽選に当選したか否かを遊技者に知らせるようになっている。
図柄表示装置は、センター役物23の図柄表示装置設置領域36に設置される。図柄表示装置設置領域36は、センター役物23内において図柄表示装置を設置するために開口形成されている領域である。遊技盤11には、センター役物23が取付固定された時に、該センター役物23の図柄表示装置設置領域36が位置するところが開口形成されている。図柄表示装置は、この図柄表示装置設置領域36に対して遊技盤11の前側又は後側のいずれかから挿入されて、最終的にセンター役物23に取付固定される。
装飾枠31は、図柄表示装置の周囲を取り囲むように形成された枠状の部材である。図3に示すように、装飾枠31には、その内部に遊技球Bを左右方向の左右両端部から中央部に向けて誘導する第1誘導面37が形成されている。また、装飾枠31には、第1誘導面37の下方に第2誘導面38と誘導溝39が形成されている。第2誘導面38は、左右方向両端部から左右方向中央部に向けて盛り上がるように形成されており、左右方向に転動する遊技球Bの速度を減少させることができるように構成されている。誘導溝39は、この第2誘導面38の中央部に形成されており、左右方向に転動する遊技球Bの転動方向を前後方向に変えるためのものである。なお、図2に示すように、誘導溝39の下方には第1始動入賞装置22が配置されており、誘導溝39に案内されて前方向に転動する遊技球Bが第1始動入賞口に入賞しやすくなるように構成されている。
装飾枠31の外周側面は、流下する遊技球Bを案内するための案内面40ともなっている。具体的には、装飾枠31の左右方向中央部を略中心として左右方向に所定寸法だけ延びている外周側面は略水平面として形成されている。また、装飾枠31の左右方向中央部よりも右側に形成された外周側面には、流下する遊技球Bを遊技領域16の右側へ案内する案内面40が右側に下り傾斜する方向へ形成されている。
鍔部32は、案内面40が左右方向中央部よりも右側に形成された外周面から、該装飾枠31の外方向に向けて延びる方向に形成されている。また、鍔部32は、案内面40の後部に形成されている。この鍔部32には、3個のリブ41が形成されている。これらリブ41は、後述する流下通路45を流下する遊技球Bの流下速度を減速させるためのもので、鍔部32の前面から前方向に突出するように形成されている。本実施の形態では、これらリブ41は、水平方向には形成されておらず、水平よりも右上に向く方向に形成されている。これは、図4(a)に示すように、鍔部32を正面から見た場合に、遊技球Bが流下する方向とリブ41の延びる方向とが垂直になるようにリブ41が形成されているからである。このように、遊技球Bの流下方向とリブ41の延びる方向とを垂直にすることにより、リブ41に衝突した遊技球Bの流下速度を減速させる割合を大きくすることができるようになる。また、これらリブ41は、図4(b)に示すように、鍔部32を上側(又は下側)から見た場合に、鍔部32の前面から突出高さが一定となるように形成されている。
装飾部材33は、センター役物23を装飾するためのもので、装飾枠31の右側であって、かつ該装飾枠31の前側において少なくとも鍔部32と対向する位置に取付固定されている。この装飾部材33は、鍔部32に開口形成された挿通孔42を介して装飾枠31の後側からネジ止めするためのネジ穴43が設けられた固定部を有している。装飾部材33は、鍔部32の挿通孔42を介して装飾枠31のネジ穴43にネジ止めすることで取付固定される。図3に示すように、装飾部材33には、2個のリブ44が形成されている。これらリブ44は、後述する流下通路45を流下する遊技球Bの流下速度を減速させるためのもので、装飾部材33の後面から後方向に向けて突出するように形成されている。また、これらリブ44は、装飾部材33を後側から見た場合に、後述する流下通路45を流下する遊技球Bの流下方向と直交する方向となるように形成されている。また、装飾部材33のリブ44は、装飾部材33を上側(又は下側)から見た場合に、該装飾部材33の後面からの突出高さが一定となるように形成されている。
図5に示すように、装飾部材33を取付固定した装飾枠31を右側から見ると、装飾枠31の右側には、少なくとも装飾部材33の後面と、装飾枠31の右側面と、鍔部32の前面とで囲まれた領域が形成されている。この領域は、遊技球Bを遊技盤11の右側の下流側へ案内するための流下通路45として構成される。そして、鍔部32に形成されたリブ41と装飾部材33に形成されたリブ44は、最上位に鍔部32のリブ41が位置し、その下に装飾部材33のリブ44が位置し、その更に下には鍔部32のリブ41が位置する、と言うように、鍔部32に形成されたリブ41と装飾部材33に形成されたリブ44とが交互に配置され、流下通路45内を通過する遊技球Bが鍔部32のリブ41又は装飾部材33のリブ44のいずれかに衝突しやすくし、かつ遊技球Bが衝突する回数を増やすことができるように構成されている。
なお、本実施の形態に係る遊技機1では、鍔部32に設けたリブ41の数を3個とし、装飾部に設けたリブ44の数を2個としたが、流下通路45を通過した後の遊技球Bの流下速度を低減することができれば、リブ41及びリブ44の数は上記した数に限定されるものではない。また、本実施の形態では、鍔部32に設けたリブ41と装飾部材33に設けたリブ41の間隔も一定にしたが、この間隔は一定でなくてもよい。さらには、鍔部32に設けたリブ41と装飾部材33に設けたリブ44とを一つずつ交互に設けなくてもよく、例えば、装飾部材33のある一つのリブ44とその隣の一つのリブ44との間に、鍔部32に形成した二つのリブ41が位置するように配置してもよいし、これ以外の組み合わせで配置してもよい。また、本実施の形態では、鍔部32のリブ41と装飾部材33のリブ44は、ともに遊技球Bの流下方向と垂直となる方向に延びるように形成しているが、上記した通り流下通路45を流下する遊技球Bの流下速度を減少することが出来れば、リブ41及びリブ44の延びる方向は、その流下方向と垂直でなくてもよい。さらに、本実施の形態では、鍔部32の前面に対するリブ41の突出高さ、及び装飾部材33の後面に対するリブ44の突出高さが一定となるように形成しているが、これも突出高さが一定であることに限定する趣旨ではなく、遊技球Bの流下速度を減少することができれば、リブ41及びリブ44の突出高さを任意に変更してもよい。
[第2始動入賞装置34、第2アウト口35の構成]
入賞装置、又は第2入賞装置としての第2始動入賞装置34及び第2アウト口35は、センター役物23の右側、具体的にはセンター役物23を構成する装飾枠31の右側に設けられている。図3に示すように、第2始動入賞装置34は、装飾枠31の左右方向右側であって、鍔部32よりも下流側に設けられている。図6に示すように、第2始動入賞装置34は、遊技球Bの入賞によって遊技者に有利な大当り状態で遊技を行う契機を付与するためのもので、右上方向に向けて開口形成する第2入賞口としての第2始動入賞口51と、この第2始動入賞口51を開閉する第2開閉羽根52を有している。第2始動入賞口51は、遊技球Bが入賞することができる大きさに形成された開口であり、遊技球Bが入賞すると、図示しないセンサにより入賞が検知されるように構成されている。遊技機1は、センサにより入賞が検知されると、上記した大当り状態で遊技を行うか否かを決定する抽選を行い、その抽選結果に基づいて以降の遊技を行うようになっている。
第2開閉羽根52は、本実施の形態では右側に一つ設けられた羽根状の部材であり、通常は、図6(a)に示すような第2始動入賞口51を閉じて遊技球Bが第2始動入賞口51に入らない閉位置に位置する閉状態を維持している。そして、第2開閉羽根52は、遊技球Bが通過入賞口を通過した時に、図6(b)に示すような第2始動入賞口51を開放して遊技球Bが第2始動入賞口51に入りやすくする開状態となるように構成されている。本実施の形態においては、遊技の進行に伴って遊技球Bが通過入賞口27を通過すると、第2開閉羽根52を開放させるか否かの普通図柄当り抽選が行われる。この普通図柄当り抽選に基づいて普通図柄表示装置(図示せず)にて普通図柄変動ゲームを実行した結果、当り図柄が停止表示した場合に所定時間の開放動作(遊技領域16においてセンター役物の左側の領域に遊技球を流下させる「左打ち」により遊技を行う通常遊技状態においては、0.1秒開放を1回行う開放動作、右打ちにて遊技を行う変動短縮状態(以下、変短状態と言う。)においては、1.5秒開放を3回行う開放動作)を行うようになっている。なお、第2始動入賞口51の開放パターンとしては、遊技球Bが通過入賞口を通過した後、所定時間(例えば30秒)だけ常に解放されているものや、所定時間ごと(例えば1秒ごと)に開閉を繰り返し、この開閉動作を所定時間(例えば30秒)の間繰り返し行うものがあるが、これ以外のパターンであってもよい。
次に、第2始動入賞装置34の具体的な構成について説明する。図7及び図8に示すように、第2始動入賞装置34は、上記した第2始動入賞口51及び第2開閉羽根52を備えているほかに、第2開閉羽根52を閉位置と開位置との間で駆動するための第1駆動機構53を備えている。第1駆動機構53は、駆動源としての第1ソレノイド54、第1プランジャ55、第1作動部材56、カバー部材57、固定部材58、第1従動部材59を備えている。図7及び図8に示すように、装飾枠31の基部31aには第1回転軸挿通孔60が形成されており、この第1回転軸挿通孔60に第1回転軸61がスリーブ62を介して挿通されている。第1回転軸61は、前側の先端が第2開閉羽根52に形成された圧入穴63に圧入され、第1回転軸61が回転すると、その回転に伴って、第2開閉羽根52が圧入穴63を回動軸として、上記した開位置と閉位置との間において回動するように構成されている。
また、第1回転軸61は、第1回転軸挿通孔60よりも後側、すなわち基部31aよりも後側の後端側には第1従動部材59が挿通されており、その更に後端側取り付けられるスナップリング64によって、第1従動部材59が第1回転軸61に取り付けられるように構成されている。また、基部31aの後側には、固定部材58がネジ止め等によって基部31aに取付固定されている。この固定部材58の後側には、第1作動部材56と第1プランジャ55とが組み付けられた第1ソレノイド54がネジ止め固定されており、この第1ソレノイド54の後側にはカバー部材57がネジ止めして取付固定されている。
第1ソレノイド54は、円筒状のコイルと、U字状に湾曲形成されたU字鉄板と、U字鉄板の先端に差し渡して配置される矩形鉄板とを備え、コイルの周囲をU字鉄板と矩形鉄板とで囲むことによって、環状の磁路を形成するように構成されている。また第1ソレノイド54は、内側に第1プランジャ55を挿入するための貫通孔(図示せず)が設けられている。この貫通孔は、コイルと矩形鉄板に開口形成されており、上記したように、コイル、矩形鉄板及びU字鉄板を組み合わせた時に、コイルの貫通孔と矩形鉄板の貫通孔とが同軸上に位置するように形成されている。
第1プランジャ55は、横断面が円形の棒状の部材で、先端には、側方に張り出すフランジ部55aが形成されている。また、第1プランジャ55の外側には、第1圧縮コイルバネ65と樹脂製の第1ワッシャー部材(図示せず)が挿通されている。第1圧縮コイルバネ65は、第1プランジャ55を貫通孔に挿入した時には、第1ワッシャー部材と矩形鉄板との間で挟まれるように位置し、第1ワッシャー部材は、フランジ部55aと第1圧縮コイルバネ65との間で挟まれるように位置している。そして、第1ソレノイド54が励磁されると、第1プランジャ55が第1ソレノイド54の貫通孔内に引き込まれて、それと同時に第1圧縮コイルバネ65が圧縮変形する。また、この状態で第1ソレノイド54の励磁が停止すると、第1圧縮コイルバネ65が第1プランジャ55を付勢し、第1プランジャ55を突き出す位置に移動させる。すなわち、第1ソレノイド54は、第1プランジャ55を突き出す位置と第1プランジャ55を引き込む位置との間で、第1プランジャ55を直線的に移動させることができるように構成されており、第1圧縮コイルバネ65は、第1プランジャ55を突き出す位置に付勢するように構成されている。
第1作動部材56は、係合部66と作動部67とを備えている。係合部66は、第1作動部材56を正面から見た場合における左側に形成されており、平板部71、第1右側壁部72、第2右側壁部73、平板部71と第1右側壁部72との間に形成された上側壁部74、平板部71と第2右側壁部73との間に形成された下側壁部75とを有している(図14参照)。また、係合部66は、これら平板部71、第1右側壁部72、第2右側壁部73、上側壁部74、下側壁部75とに囲まれて形成され、フランジ部55aが挿入可能な大きさに形成されたフランジ挿入空間部66aと、第1右側壁部72と第2右側壁部73との間に形成され、上下方向の間隔がフランジ挿入空間部66aよりも狭く、かつ第1プランジャ55の直径と同じか、該直径よりも若干大きな幅に形成された第1プランジャ挿入空間66bとを有している(図14参照)。
作動部67は、第1作動部材56を正面から見た場合に、係合部66の下側から右方向に向けて突出するように形成されている。この作動部67は、係合凹部76を有している。係合凹部76は、右下側から左上側に向けて略斜め方向に凹状に形成された凹部である。この係合凹部76は、第1ソレノイド54の駆動によって第1作動部材56が左右方向に移動した時に、第1回転軸61を回動軸として第1従動部材59を回動させるように形成されている。
カバー部材57は、第1ソレノイド54の後面にネジ止め固定されており、第1ソレノイド54をカバーするためのものである。本実施の形態では、カバー部材57は任意の材質を選択した金属材料によって形成されているが、第1ソレノイド54をカバーすることができれば、金属材料以外の材料で形成してもよい。固定部材58は、第1ソレノイド54の前側に位置するように配置されており、装飾枠31の基部31aに対してネジ止め固定されている。この固定部材58は、基部31aと第1作動部材56の間に空間を形成するためのスペーサとしての機能も有しており、第1ソレノイド54の駆動によって左右方向に移動する第1作動部材56が基部31aと接触せず、該第1作動部材56がスムーズに移動することができるように構成されている。この固定部材58は、本実施の形態では任意の材質を選択して得られる樹脂材料で形成されているが、これも、上記した趣旨を達成できるものであれば、他の材質のものを任意に選択して使用してよい。
第1従動部材59は、第1作動部材56の作動により第2開閉羽根52を開位置と閉位置との間で回動させるためのものである。この第1従動部材59は、軸孔77と突出部78とを有している。軸孔77は、第1回転軸61が挿通可能な大きさに形成された貫通孔である。この軸孔77に第1回転軸61が挿通され、第1回転軸61の後端にスナップリング64が取付固定されることで、第1従動部材59と第1回転軸61とが一体的に動作するように構成されている。突出部78は、軸孔77が貫通形成されている部分から半径方向外側に向けて突出するように形成されている。この突出部78は、該突出部78から後側に向けて延びるように突片78aが形成されている。この突片78aは、第1作動部材56の係合凹部76と係合する大きさに形成されている。なお、この突片78aの形状や大きさは、係合凹部76と係合可能であれば、任意に選択してよい。
第2開閉羽根52は、略爪状に形成された部材であり、後側の下部に圧入穴63が開口形成されている。この圧入穴63は、第1回転軸61の直径よりも若干小さく、第1回転軸61の先端を圧入することが可能な大きさに形成されている。この圧入穴63に第1回転軸61が圧入されることによって、第1回転軸61が回転した時に、圧入穴63を回動軸として、開位置と閉位置との間で回動することができるようになっている。
図6に示すように、第2アウト口35は、センター役物23において、第2始動入賞装置34の上方であって、鍔部32の下流側に設けられている。この第2アウト口35は、遊技球Bが流入可能な大きさに形成されると共に、右上方向に開口するように形成されている。この第2アウト口35には、第2始動入賞口51に入賞させるべく弾発されて遊技領域16を流下する遊技球Bが流入するようになっている。
[大入賞装置24の構成]
第1入賞装置としての大入賞装置24は、遊技領域16において、該遊技領域16の左右方向中央よりも右側に設けられている。図9〜図11に示すように、大入賞装置24は、基板81、前カバー部材82、開閉部材83及び第2駆動機構84を備えている。なお、図9(a)図は、大入賞装置24を構成する第1入賞口としての大入賞口91が遊技領域16を流下する遊技球Bを受け入れない閉位置に位置する状態を表しており、図9(b)図は、大入賞口91が遊技領域16を流下する遊技球Bを受け入れやすくする開位置に位置する状態を表している。
基板81は、大入賞装置24を遊技板に取り付ける際の取付基板となるもので、本実施の形態では、遊技板に取付固定するための取付孔85が5カ所に設けられている。また、基板81には、通常入賞口86が一体的に形成されている。通常入賞口86は、上方に向けて開口形成されており、遊技球Bが入賞可能な大きさに形成されている。通常入賞口86に遊技球Bが入賞すると、所定数(例えば15個)の賞球を払い出すように構成されている。なお、本実施の形態では、基板81に対して大入賞装置24と通常入賞口86を設けているが、通常入賞口86は大入賞装置24とは別個に設けてもよい。
また、基板81には、第2駆動機構84の一部が該基板81の前方に位置するように配置するための第2駆動機構挿通孔87が開口形成されている。第2駆動機構挿通孔87は、基板81の略中央部分に開口形成されており、正面側から見た場合に、右側辺よりも左側辺の方が長くなる矩形状に形成されている。この第2駆動機構挿通孔87は、後述する第2駆動機構84の前端部が基板81の後面側から挿通され、該前端部が基板81の前方に位置させることが可能な大きさに形成されている。なお、第2駆動機構挿通孔87を挿通して基板81の前方に第2駆動機構84の前端部が位置する場合、遊技球Bが第2駆動機構84の内部に入賞することが可能な程度に、前方に突出するように配置される。
前カバー部材82は、基板81の前側にネジ止め等の任意な方法で取付固定することができるように構成されている。この前カバー部材82は、遊技機1において遊技者の遊技の興趣を向上させるような図柄等が描かれている。図9(a)に示すように、大入賞装置24は、第2駆動機構84を構成する開閉部材83が閉位置に位置する時、この開閉部材83と前カバー部材82との間に空間部88が形成されている。この空間部88は、高さ方向の幅が遊技球Bが1個未満となるように形成されており、通常は遊技球Bがこの空間部88を介して大入賞装置24を構成する後述する大入賞口91に入賞することはない。しかし、例えば、遊技機1を製作して検査を行う時などは、後述するように開閉部材83は前側から後方向に向けて押すと開閉部材83が後方向へ若干移動する。このように移動させた時における空間部88の幅は、遊技球Bが1個大入賞装置24内に入賞する程度のものになるように構成されている。すなわち、通常の遊技においては、この空間部88から遊技球Bが入賞することはないが、遊技機1の各種検査や試験などを行う趣旨で遊技球Bを大入賞装置24の内部に入賞させる場合には、作業者が意図的に遊技球Bを入れやすくすることができるように構成されている。なお、空間部は88の高さ方向の幅は、一つの遊技球Bの直径以上となるように形成してもよい。即ち、遊技球Bは開閉部材83の上面を転動するように構成されており、前カバー部材82の前側を遊技球が通ることがないため、空間部88の高さ方向の幅を一つの遊技球Bの直径以上としても遊技に影響はなく、上記と同様の効果を得ることができる。
開閉部材83は、遊技領域16を流下する遊技球Bを大入賞口91に受け入れなくして入賞しないようにする閉位置と、該遊技球Bを大入賞口91に受け入れやすくして入賞しやすくする開位置との間で前後方向へ開閉自在にスライド移動することができるように設けられている板状の部材である。この開閉部材83は、後述する第2駆動機構84に組み込まれており、やはり後述する第2駆動機構84と係合するための係合ピン92が該開閉部材83の後部に形成されている。図12に示すように、開閉部材83は凹部93を有している。凹部93は、該開閉部材83の前側において、左右両端から該左右両端の中側に向けて前後方向の幅が狭くなるように形成されている。この凹部93は、開閉部材83の左右方向の中央部に形成されていることが好ましい。凹部93を左右方向中央部に形成することにより、開閉部材83が開位置に位置している時、遊技領域16を流下してくる遊技球Bをスムーズに案内し、遊技球Bを大入賞口91へ入賞させることができる。特に、開閉部材83が閉位置から開位置に移動している時や、開閉部材83が開位置から閉位置に移動している時は、この凹部93が形成されていることによって、流下してくる遊技球Bが開閉部材83の前端と前扉のガラスとの間に挟まってしまったり、該遊技球Bを大入賞口91に入賞せず、他の方向へはじいてしまう、と言うような不具合を解消し、よりスムーズかつ確実に遊技球Bを大入賞口91に入賞させることが可能になる。なお、図10及び図11において示す符号94,95は、基板81と前カバー部材82との間に取付固定されるスペーサ部材である。
図12及び図13に示すように、第2駆動機構84は、第2駆動機構84の駆動源としての第2ソレノイド96、第2プランジャ97、第2作動部材98、第2従動部材99、大入賞検知センサ100、上ケース部材101及び下ケース部材102を備えている。
第2ソレノイド96は、円筒状のコイルと、U字状に湾曲形成されたU字鉄板と、U字鉄板の先端に差し渡して配置される矩形鉄板とを備え、コイルの周囲をU字鉄板と矩形鉄板とで囲むことによって、環状の磁路を形成するように構成されている。また、第2ソレノイド96は、内側に第2プランジャ97を挿入するための貫通孔(図示せず)が設けられている。この貫通孔は、コイルと矩形鉄板に開口形成されており、上記したように、コイル、矩形鉄板及びU字鉄板を組み合わせた時に、コイルの貫通孔と矩形鉄板の貫通孔とが同軸上に位置するように形成されている。
第2プランジャ97は、横断面が円形の棒状の部材で、先端には、側方に張り出すフランジ部97aが形成されている。また、第2プランジャ97の外側には、第2圧縮コイルバネ103と樹脂製の第2ワッシャー部材(図示せず)が挿通されている。第2圧縮コイルバネ103は、第2プランジャ97を貫通孔に挿入した時には、第2ワッシャー部材と矩形鉄板との間で挟まれるように位置し、第2ワッシャー部材は、フランジ部97aと第2圧縮コイルバネ103との間で挟まれるように位置している。そして、第2ソレノイド96が励磁されると、第2プランジャ97が第2ソレノイド96の貫通孔内に引き込まれて、それと同時に第2圧縮コイルバネ103が圧縮変形する。また、この状態で第2ソレノイド96の励磁が停止すると、第2圧縮コイルバネ103が第2プランジャ97を付勢し、第2プランジャ97を突き出す位置に移動させる。すなわち、第2ソレノイド96は、第2プランジャ97を突き出す位置と第2プランジャ97を引き込む位置との間で、第2プランジャ97を直線的に移動させることができるように構成されており、第2圧縮コイルバネ103は、第2プランジャ97を突き出す位置に付勢するように構成されている。
第2作動部材98は、第2ソレノイド96の励磁等によって駆動する第2プランジャ97の駆動を第2従動部材99に伝達するためのものである。図12及び図13に示すように、この第2作動部材98は、側壁部111、上壁部112及び下壁部113とを備えている。側壁部111は、上下方向に延出するように形成されており、この側壁部111の上部から左右方向に延出するように上壁部112が形成され、側壁部111の下部から左右方向に延出するように下壁部113が形成されている。即ち、第2作動部材98は、正面側から見た場合に、側壁部111と上壁部112と下壁部113とによって略コ字状になるように形成されている。
また、図12及び図13に示すように、上壁部112には、該上壁部112の上面から上側に第1突出ピン114と第2突出ピン115が形成されている。第1突出ピン114は、後述する上ケース部材101に形成されている第1突出ピン嵌合孔との嵌合が可能に形成されている。また、第2突出ピン115は、後述する上ケース部材101に開口形成されている貫通部における貫通空間を介して従動空間の内部に先端が位置するように突出形成されている。この第2突出ピン115は、後述する従動空間内に設けられている第2従動部材99と係合し、第2プランジャ97の駆動による動きを第2従動部材99に伝達することができるように構成されている。また、第2突出ピン115には、ロック部116が形成されている。
さらに、上壁部112には、該上壁部112の下面から下方に向けて、第3突出ピン117が形成されている。この第3突出ピン117は、側壁部111の内側面から所定間隔開けた位置に形成されている。
次に、下壁部113には、該下壁部113の上面から上方に向けて、第4突出ピン118が形成されている。第4突出ピン118は、側壁部111の内周面から所定間隔開けた位置に形成されている。この間隔は、第3突出ピン117と側壁部111の内側面との間隔と略同一の間隔となるように形成されている。この第3突出ピン117と側壁部111の内側面との間、及び第4突出ピン118と側壁部111の内側面との間に形成された空間には、第2プランジャ97のフランジ部97aが配置されるように構成されている。
また、下壁部113には、該下壁部113の下面から下方に向けて、第5突出ピン119が形成されている。第5突出ピン119は、後述する下ケース部材102に形成されている第5突出ピン嵌合孔127との嵌合が可能に形成されている。また、この第5突出ピン119は、上壁部112に形成されている第1突出ピン114と前後左右方向の軸が同軸上に位置するように形成されている。
第2作動部材98は、上ケース部材101と下ケース部材102を組み付けて、第1突出ピン114を第1突出ピン嵌合孔に嵌合させ、第5突出ピン119を第5突出ピン嵌合孔127に嵌合させた時に、これら第1突出ピン114と第5突出ピン119とを回動軸として回動するように構成される。
第2従動部材99は、第2作動部材98の動きを開閉部材83に伝達するためのものである。この第2従動部材99は、上ケース部材101の第2従動部材収納空間内に配置されている。図12及び図13に示すように、第2従動部材99は、該第2従動部材99を上ケース部材101の第2従動部材収納空間内において回動可能に取付固定するための固定用孔121と、開閉部材83の係合ピン92と嵌合して開閉部材83を前後方向にスライド移動させるためのスライド用孔122と、第2作動部材98の動きを受けるための係合用凹部123とを備えている。なお、本実施の形態では第2従動部材99をネジにより回動可能に取り付けているが、第2従動部材99の取付の方法はネジ124によるもの以外であってもよい。
下ケース部材102は、第2駆動機構84を構成する各種部材を格納するためのものである。この下ケース部材102にはソレノイド収納部125と、大入賞検知センサ収納部126とが設けられている。ソレノイド収納部125は、第2プランジャ97及び第2圧縮コイルバネ103を装着した第2ソレノイド96と、第2作動部材98を収納するためのもので、これらのものが収納可能な大きさに形成されている。このソレノイド収納部125には、正面から見た場合における右奥部に、第2作動部材98に形成されている第5突出ピン119が嵌合可能な第5突出ピン嵌合孔127が開口形成されている。このソレノイド収納部125には、この第5突出ピン119が第5突出ピン嵌合孔127に嵌合された状態で第2作動部材98が収納される。
大入賞検知センサ収納部126は、下ケース部材102を正面から見た場合に、ソレノイド収納部125の左側に位置するように形成されている。この大入賞検知センサ収納部126は、大入賞検知センサ100が収納可能な大きさに形成されており、該大入賞検知センサ100に設けられているセンサ部としての開口部が形成されている位置と対応する位置に、遊技球Bが通過可能な大きさの開口部が開口形成されている。また、大入賞検知センサ収納部126の前側は、収納された大入賞検知センサ100の上面と同じ高さとなるように形成されており、また遊技球Bを転動しやすくするためのリブ128が形成されている。なお、大入賞装置24の排出口は、この開口部よりも下流側に形成されている(図示せず)。
上ケース部材101は、下ケース部材102の上側に重ねて取付可能に形成されているものである。上ケース部材101には、前側に大入賞口91が形成されており、この大入賞口91の奥側に、大入賞口91に入賞した遊技球Bを排出口まで大入賞口91に入賞した遊技球Bを案内する案内路129が形成されている。また、この案内路129の下流側(図12においては左側)には、遊技球Bを下ケース部材102の大入賞検知センサ収納部126に誘導するための誘導孔が開口形成されている。したがって、大入賞口91に入賞した遊技球Bは、案内路129を転動して下流側に流れ、誘導孔を通過することで上ケース部材101から下ケース部材102に転動する。この時、誘導孔を通過した遊技球Bは、下ケース部材102の大入賞検知センサ収納部126に形成されたリブ41によって、該遊技球Bが転動する方向を左右方向から前後方向に変える。そして、このリブ41上を転動した遊技球Bは、大入賞検知センサ100のセンサ部を通過して、排出口から排出される。
図12に示すように、案内路129には、該案内路129の下流奥側に案内片130が形成されている。この案内片130は、案内路129の奥側に位置する奥壁部131から突出形成されている。この案内片130の突出は、上流から下流へ行くにつれて前側への突出量が増加するように形成されている。これにより、案内路129を転動する遊技球Bが案内片130によって左右方向のみの状態から、左右方向と前後方向を組み合わせた方向へ転動させることができる。したがって、この案内片130を設けることによって、大入賞口91に入賞した遊技球Bをよりスムーズに排出口へ向けて転動させることが可能になる。
また、図13に示すように、案内路129の前側には、該案内路129よりも上方へ突出した案内リブ132が形成されている。この案内リブ132は、大入賞口91に入賞した遊技球Bが案内される上流側から下流側に向けて、突出する高さが高くなるように形成されている。なお、図12及び図13における符号133は、開口部である。この開口部133は、上ケース部材101と下ケース部材102を重ねて組み合わせた時に、下ケース部材102の大入賞検知センサ収納部126の上方に位置し、案内路129を転動する遊技球を下ケース部材102の大入賞検知センサ収納部126へ誘導するためのものである。
このような各種部材から構成された第2駆動機構84は、上ケース部材101と下ケース部材102とが上下に重なり合って組み付けられることによって、下ケース部材102のソレノイド収納部125に収納された第2ソレノイド96、第2プランジャ97及び第2作動部材98と、上ケース部材101の第2従動部材99に収納された第2従動部材99、該上ケース部材101の上部において前後方向にスライド可能に配置された開閉部材83が連動するように構成されている。
[第2始動入賞装置34の動作]
第2始動入賞装置34は、通常は第2開閉羽根52が閉位置に位置する状態が維持されている。すなわち、第1ソレノイド54が励磁されておらず、第1プランジャ55は第1圧縮コイルバネ65の付勢によって、第1ソレノイド54から突き出た状態を維持している。図14(a)は、第2開閉羽根52が閉位置に位置する状態である時の、第1ソレノイド54、第1プランジャ55及び第1作動部材56の位置関係を表したものである。
本実施の形態においては、当り遊技の終了後は、変短状態が付与される場合がある。この変短状態では、該変短状態を付与されていない非変短状態と比較して、変動ゲームの変動時間が短縮される場合又は該変動時間が短縮され得る場合があり、特にはずれ表示結果が確定停止表示される変動ゲームの変動時間が短縮される場合がある。また、変短状態では、第2開閉羽根52を開動作させるか否かの抽選結果を導出する普通図柄変動ゲームの変動時間が非変短状態と比較して短縮される。また、変短状態では、普通図柄変動ゲームの普通当りの当選確率が低確率状態(本実施の形態では1/65536)から高確率状態(本実施の形態では65535/65536)に変動する。また、変短状態では、普通当り抽選に当選した際、非変短状態とは異なる動作パターンで第2開閉羽根52が開閉動作するように構成されている。なお、本実施の形態において、非変短状態で普通当り抽選に当選する場合には、第2開閉羽根52が1回開放すると共に、解放してから200msの時間が経過するまで開放状態を維持するように構成されている。その一方で、変短状態で普通当り抽選に当選する場合には、第2開閉羽根が1回開放すると共に、開放してから5496msの時間が経過するまで開放状態を維持するようにも構成されている。つまり、第2開閉羽根52は、変短状態では、非変短状態と比較して、1回の普通当りに対応する合計開放時間が長く、遊技者にとって有利に動作するように設定されている。このため、変短状態は、第2開閉羽根52が開放状態に動作しやすい入球率向上状態となる。したがって、変短状態が付与されている場合には、遊技領域の右側を狙った右打ちの遊技が行われる。通常は、非変短状態であるため第2始動入賞装置34は閉状態を維持しているが、遊技の進行に伴って第2開閉羽根52の解放条件が成立すると、第1ソレノイド54が励磁される。
そのため、第1プランジャ55は、第1ソレノイド54に引き込まれる。このとき、第1プランジャ55のフランジ部55aと係合している第1作動部材56は、図14(b)中のA方向に移動する。第1作動部材56がA方向へ移動すると、第1作動部材56に形成された係合凹部76もA方向へ移動する。この時、係合凹部76と係合する従動部材の突片78aは、第1作動部材56がA方向へ移動することによって、軸孔77を回動軸として図14(b)中のB方向へ回動する。この従動部材の回動により、軸孔77に挿入されて従動部材と一体的に動作する第1回転軸61もB方向へ回転する。第1回転軸61がB方向へ回転すると、該第1回転軸61の先端に圧入固定されている第2開閉羽根52は、圧入穴63を回動軸として、B方向へ回動する。すなわち、この場合の第2開閉羽根52は、閉位置から開位置へ回動することになる。
一方、第1ソレノイド54が励磁された状態から励磁を解除された状態になると、第1ソレノイド54による第1プランジャ55を引き込む力が発生しなくなる。そのため、第1プランジャ55は、第1圧縮コイルバネ65の付勢力によって、第1ソレノイド54に引き込まれた状態から、第1ソレノイド54から突き出た状態になるまで移動する。このとき、第1プランジャ55と係合している第1作動部材56は、図14(b)中のC方向に移動する。第1作動部材56がC方向に移動すると、第1作動部材56に形成された係合凹部76もC方向へ移動する。この時、図14(b)において示すように係合凹部76と係合している従動部材の突片78aは、係合凹部76が左側へ移動することによって、図14(b)中のD方向へ回動する。この従動部材の回動により、上記した第1回転軸61がD方向に回転し、それによって第1回転軸61の先端に圧入固定されている第2開閉羽根52も圧入穴63を回動軸として、D方向へ回動する。すなわち、この場合には、第2開閉羽根52は、開位置から閉位置へ回動することになる。
本実施の形態に係る遊技機1の第2始動入賞装置34は、このようにして閉位置と開位置との間を開閉自在に駆動する。
[第2駆動機構84の動作]
次に、第2駆動機構84の動作を図15〜図17に基づいて説明する。図15〜図16は、開閉部材83が閉位置から開位置へ移動する時の動作を表し、図17は、開閉部材83が開位置から閉位置へ移動する時の動作を表したものである。
まず、開閉部材83が閉位置から開位置へ移動する時の動作を説明する。大入賞装置24は、通常は遊技球Bを大入賞口91へ受け入れなくする閉位置に位置している。この時、第2ソレノイド96は励磁していないので、第2プランジャ97は第2圧縮コイルバネ103の付勢によって、第2ソレノイド96から突き出た状態を維持している。したがって、第2プランジャ97の先端に形成されているフランジ部97aは、該フランジ部97aの先端面が第2作動部材98の内側面に当接している。
このような状態の時に、第2ソレノイド96が励磁されると、該第2ソレノイド96による第2プランジャ97を引き込む力は、第2圧縮コイルバネ103の付勢力よりも大きくなる。そのため、第2プランジャ97は、第2ソレノイド96に引き込まれる。この時、第2プランジャ97のフランジ部97aの先端面は、第2作動部材98の内側面と当接しなくなり、フランジ部97aの後端面が第2作動部材98の第3突出ピン117及び第4突出ピン118と当接する。この状態を表したのが図15(b)である。第2プランジャ97は、フランジ部97aの後端面が第3突出ピン117及び第4突出ピン118と当接した後もさらに第2ソレノイド96の励磁により引き込まれる方向へ移動する。そのため、第2作動部材98は、第1突出ピン114と第5突出ピン119とを回動軸として、図15(b)中のE方向へ回動を開始する。このように、第2作動部材98が回動を開始すると、この回動に伴って第2突出ピン115の位置も変化する。即ち、図15(a)に示すように、第2ソレノイド96が励磁されていない場合には、第2突出ピン115に形成されているロック部116が第2従動部材99の係合用凹部123の右側角部123aと係合した状態となっている。しかし、図15(b)に示すように、第2ソレノイド96が励磁して第2作動部材98が回動すると、この回動に伴って第2突出ピン115も図15(b)中のF方向へ回動するため、ロック部116と係合用凹部123との係合状態が解除される。そして、第2突出ピン115は、さらにF方向へ回動し、係合用凹部123の左側面と当接する。
第2突出ピン115は、第2従動部材99の係合用凹部123の左側面と当接した後も、図15(b)中のE方向へ回動する。そのため、第2従動部材99は、第2突出ピン115の回動、即ち第2作動部材98の回動に伴って、力を受ける。この時、第2従動部材99は、固定用孔121において回動自在に固定されているので、第2作動部材98の回動に伴って力を受けると、固定用孔121を回動軸として、図15(b)中のF方向に向けて回動を開始する。第2従動部材99がF方向に向けて回動すると、第2従動部材99のスライド用孔122において係合ピン92と嵌合している開閉部材83は、図15(B)中のG方向への移動、即ち閉位置から開位置に向けて後方へスライド移動を開始する。
このような動作によってスライド移動を開始した開閉部材83は、第2プランジャ97が第2ソレノイド96の中に引き込まれる位置まで移動することにより連続的に後方へスライド移動する。そして、図16に示すように、大入賞口91が開いた開位置まで移動する。
開閉部材83は、開位置まで移動した後、所定条件が満たされると、再び閉位置にスライド移動する。この場合は、まず第2ソレノイド96の励磁が停止される。そして、第2ソレノイド96に引き込まれた位置に位置していた第2プランジャ97は、第2圧縮コイルバネ103の付勢力によって、第2ソレノイド96に引き込まれた位置から第2ソレノイド96より突き出た位置まで移動する。この時、後面が第3突出ピン117及び第4突出ピン118と当接していた第2プランジャ97のフランジ部97aは、図17(a)中のH方向へ移動するために当接しなくなり、フランジ部97aの先端面と第2作動部材98の内側面とが当接する。
第2プランジャ97は、フランジ部97aの先端面と第2作動部材98の内側面とが当接した後も、第2圧縮コイルバネ103の付勢力によって、さらに第2ソレノイド96から突き出る方向へ移動する。したがって、第2プランジャ97は、第2作動部材98に対してH方向へ押す力を作用させる。このような力を受けた第2作動部材98は、第1突出ピン114及び第5突出ピン119を回動軸として、図17(b)中のI方向へ回動を開始する。
第2作動部材98は、I方向へ回動を開始すると、第2従動部材99の係合用凹部123の左端面と当接していた第2突出ピン115がI方向に回動することによって当接しなくなり、第2突出ピン115は、係合用凹部123の右端面と当接する。図17(b)では、第2突出ピン115に形成されているロック部116が係合用凹部123の右端面と当接している。そして、第2作動部材98は、第2プランジャ97が第2ソレノイド96から突き出た位置に位置するまではI方向へ回動し、第2従動部材99も、第2作動部材98の回動に連動して、J方向へ回動する。この時、開閉部材83は、第2従動部材99の回動によって図17(b)中のK方向へ移動し、開位置から閉位置に向けて前方向に移動する。そして、第2プランジャ97が第2ソレノイド96から突き出た位置に位置した時に第2作動部材98及び第2従動部材99の回動は停止し、開閉部材83は、閉位置に位置する。
次に、第2ソレノイド96が励磁されていない時に開閉部材83が閉位置から開位置に向けて力を受けた時の大入賞装置24の動作を図15(a)に基づいて説明する。まず、第2ソレノイド96が励磁していない場合には、第1作動部材56の第2突出ピン115に形成されているロック部116が第2従動部材99の係合用凹部123の右端部と係合している。この場合に、開閉部材83を、閉位置から開位置へ移動させるべく、図15(a)中のL方向に移動させようと後方向に力を加えると、第2従動部材99は、固定用孔121を回動軸として、図15(a)に示すM方向に回動を開始しようとする。しかし、M方向に回動しようとすると、第2従動部材99の係合用凹部123の右側角部123aと第2作動部材98のロック部116とが強固に係合する。そのため、第2従動部材99は、ロック部116と係合することによるロック作用によって回動されなくなり、開閉部材83を後方向へ移動させることが出来なくなる。
[遊技機1の作用効果]
本実施の形態に係る遊技機1の大入賞装置24は、第2ソレノイド96の励磁又は励磁の停止によって、第2作動部材98、第2従動部材99及び開閉部材83が連動して動作する。このとき、第2作動部材98は下ケース部材102に配置され、第2従動部材99は上ケース部材101に配置されているので、第2駆動機構84の奥行方向におけるスペース効率をより向上させることが可能になる。
また、本実施の形態に係る遊技機1の大入賞装置24は、第2ソレノイド96が励磁することによるもの以外の要因によって開閉部材83を強引に閉位置から開位置にスライド移動させようとしても、上記したロック作用が大きく作用するために、開閉部材83の移動を確実に防止することができる。したがって、不正な目的で開閉部材83を強引に閉位置から開位置へスライド移動させることができず、不正な目的で大量の賞球を獲得するというようなゴト行為を確実に防止することも可能になる。
また、本実施の形態に係る遊技機1は、センター役物23の装飾枠31の右側に流下通路45を形成し、この流下通路45を構成する鍔部32と装飾部材33にリブ41を設けることで、該流下通路45を流下する遊技球Bの流下速度を減少させることができる。そのため、この流下通路45の下方に設けられた第2始動入賞装置34に遊技球Bが入賞する確率を向上させることができる。これは、第2始動入賞装置34に遊技球Bが入賞するためには、遊技釘に衝突することで、遊技球Bが第2始動入賞口51に向けて案内される必要があるところ、遊技球Bの流下速度が速い場合には、遊技釘に衝突しても該遊技釘によっては案内されない場合があるからである。しかも、いわゆる右打ちの遊技を行う場合に発射装置で弾発する際の弾発強さは、左打ちの遊技を行う場合に比べて強く、遊技球Bが流下する速さも速くなるので、装飾枠31に設けた第2始動入賞装置34に入賞する確率が極めて低くなる。これに対し、本実施の形態に係る遊技機1によれば、第2始動入賞装置34が配置されている位置よりも上流側において遊技球Bをリブ41に衝突させて流下速度を予め遅くしているので、流下する遊技球Bが第2始動入賞装置34に向けて案内される確率を大幅に上げることができる。
以上、本発明に係る遊技機の実施の形態について詳細に説明したが、本発明に係る遊技機はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、任意に変更してもよい。