JP5512783B2 - カメラモジュール - Google Patents

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Description

本発明は、携帯電話等の電子機器に搭載されるカメラモジュールに関し、特に、手ぶれ補正機能を備えたカメラモジュールに関する。
近年の携帯電話においては、携帯電話内にカメラモジュールを組み込んだ機種が大半を占めるようになってきている。これらのカメラモジュールは、携帯電話内に収納しなければならないため、デジタルカメラと比べて小型および軽量化に対する要求が大きい。
また、レンズ駆動装置によってオートフォーカス(AF)機能を発揮するタイプのカメラモジュールが携帯電話等の電子機器に搭載される例も増加してきている。レンズ駆動装置には、ステッピングモータを利用するタイプ、圧電素子を利用するタイプ、VCM(Voice Coil Motor:ボイスコイルモータ)を利用するタイプ等の様々なタイプが存在しており、すでに市場に流通している。
一方、このようにオートフォーカス機能を有するカメラモジュールが当たり前になってきた状況においては、次の特徴ある機能として手ぶれ補正機能が注目されてきている。手ぶれ補正機能は、デジタルカメラおよびムービーにおいて世間で広く採用されている一方、携帯電話においては、サイズ面の問題などがあるため、まだ採用例は少ない。しかし、小型化が可能な手ぶれ補正機構の新規な構造も提案されつつあり、今後は手ぶれ補正機能を搭載した携帯電話用カメラモジュールが増加していくと予想されている。
手ぶれ補正機構として、特許文献1には、「バレルシフト方式」の手ぶれ補正装置が記載されている。特許文献1に記載の手ぶれ補正装置は、レンズバレルを光軸に沿って移動させるために、フォーカスコイルと、該フォーカスコイルと対向して前記光軸に対して該フォーカスコイルの半径方向外側に配置された永久磁石とを備えるオートフォーカス用レンズ駆動装置全体又はその可動部を、前記光軸に直交し、かつ互いに直交する第1の方向及び第2の方向に移動させることにより、手ぶれを補正するようにした手ぶれ補正装置であって、前記オートフォーカス用レンズ駆動装置の底面部で離間して配置されたベースと、該ベースの外周部で一端が固定された複数本のサスペンションワイヤであって、前記光軸に沿って延在し、前記オートフォーカス用レンズ駆動装置全体又はその可動部を、前記第1の方向及び前記第2の方向に揺動可能に支持する、前記複数本のサスペンションワイヤと、前記永久磁石と対向して配置された手ぶれ補正用コイルと、を有する。
また、特許文献1に記載のようなサスペンションワイヤを使用する手ぶれ補正装置の耐衝撃性を向上させるための技術が特許文献2に記載されている。特許文献2に記載のレンズ駆動装置は、レンズを保持し前記レンズの光軸方向へ移動可能な第1保持体と、前記光軸方向へ前記第1保持体が移動可能となるように前記第1保持体を保持する第2保持体と、前記光軸方向に略直交する方向へ前記第2保持体が移動可能となるように前記第2保持体を保持する固定体と、前記光軸方向へ前記第1保持体を駆動するための第1駆動機構と、前記光軸方向に略直交する所定の第1方向へ前記第2保持体を駆動するための第2駆動機構と、前記光軸方向と前記第1方向とに略直交する第2方向へ前記第2保持体を駆動するための第3駆動機構と、前記第2保持体と前記固定体とを繋ぐための複数本のワイヤと、前記ワイヤの座屈を防止するための座屈防止部材を備え、前記ワイヤは、直線状に形成され、前記第2保持体は、複数本の前記ワイヤによって前記光軸方向に略直交する方向へ移動可能に前記固定体に支持され、前記座屈防止部材は、弾性材料で形成され前記ワイヤの座屈荷重よりも小さな力で前記光軸方向に弾性変形するようになっている。
特開2011−65140号公報(2011年3月31日公開) 特開2011−113009号公報(2011年6月9日公開)
特許文献1の技術では、落下耐性について考慮されておらず、落下等による大きな衝撃が加わった場合には、サスペンションワイヤに引っ張りによる永久ひずみまたは圧縮による座屈が生じる恐れがある。これは、細長い金属製のサスペンションワイヤは、その長手に垂直な方向には撓みやすい一方、長手方向における伸び縮みの許容変形量は非常に小さいからである。
また、特許文献2の技術では、落下耐性については考慮されているものの、サーボ系の発振リスクが存在する。手振れ補正のための駆動力が、サスペンションワイヤーによって支持される構造体(例えば、特許文献2における第2保持体)に作用した場合、当該構造体の重心位置と力の作用位置とがずれていると、当該構造体に回転モーメントが発生する。この回転モーメントに起因して、サスペンションワイヤーおよびサスペンションワイヤーに接続する弾性体(例えば、特許文献2における座屈防止部材)に共振が生じる。共振周波数は、可動部の重さおよびバネ定数等で決まり、サスペンションワイヤーに座屈を防止するための弾性体が接続されている場合、上記構造体の回転運動に伴う共振周波数が低下し、その共振ピークの大きさによってはサーボ系が発振するリスクが増大する。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、弾性体に接続されたサスペンションワイヤーを備えている手ぶれ補正機構を有するカメラモジュールにおいて、落下耐性を確保しつつ、サーボ系の発振リスクを軽減するための技術を提供することを主たる目的とする。
本発明に係るカメラモジュールは、上記課題を解決するために、手ぶれ補正機能を有するカメラモジュールであって、撮像レンズを備えている可動部と、該可動部を囲う固定部と、該可動部を、該撮像レンズの光軸に垂直な方向に駆動する駆動手段と、該光軸に対して平行または斜めに延在し、該可動部が該光軸に垂直な方向に駆動されるように該可動部を支持するサスペンションワイヤーと、該サスペンションワイヤーの少なくとも一端に接続され、該サスペンションワイヤーに加わる応力を抑制する弾性体と、該弾性体に装着され、該弾性体の振動を減衰させるダンパー材とを備え、該可動部は、該撮像レンズを支持する板バネ部材を備えており、該弾性体は、該板バネ部材が該固定部側に延出した延出部分からなり、該可動部は、該板バネ部材を保持する保持部材を更に備えており、該ダンパー材は、該延出部分の該サスペンションワイヤーが固定されている固定部分と、該保持部材とを橋渡しするように設けられていることを特徴としている。
上記の構成では、上述したように、手ぶれ補正のため、駆動手段が可動部をサーボ駆動したときに、可動部に回転モーメント等が発生し、サスペンションワイヤーに接続された弾性体が共振する場合がある。このとき、弾性体の共振が、手ぶれ補正のためのサーボ駆動に悪影響を及ぼす可能性があるが、上記の構成によれば、弾性体にダンパー材が装着されているため、弾性体の共振を減衰させることができる。よって、上記の構成によれば、落下耐性を確保しつつ、サーボ系の発振リスクを軽減することができる。また、上記の構成によれば、サスペンションワイヤーが、可動部が備える板バネ部材の延出部分に固定され、当該延出部分がスペンションワイヤーの座屈および永久ひずみを抑制する弾性体として機能する。すなわち、上記の構成によれば、弾性体に接続されたサスペンションワイヤーを備えている手ぶれ補正機構を有するカメラモジュールを好適に構成することができる。また、上記の構成によれば、弾性体の振動時において、光軸方向の変位量が大きい固定部分と、光軸方向の変位量がほとんど無い保持部材とがダンパー材によって橋渡しされているため、両者の相対変位の速度を抑制して、弾性体の振動を好適に抑制することができる(ダンピング効果を得ることができる)。
本発明に係るカメラモジュールは、上記可動部が、上記撮像レンズを支持する板バネ部材を備えており、上記弾性体が、該板バネ部材が上記固定部側に延出した延出部分からなるものであってもよい。
上記カメラモジュールでは、上記ダンパー材は、上記延出部分の少なくとも一部を覆うように配置されていることが好ましい。
上記の構成によれば、延出部分を覆うようにダンパー材を配置することにより、ダンパー材の効果を好適に発揮させることができる。
上記カメラモジュールでは、上記固定部分と、上記弾性体の振動時における光軸方向の変位量が当該固定部分に比べて小さい部位と、を橋渡しするように設けられていることが好ましい。
上記の構成によれば、弾性体の振動時において、光軸方向の変位量が大きい固定部分と、光軸方向の変位量が小さい部位とがダンパー材によって橋渡しされているため、両者の相対変位の速度を抑制して、弾性体の振動を好適に抑制することができる(ダンピング効果を得ることができる)。
本発明に係るカメラモジュールは、上記固定部が、可撓性を有する可撓性部分を備えた基板を備えており、上記弾性体が、該可撓性部分からなるものであってもよい。
上記の構成によれば、サスペンションワイヤーが、固定部が備える基板の可撓性部分に固定され、当該可撓性部分がスペンションワイヤーの座屈および永久ひずみを抑制する弾性体として機能する。すなわち、上記の構成によれば、弾性体に接続されたサスペンションワイヤーを備えている手ぶれ補正機構を有するカメラモジュールを好適に構成することができる。
本発明に係るカメラモジュールでは、上記ダンパー材が、紫外線硬化型ゲルであることが好ましい。
上記の構成によれば、ダンパー材を所定の位置に塗布することにより容易に配置することができる上、ダンパー材を配置することによる弾性のバネ定数の上昇を抑制することができるため、好適にサーボ系の発振リスクを軽減することができる。
本発明に係るカメラモジュールでは、上記サスペンションワイヤーは、上記可動部に接続する第1接続部と、上記固定部に接続する第2接続部と、第1接続部および第2接続部に挟まれた可撓部とを備えており、上記ダンパー材が、上記弾性体における該可撓部に面する側に設けられ、該可撓部の該弾性体側の端部の少なくとも一部を覆っていることが好ましい。
上記の構成によれば、可撓部の弾性体側の端部の少なくとも一部をダンバー材が覆っているため、弾性体の振動を抑制するとともに、当該端部近傍におけるサスペンションワイヤーの振動を抑制することができる。よって、サスペンションワイヤーに加わる応力を緩和し、サスペンションワイヤーの破断を抑制することができる
本発明に係るカメラモジュールは、手ぶれ補正機能を有するカメラモジュールであって、撮像レンズを備えている可動部と、該可動部を、該撮像レンズの光軸に垂直な方向に駆動する駆動手段と、該光軸に対して平行または斜めに延在し、該可動部が該光軸に垂直な方向に駆動されるように該可動部を支持するサスペンションワイヤーと、該サスペンションワイヤーの少なくとも一端に接続され、該サスペンションワイヤーに加わる応力を抑制する弾性体と、該弾性体に装着され、該弾性体の振動を減衰させるダンパー材とを備えているため、落下耐性を確保しつつ、手ぶれ補正のためのサーボ系の発振リスクを好適に軽減することができる。
本発明の一実施形態に係るカメラモジュールの概略構成を模式的に示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係るカメラモジュールの概略構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係るカメラモジュールの概略構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態における弾性体およびダンパー材の構成の一例を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態における弾性体およびダンパー材の構成の他の例を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態における弾性体およびダンパー材の構成のさらに他の例を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態に係るカメラモジュールにおける手ぶれ補正のためのサーボ駆動を説明するための図である。 サスペンションワイヤーと弾性体とが接続されている様子を示す図である。 手振れ補正のためのサーボ駆動における手振れ補正方向の運動の周波数特性を示すボード線図である。 本発明の他の実施形態に係るカメラモジュールの概略構成を模式的に示す断面図である。 本発明の他の実施形態における弾性体およびダンパー材の構成の一例を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態におけるダンパー材の配置のバリエーションを示す図である。 本発明の一実施形態における弾性体およびダンパー材の構成のさらに他の例を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態における弾性体およびダンパー材の構成のさらに他の例を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態におけるダンパー材の配置のバリエーションを示す図である。 本発明の一実施形態におけるダンパー材の配置のバリエーションを示す図である。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の一実施形態(第1実施形態)に係るカメラモジュール50の概略構成を模式的に示す斜視図である。図2は、第1実施形態に係るカメラモジュール50の概略構成を模式的に示す図1のA−Aにおける矢視断面図である。図3は、第1実施形態に係るカメラモジュール50の概略構成を模式的に示す図3のB−Bにおける矢視断面図である。
(カメラモジュール)
図1〜図3に示すように、カメラモジュール50は、撮像レンズ1、撮像レンズ1を収納するレンズバレル2、および、接着剤3を用いてレンズバレル2を内部に固定しているレンズホルダー4を有する。
カメラモジュール50は、また、撮像レンズ1を光軸方向および光軸に垂直な2軸方向に駆動するためのレンズ駆動装置5と、撮像レンズ1を経由した光の光電変換を行う撮像素子6、撮像素子6が載置された基板7、撮像素子6を覆うセンサカバー8、および、ガラス基板9を備えた撮像部10とを備えている。レンズ駆動装置5および撮像部10は光軸方向に積層されている。レンズ駆動装置5は、カバー17によって覆われている。
なお、以下では、便宜上、撮像レンズ1側を上方、撮像素子6側を下方として説明するが、これは使用時における上下方向を規定するものではなく、例えば、上下が逆であってもよい。
(レンズ駆動装置)
レンズ駆動装置5は、AFバネ12aおよび12b、中間保持部材13、AFコイル14、永久磁石15、サスペンションワイヤー16、OISコイル18、ならびに、ベース19を備えている。
レンズホルダー4は、上下2枚のAFバネ(板バネ部材)12a、12bにより中間保持部材13に対して光軸方向に駆動されるように支持されている。レンズホルダー4の外周部には、AFコイル14が固定されている。中間保持部材(保持部材)13には、AF駆動用の永久磁石と手振れ補正用の永久磁石とを共通化した兼用の永久磁石15が固定されているが、二つの永久磁石を別々に取り付けてもよい。また、レンズホルダー4は、光軸方向の可動範囲における無限遠側のメカ端(可動範囲の撮像素子6側の基準位置)において、その突起部4aが中間保持部材13に当接している。そして、AFコイル14を制御することにより、レンズホルダー4(および撮像レンズ1)を光軸方向に駆動することができる。これにより、オートフォーカス機能を実現することができる。
また、中間保持部材13は、ベース19に対して4本のサスペンションワイヤー16により、光軸方向と垂直な2軸方向に駆動されるように支持されている。サスペンションワイヤー16は、例えば、細長い金属ワイヤーであり、光軸に対して平行に延在している。なお、サスペンションワイヤー16の長手方向と光軸方向とは一致していなくともよく、例えば、4本のサスペンションワイヤー16をわずかに傾け、ハの字形に配置してもよい。すなわち、サスペンションワイヤー16は、光軸に対して斜めに延在していてもよい。また、カバー17の内側には、OISコイル18が固定されている。そして、OISコイル18を制御することにより、中間保持部材13、永久磁石15、AFバネ12aおよび12b、レンズホルダー4、AFコイル14、レンズバレル2、ならびに、撮像レンズ1等を、光軸と垂直な方向に一体的に駆動することができる。これにより、手ぶれ補正機能を実現することができる。
なお、本明細書において、撮像レンズ1の光軸に垂直な方向に駆動される部分をOIS可動部(可動部)と称し、それ以外の部分をOIS固定部(固定部)と称する。すなわち、OIS可動部には、撮像レンズ1、レンズバレル2、レンズホルダー4、AFバネ12aおよび12b、中間保持部材13、AFコイル14、ならびに永久磁石15が含まれており、OIS固定部には、カバー17、OISコイル18、および、ベース19が含まれている。
(撮像レンズ等の配置)
本実施形態では、レンズバレル2が組み込まれた状態で、レンズバレル2の一部が、ベース19の開口8b内にまで入り込んでいる。一般に、撮像レンズ1のフランジバック(レンズバレル2の下端面から撮像素子6面までの距離)を十分に大きく取ることが困難なため、このような構成になる場合が多い。レンズ駆動装置5は、センサカバー8上に搭載される。
センサカバー8は、突起8aの先端に形成された基準面が撮像素子6に当接しており、撮像素子6全体をカバーするように載置される。センサカバー8の撮像レンズ1側には開口8bが設けられ、赤外線カット機能を備えたガラス基板9により開口8bは塞がれている。撮像素子6は基板7上に搭載され、公差によって生じるセンサカバー8と基板7との間の隙間は、接着剤20により充填された状態で、センサカバー8と基板7とが接着固定される。
レンズバレル2およびレンズホルダー4は、レンズホルダー4が無限遠側のメカ端に位置する状態でレンズバレル2が所定の位置に位置するように、接着剤によって固定される。また、レンズバレル2とセンサカバー8との間には、例えば、10μm程度の隙間が形成される。このように、10μm程度の隙間を形成した状態でレンズバレル2を位置決めするためには、治具を用いてレンズバレルの位置を保持した状態で接着すればよい。
次に、レンズバレル2のレンズホルダー4への取付位置について説明する。撮像レンズ1の位置は、無限遠側メカ端位置において合焦するように、撮像素子6面との距離が設定されるのが望ましい。しかしながら、レンズバレル2に対する撮像レンズ1の取付位置公差、センサカバー8の厚さ公差などの公差、および、部材ごとのばらつきが存在するため、フォーカス調整を行わずに、メカ当たりで位置決めしようとした場合には誤差が残存するおそれがある。
そこで、そのような誤差が残存した状態でも、レンズ駆動装置5のストローク範囲内で合焦位置を見つけるため、合焦位置の設計センター値よりも若干、撮像素子6側に寄った位置に撮像レンズ1を取り付けることが好ましい。このずらし量をオーバーインフと呼ぶ。但し、オーバーインフを大きく設定すれば、レンズ駆動装置5のストロークがその分だけ大きくなるため、オーバーインフは必要最小限に留める必要がある。上記の様々な公差を累計すると、例えば、25μm程度のオーバーインフ量が適当となるが、この値は部品の製造公差や組立公差に影響されるため、実態に合った最小限の値に設定することが望ましい。
なお、本実施形態では、撮像素子6に対して直接、センサカバー8の下側の基準面を突き当てるとともに、厚さの精度を高めたセンサカバー8を用い、かつセンサカバー8の上面に対して(言い換えれば、レンズ駆動装置5の下面に対して)高精度にレンズバレル2を位置決めする。それゆえ、本実施形態では、25μm程度のオーバーインフ量で十分であるとも言える。本実施形態では、無限遠の被写体に対する合焦位置よりも25μmだけ撮像素子側に寄った位置にレンズバレル2が取り付けられ、かつその状態でセンサカバー8とレンズバレル2との間に隙間が存在する。
(弾性体およびダンパー材)
本実施形態における特徴的な構成は、図3に示すように、上側のAFバネ12aの一部が中間保持部材13の外周よりも突出(延出)して、可撓性を有するアーム部(延出部分)12cを形成し、アーム部12cのほぼ先端位置にサスペンションワイヤー16の上端を固定するとともに、アーム部12cの一部にダンパー材11を装着している点である。サスペンションワイヤー16は、アーム部12cの固定部分12gにて固定されている。
アーム部12cは、サスペンションワイヤー16に加わる応力を抑制する弾性体として機能する。そして、好ましくは、アーム部12cは、サスペンションワイヤー16の座屈および永久ひずみを抑制するようになっている。アーム部12cは、特に限定されないが、例えば、金属、プラスチック等により構成することができる。より好ましくは、アーム部12cとしては、バネ定数を十分に小さくすることが可能であり、150μm程度変形しても塑性変形しない素材を用いる。また、アーム部12cとサスペンションワイヤー16とを半田付けする場合には、アーム部12cを金属によって構成することが好ましい。
通常の使用状態では、このアーム部12cの撓みによる変形量は無視できるレベルであるが、落下等により過大な衝撃力が作用した場合、中間保持部材13を含むOIS可動部に対して光軸方向に慣性力を受ける。中間保持部材13の下部には、ベース19が存在しており、ベース19が、中間保持部材13(OIS可動部)の光軸方向の移動範囲を規定するストッパー(係止部材)として働くため、中間保持部材13の光軸方向の変位を規制することができる。しかし、組立誤差等も考慮して、OIS可動部がOIS固定部に接触しないようにするためには、OIS可動部とOIS固定部の隙間として100ミクロンから150ミクロン程度の隙間を設けることが必須である。そのため、OIS可動部とOIS固定部との間隔が、150ミクロン程度変化することがあり得る。サスペンションワイヤー16の伸縮のみでこの変形量を負担しようとすると、そのときにサスペンションワイヤー16にかかる応力は座屈応力または降伏応力を超えることがあり得る。
ここで、本実施形態では、アーム部12cがその変形量の一部を負担するため、サスペンションワイヤー16の長手方向の変形量を抑えることができる。このように、アーム部12cがサスペンションワイヤー16に加わる応力を抑制することができるので、サスペンションワイヤーの座屈および永久ひずみを好適に抑制することができる。
但し、サスペンションワイヤー16に加わる応力を好適に抑制するためには、アーム部12cの変形量を増大させるため、アーム部12cのバネ定数をサスペンションワイヤー16の長手方向のバネ定数よりも小さくする必要がある。それゆえ、アーム部12cの共振周波数が低下し、サーボ帯域において共振を生じて、サーボ系に悪影響を与えるリスクがある。
ここで、本実施形態では、アーム部12cにダンパー材11が装着されているため、アーム部12cの振動を減衰させることができ、サーボ系の発振リスクを軽減することができる。
ダンパー材11としては、シート状のゴム系材料をアーム部12cに貼り付けるようにしてもよいが、紫外線硬化型ゲルを用いれば、作業性が良く、かつ硬化してもバネ定数がそれほど大きくならないため、本発明の目的には適している。紫外線硬化型ゲルとしては、例えば、スリーボンド社製のTB3168、TB3169等を用いることができるが、これらに限定されない。
図4は、アーム部12c近傍を拡大した平面図であり、ダンパー材11は、アーム部12cの撓み部分のほぼ全面に貼り付けられている。このように構成することにより、アーム部12cの振動を好適に減衰させることができる。
また、図5は、アーム部12cの構造およびダンパー材11の配置の変形例である。図5に示す例では、アーム部12cは、アーム部12cの先端側(サスペンションワイヤー16を固定する部分であるワイヤー固定部側)から延出する腕部12dを備えている。そして、ダンパー材11が、腕部12dから中間保持部材13側に橋渡しするように設けられている。なお、本明細書において、「橋渡しする」とは、第一の部位と第二の部位とが距離をおいて配置されているときに、第一の部位と第二の部位とを接続することをいう。ダンパー材11の一部は、アーム部12cのうちの可撓性部分(撓み部分)12eにかかっていても良い。このように構成することにより、ダンパー材11をアーム部12c全体に塗布する必要がなく、ワイヤー固定部と同等の動きを示すことになる腕部12dの変位速度を抑制するため、少量のダンパー材でも同等の効果を得ることができる。
図6は、アーム部12cの構造およびダンパー材11の配置の別の変形例であり、腕部12dは中間保持部材13側から延出している。ダンパー材11は、先端側(ワイヤー固定部側)と腕部12dとを橋渡しするように設けられ、一部はアーム部12cのうちの可撓性部分12eにかかっていてもよい。この場合でも、上記と同様の効果が得られる。
以上のように、図5および6に示す構成では、固定部分12gと、アーム部12c上の他の部位であって、アーム部12cの振動時における光軸方向の変位量が固定部分12gに比べて小さい部位と、を橋渡しするように、ダンパー材11が設けられている。これにより、アーム部12cの振動時における両者の相対変位の速度を抑制して、アーム部12cの振動を好適に抑制することができる。
また、ダンパー材11は、固定部分12gと、中間保持部材13とを橋渡しするように設けられていてもよい。中間保持部材13は、アーム部12cの振動時において光軸方向にほとんど変位しないため、ダンパー材11で両者を橋渡しすることによって、アーム部12cの振動時における両者の相対変位の速度を抑制して、アーム部12cの振動を好適に抑制することができる。
(バネ定数について)
次に、本発明の実施形態に係るカメラモジュール50における落下対策について、より詳細に説明する。サスペンションワイヤー16およびアーム部(弾性体)12cのバネ定数の関係を図8に示す。図8は、アーム部12cとサスペンションワイヤー16の長手方向のバネの構成を簡略的に示す図である。kが上側AFバネ12aのアーム部12cのバネ定数、kがサスペンションワイヤー16の長手方向のバネ定数である。すなわち、kとkという2つのバネが直列に接続された構造となっている。簡単のため、1箇所のみのサスペンションワイヤー16に関して説明を行う。
上記構造において、k<<kとなるように設定する。落下衝撃等によって生じるトータルの変形量をδ(例えば、中間保持部材13とベース19との間隔である150μm程度)とすると、それぞれのバネの変形量はそれぞれのバネ定数に反比例し、下記式(1)および(2)のように求められる。
弾性体(アーム部12c)の変形量δ=δk/(k+k)・・・(1)
サスペンションワイヤー16の変形量δ=δk/(k+k)・・・(2)
また、サスペンションワイヤー16をδだけ変形させるのに必要な力Fは、下記式(3)のように求められる。
F=δk/(k+k)・・・(3)
従って、サスペンションワイヤー16の長手方向の変形量によって規定される応力は、サスペンションワイヤー16の断面積をAとすると、下記式(4)のように求められる。
σ=(δ/A)k/(k+k)・・・(4)
このσがサスペンションワイヤー16の座屈応力σを超えないことが必須となる。座屈応力を問題にしているのは、通常の場合、降伏応力よりも座屈応力の方が小さくなるためである。なお、kについては、ダンパー材11を塗布した場合の弾性体(アーム部12c)として計算すべきである。
すなわち、下記式(5)を満たすように、弾性体のバネ定数kおよびサスペンションワイヤー16の長手方向のバネ定数kが設定されることが好ましい。
σ>(δ/A)k/(k+k)・・・(5)
なお、座屈応力としては、通常Eulerの座屈応力が目安とされる。Eulerの座屈応力は、下記式(6)で表される。Cは定数であり、両端固定梁の場合C=4となる。Eはヤング率、λは細長比をそれぞれ示す。
σ=CπE/λ・・・(6)
一つの設計例に基づいて、Eulerの座屈応力を計算すると、1×10N/m程度の値となった。しかしながら、Eulerの座屈応力は理想的な垂直荷重が加えられた場合の式であり、現実には斜めに荷重がかかる場合もあり、ある程度のマージンを見て、座屈応力を設定するのが望ましい。従って、上記のσが、このようにして計算された座屈応力を超えないようにkおよびkの値を設定するのがより望ましい。
(共振について)
次に、本発明の実施形態に係るカメラモジュール50におけるサーボ系の発振リスク対策について、より詳細に説明する。
本発明の重要要素部品だけを簡略化して示すと図7のようになる。撮像レンズ1等を保持するレンズホルダー4が上下2枚のAFバネ12aおよび12bにより支持され、上側のAFバネ12aの一部は中間保持部材13よりも外側に突出している。この突出したアーム部12cにサスペンションワイヤー16が固定されている。このような支持構造において、OIS可動部の重心高さと手ぶれ補正のための光軸に垂直な方向へのサーボ駆動力(OIS駆動力)が作用する位置とがずれていると、OIS可動部は回転モーメントを受け、OIS可動部の慣性モーメントとバネ定数によって決まる共振周波数において共振が発生することになる。
OIS駆動力に対するOIS可動部の変位のゲインと位相を示すボード線図の例を図9に示す。600Hz付近に見られる共振ピークが、ワイヤー固定部のアーム構造に起因する回転モードの共振を示している。破線はダンパー材11を弾性体(アーム部12c)に装着しない場合の特性を示しており、かなり大きな共振ピークとなる。手振れ補正のサーボ系のカットオフ周波数は、通常100〜200Hz程度に設定されるため、600Hz付近の共振はカットオフよりも高い周波数となる。600Hz付近では、サーボ系の位相はほぼ180度以上遅れており、この周波数帯域で大きな共振ピークが存在するとゲイン余有が不十分となり、サーボ系が発振する恐れがある。図9の実線は、ダンパー材11を付加した場合の特性であり、共振ピークが抑制されているため、この帯域でのゲイン余有をかせぐことが可能となり、より安定なサーボ系が実現できることがわかる。
〔第2実施形態〕
第1実施形態では、サスペンションワイヤー16とOIS可動部との接続部であるアーム部12cが、サスペンションワイヤー16に加わる応力を抑制するための弾性体として機能しているが、本発明はこれに限定されない。サスペンションワイヤー16とOIS固定部との接続部を、サスペンションワイヤー16に加わる応力を抑制するための弾性体として機能させることも可能である。このような構成を、本発明の第2実施形態として以下に説明する。
図10は、第2実施形態に係るカメラモジュール50の概略構成を示す断面図である。図11は、図10に示すカメラモジュール50の、サスペンションワイヤー16とOIS固定部との接続部周辺の構成を拡大して示す図である。なお、第1実施形態と同様の部材には同じ部材番号を付し、説明を省略する。
図10および図11に示すように、第2実施形態では、ベース19が、基板部分19bを樹脂部分19aで支持する2層構造となっている。そして、基板部分19bの一部について、樹脂部分19aの支えをなくすことにより、基板部分19bに可撓性を有する可撓性部分を設けることができる。そして、当該可撓性部分に、サスペンションワイヤー16を固定することにより、当該可撓性部分をサスペンションワイヤー16に加わる応力を抑制するための弾性体をして機能させることができる。
サスペンションワイヤー16に加わる応力を抑制するための弾性体として使用する基板部分19bは、アーム部12cと同様、特に限定されないが、例えば、金属、プラスチック等により構成することができる。より好ましくは、基板部分19bとしては、バネ定数を十分に小さくすることが可能であり、150μm程度変形しても塑性変形しない素材を用いる。また、基板部分19bとサスペンションワイヤー16とを半田付けする場合には、基板部分19bを金属によって構成することが好ましい。また、基板部分19bとして、金属パターンが配列された回路基板(ガラスエポキシ基板等)等を用いてもよい。
ここで、第1実施形態と同様、サスペンションワイヤー16に加わる応力を抑制するための弾性体(本実施形態では、基板部分19bの可撓性部分)に、ダンパー材11を装着することによって、サーボ系の発振リスクを低減できる。
図11に示すように、ダンパー材11は、基板部分19bの可撓性部分の少なくとも一部を覆うように配置することができる。また、基板部分19bの可撓性部分の構造およびダンパー材の配置は、種々の構成を取ることができ、例えば、図4〜図6と同様の構成を取ることができる。すなわち、上記可撓性部分は、サスペンションワイヤー16が固定されている部分から、当該可撓性部分の基部に向けて突き出している腕部を備えており、ダンパー材11は、該腕部と該基部とを橋渡しするように設けられていてもよいし、上記可撓性部分は、当該可撓性部分の基部から、サスペンションワイヤー16が固定されている部分に向けて突き出している腕部を備えており、ダンパー材11は、該腕部と該サスペンションワイヤーが固定されている部分とを橋渡しするように設けられていてもよい。
なお、本実施形態では、サスペンションワイヤー16とOIS固定部との接続部のみにダンパー材11が装着された弾性体を設ける構成について説明したが、さらに、第1実施形態と同様、サスペンションワイヤー16とOIS可動部との接続部にもダンパー材11が装着された弾性体を設けてもよい。
〔第3実施形態〕
次に、ダンパー材11のさらに好適な配置について、図12(a)に示す構成例Aと、図12(b)に示す構成例Bとを対比させながら説明する。なお、図12(a)および(b)は、何れも図3におけるC−C断面図である。また、図12に示すように、以降の説明では、サスペンションワイヤー16におけるアーム部12cに接続している部分を可動部側固定端または第1接続部16aと称し、ベース19に接続している部分を固定部側固定端または第2接続部16bと称し、第1接続部16aと第2接続部16bとの間の領域を可撓部16cと称する。可撓部16cは、可動部の駆動に伴って撓む部分である。
図12に示すように、両構成例では、サスペンションワイヤー16は、AFバネ12aのアーム部12cに設けられた孔12fに挿通され、半田21によってアーム部12cに固定および電気的に導通されている。このように、サスペンションワイヤー16を半田21によってアーム部12cに固定することにより、サスペンションワイヤー16とアーム部12cとを強固に接続することができる。
このとき、構成例Aでは、アーム部12cの上面にはダンパー材11が設けられているが、特にサスペンションワイヤー16と接触していない。そして、サスペンションワイヤー16とAFバネ12aとは、AFバネ12aの上面側(可撓部16cに面する側とは反対側)において半田付けされているが、半田21が、AFバネ12aの上面側だけに留まらない場合がある。すなわち、孔12fを介してAFバネ12aの下面側(可撓部16cに面する側)にまで半田21が流れ、サスペンションワイヤー16の可撓部16cの表面を半田付けされる場合がある。サスペンションワイヤー16は、表面が半田付けされるとバネ性が減じられる。特に、可撓部16cに半田が付着すると、サスペンションワイヤー16の可撓性に影響を及ぼす。それゆえ、場合によっては、サスペンションワイヤー16に繰り返し応力が加わった場合に、サスペンションワイヤー16が脆性破壊するおそれがある。
一方、構成例Bでは、ダンパー材11は、AFバネ12aの下面側(可撓部16cに面する側)に設けられている。言い換えれば、ダンパー材11は、サスペンションワイヤー16の第1接続部(可動部側固定端)16aと第2接続部(固定部側固定端)16bとの間の内側面側に設けられている。さらに、ダンパー材11は、サスペンションワイヤー16の可撓部16cの一部を覆うように設けられている。詳細には、サスペンションワイヤー16の可撓部16cのアーム部12c側の端部の外周の少なくとも一部を覆うように設けられている。このような構成とすることにより、最も脆性破壊しやすい、サスペンションワイヤー16の可撓部16cの根元の振動をダンパー材11によって抑制し、この部分に働く応力を緩和することで、繰り返し応力が加えられた時にサスペンションワイヤー16が破断することを防止することができる。
なお、構成例Bのようにダンパー材11を設ける場合には、シート材をダンパー材11として用い、アーム部12cに貼り付けてもよいが、ゲル材をアーム部12cに塗布して硬化させてダンパー材11とすることにより、ダンパー材11を所望の位置に容易に設置することができる。
図13は、アーム部12cの構造およびダンパー材11の配置の一変形例を示す。図13は、図12(b)のD−Dにおける矢視断面図を示す。図13に示す例では、アーム部12cの先端側から根元側へ腕部12dが延出しており、腕部12dと、アーム部12cの中間保持部材13側の根元部分とを橋渡しするようにダンパー材11が配置されている。ダンパー材11は、また、サスペンションワイヤー16の可撓部16cの一部を覆うように設けられている。すなわち、ダンパー材11は、可撓部16cのアーム部12c側の端部の外周の少なくとも一部を覆うように設けられている。このように構成することにより、アーム部12cに対するダンピング効果を得ることができるとともに、サスペンションワイヤー16の破断を防ぐためのダンピング効果を得ることができる。言い換えれば、アーム部12cの振動を好適に抑制することができるとともに、サスペンションワイヤー16の可撓部16cの根元の振動を好適に抑制することができる。
図14は、アーム部12cの構造およびダンパー材11の配置の別の変形例を示す。図14は、図12(b)のD−Dにおける矢視断面図を示す。図14に示す例では、腕部12dは中間保持部材13側から延出しており、腕部12dと、アーム部12cの先端側とを橋渡しするようにダンパー材11が配置されている。ダンパー材11は、また、サスペンションワイヤー16の可撓部16cの一部を覆うように設けられている。このように構成することにより、アーム部12cに対するダンピング効果を得ることができるとともに、サスペンションワイヤー16の破断を防ぐためのダンピング効果を得ることができる。
また、図15は、アーム部12cに対するダンピング効果を得るとともに、サスペンションワイヤー16の破断を防ぐためのダンピング効果を得るための別の変形例を示す。図15は、図3におけるC−C断面図を示す。図15に示す例では、ダンパー材11はサスペンションワイヤー16の可撓部16cの端部を覆うように設けられるとともに、その一端が中間保持部材13に接続されている。中間保持部材13は、アーム部12cの振動時における光軸方向の変位量が殆ど無いため、サスペンションワイヤー16が固定されたアーム部12cの先端の固定部分12gが光軸方向に変位するとき、ダンパー材11が、固定部分12gと中間保持部材13との間の相対変位の速度を抑制するように作用する。よって、ダンパー材11により、アーム部12cに対するダンピング効果を得ることができる。また、ダンパー材11が、サスペンションワイヤー16の可撓部16cの端部を覆うため、サスペンションワイヤー16の破断を防ぐためのダンピング効果を得ることができる。
なお、図15は、ダンパー材11がゲル材であることを想定しているような図となっているが、ダンパー材11はゲル材に限定されず、例えば、シート状のダンパー材であってもよい。また、ダンパー材11と中間保持部材13との接合部は、単に接触している状態よりも、ある程度の強度で接続されていることが好ましく、例えば、コーナー部にフィレットを形成してもよい。また、中間保持部材13におけるダンパー材11との接触部分の構造は、ゲル材の塗布、およびシート状のダンパー材の貼付が容易になるように適宜最適化することが好ましい。また、ダンパー材11としてゲル材を用いる場合には、硬化前のゲル材が流動して不要な部分にダンパー材が付着することを防ぐため、図16に示すように、ダンパー材を塗布するための受け部(例えば、段差)13aを中間保持部材13に設けてもよい。
このように本実施形態に係るカメラモジュールでは、上記サスペンションワイヤーが、上記弾性体に半田によって固定されている。
上記の構成によれば、サスペンションワイヤーと弾性体とを強固に固定することができる。また、可撓部の弾性体側の端部の少なくとも一部をダンバー材が覆っているため、可撓部を形成するサスペンションワイヤーが半田付けされた場合であっても、サスペンションワイヤーに加わる応力を緩和し、サスペンションワイヤーの破断を抑制することができる。
なお、以上では、サスペンションワイヤー16を半田21によってアーム部12cに固定した場合について説明したが、本実施形態はこれに限定されない。ダンパー材11を、アーム部12cの下面(可撓部16cに面する側)に、可撓部16cのアーム部12c側の端部の少なくとも一部を覆うように設けることにより、サスペンションワイヤー16の可撓部16cの根元の振動を抑制し、この部分に働く応力を緩和することができるので、半田を用いているか否かによらず、繰り返し応力が加えられた時にサスペンションワイヤー16が破断することを防止することができる。
また、以上では、ダンパー材11を、アーム部12cに設ける場合について説明したが、本実施形態はこれに限定されない。第2実施形態に係るカメラモジュール50において、ダンパー材11を、基板部分19bの上面(可撓部16cに面する側)に、可撓部16cの基板部分19b側の端部の少なくとも一部を覆うように設けるように構成しても、同様の効果を得ることができる。すなわち、第2実施形態に係るカメラモジュール50において、ダンパー材11を、可撓部16cの基板部分19b側の端部の少なくとも一部を覆うように設けることにより、サスペンションワイヤー16の可撓部16cの根元の振動を抑制し、この部分に働く応力を緩和することができるので、繰り返し応力が加えられた時にサスペンションワイヤー16が破断することを防止することができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、カメラモジュールの製造分野において利用可能であり、特に、携帯用端末等の通信機器を含む各種電子機器に搭載されるカメラモジュールの製造分野において好適に利用することができる。
1 撮像レンズ
2 レンズバレル
3、20 接着剤
4 レンズホルダー
5 レンズ駆動装置
6 撮像素子
7 基板
8 センサカバー
9 ガラス基板
10 撮像部
11 ダンパー材
12a、12b AFバネ(板バネ部材)
12c アーム部(延出部分、弾性体)
12d 腕部
12e 可撓性部分
12f 孔
12g 固定部分
13 中間保持部材(保持部材)
13a 受け部
14 AFコイル
15 永久磁石
16 サスペンションワイヤー
16a 第1接続部
16b 第2接続部
16c 可撓部
17 カバー
18 OISコイル(駆動手段)
19 ベース
19a 樹脂部分
19b 基板部分(弾性体)
21 半田
50 カメラモジュール

Claims (6)

  1. 手ぶれ補正機能を有するカメラモジュールであって、
    撮像レンズを備えている可動部と、
    該可動部を囲う固定部と、
    該可動部を、該撮像レンズの光軸に垂直な方向に駆動する駆動手段と、
    該光軸に対して平行または斜めに延在し、該可動部が該光軸に垂直な方向に駆動されるように該可動部を支持するサスペンションワイヤーと、
    該サスペンションワイヤーの少なくとも一端に接続され、該サスペンションワイヤーに加わる応力を抑制する弾性体と、
    該弾性体に装着され、該弾性体の振動を減衰させるダンパー材とを備え、
    該可動部は、該撮像レンズを支持する板バネ部材を備えており、
    該弾性体は、該板バネ部材が該固定部側に延出した延出部分からなり、
    該可動部は、該板バネ部材を保持する保持部材を更に備えており、
    該ダンパー材は、該延出部分の該サスペンションワイヤーが固定されている固定部分と、該保持部材とを橋渡しするように設けられていることを特徴とするカメラモジュール。
  2. 上記ダンパー材は、上記延出部分の少なくとも一部を覆うように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
  3. 上記ダンパー材は、上記固定部分と、上記弾性体の振動時における光軸方向の変位量が当該固定部分に比べて小さい部位と、を橋渡しするように設けられていることを特徴とする請求項2に記載のカメラモジュール。
  4. 上記固定部が、可撓性を有する可撓性部分を備えた基板を備えており、
    上記弾性体が、該可撓性部分からなることを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
  5. 上記ダンパー材が、紫外線硬化型ゲルであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のカメラモジュール。
  6. 上記サスペンションワイヤーは、上記可動部に接続する第1接続部と、上記固定部に接続する第2接続部と、第1接続部および第2接続部に挟まれた可撓部とを備えており、
    上記ダンパー材が、上記弾性体における該可撓部に面する側に設けられ、該可撓部の該弾性体側の端部の少なくとも一部を覆っていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のカメラモジュール。
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