以下、本発明に係る実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、図1は本発明に係る実施形態の、シート処理装置としてのフィニッシャを備えた画像形成装置の一例である複写機を示す断面図、図2は本実施形態に係るフィニッシャを示す断面図である。
(画像形成装置)
図1に示すように、画像形成装置としての複写機1000は、原稿給送部100、イメージリーダ部200、プリンタ部300、折り処理部400、フィニッシャ500、インサータ900を有している。折り処理部400、インサータ900は、オプションとして装備することができる。
原稿給送部100のトレイ100a上には、フェイスアップ状態(画像が形成されている面が上向きの状態)で原稿Dがセットされるようになっている。原稿Dの綴じ位置は、原稿Dの左端部であるとする。トレイ100a上にセットされた原稿Dは、原稿給送部100により先頭ページから順に1枚ずつ左方向、即ち、綴じ位置を先頭にして搬送される。そして、原稿Dは、湾曲したパスを通過してプラテンガラス102上を左から右へ搬送され、その後、排出トレイ112上に排出される。このとき、スキャナユニット104は、所定の原稿読取位置に停止している。
スキャナユニット104は、スキャナユニット104上を左から右へ通過する原稿の画像を読み取る。原稿がプラテンガラス102上を通過するとき、原稿は、スキャナユニット104のランプ103により照射される。その原稿からの反射光は、ミラー105,106,107、及びレンズ108を介してイメージセンサ109に導かれる。
イメージセンサ109により読み取られた原稿の画像データは、所定の画像処理が施されて露光制御部110へ送られる。露光制御部110は、画像信号に応じたレーザ光を出力する。レーザ光は、ポリゴンミラー110aにより走査されながら感光ドラム111上に照射される。感光ドラム111上には、走査されたレーザ光に応じた静電潜像が形成される。
感光ドラム111上に形成された静電潜像は、現像器113により現像され、トナー像として可視化される。一方、シートPは、カセット114,115、手差し給送部125、両面搬送パス124のいずれかから転写部116へ搬送される。そして、可視化されたトナー像が転写部116においてシートPに転写される。転写されたシートPは、定着部117でトナー像を定着される。なお、感光ドラム111、現像器113等は、シートに画像を形成する画像形成部を構成している。
そして、定着部117を通過したシートPは、切換え部材121により一旦パス122に案内される。シートPは、後端が切換え部材121を抜けると、スイッチバック搬送されて、切換え部材121により排出ローラ118へ案内される。シートは、排出ローラ118によって、プリンタ部300から排出される。これにより、シートは、トナー像が形成された面を下向きの状態(フェイスダウン)にしてプリンタ部300から排出される。これらの動作を、「反転排出」と言う。
シートをフェイスダウン状態で機外に排出すると、先頭ページから順に画像形成処理を行うことができる。例えば、原稿給送部100を使用して画像形成処理を行う場合や、コンピュータからの画像データに対する画像形成処理を行う場合にページ順序を揃えることができる。
また、シートの両面に画像を形成する場合、プリンタ部300は、シートを定着部117から真っ直ぐ排出ローラ118へ案内する。シートの後端が切換え部材121を抜けた直後に、そのシートをスイッチバック搬送して、切換え部材121により両面搬送パス124へと導く。
(フィニッシャ500)
画像形成部により画像が形成されたシートPの束を折曲げて製本するシート処理装置としてのフィニッシャ500は、プリンタ部300から折り処理部400を介して搬送されてきた複数枚のシートPを整合して、シート処理を行うようになっている。シート処理には、1つのシート束P(折りシート束)として束ねる処理、シート束Pの後端側をステイプルするステイプル処理(綴じ処理)、ソート処理、ノンソート処理等がある。また、フィニッシャ500は、シート積載装置としての中綴じ製本部800を一体的に備える。
図2に示すように、フィニッシャ500は、折り処理部400を介して搬送されてきたシートPを装置内部に取り込むための搬送パス520を有している。搬送パス520には、入口ローラ対501からシート搬送方向の下流側に向けて順番に搬送ローラ対502〜508が設けられている。搬送ローラ対502と搬送ローラ対503との間には、パンチユニット530が設けられている。パンチユニット530は、必要に応じて動作を行い、搬送されるシートの後端部に孔をあける(穿孔処理を行う)ようになっている。
搬送パス520の終端に設けられた切換え部材513は、下流に繋がれた上排出パス521と下排出パス522とに経路を切換えるようになっている。上排出パス521は、上排出ローラ509により、サンプルトレイ701へシートを案内するように構成されている。一方、下排出パス522には、搬送ローラ対510,511,512が設けられている。これら搬送ローラ対510,511,512は、シートを処理トレイ550に搬送して排出するように構成されている。
処理トレイ550に排出されたシートは、順次整合処理されながら束状に積載されて、操作部1(図4参照)からの設定に応じて、仕分け処理やステイプル処理が行われる。処理されたシート束Pは、束排出ローラ対551によりスタックトレイ700とサンプルトレイ701とに選択的に排出される。
なお、上記ステイプル処理は、ステイプラ560により行われる。ステイプラ560は、シートの幅方向(シート搬送方向と直交する幅方向)に移動して、シート束Pの任意の箇所を綴じるようになっている。スタックトレイ700とサンプルトレイ701とは、フィニッシャ500の装置本体に沿って昇降するように構成されている。上側のサンプルトレイ701は、上排出パス521と処理トレイ550からのシートを受け取るように構成されている。また、下側のスタックトレイ700は、処理トレイ550からのシートを受け取るように構成されている。このように、スタックトレイ700とサンプルトレイ701とには大量のシートが積載されるように構成されている。積載されたシートは、その後端を上下方向に延びる後端ガイド710に受け止められて整列されるように構成されている。
(中綴じ製本部800)
一方、下排出パス522の途中に設けられた切換え部材514の破線位置への切換えにより、シートPは、サドル排出パス523を通過し、中綴じ製本部800へ送られる。この場合、シートは、まずサドル入口ローラ対801に受け渡され、中綴じ製本部800の収納ガイド803内に搬入される。この収納ガイド803は、シートを順次積載するシート積載部を構成している。
そして、このように収納ガイド803内に搬入されたシートPは、中間ローラ804により先端が上下方向に移動可能なシート位置決め部材805に接するまで搬送される。なお、サドル入り口ローラ対801と中間ローラ804とは、入り口駆動モータM1により駆動される。
また、収納ガイド803の途中位置には、収納ガイド803を挟んで対向配置された針を突き出すドライバー820aと、突き出された針を折曲げるアンビル820bとを備えたステイプラ820が設けられている。このステイプラ820は、収納ガイド(シート積載部)803に積載されたシート束Pに綴じ処理を行う綴じ処理部を構成している。ここで、シート位置決め部材805は、シート搬入時において、シート搬送方向中央部が、ステイプラ820の綴じ位置になる位置で停止するように構成されている。
なお、シート位置決め部材805は、位置決め駆動モータM2の駆動を受けて上下方向に移動自在であり、シートサイズに応じて位置を変えることができる。ステイプラ820の下流側には、折りローラ対810(810a,810b)が配置されており、折りローラ対810a,810bの対向位置には突き出し部材830が配置されている。この折りローラ対810(810a,810b)は、ステイプラ820により綴じ処理されたシート束Pの綴じ処理位置に対し折曲げ処理を施す折曲げ処理部を構成している。
突き出し部材830は、収納ガイド803から退避した位置をホームポジションとしており、突き駆動モータM3の駆動により、収納されたシート束Pに向けて突出するように構成されている。そして、このようにシート束Pに向けて突出することにより、シート束Pを、折りローラ対810a,810bのニップに押し込むことができ、これによりシート束Pを折り畳むことができる。なお、突き出し部材830は、シート束Pを押し込んだ後、再びホームポジションに戻るように構成されている。
一方、シート束Pが押し込まれる折りローラ対810a,810b間には、シート束Pに折り目付けをするのに充分な圧F1が不図示のバネにより掛けられている。これにより、折りローラ対810a,810bを通過する際、シート束Pは折り目付けされる。そして、このように折り目付けされたシート束Pは、この後、第1折搬送ローラ対811(811a,811b)、第2折搬送ローラ対812(812a,812b)を経て、折り束排出トレイ840に排出される。
なお、これら2つの搬送部である第1折搬送ローラ対811a,811b及び第2折搬送ローラ対812,812bにも、折り目付けされたシート束Pを搬送、停止させるのに充分な圧F2,F3が掛けられている。また、折りローラ対810(810a,810b)、第1折搬送ローラ対811(811a,811b)、第2折搬送ローラ対812(812a,812b)は、同一の折り搬送駆動モータM4により等速回転する。
ステイプラ820で綴じられたシート束を折り畳む際は、ステイプル処理終了後に、シート束Pのステイプル位置が折りローラ対810のニップ位置にくるように、シート位置決め部材805をステイプル処理時の場所から所定距離降下させる。これにより、ステイプル処理を施した位置を中心にしてシート束Pを折り畳むことができる。
また、符号815は、折りローラ対810a,810bの外周面を周りながら収納ガイド803に突出した面を持ち、収納ガイド803に収納されたシートを整合する整合板対である。そして、この整合板対815は、整合駆動モータM5の駆動を受けて、シートに対し挟みこみ方向に移動することによって、シートの幅方向の位置決めを行うようになっている。
ここで、折りローラ対810a,810bと第1折搬送ローラ対811a,811bと第2折搬送ローラ対812a,812bとはニップ方向が夫々異なっている。折りローラ対810、第1及び第2折搬送ローラ対811,812、第1搬送ガイド部813、第2搬送ガイド部814から形成される搬送路Aは、中間部が鉛直方向上側に突出し且つ前後端が鉛直方向下側に湾曲する湾曲形状を呈している。上記第1搬送ガイド部813、第2搬送ガイド部814は、円弧形状に構成することも可能である。
なお、第2搬送ガイド部814は、折りローラ対(折曲げ処理部)810により折り曲げられたシート束Pを案内するガイド対を構成している。本フィニッシャ500では、第1折搬送ローラ対811と第2折搬送ローラ対812と第2搬送ガイド部(ガイド対)814とが折りローラ対810から送り出されるシート束Pを湾曲させて搬送するように配置されている。この第2搬送ガイド部814は、第2上搬送ガイド814aと第2下搬送ガイド814bとにより構成されている。第2上搬送ガイド814aは、折り曲げられたシート束Pの折り端部を受け止め、シート束Pを湾曲させながらシート束Pの一方の面を摺接させて案内する第1のガイドとして構成される。第2下搬送ガイド814bは、第2上搬送ガイド814aに対向して設けられた第2のガイドとして構成される。
図2に示すように、搬送路Aが湾曲している理由は前述したように、生産性を低下させること無く次シート束の先頭シートをトレイに受け取ることを目的としている。そのため、折りローラ対810a,810bから第1プレスローラ対861までの搬送路Aの長さを、冊子の搬送方向の長さよりも長くし、装置幅を小さくしている。このため、折りローラ対810a,810b、第1折搬送ローラ対811a,811b、第2折搬送ローラ対812a,812bを直線状に配置するのではなく、湾曲した搬送路Aを形成しているのである。
第2搬送ガイド部814は、上述したように、湾曲経路の外側(図2上側)の第2上搬送ガイド814aと、湾曲経路の内側(図2下側)の第2下搬送ガイド814bとから構成されている。上記第2上搬送ガイド814aは第2下搬送ガイド814bよりも鉛直方向上側に位置している。搬送面の表面抵抗は、第2下搬送ガイド814bよりも第2上搬送ガイド814aの方が高くなるように、言い換えると、第2上搬送ガイド814aよりも第2下搬送ガイド814bの方が低くなるように設定されている。シート束Pは、第1折搬送ローラ対811a,811bから第2上搬送ガイド814aにシート束P先端(折り端部)が沿いながら搬送され、第2折搬送ローラ対812a,812bのニップに入り込こむ。
ここで、第2折搬送ローラ対812a,812bに入り込むまでのシート束P先端(折り端部)の挙動は、第2上搬送ガイド814a及び第2下搬送ガイド814bの搬送面の表面抵抗、搬送路Aの形状(湾曲の曲率)等により左右される。このため、第2上搬送ガイド814aの表面の抵抗の影響を受けないように、第2上搬送ガイド814aよりも第2下搬送ガイド814bの表面抵抗の方が低く(小さく)なるように設定されている。このように第2下搬送ガイド814bの表面抵抗を第2上搬送ガイド814aより低くすることで、次の効果を得ることができる。即ち、シート束P先端が第2折搬送ローラ対812のニップに入り込んで、シート束Pの表紙のみが第2折搬送ローラ対812の表面の摩擦力により一方向に引っ張られて針綴じの穴から表紙破れする現象を無くし、シート束Pを円滑に搬送することができる。
ところで、第2折搬送ローラ対812の下流には、シート束Pの背部を圧接処理し、シート束Pの小口部の開きを抑えるための折り目プレスユニット860が、折り束排出トレイ840と空間的に重なるように配置されている。シート束P先端が第2折搬送ローラ対812に搬送されたときの状態を図3に示す。なお、折り目プレスユニット860は、ガイド対である第2搬送ガイド部814(第2上下搬送ガイド814a,814b)により搬送されるシート束Pの折り端部に対して仕上げ処理する仕上げ処理部を構成している。
折り目プレスユニット860は、シート束Pの折り目に沿って回転する押さえ部である第1プレスローラ対861、第2プレスローラ対863、及び圧接ローラ864を有している。折り目プレスユニット860は、折り目プレス駆動モータM6の駆動により冊子の折り目方向(図3の矢印N方向)に移動する。このとき、第1プレスローラ対861、第2プレスローラ対863及び圧接ローラ864が、シート束Pの折り目を圧接することで、シート束Pの折り目を強化する。
この場合、折り端部を圧接する折り目プレスユニット860の動作により力を受けるシート束Pを、背部処理中に保持しておく必要がある。図2に示すように、中綴じ製本部800は、背部処理時にシート束Pが動かないようシート束Pを保持する装置として、クランパ870を有している。前述した第2搬送ガイド部814は、第1折搬送ローラ対811a,811bから第2折搬送ローラ対812a,812bへとシート束Pを搬送する際はガイドとして機能し、加えて保持動作を行う際はクランパ870構成の一部としても機能している。
クランパ870は、第1のガイドである第2上搬送ガイド814a及び第2のガイドである第2下搬送ガイド814bを互いに接近するように相対移動させる駆動部を構成している。このクランパ870は、仕上げ処理部である折り目プレスユニット860により仕上げ処理が施される際に、第2上搬送ガイド814a及び第2下搬送ガイド814bを相対移動させてシート束Pを挟持して保持する。本実施形態では、第2上搬送ガイド814aを第2下搬送ガイド814bに向けて移動させるが、この関係は逆にすることも可能である。また、本実施形態では、シート束Pを厚み方向にクランプする際に、シート束Pのたるみ側のクランプ(第2下搬送ガイド814b)表面の摩擦抵抗を低くすることで、シート束表面(表紙)にシワを発生させず、シート束Pの品位を向上させる。
シート束Pが折り搬送駆動モータM4の駆動により折りローラ対810a,810bから第2折搬送ローラ対812a,812bへと搬送され、シート束P先端が第2折搬送ローラ対812a,812bを通過した後停止する。その後、第2上搬送ガイド814aは、クランプ駆動モータM7によりシート束Pの厚み方向Kに移動する(図13(b)参照)。そして、第2上搬送ガイド814aの表面と固定側の第2下搬送ガイド814bの表面とでシート束Pを厚み方向Kに押さえ、背部処理時に、シート束Pが動くことのない十分な圧で保持する。
なお、ここで、図12及び図13は従来例を示す図であるが、第2搬送ガイド部814の配置や動作については本実施形態と共通であるため、配置や動作に関しては、これらの図を参照することとする。
シート束Pを保持する際、シート束Pは図13(b)のように湾曲した搬送路Aの内側Pi(図13(b)下側)がたるみ、外側Po(図13(b)上側)が張っている状態である。しかしこの際、本実施形態では第2上搬送ガイド814aよりも第2下搬送ガイド814bの方が表面抵抗が小さく(低く)設定されているため、クランプ動作によりシート束Pの内側Piがたるんでいる状態でもシート束表紙にシワが発生することは無い。
クランパ870によりシート束Pを保持し、その後、折り目プレスユニット860が折り目に沿って移動し背部圧接処理を行い、クランプ駆動モータM7の駆動により第2上搬送ガイド814aを搬送路Aから退避させる。その後、シート束Pを搬送して折り束排出トレイ840に排出する。
図4は、複写機1000の制御系に関する制御ブロック図である。CPU回路部150は、不図示のCPUを有しており、ROM151に格納された制御プログラム及び操作部1の設定に従い、以下を制御する。つまり、原稿給送制御部101、イメージリーダ制御部201、画像信号制御部202、プリンタ制御部301、折り処理制御部401、フィニッシャ制御部507、外部I/F203を制御する。
ここで、原稿給送制御部101は原稿給送部100を、イメージリーダ制御部201はイメージリーダ部200を、プリンタ制御部301はプリンタ部300を、折り処理制御部401は折り処理部400を夫々制御する。また、フィニッシャ制御部507は、フィニッシャ500のステイプル部600、中綴じ製本部800、インサータ900等の動作を夫々制御する。
また、操作部1は、画像形成に関する各種機能を設定するための複数のキー、設定状態を表示するための表示部等を有している。そして、ユーザによる各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部150に出力すると共に、CPU回路部150からの信号に基づき対応する情報を表示部に表示する。
RAM152は、制御データを一時的に保持するための領域や、制御に伴う演算の作業領域として用いられる。外部I/F203は、複写機1000と外部のコンピュータ204とのインタフェースであり、コンピュータ204からのプリントデータをビットマップ画像に展開し、画像データとして画像信号制御部202へ出力する。
また、イメージリーダ制御部201から画像信号制御部202へは、不図示のイメージセンサで読み取った原稿の画像が出力され、プリンタ制御部301は、画像信号制御部202からの画像データを不図示の露光制御部へ出力する。
図5は、中綴じ製本処理制御部601のブロック図である。この中綴じ製本処理制御部601は、入り口駆動モータM1、位置決め駆動モータM2、突き駆動モータM3、折り搬送駆動モータM4、整合駆動モータM5、折り目プレス駆動モータM6、クランプ駆動モータM7、コンベア駆動モータM8を夫々制御する。
次に、上記構成に基づき、本実施形態における中綴じ製本処理の動作について、シートの流れと共に各部の動作を説明する。図6は中綴じ製本処理モードの動作の流れを示すフローチャート、図7(a),(b)、図8(a),(b)、図9(a)〜(c)、及び図10は動作説明図である。
本実施形態において、中綴じ製本部800は、上記処理機能を有するシート処理装置としてのフィニッシャ500に組み込まれる。まず、複写機1000のプリンタ部300から、プリントするシートの情報をフィニッシャ500が受け取り、中綴じ製本処理制御部601へシートサイズ、枚数が通知される(図6:STEP1)。そして、中綴じ製本処理制御部601は、STEP2で折り増し処理するか否かを判断し、折り増し処理すると判断した際には角付け処理有りモードに進み(STEP1)、折り増し処理しないと判断した際には角付け処理無しモードへと移行する。
角付け処理有りモードでは、中綴じ製本処理制御部601が、図7(a)に示すように、シートPの搬送長さLの情報に基づいて位置決め駆動モータM2を駆動開始させる。これにより、シート位置決め部材805がステイプラ820の針位置820cよりもL/2下側に待機する。そして、整合駆動モータM5を駆動させ、整合板対815を受け取り位置へ移動させる。受け取り位置とは、整合板対815の整合面同士がシートPのシート搬送方向と直交する幅方向の長さよりも長い間隔にある状態の位置である。その後、中綴じ製本処理制御部601は、位置決め駆動モータM2及び整合駆動モータM5を停止させる(図6:STEP4、5)。
フィニッシャ500内に搬送されたシートPは、下排出パス522の途中に設けられた切換え部材514により右側に切換えられてサドル排出パス523に案内され、中綴じ製本部800へ案内される(図2参照)。そして、入り口駆動モータM1の駆動により、サドル入口ローラ対801及び中間ローラ804が回転し、収納ガイド803の中へとシートPが搬送され、入り口搬送パスセンサS1がONしてシートを検知する(図6:STEP6)。
そして、シートPが入り口搬送パスセンサS1(図7(a)参照)を通過すると、入り口搬送パスセンサS1がOFFに切換わり、シート位置決め部材805にシートPが突き当たった状態となる。その後、整合駆動モータM5が駆動し、整合板対815により、シート搬送方向と直交する幅方向の位置決めが行われる。このとき、整合板対815の間隔をシートサイズまで近づけ、その後、再び受け取り位置に退避動作させる(図6:STEP7〜9)。
このように、シート位置決め部材805と整合板対815とを基準に、シートPが順次積載される。そして、最終のシートPが収納ガイド803に積載されたところで、ステイプラ820によりステイプル処理が施される(図6:STEP10,11)。
その後、位置決め駆動モータM2が回転し、シート位置決め部材805が下降すると同時にシート束Pも突き折り位置へと下降する。図7(b)に示すように、突き折り位置とは、シート位置決め部材805が突き出し部中心830cよりL/2下側に位置する位置である(図6:STEP12,13)。
その後、図8(a)に示すように、折り搬送駆動モータM4が駆動を開始し、折りローラ対810a,810b、第1折搬送ローラ対811a,811b、第2折搬送ローラ対812a,812bを回転させる(図6:STEP14)。そして、突き駆動モータM3が回転動作することで、突き出し部材830が矢印T方向に動いてシート束Pを突き出し、これにより、折りローラ対810a,810bにニップで折曲げ搬送される(図6:STEP15)。突き出し部材830が収納ガイド803から突出しない位置へ戻ると、突き出し部材基準位置センサS2がONしてこれを検知し、突き駆動モータM3が停止する(図6:STEP16,17)。
シート束Pは、折りローラ対810a,810bで折曲げられ、第1搬送ガイド部813(第1上下搬送ガイド813a,813b)を通り、第1折搬送ローラ対811に搬送される。第1折搬送ローラ対811から搬送されたシート束Pは、図8(b)のように、第2搬送ガイド部814の第2上搬送ガイド814aに折り端部が受け止められ、第2折搬送ローラ対812へと湾曲しながら一方の面を摺接させて案内される。そして、図9(a)に示すように、束排紙センサS3がシート束Pの先端を検知すると、所定量搬送後、折り搬送駆動モータM4を停止させ、シート束Pを停止させる(図6:STEP18,19)。
その後、図9(b)に示すように、クランプ駆動モータM7が正回転し、第2上下搬送ガイド814a,814b間でシート束Pを厚み方向(矢印K方向)に保持すると、クランプ駆動モータM7が停止する(図6:STEP20,21)。そして、図9(c)に示すように、シート束Pを保持した状態で、折り目プレス駆動モータM6が回転し、折り目プレスユニット860がシート束Pの折り目に沿って、背部圧接処理を行いながら移動する(図6:STEP22,23)。
更に、図10に示すように、クランプ駆動モータM7が逆回転し、第2上搬送ガイド814aが退避すると、クランパ870のクランパ基準位置センサ(不図示)が第2上搬送ガイド814aを検知する。これにより、クランプ駆動モータM7が停止する(図6:STEP24〜26)。そして、折り搬送駆動モータM4とコンベア駆動モータM8とが駆動を開始し、シート束Pが折り束排出トレイ840に排出される(図6:STEP27,28)。以上の動作を最終シート束まで繰り返す(図6:STEP29,30)。
前述したように本実施形態では、折りローラ対810、第1折搬送ローラ対811、第2折搬送ローラ対812、第1搬送ガイド部813、第2搬送ガイド部814から構成される湾曲した搬送路Aでのシート束Pの搬送に関して、以下の構成を有する。
即ち、搬送路Aの曲率半径R(図13(a)参照)が小さいほど、搬送されるシート束Pの内側のたるむ幅が大きくなり、内側の搬送ガイド(第2下搬送ガイド814b)表面と接触しやすくなる。そのため、曲率半径Rが小さいほど、搬送ガイド表面の内側の表面抵抗を低くすることがより効果的である。
ここで、曲率半径と表面抵抗との関係の一例を示す。本実施形態の構成の場合、例えば曲率半径120mmの湾曲形状の搬送路Aに対して、各々のガイド通紙面とシート束Pとの動摩擦係数が、第2上搬送ガイド814aが0.5に対して第2下搬送ガイド814bが0.2程度であると、極めて効果的である。この場合、シート束Pのステイプルの針部分から表紙破れが発生することなく、第2折搬送ローラ対812a,812bまで円滑に搬送することができる。また、クランパ870によるクランプ動作により、シート束P表面にシワが発生することもない。
例えば、第2上搬送ガイド814aと第2下搬送ガイド814bの動摩擦係数が上記と反対の関係である場合、即ち動摩擦係数が第2上搬送ガイド814aよりも第2下搬送ガイド814bの方が高い場合には、以下のようになる。即ちこの場合、シート束P先端が第2折搬送ローラ対812a,812bのニップよりも下方を向いた状態となり、表紙破れが発生しやすく、またクランプ動作により、シート束P表面にシワが発生しやすい。
ただし、ここでは、曲率半径と表面抵抗との関係の一例を数値で説明したが、本実施形態はこれらの数値に限定されることは無い。そして、湾曲した搬送路Aの内側(第2下搬送ガイド814b)よりも外側(第2上搬送ガイド814a)のガイドの表面抵抗が高いという相対的な関係性から、ステイプル部の表紙破れの発生やクランプ動作による表紙のシワの発生を防止することができる。
以上のように本実施形態では、第1のガイドでシート束を湾曲させながらシート束の一方の面を摺接させて案内するように配置することで装置幅を小さくした、安価な構成のフィニッシャ500にあって、次の構成を有する。即ち、綴じ処理されたシート束Pのたるむ側の第2下搬送ガイド814b(第2のガイド)の表面抵抗を、シート束Pの折り端部を当接させて案内する第2上搬送ガイド(第1のガイド)814aの表面抵抗より低くしている。これにより、第2折搬送ローラ対812のニップにシート束Pが進入する際に、このシート束Pの綴じ部での表紙破れの発生を防止することができ、最終成果物であるシート束の品位を向上させることができる。
なお、第2搬送ガイド部814(第2上下搬送ガイド814a,814b)の表面抵抗の相対差を持たせる方法として次のような手法例も挙げることができる。例えば、第2上搬送ガイド814aと第2下搬送ガイド814bとの表面を異なる材質にする、これらの表面粗さを変える、シート束Pとの接触面積を変えるために第2上下搬送ガイド814a,814bの表面をリブ形状(凸凹形状)にする、等である。これらの手法は、表紙破れ発生やクランプ動作によるシワ発生の防止に充分効果がある。
なお、本実施形態では、第2搬送ガイド部814の表面抵抗について説明した。しかし、第1搬送ガイド部813の表面抵抗についても、湾曲した搬送路Aの外側(第1上搬送ガイド813a)よりも内側(第1下搬送ガイド813b)の表面抵抗が低い関係としてもよく、本発明を何ら限定するものではない。この場合、第1搬送ガイド部813は、折曲げ処理部である折りローラ対810により折り曲げられたシート束Pを案内するガイド対を構成する。
また、本実施形態では、搬送路Aを構成するローラ対は、折りローラ対810a,810b、第1折搬送ローラ対811a,811b、第2折搬送ローラ対812a,812bの3対であると説明した。しかし、搬送路Aが湾曲している場合であれば2対構成としてもよく、本発明を何ら限定するものではない。
加えて、本実施形態において、搬送方向に対して搬送路Aが下方へ湾曲している構成を説明したが、搬送路Aが上方へ湾曲している構成でもよい。
また本実施形態では、湾曲した搬送路Aの外側に位置する第2上搬送ガイド814aをクランプ動作する際に移動させると説明したが、前述したように、内側の第2下搬送ガイド814bを移動させてもよい。これは、シート束Pをクランプする際のガイドの可動側と固定側の表面抵抗の相対関係は、シート束P表紙のシワ発生の有無に関係がないためである。