以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るシート処理装置を備えた画像形成装置の一例である複写機の断面図である。図1に示すように複写機1000は、複写機本体300と、複写機本体300の上面に配されたスキャナ200とを備えている。
ここで、原稿を読み取るスキャナ200は、原稿給送部100、スキャナユニット104、レンズ108、イメージセンサ109等を備えている。そして、このスキャナ200により原稿Dを読み取る際には、まず原稿給送部100のトレイ1001上に原稿Dをセットする。なお、このとき原稿Dは、トレイ1001上にユーザから見て正立状態で、かつ、フェイスアップ状態(画像が形成されている面が上向きの状態)でセットされているものとする。また、原稿Dの綴じ位置は、原稿Dの左端部に位置するものとする。
次に、原稿Dを原稿給送部100により先頭頁から順に1枚ずつ左方向(図の矢印方向)、すなわち綴じ位置を先端にして搬送した後、湾曲したパスを介してプラテンガラス102上を左方向から右方向へ搬送し、この後、排紙トレイ112上に排出する。この際、所謂流し読みによる原稿読み取りの際には、スキャナユニット104は、所定の位置に保持された状態にあり、このスキャナユニット104上を原稿Dが左から右へと通過することにより原稿Dの読取処理が行われる。
この読取処理においては、プラテンガラス102上を通過する際、原稿Dに対してスキャナユニット104のランプ103により光を照射し、その反射光をミラー105,106,107、レンズ108を介してイメージセンサ109に導くようにする。なお、このイメージセンサ109により読み取られた原稿の画像データは、所定の画像処理が施されて露光制御部110へ送られる。
一方、所謂固定読みによる原稿読み取りの際には、原稿給送部100により搬送した原稿Dをプラテンガラス102上に一旦停止させ、この状態でスキャナユニット104を左から右へと移動させることにより原稿の読取処理を行う。さらに、原稿給送部100を使用しないで原稿の読み取りを行う場合には、ユーザは、原稿給送部100を持ち上げ、プラテンガラス102上に原稿をセットする。
また、複写機本体300は、カセット114,115に収納されたシートPを給送するシート給送部1002と、シート給送部1002により給送されたシートPに画像を形成する画像形成部1003等を備えている。ここで、画像形成部1003は、感光体ドラム111、現像器113、転写帯電器116、定着部177等を備えている。そして、画像形成の際には、露光制御部110からのレーザ光が感光体ドラム上に照射されることにより、感光体ドラム上に潜像が形成され、さらにこの潜像は、この後、現像器113によってトナー像として顕像化されるようになっている。なお、画像形成部1003の搬送方向下流側には排出ローラ対118等が配設されている。
次に、このような構成の複写機本体300の画像形成動作について説明する。まず、既述したようにスキャナ200における流し読み、あるいは固定読み等において、イメージセンサ109により読み取られた原稿Dの画像データは、所定の画像処理が施された後、露光制御部110へ送られる。そして、露光制御部110は、この画像信号に応じたレーザ光を出力し、このレーザ光は、ポリゴンミラー110aにより走査されながら感光体ドラム111上に照射され、感光体ドラム111上には走査されたレーザ光に応じた静電潜像が形成される。次に、感光体ドラム111上に形成された静電潜像を現像器113により現像し、トナー像として可視化する。
一方、シートPは、カセット114,115、手差し給紙部125、両面搬送パス124の何れかから感光体ドラム111と転写帯電器116とにより構成される転写部へ搬送される。そして、この転写部において可視化された感光体ドラム上のトナー像がシートPに転写され、転写後のシートPは、定着部177にて定着処理が施される。
次に、定着部177を通過したシートPを不図示の切換部材により一旦パス122に導き、シートの搬送方向後端が切換部材を抜けた後に、スイッチバックさせ、切換部材により排出ローラ対118へ搬送し、複写機本体300から排出する。これにより、シートPをトナー像が形成された面が下向きの状態(フェイスダウン)で複写機本体300から排出することができる。
なお、このような所謂反転排紙により、フェイスダウンでシートPを排出することにより、先頭頁から順に画像形成処理を行う場合、例えばコンピュータからの画像データに対する画像形成処理を行う場合に頁順序を揃えることができる。また、手差し給紙部125から搬送するOHPシート等の硬いシートPに対して画像形成処理を行う場合は、パス122にシートPを導くことなく、トナー像形成面を上向きの状態(フェイスアップ)で排出ローラ対118により複写機本体300から排出する。また、シートPの両面に画像形成処理を行う場合は、シートPを定着部177からまっすぐ排出ローラ対118方向へと導き、シートの搬送方向後端が切換部材を抜けた直後にシートPをスイッチバックし、切換部材により両面搬送パス124へと導くようにする。
ところで、複写機本体300には、折り処理部400と、筋入れ処理部450と、シートに対して綴じ処理や製本処理を行うフィニッシャ本体500aとを備えたフィニッシャ500が取り付けられている。折り処理部400は、複写機本体300から排出される画像形成済みのシートを折り処理するものである。そして、折り処理部400は、複写機本体300から排出されたシートを導入し、フィニッシャ500側に導くための搬送パス131を有しており、この搬送パス131には、搬送ローラ対130、排出ローラ対133が設けられている。また、排出ローラ対133の近傍には切換部材135が設けられており、この切換部材135により、搬送ローラ対130により搬送されたシートを折りパス136、または筋入れ処理部450に導くようにしている。
このような折り処理部400において、シートの折り処理を行う場合、まず切換部材135を切り替え、シートを折りパス136に導く。そして、折りパス136に導かれたシートは、まずストッパ137にシートの搬送方向先端が突き当たることによりループが形成され、この後、このループが、折りローラ140,141により折り部として折られる。
次に、この折り部を、上方のストッパ143に突き当てることで形成されたループを、折りローラ141,142により更に折ることで、シートは、Z折りされる。そして、このようにZ折りされたシートは、搬送パス145を介して搬送パス131に送られ、排出ローラ対133により排出される。なお、折り処理部400による折り処理動作は選択的に行われるため、折り処理を行わない場合は、切換部材135を筋入れ処理部側に切り替え、複写機本体300から排出されたシートを、搬送パス131を介して、直接筋入れ処理部450に送り込む。
筋入れ処理部450は、複写機本体300から排出される画像形成済みのシートに対して筋状の折り筋を形成する筋入れ処理(折り筋形成処理)を行うものである。そして、この筋入れ処理部450は、図2に示すように、折り処理部400から搬送されてきたシートを導入し、フィニッシャ本体500aに導くための搬送パス750を有している。
この搬送パス750には、第1搬送手段である入口ローラ対751と、入口ローラ対751の下流に設けられシートを搬送する第2搬送手段である搬送ローラ対752と、出口ローラ753が設けられている。入口ローラ対751と搬送ローラ対752の間には、筋入れ手段である筋入れユニット454が設けられている。また、搬送ローラ対752の搬送方向下流側には検知手段である位置検知センサ754が配置されている。
画像が形成されたシートPが、筋入れ処理部450を介して送り込まれるフィニッシャ本体500aは、送り込まれた複数枚のシートを整合して、シートの処理を行う。なお、シートの処理としては、複数枚のシートを1つのシート束として束ねる処理、シート束の後端側をステイプルするステイプル処理(綴じ処理)、ソート処理、ノンソート処理、シート束を二つ折りにして製本する製本処理等がある。そして、シートをステイプルするステイプル部500A及びシート束を二つ折りにして製本する製本手段である中綴じ製本部800を備えている。
フィニッシャ本体500aは、筋入れ処理部450を介して搬送されたシートを装置内部に取り込むための搬送パス520を備えており、搬送パス520には、入口ローラ対501及び複数の搬送ローラ対502〜508が設けられている。なお、搬送ローラ対502と搬送ローラ対503の間には、パンチユニット530が設けられており、パンチユニット530は、搬送されてくるシートの後端部に、必要に応じて孔をあける(穿孔処理を行う)ようになっている。
また、搬送パス520の終端には切換部材513が設けられており、この切換部材513により、搬送方向下流に繋がれた上排紙パス521と下排紙パス522とに経路を切り換える。ここで、上排紙パス521は上排出ローラ509により、サンプルトレイ701への排紙を行うためのものである。下排紙パス522は、処理トレイ550又は中綴じ製本部800にシートを搬送するためのものであり、シートを処理トレイ550に搬送するための搬送ローラ対510,511,512が設けられている。
なお、下排紙パス522により処理トレイ550に排紙されるシートは順次整合処理されながら束状に収容され、図1に示す操作部1からの設定に応じて仕分け処理やステイプル処理が行われる。ここで、ステイプル処理を行う場合は、幅方向に移動可能なステイプラ560により、シートの任意の位置にステイプル処理を行う。さらに、仕分け処理やステイプル処理が行われた後、シート束は、束排紙ローラ対551により、スタックトレイ700とサンプルトレイ701とに選択的に排出される。積載されたシートは、その後端を上下方向に延びる後端ガイド710に受け止められて整列される。
なお、本実施の形態において、フィニッシャ500の上部にはインサータ900が設けられている。このインサータ900は、シート束の先頭頁、最終頁、または複写機本体300にて画像が形成されたシート間に通常のシートとは別のシート(インサートシート)を挿入するためのものである。そして、インサートシートを挿入する場合、インサータ900は、ユーザによりインサートトレイ901,902にセットされたインサートシートを、所望のタイミングで搬送パス520に合流させる。なお、このように搬送パス520に合流したインサートシートは、この後、サンプルトレイ701、処理トレイ550、中綴じ製本部800のいずれかに搬送される。
下排紙パス522の途中には、シートを処理トレイ550又はサドル排出パス523に案内する切換部材514が設けられている。そして、シートに対して中綴じを行う場合は、切換部材514の切換により、シートはサドル排出パス523を通過して中綴じ製本部800に搬送される。ここで、サドル排出パス523を通過したシートは、サドル入口ローラ対801に受け渡され、サイズに応じて不図示のソレノイドにより動作する切換部材802により搬入口を選択されて中綴じ製本部800の収納ガイド803内に搬入される。
収納ガイド803は、シートが積載可能に上流側が後方へ傾斜している。これにより、搬入されたシートは、滑りローラ804により搬送され、上位送りローラ806、下位送りローラ807に受け渡される。この後、シートは、シートサイズに応じて、予め所定の位置に移動されている端部ストッパ805に搬送方向の下端が当接するまで搬送される。なお、端部ストッパ805は、収納ガイド803の傾斜したシートガイド面に沿って、不図示の端部ストッパ移動モータによってシートの搬送方向に移動(昇降)する。
また、端部ストッパ805は、収納ガイド803から突き出した規制面805aを有している。端部ストッパ805は、この規制面805aにより収納ガイド803を上位送りローラ806及び下位送りローラ807によって搬送されてきたシートの搬送方向の下流側端部を受け止める。
収納ガイド803の上方には、収納ガイド803に収納されたシート束の搬送方向の中央部(被処理部)を綴じる綴じ手段であるステイプラ820が設けられている。このステイプラ820は、不図示の針を突き出すドライバ820aと、ドライバ820aと収納ガイド803を挟んで対向配置され、突き出された針を折り曲げるアンビル820bとを備えている。そして、このように構成されたステイプラ820により、端部ストッパ805に受け止められて束状になったシートの搬送方向の中央部を針綴じする。
さらに、ステイプラ820の搬送方向下流側には折りローラ対810a,810bが設けられており、折りローラ対810a,810bの対向位置には折りローラ対810a,810bと共に折り手段を構成する突き出し部材830が設けられている。この突き出し部材830は、収納ガイド803から退避した位置をホームポジションとしていて、不図示の突きモータの駆動により、収納ガイド803から離れたホームポジションから、収納ガイド803に収納されたシート束に向けて突出するようになっている。
そして、突き出し部材830をシート束に向けて突出させることにより、シート束を、折りローラ対810a,810bのニップに押し込みながら2つ折りにする折り処理が施される。なお、突き出し部材830は、シート束を突き出した後、再びホームポジションに戻る。また、折りローラ対810a,810b同士には、シート束に折り目を付けるのに充分な圧F1が不図示のばねにより付与されている。
ここで、綴じ処理を行わずにシート束を折り畳む場合は、収納ガイド803に収納されたシート束の搬送方向中央部が折りローラ対810a,810bに対向するように、端部ストッパ805を移動させる。また、ステイプラ820で綴じられたシート束を折り畳む場合は、ステイプル処理終了後に、シート束のステイプル位置が折りローラ対810のニップと対向するように、端部ストッパ805を、ステイプル処理時の場所から所定距離降下させる。これによりステイプル処理を施した位置を中心にしてシート束を折り曲げることができ、冊子状の折りシート束が形成される。
次に、折り目付けされたシート束は、第1折り搬送ローラ対811a,811b、第2折り搬送ローラ対812a,812bに搬送される。なお、第1折り搬送ローラ対811a,811b、及び第2折り搬送ローラ対812a,812bにも、折り目付けされた束を搬送、停止させるのに充分な圧F2、F3が掛けられている。また、折りローラ対810a,810b、第1折り搬送ローラ対811a,811b、第2折り搬送ローラ対812a,812bは、同一の不図示の折搬送モータにより等速回転する。
次に、第1折り搬送ローラ対811a,811b、及び第2折り搬送ローラ対812a,812bにより折り曲げられたシートはシート束の折り目部をニップするプレスローラ対861を備えた折り目プレスユニット860に搬送される。そして、この折り目プレスユニット860を、プレスローラ対861によりシート束の折り目部をニップした状態でシート束搬送方向と直交する幅方向に移動することにより、折り目を強化することができる。なお、中綴じ製本された冊子は、折り目プレスユニット860により折り目を強化された後、折束排出トレイ850に積載される。
図3は、複写機1000の制御ブロック図である。CPU回路部150は複写機本体300に設けられて、CPU(不図示)、ROM151、RAM152を有している。CPU回路部150は、ROM151に格納された制御プログラム及び操作部1の設定に従い、原稿給送制御部101、イメージリーダ制御部201、画像信号制御部202、外部I/F(外部インターフェース)203、プリンタ制御部301を制御する。また、CPU回路部150は、折り処理制御部401、フィニッシャ制御部570、筋入れ制御部470を制御する。
原稿給送制御部101は原稿給送部100を、イメージリーダ制御部201はスキャナ(イメージリーダ部)200を、プリンタ制御部301は複写機本体300を制御する。RAM152は、制御データを一時的に保持するための領域や、制御に伴う演算の作業領域として用いられる。外部I/F203は、複写機1000と外部のコンピュータ204とのインターフェースであり、コンピュータ204からのプリントデータをビットマップ画像に展開し、画像データとして画像信号制御部202へ出力する。また、イメージリーダ制御部201から画像信号制御部202へは、イメージセンサ109で読み取った原稿の画像が出力される。プリンタ制御部301は、画像信号制御部202からの画像データを露光制御部110へ出力する。
フィニッシャ制御部570は、既述した図1に示すようにフィニッシャ本体500aに搭載され、CPU回路部150から送られてくるシートに関する長さ情報、剛度(剛性)情報、厚み情報等のシート情報に基づいて、中綴じ製本部800等を制御する。操作部1は、画像形成に関する各種機能を設定する不図示の複数のキー、設定状態を表示するための表示部等を有している。操作部1は、ユーザによる各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部150に出力すると共に、CPU回路部150からの信号に基づき対応する情報を表示部に表示する。折り処理制御部401は、既述した図1に示すように折り処理部400に搭載され、折り処理部400を制御する。
筋入れ制御部470は、CPU回路部150と通信してデータ交換を行い、CPU回路部150からの指示に基づきROM851に格納されている各種プログラムを実行して筋入れ処理部450を制御する。筋入れ制御部470は、既述した図1に示すように筋入れ処理部450に搭載され、図4に示すように、CPU850、ROM851、RAM852等で構成されている。
筋入れ制御部470には、位置検知センサ754、筋入れユニット454を駆動する筋入れ駆動モータM3、入口ローラ対751及び搬送ローラ対752を駆動する搬送モータM10を備えた駆動手段であるローラ駆動部854が接続されている。そして、筋入れ制御部470は、筋入れを行う際、CPU回路部150からのシートサイズの情報と位置検知センサ754からの信号に基づき、筋入れ駆動モータM3、搬送モータM10をドライバ853を介して駆動する。
フィニッシャ制御部570は、フィニッシャ本体500aに搭載されているが、CPU回路部150と一体的に複写機本体300に設けられて、複写機本体300側からフィニッシャ本体500aを制御するようにしても良い。また、筋入れ制御部470は、筋入れ処理部450に搭載されているが、CPU回路部150と一体的に複写機本体300に設けられて、複写機本体300側から筋入れ処理部450を制御するようにしてもよい。
次に、本実施の形態に係る筋入れユニット454について説明する。筋入れユニット454は、図5及び図6に示すように、上下に移動可能な凸部である凸歯467と、凹部である凹溝464を備えている。凸歯467は凸歯スライド支持部材463の底面に固定され、凸歯スライド支持部材463は凹溝支持部材466に垂設された筋入れスライド軸462に沿って上下方向にスライドする。また、凹溝464は筋入れスライド軸462に沿って上下方向にスライドする筋形成ブロック469の上面に形成されている。
凸歯スライド支持部材463の上方には、筋入れカム受け台461が配置され、この筋入れカム受け台461は、凸歯スライド支持部材463と同様に筋入れスライド軸462に沿って上下方向にスライドする。なお、筋入れカム受け台461と凸歯スライド支持部材463の間には、シートに筋入れを行うのに十分な荷重を与えることのできる筋入れバネ465が複数配置されている。
筋入れカム受け台461の上方には、筋入れユニット454の対向する支持フレーム454aの上端に、軸受460を介して回転可能に支持されると共に、筋入れ偏心カム459が組み込まれた筋入れカム軸457が配置されている。この筋入れカム軸457は、筋入れ駆動モータM3により回転するようになっており、この筋入れカム軸457の回転により偏心カム459が回転し、筋入れカム受け台461が下方向に移動する。
また、筋形成ブロック469の下方には筋入れ駆動モータM3により回転する移動カム480が設けられており、この移動カム480の回転により筋形成ブロック469が上下方向に移動する。筋形成ブロック469は、移動カム480が回転すると、筋入れカム受け台461が下方向へ移動するのと同じタイミングで上昇する。これにより、筋入れバネ465を介して凸歯467が凹溝464へと入り込む。
これにより、シートのシート搬送方向の中央部が、凸歯467と凹溝464とにより挟み込まれ、シートPの表面に、シート搬送方向と直交する幅方向に沿って折り筋が形成される。つまり、筋入れ手段である筋入れユニット454により、シートPの表面のシート搬送方向の中央部に折り筋が形成される。以下、このような折り筋の形成動作を筋入れ又は筋入れ動作と言う。この結果、シートPの断面形状は図7の(a)に示す形状から、図7の(b)に示す折り筋Sが形成された形状になる。
また、凸歯スライド支持部材463の両側端には、筋入れ動作の際、最下点に移動した凸歯467を再び上方へ戻すための吊り上げ板468が取り付けられている。この2つの吊り上げ板468は吊り上げ軸458により連結されており、この吊り上げ軸458は、偏心カム459に当接している。これにより、偏心カム459が回転すると、凸歯スライド支持部材463も偏心カム459と一体的に上方向に移動する。このように、偏心カム459の回転により、筋入れ動作の際には凸歯467が下降し、筋入れ動作が終了すると、凸歯467が上昇する。
ところで、本実施の形態において、図8に示すように入口ローラ対751と搬送モータM10の駆動系760の中には所定のトルクになった場合にトルク伝達をキャンセルすることが可能なトルクリミッタ755が設けられている。また、入口ローラ対751のシート搬送速度をV1、搬送ローラ対752のシート搬送速度をV2とすると、シート搬送速度の関係はV2>V1となっている。ここでV1,V2の速度差は数%程度が望ましいが、本実施の形態は、この速度差に限定されるものではない。
次に、筋入れ処理部450による筋入れ処理を説明する。筋入れ処理の際、筋入れ制御部470は、図8の(a)に示すように入口ローラ対751、搬送ローラ対752、出口ローラ753を1つのモータである搬送モータM10により駆動する。これにより、折り処理部400を通過したシートPが入口ローラ対751により搬送される。この後、シートPは、図8の(b)に示すように搬送ローラ対752に達する。
ここで、搬送ローラ対752に達すると、搬送ローラ対752と入口ローラ対751との間の速度差によりシートは搬送ローラ対752により引っ張られるようになる。このため、例えば図8の(a)に示すようにシートPがカール等により撓んだ状態となっている場合でも、シートPは図8の(b)に示すように張った状態となる。
このように、搬送ローラ対752を入口ローラ対751よりも速くなるように設定すると共に、入口ローラ対751の駆動系760にトルクリミッタを設けることにより、シートの状態にかかわらず筋入れされるシートを常に張った状態にすることができる。なお、シートが搬送ローラ対752に達した後、搬送ローラ対752と入口ローラ対751との間の速度差は、トルクリミッタ755が空転することでキャンセルされるので、シートは搬送ローラ対752により引っ張られることはない。
この後、図8の(b)に示すようにシートPの先端部を位置検知センサ754が検知すると、CPU回路部150からのシートサイズの情報から筋入れ制御部470は搬送モータM10を制御し、筋入れするべきポイントでシートPが停止する。この後、筋入れ制御部470は、筋入れ駆動モータM3を駆動して凸歯スライド支持部材463を下降させると共に、筋形成ブロック469を上昇させる。
これにより、図9に示すように凸歯467を凹溝464に入り込ませながら凸歯スライド支持部材463と筋形成ブロック469がシートの表裏両面を挟み込むようになり、シートPの所定の位置に筋入れが行われる。なお、シートPに対する筋入れ位置を変更したい場合は、位置検知センサ754がシート先端を通過してから搬送モータM10を停止させるタイミングを変更することにより、シートPの所望する任意の位置に筋入れ処理を行うことができる。
ところで、入口ローラ対751と搬送ローラ対752が停止した状態で筋入れユニット454によりシートPに筋入れを行う際、図9に示すように、凸歯467と凹溝464の中にシートPが入り込む。この場合、入口ローラ対751から搬送ローラ対752の間のシート長さは、筋入れを行う前よりも筋入れを行った後の方が、シートPが凸歯467と凹溝464に引き込まれた分だけ長くなる。
ここで、シートが長くなるのは、筋入れを行う際、トルクリミッタ755が空転して入口ローラ対751が回転するためである。そして、このようにトルクリミッタ755が空転して入口ローラ対751が回転することにより、シートPが入口ローラ対751及び搬送ローラ対752とスリップすることなく筋入れを行うことができる。このように筋入れを行う際、シートPがスリップすることがないようにすることにより、スリップによりシートの画像がダメージを受けるのを防ぐことができる。
また、本実施の形態において、凸歯467が凹溝464へと入り込むときの筋形成ブロック469の上面の高さは、搬送ローラ対752のニップと入口ローラ対751のニップを結ぶ直線と同じ高さとなるようになっている。このため、入口ローラ対751の回転によりシートPが引き込まれる際の引き込み量を少なくすることができる。
以上説明したように、本実施の形態においては、入口ローラ対751を駆動する筋入れ駆動モータM3の駆動を入口ローラ対751に伝達する駆動系760にトルクリミッタ755を設けている。これにより、筋入れが行われる際、筋入れユニット454により挟み込まれてシートが引っ張られると、入口ローラ対751が回転するようになるので、画像にダメージが生じることなくシートに筋入れを行うことができる。
ところで、本実施の形態においては、入口ローラ対751、搬送ローラ対752、出口ローラ753を同一の搬送モータM10により駆動する場合について説明したが、本発明は、これに限らず、入口ローラ対751等を異なるモータにより駆動しても良い。
図10は、このように入口ローラ対751等を異なるモータにより駆動するようにした本発明の第2の実施の形態に係るシート処理装置に設けられた筋入れ処理部の制御ブロック図である。なお、図10において、既述した図4と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
図10に示すように、本実施の形態においては、入口ローラ対751を第1モータである入口モータM20により駆動すると共に、搬送ローラ対752、出口ローラ753を第2モータである搬送モータM10により駆動している。つまり、本実施の形態においては、入口ローラ対751及び搬送ローラ対752を駆動する駆動手段855は、第1モータである入口モータM20と、第2モータである搬送モータM10とを備えている。
ここで、入口ローラ対751と入口モータM20との駆動系761の中には所定のトルクになった場合にトルク伝達を空転するトルクリミッタ755が設けられている。また、本実施の形態において、入口モータM20による入口ローラ対751のシート搬送速度をV1、搬送モータM10による搬送ローラ対752のシート搬送速度をV2とすると、シート搬送速度の関係はV2>V1となっている。
これにより、搬送ローラ対752に達すると、搬送ローラ対752と入口ローラ対751との間の速度差によりシートは搬送ローラ対752により引っ張られるようになる。このため、例えば図11の(a)に示すようにシートがカール等により撓んだ状態となっている場合でも、図11の(b)に示すように張った状態となる。なお、この後、V1とV2速度差は、トルクリミッタ755が空転することでキャンセルされる。
この後、図11の(b)に示すようにシート先端を位置検知センサ754が検知すると、CPU回路部150からのシートサイズの情報から筋入れ制御部470は搬送モータM10及び入口モータM20を制御し、筋入れするべきポイントでシートPが停止する。この後、筋入れ制御部470は、筋入れ駆動モータM3を駆動して凸歯スライド支持部材463を下降させると共に、筋形成ブロック469を上昇させる。これにより、図11の(c)に示すように、凸歯467が凹溝464へと入り込み、シートPの所定の位置に筋入れが行われる。このように、本実施の形態のように構成しても、既述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、これまでは凸歯467を凹溝464の上方に設けた構成について説明したが、凹溝464を凸歯467の上方に設けても良い。また、これまでは筋入れを行う際、凸歯467と凹溝464を、それぞれシートを挟持する方向に移動させる構成について説明したが、凹溝464を、例えば図9に示す筋入れを行う位置に固定し、凸歯467を下降させて筋入れを行うように構成しても良い。また、これまでの説明では、入口ローラ対751と搬送ローラ対752のうちのシート搬送方向上流の入口ローラ対751にトルクリミッタ755を設けたが、シート搬送方向下流の搬送ローラ対752にトルクリミッタ755を設けても良い。